資料3 第6回企画調査会

第5回企画調査会における骨子案への主な意見について

1.「Ⅰ.はじめに」について

  • 高みに立って文化財の意義について述べるのではなく,住民の視点から入っていく表現にすべき
  • 歴史文化的な遺産というものの中に代表されるものとして文化財があるのではないか。市民の視点から言えば,地域の歴史や知恵をどう継承していくのかというストーリーが基本になるのであって,はじめから対象を文化財に絞って考えるのは適当ではない
  • 日本固有の文化財を強調するのみではなく,日本の文化は海外との交流の中で育て上げられてきた点をうたうべき。

2.「Ⅱ.文化財の総合的な把握について」について

[1]「文化財保護マスタープラン(仮称)の策定」について

  • マスタープランの対象は指定された文化財のみではなく,歴史・文化の視点からのトータルな地域環境を対象とし,コアになる文化財のほかに様々な文化的資産を入れた構想とすべき。(「文化財保護マスタープラン」という名称も指定文化財だけを対象とするもののように受け取られがちであるので改めるべき。)
  • マスタープランと都市計画等のほかの法定計画との連携をとるようにすべき。(都市計画の運用のための指導的文書の中で文化財保護のマスタープランとの整合性を求める等)
  • 指定文化財の保護に影響を与える周辺環境についてマスタープランの中に位置づける形で保全を図っていくことも考えられる
  • マスタープランの作成を最初から義務化することは難しいが,マスタープランに基づく歴史文化地区やバッファゾーンの設定等の仕組みの使い勝手がよければ,作成する自治体も増えるだろう。また,歴史文化地区として地方公共団体が提案したものに対して国が認定する仕組みが自治体にとって魅力的なものになれば更に増えるのではないか
  • 様々なストーリーを書き込んでいき,魅力的なものを引き出せる仕組みにしていけばいいのではないか
  • 法律上,制度上どのような位置づけにするのか。文化財保護法の枠組みの中での話にするのか,それとも政府全体の政策として義務づけるような仕組みにするのかがポイント
  • 景観行政団体となり,計画を策定したところには様々な支援措置を講ずるといったような景観法のボトムアップ型を支援する枠組みをまねればいいのではないか。また,景観法や都市計画法の枠組みを活用してそれらの計画の中に文化財的な観点を埋め込んでいくことも考えられる
  • 自治体をまたがってマスタープランの作成,歴史文化地区の設定を行う場合にも対応できる仕組みとすべき
  • 実現のためには,異なる分野の文化財,文化財保護と関連する分野の施策についてコーディネートできる人材が文化庁及び自治体の中に必要。

[2]「歴史文化地区(仮称)の選定」について

  • 地区という空間的な範囲にとらわれず,動産も含めてネットワークとして捉える概念にできないか
  • エリアとして捉えるものと,動産や無形の文化財も含めてグループとして捉えるものを両方含んだ制度とすべき
  • 歴史文化地区を文化財の第7の類型として捉えるのか,一定エリアにいろいろな文化財が集まっている状態そのものを指して保全措置を講じようとするのかが明確でない
  • 無形の文化財(主に無形の民俗文化財)についても対象となることを強調すべき
  • 「歴史文化」の名称は検討が必要。「伝統文化」の用語を活用するべき。

[3]その他

  • データベースについてはイメージの明確化が必要。国や地方の指定・登録文化財のデータベースなのか,史跡地図のようなマッピングのようなものなのか,オーストリアやドイツで行っているようなインベントリーのようなものなのか
  • 総合的な把握のための調査研究の重要性についても強調すべき
  • 世界遺産暫定リストに追加記載すべき文化資産として地方公共団体から提案されたもので暫定リストに記載されないものについては,どのようにフォローしていくのか。

3.「Ⅲ.国民の文化財保護への理解と参加のための方策について」について

  • 人材の確保と参加のためのシステム作りが必要。専門家の知識と能力をどうやって担保するか,その人たちの職場をどのように確保するかが課題。文化財を活用する場での専門性をどう確保するかを提案の中に盛り込むべき
  • 人材育成はマスタープランの注意書きではなく,一つの施策として格上げしてほしい
  • 専門家の人材育成と同時に,文化財の価値をわかりやすく説明するインタープリターの養成も必要。また,文化財に関しては素人であるが,文化遺産や歴史ある町が好きだという市民の気持ちを文化財保護にどのように生かしていくのかがポイント
  • 国は枠組みを示して,実施は自治体,市民,地域に委ねるという視点を文化財保護政策の中でも考えていくべき。
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