資料2 第9回企画調査会

文化審議会 文化財分科会 企画調査会(第8回)

1 日時
平成19年8月21日(火)14:00〜16:00
2 場所
丸ビルコンファレンススクエア ROOM4
3 出席者
(委員)
石森会長 永井会長代理 佐藤委員 西田委員 西山委員 根木委員 星委員 松場委員 村上委員 神崎委員 西村委員 林田委員
(事務局)
高塩文化庁次長 大西文化財部長 亀井文化財鑑査官 有松伝統文化課長 山﨑美術学芸課長,内藤記念物課長,苅谷参事官,長屋文化財保護企画室長,その他関係官
4 議題
資料4-1,4-2に基づき,事務局より「審議の中間まとめ(案)」の説明がされた後,以下の議論が行われた。
  •  事務局より中間とりまとめ(案)について説明いただいたが,こちらについては本日皆様に審議いただき,パブリックコメントに回すという段取りを考えている。これまで相当慎重に皆様方の御意見を頂いているので,全体に関して,基本的な骨格そのものについてもはや議論をする必要はないと考えているが,もし表現上等の点で改めるべき点があれば頂きたい。
     まずは,私から何点か述べさせていただく。例えば11ページ目,(イ)の「歴史文化基本構想(仮称)に対する支援の方策など」で,11ページ真ん中のあたりに「また,」,「また,」という言葉が2回続いて出てくるので,2回目の方の「また,」は「更に,」くらいに変えた方が良いかなと思う。
     同様にもう1つ,16ページ真ん中辺りの「『エコツーリズム推進法』が成立している。」のその下に「また,」があり,そして,その6行下に「また,」があるため,2回目の「また,」は「更に,」くらいにした方がいいと思う。
     このようなことも含めて何かあればお願いしたい。
  •  全部通して読んで感じたことがある。1つは,生活との関係が深くなってきているという記述がたくさんあるが,人の暮らしとの関係性が余りリアルに見えてこない部分があるのではないか。暮らす側はどんどん変わっていて,意識としては文化を守るべきというのがあると思うが,現実の生活は違うところに行っていると思う。両者をどうやって結びつけるのかがなかなか見えづらくなっているのではないか。別にこれを変えろということではないが,文化財として守られているものを活用するときにどういうハードルがあって,それが現在の生活とどのように乖離しているのか等の記述がない。その現状認識がないと,具体的にどうやろうかといったときに,なかなか一歩が踏み出せないのではないかという気がした。そういう調査がされていて,その結果がどういうふうに今回にいかされるかとか,もし調査があるのであればそういう記述があった方がいいし,そういう調査をやっていないのであれば,文化財に指定された地域やこれから指定されていく地域が,いい面だけではなく,それ以外の面もどう見ていくかというところがないとなかなかリアルにならない。市民の側から文化を守るというよりは,暮らしている側から読んだら,少し疑問を感じた。
  •  確かにこの文章の中に没頭してしまって,なかなか客観的に最後の方は見られなくなってきているところがあった。改めて通して読まれたときにそう見えるとしたら,どこがそれを補うものなのかと考えていた。
     今回,従来の文化財保護の在り方に追加した重要なところは,地域が主体的に文化財保護の考え方を作り出すことができ,それを国が支援していくという仕組みを盛り込むことができたことだと思う。これはボトムアップ型の地方分権という言い方もさせていただいたが,こういう案のレベルで市民側からとの関係をうまく説明することは難しかったのかもしれない。今回盛り込まれた歴史文化マスタープランみたいなものは,都市計画法や景観法が地方分権をボトムアップ型でうまく組み込んできたのと同じような意味で,地域側にかなり裁量を認めて,地域側の自主的な内容を尊重する形の枠組みにできたと思う。だから,書きかえるというよりは,これをPRするときにそういう視点を持てば,決して現在の生活との乖離(かいり)という観点が含まれていないということはないのではないか。
  •  同感だ。この中間まとめを変更するということではなく,伝えるとき意識の中にしっかりそういうことを持って伝えてほしい。
  •  全体としては,歴史文化基本構想として,これまでの点的でばらばらに保全施策がとられていたものが,大きなマスタープランに組み上げられていくというのは非常に重要で,方向として非常に正しいと思う。ただ,これがそれぞれの地方公共団体に使ってもらえるかというと,まだ弱いなという感じがする。これは,この報告の中身からちょっと外れるかもしれないが,余り支援の施策がない。もちろん,文化財が多くある町だったら,喜んで頑張るかもしれないが,一般の町や,そうではなく,生活がまだ頭にあって,文化財というのは消費文化のようなイメージがあるところは,わざわざこれを一生懸命やるつもりになるかなと思うと,まだ弱いのかなと思う。それはこの報告の中で書く問題ではないかもしれないが,例えば,何か具体的なことをやることで法的に必要な次のステップに行ける,財政的な支援措置がある,又は他省庁の施策とうまく結びつけられるなどと本当に地方公共団体みんながやるぞという感じになってくれるためのインセンティブが弱い気がする。
     名前にも表れているような気がする。「基本構想」というのもいいが,これを「マスタープラン」と言うのだったら,マスタープランとは日本語で「基本計画」と言っているのだから,計画を立ててきちんとやるということが見えてないといけない。構想とは計画の前段階のものである。そういう願望があるということはわかるが,構想という形で法的に位置付けられるのか。言葉からいっても自信のなさを表しているような気がする。気持ちはわかるが,地方公共団体がどれぐらい歓迎して使う気になってくれるのか,かなりクエスチョンがつく。ただ,これは今後の課題かもしれないので,次の段階で考えればいいのかもしれないと思う。
  •  我々の企画調査会の役割は,あくまでも文化財分科会へ方向性を打ち出すことである。この場で全て予算等の措置も含めてこうあるべきと言えるものであれば大変結構だが,何事においても分というものがある。最終的に文化財分科会に上げることになるので,そこでさらなる大所高所からの判断が入るかというような点もあろうかと思う。
  •  個人の意見としては,未指定のものまで含め大胆に入ったなという思いを抱いている。心配している部分は,施策にした際の考え方が,これまでの保存と,それから指定等も考えていないものを対象とした文化財に対する活用という2通りになってくるので,なかなかマンパワーの面と心理的な面でしんどいことが起きると思いつつも,保存と活用のバランスのとれた「社会の方向を向いている」ことを強く言うところまでは何とかしてほしいと思っている。
     指定以外のその他大勢の歴史的・文化的なものになってくると,住宅や景観などの部局と対象が似てくるので,それらの重合性をどうするかが現実の世界では難しくなると思う。そういう際には,知事部局ができる部分と,文化財部局ができる部分を足して一つの形に見えれば,より国民にとって幸せだと思っているので,そういった感触もどこかに出てくればいいかなと思っている。
  •  中間まとめの内容を関わっている幾つかの地方公共団体に前ぶれ的に話をしていくと,意外と面白い反応が返ってきた。
     1点目はややネガティブな話なのだが,とある村長と話していたら,先日新聞の1面にこの企画調査会の内容が載っていたが,歴史文化基本構想をつくって,モデル地区を選んで,次年度に向けて予算を取るという具体的なことまで書かれていて驚いた。これからの文化財保護行政は地方の主体性を尊重していくということだと思うのだが,それを読んでいたある村長は,「国はいよいよ国の指定まで地方に任せるようになってしまうのか」という感想を述べた。要するに,今後,国は指定を広げずに全部地方に任せるというふうに解釈してけしからんと言った人がいる。だから,そうではなく,従来の保護の体制は今後も裾野を広げていき,登録も拡充していくということをやっていたけど,それだけでなく,トップダウン型の考え方のみならず,もっとボトムアップ型でやるということであり,これはむしろ付加される話であって,そういう意味で地方に責任を回す話ではないという説明をした。だが,これは,あり得る反応だと思ったので,プレス発表等外部に出すときに,そういう思いもかけない誤解を与えないようなことを考えられたらいい。
     2点目は,今度は良い方の話で,伝建地区を持っている小さい地方公共団体の話である。いろいろな省庁の事業を取りたいが,取る名目が立たない。だから,景観法における景観行政団体にもなったけれど,どういうふうに景観計画を立てていいのかよりどころがない。だから,この基本構想を文化財保護行政がリーダーシップをとって支援してくれると自信を持ってつくれる。つくったらほかの省庁の事業に使えることができるとすると,これは意外に力になるのではないかということで,是非とも手を挙げたいという地方公共団体も多い。だから,国の施策,つまり方向性が示されていない,地方公共団体任せである,具体的にそれを支援する補助メニューがないなどのことは,景観法のときも指摘されたが,地方公共団体がうまく使いこなせば波及していろんなことを呼び寄せたり,これまでコントロールできなかった部分をコントロールできるようになるというようなことにうまく知恵を回してくれれば,非常に使い勝手があるものなんだと賢い地方公共団体は考えてくれると感じた。
     だから,プレス発表していくときに,機会があれば,そういう大事なポイントを誤解のないように伝えていくことを是非ともお願いしたい。文字だけだとなかなかそういうニュアンスがうまく伝わらず,断片的なところだけが一人歩きする可能性を感じる。
     そこで1つ質問だが,次年度モデルを選んでやっていくことになったとしても,手を挙げた地方公共団体に対して,本当の中身を伝えていくプロジェクトチームのようなものがないと,この会議での雰囲気がどういうふうにして次に伝わっていくのか,実際のモデル事業に展開していくのか心配だ。具体的にどのように考えているのか。要は,これが出た後,パブリックコメントも終わり,ある程度この審議の結果が世の中に出たときに,今度はそれを動かしていく体制などは既に決まっているのかどうかちょっと聞きたい。
     それからもう1点,モデルを選考することになるが,モデル地区の選び方,数などについて,今日の委員会ぐらいで次のことを心配してもいいのかと思いお聞きしたい。
  •  まだ余りはっきりとは言えないが,企画調査会の構想を受け,この8月末に概算要求を予定にしており,歴史文化基本構想のモデル地区として十数か所を支援することを今考えている。
     その一方で,現在,他省庁からも,歴史的な環境を含めた整備についての相談もあるので,歴史文化基本構想をどのようにうまく結びつけていくかが大切と考えている。特にこの御提言の中にも歴史文化構想を法律で設けることを早急に検討するというのがあるが,過去様々な地域振興について法律を用意し,国が基本方針を作って,それを都道府県なり市町村が作ったものを採択し,採択したところには支援をしていくという施策が行われてきた。歴史的な環境というようなことを考えると,おまとめいただいた歴史文化基本構想と非常に近いものになる。
     一方で,歴史文化基本構想の中にそれぞれ関連文化財群をつくった歴史文化保存活用区域というのがあるが,具体的に基本構想の後に整備をしていく際には,従来からの指定文化財に対する支援は法律上あるが,例えば,農水省関係の農村整備,国土交通省関係の都市計画と,様々な役所が持っている予算があるので,そういうものをうまくこの構想をもとに施策を実行するべく努力したいと思っている。同じコンセプトのものが複数あるよりは,やはり核となる歴史文化基本構想を中心に地域の歴史的なものを守っていくという形を作りたいと思っている。
     それとあわせ,これからの行政の体制については,高松塚の壁画損傷事故があり,それを受けて文化財の総合的な保護の観点について中・長期課題として検討せよということがあったので,文化財部の中に全体を横断するような調整的な機能のセクションを設け,まさにこの企画調査会の報告を具体化していくための,集中してそれを担当するセクションをつくり行政を進めていく予定である。文化庁内はこれまでどおり文化財の種類別に課の構成になっているが,それを横断するような形の組織というものを作り,この実現を目指したい。また,その組織で,文化庁のみならず,各省との折衝を鋭意していきたい。
  •  20ページの「民間からの寄附の促進」という項目のところに,「文化財保護のための寄附の受皿となる中核的な組織を育てていくことが必要である」とはっきり書いてある。ここまで言うならば,できれば,次の21ページ(2)の「具体的な方策」で文化財保護に対する寄附の受皿となる窓口の創設とあるが,遠慮せずにもう一歩踏み込んで,例えば,文化財保護基金なのか,仮称でもいいので何か書けないものかと思う。本当に寄附を民間から集めるという気持ちがあるならば,大いに書いていただいて結構だと思う。
  •  芸術・文化については「企業メセナ協議会」という団体があり,そこがある程度寄附金を集め,出している。文化財についても全くないわけではなく,さる研究財団では一部文化財の修理について行うこともあり,この財団は,いわゆる特定公益増進法人になっている。この財団がそういうことを広げるためには,例えばスタッフを増やすなど難しい点もある。それ以外にも新しい団体を考えるということも検討したが,具体策が今のところないというような状態である。ここの表現では「受皿の窓口の創設」だが,もっと様々に文化財のために企業から寄附を受けられないかと考えている。税制改正要望という形ではなかなか持っていけない状態だが,様々なツールを含めて,この寄附を文化財に対して増やすということを考えていきたいと思っている。
  •  この報告書の一つの前提としては,地方分権の流れが加速されているということだと思う。前提だからわざわざ書く必要もないと言うこともできるし,「地方分権の流れの中で」というような数文字を入れるという手もある。たまたま平成の大合併については触れられているが,今,地方公共団体の動きを見ていると,総合的な地域政策というか,教育,文化,子育て,環境,福祉,地域振興,産業振興に至るまでを総合的にとらえた自前の総合的な地域政策をどう作っていこうかということに対して,非常に意欲的・積極的な首長が増えてきている。だが,総合的な政策を立案できるような人材が少ないということを非常に悩んでいるということをしばしば聞くが,支えになるのが今回の施策だろうと思う。そういうようなものがあって,恐らくは,この報告書そのものが地方分権の流れの加速を前提としていると私は読んでいる。
     それからもう1つ,隠れたキーワードがあると思う。それは,崩壊した共同体の再構築につながるものをこの報告書の中身は持っているということだ。これもわざわざ報告書の中で言う必要もないという気がしているが,そのような非常に大事なキーワードが入っているということを,例えばプレスリリースのときにバックグラウンド・ブリーフィング的に言うことは可能なのかもしれないという気もしている。
  •  今回の報告には,非常に画期的なものが盛り込まれていると感じている。ただ,ややエリア中心になりすぎているのではないか。語弊があるかもしれないが,エリアそのものを念頭に置いている歴史文化保存活用区域,それを超えた関連文化財群をもっと運用上いかし得るのではなかろうか。つまり,それぞれのエリアを超えたところに関連文化財群というのがあると思うし,特に無形の文化財はその側面が非常に強いと思う。近接した地域ごとにというよりも,地域を超えたところに,あちこちに存在をしている,そういう実態も念頭に置いておく必要があるのではないか。
     それから,文化庁としては,各省の枠を超えた関連文化財群というキーワードで勝負に出るのも1つの方法ではなかろうかと感じている。今後のこの報告,更にはパブコメも経た上での最終報告後の運用をどうするかではないかと思う。
  •  質問だが,資料4-2のシートはどの程度表に出るのか。この資料自体は非常に良くできていて,良く読めば裏も理解できるが,シートは誤解を招くのではないか。これは付録シートで付けるにしても,もっと工夫した方がいい。よく読めば,これは市町村aという仮定であるし,それから「活用区域を設定することも可能」との但し書きもあるが,やはり伝建地区へいろんなものを結びつけるという一案にしかすぎない。だが,これがサンプリングとして余りにも強い主張を持つと誤解を招くと思う。例えば,本文では有形文化財・無形文化財の連携をうたっているのでよろしいし,県境を隔ててもそれが必要なら結ぶということでよくわかるが,有形・無形の連携も一つのテーマとしておいてほしいし,市町村を超えた連携も一つのテーマとしておいてほしいと思う。だから,1枚で全て説明するのは難しいので,ケーススタディa,b,cぐらいは作ってもいいのではないか。なぜなら,そういう膨らみをここで了承してお願いするわけだから,もし使うのであればそうしてもらいたい。誤解を招くともったいない。
  •  いろんなものが盛り込まれ,その中心に重伝建があるというところで,確かに誤解を引き起こす面もあるので,その点はもう少し検討させていただければと思う。
  •  寄附のところだが,いつも思うのは,文化庁のときは寄附行為の中にある文言でもらえるが,他省庁に対し,「これは私たちに適しているお金じゃないか」と思って申請すると,「あなたたちの寄附行為には,私たちが言うような寄附を欲しいという文言がない」などと言われ,「寄附行為を変えたらあげる」みたいなことを言われる。そこで寄附行為を変えようと思うが,お金はもらわなくてもいいと思うくらい時間がかかる。だから,一番力がなくて弱い人たちが寄附のお金をもらえるのかという危惧(きぐ)がある。何をどうしたら寄附がもらえるかというところもどこかにぶら下がるような感じであれば,小さな団体でも文化財を守れたというふうになっていき,これが生きていくのではないかと思う。今言われているようなことだと,少し上の段階なので,もう一段丁寧に,こうしたらもらえる,というようことまで考えていかないと,これに協力していく度合いが少なくなっていくのではないかという気がする。
  •  文化財保護関連行政の中で最も難しいテーマであって残っていたものを取り扱ってやってきたため,課題意識が残るような面があるのはやむを得ないことと思う。しかし,かなり画期的な,地方自治をベースにするというこれまで余りない考え方との感じが実感としてあるので,地方の方々が前向きに受け取ってくれれば,うまくいかしていく余地はあると感じている。あとは,実際にどういう体制を作ってやるかということになるが,うまく文化庁内でも,壁画関係の対策室の問題にしても,各省庁との動きにしても,かなりいい気配ができてきているように思えるので,うまくそこをこれからフォローしていけば新しい面が出てくるような形が期待できると感じている。
  •  これまで7回のこの企画調査会で,それぞれの委員の皆様方から大変重要な御指摘をたくさん頂き,それら御議論を踏まえて相当程度に意見を反映するべく努力し,文化庁サイドも最大限に努力をしたと思う。今,日本で重要な変化が起こっており,その一つのコアの中に歴史・文化の問題がある。そういう意味では,この企画調査会が担ってきた問題は複合的な問題であるが,本報告書を一応ここに取りまとめるような形にしたい。特に歴史文化基本構想については名称が弱いのではないかという議論もあり,マスタープランの方がいい等々の意見もあったが,最終的には,様々な問題を含みながらこういう形で一応現時点では決着を見ているという点もあるので,本日,皆様方から頂いた御意見は大変重要ではあるが,基本的にはこの中間まとめ(案)でとりあえずパブリックコメントに回してもよいというふうに受けとめたい。
     文言上でもし何かあれば今の時点で頂きたい。特に,先ほど指摘のあったイメージ図についてはどうするか。
  •  イメージ図については,御指摘も踏まえ,もう少し内容を工夫し,広いイメージで捉えられるようなものを作り,後日対応したい。
  •  2ページに「喫緊の課題である」とあるが,本当に誰もが緊急を要すると理解できるのか,文言が心配だ。11ページには「今後,法律に設けることを早急に検討する」と書いてあるので,「早急に」などの方が辞書を引かなくてもわかる言葉ではないかと思う。
  •  文章上の常套(じょうとう)語になっているので,それは使っても構わないと思うのだが,「祭り」という表示だが,漢字の「祭」を使うと,明治以降の国家神道による神社行事に狭くと捉えられる。それが気になっていたので調べてみると,かつて江戸時代は「まつり」というのは葬式以外では全て言っていたようだ。文献上も区分けがしてあり,神田明神祭なんていうのは漢字で書ける。一般的な行事は平仮名で開いて江戸時代も使っているので,変更が可能ならお願いしたい。宗教行事と捉えられないエクスキューズにもなると思う。本来の日本語も多分そういう使い分けがあったと思う。
  •  その他特になければ,資料4-1で御審議いただいている審議の中間まとめ(案)を,一部,本日御指摘を受けた点を修正しパブリックコメントに回させていただく。そして,このイメージ図については,パブリックコメントでは載せないという対応にしたい。そして,約1か月間のパブリックコメントを受け,そこで様々に国民の側から提起される問題を皆様方に御報告をさせていただき,それで最終のまとめ(案)としていきたい。
  •  念のため,本日変更のあった箇所の確認をさせていただく。
     2ページの下から4行目「喫緊の課題」というのを「緊急の」に変える。11ページの中ほど「また,基本構想の実効性」というところを「更に」に変える。16ページの中ほど「また,地域の博物館,美術館」の「また」を「更に」に変える。また,本文中の「祭り」が「祭」という漢字になっているところを平仮名で表記するという点である。
  •  では,そのような形にさせていただきたい。
     この際,この案だけにかかわらず,もし何かこの機会に言っておきたい意見等あれば頂きたい。
  •  構想や計画などを考えてきたときに,常々言われていることは,文化財関係者が書くと「難しい・字が多い・長い」ということで,読む気にならないということだ。今度は底辺の拡大などを目指してきているので,打ち出すときは,「短く・ビジュアルに・易しい言葉で」ということで,とにかくイメージが変わったということを強調していただきたい。
  •  委員の方々の貴重な意見をたくさん反映させようとすると,最低限この程度の分量が必要だったということだ。よりよく国民に理解してもらうに,最終的にはもう少し簡略で,なおかつ,わかりやすいような形をとるべきであろうかと思う。
     まだ終わりではなく,あと1回あるので,パブリックコメントを楽しみにしながら待たせていただき,10月に最終的な会議を開催させていただきたい。
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