資料2

文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会
(第9回)議事要旨(案)

日時
平成19年12月18日(火)13:00~15:10
場所
パレスホテル パレスビル3階 3-E会議室
出席者
(委員)
足立,岡田,金田,小風,五味,斎藤,佐藤(信),佐藤(禎),佐藤(友),藤,藤本,星野,堀,吉田の各委員
(文化庁)
大西文化財部長,亀井文化財鑑査官,内藤記念物課長,苅谷参事官,山崎美術学芸課長,河野課長補佐,本中主任調査官その他関係者
【議事】
  1. 議題1 「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の世界遺産への推薦について
  2. 議題2 世界文化遺産特別委員会ワーキンググループ調査状況について
  3. 議題3 世界遺産暫定一覧表記載案件の準備状況について
【概要】
○=特別委員会委員 ●=事務局

議題1について

事務局より,資料6に基づき,「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の世界遺産への推薦について説明が行われ,以下の質疑応答が行われた後,世界遺産委員会への推薦を行うことのついて了承された。

  1. 推薦書の暫定書を9月に出したとのことだが,各国個別に提出したのか。
  2. フランスが7カ国分を取りまとめて提出した。
  3. なぜ23件に絞られ,なぜその中に国立西洋美術館(本館)が加わったのか。また,バッファゾーン設定の考え方と,各国のそれとの整合性はどうなっているのか。さらに,建築当時から改変された内装等は今後どう扱っていくのか。
  4. 今回の計画に参加するかどうかについては各国の判断に任されており,参加の意志を示した国の物件のみが入っている。国立西洋美術館(本館)については,計画の当初から,欠くことのできない要素としてフランス側から参加への強いアプローチがあった。バッファゾーンの設定については,「上野公園」を中心に景観保護の観点から十分な範囲を設定できるよう,東京都・台東区とも調整を図っている。また,内装・外観とも美術館としての機能を保持するための若干の改変はあるが,その経緯等については推薦書の中に明記している。

議題2について

事務局より,資料7-1~7-3に基づき,世界文化遺産特別委員会ワーキンググルー プ調査状況について,報告が行われた。

議題3について

事務局より,資料8及び9に基づき,世界遺産暫定一覧表記載案件の準備状況について報告が行われた後,各委員より,以下の発言があった。

◎「古都鎌倉の寺院・神社ほか」について

  1. 「鎌倉大仏」について,酸性雨による劣化に対する保存措置等を考えると,現在は露座だが,覆屋の整備等が必要になることが考えられる。この点について,文化庁の認識は。
  2. ひとつの都道府県から複数の物件を提案することは問題ないか。
  3. 県市からはそのような構想は聞いていないが,保存管理上の今後の課題として推薦書の中でどのような記述を行うかについては,今後の議論次第である。
  4. 保存管理計画の中に盛り込む必要があるのではないかと考える。

◎「彦根城」について

  1. 姫路城をまとめて「近世城郭建築群」というような形で推薦することも考えられなくはないが,その前提として,離れた土地に所在する複数の文化遺産をまとめて登録している世界遺産の例について,いずれまとめて教えて欲しい。
  2. 第2ワーキンググループでの担当案件に,萩や金沢のようなものが出てくる。この辺りの同種資産の統合については,どういうふうに考えればよいのか。
  3. 主題が共通する複数の資産相互の比較,あるいは統合はワーキンググループの調査事項となっている。萩や金沢については,今年1月の特別委員会からの指摘事項を踏まえた再提案の状況を見つつ,ご議論いただきたい。
  4. 「城下町」がタイトルに加わったことで,暫定一覧表記載当時からバッファゾーンを含む資産の範囲が変わったのか。
  5. 暫定一覧表記載当時は,コアゾーンとバッファゾーンの範囲まで具体的に想定していなかった。範囲の設定に当たっては,県との意見調整を十分に図っていく必要がある。
  6. 資料8の15ページに,埋蔵文化財包蔵地をバッファゾーンにすると書かれているが,これでよいのか。
  7. バッファゾーンとしては扱いにくい。
  8. 当初のコンセプトが非常に大きく変われば,もはや別の新しい提案ということにもなり得るわけだが,今後さらに新規の提案を地方公共団体から受け付けことはあるか。
  9. 今回の審査の中で特別委員会においてご検討いただきたい。

◎「富岡製糸場と絹産業遺産群」について

  1. 今年岡谷市から新規提案が上がっていることを踏まえれば,日本における絹産業遺産全体を視野に入れながら,推薦準備を進めていただく必要がある。それはワーキンググループで審議すべき事項なのか。
  2. 提案案件を超えるような話については,最終的には特別委員会のほうでコントロールしていただく必要があるが,専門的な評価については,ワーキンググループの委員にご議論いただきたい。
  3. 富岡だけでなく全てにいえることだが,推薦までのスケジュールが随分前のめりだという感じがする。目標を決めることは大事だが,あまり性急にやり過ぎると鎌倉のような事件を起こすことになりかねない。我々特別委員会あるいは文化庁から,あまり急ぎ過ぎることなくじっくりと文化財の価値を見極めるべきだということを言っていく必要がある。
  4. シリアル・ノミネーションという選択肢を考えた場合,時期をずらして拡大記録推薦を行うという方法もあるので,岡谷についての検討が終わるまで富岡の推薦を遅らせるということは必ずしも必要ない。

◎「富士山」について

  1. 自衛隊の所有地に触れていないが,コアやバッファに含めるのか。防衛省と協議は始まっているのか。
  2. どのような方法が最も望ましいのか,地元で受け入れられるのか,その辺のところを意見交換していただいているところであるが,現状目星がついておらず,防衛省との協議を行う段階ではない。
  3. 眺望地点を広く取り込むことも考えられるのではないか。
  4. 富士山に関連するものを,できるだけ管理がしやすく,一定の地理的な範囲の中でうまくまとめることが一番望ましい。眺望地点もかなり増やしているところ。

◎「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」について

  1. 陵墓,あるいは陵墓参考地に関して,現段階で,宮内庁と調整をはじめているのか。
  2. 現段階では行っていない。

◎「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」について

(特段の議論はなし)

◎ 全体について

  1. 各資産とも,学術的な検討が不足しているように思う。体制整備やスケジュール管理が先行するきらいがあるが,学術的な検討が不十分であるうちは何年経っても世界遺産にはなれない。その点については文化庁から各地方公共団体に対ししっかり伝えてほしい。
  2. 日本は次回から世界遺産委員国でなくなるが,2年空ければまた立候補することができる。次回の選挙で立候補することについて,外務省とよく相談してほし い。
  3. 世界遺産推薦の検討に際しては,学術的なことに加えて,地域住民への価値の伝達や総合的なまちづくりとの関連の検討も必要。この辺りのことについて,所在県から文化庁に対し何らかの相談を受けているか。
  4. 各県において知恵を絞っていただいている段階であり,文化庁では文化財指定の検討等の中で相談を受けている状況。
  5. ある県から,地域住民の参画のあり方について,既に世界遺産になっている地域の例を聞きたいといった問合せを受けたことがある。世界遺産は,登録を目指すプロセスの中で行政と住民と専門家がそれぞれ何を学び育っていくかが重要。それぞれにふさわしい人材を育成するための知恵の交流,交換の場ができるといい。
  6. 石見銀山におけるボランティアの活用事例など,既存の好例を今後の世界遺産候補地域にどう活用できるかについて,今後整理していきたい。
  7. 現在文化庁において世界遺産の包括的保存管理計画の策定マニュアルを作成しているが,このマニュアルの中には,ご指摘のような地域住民の参画システムに係る経験やあるべき姿についても盛り込む形を検討している。
  8. 世界遺産やその候補をもつ全国の関係者が集う情報交換の場があるとよいのかもしれない。
  9. そういった場には,NPOや専門家も参加できることが望ましい。

文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会
(第10回)議事要旨(案)

日時
平成20年2月20日(水)15:00~16:35
場所
文部科学省16F特別会議室
出席者
(委員)
足立,岡田,菊池,金田,五味,佐藤(禎),佐藤(信),新町,藤,藤本,星野,三輪の各委員
(文化庁)
大西文化財部長,内藤記念物課長,苅谷参事官,本中主任調査官その他関係者
オブザーバー
外務省
【議事】
  1. 議題1 「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の世界遺産への推薦について(報告)
  2. 議題2 平成19年度再提案資産について(報告)
  3. 議題3 ワーキンググループの審議状況について(報告)
【概要】
○=特別委員会委員 ●=事務局

議題1について

事務局より,「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の世界遺産への推薦について報告が行われた後,各委員より,以下の発言があった。

  1. この推薦は日本からの推薦枠を使用するものではないことは理解しているが,参考資料によると当該推薦のようなケースはシーリング対象外とあるが,いずれの国の推薦の枠を使用しないというものなのか。
  2. フランスが代表となって進めているものであり,そのフランス国内において,他に世界遺産推薦が重なるものはないと聞いている。

議題2について

事務局より,平成19年度再提案資産について,概要の報告が行われた。
(特段の議論はなし。)

議題3について

事務局より,ワーキンググループの審議状況について報告が行われた後,各委員より,以下の発言があった。

  1. 「関係ワーキンググループ以外の状況が不明であり,この場がそうなのかもしれないが,状況など紹介していただきたい。
  2. ひとつの都道府県から複数の物件を提案することは問題ないか。
  3. ヒアリングにおける具体な審議状況など,まとめの段階で報告するよう考える。
  4. 各地方公共団体は努力を重ねた上で提案していると聞いている。全てを暫定リストに掲載とはならないものの,提案してきた努力を評価し,地方公共団体,若しくは資産に,行政的になにか整理をしてやる必要があるのではないか。弾みとなる施策を踏まえ議論していただきたいが。
  5. 昨年の提案に比べ,大部分が練られたものとなっている。少なくとも議論を重ねて練りに練って提案されており,気持ちとしては32件全て載せたいものだが,世界遺産として耐えうるもののみ載せているものであり,特別委員会における課題となっている。各委員には,そうした観点からご審議をお願いしたい。
  6. 世界遺産として登録認定はいずれ限界がある。これら提案を,日本の国として維持管理して,国民に知ってもらう,日本の遺産として位置づけ,啓蒙して広く日本の遺産を保護していくとして考えるべきではないか。
  7. 直ぐにとはいかないものの,各担当者の努力を報いていくべきであり,文化財を保護していくという観点からも考えていくべき。
  8. ワーキンググループで審査する前に,もう少し早い段階で絞っておくべきではなかったか。当面無理ではないかと思うものがある。従来からの文化財を保護することをしっかりとやっていただき,長い目で見ていただきたい。
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