別添2

「グローバル・ストラテジー」について

「世界遺産一覧表における不均衡の是正及び代表性・信頼性の確保のためのグローバルストラテジー(The Global Strategy for a Balanced, Representative and Credible World Heritage List)」(以下,「グローバル・ストラテジー」という。)は,平成6年6月にパリのユネスコ本部において開催された専門家会合における議論をまとめた報告書に基づき,同年12月にタイのプーケットで開催された第18回世界遺産委員会において採択された。
グローバル・ストラテジーにおいては,[1]欧州地域における遺産,[2]都市関連遺産及び信仰関連遺産,[3]キリスト教関連資産,[4]先史時代及び20世紀の双方を除く歴史時代の遺産,[5]優品としての建築遺産,などの登録が過剰に進んでいるとの認識が示され,このような登録遺産の偏重は文化遺産の多面的かつ広範な視野を狭める傾向を招き,ひいては生きた文化(living culture)や伝統(living tradition),民俗学および民族的な風景,そして普遍的価値を有し,広く人間の諸活動に関わる事象などを対象から除外する結果となっていることが確認された。
さらに,世界遺産一覧表の代表性及び信頼性を確保していくためには,遺産を「もの」として類型化するアプローチから,広範囲にわたる文化的表現の複雑でダイナミックな性質に焦点をあてたアプローチへと移行させる必要のあることが指摘され,人間の諸活動や居住の形態,生活様式や技術革新などを総合的に含めた人間と土地の在り方を示す事例や,人間の相互作用,文化の共存,精神的・創造的表現に関する事例なども考慮すべきであることが指摘された。
以上のような指摘を踏まえ,平成6年現在,比較研究が進んでいる分野として,以下の3つの遺産の種別が示された。

  • 産業遺産
  • 20世紀の建築
  • 文化的景観
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