文化審議会著作権分科会(第48回)(第17期第3回)

日時:平成29年6月16日(金)
10:00~11:30

場所:文部科学省東館3階3F1特別会議室


議事

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)高等学校の遠隔教育における著作権制度上の課題への対応について
    2. (2)その他
  3. 3閉会

配布資料

資料1
高等学校の遠隔教育を推進するための著作権制度上の課題への対応の在り方について(314KB)
資料2
審議事項に対する分科会長試案(198KB)
資料3
高等学校の同時双方向型の遠隔教育の実施状況について(150KB)
資料4
学校における授業形態と著作権制度について(53.1KB)
参考資料1
遠隔教育の推進に関する意見(平成29年4月25日 規制改革推進会議)(抜粋)(140KB)
参考資料2
教育の情報化の推進のための権利制限規定の見直しに関する規制改革推進会議の意見について(平成29年4月26日 文化審議会著作権分科会)(151KB)

(以下,参考資料3-1~4は平成29年5月9日 第16回投資等ワーキング・グループ関連資料)

参考資料3-1
文化審議会著作権分科会ペーパーの考え方について(原座長提出資料)(287KB)
※一部音声認識非対応のデータを掲載しています。
参考資料3-2
遠隔教育の推進と著作権制度について(ポイント)(文化庁提出資料)(217KB)
参考資料3-3
文化審議会著作権分科会ペーパーの考え方について(文化庁提出資料)(158KB)
参考資料3-4
第16回投資等ワーキング・グループ議事概要(260KB)
参考資料4
規制改革推進に関する第1次答申(平成29年5月23日 規制改革推進会議)・規制改革実施計画(平成29年6月9日 閣議決定)(抜粋)(146KB)
参考資料5-1
高校における遠隔教育の在り方について(報告)(平成26年12月8日高等学校における遠隔教育の在り方に関する検討会議)(518KB)
参考資料5-2
学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(通知)抄(524KB)
参考資料5-3
全日制・定時制課程の高等学校における遠隔教育の実施状況(476KB)
参考資料6
長崎県教育委員会提出資料(91.2KB)
参考資料7
教育利用に関する著作権等管理協議会からの意見書(135KB)
机上配布資料
文化審議会著作権分科会報告書(平成29年4月)(2MB)
出席者名簿(58.9KB)

【議事内容】

【道垣内分科会長】では,ただいまから文化審議会著作権分科会第48回を開催いたします。

本日は,御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。

議事に入ります前に,本日の会議の公開につきまして,お諮りいたします。本日予定されております議事内容を参照しますと,特段,非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には御入場いただいているところでございます。この点,御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【道垣内分科会長】ありがとうございます。それでは,傍聴の方には,そのまま傍聴いただくことにいたします。

委員の件でございますが,前回まで御欠席でございましたけれども,本日いらっしゃっているお二人の委員を御紹介させていただきます。

井坂聡委員。

【井坂委員】監督協会の井坂です。よろしくお願いします。

【道垣内分科会長】河島伸子委員。

【河島委員】同志社大学の河島です。よろしくお願いいたします。

【道垣内分科会長】よろしくお願いします。

では,事務局から,配布資料の確認をお願いいたします。

【秋山著作権課長補佐】お手元に議事次第を御用意ください。配布資料としまして,4点。資料1,高等学校の遠隔教育を推進するための著作権制度上の課題への対応の在り方について。資料2,審議事項に対する分科会長試案。資料3,高等学校の同時双方向型の遠隔教育の実施状況について。資料4,学校における授業形態と著作権制度について。その他,参考資料を12種類御用意しております。多くなりますが,不備等ございましたら,お近くの事務局員までお寄せください。

【道垣内分科会長】では,議事の進め方につきまして,確認をさせていただきます。本日の議事は,大きなものは一つでございまして,「高等学校の遠隔教育における著作権制度上の課題への対応について」でございます。「その他」というのが2番目にございます。

では,早速,議事に入りたいと思います。前回の4月の著作権分科会におきまして,規制改革推進会議から公表された,遠隔教育の推進に関する意見書に係る対応につきまして,御議論いただきました。その結果,特段の文言の修正をしないで,我々の報告書はまとめさせていただきまして,その後,公表されております。その後,規制改革推進会議の答申や,政府の方で規制改革実施計画が取りまとめられました。本日は,そのような状況を踏まえまして,その御報告を頂き,それを踏まえた著作権分科会としての対応について御議論いただきたいと思います。

では,「高等学校の遠隔教育を推進するための著作権制度上の課題への対応の在り方について」という資料1につきまして,これは私も相談にはのりましたけれども,事務局として取りまとめていただいた,これまでの経緯あるいは問題点等を書いていただいているものでございます。これについて御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【秋山著作権課長補佐】御説明いたします。まず,お手元の資料1が中心の説明資料になるわけでございますが,参考資料を適宜参照しながら御紹介していきたいと思います。

まず,参考資料4が規制改革推進会議,内閣府に設置された会議でございますが,その答申及び政府で閣議決定をいたしました規制改革実施計画を御紹介しております。

まず,答申の方ですけれども,1ページ目の(2)マル4に,「IT時代の遠隔教育」というセクションがございまして,2ページ目,ウというセクションに,「高等学校の遠隔教育における著作権法上の問題の解決」という柱がございます。こちらでは,前回もこのテーマは御紹介いたしましたが,「合同授業」,著作権法の35条2項で権利制限を設けられている事業形態に対しまして,平成27年4月から高等学校で解禁された「同時双方向型の遠隔授業」につきましては,そうした措置が取られていないということについて,問題の指摘がなされているということから,平成27年4月から高等学校で解禁された「同時双方向型の遠隔授業」における著作権制度上の課題について検討を行い,必要な措置を講ずるということが答申として取りまとめられております。

また,こうした結論部分につきましては,規制改革実施計画閣議決定文書においても同様に決定されているという状況でございます。

4月の著作権分科会から,この決定に至るまでの経緯としまして,参考資料を幾つか御用意しておりますので,まず,資料の性格だけ順次御説明していきたいと思います。

まず,参考資料1は,4月の分科会でもお配りをいたしました「規制改革推進会議意見」というペーパーでございます。その次の参考資料2,こちらは4月26日に分科会でおまとめいただいたペーパーでございます。これに対しまして,5月9日,規制改革推進会議の下に設けられた投資等ワーキング・グループにおきまして,4月26日付の著作権分科会のペーパーに対する御質問,御指摘を頂戴いたしまして,また,それに対する文化庁としての考え方をその下の参考資料3-2及び3-3を用いまして御回答させていただくということをいたしました。また,参考資料3-4につきましては,そうした議事のやり取りが記載された議事概要でございます。いずれも御参考いただければと思います。このエッセンスはメーン資料でありますところの資料1に記載しております。

では,資料1をお願いいたします。以上,1ポツ,2ポツあたりの経緯のところは今の御説明で代えさせていただきたいと思います。本日は答申,閣議決定におきまして,高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」に特化した議論をしていただくということでありますので,3ポツの方では,高等学校における遠隔教育と著作権ということの客観的な事実関係などのオーバービューをしたいと思います。

まず,(1)「高等学校の遠隔授業に係る近年の制度改正の概要と実施状況等」でございます。高等学校の遠隔授業につきましては,平成27年4月に離島・過疎地域等の生徒に対する教育機会の確保等を目的といたしまして,全日制及び定時制課程の高等学校等において,遠隔教育の導入を図る制度改正が行われました。改正の背景や趣旨,詳細の内容につきましては,参考資料5-1,5-2を御用意しておりますので,こちらを後ほど御参照いただければと存じます。

この制度改正の具体的内容でございますけれども,一定の要件の下で全日制及び定時制課程の高等学校等において,同時双方向型の遠隔授業という方法による授業を,正規の授業,通学による授業とは別にかえて,正規の授業として認めるとされたわけでございます。

要件の主なポイントは以下のとおりでございますが,例えば,一番上のポツにございますように,質疑応答等の双方向のやり取りを,ネットワークを通じて行える「同時双方向型」の授業であるということ。

それから,一つ飛びまして,学級の生徒数が合計で40人以下にとどめるということですとか,もう一つ下のポツにありますように,配信側の教員はその教科の免許を有する教員でなければならないし,受け手である,教室に生徒がいるところに配置される教員につきましては,教員という身分を持ったものであって,その当該教科の免許の保有者であるか否かは問わないという形になっております。この制度改正を受けた実施状況を資料3で御説明いたします。

こちらは「高等学校の同時双方向型の遠隔教育の実施状況」と題する資料でございます。平成27年4月からスタートしたこの制度でございますが,平成28年度におきましては,公立23校,私立1校の合計24校で実施されていると承知しております。

今回,一つ例を御紹介しようと思います。長崎県の豊玉高等学校の例を,関係の学校様からも情報を頂きましてまとめさせていただきました。ここに書いていただいておりますように,長崎県では少子化に伴いまして,若年者の減少から生徒数,そして教職員数も減員につながっているという状況だそうでございまして,教員が十分に確保できないということだそうでございます。

例えば,豊玉高校におきましては,芸術科の教員につきましては,当該高校ではなく,遠方の高校の教員に兼務発令という形で発令を行いまして,遠隔授業も活用して当該高校における音楽,芸術教育を担当していると聞いております。したがって,こうした離島地区や過疎地区における教育機会の確保が喫緊の課題であるとされておられるところでございます。

丸のところですけれども,Web会議システムというテレビ会議のようなものを用いまして,現在,音楽の授業をやられているそうで,2ページ目に写真のイメージが載せてございます。恐らくこれは先生だと思いますが,ギターか何か弾いている映像が遠隔地から映って,左のスクリーンには楽譜のようなものが映っているのだろうと思います。

2ページの真ん中ほどですけれども,この学校は1学年23名,24名,25名と,非常に少ない人数で学校が成り立っているということでございます。

それから,参考資料の5-3をお願いいたします。こちらは全体状況を記したものでございまして,これは逐一御説明いたしませんけれども,合計24校の学校の実施状況が書かれております。大まかなことを申し上げますと,大半が過疎地ですとか,離島といったところで小規模に実施されているものであると聞いております。

また,資料1に戻らせていただきます。続きまして(2),学校における授業形態と著作権制度に関してまとめました。こちらは先生方もよく御承知だと思いますので,ごく簡単にですけれども,(ア)では対面授業,遠隔合同授業,それから,遠隔授業におきまして35条1項ないしは35条2項でカバーされている範囲以外につきましては,公衆送信は原則許諾が必要であるという状況を御紹介しております。

それから,(イ)で,高等学校の授業形態と著作物の公衆送信行為との関係でございますけれども,全日制や定時制の課程の高等学校におきましては,先ほど御紹介申し上げた平成27年4月の制度改正より前から,当然,「対面授業」ですとか,あるいは「遠隔合同授業」という実施は可能であったわけでございまして,そのために著作物を公衆送信するといったことも特段規制はないわけでございます。また,スタジオ型のリアルタイム配信といった方法につきましても,教員等は講義の映像を配信するといったことも,受信側の教室に当該教科の免許保有者である教員がいるという場合には,従来認められておったわけでございまして,そうした過程での公衆送信ということもこれまでも可能であったわけでございます。これらに加えまして,平成27年4月からは,更にスタジオ型のリアルタイム配信授業の一形態が追加されたと理解できるかと存じます。

ここから少し本題から離れまして,「注」というところで,本資料に用いる用語について御紹介させていただきたいと思います。前回の4月の資料で御紹介した定義付けが少し分かりにくい,混乱を招くという御指摘もありまして,後ほど御紹介しますように,規制改革推進会議様からも,少し説明に不正確な点があるのではないかという御指摘も頂きましたので,この際,定義をしっかりとここで御紹介したいと思います。

まず,こちらでは,「遠隔合同授業」につきましては,規制改革推進会議様の資料の中で文部科学省の資料が引用されていまして,ここに書かせていただいたような「遠隔地のシステムを利用しまして,学校の学級同士をつないで行う授業」といったことが書かれております。「同時授業」もこれに近い概念でございますが,こちらは35条2項の法令にのっとった概念でございまして,若干違いはございますが,似たようなものだと御理解いただければと思います。

それから,「スタジオ型リアルタイム配信授業」は,4月26日の審議会の資料で定義付けさせていただいたものでございますけれども,こちらにつきましては,配信側に教員のみがおり,児童・生徒等がいないスタジオ等の場所から講義映像等をリアルタイムで配信するという授業でございます。なお,当該授業の類型と言いますのは,規制改革実施計画等で用いられております高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」との比較におきましては,「同時一方向型の遠隔授業」ですとか,高等学校以外の学校種も念頭に置いた概念ということでありますので,より広い概念であると言えるものであります。

続きまして,「同時双方向型の遠隔授業」でございますが,こちらは4月25日の規制改革推進会議様の意見以来,規制改革推進会議関連文書では用いられている概念でございますけれども,ここはインターネット等のメディアを利用して,リアルタイムで授業配信を行うとともに,質疑応答等の双方向のやり取りを行うことが可能な方式を指すとされております。とりわけ規制改革推進会議様の方針などでは,「同時双方向型の遠隔授業」というときに,平成27年4月から高等学校で解禁されたもの(配信側に教員のみで生徒がいない)というものとして使われていることが多いようでございますので,この資料でも単に「同時双方向型の遠隔授業」といった場合はこの範囲を指すと御理解いただければと思います。

それから,「同時一方向型の遠隔授業」につきましては,質疑応答等の双方向のやりとりが伴わない授業でございます。

ここから中身の話にさせていただきます。4番はこれまでの議論を簡単にまとめたものでございます。こちらは4月の著作権分科会の議論,それから,その後の規制改革推進会議での議論をまとめたものでございます。(1)は4月26日の著作権分科会のペーパーでおまとめいただいた基本的な考え方の部分でございまして,割愛をさせていただきます。(2),「補償金制度に関する検討の視点」でございますけれども,こちらは基礎的な検討の視点ということで,著作権分科会におきましては,補償の要否の判断を権利者に及ぼす不利益の程度ですとか,教育現場の混乱,法的安定性への配慮といった複数の要素を勘案して判断をしているところでございます。規制改革推進会議の方では,複数の行為類型の間で補償金の扱いの差を設けるか否かということについて特に議論が行われておりまして,主として不利益の度合いに差があるかどうかに着目して判断すべきという立場に立っていらっしゃるのではないかと考えておりまして,とりわけ教育現場の混乱への配慮だけを理由にするというのは合理的ではないのではないかという御意見を頂いておるところでございます。

次のページをお願いいたします。(3)「高等学校における『同時双方向型の遠隔授業』における著作物利用を補償の対象とすることの是非について」でございます。こちらの分科会における議論につきましては,皆様御承知のところでございますので割愛させていただきます。

7ページは下からになっておりますが,規制改革推進会議における議論につきまして,8ページ以降にまとめております。ポイントとしましては最初のパラグラフにありますように,規制改革推進会議では「遠隔合同授業」と「同時双方向型の遠隔授業」の間で著作物の利用の頻度・総量,権利者に与える不利益の度合いには差異がないということ。それから,教育現場の混乱だけを根拠として異なる扱いとするのは合理的ではないということから,両者を,異なる取扱いとする合理性はないのではないかという御指摘を頂いております。

(ア)はより細かい論点ですけれども,両者の不利益の差についての議論もされております。ここでは詳細の御説明は割愛いたしますが,ポイントとしましては,規制改革推進会議では個々の授業において著作物が利用される頻度や総量といった観点,それから,授業実施の容易性に伴う著作物利用の総量の観点といった観点から,両者には差がないのではないかという御指摘でございます。

こうした議論に対しましては,文化庁からは著作権分科会の御議論を踏まえまして,両者はいずれも権利者に及ぼす不利益の点で軽微とは言い難いということで,原則として補償の必要性は認められる程度のものであるということの御判断を頂いておったわけでございますので,そのことを御紹介した上で,上記マル1,マル2といったことに関する検討結果は,補償の要否についての結論には影響しないのではないかという御説明を申し上げたところでございます。

少し飛ばせていただきまして,12ページで(イ)としまして,教育現場の混乱への配慮をするべきかどうかという論点についても,双方は少し異なる考え方で議論がされている状況でございます。

それから,13ページ,(ウ)その他の議論としまして,少しこれまでから異なる視点の部分も御議論として出ていましたので,これもこの際,御紹介したいと思います。

まず,第一に遠隔教育を推進するに当たっての教育現場のインセンティブへの影響という点でございます。これはどういうことかと申しますと,現行法上,許諾無償で行うことができる行為を引き続き無償とする。そして,現行法上,許諾が必要な行為を補償金の対象とするという判断をした場合に,ICTの活用を避けて官民で利用するというインセンティブが働いてしまって,遠隔教育の不正,推進の制約になるのではないかという御懸念が示されたわけでございます。

その具体的内容はこの下に御紹介しております。ここは割愛いたしますが,14ページの方で文化庁としても小委員会でこうした議論がなされておりますので,分科会の場においてもこの際,御紹介を差し上げたいと思います。基本問題小委員会の議論におきましても,先ほど御指摘のあったようなインセンティブの問題というのは,委員の先生から御指摘があったところでございまして,その解決の方法としては,複製も同時授業公衆送信も補償金の対象とするべきではないかという御意見もございましたが,この件については,結論としては教育現場の混乱を避ける観点から,現在,無償のものは引き続き無償という御意見の方が大勢であったという状況でございます。

異なる視点としまして,こうしたインセンティブの問題につきましては,補償金の算定方法によっても異なるのではないかという御意見がございました。つまり,個別徴収型を採用する場合の方が,包括招集型を採用する場合に比べて問題が大きくなるのではないかという観点でございます。こうした御指摘も踏まえて,審議会では補償金制度の運用の在り方についても御提言を頂いたということだと了解しております。

続きまして15ページのii番,「現行法第35条第2項の制定経緯」に関する議論でございます。こちらは規制改革推進会議様から,35条2項の創設時の「遠隔合同授業」が無償となった理由について教えてほしいという御質問がございました。恐らくその教育政策上の効果が含まれるのかどうかという御指摘ですので,教育のそういう効果があれば,無償でやってもしかるべきという議論があったのかどうかという御質問であろうと理解しておるわけでございますけれども,16ページで文化庁の回答を御紹介しております。

こちら文化庁でも経緯を調べましたところ,35条2項は正に無償の権利制限になっているわけでございます。平成15年の当時も,補償金請求権の対象とするかどうかは論点に挙がっていたようでございますが,結論には至らず,指定管理団体のような徴収団体の設立も含めて関係者間の協議を行った上で引き続き検討するという方向性になっていたと承知しております。

また,マル2,35条2項の対象としまして,高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」が想定されていたのかどうか。つまり,当時,平成15年改正のときにはこういうものを想定していなかったのであれば,これから一から御検討いただいて,高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」も無償の特例措置に入れるということもあるのではないかという御指摘だろうと理解しております。

この点につきましては,回答についてはここに書かせていただいておるところで,関連する国会質疑がございますので御紹介したいと思います。17ページの一番下の「参考」というところですけれども,ついこの前,5月17日の衆議院文部科学委員会におきまして,小林議員から御質問いただきました。こちらでは「遠隔合同授業」と「同時双方向型の遠隔授業」につきまして,許諾の要否が分かれているがなぜそういう分け方をしているのかという御質問を頂いたところでございます。

こちらにつきまして,18ページの中ほどですが,文化庁の次長の中岡が答弁をしております。平成15年の著作権法改正におきましては,対面授業における著作物の複製や演奏等が無許諾で行うことが常に認められていたということを前提として,一方の教室内で,無許諾で利用される著作物を,合同授業を行う方も教室でも円滑に利用できるようにという趣旨で権利制限が行われたということでございます。他方でスタジオ型の形態などにつきましては,そうした対面授業の延長線上のものとは言えないという考え方から,現在,許諾が必要となっていると答弁しているところでございます。

それから,少しまた論点が変わりまして,(iii)「著作権分科会における検討の手続等について」でございます。冒頭,定義のところで御紹介しましたが,先の5月9日の規制改革推進会議のワーキング・グループでも少し御指摘を頂いたところでございまして,その概略をまとめております。4月26日の分科会におきまして,規制改革推進会議様の「遠隔教育の推進に関する意見」というペーパーに対する御検討を頂いたわけでございますけれども,その際,分科会でお示ししたペーパーにおきまして,検討の対象を「スタジオ型リアルタイム配信授業公衆送信」とくくらせていただきまして御検討を頂いたわけでございます。その際,当該規制改革推進会議の意見の原本そのものをお配りしておりまして,事務局作成資料にも一部引用もしておったのですけれども,しかし,一方で,その意見の対象があたかも「スタジオ型リアルタイム配信授業公衆送信」について御意見を頂いたかのような表現も一部しておったところがございまして,誤解を招く恐れのある表現であったと私どもとしても承知しておるところでございます。

こうしたことに対しまして,規制改革推進会議様からも不正確ではないかという御指摘を頂きましたので,このたび,しっかり紛れがないように再整理をさせていただこうということで,冒頭でも定義の御説明を差し上げたところでございます。

それから,20ページをお願いいたします。ここまでが4月,5月,今に至る前の議論の状況であったわけでございますが,本日御審議いただきたい事項としまして,論点等を四つ御用意いたしました。

まず,論点1につきましては,高等学校における「同時双方向型の遠隔授業」について,これは補償金の取扱いとして,他の行為と異ならせるということについてどう考えるか。

論点2には,先ほど御紹介したインセンティブの問題についての権利に対する考え方について。

論点3は,35条2項の趣旨を踏まえまして,平成27年4月に解禁された高等学校における「同時双方向型の遠隔授業」についても同様の取扱いとするべきであると言えるのかどうか,という点でございます。

最後に,こうしたこれまでの議論及び論点1から3を踏まえまして,規制改革実施計画の閣議決定も踏まえまして,本課題への対応の在り方につきまして,どうあるべきかを御審議いただきたいと存じます。

資料1の中心部分につきましては,御説明は以上でございますが,今回,関係団体様から意見書を頂いておりますので,この際,御紹介させていただきたいと思います。参考資料6を御用意ください。

こちらは長崎県教育委員会様から頂いた資料でございます。長崎県様は先ほど資料3でも高等学校の遠隔教育の実施状況ということで御紹介もいたしましたが,特に離島が多くございまして,遠隔教育に熱心に取り組まれていると伺っております。

また,長崎県様は規制改革推進会議でも呼ばれてヒアリングを受けられているということもございまして,そうしたところで取組状況やお考えについてお伺いをしたわけでございます。

教育関係者全体を代表する団体としての御意見は既に過去の法制基本問題小委員会において頂いたわけでございますが,長崎県様に関しましてはとりわけ高等学校の遠隔教育に熱心に取り組んでおられることから,個別のニーズを聴取するという趣旨で頂いたわけでございます。特に一番下のパラグラフでございますけれども,「長崎県では,離島が多く,小規模な学校が点在していることから,そうした地域間における教育格差を是正するために遠隔教育が重要な役割を果たしており」とされておられます。補償金制度の運用に当たっては,このような遠隔教育の目的や教育現場における著作物の利用実態といった地域ごとの事情も踏まえた運用をしてほしいという要請を頂いております。

それから,続きまして,参考資料7でございます。こちらは,昨今の規制改革推進会議での議論なども踏まえられまして,教育利用に関する著作権等管理協議会様から頂戴した意見書でございます。一部説明を割愛させていただき,一番下の部分を御覧いただければと思います。著作権法改正が実現し,補償金付権利制限規定が導入された場合には,権利者と教育関係者が協議して補償金制度の内容を決定するという前提におきまして,人口減などで学校の維持が困難になっている地域の高校などでの「40人以下の同時双方向型の遠隔授業」における著作物の利用については特別な配慮をもって対応するなど,その決定,運用に当たりたいと方針を表明いただいております。

長くなりましたが,御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【道垣内分科会長】ありがとうございました。

この資料1の最後のページに審議を頂きたい事項が書かれておりまして,それに対応して分科会としてこのように考えたらどうかというたたき台を資料2として作っておりますけれども,これは後で御議論いただくことにしまして,まずは資料1で,今,御説明いただいた部分についての御意見,御質問を頂きたいと思います。長いので,幾つかに切って伺いたいと思いますけれども,1ページから13ページの「その他の議論」の前のところまでの部分。これは教育現場の混乱への配慮を補償金の扱えることにすることにより根拠とすることのとおり,という項目があるところまででございます。この部分につきまして,事前にお送りしておりますけれども,ただ長い文章でたくさん付属の文章もついておりましたので,今,御説明いただいたのを機に,質問も含めて,何かございましたら伺いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。特にないでしょうか。これは従来の議論の御紹介とまとめたところでございますので,また後で資料2を使ったときにここに戻って御議論いただいてもよろしいのですけれども,よろしいでしょうか。

では,戻っていただいても結構ですが,次の部分13ページから19ページ,後半部分ですね。御審議いただきたいという事項のマークの手前までにつきましてはいかがでしょうか。

瀬尾委員。

【瀬尾委員】いろいろ意見書の件もありますので,著作権等管理協議会という,先ほどの意見書を出させていた参考資料7の意見書もございますが,最初に,私は写真著作権協会から出ている一委員として,今回の問題の全体的な部分について,私の感じている意見を申し上げたいと思います。

まず,規制改革推進会議さんのおっしゃっている部分で非常に細かな論点です。細かな話ですし,私は,お話は原英史さんのお話を聞いてなるほどなと思った部分が正直あります。教育のICT改革というのは,私は個人的に進めていくべきだと考えておりますけれども,ただ,一つその中で強く思ったことがあります。それは,ここでございます資料4のこの表がございます。実はこれを見て,大変私の力不足が原因でしょうけれども,現状の公衆送信を含む教育現場における利用というのは大変難しいのだなと。この使い分けを現場の先生たちが分かるのかなとすごく思いました。私も正直これを見て,問題点がどこにあってどれが駄目でどれがいいかを細かく見るというのに,ない知恵とない頭を絞って結構大変でした。ということは,教育現場で今の著作権制度と利用の状態というのは過渡的なものであるのかなと感じています。そして,著作権制度とライセンスによってもっと教育現場で分かりやすい環境を作ることがとても大切なのではないかと私は感じました。それによって,このような教育格差の是正とか,社会的な新しいテクノロジーの利用などについて,もっともっと利用していっていろいろな問題を解決していくべきなのかなと考えています。ですので,今回,規制改革推進会議さんの言われているポイントは非常に狭いけれども,重要なポイントだと思います。ただ,この一つの問題を解決することが重要なのではなくて,こういう指摘があり得るぐらい細かな規定があって,その環境自体が大変,私などにしてみると難しいなと。それを解決していくことが課題であるし,そのことについては著作権に関するものはしっかり感じていかなければいけないのではないかなと私は思いました。

ですので,今回の問題で細かな部分については,これまで議論も尽くしているということもございますけれども,私個人としましては,今回の問題について一連のいろいろな部分に関わった中でこのように思いましたので,所感とも言えないようなことでございますが,一つ意見を申し上げました。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。永江委員どうぞ。

【永江委員】永江でございます。文藝家協会の理事としてというよりも,書き手の一人として,感じたことを2点申し上げます。

一つは,ここで言われている著作者あるいは著作権者の不利益ということですけれども,書き手としては,使われることが必ずしも不利益だとは感じていません。私は海賊版であっても自分の本が読まれるのはありがたいと思っている人間ですので,学校現場で子供たちに作品が読まれるということは,長期的に見れば,それは表現者にとって利益になることだと考えています。来週の末から駒場の日本近代文学館で「教科書のなかの文学/教室のそとの文学——芥川龍之介「羅生門」とその時代」という展覧会が開催されますけれども,教科書に載った作品によってどれだけ多くの文学ファンが生まれてきたか,読者が生まれてきたかということを考えると,作品を無断で使われることを不利益とだけ一方的に捉えることは到底私はできないなと思っています。ほとんど印税も入らない,原稿料も格安の売れない書き手として,正直な気持ち。これが一つです。

もう一つ思ったのは,私は2008年から2013年まで早稲田大学で,初年度は客員教授として,2年目からは任期付教授として講義を行ってきました。400人を相手の大教室での授業もありましたし,大学院での数名を相手にする授業もありました。その中にはオンデマンド授業もありました。オンデマンド授業をやった経験から言うと,現時点で遠隔授業は飽くまで次善の策でしかない。使い方によってはうまく使えるかもしれないけれども,教室内で直接教える側と学ぶ側が一緒になって顔を突き合わせながらやっていくのが本来の姿であって,仕方がないから次善の策でやるものであって,これは決して推進していくようなものではないだろうと思います。

ここの実例で出てくる参考資料5-3を見ましても,私の郷里の北海道の小さな学校とか,九州の小規模なところです。過疎化が進んでぎりぎりのところだから,遠隔授業を採用するのもしょうがないのだろうと思いますけれども,この過疎化が進んでぎりぎりのところに,複雑な事務手続を先生方にさせるなんていうことはとんでもないことだと思います。なるべくそういう方法をとらなくてもいい状態にすべきです。こういう過疎地の高校生にも対面授業が受けられるようにきちんと予算を講じるべきであって,例えば東京オリンピックなどのような実にくだらないことに使うお金があるなら,教員の数をガンガン増やせというのが私の意見です。規制をどんどん取っ払って遠隔授業をどんどん取り入れて,教員の数をどんどん減らしていけばいいなどという考え方は本末転倒です。人口減少の中でやむを得なく遠隔授業をしているのであり,そのための権利制限であることが大前提であると思います。気になった2点について,勝手なことを申し上げました。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。

井村委員,どうぞ。

【井村委員】日本書籍協会の井村と申します。今の永江先生の御発言,本当に私も同じようなことを感じております。前回も申し上げたのですけれども,ここで指摘されている過疎地域とか離島に関しては,本当に仕方なく,それしかやりようがないのだということで行う遠隔教育であって,そういうところに対する著作物の使い方としては,私ども協議会に参加しているメンバーの一人ですので,この協議会のペーパーに書かせていただいたとおり,柔軟に対応していくべきだと思っています。

ただ,遠隔教育を行う意味というか,なぜこれを行うのかという理由と,遠隔地という定義はしっかりとしたものを作っていく必要があるということを思っています。そういう意味では今回の35条が改正になった場合は,現状の35条と同様に,恐らくガイドラインというものを作って教育者の方々と使い方に関してしっかりとした考え方を作っていくのだと思いますけれども,その中でこういうことを行う理由と遠隔地の定義ということはしっかりと議論していきたいなと思っております。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。ほかに,いかがでしょうか。

井上委員,どうぞ。

【井上(由)委員】ICT活用推進教育の意義に関して,対面での教育が一番教育効果が高いというお話がございました。私も実はアナログな人間で,対面の方が教育効果は上げやすい思いもあります。しかし,今,文科省で議論されている教育政策においては,単に対面教育の補完としてではなく,より積極的な意味でICT活用教育を推進していこうというのが基本方針であると私は理解しています。ICT技術はこれからもますます発展していくと思います。国境を越えて人がつながり,今まででは考えられなかったような交流を持ちながら教育を行っていくということもできるかもしれません。現にそうした取組は始まっています。したがって,今回のICT活用教育推進のための権利制限規定の拡充は,必ずしも対面教育を補充するためのものではないと私は認識しております。恐らく,報告書もそのような考え方がベースになっていたのかと思います。

また,先ほど瀬尾先生からも出た「虫食い」論に関しても一言申し上げます。資料4の表を見ますと,類型の分類が非常にややこしく,私も5分ぐらいじっくり考えないと,どれがどうだったかわからなくなってしまうところです。規制改革推進会議で議事録をおりますと,有償類型と無償類型が「虫食い」になると,わかりづらい上,有償のものはなるべく使わないようにというインセンティブが働いて,ICT活用を推進するという方向とは逆のベクトルになってしまうという議論があります。これは全くそのとおりだと私は思います。

しかし,この分科会,そして小委員会でもその点はしっかり議論されています。ICTを活用しようというインセンティブがゆがめられないような形の補償金スキームを設計する必要があるという意見は出されておりますし,その意見が報告書の中にも反映されています。具体的な補償金のスキームに決め打ちした書き方は報告書ではなされておりませんが,補償金制度というのは,権利者側,それから,教育機関の利用者側などのステークホルダーの話合いの場を作るところから始めないと具体化できない。ようやく利用者側,権利者側の団体で話合いの素地ができた段階ですので,報告書の中で補償金の詳細について書けなかったということであろうと思います。

瀬尾先生からも包括的補償金というお話がありましたが,資料4の利用形態ごとに幾らという補償金ではなく,高等学校であれば,一年間学生当たり35条の権利制限規定について補償金幾らという定額課金システムであれば,ICT活用へのインセンティブがゆがめられることはありません。報告書の内容は,規制改革推進会議が御懸念を解消し得るような仕組みを想定したものになっていると私は理解しております。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。よろしゅうございますか。

河野委員,どうぞ。

【河野委員】先ほど20ページに御提示いただきました各論点に沿ってというよりは,この間の御議論と本日先ほど事務局が御報告いただきました内容に関しまして,三つ御意見を申し上げたいと思っております。

1点目ですけれども,規制改革推進会議の論拠として,権利者に与える不利益の度合いにおいて差があるかどうかというのが判断の基準とされていますけれども,ここで考えている著作権法の問題というのは,そうした狭い領域での扱いの是非の判断ではなく,この間の著作権分科会の審議の本質というのは,創作,流通,利用のサイクルをどう持続可能ならしめるかという点にあると思います。たとえ教育目的であったとしても,権利者への正当な利益への適切な配慮を行うことが必須だと思っております。私たちは様々な商品やサービス等を利用する際,その対価を当然支払います。著作物に関しても,例えば,映画を例にとりますと,映画館では料金を払いますし,DVDを購入するならばその代金,借りるなら,レンタル料金,テレビやスマホでの視聴であるならば,専門チャンネルなら利用料を支払い,一見無料に思える民法の映画放送では,企業のスポンサーを通じて,それぞれコンテンツへの対価を確実に支払うことで,私たちは鑑賞可能となっています。権利者へ適切に対価が支払われることが,次の創作や将来への創作につながることで,文化活動の持続可能性が担保できます。このことをこの分科会で是非一点押さえておくべきだと考えております。

二つ目は,教育目的ならば無償で,という考え方はやや短絡的に過ぎるかと思われます。教育に係る多様な費用というのは,人件費であれ,施設設備費等,税金や受益者負担等で応分に分配されています。ただ,音楽で使うリコーダーという楽器の購入は容認するのに,使う楽曲には無頓着であるという,この現実を認識すべきだと思います。目に見える分かりやすいものや対象については経費計上しやすく,授業で使われる著作物などの対価には気づいていない,重きを置いていないというのは,片手落ちであり,不合理だと考えております。

3点目です。教育における著作権の扱いは,先ほどから非常に複雑だと委員の皆さんおっしゃっていましたし,私もこの資料を拝見して,私のような一般の普通の主婦にとってみると,これは一体何がどうなっているのだろうと大混乱の極みなのですけれども,今回の提案を突破口として,オンデマンド型のコンテンツに関しても無償提供への道が開かれるという流れができるのは,問題だと思っています。例えば,今回のような過疎地や離島等における教育の機会の補償にどのような対応を取っていくのかについては,運用でしっかりと配慮していくことがすごく重要だと思いますが,一方で,現時点での著作物に対する受けとめを明確に示していくことこそが重要だと思っていまして,今後更なる技術開発やディバイスの多様化が進んだときに,なし崩し的に無償の範囲が拡大する方向にいかないように考えていただきたいと思っています。少し論点からずれるかもしれませんけれども,今の受けとめをお話しいたしました。

【道垣内分科会長】ありがとうございました。今の河野委員の御発言は,既に5の論点ごとの御指摘も踏まえたものであると思いますので,もしよろしければ,5の論点ごとの検討についてのところに入りたいと思いますけれども,よろしゅうございますか。

では,資料1では,20ページに三つの論点が記載されております。資料2におきましては,取りあえずのたたき台として,私案として作ったものがございます。これにつきまして,資料2は,今朝までいろいろと手を入れたりしながら,もちろん事務局と相談しながら作ったものでございまして,私の趣味でないところがあるとすれば,活字体が私が普通使わない教科書体である点です。

それにつきまして,私に代わって,事務局からこの中身も含めて説明いただけますか。

【秋山著作権課長補佐】御説明申し上げます。資料2,「審議事項に対する分科会長試案」でございます。まず,順序としては,対応の在り方案というのは全体の結論部分だと思います。その後に論点1から3の,結論を導く上での各論点に対する考え方をお示ししていただいたものと思います。

ページに沿って御説明してまいります。まず,対応の在り方の読み上げをさせていただきます。本分科会としては,教育の情報化を推進していくことの重要性を強く認識するものであり,この認識のもと,高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」をはじめとする遠隔授業についても,権利者の利益の保護と利用の円滑化のバランスに配慮した形で,速やかに施策を講ずることが重要であると考える。

上記論点マル1からマル3の考え方を踏まえると,高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」を含む異時授業公衆送信等は,補償金請求権付の権利制限の対象とすることとし,現行法上無償とされている複製や「遠隔合同授業」における公衆送信については,法的安定性の観点から,引き続き無償とするべきである。

本分科会としては,このような措置を講ずれば,これまで原則許諾が必要となっていた学校等の授業の過程で行われる公衆送信について許諾が不要となるという点において,学校等の遠隔教育のための施策物の利用環境は飛躍的に改善されることとなるものと考える。もっとも,制度改正がなされたとしても,その運用段階において遠隔教育を進めていく上で問題が生ずるとすれば,制度の運用上の工夫によって可能な限りその問題を提言していくことが期待され,あるいは更なる法改正の可能性も否定するべきではない。

この問題に関し,教育関係者からは,例えば生徒数の減少が顕著である離島・過疎地等の地域間における教育格差の是正を目的として遠隔授業の活用に取り組んでいるとの現状が報告され,補償金制度の運用に当たっては,遠隔教育の目的や教育現場における著作物の利用実態といった地域ごとの事情も踏まえた適切な運用を求める声が寄せられている。また,このような状況を踏まえ,権利者団体からも人口減などで学校の維持が困難になっている地域の,学校などでの遠隔授業の実施について「特別な配慮」を行うなどの方針が表明されている。

本分科会としても,離島・過疎地等の生徒に対する教育機会の確保等の遠隔教育の導入の目的・意義に照らせば,このような権利者側の自発的な動きは歓迎すべきものであると考える。補償金制度の運用に当たり,遠隔教育の推進の観点から,同時双方向型の遠隔教育の教育政策上の意義や著作物の利用実態に照らして,その金額等が適切なものになるよう,関係者に要請したい。

また,改正著作権法の施行後においても,同時双方向型の遠隔教育の実施状況の進展や,そのような授業形態での著作物の利用状況を踏まえ,遠隔教育の推進のための著作物の利用の円滑化と権利者の正当な利益の保護とのバランスに配慮しつつ,補償金を含む著作権制度に関する課題について,必要な対応を行うことが適当である。

以上でございます。

それでは,続きまして,簡単に論点1から3のポイントのみ御紹介したいと思います。

論点1でございますが,こちらの高等学校における「同時双方向型の遠隔授業」についてのみ補償金の取扱いを組み合わせることの当否について,という論点がございまして,こちらは,4月の分科会報告書の内容が議論のベースになっているものと承知しております。それに加えまして,二つ目のパラグラフで,高等学校の「同時双方向型の遠隔授業」のために行われる公衆送信が,他の授業形態と比べましても特に利用される著作物の量が少なくなるといったことが要因として存在するとは認められないといったことから,こうした行為についても原則通り補償の対象とするべきであるということが書かれています。

それから,論点マル2でございます。こちらはインセンティブに係る課題の御指摘についての意見でございます。まず,一つ目のパラグラフにおきましては,そもそもインセンティブの問題が生ずる場合というのはどういう場合なのかという観点から,様々な要素が関係してくるということや,二つの行為に代替性があるかどうかといったことも関わるのではないかという視点が示されてあります。そうした場合には,インセンティブが働くということはあり得るとした上で,様々な考慮要素を総合的に勘案して,そうした線引きが合理的かどうかの判断をするべきだという流れになっております。

今回,インセンティブに関する懸念を解消するためには,両方無償にするか,両方有償にするという選択肢が機械的に出されるわけだと思いますけれども,その点についてはいずれも現実的ではないという結論となっております。

そうしたことから,今回の選択肢の妥当性について,以下述べられているという状況でございます。

最後に,4ページの下のパラグラフで,インセンティブの問題につきましては,補償金も算定方法を包括徴収型にするといった,制度の運用面での工夫によっても対応ができるということも御指摘されております。

それから,論点マル3でございます。こちらは法35条2項の趣旨の理解。それから,27年4月に解禁された高等学校における「同時双方向型の遠隔授業」が,そうした中で無償の権利制限となるべきであるかどうかという論点でございます。

二つ目の丸にありますように,現行法35条2項の趣旨としましては,対面授業の存在を前提として,対面で行える授業を他の会場の教室と同時に行う場合に,当該授業において複製物により提供される著作物と同じものを,遠隔地の他の教室の生徒等,円滑に利用できるようにするという趣旨であるとされておりまして,スタジオ型リアルタイム配信授業はそのような有体物による著作物の提供が先立って行われることなく,当初から送信による利用のみが行われるということから,権利者に与える不利益の点では,より慎重な判断が必要であるという趣旨が書かれております。

また,最後の一番下のパラグラフでは,学校教育法体系においての授業形態が一つ解禁されたということをもって,直ちに権利制限の対象とするという結論は導かれない。これは4月の分科会ペーパーでもおまとめいただいた点が記載されております。

御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【道垣内分科会長】7ページに,最終的な形の案が示されています。このように,最終的には分科会の名前でペーパーを作ることにしたいと思っております。その中に組み込む本体部分のたたき台としてお示ししているものでございます。今,改めて見ますと,インセンティブという言葉ではなくて,ディスインセンティブの方が適当な部分もあるようで,先ほど井上委員がおっしゃった,選択のゆがみといった日本語ではそちらの方がいいような部分もございます。そういったことも含めて,今の段階では私案になっていますけれども,最終的には分科会の意見ということになりますので,細かい点も含めてもちろんですが,御指摘いただきたいと存じます。よろしく御議論いただければと思います。いかがでしょうか。全部まとめてというよりは,まず,論点1。全部は読んでいただかなかったので,もう一回,中身をきちんと見ていただくことも必要かと思いますので,一つ一つ,2ページの論点1の部分の記述について,過不足あるいは表現ぶりも含めて御指摘いただきたいと思います。いかがでしょうか。

瀬尾委員,どうぞ。

【瀬尾委員】各論点ということですが,参考資料として出ております参考資料7を提出させていただきまして,教育利用に関する著作権等管理協議会ということで座長を務めさせていただいております関係上,そちらの立場からこの意見書と今回の問題について一言,最初に意見を申し上げます。

協議会で様々な状況を話したり,いろいろな理解を行うことをしました。その中で,今回のこの御指摘に対しては,内容的にうなずける部分も多くあるものの,具体的な解決策としては,これを著作権法の改正に取り組むことは適当ではないのではないかというのが協議会の意見でございました。

ただし,この部分については,先ほども言ったように理解を示せる部分もあるということから,これは我々の権利者側の権利行使の運用上,対応すべきではないかという結論になったということでございます。つまり,このような特定の高校における,今回対象となっております遠隔授業に関しては,特別な配慮を行うなど,そういった運用上の対応で解決することが適当だということから,意見書を出させていただきました。これが意見書の内容でございます。

私の個人的意見をつけ加えさせていただきますと,基本的に今後の著作権問題については,法的な解決のみとか,単純なビジネススキームに任せるのみ,など,一つの方法では解決しない問題が多く出てくるように思っています。ですので,今後の著作権問題は複雑になったり,非常に進歩が早かったりする場合には,要するにゆっくりであり,かつ汎用的な効果を持つ法と,迅速かつ局所的なことが可能なスキーム等をうまく組み合わせることで解決するべきではないかなと私自身は思っております。今回にしても私はそのような考え方で皆さんともお話をさせていただきまして,皆さんからの御意見をまとめて今回のこのような意見書になったということでございます。

ですので,文化審議会の報告自体については,従来のとおりの内容でよろしいのではないかと。我々としては,こういう対応をすることで,迅速に著作権法改正を行っていただき,我々も迅速に頑張ってライセンス,その他,環境を整備していきたいと思っておりますので,逆にこれを早くやることが全ての問題を解決することにつながる。そして,規制改革推進会議さんも私は実は1回出させていただきました。急にオブザーブで出させていただき,聞いたのですけれども,決して補償金を取っては駄目とは言っていないのです。まだらになって分かりにくくなって,これについて差が出てしまうことに問題があるという御指摘を強くなさっていました。全くそれについては私もその通りだと思いますので,それを補ったり,今後改善したりすることを含めて,できるだけ速やかな,国会は終わってしまいますけれども,速やかな著作権法改正をお願いしたいということを思って,この意見書の簡単な御説明とさせていただきたいと思います。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。今の御指摘の点,若しくは論点2の最後のところの4ページの「包括徴収型にするなど」とか,「運用上の配慮を含め」と,この辺りの記述についてまた論点のときに御発言いただきたいと思います。

戻りまして,論点1につきましては,いかがでしょうか。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】これらは相互に全て関連しておりますので,どこから申し上げるのがよいのか分かりませんが,基本線だけは先に申し上げておいた方がよいかと思います。

まずは繰り返しにはなりますが,重要なのは著作権的な民民の利益の調整の話を規制と言われると,ここのところは忽せにできない大きな点ではないかと思います。そこは省略しまして中に入るのですが,結論的には今まで我々が練ってきたものは変える必要がないものと思っています。先ほどの分かりにくい説明云々のところは,背景かなと思うところがありますので,それを先に整理しておいた方がよいのではないかと思います。

35条というのは,現行法は1項も2項もかなり小規模なものを前提として,補償金なしで無許諾で使えるという一つのモデルですけれども,ICT教育を発端として小規模に使うだけのものよりもっと積極的に,これは今回重要なところで,後ろ向きにただお金を払わずに小規模に使うという発想がいいのかという点,ここが今回の出発点ではないかと思います。教育は公益だから払わなくていいというのではなくて,公益だけれどもしっかりと,場合によっては国民全体で支えて,きちんと教材を作ってくださる方にはリターンがいくようにしてどんどんよい教材を作っていただいてよい教育をするという,全てのサイクルを考えずに局所的に見ると議論点が非常にゆがんでくるかと思います。その観点から言うと,今回の話というのは,現行の35条1項,2項の小規模な型から,補償金は払う代わりに積極的によい教育をやっていただくという前向きな姿勢に転ずるという基本方針なのですが,1項,2項も全て補償金をつけて大幅にやるということが,むしろ重要なところで,ここがうまく伝わっていないので分かりにくいという話になってしまうのではないかと思います。それも一つの在り方ですが,現実論としてはそうやってほしくないという方が多ければ,やれというわけにはいかないので,スピード感を持って物事を進めるために,本当はもっと大幅にやった方がいいと思いつつも,取りあえずは1項,2項をこのままにして小幅に従前通りやり続けていただいて,それ以外に,異時再送信とか,スタジオ型というのは,むしろ積極的な方に入るのではないかと思います。補償金を払うかわりに,1項,2項と違って大幅に使えるという,これは条文上は似たようなものに見えるかもしれませんが,ただし書がついている関係がありまして,現在は補償金を払っていない状態だとただし書がかなり大きく効いてきて権利者の利益を害することになってしまうので小幅なものしか対象になりませんが,補償金をつけると一気に不利益はなくなるから,大幅にできるようになります。その観点から言うと,1項,2項も補償金をつけて大幅にやるというのに,私も魅力を感じたのであります。現実論としてはすぐにはできないので,ここをストレートに出していないから分かりにくくて,やや経過措置のような感じであって,ゆくゆくは大幅にやりたいのだけれども,すぐやると混乱するからどれくらいの期間が適当かは別として,一定期間の経過措置的なものを認めるということであります。1項の方ではなくて2項の方の同時の教室をつなげているようなものと,スタジオ型とどこが違うのかというのは,少し重要な点だと思います。事実上,経済上の不利益を言い出すと水掛け論になって,どちらの議論もあり得るのかもしれませんが,先ほど御説明があったように,現行法で今あるのは,まずは対面授業で,複製でやるのを基準点にして,それをスライドするような形で,そこを広げるような形でやるところに限って2項でやるという話になっています。これとは大きく異なり,スタジオ型というのは,そもそもの対面授業というスターティングポイントがありません。法的に全く違う話をたまたま経済的に見ると人数が一緒ではないか等という話をし出したら水掛け論になりますけれども,法的議論としては想定しているものが全く違います。現行法としてあるのは,1項と2項は小規模であるとの前提で無償になっているというところになるわけであります。経過措置的なものについて述べれば,現在,無償に適法で使われているものを突然有償にするのは大変なことであります。また,スタジオ型とか,あるいは異時送信については,現在は許諾を取らない限り適法にはできていないから,許諾を取らずにやっているとしたらそれはイリーガルな行為なわけで,それと適法にやっておられる方を経済的利益状況が同様だからといって混ぜて同じように扱うというのは,法律家の目から見ると乱暴な議論だなという感じがします。

それともう一つは,補償金を払うからといってスタジオ型はマイナスイメージをもって論ぜられているようですが,今の発想から言うと,このまま通ると,補償金を払って,せっかくスタジオ型なのだから大規模に使えるかもしれないので,この点も考えると,大筋としては我々がやりたいと先ほど申し上げたとおりだと思います。それから考えるとスタジオ型は補償金を払うからといってマイナスイメージで捉えるだけで,先ほどのような補償金を払う代わりに大幅な利用が可能となってよい教育が可能となるというプラス面を考えないというのは,先ほどの大きな方針から言うと,非常に後ろ向きな議論ではないかという気がいたします。細かい点は別として,要点は以上でございます。

【道垣内分科会長】今,大渕委員の御指摘の中でなるほどと思った点があるのですが,法形式,改正法がどういう形になるか全くまだ分からないところですが,35条の1項,2項を残して別の項を加えると,1項,2項型の使い方においては,ただし書の脅威というのがあって,むしろそこはディスインセンティブになるかもしれないということでしょうか。

【大渕委員】ディスインセンティブと言うとあれですけれども……。

【道垣内分科会長】仮に新しく規定される使い方の場合には包括的で1年間幾らという一定額を支払うことにする場合には,そこはもう伸び伸びと使えるわけですが,この現在の1項・2項に定める二つをそのままにしてしまうと,ただし書に当たるのではないかという懸念を,真面目な人は持つかもしれないので,かえってこの二つの類型を使いにくくすることになりますでしょうか。

【大渕委員】私としては,それは全くそのとおりだと思っています。それもあって以前から,自由自在に良い教育をするのであれば,今までのような小規模のものでなくて,むしろ補償金を払ってやるという積極的な立場があっていいのである,1項,2項のユーザーの方からやりたくないと言われたということについては,本当はその方々にもう一回よく考えていただくのがいいのかもしれませんが,それは次の課題とするのが適切ではないかと思っております。法律を一遍には変えられないから全部変えるまで何年も待つよりは,変えられるところを早くやって,2段階に分けるというのが恐らく良い。理想を言えば,一遍に1項,2項も含めて全部広げてしまえば,諸外国とも整合するし,授業もやりやすいし,きれいなのですが,現実問題としてはそうはいかないと思われます。よって,経過規定的なものというのは仕方がない話ではあります。それは逆に言うと,スタジオ型の方は自由にできるけれども,今までの方は自由にできないという意味では,スタジオ型はむしろハッピーな方に入っているから,余りネガティヴに思っていただかない方が今回の基本的発想からよいのではないかということでございます。

【道垣内分科会長】もちろん,1項,2項の本文の方はそのままにしましょうというのは結論ですけれども,ただし書の部分もこのままにするという前提でしたでしょうか。

【大渕委員】ただし書は,これも安全弁で必要であります。これを取ってしまうと全部が崩れてくることとなってしまいます。

【道垣内分科会長】取ってしまうわけではなくて,大規模に使う場合には補償金を払えばいいということでしょうか。その補償金の算定においては,ただし書の部分もどうせ1対1対応にはならないと思うので,どのように算定するのか分かりません。

どうぞ。

【前田委員】少し横道にそれてしまうかもしれませんが,私の理解では,今度,権利制限が拡大される部分についても,当然,ただし書は必要であって,ただし書に当たれば許諾権が働き,ただし書には当たらない場合は許諾を得る必要がないのだけれども,その部分については補償金の対象にするという理解であって,今度,権利制限を拡大する部分については,ただし書がつかないという理解では,私はなかったです。

【大渕委員】全くおっしゃるとおりで,ただし書というのは安全弁として必要なのですが,理論としては,補償金で賄われるとその限りではただし書が働かなくなるという意味では,このただし書というのはパッと見ると分からないかもしれないけれども,ライセンス関係とか,いろいろな物が含まれる。条文としてはよほどのことがない限り,ただし書の安全弁は外さないと思いますけれども,実際上,補償金で賄われるようになったら,ここで不利益が現に生じないわけですから,当たらなくなるという,いろいろと悩んだ上での知恵が込められているのがこのただし書だと思っています。

【土肥委員】ただし書の部分で今,盛り上がっておりますけれども,当然これは法制小委等で議論したときには必要であるということで認識をしております。先ほどからお話がございまして,この教育の情報化において教育の情報化を一層推進していくことは非常に大事なことだと承知をしております。その中でICT活用教育,アクティブラーニング,様々な新しい教育手法の下で著作物をどんどん利用されているわけでありますけれども,それが濫用的に行われるということは全く想定をしておりません。基本的に先ほど河野委員などもおっしゃっておられて同感しておるわけでございますけれども,日本の憲法29条では,私的財産は相当な補償の下で公用のために用いることができる。つまり,教育という非常に大きな公共目的を実現する場合であっても,相当の補償が必要である。その軽微な限りについては,というところは確かにあるのですけれども,軽微というところから,現状は,著作物の利用の量が軽微を超えてしまっているわけであります。超えてしまっているわけでありますけれども,その軽微という状況は,35条1項ができたころ,小学校の先生がガリ版をいつも切っておられたような,そういう姿を思い出すわけでありますが,35条1項ができて,2項ができて,教育現場にどれだけの複製機器あるいは通信機器あるいはデジタル機器が出てきたのかということを考えると,教育環境というのは非常に変わっている。そういう教育デジタル環境が大きく変わり,教育の手法も大きく変わり,著作物が利用される度合いも非常に増えてきている。そういう中で,当時は35条の2項ができた今から十四,五年の状況で言うと,一元的な窓口がなかったので,したがって取引費用が非常にコンテンツの価格よりも高くなる可能性がある。これは現在と大きく状況として違うところがございます。

つまり,今度は一元的な組織ができて,しかも先ほど井上委員もおっしゃっておられましたけれども,包括型のそういうものを,恐らく知恵を出されていくのだろうと思います。出されていって,そういう取引費用をできるだけ小さくして,コンテンツに対して相当な補償をきちんとやっていって,教育現場において一層ICT活用教育がどんどん進められていく。そういう方向に進んでいく必要があるのだろうと思います。

先ほどのただし書の問題でありますけれども,当然ながら,私が承知しているところでは,権利者の方々,それから,教育現場の方々,こういう方々でいろいろな話合いが行われてガイドラインなども作られてくるということで,教育現場の先生方はただし書がどういう場面について適応が行われていくのかということについても,恐らくイメージはできていかれるのだろうと思いますし,決してゆめゆめ濫用的な,一冊全部コピーをするなんていうことは,コピーというか送ってしまうようなことは当然ないと信じております。いずれにいたしましても,著作権というものがICT活用教育あるいは教育の先生方の足かせになってはいけないということを思っておりますので,本来は相当な補償という点からすれば,1項,2項,現状を考えてみると,そういうものについても見直しの必要があるという認識は,委員の間で共有しておったわけでありますけれども,ヒアリングを受けますと現場の先生方から,今現在やっているところは当面と言いますか,やらせていただきたいという現場への混乱を強く要請いただいたものですから,法的安定性と言うのですか,そういうことからそこは尊重したというのが法制小委段階での結論でございます。

したがって,両方とも無償にするとか,そういうことよりも,むしろきちんと一元的な窓口を作って著作物を大いに利用していただいて,積極的にアクティブラーニングといった新しい教育手法をどんどん活用していって教育効果を上げていただきたいというのが私どもの希望であるということでございます。

【道垣内分科会長】私の理解不足のために論点が違うところにいってしまいましてすみません。時間の関係もございますので,この紙を取りまとめたいのですけれども,論点1につきまして,特にございますか。

前田委員,どうぞ。

【前田委員】論点1について,この分科会長試案の,ここの三つの丸で整理していただいておりますが,この三つの丸に私はいずれも賛成です。ただ,三つの丸の相互関係がよく分からない部分がありまして,この一つ目の丸の理由があれば,二つ目の丸がなくても三つ目の丸につながるような気がします。それから,二つ目の丸自体,私は賛成なのですけれども,この二つ目の丸があれば,これだけでもう説明ができるという気がいたします。すなわち,現状の1項,2項でも,権利者に及ぶ不利益がないとは言い難いのだと。それは一つ目の丸に書かれてあって,そうであるけれども,3番目の丸で,法的安定性への配慮の必要性から,現行法上無償でできるものについてはそのままにし,高等学校の同時双方向型の遠隔授業については現行法上無償でできるものはないから,別の扱いをするのだという理由だと思います。二つ目の丸については,私の誤読かも知れませんが,現行法許されているものと,高等学校の同時双方向型の遠隔授業のための公衆送信とでは,権利者に及ぶ不利益が異なるのだということだと思いますので,それはそれで一つの理由なのかなと思います。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。この閣議決定されたもの,あるいは,その前の規制改革推進会議の御議論で,高等学校に限ってはどうかという御指摘だったものですから,その点に答えているのが二つ目の丸です。著作権法上は特にそこを分ける必要は私もないと思うのですけれども,そういう経緯から分けている次第です。ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。

鈴木委員,どうぞ。

【鈴木分科会長代理】今回の規制改革推進会議の御意見は,飽くまでも高等学校における同時双方向型の遠隔授業についての特例を設けるべきでないかという話と理解しましたが,そのような利用分野につき補償なしとするためには法律でその旨の手当をしなければいけないということ,すなわち法律レベルの問題として検討する必要があるということを,念のためですけれども,この文章の中にも書いたらどうかと思います。そして,規制改革推進会議でも虫食いという御指摘があったようですが,逆に,法律レベルで高等学校における遠隔授業についてだけ特例を設けるということは,それこそ虫食い的にならないかという問題があるように思います。その特例自体の正当性を問う必要があることはもちろんとして,更にほかとの比較で本当にそれだけに特例を限っていいのかということも考えなくてはいけないと思います。法律レベルのデフォルトルールはなるべくシンプルなものにして,あとは可能な限り関係当事者の交渉に委ねるというのが,正に規制改革の観点からも望ましいことだと思いますので,そういう意味で,法律の形の在り方として,すごく細かいものについての特例を設けるという,まさしく虫食い的な制度にすること自体に問題はないのかという趣旨も,少なくともニュアンス的に盛り込んではどうかという気がします。

【道垣内分科会長】ありがとうございました。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】今,鈴木委員に言っていただきました点は,最初に規制改革の方の御提案を聞いたときから非常に気になっている点でありまして,むしろそれを強調した方が全体的に分かりやすいと感じました。高校だけやってほしいと言うと,我々はこういうことを学校単位で切るということをここで考えもしなかったので,小中はやらず,大学もやらずに高校だけやるという,これはまさしく先ほどあったように虫食いと言えるもので,更に虫食いが増えています。そこは,我々は考えもしなかったし,それが先ほど前田委員が言われた「分かりにくい」というところにも繋がるのであり,大元が分かりにくいので,そこに対応すると分かりにくくなっているところがあるのだと思います。もともと法律というのは「等しきものは等しく扱う」というのが一つの基本原則なのであって,特定のものだけ優遇するというのは特別な理由がない限り難しい。ここもまた先ほどの話になってきて,高校が事実上解禁されたから別にしてくれというのは,単なる事実上の話であって,法的に別に高校だけ特別扱いにするような話ではありません。現行法上1項,2項というのは,適法になっているのだからというのは事実上の問題ではなくて法律上の話だから,それを特別扱いにするのは結果的には立法措置としてあるわけですけれども,法律上特別のものを特別扱いするという話と,事実上解禁されているからという事実上のものを特別扱いにするという話は法的に全く違います。我々は考えもしなかったのは,そのようなことはむしろ考えてはいけないことだと思います。一定のものだけ理由もないのに特別扱いするということ自体法的に非常にマイナスなものでありますので,我々はそのようなことは考えもしなかったのだと思われます。余り守ってばかりいるよりはしっかりと反論を出した方が,説得力が増すと思います。書き方の話にもなってくるかと思いますが,この虫食い論というのがセカンドパラグラフに係ってくるところだと思いますので,そこをもう少し前面に出した方が,全体としての理由付けの分かりやすさというところに係ってくるのではないかと思います。

【道垣内分科会長】ありがとうございました。時間の関係もございます。戻っていただいても結構ですけれども,論点2につきましても,何か御意見があればお願いします。先ほど瀬尾委員の御発言の後に申しましたけれども,この最後の方に書いていることはよろしいですか。もう少し書き加えることがあれば,あるいは,書き過ぎなところがあれば修正しなければいけないのですが,いかがでしょうか。

【井坂委員】監督協会の井坂です。

インセンティブのこととか,ほかのことにも関わってくると思いますし,今までのほかの委員の先生方もいっぱいおっしゃっていたことですけれども,この分科会長試案の1ページ目にもあった,離島教育とかそういうことのための便宜を諮るという,この文言だけを聞いたら反対する人はいないと思うのですね。これは情の問題ですので。ですから,その人たちに届けようとか。でも,それはさっき大渕先生がおっしゃったことなどを聞いてすごく得心するところなのですけれども,正に法律の運用というのは情で動かされたり,今どきの流行りの言葉で言うと,著作者の忖度で便宜を図ってあげるというのは,本来,本末転倒のような気がします。ですので,先ほどもどなたかの委員がおっしゃっていましたけれども,教育にはコストが掛かるというのが当たり前なのだと。インセンティブは当然必要なのだと。そのことをちゃんともっと強く打ち出す形で,そうでないと結局曖昧なままで,むしろ,今後,例えば,著作者が本当は権利を要求したいけれども,空気がそれをさせない。そうすると萎縮していくということになると,今度は逆に教育現場に私たちは著作者として出しませんとか,変なバイアスがかかる可能性もあると思いますので,著作者の権利はきちんと,そこは空気とか気分で害されるのではなく,きちんと法律にのっとった形でこれはシビアに「こういう規定があります」ということがまず担保されないと,それをインセンティブがかかるからそこの部分を無償にしましょうと言うと,論理的には私は逆ではないかなという印象を持ちました。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。

茶園委員。

【茶園委員】この論点については基本的にこのままで結構であると思います。インセンティブを本当に損なわないかどうかを問われるならば,あるいは場合によっては損なうということがあるのかもしれません。しかしながら,そうであれば全てについて補償金の支払を求めることがすっきりしていますが,現行のものについては補償金の支払なし,無償を維持するということでしたので,ある程度そこはやむを得ないと思います。今回問題になっている離島や過疎地の高校の場合につきましては,先ほど遠隔授業の位置付けの議論がありましたけれども,その点はともかく,そのような高校においては遠隔授業が是非とも必要であると思います。そして,そうであれば,これは著作権制度で対応するということではなくて,どうしても遠隔授業が必要で,それに補償金の支払が必要なのであれば,むしろ国なり地方公共団体が支払うようにすべきではないかと思います。すなわち,個別的なところでの補償金の支払が問題となるのであれば,無償にするというのではなくて,国や地方公共団体がきちんと支払うということが筋であろうと思います。結局のところ,ここに書かれているとおりでよろしいのではないかと思います。

【道垣内分科会長】そのほか,次の論点についても,戻っていただいてもいいですけれど,論点3も含めていかがでしょうか。

松田委員,どうぞ。

【松田委員】論点3につきまして,35条2項まで無償という扱いを議論したときに,制限規定として許容すべき範囲の限界を対面授業といたしました。限界をどこまで無償として制限規定の中に入れ込むかという議論でありました。27年4月の高等学校における同時双方向型の遠隔授業の解禁が起こったときに,果たしてこれと対面授業の35条2項との関係をどう捉えるかは,当然に考察のところでありました。ここにおいて,著作権者に与える不利益が同等ではないかという議論があったところですが,これを35条2項の限界に照らして,制限規定を拡大するという対処を取らなかったのです。著作権の制限規定としては,対面授業をもって限界としたのです。今般,「規制緩和」の要請から再度この考察が求められることになりましたが,これまでの審議会の考えを変えるべきではありません。高校授業遠隔授業において「不利益の同等」を規準にしてしまえば,これと同等の議論は教育上所々に及ぶことになります。解禁された高校遠隔授業における著作権者の「不利益の同等性」と「教育の公共性」というのは,他の学校や異時の場合についてもあり得るところです。解禁された授業に権利制限規定を拡大すると,同等と公共性において同視しうる他の利用の場面が説明できなくなるのです。原点に返りまして,対面授業においてとどめるべきであると考える所以です。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。

森田委員,どうぞ。

【森田委員】時間の関係もありますので,取りまとめに向けてですが,先ほどから出ている,いわゆる虫食い論の問題は,論点1よりは論点2の方に組み入れて書き加えてくださるのがよいのではないかと思います。と申しますのは,論点2は「同時双方型の遠隔授業」一般についてという書き方になっていますが,規制改革推進会議の主張は,「高等学校の」という限定がつくものなので,同時双方型の遠隔授業一般について,いずれの利用行為についても補償金を課すか,課さないかのどちらか一方に寄せるというのではなくて,高等学校の場合については補償金を課さない方に寄せるという主張だとすると,それに対する応答は論点2には直接には含まれていないことになるのではないかと思うからです。高等学校に限って同時双方型の遠隔授業における著作物の利用行為を無許諾・無償とするという意見に対しては,結局虫食いを増やす方向になるけれども,それがよいのかという点が問題になって,むしろ著作権分科会の考え方としては,将来目指すべきは,一元的な包括ライセンスの中で,様々なきめ細かな配慮と言いますか,考慮もしていくという方向であって,虫食いは望ましくない。高等学校の同時双方向型の遠隔授業という虫食いを一つ加えてほしいという主張であれば,それは望ましくない,という回答を論点2の中で入れておくという形で,先ほど何人かの方から虫食い論が出ていたと思いますけれども,その内容を盛り込むのがよいのではないかということを申し上げておきたいと思います。

【道垣内分科会長】確かに論点2にも関係しますけれども,論点1の四角で囲っている問いのところに,「また」以下のところは,これだけ取り出して別の扱いをすることの当否というのが,論点1の方に入っているので,そこでも触れた上で書くということでしょうか。全部を2に移すというよりは,御指摘の点に言及するとすればそうかなと思います。

そのほか,いかがでしょうか。河島委員,どうぞ。

【河島委員】どこかの論点に直接ということではないのですけれども,きょう全体に何人かの委員の方がおっしゃっていたように,今,無償であるところも将来的には一元的に補償金制度にもっていきたいということが,この報告書の大きな方向性なのかなと。そこのところを委員長,お迷いなのかなという気もいたしますが,それは例えば資料2の最初のところを見ますと,法的安定性の観点から引き続き無償とすべきであるとか,割と強い,今は変える気はありませんということがはっきり述べられているようにも思いますので,将来的にはどういうことを目指すけれども,今のところは急には変えられないのでこうしますというようなお断りなのか,それとも,そうではないのかというところの大きい方向は決める必要があるかなと思いました。

私としては去年からずっと個人的に思っていたのは,学校教育目的だから無償でいいですと,紙で配る分には無償でいいですというのは,もともとどうしてそうだったのかなと若干思っていたところも個人的にはございました。それで,当時,昔と今との違いということで,補償金あるいは許諾を取る制度の有無ということが一つ話題になっていたと思いますし,ICTの発達というのはもちろん大きな事情ですけれども,もう一つ,教育の在り方というのも変わっているということも重要な要因でして,昔ですとこれが正しいことだということを割合一元的に教えるという形で,教科書をとにかく学びなさいということが,高等教育までも含めても割合そういう方向が強かったかと思いますけれども,今の時代ですといろいろな資料を読んで,いろいろな意見を見て,そこで自分の考え方というものを形成しなさいということであるとか,創造的に問題解決に取り組んでいきましょうということが,少なくとも高等教育の場面では言われておりますし,これが小中校までもさかのぼって影響していくとすると,何か少ない資料を紙で最高のものだけを配るというのは非常に難しくて,いろいろなものを読んだ中で考えてほしいということも考えますと,たくさんの資料を先生の考え方で配っていきたい,配布していきたい,紙の形に限らず伝えたいというのが,教育の方向としても今後ますます強くなっていくのかなと思いますので,なるべくこの制度を本当に学校教育の現場で使いやすく,分かりやすく,それでかつ,その時々の教育の目的に応じた形で資料が使われて,かつ,それが正しい形で補償金ということで著作権者には返っていくような仕組みを将来的には目指すという考え方が必要なのではないかと,きょうの議論を聞いていて思っております。

【道垣内分科会長】ありがとうございました。今の御指摘の件,資料2で言いますと,1ページ目の全体の方向性についての記述の中の第3パラグラフの最後では,「あるいは更なる法改正の可能性も否定すべきではない」と書いておりますが,不磨の大典ではないというのは当然のことであり,あえて書いているというのは,おっしゃるような趣旨があるからということです。ありがとうございます。

そのほか,この1ページ目も含めて,いかがでしょう。どうぞ。

【渡辺委員】私は基本的にここに書かれていることに賛成でありますが,最後に,特に教育現場でICTを活用するインセンティブが損なわれる可能性を低減するために,包括徴収型にするということがアイデアとして書かれていまして,私は基本的にこれは賛成なのですけれども,ただ,包括徴収型にすることに関して,現実面を想像していくと,包括徴収型になることによって著作物を利用する頻度は,きっと将来にわたって増えていくだろうということが想像されて,その際にそれをどのように著作者に補償金がきちんと払われる形で選別していけるのかとか,そういう点に関してかなり難しいことが起きてくることが想像できるのです。そこに結構コストが掛かるだろうということも想像できるので,そういったことも想像しながらここは考えていかなければいけない問題だろうと思うのです。また,そのときに,著作者に個別にいくべきものでありますが,それが非常に難しい。当初は多分難しいと思われるので,例えば,それが著作者全体に対して何か利益のある,使い方にするし,何かそういうお金として考えるという考え方が成り立つのか,成り立たないのか,私は個人的には分かりませんが,そういったことも含めて,少なくとも教育現場においても著作者に適切に,著作権というものが守られるべきなのだということは絶対的に前提として打ち出しておくということが大切であろうと思います。それでいながら,現場で混乱が起きないようにと,この2点が私は大事だと思うので,仮に著作者本人にお金が回らなくてもいいというぐらいまで私は思っていて,これを実現して包括徴収という,現場に混乱が起きないという形を取るのが望ましいと個人的には思っています。

【道垣内分科会長】ありがとうございます。将来,規約の法改正がされたとしますと,その後,権利者団体側と教育関係の,誰が当事者なのかよく分かりませんけれども,交渉を重ねて,そこでしかるべき額が決まり,更に頂いた額の分配についても,いろいろ新しいスキームを考えなければいけないということになりますが,きょうの議題の次の話ではないかと思います。御指摘ありがとうございました。よろしゅうございますか。中身はまだ恐らく御意見があろうかと思いますけれども,別紙のような形でまとめて,分科会の名前で出すということ自体,これはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。もしそうであれば,できれば別紙のような形のものを作って,それをもう一度お示ししてメールで御意見を,一定の期限内に頂いてということの時間的な余裕はありますか。

【秋山著作権課長補佐】事務局の希望としましては,資料2の分科会長試案に対する御意見を委員の皆さんから頂き,その御意見を並行して作成する別紙の文書に統合していくという方法でいかがでしょうか。

【道垣内分科会長】分かりました。では,今頂いた御意見の一部を反映して修文しなければいけませんけれども,時間の関係もございますので,この会議の終了後,この資料2についての御意見をメールで頂く。それをこちらから配信していただけますか。そこに期限を書いてもらわないと分かりにくいと思いますので,分かりやすいコメント,文書の形で頂けると思います。そのようなことで,最終的には分科会の意見ではございますけれども,分科会長に御一任いただくということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【道垣内分科会長】ありがとうございます。では,そのように取り扱わせていただきます。

議題の2番目につきましては,こちらの方からは特にないのですけれども,委員の方々は何かございますか。なければ最後に事務局から連絡事項がございますので,ありましたら,よろしくお願いいたします。

【秋山著作権課長補佐】次回分科会につきましては,小委員会の検討状況などを踏まえまして,改めて日程を調整させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【道垣内分科会長】ありがとうございました。

それでは,以上をもちまして,文化審議会著作権分科会第48回を終了させていただきます。ありがとうございました。

――了――

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