文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第4回)

日時:平成30年10月23日(火)
13:30~16:00
場所:文部科学省東館3F1特別会議室

議事

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
    2. (2)その他
  3. 3閉会

配布資料一覧

資料1
具体的な制度設計に向けた検討(案)(789KB)
資料2
私的録画に関する実態調査(4MB)
資料3
今子委員提出資料(215KB)
参考資料
私的録画に係る「補償すべき範囲」に関するこれまでの議論(117KB)
出席者名簿(54.9KB)

議事内容

【末吉主査】それでは,ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第4回)を開催いたします。

本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。

議事に入る前に,本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照しますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方々には入場していただいているところでありますが,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

なお,本日のカメラ撮りにつきましては,冒頭,5分間程度とさせていただきますので,御了承願います。

まず,事務局に人事異動がありましたので,御報告願います。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】事務局の人事異動につきまして,御報告いたします。

10月2日付けで,著作権課国際著作権室長に石田善顕が着任しております。本日は,別の公務により欠席をいたしております。

以上でございます。

【末吉主査】次に,配付資料の確認をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】続きまして,配付資料につきまして御説明いたします。

まず,資料1といたしまして,「具体的な制度設計に向けた検討(案)」,資料2といたしまして,「私的録画に関する実態調査」,資料3といたしまして,今子委員より御提出いただきました資料,参考資料といたしまして,「私的録画に係る「補償すべき範囲」に関するこれまでの議論」でございます。不備等ございましたら,事務局までおっしゃっていただければと存じます。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,初めに,議事の進め方について確認をしておきたいと思います。本日の議事は,クリエーターへの適切な対価還元について,その他となります。

それでは,議事に入りたいと思います。クリエーターへの適切な対価還元につきましては,前回に引き続きまして,具体的な制度設計に向けた検討を行いたいと思います。

前回の会議後,私より,現実的かつ実効性のある対価還元の全体像について,追加で御意見がある場合には,事務局までお知らせいただくようにお願いをしておりました。これに関しましては,私からも,委員の皆様に質問を投げ掛けさせていただき,それに対して,御意見を頂戴いたしましたので,これが資料1,あるいは,その別紙になります。事務局には,それらの意見の紹介を,後でお願いしたいと思います。

なお,今回,このように,あらかじめ頂いた御意見を集約したものを,資料1,あるいは,その別紙としてお出ししていることにつきまして,一部の委員の方より御意見を頂きましたが,このような意見照会は,会議時間に物理的な制約がある中,各委員の発言の機会を確保するために,行ったものでございます。実際に,私,今回,貴重な御意見を幾つか書面にて拝見することができました。

また,頂いた御意見は,資料として,公開の会議において,配付,共有し,御議論の対象として,透明性の確保にも配慮いたしておりますので,議論を円滑に進めるために,必要であったとして,御理解を頂きますようにお願いを申し上げます。

さらに,今回は,私的録画に関する実態調査に関しましても,報告を頂くことといたしております。本日は,調査を実施していただいているみずほ情報総研株式会社の中様,伊澤様にもお越しいただいておりますので,後ほど調査結果の概要につきまして,御報告をお願いしたいと思います。

それでは,まず事務局より,資料1について御説明をお願いします。

【白鳥著作物流通推進室長】それでは,資料1をお手元に御準備いただければと思います。

5ページ以下が,前回までの会議資料におきまして,委員の皆様方が御議論の対象として,御覧いただいたものであります。それに,前回の会議における御発言を,主な意見のところに追加をし,一部まとまりごとに整理をさせていただいておりますけれども,内容としては,前回までのものから変更はございません。

本日,こちらの資料1につきましては,先ほど,末吉主査よりお話がございました,主査からの問題提起ということに関わりまして,具体的な問題提起の内容を,1ページから4ページのところに御紹介をしております。

委員におかれましては,既に意見の御提出を頂いているところでありますけれども,まず,どのような問いが今回付されているかというところにつきまして,簡単に御確認をお願いできればと思います。

1ページ目から2ページ目の文章につきましては,今現在,この小委員会におきまして,検討を行っている経緯などが書かれております。

2ページの問1からですけれども,特に当面の手当てとして,補償金制度の見直しにより対応するとした場合には,特に汎用機器による複製の実態があるということを踏まえて見直しを行うことが検討対象になることから,汎用機の対象化ということについて,課題があるのではないのかといったところが,一つ出ております。

これまでの会議におきまして,ここに(1),(2),(3)と書いてあるところ,具体的には,補償金返還の実効性の確保,録音録画機器の多様な提供主体の責任,「機器」,「記録媒体」に限定しているといったことについての考え方についての課題などが提起されたということで,こちらを,まず問うているという内容になっております。

その上で,問2,(4)から(6)になりますけれども,特に今の観点で,解決が困難な課題がある場合に,現実的かつ実効的な解決策として,どのようなものがあるかという観点から,特に録音について聞かれております。

(4),(5)は,音楽コンテンツの流通形態に着目し,ダウンロード型音楽配信とパッケージソフト,それぞれについての対価還元策について聞いております。

(6)につきましては,その上で,補償金制度による現実的な解決策について伺うものであります。

問3ですけれども,こちらは録画に関しての問いになっております。(7)が技術によるコントロールがある場合の補償の要否。

次のページに移りまして,(8)ですけれども,録画に関する望ましい対価還元手段についての問題提起になっております。

問4,(9)という部分につきましては,その他,課題はあるかという問い。

最後の問5(10)につきましては,今回,補償金制度の見直しにより,「当面の手当て」を行うとした場合に,その「当面の手当て」というのは,どのような状況になれば,「当面」ではなくなるかといったような問いになっております。

委員の皆様方からの御意見については,資料1の別紙として,おまとめしております。時間に限りもありますので,概略のみ御紹介いたします。資料1の別紙を御覧ください。

一つ目の問いです。(1)です。補償金返還の実効性をどう確保できるかという部分であります。

最初の三つの御意見につきましては,この補償金返還制度は,私的複製を行う蓋然性の高い専用機を対象とした補償金制度に合わせて導入されたものであるということから,この汎用機を対象とする場合には,実効性の確保が困難になるといった趣旨の御見解であります。

三つ目の小寺委員の御発言につきましては,更に最後の方に書いてありますけれども,「したがって汎用機であっても,相当な蓋然性をもって私的録音録画に供されるであろう販売形態や広告宣伝を行っているものに限定すべきである」といった御意見を頂きました。

それに対しまして,その下のところから,特に補償金の返還制度につきましては,限界があるというところについて確認をしつつ,ただ,具体的な運用面で,特にネット上で申請をできるようにするなどの簡便化についての御意見も頂きました。

同種の御意見は,その次のページの高杉委員のところ,二つ目の欄ですけれども,そちらについても,御意見を頂いております。

その下,龍村委員からの御意見につきましては,汎用機器に関しては,利用実態のデータを根拠した割合的徴収を行うことで完結する制度として,再構成されるとする御提案を頂いております。この場合には,もはや補償金返還制度は不要あるいは廃止されるといった御趣旨の御意見になっております。

他方,その二つ上の太佐委員からの御意見でございますけれども,補償金返還請求の実効性の確保は困難であるということを御指摘いただいた上で,そのような返還請求が起こらない形での制度設計は望ましいとしまして,具体的には,私的録音録画を行うユーザーから,事前に承諾を得て支払を受けるオプトイン方式といったような契約手法における御提案でございます。特に私的録音録画を行われる蓋然性の最も高いポイントでの対価回収についての御提案になっております。

次の(2)です。3ページからですけれども,録音録画機能の多様な提供主体の責任について,どう考えるかです。特にソフトウェアなどの機能も含めて,録音録画が可能になっている場合に,そのようなソフトウェア,サービス等の提供主体について,協力義務者ないしは支払義務者など,その責任主体をどのように位置付けるべきかどうかといった点について,特に御意見を頂いております。

これについては,最初のお三方の御意見は大体近い御意見かと思いますけれども,特に二重課金とならないかといったような御懸念を示されております。二重課金にならないとする場合には,用途・使用実態についての正確な調査が必要であるけれども,コストを掛けて,そのような調査をすることは現実的ではないのでないかといった御指摘があります。

これに対しましては,実態として,そのような複製機能を提供しているのであれば,そうしたものも,責任主体として捉えるべきではないかといった御意見も頂いております。

ただ,ここの部分につきましては,他方で,真ん中の世古委員のところですけれども,「アプリケーションソフトの提供主体にまで,責任範囲を広げる必要はなく,著作物の固定が可能な機器媒体等を補償金の対象とすれば,目的は達成されるものと考える。CDのリッピング機能のみを独立させた機器の製造業者についても同様である」といった御意見も頂いております。

なお,調査コスト等に関わりましては,その次のページ,4ページになりますけれども,龍村委員,宮下委員から,それぞれ,そのコストについての原資について言及を頂いておりまして,集中管理団体が徴収した補償金の中から支出するとか,あるいは,共通目的基金から賄うといった御意見も頂いております。

次の(3)です。これは機器,記録媒体に限定している現状についてということでありますが,特に今の論点に関わりまして,ソフトウェア,サービス,特にクラウドサービスといったものをどう捉えるか,さらには,今,政令指定によって定めている,そのような方式についてどう考えるか。あるいは,今,機器と媒体については,分離されているもの,いわゆる別体で売られているようなものについてのみ,補助金の対象になっている現状をどう捉えるかといった点が,特にこの中では御指摘いただいたものであります。

一つ目のソフトウェア等の位置付けにつきましては,特に上から二つ目の河村委員のところを御覧いただければと思いますけれども,汎用的なサービス,ソフトであれば,先ほどの汎用機器についての扱いと同様の考え方が成り立つだろう。具体的には,更なる追加は反対である,といった御意見です。

それに対して,その二つ下につきましては,椎名委員の御意見ですけれども,ソフトウェア,ウェブサービスも,私的録音録画機能を提供している実態があるといったところから,対象とすることについての御意見も頂いております。

さらに,その下になりますけれども,次の5ページのところになりますが,特に対象機器等の定め方についての御意見です。

世古委員の御意見が一番上にありますけれども,現行の政令による指定方式では,今の複製実態に対応していない。具体的には,パソコン,スマートフォンなどの汎用機器で複製されているという実態がある。そのような技術の進歩に対応できていない。その観点で,権利者の不利益は解消されないことが明らかだという御意見です。

それに対しまして,その下ですけれども,太佐委員,特に関係者間の利害調整をするには,政令指定方式は必要なスキームだといった御意見を頂いております。

一体型かどうかということに関わりましては,4ページの一番下に,椎名委員の御意見のところですけれども,分離型は現状から大きく乖離(かいり)しており,見直しが必要だといったような御意見。

また,5ページの真ん中の高杉委員におかれましても,機器・記録媒体一体型を含んだものを対象とするといった観点での御意見を頂いております。

さて,次の6ページからが,特に録音についての御意見でありまして,(4)が,ダウンロード型音楽配信についての御意見を伺うものでございます。

冒頭に出てまいります御意見は,特にダウンロード型音楽配信サービスは,基本的にマルチデバイス対応である。そして,消費者にとって,ダウンロード以降の私的録音を行う必要性に乏しい。また,ストリーミングサービスがどんどん台頭してくる中で,ダウンロード型の配信サービスというものの存在意義は失い始めているといったような御意見を,冒頭の方に頂いております。

これに対しまして,実際にそのような複製が行われている以上,補償が必要であるということが,その次から続いております。具体的には,特に世古委員の御意見のところですけれども,その割合については3.2%という,昨年度の実態調査結果を引用されて,その部分については,実際に録音が行われている以上,補償が必要だといった見解でございます。

また,特に契約手法等の関係でありますけれども,補償金制度ではなくて,契約手法でいくべきだといったような観点も,これまでも御意見があったことを捉えてのことかと思いますけれども,この世古委員の御意見のところですが,現行法では,ダウンロード以降の私的録音について,権利者の許諾を得る法的義務は,消費者にも配信事業者にもないことから,現在,権利者と配信事業者との間の許諾契約には,消費者の私的録音に係る対価は含まれていないといったようなことなどが記されております。

続きまして,パッケージソフトに関してですけれども,次の7ページになります。こちらも,契約手法でいくか,あるいは補償金で対応するかといった点で,大きく意見が分かれております。

一番初めに出ております今子委員の御意見は,特に契約手法での提案でありまして,機器や媒体からの対価の還元を求めず,CDの購入やレンタル時に,全ての対価を徴収するモデルを模索してはどうかといったような御提案でございます。

これに対しまして,次の8ページの一番上ですけれども,こちらは,世古委員の御発言の箇所です。先ほどの音楽配信のところでの御紹介とパラレルな御議論かと思いますけれども,現行法では,パッケージソフトの販売者やレンタル事業者には,消費者の私的録音に対して対価を支払う法的義務はなく,現実にそのような処理は行われていないといったような御意見,その二つ下の高杉委員の箇所ですけれども,レンタル価格と録音補償金は,それぞれ趣旨を異にする対価として収受してきた長年のビジネス慣行があるということから,その変更はおよそ現実的ではない。それによって,権利者へ還元される対価の総量が増加するとは考えられない。また,友人から借りたCDの場合は,そもそも対価を上乗せすることが困難である,といった御意見であります。

その上の太佐委員の御意見ですけれども,特にパッケージソフトと購入CDという部分に分けて,記述いただいておりまして,パッケージソフトは,契約モデルを希求する御発言,購入CDにつきましては,視聴のために複製を行うというケースも多いだろうと,その場合は,権利者の利益を不当に害するものではないのではないかといった御意見であります。

最後の(6)のところですけれども,この現実的な解決策としては,どのようなものが考えられるかということで,以上の御議論を踏まえた上で,どう考えるかというところに関わるのですけれども,今回,8ページから9ページにかけて,御提示を頂いたものにつきましては,大体契約による対応を求める,それによって,補償金制度の廃止を求めるお立場からの御意見と,他方で,私的複製の実態を踏まえて,補償金による対応を求める立場からの御意見と,ある種,それぞれのお立場の従来の主張を,ここで改めて述べられているといったようなものが多くなってはおります。

今回のこの末吉主査からの問題提起におきましては,これは,8ページの(6)のところも併せて御覧いただきたいのですが,私的録音を目的として,市場に供されているか否かで対象機器をどう判断するといった,補償金制度の対象についての一つのお考えも引用されています。

これに関わる御意見としては,9ページの真ん中ですけれども,当該機器が,通常,私的録音に供されているか否かという実態に着目して判断するべきだといった高杉委員の御意見も関連があると思われますし,また,(6)の箇所ではありませんけれども,先ほど御紹介した(1)の論点におきます小寺委員の御発言も,同趣旨と理解されるところでございます。

その次の録画に関しての論点です。(7)は,9ページからですけれども,一番下,今子委員の御発言ですが,「技術的手段により私的複製をコントロールすることが可能である場合は,対価還元の必要はないものと考える」といった御意見であります。

ほかにも,太佐委員から同趣旨の御意見を頂いているところです。

それに関連しまして,10ページの上のところですけれども,河村委員の御発言ですが,視聴者のコピー回数が上限を大きく下回るのであれば,当該コピー制御技術は必要ないということであり,それらをやめることが先決だといった御意見や,小寺委員の御意見につきましては,孫コピー禁止によって,メディアチェンジができないといった不便を消費者が強いられているといったことについての言及を頂きました。

その次の椎名委員,高杉委員につきましては,特に一定の私的複製を許容するものである以上は,補償が必要だといったことや,一人一人のコピー枚数が少ないとしても,社会全体として見れば,膨大な量のコピーであるので,補償は必要だといった御意見でございます。

このいわゆるDRMとの関係につきましては,そのほか,10ページの下から二つ目のところですけれども,龍村委員より,コピー制御技術の採用・搭載については,補償額の算定において勘案する余地は,検討事項となり得るだろうといった御意見を頂いています。

また,その上の太佐委員の御発言につきましては,タイムシフト,プレイスシフト等については,著作権者等の経済的利益に影響を及ぼすような行為ではないと考えられるといったような御意見を頂いております。

また,次の論点,私的録音に係る望ましい対価還元手段はどう考えるかということで,こちらについても,タイムシフト目的といったところについての言及を頂いたところですが,特にこちらは,契約手法との関係で,問題提起をされている問いでございます。

この点につきまして,例えば,下から四つ目のところですけれども,高杉委員より,無料放送については,ユーザーとの間に契約の接点がなく,契約による対価還元は不可能であるといった御意見を,それに対して,その上の太佐委員につきましては,許諾に相当する行為をした大元において対価還元をする機会があり,そこで対価還元が可能ではないかといった御意見を,それぞれ頂いております。

上から三つ目のところですけれども,小寺委員から,テレビに録画機能が搭載されているにも関わらず,全く利用しない視聴者もそれなりにおり,契約による対価還元は,かえって不公平な負担が消費者に転嫁されるおそれがあるといった御意見も頂いております。

行き来して恐縮ですけれども,太佐委員からは,いわゆるコピー制御といったことに関わりまして,最後の文章,「また」というところからですけれども,コンテンツ提供者が,放送コンテンツをどのルートに提供するかも,自由に選択できる環境にあるんだということで,こうした関連の御意見も頂いております。

12ページですけれども,(9)です。これは,その他,検討すべき課題はありますかといったことでございます。

真ん中の辺り,椎名委員からは,今,定率制となっているところ,補償金額については,定額とすることについての御意見,また,一番下ですけれども,龍村委員につきましては,これは柔軟な決定などをしていく場合の体制といったことに関しての課題について御提起いただいているものと思いますが,補償金制度の個別論点についての問題提起を頂いております。

また,一番上の河村委員につきましては,真ん中の辺りですけれども,この際,権利者への対価の還元を真正面から議論する会議の場を設けることを提案するといった御意見や,その下の方にあります太佐委員の御意見では,新しい技術の進展ということを見据えた御意見も頂いております。

この辺りは,特にその次の(10)の将来的な在り方についての御提案にも関わる部分にもなり得るのではないかと思われますところ,次に,(10)を御覧いただきたいと思います。

こちらは,先ほど申し上げましたとおり,今回,補償金制度の見直しにより,当面の手当てを行うとした場合に,当面の手当てというのは,いつになったら当面ではなくなるかといった問題提起になっておりますけれども,二つ目の段の小寺委員につきましては,特に私的複製の量は,将来的には減少していくといったところについての予測に基づいて,その制度の廃止といったところを視野に入れた議論であるべきだといった御意見です。

その下の椎名委員につきましては,ライセンスにより,完全に私的複製がコントロールされる技術が生まれて,全ての関係当事者の負担感なく,実装されるような事態になれば,「当面の手当て」の役割は終えられるだろうと,その際には,30条1項の縮小,廃止が前提となるだろうということで,30条1項の在り方に関する御意見を頂いております。

また,下の太佐委員,丸橋委員のところにつきましては,補償金制度については,その維持のためのコストというところに勘案して,その維持の是非が決せられるのではないかといった御意見も頂いております。

以上が,委員の御意見の御紹介でございます。

なお,第1回,第2回における,特に録画に関する委員の御意見のまとめを,参考資料として配布しておりますので,併せて御覧いただければと思います。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,先に報告を続けさせていただきまして,次に,私的録画に関する実態調査の関係に移りたいと思います。

みずほ情報総研株式会社,中様,伊澤様,資料2について,御報告をお願いいたします。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】資料2に基づきまして,説明させていただきます。

タイトル,「平成30年度私的録画に関する実態調査」でございます。こちらはウェブのアンケートを行いました。そちらの結果について,本日は御報告させていただければと思っております。

おめくりいただきまして,資料の3ページを御覧ください。調査は一次調査,二次調査と呼んでいるんですけれど,まず,私的録画を実施している人,していない方を含めた全体の方たち,約3万件の方々に対するアンケート調査を行いました。こちらを,我々,一次調査と申しております。

初めに,こちらの一次調査の結果についてでございますけれども,今度は8ページに飛びます。本日の御説明に当たりましては,右上に星のマークが付いているページがございますけれども,時間の関係もございますので,概略については,星のマークを中心に御説明させていただければと思います。

8ページでございますけれども,こちらは過去1年間に録画した番組について聞いた結果でございます。この結果を見ますと,二つのグラフが下にございますけれども,左側が2018年,これが,今回,弊社でやらせていただいた調査となります。右側の2014年が,過去の調査結果になります。可能な場合は,比較もさせていただきました。二つのグラフを御覧いただきますと,2014年時代と比較すると,大きな変化はないということがお分かりかと思います。

左側のグラフの中で,一番下の方に矢印を書いておりますけれども,何らかの番組の録画を経験した人というのを計算いたしますと,およそ7割の方が,録画経験があるという結果になっております。

続きまして,9ページをおめくりください。録画に使用した機器を選んでもらいました。その結果でございますけれども,左側のグラフを見ていただきますと,ブルーレイディスクレコーダー(ハードディスク内蔵型)を選ばれた方が58.2%ということで,一番多くなっております。

続きまして,11ページに参ります。録画に使用した機器の使用頻度を伺った結果になります。2018年度の結果,左側のグラフを見ていただきますと,赤枠で囲ってある方が,これは頻度を答えていただいているんですけれども,1週間に1度以上,利用した人というものを赤枠でくくらせていただきました。そういたしますと,約7割の方が,録画をしているとなっております。

ここまでが,一次調査の概要でございます。

次は,18ページに飛びます。丸3番,二次調査概要という表紙がございます。

またおめくりいただきまして,19ページに参ります。二次調査の概要について御説明いたしますと,先ほどの一次調査の対象者3万人の中から,過去1年間で私的録画を実施している方だけに対して,アンケートを行わせていただきました。今回の場合,3,072人の方を対象に,二次調査を行わせていただきました。

説明が後からになってしまいましたけれども,報告資料の中に,「S」とか「M」という記号が出てまいります。こちらの意味を補足させていただきますと,「S」は単一回答の場合です。「M」と書いてあるものは,選択肢を幾つでも選べる複数回答の結果となっております。「NA」というものも出てまいりますけれども,そちらは,数字を直接御記入いただく形の設問になります。

それでは,次,二次調査の結果は21ページです。おめくりいただいた,ちょうど次のページになりますけれども,こちらは,テレビ番組についての視聴時間について伺った結果となります。

2018年度の結果でございますけれども,左側の表を見ていただきますと,平日,休日と書いてありますけれど,これは共に一番たくさんの方に回答を頂いたのは,1時間以上から2時間未満のところに,一番ピークと,我々は呼ばせていただきますけれど,山が来ているような状態になっておりました。こちらについては,2014年も同じような結果になっていると思います。

続きまして,23ページを御覧ください。録画した番組,皆様も録画はすると思うんですけれど,そちらを実際に視聴しましたかという質問になります。そちらを聞いた結果が,こちらに書いてございまして,左側のグラフが2018年です。赤枠で囲ったものは,大体その半分以上,50%以上を見ましたという方たちをくくると,85.6%という結果になりました。ちなみに,2014年ですと,92.5%の方が,録画した部分のうち,半分以上を見ていると回答されております。

続きまして,24ページに参ります。では,テレビ番組の録画方法は,どのようにされているのでしょうかということをお伺いした結果が,こちらのグラフになります。こちらは2018年だけの結果になっておりますけれども,手動で録画を行っているというふうに答えた人です。何らか自分たちの意思で録画を行った人が,全体の86.9%と非常に多いような結果になっております。

続きまして,25ページ,録画した番組の時間数です。こちらは,表が幾つかございますけれども,赤枠の部分を御覧いただければと思います。まず,先ほどの前のページとも関係してくるんですけど,手動で選択して録画したテレビ番組は,月平均,何時間ぐらいですかということに関して,直接,数字を御記入いただいたものを,平均したものになります。そういたしますと,全体で見ると,23.3時間となります。

更に下の方の水色のグラフなんですけれども,こちらをクロス集計しました。更に絞り込んで,ほぼ全ての録画を手動で行っているというふうに回答をした方は,1,825人いらっしゃったんですが,その方が,手動で選択して,録画したテレビ番組の時間は,どれぐらいですかということを見てみますと,30.6時間となります。

次,29ページに参ります。こちらは,皆さん,録画・コピー(ダビング)をした後で,視聴した番組を保存したかとか,消去をしたかということを聞いた結果になります。

左側の表を御覧いただければ,赤いハッチングが二つございます。上の方が,録画された方が,意識的に保存したと回答した割合を,赤枠でくくっております。27.7%保存をしていますと回答されています。下に一つだけ,赤枠が書いてありますけれども,これは,意識的に消去したという割合の結果になります。こちらは,49.2%という結果になります。

30ページに参ります。非常に似たような設問なので,お気を付けいただきたいんですが,前のページは,録画した後に視聴した番組の結果なんですけれども,30ページは,録画・コピーして,視聴していない番組,こちらの場合は,保存や消去はどうされていますかというような結果になります。

同じように,左側の表も,意識的に保存した割合はどれくらいかということを見ますと,こちらは19.8%という結果になりました。意識的に消去した割合は,41.9%という結果となっております。

なお,左,2018年の一番下の表の「特に何もしておらず,自動削除機能も利用していない」という部分に関しては,前のページの視聴した場合と比較すると,こちらの場合だと,34.7%ということで,こちらの回答は増えているという結果が見られます。

では,続きまして,次のページ,31ページに参ります。録画機器の内蔵,外付けさせるハードディスク,SSDの全体容量を聞いた結果でございます。

表の左側,ブルーレイ,DVD,ハードディスクレコーダーに内蔵されているハードディスク,SSDについての容量は,皆さん,どのくらいをお持ちなのかという結果を見ますと,多い順に,真ん中の400ギガ超,600ギガ以下というところが,14.2%,続きまして,120ギガバイト以下,11.0%,3番目に,1テラバイト超,2テラバイト以下が10%ということで,多くなっております。

なお,ブルーレイ,DVD,ハードディスクレコーダーを保有している方は,一番下の該当する機器は,保有していないという方から逆算することができまして,ブルーレイ,DVD,ハードディスクレコーダーのSSD等を持っていない方というのは62.7%ということで,ほかの選択肢よりも,高くはなっておりました。

32ページに参ります。では,先ほどの全体のハードディスク容量中どのくらいの容量を録画データの記録に使われているかというものを聞いた結果が,32ページになります。

こちらも,左の表を御覧いただくと,赤枠が二つに分かれております。ブルーレイ,DVD,ハードディスクレコーダーや録画機能付きテレビというところに注目していただくと,ほとんど全ての容量を録画に使っていますという方が多くなっております。

一方,下の二つ,パソコンを選ばれた方に関しては,ほとんど使っていないというところが多くなるような結果が出ております。

33ページを御覧ください。話題は少し変わりますけれども,スマートフォンやタブレット端末を使った録画利用についてお尋ねしております。録画の利用をしていますかということに対しての結果でございますけれども,ほぼ9割,94.9%の方が,録画には利用していないと,今回,回答をされました。

続きまして,36ページを御覧ください。皆様,録画をされていますけれども,それを誰のために録画をしていますかということを尋ねた結果になります。こちらは,左側の表を御覧いただきますと,まずは自分ということが一番多くなりました。続きまして,家族という結果になっております。それ以外のものに関しては,0.何%という結果になっております。

次のページ,37ページを御覧ください。また,こちらも,録画する理由についての話なんですけれども,先ほど,誰のためにということだったんですが,こちらは録画する理由について尋ねた結果になります。本設問に関しては,複数回答となっており,こちらは複数回答の結果になっております。

こちらは,左の図を見ていただきますと,多くなった順番は,上位三つに赤枠を付けさせていただきましたけれども,1番目は,見たい番組の放映時間に,外出していたり,手が離せない場合に,後で見るため,2番目は,同じ時間帯に,複数のチャンネルで見たい番組が重なった場合に,見られなかった番組を後で見るため,3番目は,興味ある番組を保存するためとなりました。こちらの順番に関しては,右側の2014年とほぼ同じ結果になっております。

続きまして,39ページを御覧ください。録画の理由の中で,後で見るためと回答された方に対して,録画した後,番組を見る回数はどれくらいなんでしょうかということを聞いた結果になります。こちらは,全体の中で,回数に関しては,1回と答えた方が85.3%ということで,最も多くなりました。

40ページを御覧ください。前のページで回答された方に,1回視聴した録画番組を,今度は,その後,削除しますかということをお尋ねした結果でございます。グラフを見ていただきますと,ほぼ毎回,視聴後に削除すると回答した方が多くなっております。

41ページを御覧ください。こちらは,二次調査,全員の方に聞いた質問になります。録画したテレビ番組を視聴するタイミング,どのタイミングで見ますかということなんですが,赤枠で囲っているものは,大体,録画後の当日から1週間以内という方たちをくくった結果なんですけれども,約8割の方が1週間以内に視聴しますとお答えいただいております。

42ページを御覧ください。テレビ番組の録画に使用したブルーレイディスク等の所有枚数を御回答いただきました。こちらは「NA」ということで,直接,枚数を記入していただくような形式の設問となっております。

左側の表の現在持っている合計枚数というところを御覧いただきますと,ブルーレイディスクの場合は15.0枚,DVDディスクの場合は19.6枚という結果となりました。

43ページを御覧ください。ブルーレイ等のメディアに,録画・コピー(ダビング)をする理由を尋ねた結果となります。こちらは,マルチアンサーなので,複数回答できるようなアンケート結果でございます。自分で保存しておくためということを選ばれた方が,一番多くなっております。

なお,これは,2014年と比べた場合に,ブルーレイディスクですとか,DVDなどのメディアに録画したと回答した方自体の回答数が減っております。なので,その辺りも注目を,我々としてはさせていただきます。2018年は,全体の回答のうち39%の人が,本設問を回答していたんですけれども,2014年の場合だと,53%となっております。

44ページになります。テレビ番組の録画データにおけるダビングの個数,回数でございますけれども,こちらは1個と回答した方が,最も多くなっております。

46ページに参ります。テレビ番組の録画をする際の画質を聞いた結果でございますけれども,こちらは,下のグラフを見ていただきますと,画質を落とさずに録画をしているという方が,約6割の状況でございました。

48ページに参ります。テレビ番組を録画する際に,購入したUSBですとか,SSD等の枚数,台数を聞いた結果でございます。赤いハッチングを掛けたところ,0というところに,回答が多くなりました。

49ページでございます。こちらはメディアを変えております。こちらの場合は,外付けハードディスク,SSDについて質問した結果でございますが,こちらも0台というところが,大体9割方の回答になりました。

52ページに参ります。ダビング10と申しますか,デジタル放送におけるコピー回数制限の認知状況についてお伺いした結果になります。こちらは,知っている,はいと答えた方は,全体の54.9%という結果になりました。

53ページを御覧ください。録画した番組と購買行動の関係を尋ねた結果になります。こちらを見ますと,下のグラフの赤枠部分でございますけれども,録画した番組やCMをきっかけに,何らかの購買に結び付いたと回答した人が,赤枠で囲った人以外の方になります。なので,そうすると,17.6%の方々が,何らかの購買に結び付いたと計算することができます。

54ページ,こちらは,最後になります。もし録画ができなくなった場合ということを想定していただきまして,不便を感じますかということを尋ねた質問になります。回答といたしましては,不便を感じる,やや不便を感じるを足した方々,約8割の方々が不便であると回答されています。

駆け足でございましたけれど,以上,私的録画に関する実態調査の結果を御報告させていただきました。

【末吉主査】ありがとうございました。

ただいまの資料2につきましては,これは,上の真ん中ぐらいに星印が付いたところを中心に,主要部分を御説明いただいたことになります。

それでは,ただいま,資料1及び資料2につきまして,いろいろ御説明,御報告を頂きましたが,これらにつきまして,御質問などを承りたいと思います。いかがでございましょうか。

どうぞ。

【河村委員】御説明ありがとうございました。29ページの二次調査結果のことで,ちょっと教えていただきたいことがあります。

【末吉主査】資料2でよろしいんですね。

【河村委員】はい。みずほ総研さんに。

二次調査結果のところで,29ページ。ここに,nが2,674となっていますよね。例えば,一番上の青いセルが,HDD内で上書きされないよう,ロック等を掛けて保存した,平均割合4.9となっているんですけど,この平均は,nで平均を出したんですか。それとも,これを答えた人の平均ですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】こちらは,アンケートの実施方法でございますけれども,アンケートの際には,平均割合というところに,直接数字を書いていただくことをしております。

なので,ハードディスク内で上書きされないように,ロック等を掛けて保存したという回答の方が,例えば,1の方もいれば,3%というふうに回答した方がいらっしゃると思いますけれども,それを回答者数,nで割らせていただいた結果が,こちらに書いた結果になります。

【河村委員】これは,どこか1か所にしか書けないんですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】いえ,実際のアンケートのときには,この表の縦の部分に,全て書き込むことができるようになっているんです。

【末吉主査】すみません,先ほど御説明いただいた設問文の後に,「NA」と書いてありますよね。

【河村委員】はい,それは。

【末吉主査】これは,数字で答えるという意味だそうです。何か回答者が数字で答えたものを,平均をとった……。

【河村委員】すみません,平均割合の出し方についてよくわからなかったので。

【末吉主査】割った数字ですよね。

【河村委員】パーセンテージで見るのと,数字で見るとの違いが出てくるときがあるので,お聞きしたんですけど,今,聞いたところ,これは全部2,674のパーセンテージ?

【末吉主査】はい,書かれている数字を,回答された方全ての平均にしております。

【河村委員】足すと100になるんですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】1人ずつに関しては,足すと,100にしていただくようにしています。

【河村委員】そういう書き方なんですね。分かりました。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】そうですね。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【太佐委員】せっかくの流れですので,アンケートの資料2の方で,確認させていただきたいことがあります。まず,そもそも論ですが,アンケートの調査票に含まれていて,こちらの資料に含まれていない情報があるのではないかという観点から,2点ほど伺いたいと思います。

先ほど,河村委員が指摘されたところにも関係しますが,13ページの辺りに視聴時間について問うている質問項目があります。これは事前に事務局にも申し上げたんですが,もともと,あなたは1日平均どのくらい「テレビ」を見ていますかという類いの質問が「一次調査」の項目にありました。

これについては,対比表として使われているデータが,21ページに「二次調査」の結果ということで,更に数式を処理した上で2014年と比較し示されています。これは,2014年のものを精査できていないんですけれども,2014年が「二次調査」の対象質問として含まれていたため,無理やり合わせたということかもしれません。

元々,一次調査の中にあった質問が,二次調査のデータの中に含まれているということは,どういうことが起きるのかは不明ですが,例えば,録画している人に対象を更に絞りましたというものが21ページの二次調査ですので,録画せずに見ている人の数字や割合が,ここには含まれていないことになります。そもそも,その辺,どういう意図で,こうされているのかということが,まず1点,お伺いしたい点です。

2点目です。質問項目でいうと……。

【末吉主査】1個ずついきましょうか。難しそうですから。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】いいですか。すみません。

【太佐委員】この辺は,主にテレビの視聴時間が増えている・減っているというデータに関わってきますので……。

【末吉主査】御回答を頂いて。

どうぞ。

【太佐委員】はい。すみません,そこを,まず1点目。

【末吉主査】どうぞ。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】今回,21ページに出ている方々は,どのような方々なのかということで,御説明させていただければと思います。

タイミングとしては,今,コメントを頂いたとおりに,一次調査のタイミングで,これはとった結果になります。その中から,過去1年間に視聴経験がある人たちだけを抜き出した結果となっております。質問文自体は,この質問文そのままを,一次調査のときは使っております。そのような状況でございました。

【末吉主査】回答になっていますでしょうか。

【太佐委員】単純な比較として使えるのかという意味で疑問はございますということです。一次調査で使っている質問を,二次調査で使うという場合には,その過程で,一定の取捨というか,操作が含まれますので,これを見るときには,そういう目で見ていただく必要があるのかなと思った次第です,というのが,1点目でございます。

【末吉主査】2点目,どうぞ。

【太佐委員】2点目,直接的には,33ページのところです。スマホ,タブレットに,テレビ番組を録画しているかという質問ですけれども,元の質問項目に同じ質問はなかったように思います。

元々は,私の存じ上げている範囲では,二次調査のもう少し前のところ,28ページと29ページの間ぐらいに質問項目があって,複数の四つぐらいのカテゴリーの録画可能なデバイスに関して,どのくらい録画に使っていますかというような質問が,たしかあったはずなんです。そのうちのスマホの部分だけが,ここは,抜き出されているように見えます。ここで,一つコメントしたいことは,次の34ページ以降,これは2014年との比較でデータが出されているんですが,33ページに関しては,今年のものしか出ていない。

で,何を言いたいかといいますと,2014年のデータもここはあったはずですということです。そうすると,経年でどのくらい増えているか減っているかが分かるデータがあったのではないかと思うんですが,ここで,2014年度のデータがないということは,何か意図があるんでしょうかということでございます。

【末吉主査】この点はいかがですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】こちらに関しましては,今年度はスマートフォンのみでの質問とさせていただいています。過去,2014年のアンケートの設問の形では,今回は聞いておりません。

【末吉主査】設問がなかったという御趣旨でしょうか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】2014年の頃の設問,全く同じ設問はしておりません。

【末吉主査】全く同じ設問がなかった。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】ええ,ありません。

【末吉主査】ので,比較しなかったということですね。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】はい。そうですね,そういう意味では,全く,聞き方も,今回,変わってしまっている。聞き方というか,質問の仕方が変わっているということで,比較しておりません。失礼いたしました。

【末吉主査】分かりました。

【太佐委員】そういう意味では,どういう質問で出したかという質問票を全て,一応,開示していただきたいなと思います。事前に見せていただいたものですと,2014年と同等の質問が含まれていたというふうに理解しております。そうすると,2014年のデータにも,確かに聞き方は違ったかもしれませんが,スマホのデータはありました。

私の知っている範囲のデータを,ここで申し上げてもよいのですが,スマホ,タブレットに録画しましたという数字は,比率がかなり減っております。現状も低いのですけれども,そういったものは,議論の上では,比較的重要なデータではないかと思いますので,是非,元々の質問項目も開示いただきたいなと思っております。

【末吉主査】その点は検討してください。数字を出すか,票を出すかですね。

【太佐委員】こういう形で,あったはずのものがないというものを,1か所でも見付けてしまうと,やはり,どうしても気になってしまうということでございます。しかも,結構重要なポイントに関わるところだと思いますので。

【末吉主査】分かりました。今のところで,ほかに御指摘はございますか。大丈夫ですか。

【太佐委員】データそのものというよりは,コメント欄については,幾つかございますけど,それは,どのようにすればよろしいですか。まとめて言ってよろしいですか。

【末吉主査】一旦,ここで切りましょうか。

【太佐委員】はい。

【末吉主査】御質問,ほかにございますか。今,特に資料2についての御質問が多いようでございます。

どうぞ。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】すみません,資料2で,1点確認させてください。

33ページ,二次調査結果というところで,スマートフォン・タブレットのテレビ番組の録画という観点なんですが,2018年,nイコール3,072となっています。この約5%が利用しているという回答だと思うんですけれども,これ以降,例えば,41ページ,ここも,nイコール3,072になっているですけれども,録画したテレビ番組を見るタイミングという設問なので,3,072掛ける5%が,母数になるんではないんですか。そもそも,録画した番組というのは,前提ですよね。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】スマートフォン……。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】すみません,36ページでいいです。

33ページで,3,072人中,5%が録画します。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】すみません,何ページでしょうか。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】33ページです。まず,33ページで,母数3,072で,5%が録画しますということでよろしいですね。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】スマートフォンとタブレットの方ですか。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】はい。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】はい,大丈夫です。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】で,36ページに行っていただいて,ここもスマートフォン,タブレット?

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】いえ,こちらは……。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】でもない?

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】ええ。誤解をさせてしまったかもしれませんけど,こちらは,先ほどのスマートフォン,タブレットという……。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】これは,違うんですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】はい。こちらは,スマートフォン,タブレットを問わず,録画した番組に対する質問になっておりますので,誤解を与えてしまったかなと思います。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】そうすると,nが3,072というのは,偶然の一致ですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】いえ,全員の方に聞いております。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】あ,そういうことですか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】そちらは,全員の方に聞いた設問になります。

【多賀谷氏(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)】分かりました。すみません,失礼いたしました。

【末吉主査】ありがとうございました。

ほかに資料2に関しての御質問はございますか。あるいは,資料1を含めて,御質問,御意見はございますか。

どうぞ。

【高杉委員】資料1について,いろいろ発言したい点はあるんですけれども,これについては,上から順次やっていく感じで,発言するタイミングを考えていたんですけど。

【末吉主査】分かりました。議論というより,まず,質問なので。

【高杉委員】質問ですか。

【末吉主査】ええ,質問を頂きたいんですが。議論は,また後で時間をとります。

【高杉委員】分かりました。失礼しました。

【末吉主査】御質問はございますか。

どうぞ。

【椎名委員】50ページの……。

【末吉主査】これは,資料2の方でいいんですね。

【椎名委員】はい。ごめんなさい,49ページ,外付けハードディスク,SSDを何台買ったかということで,ゼロ台が9割以上ということなんですが,僕の理解では,録画機能を搭載したテレビに,外付けすることによって,録画できるというハードディスクが録画対応という形で,それをうたって,商品化されている実態があるんですが,そこは,ほとんど売れてないといったらいいんですか,余り普及していないと理解してよろしいんでしょうか。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】普及していないというふうにまでは,私ども,歯切れよく答えられないんですけれども,今回の場合,過去1年間で,例に挙げたような外付けハードディスクやSSDを録画のために買ったかということに関しては,9割の方がゼロとお答えしているということなので,もう少し,過去1年間より前に買ったかもしれないといったことまで考えると,今回の場合は過去1年間だけに限定して聞いた質問だということは,御注意された方がいいかなと思います。

【椎名委員】僕の申し上げた録画対応外付けハードディスクというのは,この中に含まれていると理解していいわけですね。

【中氏(みずほ情報総研株式会社)】はい,大丈夫だと思います。録画用に使われるハードディスクなので,御指摘のとおりです。

【末吉主査】よろしいでしょうか。

資料1,資料2の御質問関係は,ひとまずよろしゅうございますか。ありがとうございました。

それでは,次に参りたいと思います。これで,資料1,資料2の御説明と御質問関係が終わりましたので,残りの時間,ただいまの私的録画実態調査の結果も参考にしていただきながら,議論の更なる集約化に向けて,具体的な制度設計の議論を深めてまいりたいと存じます。

本日,まず,今子委員より,意見発表の御要望がございましたので,議論に入る前に,御発表をお願いしたいと思います。

今子委員,できれば5分程度でお願いしたいんですが,よろしくお願いします。

【今子委員】ありがとうございます。ヤフーの今子です。

弊社は,アジアインターネット日本連盟というインターネットサービス事業者が多く加盟している……。

【末吉主査】すみません,資料3でよろしいんでしょうか。

【今子委員】はい,そうです。

【末吉主査】資料3を既に頂いていますので,よろしくお願いします。どうぞ。

【今子委員】弊社は,アジアインターネット日本連盟というインターネットサービス事業者が加盟している業界団体に加盟しておりまして,その団体の意見書を紹介させていただきたいと思っております。

大きく分けて,二つありまして,まず1点目は,汎用機器についてです。PCやスマートフォン等の汎用機器は,様々な目的で使われていまして,私的録音録画を行う蓋然性が高いとは言えないということは,多くの委員が御指摘のとおりです。

私的録音録画を全く行わない消費者が汎用機器を購入している場合も,多く存在している現状に鑑み,対象を拡大していくことには,慎重な議論が必要と考えております。

補償金返還制度があるではないかという御反論があると思いますけれども,補償金返還制度は,私的録音録画と無関係の一般消費者に無用かつ過大な負担を生じさせるものでして,社会的に適切な制度ではないと考えております。

また,過去の報道等でも,返還制度については,例えば,返還の請求手数料の方が,返還額より高いとか,いろいろな問題をはらんでおりまして,そういったことからも,汎用機器等は,そもそも補償金制度の対象とすべきではないと考えております。

2点目ですが,アクセス型への市場構造の転換という点から,議論をしっかりすべきではないかと考えております。この点は,私からも,配信ビジネスが非常に発展してきていて,その点から制度の在り方について議論すべきだと申し上げているとおりであり,やはり,特にストリーミング/サブスクリプション型への移行が顕著になっております。

国際レコード産業連盟のレポート等によりましても,ストリーミング売上げが,単独で,パッケージ売上げを超えるなどの顕著な伸びが報告されています。

ここには,音楽のことが書いてありますけれども,放送についても,同時再送信などがこれから発展していくということも考えますと,アクセス型への市場構造の転換が,一層見られると考えております。

こうしたアクセス型の普及は,一過性の流行(はやり)ではなくて,インフラの整備やハードウェアの処理性能の向上,ソフトウェア技術等,UIの改善など,様々なイノベーションに支えられておりまして,今後も力強く発展をしていくと考えられております。

こうしたアクセス型のサービスを使うと,言うまでもなく,私的複製は起こりませんので,さらに,補償金の対象を拡大していくということになりますと,IT産業にとってだけでなくて,産業におけるイノベーションそのものを阻害することにもなりかねないと考えております。

5番のところに行きまして,平成29年度の録音等の実態調査ですけれども,ダウンロードや複製をしたことがあるかという質問がありまして,資料1にも書かれていたとおりこれは有料配信のものも含まれる可能性があるため,この資料からは,必ずしも私的複製の実態が明らかになったとは言えないと思っております。したがいまして,最新の実態を踏まえた上で,議論するということが必要であると考えております。

購入されたCDやレンタルCD等,ユーザーによる録音の可能性が高く,私的複製の元となるものについては,更なる対価還元が図られるよう,流通過程における対価回収を論じるべきだと考えております。

すごく端折(はしょ)って,御説明を差し上げましたが,以上です。ありがとうございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

それでは,議論に入りたいと思います。

はい。

【高杉委員】今の資料3の件で,聞いてよろしいですか。

【末吉主査】議論と一緒でもいいですか。

【高杉委員】あ,そうですか。

【末吉主査】できれば,資料1に引き付けて,御質問を頂けると,有り難いんですが,委員の皆様におかれては,是非とも議論の集約化に向けて,御意見をお願いいたします。

まずは,資料1のうち,対価還元手段の全体像のローマ数字Ⅰのところの問1,これは資料1の2ページ目になりますが,これの問1ですから,(1),(2),(3),いずれも2ページに記載されている内容について,議論いただきたいと思います。

私的複製の実態を踏まえて,補償金制度の見直しにより,対価還元を実現しようとする場合に,汎用機器への課金が論点となりますが,課題の方も指摘をされました。それらの課題については補償の必要性についての御意見を頂きつつも,補償金返還制度の実効性確保に限界があること,あるいは,解決のためには,協力義務者の在り方の見直しが必要であるといった御意見もありました。

そこで,補償金返還制度の実効性を確保する方策が考えられるのかどうか,あるいは,協力義務者の在り方について,どのように考えるのかなどについて,御意見を頂きたいと思います。

なお,支払義務者の論点につきましては,検討課題4,14ページになるんでございますが,飛んで,恐縮ですけれども,14ページの上半分に記載されている議論も,どうか踏まえていただきますようにお願いをいたします。

それでは,御議論いただきます。

どうぞ。

【高杉委員】すみません,議論前提で,先ほど,資料3について,今子委員の方から御説明がございましたけれども,これについて,一応,質問を2点だけさせてください。

資料3の発信主体であるアジアインターネット日本連盟は,そもそも,どういう団体で,どういう構成員なのかということ。

脚注1に書いてありますけれども,「また,専用機器であっても,過去の検討において対象外となった製品については,同様に慎重な検討を要する」と書かれておりますけれども,この内容と理由を教えてください。

【今子委員】ありがとうございます。

まず1点目ですけれども,アジアインターネット日本連盟というのは,数十社のインターネットサービス事業者が加盟している団体でして,目的としては,自由で公平な競争環境の整備,インターネットの発展による,よりよい環境の実現を目指して,活動をしている業界団体となります。

2点目ですけれども,機器・記録媒体一体型機器が議論をされているところかと思いますが,いろいろな資料を見ておりまして,専用機器として整理をされるべきなのか,汎用機器として整理をされるべきなのか,ちょっと分からなかった機器がありました。過去の検討で,例えば,汎用機なのではないかと整理がされたものも,いや,実は専用機だというふうにして,整理をしなおして,課金の対象としていくということは,慎重な議論が必要だという意味で書いております。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【高杉委員】今,過去の検討で,対象外となった製品というのは,具体的には何を指していますか。

【今子委員】資料1の9ページ目の,真ん中ぐらいのところなんですけど,機器・記録媒体一体型の機器(iPodやウォークマン等)は,対象とすべきでないことは確認したいというところです。

【高杉委員】対象とすべきことは確認したい?

【今子委員】御質問に対しては,iPodやウォークマン等ということになります。

【高杉委員】少なくとも,私の記憶では,過去,これらの商品が対象外と認定された事実はないと思います。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【太佐委員】あわせて,今の関連でよろしいでしょうか。

今,たまたま,記録・媒体一体型機器,例えばiPodやウォークマンを想定してということで,これは,過去にも議論がなされていると理解しておりますけれども,そのときに課金が見送られているということは事実でございます。

それについて,課金対象として,これらを追加するということには,基本的には反対しておりますので,その点は付言したいとは思っております。そもそも補償の対象とならない動画や音楽の配信サービスが増えているという部分も考慮し,かつ,これを対象に含めるとなると,現行の30条2項の改正を伴うということは,もう皆さん御承知のことかと思いますので,そこまでの議論を要する項目であるので,より慎重な議論が必要です。

汎用機に含まれる・含まれないというところで,今,御議論されているようなんですが,そもそも,それを対象とすること自体,一応反対であるということは,一応申し上げておきたいと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

すみません,議論の進め方としては,申し訳ないんですけれども,資料1の2ページの(1),(2),(3)を,今,御議論いただいています。

今の汎用機器一般の話というのは,本日は,実は各論ということで,最後に,また,もう一回,先回も御議論いただいたところでございますけれども,いろいろ議論が足りないところであるとか,補充ということがあろうかと思うので,それは,また後ほど。各論ということで,御議論いただきますので,恐縮ですが,私がここで考えていることは,手当てのしようがあるのかというところを,最初に,2ページの(1),(2),(3)。(1)は,補償金返還の制度の問題を取り上げています。(2)は,提供主体の責任の問題。そして,(3)は,機器・記録媒体に限定している現状。こういうところを中心に,皆様方の御意見も伺ったところでございますが,それを補充いただくような,あるいは,出ている御議論に対して反論というものがあれば,その点を中心に,まずお願いをしたいんですが,恐縮です。よろしくお願いします。いかがでございましょうか。

ちょっと,いいですか。松田委員の方からいいですか。また,その次,行きますから。

【松田委員】2ページの(1)について。補償金返還の実効性の問題について,意見を述べます。

確かに補償金返還の実効性というのは,十分に確保できるという状況では,私はないと思っています。しかし,この議論は,私的録音録画補償金制度を作る段階のときに,初めから,この実効性については,少々疑問を持っていたんです。それは,そのとおりです。だけど,この返還の制度を導入しなかった場合には,補償金制度全体が,憲法上の問題が生じるということで,この制度を入れたのです。

すなわち,徴収されて,返還する制度がなかった場合には,財産権の侵害が生じている制度としての評価を受けるということになって,立法できない可能性もあったのかもしれません。当時も,そういう議論はしました。

では,補償金返還制度の実効性が欠けているからといって,補償金制度全体が,制度的に欠陥があるのかという問題を考えなければならないだろうと思います。確かに,実効性がもっと高まった方がいいと,私自身も考えております。

しかし,この補償金返還の制度,それ自体を大きく変更することは,考えても,なかなか制度が出てこないんです。憲法上の補償から,制度は入れなければならないけれども,実効性は高めなければならないけれども,それに替わる制度を設けて,憲法上の補償を確保できるかということは,なかなか考え付かない。そこで,私の意見は,補償金返還の制度自体は,基本的に維持しつつ,制度全体の制度を維持できると考えております。

しかしながら,実効性はもう少し高めなければならないとも思っています。どのようにすべきかと。基本的には,同じ制度を設けつつも,どのようにするかということは,どうでしょうか。現行,インターネットの制度で,いろいろな申請が,電子的にできるようになっているわけですから,これも,電子的にできるようにしたら,送料だとか,その他の費用だとか,実質的な費用については,かなり軽減されるのではないかと思います。

そういう電子請求制度をも可能にする制度にしつつ,そして,請求者の負担を軽減する。その上で,補償金返還請求制度の維持をして,全体の制度を維持するほかないと,私は考えております。確かに,これについては実効性がないから,全体の制度を取りやめるべきだと,全体の制度を廃止すべきだという議論は,なかなか,これも難しい。

要約すると,制度全体を作るときに,実効性に問題がありつつも,返還制度を作ることによって,憲法29条の補償が辛うじて担保されるから,この制度ができたという実態があります。

それ自体は,今も,実は,議論としては変わらないんです。しかしながら,実効性はもっと高めなければならない。だから,返還制度は郵送制度ではなくて,電子制度によって,請求者の費用を軽減する。こういう方向で,両方の制度,本体の制度と返還制度を維持するということをすべきではないかと考えております。

【末吉主査】ありがとうございます。

では,高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】ありがとうございます。返還制度の件につきましては,私の方で,既に意見を出しておりますけれども,今,松田委員の方からもございましたとおり,インターネット申請で,全て手続が簡潔化するような改善は必要ではないかと,まず考えております。

ただ,一方,返還制度だけですと,汎用機を対象とした場合に,一定程度の返還,いわゆる多くの人が返還手続をとらなければいけないのではないかという懸念が出ているということも,承知しております。

今,補償金の徴収に当たっては,製造業者等の協力を得て行っておりますけれども,現在,対象機器につきましては,半期ごとにメーカーから対象機器の出荷量と補償金額の申告を,指定団体の方に出していただいております。

汎用機を対象にした場合には,全体の出荷量に,例えば,私的録音に供されている割合を積算した結果の出荷量の報告を頂いて,それに対応する補償金を納付していただくことで,実効性のある制度の構築ができるのではないかと考えております。

私的録音に供される割合については,昨年度の文化庁調査を使わせていただいて,今後は一定期間ごとに指定管理団体で,調査を行うということで,どうだろうかと考えました。

例えば,昨年度の文化庁調査によりますと,パソコンを利用した録音経験者,21.4%です。

JEITAさん等の資料によりますと,パソコンについての個人向けの出荷台数が約400万台,そうしますと,その21.4%,85.5万台分だけ,補償金の納付をしていただく。スマートフォンについては,出荷台数が3,000万台でありますけれども,私的録音の経験者が16%,そうしますと,480万台分,補償金を納付していただく。入り口で絞り込むということによって,不公平を是正するということは考えられるのではないかと思います。

このような取扱いにしますと,消費者の財産権を侵害するということはないのではないかと,また,返還申請というという手間を省くこともできる。メーカーさんにとって,今,行っている専用機と全く同じ手続であります。これによって,権利者に適切な対価を還元することが可能になりまして,社会全体として,公平な制度ができるのではないかと考えております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【大渕主査代理】資料1の別紙,横長の紙に龍村委員が書かれていることが,私が正に言わんとしていることでして,これに沿って御説明した方が分かりやすいかと思いますので,御覧いただけますでしょうか。

【末吉主査】何ページになりますか。

【大渕主査代理】2ページです。開いた真後ろのところの真ん中辺り,二つ目のパラで,「今日のデジタル機器の性能の利用の実情,私的利用の実態の捕捉困難性,その社会的コスト等を踏まえた場合」,以下が私的録音録画の本質だと思いますが,「汎用機器に対する私的録音録画制度は,利用実態のデータを根拠とした割合的徴収を行うことで完結する制度として,再構成する必要がある。それは,私的録音録画補償金制度においては,個々人としての購入者を当事者と捉えるのではなく,集合的存在としての購入者層を想定し,当該集団が負担することによる再分配の仕組みとして再定義することとなる」,「理論的には,私的利用を伴わない者への補償金制度の存在を,これを私的録音補償金の正当化根拠とする思考から,購入者が合法的に,それら機器を自由に私的使用することが可能となる法的地位の取得対価として理論付けるという視座の転換が必要とされよう」。

正しくこれが私が申し上げたいことであります。契約等により個々で課金するという発想をやめているのが30条1項と30条2項でありまして,前に言いましたとおり,それは,いわば集合的正義,もっと分かりやすく言えば,統計的正義ということで,一つ一つ数えるというのではなくて,集合的かつ統計的に正義を実現するという思想が,私としては,私的録音録画補償金制度の思想だと思っております。返還制度をやるなとは申しませんが,そのような発想から見ますと,統計的にきちんとやればそれで十分であって,返還制度はむしろ基本思想に合いません。

ドイツ,フランス等でも,返還制度を聞かないということは,もともと基本思想が,1個1個積み上げるというよりは,集合的,統計的に取り扱うということですから,そのような意味では,私は,返還制度がなければ,私的録音録画補償金制度が成り立たないとは,全く思っておりません。

むしろ,基本思想からいうと,返還制度はむしろやや異質なものなので,その実効性にこだわってもワークしないのが現状であります。あって悪くはありませんが,元々,これが不可欠なものとは到底思いませんので,やはり,私的録音録画制度の本質を理解することが出発点だと思っております。

【末吉主査】小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】補償金返還の実効性を高めるという件に関しては,そもそも,返還が膨大になるであろうようなものは,あらかじめ省いてということも,一つの考え方であろうと考えます。

これに関しましては,資料2の33ページを御覧いただきますと,スマートフォン,タブレットを利用するかということに関して,利用するのは5.1%となっておりまして,これは,数字的には十分に零細と言える数字かと思います。しかも二次調査ですので,録画をしますといった方々のみを抽出しても,この数字であるということでございます。

もう一つ,同じ資料2で,48と49ページを御覧いただきます。やはり,ここでも録画用にハードディスクやメモリーカードを買っていないとする数字が,どの容量も見ても,ほぼ9割超えでございます。

こういうものに関しては,そもそも補償の対象にすると,膨大な返還手続が発生してしまいますので,ここはあらかじめ省いておくということを判断するということは,妥当性があろうかと思います。

録音に関して,1点。質問も兼ねるんですが,今子委員が発表された資料3の最後のページの3と4のところを御覧ください。

3のところには,「コンテンツの利用に係る対価は全て契約で処理され,契約によって,マルチデバイスでの視聴が可能」という一文がございます。

4のところにも,「ストリーミング型,サブスクリプション型に続いて,ダウンロード型のいずれの場合にせよ,コンテンツの利用に係る対価は契約に基づいて処理され,消費者は対価を支払って,音楽を視聴している」という記述がございます。

アジアインターネット日本連盟の構成員の方を考えますと,Googleさん,Amazonさん,Appleさんが含まれておりまして,この3社は,音楽配信のサブスクリプションサービスとしては,大手と言って,過言ではございません。その方々の御意見として,この意見の3及び4の記述があるということで,今子委員に,いま一度,その辺りは御確認をしたいと思います。

【末吉主査】どうぞ,今子委員。

【今子委員】そうですね,今,御指摘の資料3の3と4のところは,ストリーミングサービスやサブスクリプション型のサービスを提供している社の属する団体としての立場として,書かせていただいた内容になります。

【末吉主査】ありがとうございます。

河村委員ですか。すみません,河村委員。

【小寺委員】今の件で。

【末吉主査】まだありますか。どうぞ。

【小寺委員】今の御意見を受けて。スマートフォンと汎用機器においても,音楽に関して,配信事業者の方から,既に契約によって対価の還元は行われているということが,御確認いただけたかなと思います。

【末吉主査】続けて,河村委員,どうぞ。

【河村委員】松田委員の御発言に対してなんですけれども,実効性があるかないかは,ともかく,あるいは,実効性がないことが分かっていたけれども,憲法上の問題があって,財産権の侵害ということがあるから,返還制度は入れざるを得なかったんだというお話がありました。返還制度については,資料1別紙のところの1ページに,私の意見が書いてあります。

返還制度が入ったとき,指定された機器というのは,専用機でしたから,録音録画に使う人の割合,蓋然性が高かった。実効性がなくても,それでも,まだ,そういう制度が入る余地があったかもしれません。

私,高杉委員の御意見にびっくりしたんですけれども,PCの21.4%だとか,スマホのユーザーの16%がとおっしゃいましたが,PCユーザーの80%がしない,スマホユーザーの84%がしない中で,とりあえず,100%から取っておいて……。

【高杉委員】取ると言っていないですよ。

【河村委員】ウェブで払うということですか。

【高杉委員】いえ,いえ,私が先ほど申しましたことは,メーカーの方から,その割合の分だけで,補償金をもらうということを申し上げた。全体から取るとは言ってないです。

【河村委員】ウェブを使ってということは,何の話だったんでしょうか。

【高杉委員】いや,返還制度は,返還制度として,今,条文上ありますから,それの改善は改善として必要なんではないでしょうか。

他方,汎用機を対象とする場合に,今,河村委員の方からもあったとおり,過半かどうか分かりませんけれども,多くの人から最初に取るのはどうかという御指摘があったので,それでしたら,最初の段階から絞り込んだらどうでしょうかということで,メーカーさんを経由して,指定管理団体に払ってもらっていますから,メーカーさんが,全て出荷量を申告して,補償金を納めていただいているわけです。

その段階で,割合を掛けたらどうでしょうかということを申し上げたんです。

【河村委員】だとすると,返還制度がなくなること前提のお話と考えてよろしいんでしょうか。両方おっしゃったので,ちょっとよく分からなかったんです。

【高杉委員】この仕組みでやるとすると,返還制度はない方がいいと思います。

【河村委員】ウェブの件は,例えばということだったんですか。

【高杉委員】ウェブの件は,専用機がまだありますから,それについては,残ったままでよろしいんじゃないでしょうか。

ただ,改善が必要だから,インターネットの申請で,完結できる制度ということで,お話ししました。

【河村委員】すみません,もう少し続きます。

大渕主査代理がおっしゃったことにも質問したいんですけれども,私は,龍村委員の書いた御意見の中にある言葉,法的地位の取得対価という言葉に,何だか,消費者がそんなことを言われる筋合いはないのではないかと思って,聞いていたんですけれども,松田委員がおっしゃったみたいに,導入せざるを得なかった返還制度,財産権の侵害というものが,一個人ではなくて……。

憲法の考え方は,個人の権利だと思うんですけれども,集団的なパーセンテージという考え方に変えただけで,憲法上の問題がなくなると考えてよろしいんですか。

【大渕主査代理】個別にやるのか,集合的に扱うかということについて,そもそも,私的録音録画補償金制度は,個別で一個,一個捉えることがとてもできないというところから出発していますので,その現実を踏まえることが肝要かと思います。

その現実を踏まえてできた制度なのですから,それを前提として集合的に考えるという思想の上に成り立っていますので,また個別に戻すということは,先ほど,かえって,分かりにくいと言われたところにつながってくるのではないかと思います。

絞り込むかどうかは別としても,仮に取って,後から戻すという,しかるべき個別のものに戻すという発想自体に無理があると理解しています。そのような趣旨であります。

【末吉主査】ちょっといいですか。

奥邨委員。

また,そちらへ参りますので。

【奥邨委員】申し訳ございませんが,高杉委員のおっしゃっていることがよく分かりません。メーカーから取るということは,メーカーを支払義務者とした場合という前提が付かないと……。途中で答えていただかなくて,結構です。まだややこしいと思います。

今の法律の立て付けは,ユーザーが払うということに,どういう場合もなっていますので,八十何万台だけということであれば,5台のうちの1台は補償金が乗っているけど,4台は乗っていませんというやり方をするということですか。

そうではなくて,総額で払うと,ユーザーとしては,結局,薄くても,払っているんです。5分の1は払っているということになるので,それは,理屈としては,ちょっとよく分からないです。

【高杉委員】そうですね。そこは御指摘されると思ってはいたんですけれども,対メーカーと管理協会との関係は,それで整理できると思うんです。メーカーが,結局,それを消費者に転嫁するかどうかということですよね。

【奥邨委員】いや,今の法律が,個々のユーザーが買うときに払うと書いてある以上,それは,法律の制度を大きく変えるということを前提に御説明いただかないと,今の話は成立しないのです。

私が言っていることは,そういう御提案は,それは,それで構わないんですけど,全部,その重要なところをすっ飛ばしてしまうと,先ほどのように,ちょっと議論になって,もめてしまいますので,それでなくても,ややこしい議論がややこしくなるのではと思ったということです。横から見ていて思いました。

【末吉主査】(2)の議論ですよね。誰を義務者とするのかということと連動するんではないかということが,奥邨委員の。

【高杉委員】分かりました。

【末吉主査】すみません,理論的な話なんで,高杉委員が違う意見だったら,それは,それでしようがないと思うんですけど,大体,ここら辺の争い具合は分かりましたので,ほかの御意見……。

どうぞ,世古委員。

【世古委員】大渕主査代理の方でまとめていただいたように,私も意見としては,媒体の場合は私的録画を行わないことを事後に証明するということは可能だとは思いますけれども,機器の場合は事後に私的複製を家庭内で行っていないことを証明することは非常に困難です。

そもそも,家庭内の複製行為を規制することは困難なのだから,個別にライセンスする場合の利用者あるいは権利者のコストといったことも考慮して,包括的に補償金という制度で権利保護と公正利用のバランスを図ろうとした制度であるわけです。

同様に考えますと,機器を購入しても,家庭内で複製行為をしなかった場合について,返還制度に実効性を持たせようと厳密にしようとすればするほど,双方にとって負担が大きくなってきますので,龍村委員,松田委員,大渕主査代理,あるいは,以前椎名委員も同じようなことをおっしゃっていたと思いますけれども,私的複製可能な機器の購入者が補償金を支払うことによって,自由に合法的に私的複製ができるという地位を得ると位置付ければ,返還制度の実効性を殊更議論しないでもよいのではないかと思っております。

当然,現行の制度の上で,高杉委員からありましたような返還制度を持たせるのであれば,簡便性ですとか,いろいろそういったことは考えなければならないと思います。私の意見としては,以上のとおりです。

先ほどございました今子委員の御提出の資料に対して,3,4,5に書いてある部分については反論がございますが,それは,5のところでしたいと思っております。

以上です。

【末吉主査】すみません,切るんではなくて,今,問1だけをやっている感じになっていますが,だんだん,もっと広がってきたので,問1,問2を併せて,御議論いただくという趣旨で,話を前に進めさせていただきたいんですが,問2の,つまり(4)から(6),これは資料1の3ページでございます,この三つの論点についても,ここで含めまして,御意見を更に頂きたいと思います。

問2で伺いたかったところは,録音についての現実的かつ実効的な解決策について,御意見が伺いたかったというものでございまして,今のところ頂いております御意見を踏まえますと,ダウンロード型音楽配信については,ダウンロード以降の私的複製に係る補償の要否については,どうも見解の相違があるという点がうかがわれます。

パッケージソフトについては,購入時やレンタル時に対価を徴収するモデルを検討すべきだという御提案も頂いておりましたけれども,逆に,それは現実的に実効可能なのかというような疑義が呈されているというところが,ポイントではないかと思います。

幾つか論点が既に出ておりますけれども,契約手法には,限界があって,補償金による対応が必要となる場合には,問1で確認した汎用機器を補償金制度の対象とすることに関する課題との関係で,どのように現実的な解決策を講じることができるのか,具体的な方向性が必要だろうと。つまり,汎用機器まで広げると,論点が広がりますねという御意見を,ここでも更に頂いているというふうに理解をしております。

失礼しました。それでは,更に御議論をお願いします。

どうぞ。

【椎名委員】元々,そもそもの話として押さえておくべき話として,私的録音補償金制度が発足したときには,SCMSというDRM,コピー禁止技術が施されていた専用機でしか,複製ができなかったわけです。

これは,CDからMDに録(と)ったり,CDからCD-Rに録(と)ったりして,複製ができたとしても,そこから先のジェネレーションには行かない。いわゆるワンジェネレーションのコピーを容認した技術で守られている中で,補償金制度が運用されてきた。

ところが,パソコンを中心に,そのSCMSという保護技術が一切実装されていなく,CDを入れれば,CD-Rも焼けるし,ハードディスクにもコピーできる。そのコピーしたCD-Rから孫を作ることもできるし,ひ孫も作ることができるという実態が生まれたことが,補償金制度の対象として,汎用機器を議論しなければならなくなった原因なわけです。

そういう機器を使って,複製をしている人たちが,どう思っているかという調査の結果が明らかだと思うんです。録音でもそうですけど,録画でもそうだったように思います。国民的理解が得られない制度だということは,慣用句的によく聞く話ですけど,はっきり申し上げて,一部の方々の理解が得られてないだけではないか。

録音に関しての調査ですと,2000年当時と同じ質問で,録音ができなくなったらどうしますかといったら,やはり,一定程度の人たちが困ると答えた。録画に関しても,ええっ,ちょっと待ってよというふうに答えた。

この現実感こそが,非常に大事であって,先ほど申し上げたように,汎用機を対象とせざるを得ない理屈というのは,実態の推移の中で,今,ユーザーの利便性の中で,どういう位置付けになっているかということが議論されなければならないわけで,汎用性があるから,憲法違反であるとか,そういう話に行ってしまうと,そもそも話がおかしくなってくるように思います。

僕も,大渕主査代理のおっしゃったことと同じようなことを書いたんですけど,結局,都度,都度の許諾を得るよりは,はるかに低廉な補償金の負担によって,第30条1項による複製を,適法に行える地位を得るということの周知に,むしろ,力を注(そそ)いだ方がいいんではないかなと,返還制度に関しては思います。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【奥邨委員】返還制度を含めてのところで,小寺委員,今,椎名委員からお話があったことも含めてなんですけれども,拝見していますと,この実態調査を見た感じとしては,汎用機というのは,何を意味しているのかということも,録音の場合と録画の場合とでは,かなり違うんではないかなという気がします。逆に言うと,今,仮に指定されていないものを汎用機だと言うんだとすれば,というレベルでしか,議論に共通点がない状態になっているかと思います。

拝見しますと,録画については,汎用機といっても,ハードディスク内蔵の録画機器,若しくはテレビにハードディスクが内蔵されているものが,ほとんど利用されているわけであって,パソコンは1割ぐらいあるかどうかというぐらいであって,ここで言う汎用機というのは,ハードディスクを使っているということぐらいの意味ではないかと。だから,汎用機の次元が若干違うのかなと。

一方で,音楽の場合は,先ほど高杉委員からありましたように,より広いもので,どちらかといえば,使われているものは,そういうものではなくて,パソコンが使われているということなのです。制度設計においても,実態をある程度反映していくということであれば,今までは録音と録画が一緒ではあるんですけれども,作り込みのところでは,差を考えていかざるを得ない。

だから,どちらかといえば,音については,より広く網をかぶせるということになるんであれば,より広く返還する必要も出てくるだろうし,録画の場合は,網がそもそも狭い,網を掛ける範囲が狭いんであれば,一般的な汎用機の問題は余り出てこないんではないかということです。

私自身は今回の調査を見せていただきますと,日本の私的録音録画の特に私的録画については,みんな,ほぼ自分が見るため,若しくは,家族が見るために録画をして,1回見たら,ほとんど消してということで,30条で決まったとおりに,よく運用されているんだなと思いました。

その傾向がそんなに変わっていないんですから,少なくとも録画に関して,大きく変わる必要はないんだけれども,今ちゃんと取れていないところがあるんだったら,そこをどうするかということを考えていくべきであって,録画について,より広い,現状もないような汎用機の議論をする必要があるのかなと思いました。

一方で,音については,若干,録画よりも,状況は汎用化しているので,そこをうまく担保する方法があり得るのか,ないのかというところは追求していくということにしないと。

両方一緒にすると,話が……。一緒にしないといけないところがあるんですが,作り込みのところでは,考えなければいけないのかとは思いました。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがですか。

どうぞ。

【太佐委員】すみません,先ほどの流れで,問1,問2の両方をカバーしているところになるかと思うのですが,一部,奥邨委員が御指摘されたことでもありますが,補償金返還制度の絡みのところで,1点。先ほど,集団的存在としての購入者層を想定して割合的徴収を行う方式のことをおっしゃっていました。

これについては,本質は余り変わらないのではないか。つまり,私的録音録画しない人も含めて,薄く,広く集めると言っているにすぎなくて,そういう本質的なところの議論は変わらないのかなと思っております。

30条自体は,私的録音録画を行う者,すなわち利用者が支払の義務者という構成になっているところ,更にこの「購入者層」を想定するというのは,ハードルが非常に高い仕組みで,法改正をしないといけないのだろうという想像がつきますということで,今の汎用機への課金の問題を解消する本質的な回答には,余りなっていないように思います。これが1点です。

ネットで返還請求すれば手続が簡便ではないかというお話もありましたけれども,紙であろうが,ネットであろうが,面倒なものはやらないのが,多分,人情というものだろうと思います。今,書いていただいている範囲でも,本人認証がどうこうと書かれていますので,ネットだから余計やらないという人たちも逆にいるんではないかということです。

そういう意味で,私自身,どうしても,汎用機を対象にして課金をオプトアウトのような形式で行うというのは,やはり,どうしても無理があるように思います。やるのであれば,これをどうするかということですが,議論はあるでしょうが,オプトインのような形で,一定の確実性をもって私的録音録画をしますよという人たちから徴収できるような仕組みがあることが,まだ理想形だろうということで,先ほどの問2のところにつながります。

例えば,パッケージソフトであれば,レンタルの場合には,店頭でそれを徴収するということが,意思表示もできるわけですし,直接,利用者に近いところからの徴収ができるということで,より納得性のある制度になるのではないかと考えているということでございます。

もう一点,ダウンロード型については,ダウンロードした後は複製できるだろうというお話は,もう耳にたこができるほど,何度も伺ってはいますけれども,補償金というのは,そもそも私的複製があるから補償金というわけではなくて,これはもう釈迦(しゃか)に説法ではございますが,私的複製は必要条件ではあるかもしれないけれども,十分条件ではない。私的録音録画があって,そこにもう現状のビジネスモデルでは回復できないような経済的不利益があって,それをラフに拾い上げるということで,補償金制度があるのだと考えております。

そういう意味で,仮にダウンロードした後の複製ができる・技術的には可能だという事実と,そこで個人的視聴の範囲を超えて権利者の方に不利益を与えるような利用形態があるかという実態については,今のところ,それを結びつけるようなものはないのではないかと考えております。ですので,ダウンロード型についても補償は不要であろうということです。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【椎名委員】1点,言い忘れてしまったんで,追加なんですが,小寺委員が,あらかじめ返還請求が大量に発生するようなものは,除外しておく方がいいんではないかということをおっしゃいました。僕も全くそのように思っていまして,逆に,私的複製機能のない汎用機をメーカーさんが作ってくれれば,それは,それで,全くその制度の外側に置けばいいだけの話です。

コンシューマーユースで,CDもコピーできますよ,映像もコピーできますよ,まあ映像の場合は,主として専用機ということになろうかと思いますが,録音に限っていうと,CDのコピーができますよ,音楽ファイルがコピーできますよというものと,製品ラインを変えれば,それは,もうあらかじめ,除外すればいい。あるいは,企業が一括購入する,例えば,企業や団体が100台買いますといったパソコンが,私的複製に使われる可能性は低いわけですよね。そういったものを,あらかじめ,除外しておくという知恵もあるんではないかと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【高杉委員】ユーザーの立場から見た場合に,確かに私的録音をしないユーザーも,もちろんいるとは思うんですけれども,私的録音をするユーザーにとって,補償金制度は,購入時1回払いですから,機器が壊れるまで,何回でも,何十回でも,私的録音できるわけですよね。そういう意味で,消費者にとって,利便性の高い制度であるという側面があることは,やはり,忘れていけないと思うんです。

太佐委員から,30条2項,私的録音を行う者に対して,権利者が直接請求するのが,制度の本質だという意見が出ていると思います。これは管理協会が直接,その購入者に対して請求すればいいという趣旨でおっしゃっているのでしょうか。

【末吉主査】いかがでしょう。

【太佐委員】私は,ただ単に,現状こうなっておりますねということを申し上げただけでございますので,そうすればよいという趣旨で発言したことではございません。

【高杉委員】そうしますと,例えば,購入者のリストを出していただいて,補償金管理協会が直接,補償金を請求するということも考えられると思うんですが,これは,消費者にとっても,非常に不毛なことでありますし,コストも掛かるし,必ずしも,それは,社会全体にとっていいとは思えないんです。そうすると,やはり,購入時一括払いの補償金の方で,検討するしかないと思うんです。

レンタルについて,オプトイン方式の話がありましたけれども,そうであれば,今,対象機器を販売するメーカーさんの方が,購入者に対して,私的録音の有無を確認して,私的録音をする方だけ,補償金を徴収するというシステムはできないでしょうか。

【末吉主査】どうぞ。

【太佐委員】この辺りは,社会的コストの議論なのだろうとは思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

すみません,先ほど,奥邨委員の方から,録画の話を含めて,御意見を頂いたので,もう少し議論の範囲を広げたいと思います。

まだ,全体について御議論を頂ければいいんですけれども,問1,問2に加えて,問3がございまして,これは(7),(8),3ページから4ページにかけて,伺わせていただいたところでございまして,これは録画について,現実的かつ実効性ある解決策をお尋ねしたものなんでございますけれども,特に本日報告がありました私的録画の実態も,先ほど,奥邨委員はそうだと思いますけれども,実態を踏まえて,御意見があれば,どうぞ。この点を含めて,どうぞ。

どうぞ。

【小寺委員】本日の議論で,一定の方向が見えたところで,こういうことをまた申し上げることは,心苦しいことではあるんですが,資料1別紙の(8)に,私が意見を書かせていただいた部分が,調査資料と関連する部分がありますので,その部分だけ,少し言及をさせていただければと思います。

ページでいうと,11ページです。(8)のところの私の意見の後半部分なんですけれども,テレビ録画機能に関して言及をしております。この時点では,まだ調査資料が出ておりませんでしたので,私としては,予測を書いたつもりでございます。実を言うと,個人的な意見なんですが,テレビが直接録画できるということは,比較的画期的な機能でありまして,実はもっと伸びると思っていたんですが,実際の調査の方を見ると,調査の方では,資料2の9ページと49ページを併せて御覧いただければと思います。

9ページの方からまいりますと,比較になっておりますけれども,録画機能付きテレビ,上から7行目ぐらいのところでございますけれども,横の方から見ると,実は機能付きテレビは,かなり使われなくなってきている実態がございます。

49ページです。先ほど御紹介した同じ資料になりますが,そもそもテレビに内蔵されていれば別ですけれども,わざわざ買って外に付けるという行為もほとんどしていないということで,このタイプの機能は,私的複製をするという蓋然性が非常に低くなっているという事実は御指摘をさせていただければと思います。

【末吉主査】どうぞ。

【椎名委員】録画というものを考えたときに,確かに,奥邨委員が御指摘のように,今,小寺委員もおっしゃいましたけど,現状はほとんど専用機器で行われている。そういう実態があるというところだと思います。

唯一,関係が出てくるとすれば,繰り返しお話ししました画面収録の話,それは,本当,画面収録が私的複製である場合には,関係してくるとは思うんですが,そこら辺で,現状では専用機器を専ら用いて行われている実態があるということだと思います。

そこは,議論の余地はないと思いますが,逆に言うと,専用,汎用ということではなくて,実態がそこにあるから,それが対象になるという話であって,実態が推移していくのであれば,それに応じて,対象をポインティングしていけるような制度にしておけばよいのではないかなと思います。

実際に,専用,汎用というふうにラベリングして,その違いで議論しても無意味ではないかというお話も,かなり前にあったと思いますが,やはり,実態に即してというところで見ていけば,そのような考え方が成り立つんではないかと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。失礼しました。

【世古委員】録音の関係についてもよろしいですか。

【末吉主査】どうぞ。

【世古委員】パッケージソフトに係る対価還元策につきまして,河村委員からのレンタルCDに関する御意見で,複製分がプライスインされているとのレンタル団体のウェブサイトの記述と,以前の委員会でのヒアリングで説明が食い違うというようなことが書かれていますけれども,これにつきましては,たしか,2016年1月29日のヒアリングで,レンタル事業者団体は飽くまでも貸与権という権利の許諾を得る対価として使用料を払っているということをちゃんと説明しております。そのときの議事録あるいはその後の審議経過についても,レンタル料金に私的複製の対価は含まれていないときちっと整理しておりますので,その点,誤解のないように指摘させていただきます。

それと同様に,これまで,いろいろプライスインされているのではないかという部分につきましても,全て,前回私の方でお話ししましたけれども,コンテンツの販売であれ,あるいはレンタルであれ,レコード会社さんやレンタル事業さん,更に言えば,配信事業者さんや放送事業者さんも,コンテンツを消費者に届けるために複製権や貸与権あるいは公衆送信権といったような必要な支分権の権利処理を既に行っています。

ですので,現在は使用料の中に消費者による私的複製についての対価相当額は含まれていないということは事実でございますので,そのように御認識いただきたいと思います。

では,今はそれぞれのコンテンツ提供事業者さんには,消費者による私的複製の対価,補償金の徴収についての協力義務がないのであれば,今後はそこを改正して私的複製の対価を使用料に上乗せして徴収する方法があるのではないか。それは,消費者と近いところだし,既に権利者に対して複製等の使用料を払っているというような部分なので,補償金を上乗せするということはいいだろうというようなことが御意見として散見されますけれども,それは非常に乱暴な話だと思います。

正規に手続を経て消費者に届けられたコンテンツを,家庭内で複製するかどうかということは,消費者の利用行為でありまして,コンテンツ提供者にはその責任は一切ないわけでございます。

消費者は手に入れたコンテンツを,そのまま聞くのではなくて,今やいろいろな機器や媒体といったものに複製して聞くスタイルが一般的だという御意見もございますけれども,そうであるからこそ,消費者のそのような視聴方法を可能にする機器といったものを提供して利益を上げている当該機器メーカー等が,権利者への補償をするべきではないだろうかと考えております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ,河村委員。

【河村委員】世古委員のおっしゃったレンタルCDの委員会でのことは,ここにも書きましたとおり,議事録で残っているものは,プライスインされていないということで,間違いないんですが,その前日ぐらいまで,事業者団体さんのウェブサイトには,プライスインされているというものが出ていたので,その点をそのとき御質問したんですけれども,していないんですの一点張りで,どうしてプライスインしているという内容を前日までウェブサイトで表明されていたのかなということが分からなくて,お聞きしたんです。それは,もうここでお話ししても,結論は,ヒアリングの議事録に残っている部分だと思います。

意見が書かれているページの7ページのところに,自分の意見として,レンタルCDのところに書いたんですが,もしプライスインされていないとするならば,こういうことができるのではないかと書いたことは,結局,買った人が録音録画するとは限らないけれども,逆に言うと,先ほど大渕主査代理がおっしゃったみたいに,していない人でも,割合的に取っていいんだとか,そういう意見が,補償金の議論をするときに,聞こえてくるのであれば,そうであるならば……。

複製を許諾しました,もうこれは30条ではありませんとか言われるようなやり方ではなくて,全く今までとは違うやり方だと思いますけれども,皆さんが今おっしゃっている,いわゆる補償金として,レンタルしたとき,もっと言えば,もしどうしても補償金だと言うなら,パッケージのCDもそうかもしれません。私は,もうプレイスシフトが多いので,要らないと思っておりますけれども……。

そこで,補償金として,レンタルやパッケージのところに乗せるというやり方は,今まで一度も聞いたことがないんですが,私は,なぜそれがいいと思うかの大きな一つの理由は,そのクリエーターに補償金が行くからです。それは,権利処理した云々(うんぬん)ということとは別の,消費者から預かった補償金として,当該クリエーターに行くということは,今の補償金の流れより,消費者から見た場合,確かに自分が応援しているクリエーターに行くわけですから。

どちらにしても,不公平があるものだとおっしゃっている委員がいっぱいおられるのであれば,録音するか,しないかという不公平の方をとって,当該,自分が応援している大好きなクリエーターに行く補償金で,以後の録音は,30条の中の私的なものであるという整理の可能性を,どうして誰もおっしゃらないのかなと。そういうことは,全く無理なんだろうかと思って,今まで言ってみなかったんですけれども,私の中では,もしどうしても補償金だと言うなら,そういう形もあるのではないですかと。ここにも書きましたけれども,そういう意見でございます。

【末吉主査】どうぞ。

【椎名委員】どうして誰も言わないかと言うと,やはり,ユーザーが私的複製をする,利益を被る,権利者は私的複製をされる,不利益を被るという立て付けの中で,メーカーさんは,複製できる機械や手段を提供して,利益を上げている。この3者を何とか調整しましょうということが,補償金制度の趣旨だと思っていて,ヨーロッパでは,その手段の提供者を直接的に支払義務者にしてしまっている。日本の場合は,ユーザーさんを支払義務者にして,メーカーさんを協力義務者にしている。この違いはありますけれども,この3者間の利害調整の視点があるわけです。

河村委員がおっしゃったとおりの制度にした場合は,メーカーさんは無罪放免になってしまうわけです。メーカーさんは幾ら利益を上げようと,調整に関与する必要がないというところになってくるから,無罪放免は非常に不適切な言葉だったかもしれませんが,この制度の3者の関係性からいって,河村委員の御提案になったものは,メーカーさんの関与という一つの重要なポイントが欠落してしまうということを申し上げたい。

【末吉主査】どうぞ。

【河村委員】椎名委員の御持論がそうなのは,かねて知っております。理屈としては,一理あると思っておりまして,だからこそ,この委員会が始まるときに,利益の調整ということをおっしゃったんですけど,どなたか委員から,それは,著作権分科会の話ではないということになったわけなんですが……。

これは,何を言いたいかと言いますと,椎名委員の気持ちはそうかもしれませんけれども,補償金制度を入れた理念は,本当にメーカーに利益があるからなんですか。だって,協力義務として挙げられていて,消費者が権利者に損害を与えるから,補償金を払うということになっていて,そこには3者の何とかがあるというふうには,私は,理屈としては,一度もそれを聞いたことがなくて,ただ,解決方法として,その形を全く変えて,権利者側の方とメーカー側の方が,もう補償金とか,そういうことではなくて,話を付けるんだと。文化庁ではなく経済産業省的な解決かもしれません。

それだったら,ここではないと,どなたか委員が最初の頃におっしゃいましたけれども,そのとおりだと思っておりまして,心はそうであっても,ここの理屈は,3者のメーカーに利益があるから,そこに義務を課すべきということが,本当にあるのかどうかを教えていただきたいと思います。

【末吉主査】ちょっといいですか。今,椎名委員に,またマイクを戻しますけど,だんだん議論が,いっぱい広がってきてしまうので,時間との関係で,問4,問5を含めて,この俎上(そじょう)にのっけたいと思うんですけれども,これは,4ページ,(9),(10)についても含めて,御意見を伺うことにしたいと思います。

これまで頂いた御意見を拝見いたしますと,特に(10)につきましては,今後,補償金制度に当面の手当てを行う場合に,どのような状況になれば,その見直しが当面でなくなるかという点につきましては,ほぼ30条の在り方と併せて御検討を頂いているということが,今回頂いた意見の中から,非常に明らかになったのではないかと思います。

それでは,更に御意見を頂きます。

まず,どうぞ。椎名委員から行きますか。今の点ですね。どうぞ。

【椎名委員】補償金制度,そもそもの話になる。法的な考え方,位置付けについては,先生方から御説明いただければいいと思いますが,長い間,この3者が,ステークホルダーとして,ここに座って,調整をしてきた,議論をしてきたから,この3者の関係性を表現しているのが,補償金制度であることは間違いないということがあると思います。

利益調整をするべきではないという発言があったということをおっしゃったので,本日,欠席されていますけれども,岸委員がおっしゃったことは,産業間調整の視点を持つと,ややこしくなりますよということをおっしゃったんです。だから,産業政策論として,話をすると,隘路(あいろ)に入ってしまうよということをおっしゃったんであって,利害調整をしてはならないということをおっしゃっていたら,この会議は成り立たないですから,そういうことをおっしゃったんではないと思います。

【末吉主査】すみません,椎名委員の言われることも,河村委員の言われることも,非常によく分かりました。論点が明確となりました。この点は,そこまででよろしいんではないでしょうか。

【椎名委員】はい。

【末吉主査】ほかの点はどうですか。何かあれば。

世古委員からいきましょう。ごめんなさい。お待ちください。

【世古委員】河村委員に御質問ですけれども,河村委員のおっしゃることは,そうしますと,私的複製をする消費者が,例えば,コンテンツを入手するときに,購入あるいはレンタルするときに,補償金を上乗せしてお支払いになるということでよいですよというお話ですか。

【河村委員】それを提案しているというよりも,どうしても補償金制度を何らかの形でやるとするならば,それが避けられないのだとするならば,私がよいと思うことは,コンテンツのクリエーターに確かに行く形であって,しかも,非常に低額な補償金を,お売りになる方やお貸しになる方がお預かりされて,クリエーターに行くということになれば,クリエーターへの配分はとてもフェアですねということです。コンテンツにかけるとすれば非常に低額になると思います。

【世古委員】全くそのとおりだと思います。消費者が自分で複製することについて,コンテンツを入手したときに,私は複製をするので,その分の補償金を上乗せして支払いますと。当然ながら,そのときに頂いた使用料は,事業者さんのお支払になった複製使用料もそうだし,消費者から頂く補償金の分配もきちっと権利者に行くと,そのとおりだと思います。

でも,それをすると,ライセンスと一緒になります。ライセンスが可能ということですよね。

【河村委員】ライセンスの話になると,許諾をしたんだから,それは私的複製ではないとか,30条の範囲がもう狭まっていくという話になるから,そうではなくて,補償金として。機器に補償金が掛けられるのに,どうして,パッケージには不可能なのでしょうか。私は,それはライセンスのことを提案しているのではありません。

ライセンスと言った途端に,30条縮小論とセットになってしまうので,許諾ではなくて,補償金です。どうしても補償金が必要というということなら,そういうやり方の可能性がないのか,という問いかけです。

【世古委員】でも,我々は今の制度は,私的複製の都度補償金を支払うことを前提にしていないから,今の河村委員のお話のようなことはしてこなかったんだと思うんですけれども,そういったことではなくて,消費者が複製についての補償金といったものを,その都度お支払いになるということがいいのではないかとするならば,30条1項は要らなくて,その都度ライセンスで処理できる問題になるのではないでしょうか。

【河村委員】もし,そういうふうにとられるのであれば,撤回します。

【末吉主査】分かりました。両委員がおっしゃることは,非常によく分かりましたので,この議論はそこまでにしませんか。

ほかにいかがですか。ほかの点で。

どうぞ。

【太佐委員】先ほどからメーカーが悪者扱いされているようで,利益を上げているんだから,当然,支払いなさいというような……。世古委員がおっしゃった,だから利益を上げている機器メーカーが補償金を支払うべきであるという,そこの最後のロジックがどうしても分からないので,ここは,何度でも,何度でも,疑問を呈していくしかないかなとは思っております。

私,資料1に含まれているJEITAのコメントとしても入れさせていただいたのですけど,今回,改めて,知財高裁の判決,つまりSARVHさんと東芝さんのケースで争われたものを読ませていただきました。

先ほどのメーカーの義務のところで,いわゆる上乗せ徴収・納付方法で機器メーカーが協力義務を負うという点についても,言及はされております。その中で,要は,義務というのは,法文上,一義的に明確ではない。

この「一義的に明確ではない」ということは,さんざん,判決文の中でも述べられていて,例えばとして,そこで書かれているのは,いわゆる特定機器の製品パッケージに,購入者が補償金を支払う義務があることや支払先等を表示する方法もありますと。これは,私が言ったことではなく判決文に書かれていることです。他にも,例えば,特定機器の売場において,製造業者等が自ら又は製造業者等から委託を受けた販売業者が,購入する者から徴収する方法などの想定がされるのであるから,一義的ではない,と書かれています。

つまり,法律上,立法趣旨等々を鑑みて裁判所が言及しているのは,こういうことでございますので,機器メーカーが一律に補償金を支払わねばならないということのどこにロジックというか根拠があるのかと言われると,正に話合いの結果,妥協の産物として,作られたものだと。これは,もう,皆さん,多分,周知の事実なのだろうと思います。であるならば,そういう前提で,ほかのそういう方式もあるわけですから,そういったところも含めて考えてはいかがということを,繰り返し述べさせていただきます。

先ほどライセンスか補償金かという話がございましたけれども,現に裁判所もそういうふうに言っておることでございますので,その辺も念頭に置いて,話をしていただきたいなと思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。今の太佐委員が引用されたのは,資料1別紙の5ページのところに,太佐委員がまとめておられる知財高裁にて,御議論を,今……。

【太佐委員】そうですね。2ページですとか,何か所か知財高裁の判決文から,9ページですとか……。

【末吉主査】9ページもありますね。

【太佐委員】知財高裁の方からの引用したものがございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

【太佐委員】先ほど,言及したところは,長くなるので,JEITA意見のところでは書かなかった箇所でございます。

【末吉主査】分かりました。ありがとうございます。

以上,大体,総論を中心に伺ってきたんですけど,実は,前回は各論の話もいろいろ御議論いただいていまして,本日の資料1の5ページ以下に,それをおまとめしているんですけれども,本日は,前半部分を含み,5ページ以下も含めて,何かまだ議論が足りないところを,最後,時間まで,皆様方から伺ってまいりたいと思うんですが,いかがでしょうか。

どうぞ。

【高杉委員】今の太佐委員の御発言で,知財高裁の判例が出ましたけれども,「104条の5にいう「協力」の内容が,機器等の出荷価格への「上乗せ徴収・納入方式」であるとは「一義的に明確ではない」」という判断が出たからこそ,長年にわたってやってきている上乗せ徴収・納入方式を,協力義務の内容として明記すべきではないかと,私は主張しています。メーカーにとっても,今までやってきていることですから,明確化することに,何か不都合があるとは思えません。

以上です。

【末吉主査】どうぞ。

【太佐委員】それこそ両論,どちらのベクトルにも動く話だろうと思いますので,必ずしもそういう帰着になるとは限らないという点だけ,付言させていただきます。

【末吉主査】両論あるということですよね。

どうぞ。

【椎名委員】総論というわけではないんですが,先ほど,当面ということをどう考えるかという辺りまで行ったと思うんですが,AICJさんの御意見の中にも,複製のない世界,アクセス型の世界ができるんだという話,従来,契約と技術で対応ができるんだ,全てライセンスでやればいいんだというような話が幾つか出てきているんですが,先ほど申し上げたことと繰り返しになるんですが,実態調査の結果は,そうはなっていない。現状で,一定程度の私的複製のニーズがあって,おい,おい,やめられては困るよということが,今の実態だと思います。

そうすると,当面をどう考えたらいいかということになるんですが,やはり,実態に即して,私的複製がシュリンクしていけば,制度がシュリンクしていけばいい。また,私的複製が増えてくれば,補償金を手厚くしていけばいいというふうな柔軟性のある制度に落とさざるを得ないんではないかと思います。

先ほど,ライセンス料か補償金かという話が出たんですが,僕も伺っていて,都度,都度,ユーザーからお金が徴収できるんだったら,それはライセンスにしてしまえばいいだけの話ではないかなと思って,聞いておりました。

以上です。

【末吉主査】どうぞ。

【奥邨委員】もう一言だけ。当面の部分の考え方については,私は,今の椎名委員のお考えに全く賛成です。実態に合わせて,柔軟に対応していける形であればいいし,私自身は,今回の実態調査を見る限り,録画については,そんなに大きく世の中が変わったのかなと思います。もうちょっと変わっているような気もしていたんですが,それほど変わってないということであれば,あとは現状に対するいかなる手当てをするか。

先ほど申し上げたように,音楽については,多少,いわゆるパソコン等々が入ってきているのをどう扱うかということであって,更にその先のもっと先の将来ということまでが,両方の調査から見えているのかといえば,それほどのことでもなかったのかなという気がしますので,そこまでの先を見て,どうこうするということは,ちょっと混乱するのかなという気がいたしましたので,当面というのは,この実態調査から見える範囲を前提にしていけばいいのかなという気がいたしました。

以上です。

【末吉主査】奥邨委員,ありがとうございました。今のおまとめのとおりだと思いますので。

いかがですか。

河村委員,どうぞ。

【河村委員】お嫌かもしれませんが。

【末吉主査】いえ。

【河村委員】資料2の録画の調査結果についてなのですが,ここにはパーセンテージがいっぱい出てくるんですけど,録画の総量がどう変わったのかということになると,こんなにページ数があるのに,意外と見えない調査なんです。

かなりちゃんと見えたなと思うものが,43ページに書いてあるんですけれども,最初の頃に送ってくださったものには数についての分析は書かれてなかったんです。

このページには,「自分で保存しておくため」が88.8%ですと書いてありますが,nのところを見ると,過去1年間にブルーレイディスク,DVDなどのメディアに,コピー(ダビング)した方にお聞きしますといって,そのお聞きした方を抽出してみたら,4年間で,1,629人から1,188人に減っているんです。

これは二次調査の人ですから,全体ではなく,録画をしたことがある人の53%がメディアに入れていたという状態から,録画している人の39%がメディアに録画しているという。4年間でこの変化です。私は,最初分析がなかったので,自分で計算したのですが,これは人数で言うと,25%減なんです。4年間で,こういう傾向が出ています。もうメディアには入れなくなっていて,ほかの委員もおっしゃいましたけど,大体ハードディスク等に入れて,1回見たら,消してしまうというタイムシフト,プレイスシフトという傾向が,本当に如実に出ていると思います。

割と気軽に録画ができるようになっているので,パーセンテージとか,どんな番組をとか,こういう聞き方をすると,ほぼ変わってないように見えますけれども,こういう量が数字で見えるところで見ると,やはり,はっきりとした減少傾向や視聴形態が自分のために1回見て,消すという傾向は,とても出ていると思います。

それから,椎名委員がおっしゃった,まだ録画がしたいと言っている人がいる限り,補償金がという言われ方についてなんですが,資料1別紙の12ページの(9)のところにも書きましたけれども,録画したい人がなくなる日を待って,補償金をなくすとか,それまでが「当面」だとかいう話ではないということを確認させてください。

補償金制度は,録音録画がなくなったときに,なくなるんではなくて,導入したときに,こういう状態には必要だよねと言われていた状態より以前に戻ればよろしいわけですよね。補償金制度が始まったのは,この頃のテレビの録画は,アナログ放送のデジタル録画でしたから,もう本当に無制限にできるようになって,大騒ぎになっていて,孫コピーもできる状態。コピー制限も始まっていないときです。

だから,調査から見ても,以前の状態には戻っています。皆さんが30条を下に録画を楽しんでいるという状況が,なぜゼロになるまで,補償金が必要という話になるのかがよく分かりません。

それから,もう1個だけごめんなさい。先ほど撤回しますと申し上げましたけど,一点だけ。ここで,いろいろな方に言われたことがあるんですけど,大渕主査代理に,一番そういう御意見を頂いた記憶があるので,伺いたいんですが,補償金を払うことによって,30条で,日本の消費者は,とても自由が許されている,補償金を払えば,その自由が謳歌(おうか)できるんだから,それはいいではないかとおっしゃっている。

それが,私が,コンテンツに,パッケージやレンタルのときに,すごく低額の補償金を払って,その後,皆さんのおっしゃる「自由を謳歌(おうか)できる」ということを提案してみたんですが,なぜ,それはできないか,そういう理屈があるのでしょうか。大渕主査代理が,そうおっしゃったわけではないですけれども。

どうして,そこだけは,何か契約の問題になって,30条が要らなくなる話に,また直結するのか。何かのわなみたいに,どの方向に行っても,30条は要らない話に直結してしまうのですが,私は,補償金を払えば,謳歌(おうか)できるという説の延長として申し上げているんです。それは可能ですよね。

【末吉主査】どうぞ。

【大渕主査代理】繰り返し申し上げているとおり,30条1項は非常に重要なもので,これは崩すべきではないということです。ただ,最初はアナログだったから,このような幅広いものが維持できたのですが,その後においては,このような幅広いものを録音録画において維持するためには,やはり,30条2項がないと難しいということです。

その関係からいうと,私は,当面というのは,理論面と実務面と両方あるかと思っていて,純粋に理論的に言えば,契約と技術で,全部私的複製がカバーできるようになったら,もう補償金などというものは必要なくなるわけであります。

私的複製がなくなるという話ではなくて,契約と技術で全部カバーできるようになれば,30条1項も30条2項も要らなくなる。30条1項と2項というのは,裏腹というか,表と裏の関係にありますので,そこを考えないと,話が全部ずれてくるのではないかと思います。

今のことは理論面なのですが,実務面としては,先ほど言われたとおり,制度があって,そのために何度も実態調査をされているわけですが,結果は大きくは変わっていない,変わるようになれば,また別の制度があるのかもしれませんが,ベースは以前と変わっていないのであれば,当面というのが終わるというところまで行ってないのではないかと思っております。

【末吉主査】ほかに。

どうぞ。

【小寺委員】今の話の流れとずれます。ただ,時間がないので,どうしても最後に御指摘をしておきたいことがございますので,流れを分断しますが,御発言をお許しください。

二次調査の53ページを御覧いただきたいと思います。ここには,録画したテレビ番組を見たことで,物品やサービスの購入に結び付いたことがありますかという調査がございます。

下の方は,やっていないと覚えていないがあり,それを100%から引くと,17.6%と書いてありますが,これは複数回答なので,実は,四角で囲った,その上,何らかの経済活動をしたという方を合計すると,24.4%になります。録画した番組を見て,24.4%が何らかの経済活動をしたということは,かなり大きな経済効果があると御指摘をしたいと思います。

これは何を意味するかというと,録画されたから,すなわち,経済損失があるのだというふうには,やはり,単純には考えられなく,こういったことも案分する必要は,当然あるだろうと思います。

【末吉主査】御指摘ありがとうございます。

大体時間になりまして,すみません,いろいろ拙(つたな)い司会で。ただ,本日思ったことは,論点ごとに御意見を頂こうと思っても,いろいろ関連するので,なかなか輻湊(ふくそう)しているところもございます。その点は御容赦いただきます。

本小委員会では,御案内のとおり,クリエーターへの適切な対価還元手段につきまして,平成27年度より,各論点について,順次検討を進めてまいりましたけれども,本日までに,具体的な制度設計,今年度に残された具体的な制度設計に向けた検討というところまで,皆様の御協力で一通り検討を進めてまいったと思います。

本日頂いた御意見を踏まえまして,事務局におかれましては,これまでの議論の整理をしていただきまして,次回の本小委員会において,提示するようにお願いをしたいと思います。

ここで,どうしても発言したいという方はおられますか。大丈夫ですか。また,次回でよろしいですか。ありがとうございます。それでは,本日は,このくらいにしたいと思います。

最後に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】次回の開催につきましては,期日が確定次第,また御連絡させていただきます。本日はありがとうございました。

【末吉主査】それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第4回)を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動