平成27年度文化審議会著作権分科会
法制・基本問題小委員会(第1回)

日時:平成27年6月23日(火)
10:00~12:00
場所:文部科学省東館 3F1特別会議室

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)法制・基本問題小委員会主査の選任等について
    2. (2)今期の法制・基本問題小委員会における審議事項について
    3. (3)教育の情報化の推進について
    4. (4)その他
  3. 3 閉会

配布資料一覧

資料1
第15期文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会委員名簿(62KB)
資料2
小委員会の設置について(平成27年6月2日文化審議会著作権分科会決定)(57KB)
資料3
第15期 文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会における当面の検討課題について(案)(152KB)
資料4
ICT活用教育など情報化に対応した著作物等の利用に関する調査研究報告書概要(510KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(128KB)
参考資料2
第15期文化審議会著作権分科会委員名簿(79KB)
参考資料3
第15期文化審議会著作権分科会各小委員会における検討課題について(平成27年6月2日文化審議会著作権分科会配布資料)(81KB)
参考資料4
「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次基本方針)」著作権関連記述(124KB)
参考資料5
「知的財産推進計画2015」等で示されている著作権関係課題(3.75MB)
 
出席者名簿(45KB)

議事内容

○ 今期の文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会委員を事務局より紹介した。

○ 本小委員会の主査の選任が行われ,土肥委員が主査に決定した。

○ 主査代理について,土肥主査より大渕委員が主査代理に指名された。

○ 会議の公開について運営規則等の確認が行われた。

※ 以上については,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十二年二月十五日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき,議事の内容を非公開とする。

【土肥主査】それでは,本日は法制・基本問題小委員会の1回目となりますので,有松文化庁次長より一言御挨拶を頂戴したいと存じます。なお,カメラ撮りは有松次長の御挨拶までとさせていただきますので御了解ください。では,よろしくお願いいたします。

【有松文化庁次長】有松でございます。著作権分科会の法制・基本問題小委員会の開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。皆様方におかれましては,御多用の中委員をお引き受けいただきまして,誠にありがとうございます。改めて御礼申し上げます。
 私から改めて申し上げるまでもございませんが,著作権制度は我が国が掲げる文化芸術立国,そして知的財産立国やクールジャパン戦略を実現するために大変重要な役割を担っております。政府におきましては,本年5月には第4次となります文化芸術振興基本方針を閣議決定いたしました。また,去る6月19日には,知的財産推進計画2015が策定をされまして,デジタル・ネットワーク社会に対応した制度の整備など,様々な課題が提起されました。
 こうした政府計画等の動向は,日進月歩で発達いたします技術と著作物の創作・流通・利用環境の急速な変化を踏まえた対応への社会からの強い要請を表すものであり,文化審議会ではこれに的確に,そして迅速に応えていくことが期待されているものと考えております。
 後ほど御説明し,御検討も頂きますが,この小委員会では教育の情報化の推進やアーカイブの利活用の促進,そしてマラケシュ条約についての対応など,昨年度に引き続いての課題について具体的な御検討を頂くとともに,また新たに生じる課題についても適時,そして適切に御対応いただくということが期待されているものと考えております。何とぞ大変重要な課題の解決に向けまして,精力的な御審議をお願いいたしたいと存じます。
 お忙しい中大変恐縮でございますけれども,なお一層の御協力をお願い申し上げまして,簡単ですが御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【土肥主査】ありがとうございました。
 次に,今期の本小委員会の審議事項について確認をしておきたいと存じます。本小委員会における検討課題でございますけれども,先ほど次長からの御挨拶にもございましたが,この当面の検討課題について事務局から説明をお願いしたいと思います。

【秋山著作権課課長補佐】それでは,お手元に資料3,それから参考資料の3,4,5の4点を御用意いただけますでしょうか。
 まず,参考資料の方から御説明申し上げます。昨今の政府全体のコンテンツに係る計画等の動きについて,まず御紹介いたします。参考資料4でございますけれども,先ほど次長からも紹介申し上げたとおり,平成27年の5月22日に文化芸術振興に関する基本的な方針が閣議決定されました。これは文化芸術振興基本法に基づいて定めるとされている政府全体の方針であります。
 ここでは,第1に,文化芸術を取り巻く諸情勢の変化ということで,情報通信技術の利便や課題などについての言及があり,著作権制度等の整備が求められるということが総論的に述べられてございます。
 また,第2の重点施策として,デジタル・ネットワーク社会に対応した著作権制度等の整備を図るということが掲げられており,基本施策として,第3,7番のところに著作権に関する記述がございます。具体的には,知的財産基本法,知的財産推進計画に沿って,その適切な保護及び公正な利用を図るため,次の施策を講ずるとございます。
 まず,デジタル・ネットワーク社会に対応した著作権制度上の課題等について総合的な検討を行い,必要に応じて法制度の整備を行うということ,更に権利者不明著作物の活用等,アーカイブ化の促進のための方策,著作権に関する知識の普及と意識の向上,そして海外における海賊版の流通の防止・撲滅といった施策が掲げられておるところでございます。
 こうしたことですとか,あと知的財産戦略本部の方での議論が進んでいたことを踏まえまして,参考資料3でございますけれども,6月2日に開催された著作権分科会におきまして,各小委員会の設置及び検討課題について御審議いただいたものでございます。
 まず法制・基本問題小委員会については,審議事項は著作権法制度の在り方及び著作権関連施策に係る基本的問題に関することとなっておりまして,検討課題例としては,デジタル・ネットワーク社会に対応した著作権制度の整備という大きな題目の下で著作物のアーカイブの利活用促進,教育の情報化の推進といった課題が例として挙げられてございます。また,マラケシュ条約への対応についても,昨年度同様掲げられているところでございます。
 あと,御参考まで,その他の小委員会に関しては,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会において,クリエーターへの適切な対価還元等,そしてクラウドサービス等と著作権に関する報告書を踏まえた,ライセンシング体制の構築の動向についてフォローすることとされております。
 また,国際小委員会においては,国際的ルール作り及び国境を越えた海賊行為への対応の在り方に関することということで,国際的な著作権保護に向けた対応ですとか,海賊版対策といったことが審議事項となってございます。
 また,これらについて,当時,6月2日の段階では知的財産推進計画2015の策定がまだ完了していなかったこともありまして,一番上部にありますとおり,知財計画等に応じて適宜見直しを行うということも併せて述べられたところでございます。
 参考資料5をお願いいたします。その後,6月19日に知的財産戦略本部において,知的財産推進計画2015が決定されました。ここでは,まず重点3本柱として,この資料には書いておりませんけども,第1として,地方における知財活用の推進,第2として,知財紛争処理システムの活性化,これは現在特許などを中心とした議論をされているというふうに承知しております。それから,第3として,コンテンツ及び周辺産業との一体的な海外展開の推進が,重点3本柱と掲げられております。
 以下,コンテンツに係る部分を取り上げて紹介したいと思います。この重点3本柱の一つであるコンテンツ及び周辺産業との一体的な海外展開の推進に関しては,海外市場で受け入れられるコンテンツの制作・確保ということで,放送番組の権利処理の円滑化などを総務省や文部科学省の方で取り組むということになっております。
 また,模倣品海賊版対策の強化についてもここで掲げられております。
 次に,重要8施策として,5番から8番の4点について著作権に関する記述がございます。まず,5番,デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備であります。現状と課題につきましては,省略させていただきたいと思います。3ページ,今後取り組むべき施策として,まず権利処理の円滑化に向けた集中管理の促進ということで,昨年度の文化審議会の議論を受け,音楽集中管理センターの具体化など,民間におけるライセンシング体制の構築等の促進等が掲げられております。
 また,次の次のポツですけれども,持続的なコンテンツ再生産につなげるための環境整備ということで,私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入についての検討が掲げられております。
 さらに,新しい産業の創出環境の形成に向けた制度等の検討ということで,インターネット時代の新規ビジネスの創出,人工知能や3Dプリンティングの出現などの技術的・社会的変化やニーズを踏まえ,知財の権利保護と活用促進のバランスや国際的な動向を考慮しつつ,柔軟性の高い権利制限規定や円滑なライセンシング体制など新しい時代に対応した制度等の在り方について検討するとされております。
 ここの担当省庁につきましては,知財全体に係るところもございますということから,内閣官房と文部科学省及びその他関係省庁となっております。
 4ページをお願いいたします。次に,サイバーセキュリティーに関する著作権法の明確化等に関する検討が述べられているほか,教育の情報化の推進についても,昨年度に引き続き掲げられております。教育の情報化の推進に関しては,デジタル化した教材の円滑な利活用や,オンデマンド講座等のインターネットを活用した教育における著作権制度上の課題について検討するということになっております。
 また,デジタル教科書・教材に関しては,まず教科書検定制度などの在り方について検討しまして,当該検討を踏まえつつ,関連する著作権制度等の在り方についても,併せて検討するということになっております。
 次に,重要施策の二つ目,6番,アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化であります。これも現状と課題は省略させていただきます。具体の施策としては,6ページの下から記述があります。アーカイブの構築と利活用の促進のための著作権制度の整備としまして,美術館等におけるアーカイブ化のための複製が認められる施設の範囲の拡大,それから,美術館等の所蔵著作物に関する解説,紹介のためのデジタルデータの利用について,具体的な制度の検討を行うとされております。
 次のポツですけれども,著作権者不明等の場合の裁定制度における補償金供託の見直しや裁定を受けた著作物の再利用手続の簡素化等について検討するとされております。また,利用に係る著作権者の意思表示ということで,著作権者没後等の著作物の利用に係る課題について検討を行うというふうにされております。ここの担当は内閣官房と文科省ということになっております。
 さらに,7.国際的な知財保護及び協力の推進として,9ページ以降に今後取り組むべき施策が挙げられております。ここでは,まず新興国等への我が国知財システムの普及と浸透に関するもの,そして,次のポツとして,FTA,EPA,TPP等の通商関連協定等を活用した知財保護と執行強化に関する記述がございます。また,模倣品・海賊版対策の強化ということで,インターネットを通じた知財侵害の対応についても,ここで記述がございます。
 10ページをお願いいたします。また,相手国政府執行機関への働き掛けと日本企業等への支援に関するものと,それから国内における侵害対策と啓発活動についても記述があるところでございます。
 最後に,8.知財人財の戦略的な育成・活用という柱の中でも,知財教育・知財啓発の強化ということが言われているところでございます。
 知財政策ビジョンについては,皆さん御承知のとおりであると思いますので,詳しくは改めて説明はいたしませんが,これは平成25年6月に今後10年間を見据えた長期ビジョンとして策定されたものでございまして,ここにも幾つか今年の知財計画にはない課題についても言及があるところでございます。
 これらを踏まえまして,資料3の方を御覧いただければと思います。先ほど知財計画を中心に御説明申し上げたように,知財計画の内容につきましては,その大きな方向性につきましては,これまで著作権分科会で御審議いただいてきた方向に合致するものであると考えております。これを踏まえまして,今期の法制・基本問題小委員会としましては,先に引き続き御検討いただくものとして3点を挙げさせていただくとともに,新たに御審議をお願いしたい点についても1点加えまして,今期の検討課題として整理させていただいております。
 以下,それぞれについて説明申し上げます。1番,教育の情報化の推進等であります。知財計画の記述は省略させていただきまして,本課題に関する現状等,(2)番のところを御紹介いたします。教育情報化の推進につきましては,昨年度の小委員会において,検討課題として提示しましたところ,教育現場におけるニーズの調査が必要という意見がございました。これを受けて文化庁の方で行った調査研究の結果を踏まえ本小委員会で審議を行うことが求められると記述させていただいております。
 なお,デジタル教科書・教材の位置付けに関しましては,文部科学省において検討会議を設置し,平成27年5月より議論を開始しております。同会議では,教科書の基本的な在り方や,デジタル教科書の教育効果や,教科書検定制度との関係などの議論が行われているということでございまして,平成28年中に結論を得るべく議論を進める予定とされております。
 デジタル教科書に関しては,本小委員会においても,この検討会議における学校教育制度上の位置づけなどに関する検討結果を踏まえまして,関連する著作権制度の在り方について検討を行っていただきたいと考えております。
 次のページをお願いいたします。2番として,マラケシュ条約についての対応を掲げております。本課題に関する現状等でございますけれども,昨年度の本小委員会において障害者団体及び権利者団体から意見を聴取し,検討を行いました。その検討においては,障害者団体からマラケシュ条約の締結に必要な手当のほか,多岐にわたる要望が寄せられたところでございます。
 一方で,権利者団体からは,そうしたマラケシュ条約締結に必要な手当については前向きな反応があったものの,その他の要望事項については慎重な立場が示されたところでございます。また,障害者団体からは,マラケシュ条約の締結のために必要な最低限度の法改正だけを先行するのではなく,障害者の情報アクセスの充実の観点から,併せてその他の事項についても措置を講じてほしいとの意向が示されたところでございます。
 これらを踏まえまして,昨年度の小委員会において,まず関係者間で意見調整を行った上で本小委員会での審議を行うとする方針が示されまして,現在,意見集約に向けて関係方面と調整を行っているところでございます。
 では,3ページをお願いいたします。著作物等のアーカイブ化の促進でございます。本課題に関する現状等でございますけれども,昨年度の本小委員会におきまして検討を頂きまして,法解釈の明確化を図るという件,それから制度改正に関して一定の方向性をお示しいただいたところでございます。
 まず,現行法制度の解釈の明確化により解決を図った課題につきましては,現在周知活動を行っており,また制度的な解決の方向性を示された課題につきましては,現在関係団体等の意見を聴取するとともに,具体的制度の在り方について検討を行っているところでございます。なお,課題の一つとして挙げられました著作権法第31条の「図書館等」の範囲の拡充につきましては,本年2月22日付けで著作権法施行令第1条の3第1項6号に基づく指定を行ったところでございまして,これによりまして博物館法2条1項に規定する,いわゆる登録博物館又は同法第29条に規定するいわゆる博物館相当施設であって,営利を目的としない法人により設置されたものが法第31条の「図書館等」に含まれ得ることとなったということでございます。
 それから,昨年度の小委員会におきまして,権利処理の円滑化のために措置を講ずることの必要性が議論されました。その一環としまして,著作物等の権利情報の集約化が挙げられたところでございまして,今年度,文化庁において関連の調査研究を行うこととしております。
 5ページをお願いいたします。4番,その他といたしまして,知的財産推進計画2015におけるデジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備に関する記述を紹介しております。ここでは新しい産業の創出環境の形成に向けた制度等の検討ということで,権利保護と活用促進のバランスなどを考慮しつつ,柔軟性の高い権利制限規定や円滑なライセンシング体制など,新しい時代に対応した制度等の在り方について検討するとされておりまして,担当としては内閣官房,文科省などとされているところでございます。
 本課題に関する現状として,文化審議会における検討等を御紹介しております。まず,文化審議会におきましては,これまでも新しい時代に対応した制度等の在り方について様々な検討をしていただいたわけでございます。例えば柔軟性の高い権利制限規定に関連しまして,平成23年1月の著作権分科会報告書において,権利制限の一般規定を導入することが適当という結論を頂きまして,これを踏まえた形で平成24年に著作権法の一部改正が行われたところでございます。
 また,昨年度の文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会において,クラウドサービス等と著作権について検討を頂きました。そこでは,私的使用目的の複製を支援するサービスやクラウド上の情報活用サービス等,様々なサービスについて検討を頂きまして,ライセンス契約によるサービスの発展を図るため,権利の集中管理による契約の促進が提言されたところでございます。
 こうした経緯も踏まえつつ,また知財計画での要請も考慮しまして,今後のデジタル・ネットワークの発達に伴う新たなニーズの把握を行うなど,著作権制度の在り方の検討を引き続き進めることが必要であるというふうに記述させていただいております。説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】 ありがとうございました。それでは,ただいま事務局から説明を頂きました本小委員会における当面の検討課題について,御質問,御意見等ございましたら,お願いをいたします。いかがでございましょうか。
 はい,龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】 資料3の5ページ目,今般の知財推進計画2015においても指摘された,かねて,議論がなされてきた問題ですが,柔軟性の高い権利制限規定というものがテーマに上がっております。これにつきまして,知財計画による要請もありますのと,聞くところによりますと,政権与党の内部においても随分この点をめぐって議論が行われているとも聞きますし,昨今この論点について議論が進んでいるような感も受けるわけです。
 そういう背景もありますので,やはり当分科会においてもこのような議論に対する何らかの対応は必要ではないか,全く等閑視するわけにもいかないのではないかと思います。その意味で,場合によって議論の足が速い可能性もありますので,機動的な対応も要請されることもあり得るということも考えますと,何か特別のプロジェクトチームのようなものを一応設けておいた方がよろしいのではないかという気もいたします。これは御提案ですが,いかがでしょうか。

【土肥主査】 ありがとうございます。そういう御提案も含めて,広く御意見を賜れば,御質問を賜ればというふうに思ってございますが,ほかにいかがでございましょうか。
 はい,道垣内委員,どうぞ。

【道垣内委員】 3ページのアーカイブ化等の中に出てくる話ですが,著作物等に係る著作権者が不明の場合の処理につきまして,新たな対応をとるということは,非常に結構だと思います。現在の制度が必ずしも合理的とは思えないところがございますのでいいと思うのですが,いろいろなやり方があると思います。一定の調査をして分からなければ,無料で使ってよいこととし,もし著作権者等が出てくればお金を払うという仕組みもあり得るとは思います。しかし,そうすると,その著作権者を調べるというインセンティブが湧かないおそれがあるように思います。
 お金はとにかく払うべきだと思います。そのお金は,著作権保護の啓発活動といった著作者等の全体の利益になるような形で使われるような全く新しい仕組みをお考えいただくといいのではないかと思います。著作者等が出てくることはめったになさそうですので,ただで使ってよいということになりかねず,そのことは市場のゆがみを生じさせるように思います。同じようなものであれば,著作者等が分かっているものではなく,不明なものを使うといったゆがみです。パブリックドメインになれば,もちろんみんなで使えばよろしいわけですけれども,そうでないものについては,著作者等が判明している場合と同じコストがかかる仕組みにすべきだと思います。いろいろなやり方があると思うので,工夫をしていただいて,お金の巡りが必ずしもよくないが重要な公益的な活動の財源に使っていただくといいのではないかなと思います。

【土肥主査】 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。
 はい,山本委員,お願いします。

【山本委員】 今お話が出ました3ページ目のところ,同じような論点ですが,この孤児著作物を含むコンテンツの円滑な利用ということを考えますと,昨年度から話が出ております拡大集中管理の制度も,使い方によっては,その目的のために極めて有効です。日本に入れられるのかについては問題が多々あることはよく理解しているところです。そういうメリット・デメリットが見えている制度ですので,ここでも昨年度議論がありましたように,その検討には時間が掛かるというのが皆さんの御意見だと思います。
 また,検討する価値があるというところも皆さんの御意見だろうと思いますので,これこそワーキングチームでも作って,以前出ておりましたように中長期的に検討していただくべき課題じゃないのかなと思います。以上です。

【土肥主査】 ありがとうございました。ほかに。
 井上委員,どうぞ。

【井上委員】 資料の3には挙がっていない課題ですが,参考資料5の3ページのところにリサーチデータのオープン化が掲げられています。リサーチデータを含め学術研究の成果のオープン化にあたって著作権ポリシーの明確化が課題であるとされています。知財計画では,課題として記載されているだけで,今後取り組むべき施策の中には入っていないので,法制・基本問題小委員会の検討事項には挙がっていませんが,昨年来,学術論文のオープンアクセスのみならず,リサーチデータについてもオープン化していくというオープンサイエンスが世界の潮流になっており,内閣府でも,また文科省の学術情報委員会などでも議論が進んでいるところです。
 研究者は必ずしも著作権制度について詳しくないのが通常でございますので,著作権ポリシーを明確にしていくといっても,著作権制度について十分な理解のないままに議論が進んでいってしまうおそれもあります。文科省の学術情報委員会において議論がなされていくと思いますが,法制・基本問題小委員会におきましても適宜議論の整理を支援してもよいと思います。

【土肥主査】 ありがとうございました。今の点,説明ございますか。
 秋山さん,どうぞ。

【秋山著作権課課長補佐】 済みません,私ども事務局の整理により,リサーチデータのオープン化に関しては,この参考資料には掲載していないのですが,知財計画ではこの点も今後取り組むべき施策として挙げられております。これをいかにこなしていくかは,政府の方で検討していくこともあると思いますので,先ほどの御意見はこちらの方でも受けとめたいと思います。

【土肥主査】 ほかにありますか。

【奥邨委員】 先ほどの龍村委員の御提案ですけれども,機動性ということに加えて,デジタル・ネットワーク関連ということですと,ざっくり議論するよりは,いろいろな技術であるとか,実際の仕組みがどうなっているかとか,どういうニーズがあるかというようなことは,かなり細かく専門的に見る必要もあろうかと思いますので,ワーキングチーム的な機会があるということは必要なのかなと,専門性というか,より細かく見るという点で必要なのかなという気がいたします。
 それとも若干関係するかもしれないんですが,知財計画に載っていますけれども,セキュリティーの関係も,今朝のニュースなども聞いていますといろいろと重要なことだろうと思いますので,セキュリティー絡みについて,リバースに限らず,著作権法で何かしなければいけないニーズがあるのかというようなことは,どの枠かは別としても,少し準備をしておく必要があるのかなと思いました。マイナンバーも始まりますし,知財計画にも載っておりますので,そういう関心を持ちました。以上です。

【土肥主査】 ありがとうございました。ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは,先ほどの龍村委員の御提案もございましたけれども,また奥邨委員の同様な御意見もございましたけれども,ワーキングチーム等を設けて,より専門的,集中的に検討してみたらどうかというような御意見がございましたけれども,これについて。
 はい,山本委員,どうぞ。

【山本委員】 この問題は重要で,議論を幾らでもすることには賛成ではあるのですが,私の理解しているところでは,その点については,この小委員会でも何度もヒアリングをして十分検討して,かなり議論した上で一定の結論も出したように思います。何が問題かというと,ここで出た結論が法案にならなかったことが問題であって,ここでの議論を更に尽くす必要があるというところに問題があるわけではないと思います。
 だから,その問題点のために更にここで検討することは,どういう解決になるのかなというのが私にはよく分からないところであります。

【土肥主査】 ありがとうございました。ほかに,この点について御意見ございませんか。
 松田委員,どうぞ。

【松田委員】 資料3の5ページ,事務局の整理によりますと,柔軟性の高い制限規定について検討が求められているということについて,囲みの中に記載されています。この柔軟性の高い権利制限規定については平成23年の分科会報告書で権利制限の一般的規定を導入することが適当であるということで結論が得られたと書いてあります。この文章の中では,今求められている柔軟性の高い権利制限規定と,23年に報告書になった権利制限の一般的規定がほぼ同じように扱われています。
 しかしながら,23年の権利制限規定の一般的規定はABC類型で取りまとめたというところでありました。肝はC類型であったわけです。現在の求められている柔軟性の高い権利制限規定というのと,このようにひとくくりにしちゃっていいんだろうかということは検討してもらわなきゃいけないと思います。
 ということは何かというと,この小委員会ないしは分科会で出した一般的規定と,求められているものが,特に知財本部で求められているものが,権利制限規定の性質が同じものかどうかということは何も示されていないのです。まず,ここで議論するのも私はぎりぎりいいとは思いますけれども,柔軟性の高い権利制限規定というのは,今までの審議会の議論との関係でどうなのか,求められているものは何か,を示してもらいたいと思います。

【土肥主査】 ありがとうございました。ほかにございますか。
 上野委員,どうぞ。

【上野委員】 今の松田先生や山本先生の御発言は,柔軟性の高い権利制限規定について本小委員会で検討すること自体の是非について,問題提起されたのではないかと思います。
 確かに,法制問題小委は,既に平成21年に,権利制限の一般規定について検討を開始し,その結果として,平成23年1月の審議会報告書において,社会や技術の変化,あるいは法令遵守等の社会的要請に鑑みて,「何らかの形で権利制限の一般規定を導入することが適当である」(61ページ)とし,具体的に権利制限の対象とすることが適当であるものとしてABC類型を示しておりますが,その後,平成24年に行われた法改正の内容は,ABC類型を実現するものとしては必ずしも十分でなかったという声もあるところかと思います。そういう意味では,先ほどの御発言というのは,過去の法制小委であれだけ検討して,C類型でさえ法改正を実現できなかったのに,また同じ問題をこの小委で検討するのか,という御意見なのかも知れません。
 ただ,本日の資料3の検討課題案にいう「柔軟性の高い権利制限規定」というものが,平成23年報告書における「権利制限の一般規定」とどのような関係にあるのかという点は問題になるように思います。
 私の理解では,検討課題案にある「柔軟性の高い権利制限規定」というのは,平成23年報告書における「権利制限の一般規定」というものに限らず,様々なものを含み得る広い概念ではないかと思っております。
 つまり,「権利制限の一般規定」といいますと,アメリカのフェアユース規定みたいなものであるとか,あるいは小さな一般条項とか受皿規定と呼ばれるようなものがこれに当たると考えられますが,「柔軟性の高い権利制限規定」といいますと,権利制限の一般規定がこれに含まれるのはもちろん,そうした一般規定に限らず,柔軟性を持った個別規定であるとか,同じような趣旨の個別規定を複数まとめたグループごとに設けられる受皿規定のようなものであるとか,いろいろな形があり得るかと思います。そうした幅広い可能性を含めて権利制限規定の在り方を検討することは,我が国著作権法にとって重要な課題だと思います。
 そして,権利制限の一般規定というもの自体につきましても,平成23年報告書は,ABC類型を示すことで権利制限の一般規定について全て検討し尽くしたという趣旨ではなくて,むしろ「本小委員会としては,この検討結果をもって,権利制限の一般規定に関する議論を尽くしたものとは考えていない」とまとめられたものです(61ページ)。そして,ABC類型というものも,「差し当たって現時点において合理性が認められる」類型に過ぎず,「当該類型以外の行為については,権利制限の一般規定の導入の後の状況も踏まえながら,必要に応じて,対象範囲や要件の見直しも含めた検討を適宜行うことが適当」とされております(62ページ)。これによれば,仮に,平成23年報告書の内容通りにABC類型が導入されたといたしましても,権利制限の一般規定について更に検討することが想定されていたというべきだと思います。以上です。

【土肥主査】 ありがとうございました。
 お願いします。

【大渕主査代理】 今議論されているのが,資料3の「4.その他」のボックスに入っている5.に関係しているところだと思います。今既にそうなりかかっていますけれども,これは平成23年,24年の頃から,一般規定とは何ぞやというところから始まって,定義からしても同床異夢であって,いわゆる空中戦になりやすい性質の議論ではないかと思っておりましたが,何回やっても同じようなことになりがちな性質の問題だと思います。
 いろいろな方法論はあり得るかと思いますが,今回も聞いておりますと,原点たる対象自体の把握よりも,方法論の方から出発している感なしとはしないように思われます。法律関係というのは,やはり全てまずはファクツ(facts)ないし事実関係の把握があって,その上で,そこに法を適用していくということになっております。ここでも,まずは,ファクツないしニーズの把握が第一の出発点であります。これをきちんと把握していかない限りは,どちらの方向にも進みようがないと思われますので,ここでの検討に当たっては,まずは,この点をしっかりと行っていただければと思っております。それなくしては,意味ある議論は始まらないと思います。

【土肥主査】 山本委員,どうぞ。

【山本委員】 全く賛成なのですが,前回,この23年の報告書を作った段階でも,ヒアリングをして,各団体から出てきたこういうニーズがあるんだというのをかなり具体的に拾い上げて,それに対応すべきかどうかということも検討して,すくい上げるべきものは何かというのをスクリーニングした上で,それをカバーできるようなものを議論したと思います。
 私は,決して議論することに反対ではありません。というのは,例えば研究会でやるというのであれば,がんがんやりたいとは思いますが,申し訳ないんですが,私の認識では,前回の23年の報告書の中では,ABC類型のC類型を出しました。あれが目玉で,かなり柔軟性の高い対応をする規定として我々は予定して,これでかなりすくえるのではないかなと思っていました。しかし,そのC類型が,聞いているところによりますと,内閣法制局の方で排除されてしまいました。結局,C類型が政治的な理由で排除されてしまっているものを,よりC類型よりも広いものをここで議論して,何か出すということに何か意味があるのでしょうか。
 いいんですよ,我々,研究するというのは好きですから幾らでもやりますが,ここで本当に議論して,それが内閣法制局で抽象的だという理由で排除されたものよりも,より抽象度の高い一般的なものを作って,報告書を出して,果たして通るのでしょうか。だったら,ここで言うと申し訳ないですが,議員立法でもやってもらって,C類型でも通す方がましかなと思ったりするぐらいなんです。
 だから,ここで何を目標にして議論するのかなというのが,私が見えないところなわけです。ですから,議論することは全く反対ではありません。

【土肥主査】 ありがとうございました。皆さんの御意見を頂戴してお聞きしておりまして,やはり確かに23年でしたか,権利制限の一般規定を検討するときに,多方面の関係団体の方に集まっていただいていろいろなニーズを掘り起こしてといいますか,集めて100ほどあったかと思います。しかし,そのニーズというのは,実は全てをそういう形に分類したわけではない。残ったところは確かにあるんですね。
 そういうこともあり,上野委員が先ほどおっしゃったように,尽くしたものでは確かにないわけであります。それから,広い,広いと言われておりますけれども,広いものなのか,狭いものなのかはまだ分かっておらないわけであります。柔軟性の高い権利制限規定というものがどういうものをお考えなのか,これもまたよく分かっていない。大渕主査代理がおっしゃっておられましたように,このファクトというか,どういう事実に基づいて,どういうニーズを考えておられるのかというところも,まだよく分かっていないわけであります。
 さはさりながら,本小委の中でこれを検討するというのは確かに難しいところがございますので,ここのところはワーキングチームというものを作っていただいて,そこで検討していただくというのは,それは十分あることではないかと私は思うわけであります。
 したがって,私,主査からの御提案でございますけれども,この点についてのワーキングチームを作る,そういう取りまとめをこの小委でさせていただこうと思いますが,いかがでございましょう。よろしゅうございますか。御異議がなさそうでございますので,事務局におかれましては,しかるべくこのワーキングチームの立ち上げについて,よろしくお願いをいたしたいと思います。
 したがいまして,本小委においては4番目のところが,この小委では扱わないということになりますが,それ以外に三つ事務局から説明があったわけです。これについて,例えば順番とかいうのは考えておられますでしょうか,事務局にお尋ねするわけですけれども。

【秋山著作権課課長補佐】 資料3で若干触れさせていただいたのですが,結論としては,当面教育の情報化の推進等について集中的に御議論いただくことを想定しております。と申しますのも,2.障害者に関しましては,現在関係者間での意見調整を行っておりまして,これが終了しましたら審議会で審議をするという方針を昨年度の小委員会でお示しいただいたところでございますので。
 この点については,先ほど申し上げたように,速やかに調整がつくよう関係者間で今取り組んでいただいておりますので,それがまとまり次第審議をお願いしたいと思います。
 それから,アーカイブ化の促進につきましても,資料3の3ページにございますとおり,法解釈の明確化,それから制度改正についての方向性をお示しいただいたところでございますので,まず,文化庁の方で法制的な整理等に取り組ませていただきたいと考えております。こちらにつきましても,そうした作業に一定程度めどがつき次第,また改めて具体的な中身について御議論いただければと考えてございます。
 他方,教育情報化につきましては,昨年度具体の議論はなかったわけでございます。調査研究も完了して,これからということでございますので,是非こちらについて精力的に御議論いただければと考えております。

【土肥主査】 ありがとうございました。ただ,3番目のアーカイブ化の促進の問題なんですけれども,今御説明があったような話にとどまらず,先ほど道垣内委員,山本委員,おっしゃっておられたような問題――集中管理の問題であるとか,あるいは徴収した対価の取扱いの問題であるとか,もっと大きな問題が実はあるわけであります。このあたりのところも,今期の小委の中で検討するという了解でよろしいですか。

【秋山著作権課課長補佐】 済みません,説明が不足しておりました。3ページの次のページに,昨年度御審議いただいた課題ということで論点を挙げさせていただいております。そこで,4ページの一番下ですけれども,例えば裁定制度の見直しの在り方ということで,補償金の支払の時期の関係なども含めた裁定制度の見直しについても,当然審議事項に入ってくるというふうに考えてございます。
 これらの点については,まず,事務的に整理をさせていただいているところでございますけれども,今期の小委員会での審議事項としてお願いしたいと考えております。

【土肥主査】 そういうことでございますので,この著作物等のアーカイブ化の促進に係る問題については,この小委の中で議論する,あるいはその段階でまた山本委員がおっしゃったような形が適当なのかどうかということを検討させていただければと思います。それでよろしいですか。
 それでは,この検討すべき課題についてはこのくらいにしたいと思いますけれども,ほかに何か検討すべき課題について御発言ございましたら。
 上野委員,どうぞ。

【上野委員】 検討課題につきましては私もこれで結構かと思いますし,ワーキングチームを設置することも賛成なのですけれども,先ほど来御議論を伺っていて,審議会というものの在り方について一つ気になったことがありますので,私の意見を申し上げます。
 先ほど山本先生から,平成24年改正の際には,権利制限の一般規定に関して審議会が提案した内容が内閣法制局の判断で排除されたという御認識に基づいて,今後,幾ら審議会で柔軟性の高い権利制限規定について検討して報告書を出しても,その後,結局,内閣法制局で通らないのであれば,ここで検討しても意味がないのではないかという旨の御発言があったように思います。実際のところ,著作権分科会を含めて,そのような御意見が聞かれることがあるようです。
 しかし,審議会というのは,行政機関から諮問を受けて客観的に意見を述べる諮問機関のはずでありますから,審議会あるいはその分科会や小委員会といった場では,国や社会にとってあるべき制度とは一体どのようなものなのか,ということを淡々と審議すればよいのではないかと思います。その結果,ある制度を本当にあるべき制度だと考えるのであれば,そのことを率直に報告すべきであって,その際に,そのときの政治的な状況はもちろん,諮問をした行政機関その他の組織の意向を忖度(そんたく)したり,慮(おもんぱか)ったりする必要はないし,すべきでないと私は思います。
 そのような観点からすれば,審議会で決めても内閣法制局を通らないから,やるだけ無駄だ,どうせ無理だ,といったような姿勢がもしあるとしたら,審議会における議論の在り方として,いかがなものかという気がいたします。むしろ,あるべきとされる制度がどうして望ましいと言えるのか,どのような意味で必要と言えるのかという理屈を詰める方が重要ではないかと思います。
 実際のところ,平成24年改正につきましても,法案の具体的内容について,政府部内のどこでどのような理由に基づいて最終的な判断が行われたのか,完全に明確な形で公にされているわけではないように思いますし,そこでどのようなことがあったにせよ,今後の議論と進め方によっては,法改正が実現する可能性もあるのではないかと思っております。以上です。

【土肥主査】 ありがとうございました。我々も審議の結果の説得力というのは当然必要なことになろうかと思いますので,広く我々の審議した結果が理解していただけるような,そういう取りまとめといいますか,結論を出していければと思います。
 じゃ,もう一点,どうぞ。

【大渕主査代理】 半分以上,主査に言っていただいたのかもしれませんが,やはり政府全体でいろいろと決めていくから,ここで決めたとおりに細部まで最後まで行くのかというのは常に問題として残り,細かいところまでここで我々が全部決められるわけでもありませんが,ほかでどうされるかは別として,ここでは,我々が今何をすべきかを打ち出すために,先ほどのファクツないしニーズをきちんと固めた上で,きちんと法制面から議論することが必要だと思います。このことからは逸脱しない方がよいと思っております。

【土肥主査】 ありがとうございました。時間の関係もございますので,検討課題についてはこのくらいにさせていただきたいと思います。
 続いて,三つ目の議事であります教育の情報化の促進に入りたいと思います。本日は,文化庁が委託事業において実施したICT活用教育など,情報化に対応した著作機構の利用に関する調査研究について,委託を受けた株式会社電通様より御発表を頂き,その後意見交換を行いたいと思っております。御発表の時間は30分程度でお願いしたいと思います。
 それでは,株式会社電通の中西様と,アライド・ブレインズ株式会社,大野様,それから株式会社インプレス,柴谷様,お三方,どうぞよろしくお願いいたします。

【中西氏】 ただいま御指名いただきました電通の中西でございます。本調査事業を受託させていただき,報告書を取りまとめさせていただきました。お手元,資料4を使って御説明させていただければと思います。
 調査のタイトルは「ICT活用教育など情報化に対応した著作物等の利用に関する調査研究」ということでございます。ページめくりまして,3ページ目,まず背景でございます。もう御存じかと思いますけれども,デジタル・ネットワーク社会の進展に伴い,ICTの活用というのが広がりを見せております。ICT活用の意義として,教育の質の向上,教育の機会拡大,それを受けて政府としても取組を推進しているところであるというふうにお伺いしております。
 その示されている中,関連する著作権の制度上の課題,整理・検討というのが求められているということで,この調査の目的としては,ICT活用教育の推進に係る著作権制度の課題についての論点整理。そのため,ICT,国内における活用教育の実際のニーズ――利用実態でございますけれども,を調査させていただいております。それとともに,諸外国の関連制度等の調査実施というのをさせていただくというのを目的とした調査でございます。
 4ページ目に,具体的な調査の実施方法として示させていただいております国内のICT活用教育における著作物等の利用実態ということで,高等教育機関,大学の1,000学部・学科にアンケートを配付いたしまして,それを回収して分析させていただいております。また,先進的なICT活用教育を実施している国内の教育機関・教材提供事業者に対する調査ということで,これはヒアリングや文献調査というのをさせていただいています。それから,具体的なライセンシング体制の整備の状況,これもヒアリング調査,文献調査させていただいております。
 それから,諸外国の方の状況ということで,実際の権利制限の規定がどうなっているか,あるいは運用実態がどうなっているかということに関しまして,英国,米国,オーストラリア,韓国,フランス,ドイツを対象に文献調査及び実際の現地でのヒアリング調査というのをさせていただいております。
 実施体制は,更に専門的な検討を行っていただくために,有識者による検討委員会を設置させていただいています。下記に書かせていただいています委員会のメンバーの方々に構成員として御尽力いただきました。
 続きまして,5ページ目が具体的な国内・海外のヒアリング先。期間は限られておりましたけれども,国内,ここに挙げさせていただいているヒアリング先に足を運ばせていただきまして,実際ヒアリング及びフォローの調査をさせていただいております。今回委員の皆様,関係者の皆様には非常に時間のない中,多大なる御尽力,御支援を頂きましてこの報告書を仕上げることができました。この場をおかりして御礼を申し上げさせていただければと思います。
 この後は,国内の方は担当しましたアライド・ブレインズの大野,海外の方はインプレスの柴谷の方から,この資料4を使って御説明させていただきます。

【大野氏】 それでは,2章,国内のICT活用教育における著作物等の利用実態について御報告をさせていただきます。国内のICT活用教育につきましては,教育機関――高等教育機関及び初中等教育機関について整理をしております。また,教材等の提供者についても著作物等の利用実態について整理をさせていただいております。併せまして,権利者側のライセンシング体制についても,ヒアリングと文献調査を中心に整理,取りまとめをしております。
 それでは,まず7ページ目にあります,高等教育機関におけるICT活用教育での著作物等の利用実態について御報告いたします。
 次,8ページ目でございます。高等教育機関におけるICT活用教育につきましては,こちらの上の四つございますけれども,四つの類型に分けて整理をしております。一つは,学生向けの授業科目,これは正規の教育課程での履修をしている授業に関するICT活用教育の実態。2番目は,学生向けで授業科目外の教育活動,これは履修をしていない学生向け,あるいは授業以外の教育活動でのICT活用教育の実態でございます。3番目として,一般人向けの教育活動。高等教育機関が一般人に向けて実施している公開講座等の教育活動におけるICT活用教育の実態について調査をしております。また,教員間における教材等の共有についても調査をさせていただいております。
 また,こちら1から3につきましては,ICT活用教育の利用形態について分けて整理をしております。一つは,教員等による講義映像・音声のサーバへの蓄積・インターネット送信ということで,これは授業の映像なり音声を配信するというような利用方法でございます。二つ目は,教員等による教材・参考資料等のサーバへの蓄積・インターネット送信ということで,これは授業で用いる様々な教材ですとか資料等をサーバにアップロードして,それをダウンロードして閲覧する等の利用方法について整理をしております。3点目につきましては,学生による発表資料等ということで,学生が制作したレポートですとかプレゼンテーション資料等を蓄積して共有するという実態について,整理をしております。
 次に,9ページ目でございます。こちらでは,学生向けの授業科目に関する著作物の利用実態についてアンケート調査を行った結果を示しております。これを御覧になると分かりますとおり,教員等による教材等のインターネット送信については,真ん中の項目ですけれども,教材等のインターネット送信については全体,回答を頂いた高等教育機関の4割以上が既に実施していると。また,今後行う予定というところを含めまして,6割以上が実施している,又は今後行うというような状況になって,非常に広く実施されているということが明らかになっております。次いで,学生等による発表資料等のインターネット送信というところにつきましても,相当程度実施されていて,また今後も拡大が予想されるという形になっております。
 それと比べまして,教員等による講義映像等のインターネット送信は,比率は低くなっておりますけれども,既に一定程度は実施されており,今後拡大が予想されるというような状況になっております。こちらですけれども,通学制の大学におきましては,大学4年間で取得する124単位のうち60単位までが通信,インターネット配信の授業で取得できる。また,通信制の大学においては単位全てをインターネット等による授業で修得可能であるということがありますので,講義映像等のインターネット送信というところが今後増えていくというようなことが想定されるかと思います。
 また,明治大学では司書課程の授業をインターネット送信ということで,こちらヒアリングさせていただいたところですけれども,特定の講座,科目等については全てインターネット送信をしているというような例も挙がっております。
 次に10ページ目でございます。講義映像等のインターネット送信の内容についてアンケート調査をしております。こちら,まず録画・録音配信,オンデマンド配信か,リアルタイム配信かというところを質問しております。こちらについては,オンデマンド配信が非常に多くなっている。これは,一度動画等をサーバに蓄積して,利用者が好きなときに再生できるというものです。また,リアルタイム配信については,これは授業の時間に同時に配信をするというものですけれども,こちらについても40%と一定程度行われていることが明らかになっております。
 また,配信する授業ですけれども,こちらについては,対面講義,実際に学生に向けて説明をしている講義をそのまま配信するという回答が77%となっておりますが,カメラ・マイク講義,学生に向けてではなくて,配信用にカメラ・マイクの前で講義をして,それを録画なり,そのままリアルタイムで配信するというような回答も40%と,一定程度実施されているという形になっております。
 次に,11ページ目ですけれども,学生向けの授業科目外の教育活動に関するICT活用教育,著作物の利用実態でございます。こちらにつきましては,教員等による講義映像のインターネット配信ですとか,教材等のインターネット配信,学生の発表資料等のインターネット送信,それぞれ比較的少数の学部・学科で実施されていると。今後は拡大が予想されるというような状況になっております。
 こちらで配信される動画等につきましては,例えば留学セミナーですとか,企業説明会等の映像,資料の配信ですとか,あるいは入学予定者,まだ講義を履修していない,合格をした予定者に対する入門講座を動画配信したり,あるいは学生が制作したコンテンツをプレゼンテーションコンテストという形でインターネット送信をしたりするというような例もございました。
 次に,12ページ目ですけれども,一般人向け教育活動に関するインターネット送信の実態をこちらで示しております。一般向け教育活動としては,下にヒアリング調査でもございますように,MOOC――大規模オープンオンラインコースというような形で,一般に向けたオンライン授業を実施したり,あるいはオープンコースウエアということで,学生向けの授業で使った教材等をインターネットで閲覧できるようにするというような形で公開したりしているというような例がございます。
 こちらにつきましては,いずれも少数の学部・学科で既に実施されており,今後は拡大が予想されるというような回答を得ております。
 次に,13ページ目,高等教育機関における教員間の教材等の共有につきましては,これは教材の質の向上ですとか,量の拡大を効果的・効率的に進めるというために共有を図るということの重要性が認識されており,様々な取組が行われております。特に一つの大学内での共有ではなくて,複数の大学間にわたっての共有の取組としましては,公益社団法人私立大学情報教育協会で,電子著作物相互利用事業というような形で実施されていたり,あるいは18大学で今運営をされております大学学習資源コンソーシアムというところでも,著作物の利用環境の整備と自作教材コンテンツの共有プラットフォームを構築したりといった取組を進めているところです。
 次に,14ページ目ですけれども,ICT活用教育において利用されている著作物の種類について御報告いたします。利用されている著作物としましては,写真ですとか,論文,専門書,学術書といったところが非常に多くなっております。そのほかにも,新聞・雑誌ですとか,プログラム,百科事典,地図,テレビ番組,音楽といった様々な著作物が利用されております。また,その他の部分も比較的多くなっておりますけれども,こちらは講義資料ですとか,自作教材,あるいは学生が作ったレポートやプレゼンテーション資料といったものの配信,送信が行われているという形になっております。
 次に15ページ目です。高等教育機関でのICT活用教育で利用されている著作物等がどのような権利者の著作物が利用されているかについて,質問を行っております。これによりますと,主として自作の著作物,これは先生が御自身で執筆された論文ですとか,あるいは授業のために用意した著作物を利用しているという回答が非常に多くなっている。ただし,第三者が著作権者であるものを利用している場合も,多くが第三者の場合が8.3%,また,一部が第三者の著作物である部分が赤い部分,37.3%という形で,第三者の著作物も一定程度利用されているということが明らかになっております。
 次に16ページ目でございます。第三者が著作権者である著作物の利用状況ですけれども,これはどのような形,権利処理を行って利用しているかというところについて質問を行っております。これを御覧いただきますと,権利制限規定の範囲内での利用が最も多いと。次いで権利処理済みの教材等の利用ということで,著作権者の許諾が不要な形での著作物が多くを占めているということが明らかになりました。
 ただし,著作権者の許諾を得て利用するといった場合も,よく利用しているが6.7%,たまに利用しているが21%ということで,一定程度は許諾を得て利用している場合があるということも明らかになっております。こういった権利制限の規定の範囲内で利用する際には,著作権法第35条1項の授業の過程における利用,あるいは32条1項の引用による利用ということで利用されている場合が多いということが明らかになっております。
 次に17ページ目でございます。利用状況と権利処理状況についてアンケートを行っております。こちらにつきましては,第三者の著作物を利用しようとして利用できなかった理由について伺っております。回答としては,手続上の負担から許諾を得るのを断念したというものが,有効回答数30件のうちの20件と,全体の3分の2が負担感から許諾を得るのを断念しております。それ以外には,インターネット送信への許諾が得られなかったですとか,著作権者の所在不明,あるいは著作権使用料の折り合いがつかなかった,あるいは改変・切除等への許諾が得られなかったといったような回答も幾つか挙がってきております。
 こちらにつきましては,18ページ目,ヒアリングで具体的にどういうような権利処理の状況になっているかというところの御意見,現状についても伺っております。ヒアリングから得られた点としましては,著作権者の確認等に手間と時間が掛かると。そのために講義準備に支障を来してしまうということで,教員に対してできるだけ第三者の著作物を使わないようにするように勧めているといった明治大学さんですとか,早稲田大学さんの事例がございます。
 また,授業内容との関係で重要性がそれほど高くない,なくても授業を進行できる場合には,削除するとか,権利処理が不要な著作物に差し替える,あるいは引用の範囲内で利用する態様に調整する等の処理が行われていると。また,削除や差し替えが困難で,引用にも当たらない場合のみ著作権処理を行うということで,明治大学,早稲田大学,東京医科大学から実態をお伺いしております。
 手続上の負担が大きいということで,第三者の著作物利用を最初から諦めるというような場合が非常に多いという実態が明らかになっております。
 次,19ページ目です。また,第三者の著作物については,できるだけ引用扱いで利用することを考えているが,引用に当たるかどうかについては,1ページごと,資料を使っているページ単位で主従関係ですとか,引用条件を確認しているという例ですとか,あるいは引用か否かの判断が難しいため,基本的には引用扱いを認めないという大学もございます。
 また,作成した資料について,第三者の図表の全体として分量が少ない場合は引用と判断するというように,大学,高等教育機関によって引用に当たるかどうかの判断基準がかなり異なっているというような実態が明らかになっております。これにつきましては,著作権法上の権利制限規定の解釈・運用の状況に幅があるということが言えるのではないかと考えております。
 20ページには,今回ヒアリング調査をさせていただいた大学で,実際にどのような権利処理をしているかということで,実際の権利処理件数等をお伺いしております。
 続きまして,21ページ,高等教育機関における権利処理の体制について調査をしております。こちらにつきましては,大学の中で権利処理の体制がある,これは学部・学科内に体制がある場合ですとか,学校内に設置された組織がある,あるいは外部に委託をしているというところを含んでおりますけれども,三つの形態を合わせても全体の20%以下ということで,高等教育機関における権利処理体制はまだ余り進んでいない,整備されていないということが明らかになっております。
 また,教員等に対して著作権に関する情報提供等の取組実態ですけれども,研修やセミナーを実施しているとか,あるいは著作権処理のマニュアル等を整備しているというような例がございますけれども,全体の4割弱については実施をしていないというような回答がありまして,情報提供,著作権処理に関する取組が行われていない学部・学科が非常に多いということが明らかになっております。
 次の22ページ目につきましては,ヒアリングをさせていただいた大学の権利処理。ヒアリングさせていただいた大学は,先進事例ということで体制が整備されているところですけれども,そういったところでの組織ですとか人員について整理をさせていただいております。
 次に,23ページ目です。著作物等の利用を円滑化する上で必要なこととしてアンケート調査を行っております。こちらにつきましては,著作権処理のノウハウが教員に普及されることが全体の70%近く,また学部・学科における著作権処理のための制度整備が55%,著作権法上の例外規定の整備についても52.8%と,こういったところに対して必要性が高いというような実態が明らかになっております。
 こういった国内,高等教育機関の実態に基づきまして,24ページ目,25ページ目の方で課題を四つの観点で整理をしております。課題の一つ目としましては,権利者側のライセンシング体制についての課題があると。これについては,許諾を得る相手方が多岐にわたって個別に権利処理を実施しなければならない。このため手続上の負担ですとか,権利者探索に掛かる時間を削減するために,集中管理等のライセンシング体制の整備が求められるというような課題がございます。
 2点目としましては,教育機関側の権利処理体制の問題がございます。こちらについては,大学によっては権利処理の体制ですとか,ガイドライン等の整備が進められておりますけれども,取組が実施されていない高等教育機関も多数ございますので,その必要性が認識されているところでございます。また,著作権等管理事業者からもヒアリングをさせていただいております。権利者側からは,大学から利用許諾申請がなされていないので,使っていても申請をしていないんではないかというような指摘を受けてもございます。
 こういったところを踏まえまして,権利処理を円滑に行うための学内の権利処理体制ですとか,あるいは権利処理のノウハウ普及に向けた取組というものも必要になってくるだろうというふうに整理をしております。
 次の25ページ目ですけれども,権利制限規定の解釈ということです。権利制限規定,引用についても教育機関によって非常に基準が分かれているというようなところで,権利制限規定の解釈について一定のガイドラインの策定といったものが必要になってくるというふうに取りまとめをさせていただいております。
 4点目,権利制限規定の範囲につきましては,教材等のインターネット送信ですとか,オンデマンド型の講義映像配信などが現在広く実施されていて,今後も拡大が予想されるものの中には現行法の権利制限規定の適用範囲を超えるものがいろいろございます。このためには,権利制限規定の対象とすべき範囲についても議論が必要ではないかというふうに整理をさせていただいております。
 続きまして,初等中等教育機関におけるICT活用教育の著作物利用の実態について御報告いたします。まず,初等中等教育におけるICT活用教育については,世界最先端IT国家創造宣言ですとか,教育の情報化ビジョンという中で提言をされており,国家的な課題と位置づけられてございます。
 次,28ページ目,著作物の利用実態ですけれども,こちらに四つの類型で整理をさせていただいております。一つは,デジタル教科書,・市販教材の利用ということです。例えば,指導者用デジタル教科書が36%の自治体で導入されているですとか,あるいは教員による自作教材等の児童・生徒への送信,あるいは児童・生徒による資料等の送信,及び教員間における教材等の共有等につきましても,先進事例でこのような活用が行われているという実態が明らかになっております。
 第三者の著作物の利用状況と権利状況につきましては,先進的な事例である佐賀県に非常に詳しくお話を伺うことができました。こちらにつきましては,まず県から教員に対して権利処理が発生しないように,できるだけ第三者の著作物を利用しないようにということで対応を求めておりますけれども,実際に権利処理が必要な場合には教育ICTの支援をしている委託先の業者に依頼をして権利処理を行っているという実態がございます。
 ただし,このような運用を行っておりますけれども,先生が教育的な配慮よりも著作権の観点から素材選択をしてしまう,あるいは教員が著作権の確認に時間を取られてしまうということで,教育目的に支障が出るおそれがあるというような課題を指摘しております。
 また,日経BPさん,こちらは取材をしていたり,あるいは初等中等教育向けにICT教材を提供されたりしている事業者さんでございますけれども,三つの課題があるということで,権利処理の必要性の認識が教員に少ないというところと,権利処理の知識を持っていない。また,教育の本来業務で多忙で,権利処理の時間的余裕がないというような点を課題として指摘していただいております。
 次の30ページ目では,著作物利用における課題について整理をしております。こちらについては,高等教育機関と同様に教育機関側の権利処理体制ができていないですとか,権利制限規定の解釈がばらばらである,あるいは権利制限規定の範囲を超えた利用方法があるというようなところが課題として挙がってきております。
 続きまして,ICT活用教育に係る教材の提供者における著作物等の利用実態の整理をしております。まず32ページ目の方では,デジタル教科書での著作物利用状況について整理をしております。デジタル教科書は教科書という名前ですけれども,現状では法第33条の権利制限規定に掛からない教材としての扱いになっているため権利処理が必要となっております。
 この場合,デジタル教科書の中では,動画ですとか写真,文章,文芸作品ですとか,音楽,美術ですとか,非常に多様な著作物が数多く利用されていると。そのために様々な権利処理を行う必要があるということで,権利処理の負担について指摘を受けております。
 次に,33ページ目ですけれども,デジタル教材で利用している著作物について,こちらも事業者さんにヒアリングをさせていただいております。こちらでも著作物の種類,非常に幅広いものが使われておりますけれども,特に教材に関しては入試問題ですとか,教科書準拠教材ということで,教科書に掲載された著作物を二次利用するという場合が非常に多いという指摘を頂いております。
 こちらについても,権利者から許諾を得るという点について,非常に権利処理の件数が多くて負担になっているというようなことで指摘を頂いております。また,権利処理につきましては,まだ権利処理のルール,教育ICTでの利用についてのルール化がなされていないため個別協議で決めている例があるといった点も,指摘を頂いております。
 こういった点を踏まえまして,教科書・教材における著作物利用の課題としましては,34ページのように整理をしております。課題としては,非常に多岐にわたる著作物が多数利用されていると。ただし,これらは33条,教科書での著作物利用の権利制限規定の範囲外になっているというところと,あとは個別に許諾を得ている著作物が多く,また権利処理の負担が非常に大きい。特に海外著作物に関して負担が大きいということが課題になっております。
 また,管理団体との間でのルール化についてもまだ具体的に進展していない部分があって,個別交渉が行われているというようなところを踏まえまして,権利の集中処理ですとか,あるいはデジタル教科書・教材に含まれるコンテンツの種類ですとか,利用方法を踏まえた適切な使用料規定等のルール化が求められるということが言えるかと思います。
 最後に,国内の方では,権利者側のライセンシング体制についても調査をしております。36ページ目,37ページ目で,権利種類別に整理をしておりますけれども,学術論文につきましては,例えば学術著作権協会では論文の集中管理をしていると。ただし,ICTに関してはまだまだ権利処理,集中管理ができていないというような実態がございます。
 専門書・学術書については,集中管理団体,複製権センターですとか出版社著作権管理機構等がございますけれども,ICT活用教育についてはまだ権利処理がされていないというところがございます。
 写真につきましては,集中管理されていないですけれども,民間のエージェンシー等がオンラインで利用料規定等を整備して利用できる体制というものが整備をされているという実態がございます。
 次の37ページ目ですけれども,文芸作品については日本文藝家協会,あるいはJVCAといったような団体で集中管理を行っておりますけれども,ICT活用教育での利用に関してはまだ規定の方が進んでいないという実態がございます。新聞については集中管理がされておらず,新聞社から個別に許諾を得るという形になっております。音楽につきましては,JASRAC,あるいはイーライセンスが管理する音楽については集中管理で,申請により利用可能な状況になっている。こういったところで,一部の分野についてはICT活用教育の許諾を行うための体制ができておりますけれども,全体としてはまだ不十分であるということが言えるかと思います。
 38ページ目につきましては,各団体の権利処理の簡便さについて整理をしております。
 引き続きまして,諸外国のICT活用教育に関する権利制限規定及び運用実態について御報告をいたします。

【柴谷氏】 海外の部分,引き続き御説明申し上げます。海外の部分の調査につきましては,権利制限規定が各国でどのようになっているか,また,著作物の利用がどのように運用されているのかということで,法制度の部分と著作物利用の運用実態の部分と,大きく分けて二つ柱になっているという状況にございます。
 40ページ以降,調査対象となっております6か国について,それぞれ権利制限規定,あるいは運用実態について整理してございますけれども,後ろの方に各国をまとめた表がございますので,そちらを用いて説明したいと思います。
 資料の50ページを見てください。こちら,各国の権利制限規定を比較してございます。まず日本でございますけれども,皆さん御承知のことと思いますが,著作物の公衆送信につきましては,同時に授業を受ける者に対して権利制限の対象となっているという事情がございます。
 続いてイギリスにつきましては,2014年に著作権法改正されてございますけれども,教育目的での説明において著作物を利用する場合にはフェアディーリング規定がございます。また,そのほか,個別権利制限規定としては,著作物の複製及び伝達等が権利制限の対象となっているという状況にあります。この権利制限規定によって著作物を伝達する場合におきましては,当該機関の生徒又は教職員らのみがアクセス可能なセキュリティーが確保されたネットワークといったものの使用が義務付けられているといったことが挙げられます。
 そのほか,後ほど説明しますけれども,権利管理団体が提供する著作物利用のライセンス契約が利用可能である場合につきましては,ライセンス契約が優先されるということになっておりまして,ライセンスの対象外となっている著作物について権利制限規定で受けるというような形になっているという状況でございます。
 続いて米国でございます。米国は御存じのとおり,フェアユース規定が設けられておりますけれども,そのほか個別権利制限としては,一定の著作物の実演,及び展示等が認められております。この実演及び展示につきましては,日本国法でいう公衆送信を手段とするものが含まれているという状況にございます。また,送信に当たっては,条件といたしましては,やはり受信者を限定するといったことや,複製防止措置といったことが義務付けられている状況にございます。
 続いて,オーストラリアです。オーストラリアは英国と同様,フェアディーリングの概念を用いて権利制限対象を定める規定がございます。そのほか,個別権利制限規定としましては,教育指導の過程における著作物の実演及び送信が対象となっています。そのほか,放送やその他の著作物の複製及び送信につきましては,法定許諾制度によって可能となっております。この法定許諾制度によって著作物を利用する場合におきましては,事前に権利管理団体へ補償金を支払う通知というものがなされているということが必要になっております。また,やはりアクセス制限といったものが義務付けられている状況にございます。
 続いて,韓国です。韓国は2013年に改正がございましたけれども,米国型のフェアユース規定が設けられているほか,個別の権利制限規定としまして学校教育目的等における著作物の利用や引用,公演・放送,あるいは公衆送信といったものが権利制限の対象となっております。公衆送信に当たりましては,やはり補償金の支払が義務付けられているほか,アクセス制御措置,あるいは複製防止措置といったものも必要となってございます。
 続いてフランスでございます。個別の権利制限規定としては,要約及び引用,教育目的で著作物の抜粋を上演・演奏又は複製する場合が対象となってございます。この上演・演奏については,日本国法で言う公衆送信に該当する行為も含まれていると考えられております。この条件としましては,一括払いによる補償金の支払,そのほかパスワード等による閲覧制限などが義務付けられている状況にございます。
 最後にドイツでございます。個別の権利制限規定として,一定の複製や公衆再生,公衆提供等が権利制限の対象となっております。公衆提供に当たりましては,権利管理団体を介して権利者に相当の報酬を支払うということ,また受信者を限定するといったことが義務付けられている状況にございます。
 51ページ,52ページにつきましては,各国の著作権法を項目ごと比較してございますので,参照いただければと思います。
 続いて,53ページに各国の運用実態を比較してございます。こちらを説明申し上げます。初めにイギリスでございます。イギリスはほとんどの教育機関がCLA,あるいはERAといった権利管理団体とライセンス契約を締結することによって著作物を利用している状況にございます。教育機関は権利管理団体にライセンス料金を納めており,実質的に補償金を支払っていることと同様の状況と言えると思われます。
 CLAの場合の年間のライセンス料金でございますけれども,こちらは学生・生徒の年齢によって値段が規定されております。大学生の場合におきましては,年間1,256円ほどとなってございます。その結果,CLAとしましては年間で60億円ほど教育機関からライセンス料金を得ておりまして,そのうち53億円を権利者に分配しているという状況にございます。
 続いて米国です。高等教育機関におきましては権利制限によらない著作物について,利用の都度権利管理団体のウェブ上で手続を行い,その際に対価を支払うという仕組みができております。こちらは,コピーライト・クリアランス・センター,CCCのウェブページで手続をすることになりますけれども,どのような用途で使うのか,学生が何人なのか,何ページで使うのかといったものを都度手続するという状況にあります。
 利用料金としましては,学生1人1ページ当たり,おおむね10から50セント程度となっておりますけれども,こちらにつきましては作品ごとに違うという形で,権利者によって値段が規定されております。そのほか,大学によっては権利者と直接交渉によって利用するといった場合も多々見られます。
 続いてオーストラリアです。オーストラリアは法定許諾制度によって著作物を利用している状況にございます。法定許諾の対象外のものにつきましても,権利管理団体が提供する包括的な許諾制度によって利用されていることが多いです。国や,自治体,教育機関等が権利団体へ補償金額を支払うという形になっておりまして,コピーライトエージェンシーが管理する法定許諾におきましては,学生1人当たり,年間約1,600円というふうに規定されてございます。
 続いて韓国でございますけれども,韓国において,事業において,あるいは教科用図書館に著作物を利用する場合におきましては,権利管理団体に補償金を支払って利用されております。文化体育観光部の告示で補償金額は指定されてございますけれども,いわゆる一般的な大学において,授業において著作物を利用する場合においては,学生1人当たり年間約131円という形になってございます。
 続いてフランスです。フランスは著作物の種類ごとに国や権利管理団体,教育機関の間で合意が成立しており,その合意に基づいて著作物を利用する状況にございます。本学部芸術作品,定期刊行物についての補償金額につきましては,教育省が年間で総額約23億円支払うという形になっております。
 最後にドイツでございます。ドイツも,やはり各州と権利管理団体との間の契約に基づいて著作物を利用する状況にあります。国や自治体,教育機関等が権利団体へ補償金額を支払うという形になってございますけれども,こちらは今,包括という形ではなくて,個々の著作物の利用行為ごとに補償金を算定するシステムが実現可能かどうかという確認をするため,電子申告システムの運用を試験的に行っているという状況にあります。その際のライセンス料金としましては,学生1人,1ページ当たり0.8セントというふうに規定されて,今実験されているというような状況にございます。

【中西氏】 国内,海外の調査について御説明させていただきました。最後に55ページ,56ページで,簡単に全体の調査の状況をもう一度ここでまとめさせていただいております。まず,国内の状況でありますけれども,ICT活用教育において,第三者の著作物を利用するに当たっては様々な制約があり,教育機関の方のニーズがある一方で,それに対する十分な状況にはなっていないということが明らかになっています。
 具体的には,著作者の実際の捜索や交渉,権利処理に手間が掛かる,負担が大きいなどの理由によって,許諾を得て利用することは少ないということを確認されています。権利者側へのライセンシング体制については,一部の分野においては,許諾を円滑に行うための体制整備というのは進められておりますけれども,まだ全体として見れば,まだまだ教育機関のニーズを満たすところまでには至っていないという状況であるということが言えます。
 海外の方は,他の国でございますけれども,国によっての規定ぶりというのは様々でございます。ICT活用教育における著作物利用を円滑に図るための一定範囲での,無許諾での公衆送信等を認める権利制限規定などが整備されているということが確認されております。多くの国において,報酬請求権の付与など著作権者等への適切な対価の還元と,著作物利用の円滑化のバランスを図るためのいろいろな工夫が権利制限規定の中に盛り込まれている例というのが見受けられました。権利制限の規定によらない著作物利用というのも広く行われているようで,そのための権利の集中管理体制というものがそれぞれ各国で進んでいるという状況が見えております。
 まとめといたしましては,今回の調査研究によって,国内においては権利者側のライセンシング体制の充実,あるいは教育機関における権利処理体制・著作権制度の啓発・権利処理のノウハウの普及,権利制限規定に基づく利用についてのガイドラインの策定,関連権利制限規定の整備というものについて検討すべきことが明らかとなっております。
 教育の質の向上や教育の機会拡大を図るために,著作物利用に関し第三者の著作物利用の一層の円滑化に向けた環境整備というのが望まれていると。
 今後,国内の現状や他の国の取組を踏まえて,諸課題の検討を進めるということによって,ICT活用教育における多様な著作物が容易に利用できるような環境作りというのを実現していく必要があるんじゃないかという形でしめさせていただければと思います。
 ちょっと予定より時間,延びてしまいましたけれども,以上で御報告とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【土肥主査】 中西様,大野様,柴谷様,詳細な調査御報告,ありがとうございました。せっかくの機会でございますので,今の御発表につきまして質問,御意見,そういったものがございましたらお願いをいたします。
 茶園委員,どうぞ。

【茶園委員】 どうもありがとうございました。質問が3点ありまして,教えていただきたいのですけれども,まず1点目はICT活用教育というものを,私はやったことがないのでどういうものなのかよく分からないので教えていただきたいと思います。御報告では,いろいろな高等教育機関において行われているということでしたが,そこでは,例えばインターネット送信をする場合に,アクセス制限やコピープロテクションを掛けることが一般的なのでしょうか。
 2点目は,御報告の資料4の16ページに,権利処理済みとなった市販の教材と記載されていますが,この権利処理済みというものはどういうものなのでしょうか。
 3点目は,55ページですけれども,諸外国の状況として最後に,権利の集中管理体制の整備も諸外国では進んでいるということで,その前の53ページのところでも,調査されたいろいろな国では,特に補償金を権利管理団体に支払われる国が挙げられています。このような国の権利管理団体は,対象になる著作権のうち相当な割合のものを管理しているということでしょうか。日本ではライセンシング体制がなかなか整備されていないという問題を指摘されていましたけれども,こういう国では,権利管理の状況が日本とは違っているということになっているのでしょうか。
 以上の3点について,お教えいただきたいと思います。

【大野氏】 では,一つ目から順に御説明させていただきます。1点目,インターネットのアクセス制限があるかということにつきましては,多くの場合,学内のLANに閉じている場合ですとか,あるいはインターネット上で閲覧できる場合でも,IDとかパスワードによって閲覧者の制限を掛けている場合というものが多々ございます。ただし,一般向けに関しては,これは一般に公開するものですので,インターネット上でじかに見られるという形になっておりますけれども,学内で特に授業等に使うというような場合には,IDとパスワードで制限を掛けて,受講している学生しか見られないようにしているというようなことが一般的になっております。
 2点目,権利処理済みの例ということでございますけれども,これは例えば写真等につきましては,AFPWAAというフランスのAFP通信の子会社が写真のアーカイブを公開したりしております。そういうところでは,そういったアーカイブを提供する事業者があらかじめ権利処理をして,アカデミック利用に関しては一定の範囲内で自由に使えるという形で提供しているというものがございますので,そういったところが権利処理済みの例となっております。

【柴谷氏】 3番目の御質問につきましてですけれども,各国においてどれぐらい著作物があって,各権利団体がその何割を対象としているかという具体的な数字がないので,直接的なお答えはできない状況にございます。ただ,ちょっと管理団体の性質の方から逆に推察するという形になりますけれども,英国の例えばCLAは著作権法に基づいて設立されているという状況にございますし,コピーライトエージェンシーも政府によって任命されている法定許諾の管理団体となっております。
 そのほか,フランスのCFCなども唯一の権利団体とされているといったことや,米国のCCCにつきましても,現行の著作物関連でいえば唯一の管理団体となっております。また,それらの権利団体がかなりの額のライセンス料金を収拾して著作権者に分配しているという状況がございますので,権利者を代表する組織として機能しているんじゃないかなというふうに思っております。以上です。

【土肥主査】 よろしいですか。ほかにどうぞ。
 上野委員,どうぞ。

【上野委員】 本報告書は,国内の実態及び諸外国の状況について大変参考になるものかと思いますが,1点だけお伺いいたします。
 本報告書及び概要におきましては,オーストラリアに関する部分においてのみ,「法定許諾制度」という言葉が多用されているように思います。ただ,「法定許諾」と申しますと,権利制限プラス補償金請求権を定めることを一般的に意味するものとして用いるのが国際的にも共通の理解になっているように思います。もしかすると今回の御調査で,アンケートの回答ではオーストリアだけが「法定許諾」という言葉を用いていたからそのような記述になったという御事情があるのかも知れませんが,別にオーストラリアが何か特別な制度を有しているわけではありませんで,もしオーストラリアについて「法定許諾制度」というのであれば,同様に権利制限プラス補償金ないし報酬請求権を定めている韓国,フランス,ドイツも法定許諾制度を採用しているといえるかと思いますし,むしろその方が誤解を招かないような気がいたしますけれども,そのような理解でよろしいでしょうか。

【柴谷氏】 おっしゃること,よく分かります。なかなか定義,本当に難しいところでございますけれども,オーストラリアにつきましては法定許諾という形で,その文言を使って管理団体の方で説明がございますので,そのようにこちらの方にも記載させていただきました。
 そのほか,韓国,フランス,ドイツなども補償金を支払うということで,制度的にほぼ同じような状況であるかなと思いますけれども,つまり各国でそういう言葉を使っていなかったということで,法定許諾という言葉は使っていないという状況になります。

【土肥主査】 ほかにございますか。
 井奈波委員,どうぞ。

【井奈波委員】 36ページのところなんですけれども,学術論文に関してスイスの著作物を除いて管理されておらずというところがちょっと気になったんです。これ,公衆送信については,一部の著作物(スイスの著作物)を除いて管理されておらず,個別に権利者の許諾を得る必要があるということなんですが,これはスイスの著作物についてはスイスの方で集中管理されていて,日本との学術団体,学術著作権協会との間で相互管理契約が締結されていて,日本でも利用可能ということなんでしょうか。
 あと,ほかのスイス以外の国についても,53ページを見ますと,大体公衆送信についても集中管理がされているようなふうに見えるんですけれども,そういう団体との間で相互管理契約を締結しますと,日本でも他国の論文等が使えるという趣旨なんでしょうか。

【大野氏】 まず,スイスについては,集中管理団体があって,そこで管理をしていて学術著作権協会と契約をしているというところは,そのとおりでございます。他の団体,他の国についても同様に,集中管理をされている国については,学術著作権協会等と契約をすれば使える状況になるというふうには認識しておりますけれども,調査研究を行った時点で学術著作権協会さんが公衆送信について契約をしているのがスイスの団体と米国の団体だけでして,米国の団体から再委託をされている著作物については教育機関における利用についての使用料規程がないために利用許諾を受けられる状況にはないという形です。

【土肥主査】 ほかにございますか。よろしいですか。
 日本の大学の我々,大学にいる者なんですけれども,保護意識が低いというようなのを,先ほどヒアリングでそういうのがあったということなんですけれども,その先は何かおっしゃっておられましたか。

【大野氏】 その点につきましては,権利団体さんが,申請が少ないので,実際は使っているのに申請してきていないのではないかという,単にコミュニケーション不足が一番大きな点ではないかなと思っております。実際に先進事例を高等教育機関,ヒアリングさせていただきますと,かなり意識して権利処理ですとか,著作権侵害にならないような利用方法というのを心掛けていらっしゃいますので,そういったところは実際に意識が低いのかというよりは,単に権利団体さんとうまくまだ意思疎通がされていない部分が多々あるのではないかなと考えております。

【土肥主査】 幾つかの国でみられるような,法定許諾といったことまで踏み込んで何かおっしゃっておられたのかなということでお尋ねしたんですけれども。ありがとうございました。
 時間が来ておりますので,この点についてはこのくらいにさせていただきたいと思います。この問題,今お聞きのとおり重要な問題を多々含んでおります。本小委において今後継続して検討していきたいと思いますけれども,まず今のお話にもありましたように,関係団体の具体的なお考えとか状況,要望,そういったことをまずよく伺いたいと思っております。その点で,関係団体,あるいは権利者団体から意見の聴取をさせていただければと思っておりますので,事務局におかれましては,そのあたりの手配といいますか,準備をお願いできればと思います。
 また,聞いておりますと,どうも山本委員がおっしゃっておられたような問題についてはここでも出てきそうなところもございますので,今後,この問題について集中的に取り扱っていければと思います。
 本日は時間も来ましたので,このくらいにしたいと思います。事務局から連絡事項がございましたら,お願いをいたします。

【秋山著作権課課長補佐】 次回小委員会につきましては,日程調整の上,改めて御連絡したいと思います。よろしくお願いします。

【土肥主査】 それでは,本日はこれで第1回法制・基本問題小委員会を終わらせていただきます。本日はお三方,どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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