研究開発における情報利用の円滑化についての論点

(1)検討の背景

政府の知的財産戦略本部では,高度情報化社会の下,インターネット上の膨大な情報等から情報・知識を抽出すること等によりイノベーションの創出が促進されるとの観点に立ち,情報アクセスなどネットワーク化のメリットを最大限に活用できるような環境整備の必要性が認識されている。そして,本年6月に同本部で決定された「知的財産推進計画2008」においては,まず,それらの情報処理のための基盤的技術となる画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の研究開発に関して,この研究開発の過程で行われる情報の利用について著作権法上の課題があることを指摘し,早急に対応すべき旨が盛り込まれたところである。

●「デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について<検討経過報告>」

(平成20年5月29日,デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会)

4.早急に対応すべき課題について

(3)研究開発に係る著作物利用の適法化

 科学技術によるイノベーションの創出を促進するためには,研究開発活動を充実させることが不可欠である。
特に,高度情報化社会の下,取り扱われる情報量が爆発的に増大する中,利用者が必要とする情報・知識を容易に抽出し,高度な知的処理を実現するためには,画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の基盤的技術が重要となっている。これらの技術に係る研究開発を行うためには,放送番組に係る情報やウェブ情報等の膨大な情報を蓄積・改変することが必要となる。このほか,幅広い分野の研究開発において,学術論文以外にも様々な著作物が利用されている。
しかしながら,このような行為は,著作物の通常の利用形態とは異なるものであり著作権者の正当な利益を害するおそれは少ないと考えられるにもかかわらず,著作権法上の複製・翻案に当たるおそれがあるため,実際の公的研究機関や産業界における研究開発活動に相当程度萎縮効果が働いている。
他方,米国においてはフェアユース規定に基づき一定の範囲内における研究開発目的の権利制限が認められており,英国においても研究目的の権利制限の対象範囲の拡大が検討されている。このため,現状を放置したままでは,我が国著作権法上の制約が我が国の国際競争力の低下を引き起こしかねない。

著作権者に及ぼす影響にも配慮しつつ,研究開発に必要な範囲において著作物の複製や翻案を行うことができるよう早急に法的措置を講ずるべきである。

●「知的財産推進計画2008-世界を睨んだ知財戦略の強化-」

(2008年6月18日,知的財産戦略本部)(抜粋)

第1章 知的財産の創造

1.基礎研究分野の創造力を強化する

(2)内外リソースの積極活用のための環境を整備する

(1)研究開発における情報利用の円滑化に係る法的課題を解決する
ネット等を活用して膨大な情報を収集・解析することにより高度情報化社会の基盤的技術となる画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の研究開発が促進されること等を踏まえ,これらの科学技術によるイノベーションの創出に関連する研究開発については,権利者の利益を不当に害さない場合において,必要な範囲での著作物の複製や翻案等を行うことができるよう2008年度中に法的措置を講ずる。

具体的には,画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の研究開発分野に関わる研究者等からは,例えば,次のように研究開発の過程で,それぞれ著作物等の利用が行われ,著作権法上の問題が生じることとなるのではないかとの指摘があった。

  • ア ウェブ情報解析関係
    ウェブ情報の解析のために,クローリング1により一般に公開されているウェブ上の情報をアーカイブし,また,その情報の整理等を行った上でのデータベース化,解析結果のサマライゼーション(ポイントの抽出・表現)を行うこと。
    これらは,社会分析,言語分析等様々な研究分野で活用されているほか,辞書,知識ベースの機能向上のためにインターネットサービスプロバイダ等に提供されることもある。
  • イ 言語解析関係 文献等の言語情報を電子化してコーパス2を作成し,単語や文のつながりなどの用例をウェブ上で検索・表示可能にすることや,関係研究者に対してコーパスのデータをDVDで配布すること。
    これらは,音声の自動認識,機械翻訳等に関する研究開発や,辞書,文法書の編纂や言語研究等に用いられている。
  • ウ 画像・音声解析関係
    放送番組を録画・蓄積することや,それに係る言語部分を朗読等により音声化して蓄積すること。
    これらは,メタデータの活用による映像のシーン検索等のための技術開発や,番組の演出効果のための映像処理技術の開発,音声認識による字幕制作の機能向上3,テキストからの音声合成等に用いられている。また,放送局が,放送番組の映像の使用を希望する研究者に対して映像を提供することもある。
  • エ その他の技術開発等関係
    録画機器の開発など,技術・機器の研究開発過程で,その機能・性能の評価・検証のために,実際に著作物の録画・上映を行うこと。
  • オ その他の研究目的関係
    放送番組の視聴の分析を行うため,番組の上映等を行うこと。
    大学等において論文等の文献の複製・データベース化等を行うこと。

1検索ロボット(クローラー)と呼ばれるソフトウェアによって,ウェブサイト情報を収集し,そのデータをストレージサーバへ格納(蓄積)する工程を,クローリングという。

2コーパスとは,「言語にかかわる研究・開発のために電子的に集積された大量のテキスト」を指す。(第5回法制問題小委員会(平成20年7月25日)独立行政法人国語研究所・前川氏発表資料より)

3画像認識,音声認識については,主流は論理的処理から統計的処理へと転換しており,あらかじめ映像データ,音声データ等のデータベースを構築して,そのデータベースから,認識した部分に対していくつかの候補を選び,一番確率の高いものを結果として表示する方式がほとんどとされる。このため,多く学習させる(データベースが充実する)ほど認識結果も向上する仕組みになっているとのことである。(第5回法制問題小委員会(平成20年7月25日)NHK放送技術研究所・菅波氏発表等より)

(2)問題の所在 ※このような問題認識でよいか。

○ 知的財産戦略本部では,研究開発全般のうち,まず画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の研究開発の過程で行われる情報の利用を念頭に置いて検討を行っているが,その背景には,元々これらの情報の利用が,行為の外形上は著作権法の保護の対象となる利用行為に当たるものの,著作権法が保護すべきものとして本来想定しているような利用行為そのものとは利用形態が異なるとの問題意識があることが見て取れる。
その問題意識をさらに詳細化するなら,情報解析の場合,その目的は,著作物の思想,表現そのものを感じ取るのではなく,その中から必要な部分を探し当てることや,アイディアや背景情報等を抽出すること等であって,仮に生身の人間が行ったとするならば視聴行為として著作権が及ばないはずの行為について,これと同様の行為をコンピュータ等に実行させようとする場合には,いったん中間的にデータとして蓄積させなければならないために著作権法上の利用行為となってしまうなどの点が,一例として指摘できると考えられる。

○ 仮に,「研究開発における情報利用の円滑化」との課題を,このように,著作権法が本来想定している保護範囲と,外形上はその利用行為に当たるものの利用の実質を備えない行為との調整であると捉えた場合には,何らかの対応の検討が必要な場合があると考えられる。
一方で,仮に「研究開発における情報利用」に関する規定を設ける場合には,「研究開発」の用語に含まれる活動は相当に広範囲にわたってしまうことから,元々の検討の契機となった解析技術等の研究開発以外の研究(例えば,上記エ,オ等)も念頭に置いて,課題を検討すべきであると指摘がなされた。

○ 権利制限規定の創設の検討に当たっては,一般に,その著作物の利用行為の目的,性質や態様,契約実態等が踏まえられることとなるが,「研究開発」に含まれる利用行為自体が非常に多様であることから,権利制限規定の必要性や規定の創設に当たって検討すべき事項も様々であり,すなわち,問題の所在自体を一様に捉えることが困難となっている。その点がこの課題を複雑にしていると思われる。

(3)論点の整理

(1) 検討対象とする分野を限るかどうか

 このように多様な活動を含む「研究開発」について,どの範囲の研究開発を検討対象とすべきか,あるいは範囲を限定して考えるべきではないのかの点について,どのように考えるか。例えば,次のような考え方が指摘された。(なお,AとBとを組み合わせることも考えられる)

  • A) 広範な研究開発全体を対象にしては,それぞれ利用行為の性質等も異なるなど,結論を出すことが困難である。元々の問題意識に照らして特定の分野の研究開発に限って検討すべきではないか。
    例: 画像・音声・言語・ウェブ解析技術の研究開発(又はその一部)
    ネット上の著作物を利用して行う研究開発 等
  • B) 研究開発のうち一定の分野だけを取り出すために線引きをしてしまうことは不適切であるか,又は現実的に困難であり,研究開発全般を想定した上で,別の条件から範囲を画すべきではないか。
  • C) 研究開発目的のプログラムのリバース・エンジニアリングについては,別途の要件で別の権利制限として検討すべきではないか。

(2) 権利制限の根拠をどう考えるか

○ 権利制限を行うことが適当な範囲が仮にあるとして,どのような要素により権利制限が必要な範囲,正当化される範囲を画すかについては,以下のような指摘があった。これらの組み合わせをどう考えるか,また,他に考慮する要素はあるか。
また,これらの要素は,権利制限規定を設ける場合の根拠(零細な利用であるからか,本来著作権法が保護しない領域のものなのか,利用の公益性なのか,市場の失敗に対応するものか,等)と相互に関連していると思われるが,権利制限の根拠をどのように捉えるべきか。

  • a 内部的,中間的な利用にとどまり,外部に提示されないものかどうか
  • b 著作物全体を利用するか,ごく小さな部分だけの利用にとどまるか
  • c アイディアや背景情報等を抽出するため等であって,特定の著作物の表現そのものの享受を目的としない利用であるか
  • d 大学等における学術研究か,個人の私的研究や企業の製品開発も含むか
  • e 非営利目的か,営利目的か
  • f トランザクションコスト,契約処理の実現性はどうか  等

○ また,上記のほか,個別に留意が必要な点として次のようなものがあると思われるが,どのように考えるか。

  • ◆ a~c については,仮に本来著作権法が保護しない領域かどうかに関係する要素だとすれば,一般に研究開発目的の場合に限った問題ではなくなるとも考えられるが,この点をどのように考えるか。 例えば,検索エンジンやウェブ解析技術は,実証的にクローリングをしながら技術を向上させていくなど,情報抽出そのものと,情報抽出のための技術の研究開発とを区別することが現実的に可能なのか
  • ◆ d の研究主体に関しては,仮に研究開発の公益性に関係する要素だとすると,公益性のある研究開発とはどのようなものと考えられるのか。(個人の私的研究も含めて公益性があるという考え方もないとは言えないが,現在の著作権法の各権利制限の根拠となっている公益性とは意味が異なる部分があるのではないか。)
  • ◆ e の非営利目的かどうかとの関係では,コーパスやウェブアーカイブのように,それを構築する主体と,そのデータを利用する主体とがいる場合があるが,営利,非営利等の要素は,どの主体について判断すべきか。 現行著作権法では,図書館等における調査研究の用に供するための複製物の提供(31条)については,非営利目的に限っていることとのバランスをどのように考えるか。(ただし,同条も複製物の提供側である図書館は非営利の事業であることを要するが,利用者側に非営利の要件が課せられているわけではない。)
  • ◆ f の契約処理の実現性という点では,例えば,コーパスは,現在の分量については許諾を得て作成されているほか,放送番組などの映像解析については,諸外国においては,契約によって,利用できる映像がウェブ公開されている場合もあるとの報告がされている4
    また,特に過去に制作された放送番組等に関して権利者が多数であることや,権利者不明等を理由として権利処理が困難との問題については,一般には研究開発目的の場合に限った問題ではないとも考えられることから,研究開発目的の場合に,これを根拠として権利制限を設ける場合には,どのような考え方か。

4BBCやアメリカの4大ネットワークなど。(第5回法制問題小委員会(平成20年7月25日)NHK放送文化研究所・四方氏発表より)

(3) 利用行為の態様によってさらに範囲を限るべきか

 権利制限を正当化する範囲として前述の要素のほか,利用態様によって対応が分かれてくるとの指摘もあった。次のような点をどのように考えるか。他にも考慮する要素はあるか。

  • g 利用する著作物が,研究目的と関連性の深い著作物の利用にとどまるのか,研究目的と関係の薄い著作物についても広く利用するのか
  • h 研究目的以外で利用する者を確認できるなど,研究目的であることを担保できるか 等
  • i 既にビジネスによって提供されている利用と重ならないか5 等

(4) 権利制限の必要性,現行法での対応可能性はどうか

 上記(1)~(3)の検討対象をどのように絞るかを定めなければ,検討が困難であるが,範囲の対象として想定する利用行為が,そもそも著作物の利用行為に当たるのか6,現行法の解釈や他の権利制限規定,契約等によって対応できるかどうかの検証については,どのように考えるか。(一部重複)

(5) フェア・ユース規定との関係をどう考えるか

 対象とする研究開発の範囲を確定するに当たって,研究開発は非常に幅広いものであるので現実的にその確定が困難であって,いわゆるフェア・ユース規定のような,包括的な規定によって対応してはどうかとの指摘もあった。このような指摘について,どう考えるか。

(6) 技術的保護手段との関係をどう考えるか

 研究開発目的で,技術的保護手段がかけられている著作物を利用したい場合に,それを利用できる手段がないとすると,権利制限規定を設ける意味がないのではないかとの指摘があった。その取扱いをどのようにすべきか。(→資料4)

5例えば,新聞社では,研究開発目的で情報の利用を希望する者に対して過去の記事のデータベースの販売や,ウェブ上のニュースを収集する権利の販売を行っている現状がある。(第6回法制問題小委員会(平成20年8月1日)日本新聞協会・川内氏発表より)

6情報解析等のための著作物の利用行為は,通常の利用形態と異なるため,そもそも著作物利用に当たらないという考え方もあり得るが,例えば,ウェブ解析のためのクローリングに伴う蓄積等は,同様の行為を行っている検索エンジンに関し,「法制問題小委員会平成19年度中間まとめ」(平成19年10月12日。第4節「検索エンジンの法制上の課題について」)では,著作権法上の複製等に該当しうると整理されている。

参考:諸外国の立法例

ドイツ法(「外国著作権法令集(37)-ドイツ編-」2007年3月,社団法人著作権情報センター)

第52a条 授業及び研究のための公衆提供

  • (1) 次の各号に掲げる行為は,その都度の目的上必要であって,かつ,商業的でない目的を追求するものとして正当とされるかぎり,許される。
    • 1. (略)
    • 2.公表された著作物の小部分,僅かな分量からなる著作物及び新聞又は雑誌に掲載された編集構成物の少量を,専ら明確に限定された範囲の者のためにその者自身の学術研究を目的として,公衆提供すること。
  • (2) (略)
  • (3) 第1項の場合においては,公衆提供のために必要とされる複製も許される。
  • (4) 第1項に基づく公衆提供については,相当なる報酬を支払うものとする。この請求権は,集中管理団体によってのみ行使することができる。

第53条 私的及びその他の自己の使用のための複製

  • (2) 著作物の複製物の少量を製作し又は製作させることは,次の各号に掲げる目的に応じ,それぞれ当該各号に定める条件に従う場合には,許される。
    • 1. 自己の学術的使用に供するため複製がその目的上必要と認められる場合にかぎる。

イギリス法(事務局仮訳)

(研究及び私的学習)

第29条

  • (1) 非営利目的の研究を目的とする文芸,演劇,音楽又は美術の著作物の公正利用は,十分な出所明示を伴うことを条件として,著作物のいずれの著作権をも侵害しない。
  • (1B) (1)の目的での公正利用に関し,現実的に又はその他の理由により出所の明示が不可能な場合は,これを要しない。

オーストラリア法(「外国著作権法令集(33)-オーストラリア編-」1999年3月,社団法人著作権情報センター)

第40条 調査または研究のための公正利用

  • (1) 調査または研究を目的とする言語,演劇,音楽もしくは美術著作物または言語,演劇もしくは音楽著作物の翻案物の公正利用は,当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。
  • (1A) 言語著作物(講義録を除く)の公正利用は,教育機関に所属する外部学生による研究もしくは調査の認可課程の目的でまたはこれに関連して行われる場合には,当該著作物に対する著作権の侵害にあたらない。
  • (1B) 第(1A)項において,講義録とは,講義または指導を行う者が研究もしくは調査においてまたはこれに関連して作成する言語著作物をいう。
  • (2) 本法において,言語,演劇,音楽もしくは美術著作物または言語,演劇もしくは音楽著作物の翻案物の全部または一部を複製することによって行われる利用が,調査または研究のための当該著作物または翻案物の公正利用にあたるか否かを判断するにあたって検討すべき事項には,以下を含む。
    • (a) 取引の目的および特徴
    • (b) 著作物または翻案物の性質
    • (c) 当該著作物または翻案物を通常の商業的価格で合理的な期間内に入手できる可能性
    • (d) 当該取引が,当該著作物または翻案物の潜在的市場または価値に及ぼす影響
    • (e) 当該著作物または翻案物の一部のみが複製される場合 当該著作物または翻案物全体に対する,複製された部分の量および重要性
  • (3) 第(2)項にかかわらず,調査または研究のための言語,演劇もしくは音楽著作物またはその翻案物の複製による利用においては,
    • (a) 当該著作物または翻案物が定期刊行物中の記事である場合――当該著作物または翻案物の全部または一部が,
    • (b) その他の場合――当該著作物または翻案物の相当部分を超えない部分が,調査または研究のための著作物または翻案物の公正利用の対象とみなされる。
  • (4) 第(3)項は,定期刊行物中の記事の全部または一部の複製による利用において,当該刊行物中の異なる主題を扱う別の記事も複製されている場合には適用しない。

第47B条 コンピュータ・プログラムの通常の使用または研究のための複製

  • (1)・(2) (略)
  • (3) 第(4)項に従い,コンピュータ・プログラムである言語著作物に対する著作権は,以下の場合には,当該著作物の複製により侵害されない。
    • (a) 当該複製物が,当該プログラムの背後にあるアイディアおよび当該プログラムが機能する方法を研究する目的のために,当該プログラムのコピーを実行する技術的過程の一部として,付随的かつ自動的に作成され,かつ
    • (b) 当該コピーの実行が,当該コピーの保有者または被許諾者によりまたはこれに代わり行われる場合。
  • (4) 第(3)項は,コンピュータ・プログラムの侵害コピーからの複製には適用しない。
  • (5) (略)

カナダ法(「外国著作権法令集(26)-カナダ編-」1999年3月,社団法人著作権情報センター)

調査又は私的研究
29.調査又は私的研究を目的とした公正使用は,著作権を侵害しない。

アメリカ法(「外国著作権法令集(29)-アメリカ編-」2007年7月,社団法人著作権情報センター)

第107条 排他的権利の制限:フェア・ユース

 第106条および第106A条の規定にかかわらず,批評,解説,ニュース報道,教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む),研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェア・ユース(コピーまたはレコードへの複製その他第106条に定める手段による使用を含む)は,著作権の侵害とならない。著作物の使用がフェア・ユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は,以下のものを含む。

  • (1) 使用の目的および性質(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。
  • (2) 著作権のある著作物の性質。
  • (3) 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性。
  • (4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。

上記の全ての要素を考慮してフェア・ユースが認定された場合,著作物が未発行であるという事実自体は,かかる認定を妨げない。

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