(平成24年第7回)議事次第

日時:平成25年2月6日(水)
    15:00 ~17:00
場所:東海大学校友会館 阿蘇の間

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)「間接侵害」等に係る課題について
    2. (2)パロディワーキングチームからの経過報告について
    3. (3)平成24年度法制問題小委員会の審議の経過等について
    4. (4)その他
  3. 3 閉会

配布資料一覧

資料1 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第6回)における議論の要点 (196KB)
資料2 「間接侵害」等に係る課題について(検討経過)(案) (284KB)
資料3 著作物のパロディとしての利用に係る課題に関する検討経過報告 (160KB)
資料4 平成24年度法制問題小委員会の審議の経過等について(案) (220KB)
  出席者名簿 (68KB)

【土肥主査】  それでは,定刻でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第7回を開催いたします。
 本日はお忙しい中,御出席をいただきまして,誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に,本日の会議の公開につきましては,予定されておる議事内容を参照いたしますと,特段,非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいておるところでございますけれども,特にこの点,御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】  それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 議事に入ります前に,事務局に人事異動がありましたので,御報告をお願いいたします。

【小坂著作権調査官】  それでは,事務局の人事異動を御報告申し上げます。1月15日付で著作権課課長補佐に菊地史晃が着任しております。

【菊地著作権課課長補佐】  菊地と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【土肥主査】  それでは,早速ですけれども,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【菊地著作権課課長補佐】  それでは,配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の下半分を御覧ください。
 「間接侵害」等に係る課題についての資料といたしまして,資料1では前回の法制小委における議論の要点を,資料2といたしましては「間接侵害」等に係る課題についての検討経過(案)をお配りしてございます。資料3といたしましてはパロディワーキングチームの審議の経過等についてお配りさせていただいております。そして,資料4といたしまして今期の法制小委の審議の経過等について(案)をお配りしております。配付資料は以上でございます。
 落丁等ございます場合には,お近くの事務局員までお声かけいただければと思います。
 以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,議事に入りますが,初めに議事の段取りについて確認をしておきたいと存じます。
 本日の議事は,1.「間接侵害」等に係る課題について,2.パロディワーキングチームからの経過報告について,3.平成24年度法制問題小委員会の審議の経過等について,4.その他,以上の4点となります。
 まず1については,事務局において「間接侵害」等に係る課題についてのこれまでの議論を整理した検討経過(案)を作成していただいておりますので,本日は,その内容について御議論いただいた上でお取りまとめいただければと思っております。
 次に,2につきましては,パロディワーキングチームにおいて検討が進められておりましたので,本日はその検討の経過の御報告をいただいて,その後,議論を行いたいと存じます。
 3につきましては,資料4に基づいて事務局より簡単に御説明をいただき,本小委員会として御了承いただければと,このように考えております。
 それでは,早速,1の議題に入りたいと思います。まずは前回の本小委員会において出された主な意見について,事務局から説明していただきたいと思います。その後で,「間接侵害」等に係る課題についてのこれまでの議論を整理した検討経過(案)を説明していただき,その上で御議論をいただければと存じます。
 それでは,よろしくお願いいたします。

【菊地著作権課課長補佐】  それでは資料1と資料2に基づきまして,事務局より御説明させていただきます。
 まず,資料1を御覧ください。資料1は,前回,第6回の法制小委における議論をまとめたものでございます。簡単に御説明させていただきます。
 まず,Ⅰとして,間接侵害の議論についてまとめております。1.(1)では,立法措置の必要性について整理しております。まず,あまり規範として明確性が十分でない段階で立法されると,実際に裁判をする場合に困るのではないか。もう少し時間をかけて議論すべきではないかといった御意見。それから,差し当たり間接侵害として立法するのであれば,このように限定すれば大方の人がそれで問題ないだろうというものを立法すべき。また,3類型をもう少し限定できなければ,立法はこのままでは難しいという結論になるのではないかといった御意見をいただいております。
 一方で,このような意見に対しては,全体としては従属説で限定をし,さらに3類型で限定し,可能な限り明確化を図っているという御意見もございました。
 このほか,間接侵害に係る差止の範囲の明確性について争いがある以上,もう少し時間をかけて議論すべきであるとの御意見もございました。
 ページをおめくりいただきまして,2ページ目を御覧ください。2.(1)では,いわゆる従属説についての御議論を整理させていただいております。まず従属説に対し従属するもととなる行為がどういう場合に違法となるのかが明確ではなく,明確性の観点からもう少し議論すべきといった御意見もございました。
 また,民事の場合,直接行為者が特定できなくても,また,侵害が未遂であっても差止ができることになり,従属説といっても極めて従属性が弱いのではないかといった御意見や,少し飛びまして下から2つ目の御意見でございますが,直接侵害が未遂でもよく,また直接侵害行為がなくてもよいというのであれば,従属説を採用する意味が曖昧になってしまうのではないかといった御意見がございました。
 これらの意見に対しては,上から3つ目,真ん中の御意見でございますけれども,そもそも差止とは,将来における侵害を防止する手段であるため,侵害が発生していることが要件となっておらず,あまり問題とする必要はないのではないかとの御意見や,一番下の御意見になりますけれども,112条で侵害するおそれという場合,間接行為者の行為は直接侵害の発生に先んじて行われるが,直接侵害がなくてよいとも,侵害が成立しなくてもよいとも言っているわけではないという御意見がございました。
 ページをおめくりいただきまして,3ページ目を御覧ください。(2)といたしまして,ここでは3類型についての議論を整理しております。まず(ア)総論といたしまして,1つ目と2つ目の御意見につきましては,先ほど御紹介させていただきましたものと同じですので,説明を省略させていただきます。3つ目の御意見ですけれども,物品・場としているところの場について表現が不明確ではないかとの御意見がございました。これに対しては,差止の対象とすべきところとして,肝心なところは押さえた表現にする意図はあったものの,ワーキングチーム内でも物品・場という言葉に込めた思いは違うのではないかといった御意見がございました。
 そして,3類型は従属説の中で差止の対象となるものを具体的なアイデアとして示したものと理解しており,そのまま立法化されるべきだとは考えておらず,3類型の表現が不明確だという指摘もあるため議論を重ねる必要があると認識しているといった御意見もございました。
 続いて(イ)では,類型の2についての議論を整理しておりますが,まず,「知るべきでありながら」という要件は一般的な過失責任を指しているように見え,差止の対象となる範囲が広過ぎるのではないかといった御意見がございました。
 ページをおめくりいただきまして,4ページ目を御覧ください。こちらも先ほど御紹介させていただきました御意見ではありますけれども,直接行為者が特定できなくとも,また,侵害が未遂であっても,ある物やサービスが侵害発生の実質的危険性を有する物品・場であることを認識して提供すれば類型2に該当し,さらに類型2に「知るべきでありながら」という場合も含むため,実質的危険性を認識していなかった者に対しても,周囲の事情から知るべきであったということで差止の対象になるのではないかとの御意見がございました。
 これらの意見に対しましては,「知るべきでありながら」という要件は明確性を図るための加重要件であり,「侵害発生防止のための合理的措置を採ることなく」という要件だけよりかは明確ではないかとの御意見もございました。
 続きまして,Ⅱでは,リーチサイトに関する議論を整理してございます。1.では総論といたしまして,立法措置の必要性やインターネット利用への影響等についての御議論を整理しております。
 まず,リーチサイトについて,権利者が何らか対策をとれるようにすべきこと,その一方でインターネットでの通常の行為が過度に阻害されないようにすべきことについて,それぞれコンセンサスがあるのではないかとの御意見がございました。
 また,リーチサイトとしてどのようなサイトを対象とするのか,もう少し実態を整理したほうがよいのではないかといった御意見もございました。また,一般的な検索サイトや個人のブログ等の単なるリンクについて扱いを懸念する御意見もございました。
 このほか,リーチサイトが海外に置かれているとすれば,立法化してもあまり意味がないため,実態を調査する必要があるのではないかという御意見や,リーチサイトの状況を放置してはならないという御意見,さらに1枚おめくりいただきまして,仮にリーチサイトに差止請求を認めたとしても,実効性に疑問があるといった趣旨の御意見もございました。
 続きまして,2.として間接侵害の議論とリーチサイトとの関係についての御意見を整理しております。
 まず,一部のリーチサイトは類型の(ii)や(iii)の場に取り込めるのではないかとの御意見がございました。一方で,リーチサイト全体を差止の対象とするのであれば,間接侵害とは別の立法措置が必要であり,個々のリンクを対象とする場合には間接侵害の枠組みを決めた上での一事例となって,個別に判断せざるを得ないといった御意見がございました。
 そして,個々のリンクと類型の(ii)との関係について御意見がございました。中ほどからになりますけれども,SNS等を利用したリンクや検索エンジンによる検索結果の表示が類型の(ii)に当たりかねず,こうした難点を回避するためにリーチサイトについて個別の規定を設け,3類型とは別に独立して検討されてもよいのではないかといった御意見もございました。
 最後に,特別法によってリーチサイトを差止の対象とする場合,例えば一定の措置に対して応じないなど,一定の手順や手続をもって意図の悪性を確定するような,少し違った発想で何が悪質であるかを分ける方法が考えられるのではないかといった御意見がございました。
 駆け足になりましたけれども,前回の法制小委における議論の要点については以上でございます。
 続きまして,資料2に基づきまして「間接侵害」等に係る課題についての検討経過(案)について御説明させていただければと思います。失礼しました。資料2は,今期の法制小委における検討を中心に「間接侵害」等に係る課題について,司法救済ワーキングチームでの検討結果や本小委員会において行った関係団体ヒアリングの結果,これらを踏まえて委員の皆様方に御議論いただきました結果を整理したものでございます。
 まず,1ページ目には,第1節として問題の所在を,第2節として検討の経緯を書かせていただいております。問題の所在につきましては,委員の皆様方,既に御案内のとおりかと思いますので,説明は省かせていただきます。また,検討の経緯につきましても,長年にわたり検討を行ってきたわけでございますけれども,説明は省かせていただければと思います。
 2ページ目を御覧ください。第3節のところでは「間接侵害」に係る課題についての検討の状況を整理しておりますが,まず,この検討経過(案)では,平成24年1月に司法救済ワーキングチームで取りまとめられました「『間接侵害』等に関する考え方の整理」を単に「考え方の整理」と呼んでおりまして,1.として,その「考え方の整理」の概要を記載しております。
 「考え方の整理」につきましても,委員の皆様方,既に御案内のとおりかと思いますが,簡単に申しますと,立法論として差止請求の対象は直接行為者に限定されるものではなく,一定の間接行為者も差止請求の対象とすべきとしまして,間接行為者が差止請求の対象とされるためには直接侵害の成立が前提となるという,いわゆる従属説が適当であるとしております。その上で,差止請求の対象と位置づけるべき間接行為者の範囲について,以下に記載しておりますような,3つの類型を提示していたところでございます。
 3ページ目をお開きください。3ページ以降では,法制小委における議論を整理させていただいておりますが,大きく分けて3つの観点から整理させていただきました。1つは立法措置の必要性,もう一つはこれまでの裁判例との関係,そしてもう一つが「考え方の整理」の記載内容についてでございます。このうち「考え方の整理」の記載内容につきましては,さらに従属説についての議論と3類型についての議論に分けて整理させていただいております。
 まず,(1)立法措置の必要性についてでございます。(イ)の中で関係団体からのヒアリングについて記載させていただいておりますが,これまでは権利者側及び利用者側の双方の立場から差止請求が可能な範囲を法律上明確化すべきとの要請がなされていたところですが,今期の法制小委で実施した関係団体からのヒアリングでは,立法措置の必要性について賛否が分かれ,特に権利者側の立場から立法に慎重な意見が多く示されたところでございます。
 そして,関係団体ヒアリングにおける各団体の発表や発表資料から,この状況の変化についてはまねきTV事件やロクラク2事件の判決といった近似の裁判例が背景にあるものと考えられるというふうに整理させていただいております。
 ページを1枚おめくりいただきまして,4ページ目を御覧いただければと思います。関係団体ヒアリングの具体的な意見の概要につきましては,このページに記載させていただいております。
 立法措置に積極的な立場及び条件つき賛成の立場からは,事業者の予測可能性を高めるという観点から,間接侵害に関する規定を設けるべきとの御意見や,幇助行為が差止請求の対象となることを認め,かつ直接侵害の領域を狭めない理論的担保がなされれば賛成との御意見も示されております。
 一方で,立法措置に消極的な立場からは,112条の解釈論によって対処できるのではないかとの御意見や,これまでの裁判例と間接侵害についての規定の要件とに齟齬が生じ,著作権法が複雑になってしまうのではないかといった御意見。また,これまで間接侵害の規定がないために侵害や差止が否定されたことはないといった御意見が示されております。
 次に,(ウ)に移りまして,法制小委における検討についてでございますが,法制小委においても立法の必要性については賛否両論あったかと思っております。まず,立法に積極的な立場からは,現状では間接行為者に差止ができるかはっきりせず,明文の規定があることは意味があるといった御意見。それから,実効性の観点から損害賠償だけではなく,差止請求が重要であるという御意見。新しいサービスや物が出てくる中で,今後も裁判を積み重ねることで対応するよりも,立法により明らかにするほうがよいのではないかといった御意見が示されてございます。
 一方,立法措置に消極的な立場からは,従前の最高裁で示された解釈と間接侵害についての立法が併存することによる混乱を懸念する御意見や,デジタル・ネットワーク環境における侵害とは何か,司法判断に委ねるべきといったような御意見が示されております。
 5ページ目をお開きいただければと思います。このような積極,消極の立場のほかに,デジタル時代,クラウド時代に適応したものとするため,また,裁判規範として十分に明確なものとするため,もう少し時間をかけて議論してはどうかといった御意見もございました。
 次に,(2)これまでの裁判例との関係についても議論を整理してございます。関係団体のヒアリングでは,直接侵害,直接行為者該当性の判断については,これまで裁判例の蓄積により予測可能であり,また,裁判所の採用してきた判断枠組みは普遍性の高いものであるといったような御意見が示されていたところでございます。
 (イ)の法制小委における検討につきましては,これまでの裁判例について,112条により差止請求が認められる対象は直接行為者に限定されているとする考え方を前提といたしまして,間接行為者の差止が難しいような場合には直接行為者を広目に認定しているのではないかという意見が示され,このような直接行為者の認定は明確性の観点からも望ましくないといったような御意見が示されていたところでございます。
 これに対しましては,先ほど御紹介しましたが,最高裁の解釈と間接侵害の立法が併存することによる混乱を懸念する御意見のほか,立法措置について賛否双方の立場を統一することはなかなか難しいのではないかといった御意見があったところでございます。
 6ページ目をお開きいただければと思います。続きまして,(3)といたしまして司法救済ワーキングチームにおいておまとめいただきました「考え方の整理」の記載内容について御議論を整理してございます。
 まず,(ア)といたしまして,いわゆる従属説についての議論を整理しております。先ほど申しましたように司法救済ワーキングチームにおきましては,従属説の考え方に立ってございました。法制小委における検討といたしましては,従属説に賛成する御意見が示された一方,あらかじめ従属説や独立説のいずれかに決めるべきものではないといった御意見や,直接行為者が特定できなくても,また,侵害が未遂であっても差止ができることから,従属説といっても従属性が弱いのではないかといった御意見が示されていたところでございます。
 7ページ目をお開きください。(イ)といたしまして3類型についての議論を整理させていただいております。
 (2)でございますけれども,関係団体からのヒアリングでは,各類型における文言の不明確さを指摘する意見が多く示されたところでございます。特に類型2について,「知るべきでありながら」という要件や「侵害発生防止のための合理的措置」といった要件について懸念が示されていたところでございます。
 法制小委における検討におきましても,3類型をもう少し明確にして限定すべきといった御意見が示されたところでございますが,一方で,この「考え方の整理」における立法措置は間接侵害についての一般条項を設けようとするようなものであり,そうである以上,ある程度抽象的な書き方となることはやむを得ないといった御意見も示されていたところでございます。
 以上が間接侵害についての検討の経過でございます。
 次に,第4節といたしまして,リーチサイトについての検討経過をまとめさせていただいております。
 1.では問題の所在を,ページをおめくりいただきまして8ページの冒頭,2.では検討の経緯等について書かせていただきましたが,こちらにつきましても説明は省略させていただければと思います。
 3.検討の状況についてでございます。まず(1)では,司法救済ワーキングチームにおける検討の結果を記載させていただきました。司法救済ワーキングチームでは,差止の対象について,リーチサイト全体ではなく,個々のリンクについての差止請求の可否を検討せざるを得ないのではないかといった御意見が多く出されておりまして,この場合,個々のリンクを対象とする場合には先ほどの3類型との関係が問題となり,結局,個別の事案ごとに判断せざるを得ないのではないかといった御意見があったところでございます。
 また,仮にサイト全体を差止請求の対象と位置づけるのであれば,これに特化したみなし侵害規定を創設することが適当ではないかといった御意見もございましたけれども,リーチサイトの態様も多様であって,特化した規定を創設することは現実的ではないのではないかといった御意見が示されていたところでございます。
 9ページ目をお開きください。法制小委において実施した関係団体ヒアリングでは,リーチサイト等につきまして差止対象とすべきとする御意見が多く示されていたところでございます。一方で,インターネット利用への影響を懸念するような御意見もあったところでございます。
 これを受けまして法制小委において御議論いただいたところでございますが,(ア)リーチサイトに対する対応措置の必要性につきましては,権利者がリーチサイトに対して何らかの対策をとれるようにすべきということについての必要性は共有されたというふうに整理させていただきましたが,その一方で,インターネット利用が過度に阻害されないよう留意すべき意見があったことや,諸外国を含めリーチサイトの実態をもう少し整理したほうがよい等の御意見があったことを記載させていただいております。
 また,(イ)3類型との関係につきましては,一部のリーチサイトが類型の2や3の場の一例として取り込むことができるのではないかとの意見が示された一方で,リーチサイト全体を対象とするのであれば,間接侵害とは別の立法措置が必要ではないかといった御意見も示されたところでございます。
 以上がリーチサイトについての検討を整理させていただいたところでございます。
 最後に,一番裏になりますけれども,10ページ目をお開きください。以上の検討を第5節として「まとめ」として整理させていただきました。
 まず,「間接侵害」に係る課題については,立法の必要性につき賛否両論あり,また,もう少し時間をかけて議論すべきであるといった御意見も示されていたところでございます。こうした御意見に鑑みまして,本課題につきましては,今後の裁判例の蓄積や社会状況の変化,それらを踏まえた関係者の立法措置の必要性に係る意見等を見きわめつつ,時宜に応じ引き続き望ましい制度設計のあり方等について検討を行う必要があるものと考えると整理させていただいております。
 また,検討を行うに当たっては,3類型も参考としつつ,各類型における文言の不明確さ等についての指摘や,検討を行う時点における社会状況等を踏まえ,さらに議論を深める必要があるものと考えるというふうに整理させていただいております。
 いわゆるリーチサイトにつきましては,関係団体ヒアリングを受け,法制小委としてもリーチサイトを差止請求の対象とするべきとの意見が強く示されていたところでございますが,リーチサイトとしてどのようなサイト,またはリンクを対象とすべきか。リーチサイトの指す対象の実態を整理した上で検討することが必要であることに加え,間接侵害についての議論とも密接に関係することから,その議論の進捗も踏まえつつ検討することが適当であるというふうに整理させていただいております。
 なお,リーチサイトについての検討に当たっては,インターネットの利用が過度に阻害されないように留意する必要があるといった旨も記載させていただいておるところでございます。
 長くなって申しわけございませんが,説明は以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ただいま資料2に基づいて報告いただいたわけでございますが,この2につきましては,この後御議論いただいた上で,本小委員会における現時点での意見の整理ということにさせていただいて,18日に開催が予定されております著作権分科会において報告させていただきたいと思っております。
 それでは意見交換に移りたいと存じます。ただいまの資料1,2で説明がございましたけれども,特に2の検討経過(案)について何か御意見,御質問ございましたらお出し願います。資料2の検討経過(案)をもって本小委員会の検討経過報告ということで,御議論ございませんか。
 末吉委員,どうぞ。

【末吉委員】  私も資料2の取りまとめに異論ございません。ただ,残念な感じもしなくもないです。これだけ検討してきて,まとまらなかったというのは残念なんですが,考えてみますと,この問題にしても日本版フェアユースにしても,事実がいろいろ動いている中で,あるいは判例が動いている中でいろいろ議論され,あるいは関係者の皆様方の関心を呼んできたという背景がやっぱりあるのではないかと思います。
 第5節の「まとめ」のところに今後のことも書いておられますが,私の捉え方としては,宿題としてアンテナを高くして,いち早く今後の立法事実を察知していくという姿勢が,そういう努力をすることが我々に求められているという趣旨なのかなと私としては理解しているところでございます。
 以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。マイクをお願いします。

【大渕主査代理】  まず,この資料2の取りまとめにつきましては,これ自体に特に異論があるわけではございませんが,先ほど末吉委員がアンテナを高くして今後の動向を見きわめるべしと言われたのと少し似てくるところがありますが,残念かどうかというのは別にいたしまして,このまとめの中で私の目を引きましたのは,「まとめ」というパラグラフの中で,時宜に応じてとか,今後の動向を見つつという,まさしく立法のタイミングというものが立法としては重要であるということを言っている点であります。ただ,そういうタイミングの話と中身の話と両方になっていかなければならないだろうという観点から,これは,もう読まれた方も多いかと思うのですが,1月ぐらいに田中豊弁護士が出された論文の中で非常に注目すべき変化があったように思います。
 今までこの小委員会であまり出てこなかった方向性でありますが,私などの目から見ますと,田中豊弁護士は,従前は立法による解決の必要性はさほど高くないということで消極的な立場をとっておられたのですが,我が国における直接侵害者限定ドグマの呪縛の強さに鑑みると,司法救済ワーキングチームが努力した方向での立法によって間接侵害者に対する差止請求の問題を解決し,比較法的にみても極めて特殊な状況から脱却すべきであろうと考えるに至っていると述べられています。これは,多くの方の意見を代弁しているところがあるのではないかと思いますが,基本的な方向性とそれが今タイムリーかどうかというのは両方考えていく必要があろうかと思います。
 それから,また,田中弁護士も,今の直接侵害者非限定は当然であるということに加えまして,事柄の性質上,従属説の立場によるのは当然のことと考えていると述べられています。まさしく我々のポイントの第1と第2は明確に述べられているわけでありますが,私もこれは当然の理だとは思いますけれども,今までいろいろな難しい問題で,例えば従属説の方については,繰り返しになりますけれども,特許法101条の擬制侵害ないし特別間接侵害とやや混同があったりして,わかりにくい面があったようですが,私の理解では,次第に共通の理解を得るようになって,この審議会としても最初の2つのポイントであります直接侵害者非限定説と従属説については,基本的な理解を得て,これに,7年も8年もかかったという話がありますけれども,私が振り返りますと7年,8年かかって,ようやく共通の認識ないし間接侵害検討の素地ができ始めてきたところかと思います。
 そういう意味では,これからだという印象を持っておりましたが,残っておりますのが,先ほどもたくさん意見が出ておりました3番目の論点であります間接侵害の範囲類型の明確化でありますが,これは基本的には相当因果関係の範囲ということで,これを狭すぎず広すぎずに示すということであります。できるだけ,相当因果関係というような抽象的なものだけではなくて,具体化してほしいというニーズがあったので,それを落とし込んでみたものが,先ほども御紹介ありました(i),(ii),(iii)になっております。これについてはようやく議論が始まり始めたというのが私の印象でありまして,(i),(ii),(iii)の各論に入るまでに時間がかかって,ようやくこれが始まり始めたということなのですが,まだ,賛成,反対というだけですが,議論を詰めるためには,反対の場合には代案を示していただいて,その代案等をいろいろもんで,次第に収束していくのではないかと思っておりますが,そのところまで行っていない段階で,今日この時点を迎えているかと思います。
 それで,先ほどこういう理解で特に異論ないといったところに入っていくわけですけれども,本小委員会での間接侵害の検討がスケジュール的に苦しいというのは理解いたしますが,私の理解では,先ほど末吉委員が言われたのと近いのですけれども,近い将来には間接侵害,あるいはリーチサイトの問題もそうかもしれませんが,いずれの方向かは別といたしまして,具体的事例が出る等の理由で本格的に検討しなければならない時点がほぼ確実に予想されますので,その場になってあたふたすることがないように,せっかくここまで来ておりますので,どの場で行うかは別として,類型の範囲の明確化の作業ないし準備作業をきちんと継続していくということが重要であり,それによって,まさしく先ほど言われましたように,今後の動向に応じた適切な対応がとれるのではないかと思っています。
 私は,そのように理解いたしまして,この最後のまとめていただいたところにきちんと今後対応できるというように理解いたしまして,特に異論はございませんということでございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 御意見,ほかにございますか。
 上野委員,どうぞ。マイクをお願いします。

【上野委員】  私も,このようなまとめで異論はございませんけれども,われわれの中で見解が異なる点がある一方で,コンセンサスもあるのではないかということについて一言述べたいと思います。
 いろいろな論点をめぐって争いがあることは確かだろうと思います。そもそも立法の必要があるかどうかについても争いがありますし,大渕先生も御指摘になりましたように,従属説が当然だと考える方がおられる一方で,そうでない立場の方もおられるわけです。また,3類型の明確性についてもいろいろ意見が分かれるところです。そして,現行法を前提として解釈論でどこまでの請求が可能なのかという点につきましても,さまざまな考え方があり一致した見解はないと思います。
 ただ,今日の会合でそうした論点を議論することはなかなか難しいと思いますので控えますが,他方で,見解の相違ばかりではなく,一定のコンセンサスがあると感じる点が2つあります。
 第一に,――現行法の解釈上どこまで可能かという点はさておくといたしまして――結論として,一定の侵害幇助行為を行う者に対しても差止請求が認められるべきだという点です。この点は共通の理解があるのではないかと思います。典型的には,侵害専用物品を販売しているような場合であります。
 第二に,そうは言っても,侵害幇助行為を行う者であれば常に差止請求の対象となるべきだとまで考えているわけではないという点です。この点も共通の理解があるのではないかと思います。例えば,侵害行為を行っている者に対して電気やガスを供給している者であるとか,単に部屋やパソコンを貸している者であるとか,そういった者について常に差止請求を認められるべきだとまでは考えられていないのではないかと思います。
 このような点でコンセンサスがあるとすれば,そのことを明らかにするだけでも意味があるかも知れません。もちろん,ワーキングチームの3類型というものがそうした明確化として妥当かどうかという点は議論があるところかと思いますけれども,コンセンサスがある範囲で何らかの立法的措置をとるということについては,今後も積極的に議論を続けて然るべきではないかと私は思います。
 以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。
 多賀谷委員,お願いします。マイクをお願いします。

【多賀谷委員】  私も,この検討結果(案)について異論ありませんけれども,前回欠席していましたので,リーチサイトについてだけ若干コメントさせていただきたいと思います。前回の議論を見せていただきまして,リーチサイトの場合には非常に変動するシステムで,それを全てこういう実体要件で押さえるのはやや無理があり,ある種の手続的な要件を入れざるを得ないという御意見がありましたが,私もそれはそのとおりだろうと思います。行政法制で言えば,刑罰の話ですけれども,直罰にするか,それとも是正命令を受けた後で処罰するか,そういう議論が入ってくるだろう。そういう意味において手続的要件が必要だろうと思います。
 それから,リンク全体ではなくて個々のリンクという御意見もありましたけれども,個々のリンクということになると,サイト運営者に対して何らかの意味での監督義務を負わせる,そういう話に多分つながっていくだろうと思います。
 それから,手続的要件という話をしますと,結局,これはリーチサイトのみの話ではありませんで,3つの類型のうちの第2の類型の場合において,「侵害発生を知り,又は知るべきでありながら合理的措置を採ることなく」という要件,案としてはこういう形でいいんですけれども,実際に条文に落とすときには何らかの意味の手続要件,例えば著作権者のほうから何らかの形で侵害されているということを言われているにもかかわらず,それを放置していると,実際にはそういう形になるのではないかと思います。
 以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 資料2の「間接侵害」等に係る課題についての最後の10ページの第2段落,ここの3行が我々法制小委のメンバーの意見の総意かなというふうに思います。また,この間接侵害の問題については,まさに時宜を見て議論を深化できればと,そのように期待いたしております。
 そういうことでございますので,先ほど申し上げました18日における著作権分科会においては,本日,皆様のお手元にある資料2の形で取りまとめをしたという報告をさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
 次に,議題2になるんですけれども,パロディワーキングチームの検討の結果につきまして,小泉座長から御報告をお願いしたいと存じます。

【小泉委員】  パロディワーキングチームにおける検討経過につきまして,資料3に基づいて御報告いたします。
 まず,1ページ目を御覧ください。著作物のパロディとしての利用に係る課題につきまして,平成24年6月7日の法制問題小委員会において設置されたのがこのワーキングチームとなります。本課題につきましては,平成23年の分科審議会著作権分科会報告書及び平成24年の知的財産推進計画2012において指摘されているところです。また,平成23年度に文化庁が委託調査を実施し,海外における著作物のパロディの取り扱いに関する調査研究報告書を取りまとめており,この点については以前,上野先生から御発表いただいたところです。
 なお,今回のチーム員につきましては,資料3の3ページに記載されてございます。
 具体的な検討の経過については,資料3の1ページの2.を御覧ください。今期は6回の会議を開催いたしました。第1回においては上野チーム員から,先ほど申し上げた調査研究報告書を踏まえまして,著作物のパロディの取り扱いに関する論点の整理に関する発表がございまして,それに基づく検討を行いました。
 第2回と第3回におきましては,調査研究報告書の御執筆に当たられた先生方,野口祐子先生,青木大也先生,駒田泰土先生,本山雅弘先生から,それぞれアメリカ,イギリス,フランス,ドイツにおける裁判例及び学説を踏まえたパロディに関連する法制度や議論状況,日本法への示唆等についての御発表をいただき,それに基づく検討を行いました。
 第4回及び第5回におきましては,我が国におけるパロディの実態を把握するために,一般社団法人日本広告業協会,社団法人日本漫画家協会,一般社団法人日本写真著作権協会,一般社団法人日本民間放送連盟,株式会社ドワンゴからパロディの具体的事例や権利処理の実態等についてヒアリングを実施いたしました。
 そして,第6回において,第2回から第5回までの発表及びヒアリング結果を整理,分析した上で,我が国におけるパロディとしての著作物の利用について議論したところです。
 今後の方針につきましては,2ページの3.にありますとおり,諸外国の法制度及び我が国におけるパロディの実態等について必要な分析,検討を行いまして,その結果を取りまとめるべく努めてまいりたいと考えている所存です。
 以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御報告につきまして何か御意見,御質問ございましたら,お願いいたします。特にございませんか。
 ただ,僕の聞き違いかもしれないんですけれども,御報告で駒田先生のお名前が出ていましたよね。

【小泉委員】  はい。

【土肥主査】  このペーパーでは,野口先生,青木先生が御報告になったと記載されていると思いますが……あっ,下のほうですか。

【大渕主査代理】  2回目と3回目です。

【土肥主査】  2回目と3回目。そこですね。なるほど。わかりました。
 よろしゅうございますか。
 それでは,ただいま検討の経過の報告を承ったということにさせていただきたいと存じます。
 それでは,3の議題に入りたいと存じます。本日は今期最後の法制問題小委員会ですが,本小委員会として結論の取りまとめに至った事項は残念ながらございませんでしたけれども,18日の著作権分科会では,この法制小委の審議の経過等について報告させていただきたいと考えております。
 そこで,資料4にあります審議の経過等の報告案について事務局から説明をお願いいたします。

【菊地著作権課課長補佐】  それでは,資料4に基づきまして簡単に御説明させていただければと思います。資料4をお手元にお願いいたします。
 まず1ページ目のⅠ「はじめに」でございますけれども,今期の本小委員会では,間接侵害に係る課題や著作物のパロディとしての利用に係る課題について御検討いただいたところでございます。そのことを簡単に書かせていただいております。
 そして,Ⅱ,課題ごとの状況,以下の記載におきましては,それぞれの課題ごとに簡単な概要をまとめさせていただいているところでございます。
 まず,「間接侵害」等に係る課題についてでございますが,先ほど資料2として検討経過について御説明させていただき,御意見を頂戴いたしましたところでございますので,ごくごく簡単に触れさせていただければと思います。
 今期の本小委員会では,司法救済ワーキングチームにおいて取りまとめられた「考え方の整理」を受けまして,関係団体ヒアリングも含め,1年にわたり御議論いただいたところでございます。その具体的な検討の,第何回において何をしたのかといったようなことを中ほどに書かせていただいております。そして,先ほど検討経過について御議論いただきましたので,今,Pとついておりますけれども,こちらにつきましては先ほど御了解いただいたというふうに認識しております。
 2ページ目をお開きください。先ほどの検討経過にもございましたように立法措置の必要性につきましては,関係団体や委員の皆様方にも賛否両論ございまして,また,時間をかけて議論をすべきといったような御意見もございました。こういった御意見を踏まえまして,この課題につきましては今後の裁判例の蓄積や社会状況の変化等々,種々の状況を勘案し,時宜に応じ引き続き望ましい制度設計のあり方等について検討を行う必要があるものと考えるというふうにまとめさせていただいておるところでございます。
 また,リーチサイトにつきましても,先ほどの検討経過と同様のことを書かせていただいておるところでございます。
 次に,著作物のパロディとしての利用に係る課題についてでございますが,先ほど小泉委員により御説明いただきましたところでございます。パロディワーキングチームにおける検討の経過等について簡単に記載させていただいております。そして,結びのところでは,今後,諸外国の法制度や我が国におけるパロディの実態等について必要な分析,検討を行い,その結果を取りまとめる予定であるといったことを書かせていただいております。
 最後に,Ⅲ,「おわりに」でございます。今期の課題がいずれも結論の取りまとめに至っておりませんことから,この報告につきましては最終的な報告とせず,審議経過報告として審議の進捗状況や残された課題等について整理したものであるといったことを記述させていただいております。
 そして,3ページ目以降,Ⅳ,Ⅴにつきましては,参考情報として本小委員会の開催状況や委員の皆様方の名簿を掲載させていただき,また,5ページ以降の別紙といたしましては,関係団体ヒアリングをお願いいたしました関係団体の方々のお名前を掲載させていただいております。
 以上,簡単ではございますが,資料4について説明させていただきました。事務局からは以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明について何か御意見,御質問ございましたら,お願いいたします。
 では,村上委員,お願いします。

【村上委員】  私も,文言についてはこのとおりで結構だと思っています。問題は,むしろ分科会にこの案を提出した場合にどういうふうに受け取られるのかなということになります。そのときに,この法制問題小委員会にいるメンバーの間で意見の違いなり,受け止め方が違うのもおかしな感じになると思いますので,ここもまとめで書いてありますことは,間接侵害等についてこれだけ大きな議論をずっとやってきて,したがって間違いないのは,今後とも十分に検討していくということは書いてあるとおりだと思います。
 ただ,ここで書いてあるのはいつまでに決着をつけるとか,期限の設定はしないということと,この法制問題小委員会では,その後どういうふうに具体的検討体制をとるとか,その提言はここでは特にしないという,大体そんな感じの理解でよろしいでしょうか。

【土肥主査】  本法制小委でどのようにおまとめいただくかということはあるんですけれども,御質問については,特に決めて結果を出そうというふうには考えておりませんが,これは皆さんの御意見ということにも関係すると思います。
 ほかにございますか。

【大渕主査代理】  期限は切っていないのですが,まさしく先ほどアンテナと言われたように,今後の状況に応じてすぐにでも動ける体制は整えておく,そういうことが含意されているというふうに私は理解しております。ですから,期限は切っていないけれども,状況の変化があれば瞬時に適応するという趣旨で切っていないので,先だというのではなくて,私は近いのではないかと,そのように理解しております。(笑)

【土肥主査】  ありがとうございました。
 こういう話はやっぱり前から申し上げておりますように,天の時と地の利ともいうべき立法状況,それから人の和とも言うべき共通の理解,そういうものがそろうと一気に進むものでございますので,我々法制小委としては,特にいつまでという時期を縛らないで,タイミングを見守りたいと,このように考えております。そういうことでよろしゅうございますか。
 検討経過報告でございますから,要するに皆様のお手元のペーパーからいたしますと,(案)とPが落ちるぐらいのことなんですけれども,これでよろしければ,この審議経過報告をもって著作権分科会に報告させていただきます。
 村上委員がおっしゃるように,どのような御意見が分科会であるか。これについては,機会があれば,私が報告するということになろうかと存じます。
 その他,今期最後の法制小委でございますけれども,何か御質問や御意見,特段ございませんでしょうか。今期最後の機会でございますので,何かございましたらお出しいただければと存じます。よろしゅうございますか。
 もしないようであれば,時間としては若干早いんですけれども,最後に河村文化庁次長から,この期を終わるに当たって一言御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【河村文化庁次長】  暦の上では立春を過ぎておりますけれども,今日雪も降りまして,厳寒の中を先生方には会に御出席くださいまして,まずもって御礼申し上げます。
 また,本日は今期の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会のお集まりとしては最後の会でございますので,委員長からお話のありましたとおり一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
 今期の法制問題小委員会におきましては,先ほど来振り返っていただきましたように,いわゆる「間接侵害」等に係る課題や著作物のパロディとしての利用に係る課題という,我が国の著作権制度のあり方にかかわる大きな課題について,御審議,御検討をいただいてまいりました。特に「間接侵害」等に係る課題については平成24年1月,つまり昨年の1月に司法救済ワーキングチームにおいて,短縮形,「考え方の整理」が取りまとめられたことを受けまして,今期は1年にわたって大変精力的な御審議をいただき,多くの重要な御示唆を本日も含めましていただきました。
 今期の審議の経過というものを取りまとめていただきましたけれども,「間接侵害」等に係る課題については,今後の裁判例の蓄積や社会の変化等を見きわめつつ,まさに状況に応じた検討をお願いしたいと考えております。また,著作物のパロディとしての利用に係る課題については,ワーキングチームにおかれまして,結果の取りまとめについて引き続きの御協力をお願い申し上げている次第でございます。
 皆様方におかれましては,毎回,大変お忙しい中にもかかわらずお越しをいただき,委員会の審議にも御協力,御尽力を賜わりましたことに改めて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 そのほかに事務局から何かございますか。

【菊地著作権課課長補佐】  本日はありがとうございました。先ほど土肥主査からも言及いただきましたけれども,今回の法制小委の経過を報告いたします次回の著作権分科会についての日程を御案内させていただきます。
 2月18日(月),10:00から12:00の日程で,グランドアーク半蔵門・華の間において開催することを予定しております。
 事務局からは以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,これで今期の法制問題小委員会を終わらせていただきます。この期を通じて皆様の御協力,ありがとうございました。

―― 了 ――

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