文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会
「新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム」(第3回)

日時:平成27年12月9日(水)

10:00~12:00

場所:文部科学省旧庁舎6階第2講堂

議事次第

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)新たな時代のニーズに的確に対応した権利制限規定やライセンシング体制等の在り方について
    2. (2)その他
  3. 3閉会

配布資料一覧

資料1-1
ニーズ募集に提出された課題の整理(案)(簡易版・番号順)(206KB)
資料1-2
ニーズ募集に提出された課題の整理(案)(簡易版・分類順)(211KB)
資料1-3
ニーズ募集に提出された課題の整理(案)(簡易版・カテゴリ順)(241KB)
資料2
ニーズ募集に提出された課題の整理(案)(詳細版・番号順)(472KB)
資料3
新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム
(第2回)のヒアリングを踏まえて更に収集が必要な情報について(案)
(81.4KB)
参考資料1
新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチームにおける検討の進め方(102KB)
参考資料2
新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム(第2回)における議論の概要(114KB)
参考資料3
ヤフー株式会社提出資料(ワーキングチーム(第2回)配布資料1)(502KB)
参考資料4
富士通株式会社提出資料(ワーキングチーム(第2回)配付資料2)(716KB)
参考資料5
新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム名簿(54KB)
机上配布資料
著作物等の利用円滑化のためのニーズ ニーズ個票(9.8MB)
 
出席者名簿(41.8KB)

議事内容

【土肥座長】それでは,定刻でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会「新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム(第3回)」を開催いたします。本日は,お忙しい中,御出席を頂きましてまことにありがとうございます。

議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますけれども,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいているところでございますけれども,特にこの点,御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥座長】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴を頂くことといたします。

議事に入ります前に,事務局から配布資料の確認をお願いします。

【秋山著作権課長補佐】お手元の議事次第,真ん中から下のところをごらんください。資料としまして,資料1として枝番が三つございますが,ニーズ募集に提出された課題の整理(案)の簡易版,三つの種類のものを御用意しております。また,資料2としまして,課題の整理(案)の詳細版。資料3としまして,本ワーキングチーム(第2回)のヒアリングを踏まえて更に収集が必要な情報について(案)。それから,参考資料として5点,それぞれ議事次第記載のものを御用意しております。足りないもの等ございましたら,お近くの事務局員まで御連絡ください。

【土肥座長】ありがとうございました。

それでは,議事に入りますけれども,初めに議事の進め方について確認しておきたいと存じます。本日の議事は1,新たな時代のニーズに的確に対応した権利制限規定やライセンシング体制等の在り方について,2,その他,このようになっております。早速,1の議題に入りたいと存じます。第1回のワーキングチームにおいて,本ワーキングチームにおける検討の進め方について議論を行いました。その進め方に沿って文化庁において行った利用円滑化のためのニーズの募集,これに提出された課題につき,事務局において整理を行っていただいたところでございます。今回は,初めに事務局からお示しいただいている課題の整理について議論を行いたいと思っております。

それでは,まず,事務局からこれについての説明をお願いいたします。

【秋山著作権課長補佐】御説明いたします。資料としましては,資料1-2及び資料2,そして参考資料の1の3点に基づきまして御説明申し上げます。

まず,参考資料1をごらんください。こちらは第1回のワーキングチームにおきまして御決定いただいた,「本ワーキングチームにおける検討の進め方」と題する資料であります。本ワーキングチームにおいては,当面,権利制限規定の在り方について集中的に審議をするということになりました。簡単にポイントだけ確認させていただきます。検討の視点としまして,視点2というところで,効率的審議の観点から課題に優先順位を付けて検討する。そして,その優先課題の選定は原則として書面で説明されている内容に基づいて行い,説明の不十分な部分については追加的な説明を頂いた上で更に対応の要否等を検討するということでございました。

検討の手順でございますけれども,文化庁で実施したニーズ募集を基に手順2にありますとおり,A,B,Cの三つの分類に分けることとなっておりました。Aは権利制限が求められているもの,Bはその他の政策手段による対応が求められているもの,Cは審議会等で検討中又は過去の審議会で検討済みのものということでございました。手順3でA,B,Cに分類されたものの取扱いが決められたところでございます。

少しそれますが,Bに分類されたものにつきましては,確認いたしますと,分類としてはB-1とB-2ということでニーズの内容は一定程度説明されているかどうかということにしておりまして,そういう意味ではBは,ここでは他の政策手段による対応の検討が求められていると書いているのですが,実際の課題には国として関与すべきものとそうでないものと様々なものがあるということが寄せられていることが,この資料1でもあり得るのだろうと思いますけれども,現時点ではニーズが明確かどうかという観点でのみ分類をしております。念のため補足させていただきました。

次にAに分類されたものの取扱いが2ページにございまして,手順4でございますけれども,この権利制限の見直しが求められているものについては観点1,2,3,ニーズの明確性,権利制限による対応の正当化根拠の見通し。それから,知財計画等を踏まえた優先度ということで分類するということになっておりましたので,それぞれこれに基づきまして課題を分類したということでございます。

では,資料1-2及び2に基づきまして御説明したいと思います。まず,資料2なのですけれども,これは寄せられた各ニーズの個表を整理したもので,真ん中から左側のところは以前もお配りした資料にもあった内容なのですけれども,今回,新しいものとしては,右側に分類や理由を付しています。2ページをごらんください。一つ例にとって,どういう形で整理しているのかを御紹介します。

左側の番号で申し上げますと12番,個人12番というところでございます。これは著作物利用の課題としては,二次創作物をインターネット等で公開するということに関する課題であるということであります。左側にアとイとありますのはどういう違いかと申しますと,同じ課題なのですけれども,その課題の解決方法について権利制限とそれ以外の方法の両方の要望を提出いただいた場合に,権利制限要望に関してはアとして整理しまして,それへの対応方針を右側の分類というところに分類をし,そして,それ以外の方策に関してはイに分類しまして,右側のところでBの類型の方で付番をしたということでございます。

例えば右側の方の権利制限のところを見ていただきますと,この12番のアに関しては,結論的にはA-2と位置付けております。ここでは観点1,明確性については二次創作に関するもので一定程度明確であるというふうにしております。相当程度ではなくて一定程度ということにしておりまして,こういうふうに相当程度明確でないものに関しては,可能な限りどういう情報について追加的な説明が期待されるのかということを付記させていただいております。観点2に関しましては,ここに書かれているような種々の要素から相当程度権利制限の正当化根拠の見通しが説明されているという記述にしております。観点3につきましては,知財計画等を踏まえてデジタルネットワークの発達に対応したインターネット時代のビジネスの創出・発展との関わりという観点で評価をしてございます。

概略としては以上でございます。

では,これ以降は資料1-2を御紹介することにいたします。本日,権利制限を中心に,今後,当面議論いただくということですので,このAの類型のところの主要なところを御紹介していきたいと思います。資料1-2は,そういう意味ではA-1から分類の番号の若い順に並べたものでございます。若い方から御紹介していきます。まず,A-1-1に分類したものは二つございまして,77-1としてヤフー様のリアル情報等の所在検索サービスというものでございます。それから,バックエンドでの蓄積,これもA-1-1にしております。次にA-1-2の分類ですけれども,これは三つございまして,一つが図書館において公的機関が作成した広報資料等の一般に周知させることを目的とした著作物を複写して提供するということ。それから,次の89番,図書館においてインターネット上の情報をプリントアウトして提供するということ。95の7,これは批評やネットオークションなどでの販売のために商品の写真等を撮影してWebサイト上に掲載するということでございます。

次にA-2に分類したものでございます。まず,個人の12番,二次創作物をインターネット等で公開する。いわゆる二次創作関係でございます。14番,教科書や入試問題を二次利用して教材として提供するということでございます。次の22の1も同様のニーズでございます。それから,次に57の1,これも二次創作関係でございます。そして,65の0から3まではCPS――Cyber Physical Systemの関連の技術でございます。一番下,67はこのCyber Physical Systemの関係ですが,障害者の情報アクセシビリティ向上に関するものでございます。

次のページをお願いいたします。68番,こちらはセキュリティ確保や既存のプログラム資産のモダナイズのためのリバース・エンジニアリングに関するニーズでございます。70番,事業者が自動翻訳サービスを行う際,他者の著作物を翻訳する行為に関するものでございます。73番,事業者が第三者著作物から障害者等が視聴するデータを作成し,障害者に提供する行為に関するものでございます。次に74番,ビッグデータの解析結果提供に伴い,原著作物を表示するという行為でございます。次に77の2,テキスト,動画,音楽等の様々な情報を分析し,その結果を表示するサービスの提供に関するものでございます。78番,映像や書籍,音楽などについてアナログ情報をデジタルデータに変換する,あるいは古くなったメディアを新たなメディアに変換するという,いわゆるメディア変換サービスに関するものでございます。個人の84番,図書館の運営するWebサイトを通じて図書をスキャン・OCRしたデータを基に図書を単語で検索可能とするサービス,それから,当該図書を所蔵図書館内において閲覧可能とするサービスについてのものでございます。

以下,三つほどはメディア変換と二次創作に関するものが続いていまして,108の2は企業内における軽微な複製や改変に関するものでございます。また,以下二つも二次創作に関するものでございます。このほかにA-3として幾つかございますが,こちらの紹介は省略させていただきたいと思います。

なお,念のために申し上げておきますと,冒頭,基本的な考え方のところでも御紹介したとおり,このA-1からA-3という分類は書面審査に基づきまして,そしてニーズの明確性,そして権利制限での対応の正当化根拠の見通しがどの程度御説明いただけているかという観点のものでございまして,このA-1-1になったからといって必ず権利制限が妥当ということが,今,見いだせているということでもありませんし,A-3だからといって逆のことが言えるというわけでもございません。また引き続きA-3に関しては追加的な情報があれば,また議論していくというようなことも視野に入れながら御議論いただきたいと思います。

御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【土肥座長】ありがとうございました。

それでは,ただいま事務局から説明を頂きました課題の整理について,各ニーズの分類や,その分類とした理由について,Aとされる類型について説明を頂いたわけでございます。これら課題の整理についての考え方等について御意見,御質問がございましたらお願いいたします。先ほども説明の中にございましたけれども,この整理は書面審理に基づいて,提出いただいた書面に基づいて行ったわけでございます。各委員におかれまして,書面上は必ずしも十分に説明がなされていないけれども,課題の性質上,重要性が高く,検討対象とすべきというふうにお考えの課題がございましたら,それにつきましても必要に応じて御発言を頂ければと思っております。いかがでございましょうか。

池村委員,どうぞ。

【池村委員】第1回の際にも発言させていただいたことの繰り返しになるかもしれないのですけれども,優先度の考え方について若干意見を述べさせていただきます。知財計画との関係でデジタルネットワーク関係のもの,新規ビジネス創出に資すると思われるものを優先的に検討するという方針と理解しておりまして,もちろん,それはそれで結構だと思うのですけれども,その結果,従前より課題とされていながら,未解決のままとなっているものがデジタルネットワーク関係ではないという理由で優先度が低く設定されているというものが幾つかあるのではないかなと思います。今御説明いただいた中では,例えばA-2に分類されている入試問題の二次利用という問題などは,そうなのではないかなと思います。

ただ,入試問題の二次利用といった場合,入試問題集の作成,出版という従来のアナログ的な利用が典型例だと思うのですけれども,その先には当然,電子書籍としての出版もあり得るのであって,むしろ,将来的にはそうした新たな形態がどんどん増えていくはず,増えていくべきなのだと思います。しかしながら,現状,デジタルネットワーク的な利用のもっともっと手前の段階,アナログな段階ですらいろいろ課題があって思うように二次利用が進まないというふうに理解しておりまして,仮に何らかの方法で課題が解決できた場合には,アナログ的な利用だけでなくてデジタルネットワーク的な利用,新規ビジネスの創出という結果をもたらす,道筋を開く可能性は十分にあろうかと思われます。そして,こういう例は入試問題の二次利用の件以外にもあるのではないかなと思います。したがいまして,従来からのアナログ時代からの課題であるという理由だけで優先度が低く設定されてしまうというのは若干違和感を覚えています。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。では,上野委員,お願いします。

【上野委員】本日事務局から御提案いただいた分類は,飽くまで書面審理によるということですから,今回提出された書面のみを対象に重要性を判断したということで,差し当たりそのような取扱いでよいかと私も思いますけれども,先ほど座長から,書面上は必ずしも十分に説明がなされていないけれども,性質上重要性が高く,検討対象とすべき課題があれば指摘されたい旨の御発言がありました。確かに,本日のニーズの中にも,今回の書面では必ずしも十分な説明がないけれども,学説において権利制限の必要性が指摘されているものや,以前から実務において権利制限の必要性が指摘されてきたものが幾つかあるように思いますので,私からも2点だけ指摘させていただきます。いずれも事務局の分類では,「A-3」というAの中で一番下の分類に属しているものです。

1点目は,40番でありまして,これは放送の同時配信,すなわちサイマルキャスティングに関するものであります。日本法におきましては,伝統的な放送とインターネット放送は,たとえ放送事業者が行うものであっても明確に区別されておりまして,例えば,テレビ放送事業者がそのテレビ放送を同時にインターネットで流す行為は,「放送」や「有線放送」ではなく「送信可能化」に当たると位置づけられています。この「送信可能化」という行為については,実演家及びレコード製作者が,単なる報酬(二次使用料)請求権ではなく,送信可能化権という排他権を有しておりますので,放送事業者が自己の放送のサイマルキャスティングを行うためには,当該放送に含まれる実演及びレコードについて送信可能化権を有する者から許諾を受けなければならないというのが日本法の現状なのであります。

本件40番のニーズは,このことを問題提起しているわけですけれども,本日の事務局の御提案では,これが「A-3」と判断されています。つまり,「ニーズの明確性」と「権利制限による対応の正当化根拠の見通し」の両方又はいずれかについて「説明が不十分」とされているわけです。その理由は,資料2の「詳細版」を拝見いたしますと,「課題の所在が音楽レコードの利用に限定されているのか否かが明らかでな」いことと,「正当化根拠の説明として不十分である」こととされています。

ただ,前者の点につきましては,机上配布資料の「ニーズ個票」における意見の原文を拝見いたしますと,「商業用レコードの放送での使用は報酬請求権であるが,ネットによる同時配信については許諾権となって」いることを問題にしておりますので,その対象は「音楽レコード」に限ったものではなく,商業用レコード一般であると理解して差し支えないように思います。

また,後者の正当化の点については,確かに問題になり得るところではありますけれども,日本の著作権法において,インターネット放送が「放送」に当たらないものと位置づけられており,その結果,著作者のみならず実演家やレコード製作者が有する排他権が及んでいるというのは,国際的に見て特殊なものでありまして,その点は,最近の学説において広く指摘されておりますので,この問題に対応する必要性は十分あるようにも思われます。したがいまして,――新たに権利制限規定を設けるのか,それとも「送信可能化」という言葉の定義を変更するのか,という具体的手段の問題はあるといたしましても――,このニーズはもう少し優先度が上がってよいものではないかと考えております。

2点目は,15番でありまして,これは図書館等における複製等に関する著作権法31条を問題としたものでございます。

現状の著作権法31条1項1号によりますと,図書館等において利用者のために複製できるのは「著作物の一部分」ということになっておりますところ,本件ニーズは,これを問題とした上で,「著作物の一部分」を超える複製についても権利制限した上で補償金請求権を付与すること,すなわち法定許諾とすることを提案されているようです。しかし,本日の事務局の御提案では,これが「A-3」と判断されております。

ただ,著作権法31条1項1号にいう「著作物の一部分」については,以前から問題が指摘されております。例えば,図書館資料である小説の数ページを複製しようとしたら,あるページに挿絵があったという場合,この数ページは小説本の全体からすると「一部分」なのですけれども,挿絵の全部を含むことになる以上,挿絵という美術の著作物は全体が複製されてしまうため,同号にいう「著作物の一部分」に当たらず,著作権侵害になりかねないという問題や,あるいは,俳句集など1ページに多数の著作物が掲載されている書籍の場合,これを図書館においてコピーすると著作物の全体を多数複製してしまうことになる以上,これも「著作物の一部分」に当たらず,著作権侵害になりかねないという問題が指摘されてまいりました。

もちろん,この文言を簡単に「全部」にするとか「一部分」を超えてよいと変更するのは確かに難しいかと思いますし,また現状では,これらの問題は関係団体間の協議とガイドラインによって一定の解決が図られていると承知しております。しかし,このガイドラインにおいても,例えば,見開き2ページで一つの著作物が掲載されているような書籍の場合も,当該2ページをコピーしてよいのかという点は必ずしも明確でないように思います。また,関係団体間で定めたガイドラインが一定の行為を許容しているとしても,著作権法上は「著作物の一部分」と規定されたままでありますし,団体に属しない権利者も多数おります。そのため,図書館における「著作物の一部分」を超える複製が権利侵害に当たる可能性は払拭できない状況にあるように思います。そのような状況が今後も続くことになってしまって本当によいのだろうかという気は私もしているところです。

したがいまして,この点も優先度が上がってよいものに挙げられるのではないかと思います。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。前田委員,どうぞ。

【前田委員】知財計画2015に基づいて優先度を決定するということ自体はよろしいと思うのですが,その対象からややずれるということで優先順位が下がっているものについてコメントしたいと思います。A-2あたりに分類されているものの中に二次創作関連のものが多くあったかと思います。これは確かに直ちに産業につながる話かと言われれば,そうではないとは思うのですけれども,将来の文化育成,ひいてはそういった文化育成の中で生み出されたコンテンツが将来の産業の核となるということで,中長期的な視点からこういったものに対して検討するということが必要なのだと思います。二次創作関連については,従来から問題が指摘されてきたところだと思いますので,A-2に分類されたものについては,順次詳しいニーズを検討していくべきなのだろうと思います。

それとの関連で,A-3に分類されているものの中にも二次創作に関連するものはあったと思いますので,そういったものについても順次検討する必要があるのかなと思います。少し具体的な話でそれとの関連で言うと,37番あたりに映り込みの話があったと思います。これは確かに書面審査の結果としてはこういうことで致し方ないのかなと思うのですけれども,二次創作といいましても,どの条文で解決するのかということについては,いろいろなやり方があると思います。現行の規定では32条というのが最初に念頭に上がるわけですが,それ以外にも30条の2であるとか,あるいは46条などが関連する場合もあるのではないかと思います。ですので,二次創作関連について検討する際には,こういったところのニーズについても更に詳しく調査する必要があるのかなと個人的には考えております。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】私は,今,出していただいている整理でおおむねよろしいかなと思います。補足的なところとしまして,今回,ニーズはかなり細かく出してくださいということになっていますし,あと整理は,提出者ごとに区分して短冊の形で上がってきているということになっているわけですから,それはそれでいいと思うのですけれども,ただ,見てみると内容的にはニーズの部分で重なるものも結構あるのかなと思います。その結果,提出者によって説明が十分なされていて,上の方に上がっているものがあれば,同じようなニーズだけれども,提出者によってその説明が十分でないので優先順位が下がっている,例えば,A-1ではなくてA-3になっている,というようなものもあると思います。内容的にはある程度,その辺も含めて見ていく必要があるのではないでしょうか。余り細かくやっていったのでは,柔軟性を考慮するはずが,また細かい話になる可能性があるのでですね。

例えば具体例で言うと,資料1-2の2ページの項目番号の70ですとか,73ですとか74,そのあたりは富士通さんの65と重なってくるだろうと思います。団体名非公表希望ですから,余り詳しいことは聞けないのかもしれませんし,ヒアリングも難しいでしょうが,これを見る限りは,重なってくるのかなと。またあと84です。84は知財計画との関連ということでは丸が付かないのでしょうけれども,内容的には,やはり技術的なことを考えると,主体が図書館かどうかということを除けば,似てくるのかなと思います。

それから,同様に3ページの28の8,9,10,11,13あたりは,萎縮するとしか書いていないので,現行の規定にどういう問題があるか,法律的な分析がないので,説明不足ですから,これは書面審査としてはこのとおりよく分からないということになるのですけれども,ただ,技術的なことなどを考えて想像力をたくましくしてあげると,富士通さんの65に重なる部分があるのかもしれないと思います。5ページ目の108もかなりこれも大ざっぱにざっくり書いていますけれども,趣旨としては重なるということなのだろうと思います。

これらの順番を引き上げてくださいということを申し上げるつもりではないのですけれども,今,上の方に上がっているものを検討する際には,これらもある程度視野に入れて検討していく,ある程度大ぐくりに見ていくということが「柔軟な」ということも考え合わせるのならば必要なのかなと思いました。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかに。大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】このように非常に多くの中から整理していただいく作業は,非常に大変だったかと思います。これは今回のプロセスの性質上,やや細切れとなるのは,やむを得ないと思っておりますが,先ほどから言っていたように,説明が不足であれば,低い扱いになるから,追加説明のインセンティヴを与えるものだと思います。追加説明すれば位置付けが上がる可能性があるということで,主張されている方にもその方向にインセンティヴが働くから,これは非常にうまく組まれたプロセスであろうと思います。

ただ,これはある程度のところまでいったら,やや細切れとなっているのをまとめていかないと分かりにくいのではないかというのが1点であります。そのような関係で大きなくくりでいうとすれば,先ほど出ていた二次創作関係というのは,かなりの程度,現行の32条につき,前から申し上げている「引き用い」理論によることによって活用できる余地はあるのではないかと思います。その辺りは,解釈論でいくのか,立法論でいくのか,はたまたある程度まとまったら明確化の立法論を行うなど,いろいろな可能性があると思います。そして,そのような二次創作関係で,ニーズとしてはたくさんあった方が分かるのですが,できるだけまとめていくという作業が全体の作業の過程で必要になってくるのではないかという気がします。

また,このバックエンドなどはどの程度関係するか分かりませんが,かつてこの文化審でも一定のコンセンサスを得た,いわゆるC類型に当たるようなものであれば,個別の問題は別として正当化根拠等にさほど異論はないというようなものは,ある程度そのようなものとしてまとめる作業も必要であると思います。もう一つ気になるのは,所々,何と何というように両方にまたがっている,例えば,障害者プラスデジタルなどという部分です。そのあたり,二次元,三次元になり複雑になってきてこのプロセスのままではやや難しいかと思いますが,もう少しまとめる作業をしていただければよいかと思います。

最後に非常に重要かと思う点を申し上げます。今までリバースなども出てきていましたが,今回のものにも近いところもありますので,今回の作業の上でのうまいタイミングで本腰を入れて取り組むのがよいのではないかと思います。それ以外にも,今まで古くからあるものというのはなかなかすぐできなかったから手がつかなかったということはありますので,先ほどのCの中に入っているとか,何かそういうのがあれば別ですけれども,今回のプロセスがそのような近々に成果を上げなければいけないもの,ニーズがかなり近々ではあるけれどもじっくり腰を落ち着けてやらなければいけないものも,ほかの多くの審議会と連動しつつ現在のマンパワーの中で,うまくできるように持っていっていただければと思っております。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。今,大渕委員がおっしゃったところですけれども,何分,百を超えるこういうニーズがございます。それで,まとめるということはもちろん,そのカテゴリーのところでおおよそ既に事務局においてまとめていただいておりまして,これで非常によく分かるわけですが,スケジュール感の問題を御指摘になったわけでございます。近々のもの,あるいは中長期的にじっくりやるもの,そういうことがあるのと同時に法制小委で既に障害者問題というのをやっておりますし,教育問題も検討を進めているところでございます。だから,ステージが幾つかあるわけですね。池村委員がおっしゃったようなものも広く考えていけば,そういうところでできるタイミングが来るのではないかと思います。

図書館問題等については,今のところ直近に何かというところはないのですけれども,いずれにしても,それぞれ全て同時にできれば一番理想的なのですが,やはりそうもいかないものですから,そのあたりは一つ御理解いただきたいのと,もう一つはやはり百十幾つの書面を出していただいて,それに基づいて整理をするということは当然,これはやるべきことだろうと私は思っていますが,それを超えてなかなか,事務局においてできないというところはございます。今回,これ,一応,我々の方でこれを扱いました後,当然,これは公開されておりますので,公開されたその書類の中で,その配布資料の中でこれは出ていくわけでございます。だから,要望を出していただいた団体は,当然,これをごらんになって自分たちの出した意見がどういうふうに類型化され,整理されているというのは御理解いただけるわけでございますので,そうした団体は,では,追加的に意見を出そうというふうになってくるものと思います。そういうふうなところでやはり全てわずかなマンパワーの著作権課の中で対応するというのは無理でございますから,そのあたりのところはひとつ御了解いただければと思っております。

それで,全て御意見を頂いたところを受けまして,最終的なこのニーズ募集に提出された課題の整理(案)というものの見直しについては,事務局と私の間でひとつ検討させていただきます。しかし,さはさりながら,やはりこのニーズ募集をやった経緯,動機というのがあるわけでありますから,それに基づいてA-1-1とかという整理については,合理性が当然あると私は承知しておりますので,これを検討させていただいた上で見直す場合もあるかもしれませんが,この類型といいますか,分類のままになる場合もあろうかと思います。その辺はお任せいただいて,このワーキングにおいて整理(案)というものを,そういう条件付きの下で御承認いただければと思っておりますが,いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。御異議がないようでございますので,それでは,そういう形で御意見に基づいて事務局と整理をした上で,この「案」を公表するというふうにさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは,次でございますが,二つ目でございます。前回,ワーキングチームで行ったニーズ提出者からのヒアリングを踏まえた検討ということでございます。前回は第1回のワーキングチームにおいて優先的に検討すべきであるという御意見や検討に当たり,詳細な説明が必要ではないかという御意見が多かったニーズについて,ヤフー株式会社から情報活用関連サービス,ニーズの77番でございますけれども,これと富士通株式会社からCPS(Cyber Physical System)を用いたサービス,これはニーズの65番に関するヒアリングを行ったわけでございます。

先ほどの議論でもこういう77番,65番についての議論の優先性について,恐らく御異議はなかったわけでございますので了承していただいたというふうに思いますので,本日は残された時間の中でこの前回ヒアリングを行った,この二つのニーズについての概要とか,あるいはニーズの権利制限規定の対象とする正当化根拠についての詰めを行えればと思っております。つまり,前回のヒアリングを踏まえた上で,今後,本ワーキングチームにおいて検討を行うために更に必要と考えられる情報についての議論を行っていただければと思っております。まず,事務局から前回のヒアリングの概要,前回ヒアリングを行ったニーズを検討するに当たって,更に収集が必要であると思われる情報についての説明をお願いいたします。

【秋山著作権課長補佐】御説明いたします。まず,参考資料3,4,2に基づきまして,前回のワーキングチームの議論を御紹介したいと思います。大分時間もあいておりますので,改めて前回ヒアリング団体様の配布資料も少し御紹介しながら,御説明したいと思います。

まず,ヤフー様の方は参考資料3でございます。ヤフー様は所在検索サービス等について御説明を頂いたところです。元々のニーズ募集では所在検索サービスとバックエンドでの蓄積に加えて分析サービスというものも御提示いただいていたのですが,10月28日の御発表では,分析サービスを所在検索サービスと言われる概念の一環として説明できるのではないかということで統合した御説明であったと承知しております。以下,簡単にエッセンスを御紹介いたします。所在検索サービスに関しては,課題というところの2パラ目でその趣旨が書かれておりまして,この検索サービスというのは無数に存在する情報の中から求める情報の所在を容易に探索できる手段を人々に提供するものであるという意義が御説明されておりました。また,そういうサービスが今後発展するだろうということでございました。

具体的な著作物の利用態様等についてはII以下にございます。まず,サービスの内容としましては,広く公衆がアクセス可能な情報の所在を検索することができるサービス,これを所在検索サービスと呼ばれております。例としては書籍の検索ですとか,テレビ番組の検索,そして次のページでございますけれども,街中のカメラなどを活用した風景検索などが挙げられておりました。著作物の利用態様としましては,2番の1,2ということでバックエンドでの情報の収集,蓄積があるということ。それから,検索結果の提供に伴って著作物の表示があるということでございました。とりわけ,2,検索結果の提供につきましては,自動公衆送信を伴うということで,その際には検索結果の提供を行うために必要な限度でのみ行われるのだという御説明がございました。その例示としましては,サムネイルやスニペット等ということでございまして,著作物を視聴させることを目的とした自動公衆送信は行われないという御説明でございました。

それから,IIIで現行法下での解釈による対応可能性についても,既存の関連規定との関係を若干御説明いただいております。ここは省略いたしまして3ページ,IV,立法措置による対応の可能性でございますけれども,1番,権利制限の対象とする正当化根拠ということで必要性と許容性に分けて御紹介いただいております。必要性については,まず,公益性ということでこのサービスが無数に存在する情報の中から求める情報の所在を容易に探索する手段を人々に提供し,情報化社会における情報への道しるべのような役割を果たすとされております。それから,二つ目としてはライセンスによって対応が困難である。その理由は,この検索対象の情報が大量かつ網羅的であるということでありました。

それから,次,(2)許容性ということについては,第1に軽微であることとされておられます。その軽微であることの内容としては,まず,著作物の視聴のために著作物を提示したり提供するわけではないということでありました。具体的にはバックエンドの複製は表現を享受されることはない。それから,結果の提供に関しても,サムネイルやスニペット等,著作物の所在情報を知らせるために必要な範囲でのみ行われるということでございました。次のページをお願いいたします。もう一つの許容性の理由としては,権利者のコンテンツが知られる機会を提供するという意義についても御紹介がありまして,こうしたサービスによって権利者のコンテンツが知られる機会を提供して,その認知度が増すといったメリットが生ずるということでございました。こうしたニーズを受けて立法措置についての要望もあったということでございまして,47条6の拡大と柔軟化といったようなことが御提案されておられます。

次に二つ目のニーズとしまして5ページ,バックエンドでの複製を許容すべきということが述べられております。これは大分飛ばしまして6ページの立法措置による対応の可能性というところで,先ほども出てきましたけれども,権利制限の正当化根拠としては,著作物の表現が知覚されないということをもって権利者の利益を不当に害することにならないとされていたところでございます。これらの事前に提出いただいたニーズに加えまして,7ページ以降,今後のさらなる変化に対応するためのニーズということで,包括的な受皿規定という制度論について提案がなされております。詳細は割愛いたしますけれども,現行法では違法になっていて,事後的に手当てを行うということがこれまでもあったわけですが,そういう後から振り返ってみれば適法になるようなことが事前に救えるようにというようなことを念頭に置かれて,何らかの包括的な受皿規定を求めておられるという趣旨だと承知しております。

ヤフー様はこういう御説明でございまして,議論のやりとりとしましては,参考資料2に簡単にまとめております。今回,今後の議論に関わる部分ということで若干かいつまんで御紹介したいと思いますけれども,参考資料の1.情報活用関連サービスについてというのがヤフー様との議論でございます。テーマとしましては,このバックエンドでの複製に関するニーズが具体的にあればというような御質問がございまして,現時点では音楽の曲名を調べることができるサービスについて想定されているということでしたが,将来的には様々なものが考えられるということでございました。

それから,二つ目の議論では,所在検索サービスというのがC類型,表現を享受するものに当たるのかどうかといった御議論ですとか,それから,仮に制度設計する場合に三つ目の丸ですけれども,47条の6に準じた形の条件設定をするのかどうかといった制度論に関するやりとり,それから,包括的規定を設けるべきという意見に対して,どのような規定のイメージかというやりとりがございました。この点に関しては,特段明確なイメージが固まっているわけではないということでございまして,個別規定が整備されていない中でサービスを始めようと思った人がサービスを断念することがないようにしてほしいと,そういう御説明でございました。

次のページをお願いいたします。それから,現状の47条の6では不十分なところがあるというところについての御質問がありましたのと,それから,C類型で収まらない部分も権利制限の対象とするという趣旨についての御確認などがございました。

ヤフー様とのやりとりのポイントは以上でございます。

続きまして,富士通様の御発表についても御紹介いたします。参考資料4をお願いいたします。少し飛ばしまして3ページの方で,富士通さんの掲げておられるCyber Physical Systemとは何かというようなことを経産省の審議会の報告書を引きながら御説明がございました。このスライド3の上の方にございますけれども,「実世界のあらゆるモノに関するデータがデジタル化され,それがインターネットを介して流通するという状態が実現され,その処理・解析によって付加価値が生み出され,当該価値が実世界に変化を与え,当該変化が更に情報として収集されるという好循環を起こす」ということがこのCPSのポイントとして述べられているということでございました。

そのイメージはスライドの5の方で表示されておりまして,既存の知識や情報が解析などを経て新たな価値につながっていくという概念だそうでございます。著作権との関係では,スライド7の方をごらんいただければと思いますけれども,様々な形で現実世界やサイバーな世界で発生する著作物が様々な形で取り込まれるという概念図をお示しいただいて御説明があったところでございます。このスライド7の下の赤の点線で囲まれたところが恐らく特に問題のあるところだということだったと思いますけれども,ポイントとしましては,フィジカル,現実世界にある著作物やインターネットのサイバー世界にあるもの,様々なものを取り込んで,その中で非享受型利用がされて解析とか,様々な処理を経て最終的にそれが外部からのリクエストに応じるなどして複製物・翻案物や非著作物という形で出てくるということでありまして,そこには様々な享受型の著作物利用も含まれるというような大きな概念について御紹介いただきました。

それから,富士通様の現行権利制限規定の適用可能性についても御紹介いただいた後に,具体的なサービス例についても幾つか御紹介を頂きました。スライド9からはその例になってございます。例えば機械翻訳に関しては,用例ベース翻訳というのと統計翻訳という類型があるということでございまして,たしか用例ベース翻訳というのはどこかにある著作物の例,それをそのままデータベースに取り込みまして,その一部分なり相当部分を活用して,翻訳リクエストに対して応えていくということであったと思います。統計翻訳の方は,元となるデータを取り込み,それを解析,モデル化などして,翻訳結果の出力に役立てるというものだったと理解しております。

次のページでございます。スライドの12でございますけれども,教育支援サービスに関しても大きな概念のようなものをお示しいただきまして,この真ん中の雲にあるデータベースのところに,左側にあるような絵画とか写真,出版物,彫刻など様々なものをデータとして取り込み,それを事業者が運営するということだと思いますけれども,そうした事業者が収集したデータを35条教育機関の授業に役立てるというようなことが様々考えられるということでございました。続きましてスライドの14ですけれども,障害者支援サービスに関しても,様々な著作物を障害者が視聴可能なデータに変換して,事業者のデータベースに蓄積し,それを障害者に向けて出力するということを事業者が行うということは許容されていないという問題が指摘されておりました。

というような具体例の御説明がございまして,スライド15ページの方で権利制限の正当化根拠について御紹介がされております。そこではCPSに著作物が取り込まれる段階では,非享受型の利用であるので著作物の正規ビジネスとは衝突しないということでございました。また,出力する段階では享受型のものもあるということですが,著作物の利用が軽微で著作権者等の利益を不当に害するものとは言えない場合もあるのではないか。しかし,出力の程度,出力される部分の著作物性などサービスによっても,また,同じサービスにおいても個々の出力内容などが異なることも想定されることから,その個々において利益衡量がなされるとよいということ。それからまた,公益的観点から社会的要請が高いと判断される出力も考えられるということでございました。こうした根拠に基づきまして,権利制限のイメージとしては,様々なものに対応できる個別の事例について,目的や態様に照らして柔軟に判断ができる権利制限規定ということが求められています。

御発表のポイントは以上でございまして,その後の議論のやりとりとしましては,また参考資料の2に戻っていただきたいと思います。富士通様とのやりとりでは,3ページですけれども,委員の先生からの御質問として,このCyber Physical Systemの中で出力する部分というのが教育,障害者,それからまた別の切り口と様々なものがあるということですが,どのような位置付けなのかという御質問がございました。これに対しては個別のサービスごとに見ていく必要があるというような御回答でした。このほかにこのバックエンドでの利用態様,複製,翻案以外にも公衆送信があるのかといったような御質問ですとか,CPSということの外延ということだと思いますけれども,CPSというものはそもそもどういう目的に分類し得るのかというような御質問がございました。あとは,最後の丸ですけれども,特定の技術的な観点から限定的な態様での権利制限があるというのはやはり問題なのだろうかというような御確認がありまして,次のページですけれども,最後の丸ですけれども,人工知能によって今後情報のインプットということが重要になるのではないかというような御確認がこのCPSとの関連であった。こういうやりとりでございました。

こういうことを前提としまして,今後,御議論いただくに当たって更に収集しておいた方がよいのではないかという情報のリストをこの資料3の方にまとめてみました。まず,ヤフー様ですけれども,情報所在検索サービスに関して3点まとめております。まず,情報所在検索サービスの定義とは何なのかということを少し補足いただいてはどうかと考えます。このあたりはヒアリングの発表資料でもそれほど詳しく述べられておらなかったのかなと感じておりまして,情報検索サービスと情報所在検索サービスというのは何か違いがあるのかとか,少し不明なところもあったのかなと。例えばオリジナルの著作物の誘導を目的とするといったものを念頭に置かれているのかなということが配布資料等からは少し推測されるところもあったわけですけれども,そういう範囲を念頭に置かれているのか,また,その他の様々なものも念頭に置かれているのかということがあろうかと思います。

二つ目のポツはそれとの関連ですけれども,検索結果の提供を行うために必要な限度で著作物の出力,公衆送信を認めてほしいということでございましたので,そもそもそこの情報所在検索サービスの定義が何なのかということと,この出力される範囲というものが連動してくるのであろうと思われるわけでございます。その意味で,どういった出力が念頭に置かれているのか,分かる範囲で補足説明いただくというのが有益であろうと思います。現在では,この出力に関してはサムネイル,スニペット等の表示となっておりまして,視聴を目的としたものではないということでございました。それから,3点目,少し細かい点に入ってまいりますけれども,収集する著作物の対象の範囲としまして,御説明では広く公衆がアクセス可能な情報と確定されておりました。これに関しては,念のため確認ということで有償著作物も含まれているのかというようなことや,既に絶版となった著作物も含まれるのかといったことを確認しておくのが今後の議論にとって有益であろうかと思われます。

続いて分析サービスについてでございます。これは冒頭申し上げたとおり,前回のヒアリングの際はニーズ募集の際に御提出いただいたカテゴリーのうち,分析サービスは情報所在検索サービスの方に含めて紹介がなされました。元々ニーズ募集の方では分析サービスにカテゴライズされるサービス例として三つ挙げられておりまして,一つがブログなどの評判情報分析サービス,二つ目はメディアモニタリングサービス,三つ目が論文剽窃検出サービスというものでございました。前回の御発表では,この三つの例のうち,私の理解ではメディアモニタリングサービスについては情報所在検索サービスに入るのだということで例示いただいていたわけでございますけれども,ブログ評判情報分析サービスや論文剽窃検出サービスについても情報所在検索サービスに入るのだという御理解の下で現在ニーズを提出されておられるのかというようなところも含めて御確認をした上で,仮に分析サービスとして別途類型化するものがあるとした場合は,また別途それぞれについてこのポツに書かせていただいたようなことを御説明いただくのが有益ではないかと考えております。

続きまして,バックエンドでの複製についてでございます。これについては一応,現行法では対応できないと考えられる具体例がもしあれば追加的に頂ければと考えております。いわゆるバックエンド,蓄積系の権利制限規定というのはこれまで幾つか整備がされてきておりまして,今後,法改正を考えていく上で,更に必要なものはどこかという点については立法事実を確認する上で具体的にあった方が良いのではないかいう思いから,もし仮に何かあるとすればどういうものかということについて,可能な範囲で御確認いただければと考えております。なお,前回のヒアリングの議論では,音楽の検出サービスが念頭に置かれているということでございました。

それから,富士通様でございますけれども,こちらでは例として挙げられたサービスのそれぞれについて,特にそのうちの権利制限で対応すべき部分について御確認して情報収集したいと思っております。まず,第1に現行法で対応できないと考えられる具体例,特にバックエンドの部分について,ヤフー様と同様の観点から念のため,分かる範囲でお教えいただきたいなと思っております。次に,出力段階において市場で流通している著作物が出力されることが考えられるか。出力に関する御質問でございます。もう一つもそうでして,出力段階においてどの程度表現を享受する利用がなされることを念頭に置いているのか。享受する程度は著作物の全体か,一部分かというようなことでございます。これは恐らく富士通様の御説明ではかなりビッグピクチャーといいますか,CPSの全体像について御説明がありまして,更に幾つかの例について御説明があったわけですけれども,その中で,もし分かる範囲でこういった観点について,ある程度の類型化といいますか,ニーズの外延と申しますか,そういうところが分かってくればより議論がしやすくなるのかなと考えております。

そして,最後の四つ目のポツですけれども,これも二つ目,三つ目のポツとの関連でありまして,富士通様の説明資料にもあったとおり,権利制限規定の対象とする根拠としまして,軽微な利用であること若しくは公益性が高いというようなことが述べられておりましたものですから,この出力に関する類型化と併せてどのような関係に立つのかということがもし分かるようであれば,その点の議論を深めることも有益であろうと思ったわけでございます。御確認いただきたい情報としては以上でございます。念のために付言いたしますと,具体例とか,具体的なサービスの内容についていろいろお伺いすることとしているのですが,具体例を聞くからといって,権利制限の対象とすべき範囲を厳格に画定することを意図するものではなくて,権利制限の議論をする上で,ある程度サービスやニーズの外延や類型を捉えていく上での一つの取っかかりとして情報収集をしてはどうかという趣旨でございます。

説明が長くなりましたが,以上でございます。

【土肥座長】ありがとうございました。

お聞きのとおりでございまして,前回のヒアリングにおいて本来なら我々の方でこのあたりのことも含めて質問をしておけばよかったのだと思うのですけれども,少し足らなかったのかもしれません。どうぞこれについて御意見がございましたら,お願いいたします。大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】前回,お聞きしたところですが,後ろの方に,時間が切れてしまってお聞きできなかった点が残っているのではないかと思います。私はいつも言っていることですが,先ほどもお聞きしてみると,ヤフーさんの方も富士通さんの方もやはり,これは救っていいなと思うものとは基本的にはC類型に該当するものであるということです。前回のヒアリングのときには出力以降とその前というところで大きく二つに区分して考えるという基本線が非常にクリアに出たかと思います。この観点からいうと,出力するのが最終的なものではありますが,それまでの前作業としていろいろ情報を処理分析等するという,第1段階とその結果の出力という第2段階に分かれているように思われます。

第1段階はコンピュータ内でいろいろ処理分析等しているだけなので,元々が表現自体を享受するという性質のものではない。箱(ボックス)の中で動いているような話なので,そこはよいが,あのとき主に問題になっていたのは,出力のところで出せないと意味がないということでした。これも前も申し上げましたが,漢字で書くと道標,これは大和言葉の「道しるべ」の方が感じが出ていますが,例えば,ここを押せばモナリザのコンテンツが出力されるという,「道しるべ」的にやっているだけで,別にそれを表現物としての美しい絵として鑑賞・享受しようとする人はいないという,そのような観点からするとおのずから線が引かれてくると思われます。

要するに,例えば全文を出してしまうのは基本的に不可ですが,検索でヒットしたところとその周辺をスニペットとして部分的に表示するにすぎないというのであれば問題ないと思います。ただ,表示する部分が少なすぎると「道しるべ」として意味をなさないし,多すぎれば,結局,全部出したのと同様だということになります。その微妙な線の引き方ということに結果的にはならざるを得ませんが,先ほどから聞いていますと,今のは抽象論,一般論であって,最後は一例一例ごとに判断するしかないように思われます。他方で,ブログの評判サービスや,モニター,剽窃なども全てやりたいことは基本的に同様といえます。ただ,あのときには2段階に分けるとかということとなりましたが,いろいろと検討しているうちに2段階だと分かってきたということで聞いていますので,もう1回頭を整理した上でじっくりとこのようなところを,同じ方にまた来ていただくことになるのか,ほかの方なのか分かりませんが,頭を固めた上で,軽微とかいってもやはり実例を見てみたりしなければ,行き過ぎであるのか,「道しるべ」として適切であるかは判断が違ってくるので,もう1回,今度,ある程度固めた上でじっくりと,ほかの者も含めて具体例をお聞きしてみるということはニーズを知る上でも重要であると思っています。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかに。前田委員,お願いします。

【前田委員】今もお話がありましたけれども,バックエンドでの解析というか,第1段階とも言われていましたけれども,最初の大量に情報を解析する段階というのがあると思うのですね。それから,2段階目のその結果などを出力する段階というのがあると思います。その1段階目について,もし権利制限を設けるとしたら,その正当化根拠としては,著作物を享受していない態様で利用しているからだというお話が前回のヒアリングにも出ていたと思います。この1段階目については,そういう正当化根拠だとすると,個別の使用態様がどうかということは正当化根拠とは関係ないと思うのですね。ただ,一方で現行の権利制限規定にもバックエンドでの利用に対応できる規定はいろいろあると思うので,なぜ現行の規定では穴があいているのかとか,そのあたりのことをはっきりさせるために個別の事例についてより集めるということが必要だと理解しております。

2段階目の結果の提示ということについては,これはどういう目的で提示するのかとか,そういった個別の利用によってどこまで許されるべきかというのが大分変わってくるのだと思いますので,そういう意味ではやはりいろいろ情報を集める必要があるのだと思います。先ほどもありましたけれども,検索結果の提供という点については,それはただ道しるべを示しているだけだとか,そういう正当化根拠というのは考えられるのだと思います。ただ,前回のヒアリングの中で出てきた情報の検索,分析というのは様々な例がありましたので,それらの場合においてどこまでであればそういったタイプの軽微な利用が許されるのかということを明確にする必要があると考えております。その点で更にいろいろな事例を集めて,どこで線を引くべきかということについて検討を深めるということはよろしいかと思っております。

以上です。

【土肥座長】奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】私も似たような観点から発言させていただきます。やはり,コンピュータのシステムですから,情報がどういう形で流れていくかということを考えれば,まず情報のインプットがあって,それがプロセスされ,そしてアウトプットされていくという大きな流れになっているのだと思います。富士通さんの資料はこの三つの場面,インプット,プロセス,それから,アウトプットについて一通り触れていてくれたのかなと思いますが,ヤフーさんの資料は,多分,当日のヒアリングでのやりとりの中でもあったと思うのですけれども,ヤフーさんの資料では,どちらかというとプロセスの部分とアウトプットの部分を中心に御説明があったのですけれども,インプットの部分のところは少し御説明が少なかったのかなと思います。

以下,ヤフーさん,富士通さんともになのですけれども,今回,事務局が追加質問として挙げていただいているところは,どちらかというとプロセスの部分とアウトプットの部分について更に聞きますという感じがあるのですが,もう一つ,インプットのところで,どういう情報をどういう形で集めて,どういうふうにインプットしていくかというところも,やりようによっては複製権が関係してきたり,公衆送信権が関係してきたりということになるので聞いてほしいと思います。特にネット上の情報は,こっちから取っていくということなので,従来の検索エンジンみたいな形で理解できるのだと思うのですけれども,ネットにない情報,有体物として存在するアナログな情報について,例えば,書籍の内容ですとか音楽ですとか,そういったものはどのようにして収集することをイメージしているのか。そして,それはどのようにしてシステムに入っていくのか。

もっと端的に言えば,誰がデジタル化するつもりなのですかとか,それから,デジタル化する人とインプットする人は違うんですかとか,そのデジタル化やインプットというのは自動的にやるんですか,それとも人間がどこか関与するんですかとか,いろいろな要素があると思います。それによって著作権としては効き方が変わってくる場面というのはあると思いますし,権利との衝突もいろいろ場面があると思います。もちろん,権利制限規定の制度趣旨から,そこまで細かく言わなくても当然それは認められるのだというようなことも,最終的な判断としてはあると思います。後の議論として,何もかも全て権利制限規定を新設しなければいけないと思っているわけではないのですけれども,プロセスとアウトプット中心だけではなくて,インプットのところも,何がどうなっているのかというところは少し知りたいと思います。特に今,ビッグデータとかでいろいろなものを集めるということが非常に重要になってきていますから,少しどういうことをイメージされているのかということは追加で聞いていただけるといいのかなと思います。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。では,これで。

【末吉座長代理】ありがとうございます。元々ヤフーさんとか富士通さんが言いにくいことを大変丁寧に御説明いただいたということについては,心から敬意を表したいと思うのですけれども,どうも我々がこれまで議論してきた,例えばクローリングの技術であるとか,機械翻訳の技術というのが,もう既にこの間においてもそんな時間はたっていないように思うのですけれども,相当進化しているやに思うので,我々はそれを正確に捉えられているのかというのがまず1点目でございます。

それから,どうも検索エンジンの前提としていたクローリングに対してビットを立てて阻止するということを我々は前提としていたのだろうと思います。御紹介いただいた参考資料2のところで私が発言した分もそこに関わるわけなのですけれども,どうも何か実態は,そのビットを立てて阻止するということが機能しないようなところもあったりとか,我々はこれまで,例えば検索エンジンなら検索エンジンについて前提としてきた技術なり,前提なりというものが少し変わっているようなところもある。これは恐らくヒアリングの仕方の工夫が多分必要で,なかなか公開の場ではいろいろ教えていただけないところもあろうかと思うので,これは事務局におかれては慎重にというか,言いづらいことを上手に取材いただいて,我々が間違った前提事実の下にいろいろ考えていくということのないようにする工夫が要るのかなと思います。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。では,池村委員,お願いします。

【池村委員】ヤフーさんのヒアリングのうち,情報所在検索サービスについては,それなりにイメージがよくつかめましたし,個人的には恐らくは現行の47条の6が複雑過ぎるので何とかすべきという問題だと今のところ理解しています。ただ,もう一つのバックエンドでの利用というのは,結局,資料3でも出ていますけれども,結局は,例示として挙げられたのは所在検索サービスのみであり,そうなりますと,結局,47条の6が複雑過ぎるという問題に帰着しますので,バックエンドでの利用で47条の6以外の問題があるというのであれば,その説明をもう少し頂く必要があるのではないかなと思います。

また,富士通さんの方は,抽象的な意味では理解できたのですけれども,御説明が抽象的であったがために,結局,どうすれば解決できるのかというイメージが個人的にまだつかみ切れていないところがございます。先ほどの情報所在検索サービスのように特定の規定が複雑過ぎるのでシンプルにすれば足りるのか,それともそれでは足りず,権利制限の一般規定の議論の際に出てきた,いわゆるC類型的なものを入れる必要があるのか。あるいはそれでも足りず,やっぱりアメリカ型のフェアユースまで入れないと駄目だという趣旨だったのか,そのあたりのイメージというか,レベル感を共有する必要があるのではないかなと思います。結論としては資料3で出していただいていることを追加で聞く,あるいは先ほど奥邨先生に御指摘いただいたインプットの部分も追加で聞くということが必要ではないかなと思います。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

では,大渕委員,お願いします。

【大渕委員】今少し,前から気になっていた点が出始めました。これは24年改正のための検討の議論のときにはC類型というもので打ち出して,その一部が立法されている。何がいいたいかというと,現在既に顕在化されているものだけに基づき条文化しようとすると限られてきてしまうが,半年後とか1年後にはほぼ確実にここまで行くのではないかというものを,かなり具体的には持っておられる,しかし営業秘密等のために出しにくいということのようです。ただ,今現在できているものは立法事実として存在しますが,それだけではなく例えば半年後か1年後という近い将来には,もう世界中ですぐそのようなものはできそうだというものもかなりあるのではないかと思います。

そのようなこともうまく引き出せると,今回のプロセスにとってはややドラスティック過ぎるかもしれませんけれども,C類型,23年,24年のときにやろうとした,あのようなものをかなり包括的に出してしまった方がよいのか,あるいは,それはもう少し先だから,今までのがC1,C2といえば,それ以降の同種のものを付け加えるのがいいのかという点の判断にとって非常に有益であると思います。平成23年ないし24年当時の時点で顕在化していたものが現在条文になっているわけですが,要するにこれから半年先,1年ぐらい先にできそうなものについては,きちんと出してもらえばこれはできるのは確実だから,今と同様の意味でのかなり柔軟な個別規定を追加するというのか,もう少しC類型全体に近いような,包括的な規定を導入するのかという,その点についての,さじ加減を判断するためにも,営業秘密の点の障害や,見込みにおける多少の不明確さの可能性もあり得るかとは思いますが,大体の方向性はかなり見えつつあるようにも思います。そこで,そのあたりにつき,うまくヒアリングのときには出していただくような工夫をいろいろしていただくというのが重要だと思います。

また,先ほど出ていましたが,インプットの問題は,先ほどの枠組の中では,出力のための前段階であるボックス内での情報の処理分析等のソースを収集するという更なる前段階であります。このように,ボックスそのものと,ボックスに入れるための情報収集等は明確に区別する必要があります。もっとも,今はもうネット上のものはかなり大幅に一般的に入っているのですが,かえって,ネット外のリアルなものが漏れてその意味では不完全なデータベースになっているというのが現状です。今後はそこを完全なものにしていく必要があると思います。そのためには,いろいろ考えることはあると思いますが,どのようなところに問題があるのか,第一段階の更なる前段階として,実例にも焦点を当てて,全プロセスをカヴァーするような形で,きちんと聞いていくようにしていくことが重要だと思っています。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。前回のヒアリングで私などが伺っておりましたときに,インプットする情報というのは全てであると。リアルにある全て。それをデジタル化してネットに上げたいという,そういうようなIoTの観点からおっしゃっておられたわけで,例えばこの資料3の広く公衆がアクセス可能な情報の範囲というところである有償著作物とか,絶版著作物,絶版書籍ですか,こういったものを全部含むというふうに私は承知してというか,伺っていたわけです。ただ,それを誰がやるのか。インプットするのが。それから,その場合にライセンシングも含むとおっしゃっておられたと思います。ライセンスによる場合もあると富士通さんなどはおっしゃっておられたように承知しているわけです。

あと,要するに条文的には47条の6と7,ここを中心におっしゃっておられたように思いますので,そこあたりの見直しで,いや,仮にですけれども,まだ権利者の方々の御意見等々,伺っておらんわけでありますし,軽々には言えないところですけれども,そういうところの見直しで済むのかどうかということについては,ヒアリングをして可能なのか,あるいは先ほどから奥邨委員にしても,大渕委員にしてもおっしゃっておられる営業秘密絡みというか,将来的なサービスに絡むので,これは事務局に個別にヒアリングしていただく方がいいのかなと思って伺っていたのですけれども,そのあたりはいかがですかね。大渕委員。

【大渕委員】別に我々が直接必ず聞かなければいけないということもないので,事前に事務局の方で営業秘密に配慮した形で関係者から聴取していただいてその結果をペーパーにまとめていただければ,我々が,それを見た上で最終的に重要なところだけ確認するなどの形で,このワーキングチームの場で直接にヒアリングとして聴取する以外にも,工夫すればやり方は幾らでもあるのではないかと思います。

【土肥座長】あと,アウトプットなのですけれども,ここは確かによく考えておかないといけないのだろうと思います。ここではサムネイル,スニペットとあるわけですけれども,「等」という括弧書きが付いていますが,このあたりのところをどのようにお考えなのかということは非常に重要だろうと思います。

それから,ヤフーさんのときに情報所在検索サービスと分析サービスというふうに二つあるかなと思っていたのですけれども,実際には含まれるというふうにおっしゃっておられて,情報所在検索サービスを専ら御紹介があったのかなというふうに私の個人的な印象ではそのように思っております。だから,分析サービスというのと所在を単純に検索して提供するというのとはかなり距離がありますので,バックエンドの加工の点においてですね。ですから,そのあたりどのようなことをお考えなのかというのも事務局を通じて確認いただければと思っているところであります。

あと,富士通さんのところについては非常に,まさにクラウド,雲の中の話をただ伺ったようなところがあって,関数も出てきたりして大変興味深いところもあったのですけれども,ここは機会があればもう少し伺ってもいいのかな,こういうところで伺ってもいいのかなと私は思いましたが,ほかに何か御意見,御要望等ございましたら,この際,お出しいただければいいと思いますし,事務局におかれましては,この資料3を作っていただいたわけでもありますので,ただいま委員のいろいろ意見,要望等を聞いておいでになって,実はこういうところがあるのだということがありましたら,またこの場で出していただければと思いますが,いかがですか。

【秋山著作権課長補佐】現時点では情報を持ち合わせておりませんが,今日の御議論を踏まえましていろいろなやり方があるだろうということでしたので,相手方もあることですので御相談しながら,様々なやり方を工夫したいと思います。

【土肥座長】それだけですか。いずれにしても,事務局,大変だと思うんですね。多分,皆さんもお気づきだと思いますけれども,今回の書類のタイムスタンプがいつだったかというのもあるぐらい,事務局におかれては大変御苦労されていると思います。余り事務局に労働をかけてもいかんなと思うのですけれども,さはさりながら,我々もせっかく来ていただいてなかなか聞けないというのでは,司法の場においても法廷外というのもありますので,いろいろ工夫をしていただければと思います。いかがですか,ほかに御意見,御要望ございますか。

龍村委員,お願いします。

【龍村委員】企業秘密的な懸念から,例えば「行為f(x)」というような記載が富士通に見られますけれども,このあたり,f(x)がどの広がりを持つか,実際にこういうアイディアというか,ビジネススキームが多分おありなのだろうと思いますので,どの辺までどんな商売,どんなビジネスを想定するのかをもう少し把握することが必要かと思います。複製,翻案プラスどこまで射程に入れておられるのか。f(x)とされて,ある程度の幅を予定されておられるようにもお見受けします。その辺,関心があります。

【土肥座長】そのビジネスももちろん大事なのですけれども,要するに著作権法的にはインプットでどの程度,どういう情報をどういう複製をされるのか,翻案されるのか,あるいはそして公衆送信としてどういうものをお出しになるのか,そこなのだろうと思うんですね。あとは,ビジネスに関してはいろいろ工夫をして,それぞれやっていただければと個人的には思うのですが,ほかにございますか。特にございませんか。

そうすると,本日,後半の部分でちょうだいした御意見,御要望ですけれども,ヤフーさんに関しては,事務局から今の我々のやりとりをお聞きになって,ノートを取っていただいたと思うのですけれども,十分でしょうか。何か補充的にここのところはどういう趣旨かというふうにお尋ねいただくようなことはありますか。

【秋山著作権課長補佐】特にございません。もしあれば別途御相談したいと思いますけれども,今のところございません。

【土肥座長】そうですか。はい。分かりました。お願いします。

【奥邨委員】さっきの情報のインプットのところ,集め方のところで視点として一つあるのは,誰が集めるかということはやっぱり重要で,事業者のイメージが強いのですけれども,実際はクラウドでも雲の意味のクラウドではなくて,群衆の意味のクラウドですね。一般ユーザーが情報を作って持ち込んでくるという形態もかなり大きくなっています。また,このタイプのサービスの多くは,ユーザーに使ってもらえば,使ってもらうほどシステムが賢くなる方向で進化していく,自己進化をするような形で設計されていたりしますので,そういう点で,ユーザーが何をインプットしているのか,例えば,ユーザーが変なものを持ってきているかもしれない等々もあるので,聞いてみたいですね。従来の検索エンジンのように事業者が集めるということだけではないと思います。もちろん,どういうサービス形態とまで聞くと向こうの方がお話ししにくいのかもしれないのですけれども,主体として誰かどういう形で集める若しくは提出するというようなことがあり得るのかということは,例の検索エンジンの規定を作ったときとは状況が変わっていますので,意識して聞いていただくといいのかなという気はいたします。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

確かにそのとおりでありまして,何をだけではなくて誰がどのようにという,そこのインプット,そこのところはよろしくお願いいたします。それから,アウトプットとしてどういうものを出していくのかということですよね。特に音楽のフィンガープリントなども集めてというようなこともおっしゃっておられたと思いますけれども――大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】先ほど第1段階,第2段階と分けて,今,第1段階の更なる前段階における,主にはリアルなもの,ネット外の情報の収集の方法です。これは前,似たような話をアーカイヴのときにしたかと思うのですが,滅びゆくものをきちんとピン留めすることがまず必要であります。それから,それをどう使うのかというのは別に考えるべきで,なるべくなくならないようにするためのピン留めは,今回のA-3などで書いてあることを本当は言いたかったところです。

それに少し似ているかなという気がした反面,やはり集めることに何か反発があるのは,集めたものは過剰にバンバン出されてしまうというおそれがあるからだと思われます。別のものではあるのですけれども,例えば出力の方できちんと押さえて「道しるべ」の程度に限定するということであれば,できるだけ「道しるべ」は,よい「道しるべ」の方が公益ないし社会全体の利益となりますので,少々複製権等に表面的形式的に当たるにしても,それは構わないというところもあったりもするので,分析する際には各別にやりますが,良い情報を集めるために提供される良い「道しるべ」を作るためであると考えると,前の方も気にならなくなってきたりもしますので,分析は別々にやりますが,最後はそのようなトータルな視点も重要ではないかと思っております。

【土肥座長】ありがとうございました。

例えば論文検索サービスなどの場合に,日本の新聞と英文新聞,それを両方,対応する語句を使った翻訳サービスなどというのは当然考えられていくのだろうと思いますけれども,そういったときに権利者との関係で言うと,かなりいろいろ想像されるのですけれども,そういう場合,ライセンスで対応を考えておられるのか,あるいはそうではなくて,いわゆる権利制限で対応を考えているのか,そういうようなところも説明,かなり将来的な話となっていくと,権利者とのヒアリング等々の場面においてはかなり重要になってくるのではないかなと思いますし,少し想像力を持って収集していただければと思います。

ほかにございませんか。大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】今,主査もいろいろ出してくださいましたが,「道しるべ」ということになると,先ほどの評判などまでは「道しるべ」ないしその延長線上のものでありますが,今の翻訳になると,「道しるべ」を超えた最終的な享受の対象となるプロダクトになってくる。「道しるべ」等であれば,皆のために最低限必要なものなのですが,良い翻訳文となると,「道しるべ」を超えて,普通に入手できるものではない作品のようになってくるので,最低限持ってくるというよりは,契約などした優れた訳文などを多数集めてきてやるというレベルのものとなってきます。ですから,先ほどは「道しるべ」という権利制限的なことを申し上げましたが,いろいろなニーズの中にはむしろ,「道しるべ」的な最低限のサービスと,もっとハイレベルの,有償で提供されるべきサービスというのがあります。このように権利制限を考える際には横に必ず付いているライセンス体制も念頭に置いた上で,両方を進めていくというのが一番関係者のニーズに合致してくるのだと思います。それについてはまた別途検討が必要だと思います。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございませんか。なければ,これぐらいにしたいと思いますけれども,この後のスケジュールを聞いておきたいのですけれども,前半の方,この課題の整理(案)というのは御相談させていただいたものを確定して公開するということですね。そのときに備考とか何か注意書きを付けて,追加的な意見の提出は可能であるというような趣旨のことを一言お入れになりますか,それともその辺の取扱いをどのようにお考えなのか。

【秋山著作権課長補佐】基本的な考え方のところで一般的な処理の方針は記載しておりますけれども,この課題の整理の結果のところにも併せて書いておいた方が親切だろうと思われますので,その点工夫したいと思います。

【土肥座長】はい。よろしくお願いします。

それでは,本日の議事は以上としたいと思います。事務局から連絡等ございましたら,お願いいたします。

【秋山著作権課長補佐】それでは,次回ワーキングチームにつきましては改めて日程調整をしまして,追って御連絡したいと思います。本日は,ありがとうございました。

【土肥座長】それでは,これで新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム(第3回)を終わらせていただきます。本日は,どうもありがとうございました。

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