議事録

第15回国語分科会日本語教育小委員会・議事録

平成20年12月15日(月)
10:00〜12:00
旧文部省庁舎第1会議室

〔出席者〕

(委員)
西原主査,杉戸副主査,岩見,加藤,中神,西澤,山田各委員(計7名)
(文部科学省・文化庁)
匂坂国語課長,西村日本語教育専門官,中野日本語教育専門職ほか関係官

〔配布資料〕

  1. 第14回国語分科会日本語教育小委員会・議事録(案)
  2. 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の目的・目標及び内容(案)
  3. 日本語教育小委員会における審議について(案)

〔参考資料〕

  • ○ 地域における日本語教育の体制整備について(国語分科会日本語教育小委員会における審議経過)

〔経過概要〕

  1. 事務局から配布資料の確認があった。
  2. 前回の議事録(案)が確認された。
  3. 事務局から配布資料2「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の目的・目標と内容(案)」と配布資料3「日本語教育小委員会における審議について(案)」についての説明があり,その後,資料の内容に関し,質疑応答と意見交換を行った。
  4. 次回の日本語教育小委員会は,1月8日(木)の14:00から16:00まで旧文部省庁舎2階第1会議室で開催することが確認された。
  5. 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
○西原主査
定刻になりましたので,ただいまから文化審議会国語分科会日本語教育小委員会15回の会議,今期9回を開催いたします。
「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の目的・目標と内容(案)」が配布資料2にまとめられておりますが,前回の会議及び会議後,事務局に寄せられた御意見を基に,一部修正されております。それにつきまして何か御意見,さらに御質問等はありますでしょうか。特に中神委員,加藤委員は積極的に御指示いただいた部分がありますけれども,いかがでしょうか。
○山田委員
2ページ目の下から2番目の大分類,「自身を豊かにする」の1番目に,「人生設計をする」というのがあるのですが,その事例として「キャリアデザインの設計」とあります。しかし,「デザイン」の中に「設計」という意味が既に含まれているので,「キャリアをデザインする」という,そういう言葉に変えたらいかがかなと思います。
○日本語教育専門職
先ほどの説明に少し不足がございました。今現在,小分類としているところでございますが,大分類,中分類,小分類で一まとまりとするために,前回,名詞止めという形にしておりましたところを大分類,中分類と同様の表現にそろえました。
○西原主査
それから,1ページ目の下の「特別支援教育」ですけれども,何かこの特別支援教育というのを前提なしに読みますと,国際学級の日本語教育もこの中に入るんじゃないかというふうに単純に考えられますが,これはそのことを含まないということでよろしいですね。
○日本語教育専門職
そうですね,はい。
○西原主査
ほかに何か,これはこうすべきだということがありますでしょうか。
項目はいかがでございましょうか。今回は大分類,中分類,小分類ということで,中立的な用語が使われ,かつ,これはその上に書いてある「生活上の行為」の分類ということになっています。佐藤委員の方からは,これを学習の内容というふうにとらえて,学習領域,学習課題,学習項目,学習事項というふうに御提案いただいているわけでございますけれども,その辺につきましては,杉戸副主査は何か御意見ございませんか。
○杉戸副主査
今日初めて配布資料2の形での案を拝見するわけですが,この御提案に私は賛成です。もし少し手を入れるとすれば,表のすぐ上に書いてある,今,西原主査が読み上げられた「生活上の行為」というその見出しを表の全体にかかるような位置に掲げてはどうかと思います。もし,それがなくても表外に説明があればいいのではないかと思います。
ちなみに,佐藤委員が一つの案として出されている学習領域あるいは学習課題,学習項目というのは,前回の議論の中で,まだこの段階では学習というところまで入らない方がいいんじゃないかという意見がありました。つまり,この先,カリキュラムのデザインの例などを提案するという,そういう段階で学習項目とか学習課題という,そういう用語を使うべきではないかと思います。ここでは日本語教育の内容という枠組みを示す表だということを考えますと,くどいようですが,「生活上の行為」の大中小の分類,そして,その事例と,こういう表が今の段階で出した方がいいと,そんなふうに思いますので,ネーミングとしてはこれに賛成です。
○西原主査
ほかによろしいでしょうか。
そうしますと,今回,事務局から提案されたような上の列の命名ということで,今のところ御賛同いただいていると考えてよろしいでしょうか。
そして,これは配布資料2の欄外の説明にありますように,生活者としての外国人に対する日本語教育の内容は,「以下の各欄に掲げる「生活上の行為」を行うのに必要な日本語コミュニケーション能力を養成する」ということでございます。
さらに,何か御提案があるようでしたら,次回までにまた事務局に特殊なことでも結構ですので,御連絡いただければと存じます。よろしいでしょうか。更に気が付いたことがありましたら,この会の途中又は後半でも結構でございますが,お示しいただきたいと思います。
では,次に,配布資料3で示されております国語分科会日本語教育小委員会における審議についてという,今期の報告書案についてです。目次立てにつきましては前回も御意見を頂いておりましたが,それを踏まえて事務局で文章化を進めてくださっています。丸が付いていることでもお分かりいただけますように,これがそのまま原稿になるというよりは,むしろその中に盛り込むべき内容をリストアップしてくださった。これが順序,それから内容とともに,もう少し書き足していくというようなことで,肉付けがなされるその骨子ということで御提案されたと思います。
配布資料3の「? 地域における日本語教育の体制整備について」のところは,7月にまとめられたものを要約してここに載せておりますので,それは今回は少なくとも差し迫った議論ということではないと思います。配布資料3の?ですけれども,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容等について」ということを主たる御検討の対象とさせていただきたいと思います。その前に「はじめに」のところで何かお気付きになったことはありますでしょうか。
○杉戸副主査
すみません,その一歩手前のところなんですが,この配布資料3の表題を見ますと日本語教育小委員会における審議についてとあります。このまとめはどこに出すものか,どの段階のものかというのが,あるいはどういう姿勢で出すものかということがちょっと気になりました。
今日の参考資料は,「地域における日本語教育の体制整備について(国語分科会日本語教育小委員会における審議経過)」ですが,審議経過の報告として説明するのか,もう少し内容そのものを示す段階のものであるのか。具体的に言えば,?の2で,審議の経過がかなり具体的に,その手順と組織で行ったという経過が書いてあるわけですが,審議経過報告であれば,それは必要な情報だろうと思います。ただ,審議した結果の内容をきちんと提案するような文書であれば,補足的にあるいは追加の情報として「審議経過」というところに取り出す必要があるだろうと思います。しかし,表題を見ると,「日本語教育小委員会における審議について(案)」と書いてありますので,どうかと思いました。
○西原主査
それは事務局に御説明いただかなければいけないわけですけれども,これは当面は国語分科会に対して御報告をするというものですよね。そして,さらに今度は文化審議会に対して説明するという,その段階が今後来るというふうに思っておりますが,そして,さらにこれは答申に答えるというものではないということですね。
そのようなことを事務局の方から御説明いただけますでしょうか。
○国語課長
今,西原主査がおっしゃったとおり,基本的にはそういうことだと思います。当面は国語分科会に対する審議経過の報告ということで,その後,文化審議会総会に対する報告を行うということで考えております。そういうことですので,審議経過報告という名称でもいいかとは思うんですが,日本語教育小委員会と漢字小委員会との並び等もありますので,後ほど調整させていただきたいと思います。ただ,一方,審議経過であるということと同時に,可能であれば名称のところに内容的なものを書くということは構わないのではないかというふうに思います。
○西原主査
そして,杉戸副主査が多分御心配というか,予想していらっしゃるのは審議経過ではあるけれども,それに対する波及効果がどういうものかということも踏まえての御質問だと今感じたのですけれども,そういうことでございましょうか。
○杉戸副主査
そうですね。繰り返しますけれども,今日の配布資料3でいえば第?章の内容が表題とともに出ていたわけですね。それは審議経過というふうになっていた。私の理解ではそこまでで一つ固まっていて,今回は?の項目を審議したという,その経過を報告する。つまり,表題をつけるとすれば,配布資料3の4ページの?の見出しと同じような表現で,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容等について(審議経過)」というような,そういう文章で出ていくのかどうかということを気にしていたわけです。そうするか,しないかによって,内容にも関係するだろうと思います。
○西原主査
それは,今,匂坂国語課長がおっしゃったような漢字小委員会の報告も並んで出ていくということに関連してのバランスが…。
○国語課長
内容としては「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容等について」というところに主眼があることは事実なんですけれども,今期,ずっとやってきたものの審議の正に経過を報告するという意味合いからは,全体をカバーするものになると思いますので,そういった点も含めてどういうタイトルがいいのかというのは,もうちょっと考えさせていただければと思っています。
○西原主査
では,「はじめに」のところから,どうぞ。全体的なことでも結構です。
○山田委員
ものすごくつまらないことなんですけれども,5ページの「2」のところの上から六つ目の丸のところで,これは言葉に対する感覚なんですけれども,「国立国語研究所日本語教育基盤情報センターの研究成果等も提供してもらい」と「もらい」というのが何か……。
○西原主査
すごくフレンドリーな感じがしますね。
○山田委員
何となくここだけほかの文と違い,口語体のような感じがします。
○西原主査
提供を受けというような,そういうような表現の方が適当ですよね。
では,まず「はじめに」のところはここで置かせていただきまして,4ページ,「? 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容等について」の「1 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の目的と目標」を御覧いただいて,そこに盛り込まれている内容の文言等について,あるいはここに書き加えられるべき事柄がありましたら,御意見を頂けますでしょうか。
この目標と内容につきましては丸の3番目で示され,今回の別表にも反映されておりますし,こういうふうにしましょうということは御同意いただいたと考えておりますが,それでよろしいでしょうか。実際の文言がどういうふうに並んでいくかということにつきましては,まだ一工夫が必要かと存じますが,それでよろしいでしょうか。(意見なし)
次に,今,御指摘のあった5ページの「2」でございます。「2 上記の「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容」ということで,これは正に経過が書かれております。別表を見てくださいということを書けばよろしいわけですけれども,いかがでしょうか。この別表についてもう少し説明を加えるということも可能性の一つではあるかと思うのですが。
ちょっとこういうことは直接に関係ないかもしれないんですけれども,この報告書に聞き取り調査のことは具体的には言及しないわけです。付録的に別表の後ろ又は一番最後のところに,どういう機関に調査をしたかというようなことは書くのでしょうか,対象となった機関について。
○日本語教育専門職
書きたいと思います。
○西原主査
それと,もう一つ,普通の論文,報告書ですと参考文献扱いになるんですけれども,どういう資料を参考にしたかを最後に付けるということでいかがでしょうか。
○日本語教育専門職
我々が調査先の団体と聞き取りをした結果につきましては,掲載したいと考えております。また,参考にした資料につきましては,国語研究所から提供された資料も含め,資料名からたどることのできるものであれば,掲載することを検討してはどうかと考えております。
○西原主査
参考文献又は資料提供機関の掲載でも,十分に敬意は払えると思います。
参考とした資料を,興味がありそうな人向けに載せておくという扱いは,報告書によってはしているとは思います。審議経過としてとどめおくのであれば,余り気にする必要はないような気もするんですけれども,特に別表が独り歩きするだろうということを考えますと,この別表そのものに書き込むのではなくても,報告書のどこかにこういうような資料に基づいて結論が出ているというようなことを書いておく方が,波及効果に対する配慮ということになるのではないかと考えました。それについては委員の皆さんの御意見をまず伺いたいのですけれども,いかがでございましょうか。
○加藤委員
波及効果もあると思いますし,別表というこの表の裏付けとなるものがきちんと示された方がいいだろうなというふうに思います。ですので,こちらの報告書の方に戻りますが,?の「2」に審議の経過が書いてありますけれども,私もその経過よりも日本語教育の内容という,ここに掲げた項目についての説明及び必要であれば,その裏付けとなった事項がここで述べられた方が良いのではないかと思います。
○岩見委員
協力機関の名前が入っていることが経緯ということにつながると思いますが,聞き取り調査について,そのすべてを明らかにするかどうかはやはり調査機関の意向もあると思うので,慎重にするべきところがあるのかなと思います。
○日本語教育専門職
事務局の考えとしては,聞き取り調査を行いましたものにつきましては,その調査票は会議資料となっておりますので公開されておりますし,その許可は得ておるわけです。ですから,聞き取り調査の結果は掲載することができるのではないかと思います。ただ,委員の皆さんから頂いた御発言の中で御紹介いただいた資料についてその所出をすべて明示することはできませんし,私個人で持っている情報というものを資料として明示することはとてもできないわけです。国語研究所から御提供いただいたものにつきましても,いわゆるデータとか情報というたぐいのレベルですと,なかなか今私が申し上げたことと分けて考えることが難しいので,文献名をたどって資料に行き着くような形になっていればいいのではないかと思います。
○西原主査
近々出版されるのであれば,出版物を参考文献というような形に書かせていただくということはありますし,加藤委員から御提供いただいたのは既に資料として公になっているものですよね。ですから,そのことは挙げることはできますね。今期は,この別表に集約されていくようなことを検討したということではありますけれども,それをサポートした資料一覧みたいなものはお考えいただいて,何らかの形で簡潔にリストアップできると,裏付けになって,我々の頭から出たものばかりではないということが分かるのではないかなというふうに思います。それは最終的なことだろうと思います。
それで5ページのことでございますが…。
○杉戸副主査
同じことを繰り返すようですけれども,やっぱり5ページ?の2は,2−1,2−2とすることが必要なのではないでしょうか。最後の二つを除いてやっぱり審議経過報告と言うか,手続,手順を表現する文末で終わっているんですね。そこをさっき加藤委員がおっしゃったように,例えば下から数えて五つ目か四つ目くらいまでが内容そのものの別表の説明になっていく下地を持っていますから,それを主体として2の見出し「日本語教育の内容」に対応して,その内容は別表にこう示す,その別表はこういう内容を示したものであるという,言わば本文に当たるものを目立たせた方がいいのではないでしょうか。というのは,?の方は,審議経過の文言はほとんど出てこないんですね。最初のページだけなんです。それとのバランスが非常に悪くなる。
○西原主査
そうしますと,この間は目次立てを御審議いただき,それで御了承いただいたわけですけれども,その目次立てにさらに細目をもう一段階加えて2,そして2−1,2−2,というようにした方がよろしいという御提案でしょうか。
○杉戸副主査
仮に,2−1が内容そのもの,2−2がその経過ということであれば,それで結構なのではないでしょうか。
○西原主査
その順序はどうでしょうか。2が「上記の「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容」ということですので,2−1として審議経過,2−2として内容ということでございましょうかね。又は,学習されるべき生活上の行為というようなのを2のもう一つの項目に挙げるとすれば,別表そのものの内容を説明するということになると思うんですけれども,そういうことでしょうか。
○杉戸副主査
はい。
○西原主査
加藤委員もそういうことでしたでしょうか。
○加藤委員
そういうことです。内容についてのところをより際立たせるということです。
○西原主査
審議経過とともにこういうことになっていますということを書く。
○加藤委員
そうですね。「2 上記の「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容」というタイトルになっているので,より内容が主たるものであるように思います。ただし,出る順番はどちらでもいいのですが,経過があって上記のような経緯を経て,このような内容に行き着きましたというような形で,内容にもう少し重きを置いて書かれると良いのではないかと思います。
○西原主査
そうしますと,繰り返しになりますけれども,目的・目標につきましては既に前項で書いておりますので,日本語教育の内容について配布資料2の「2 日本語教育の内容」の表外の注にあるようなことをもう一度言い,かつどういうふうにしてこの分類が成り立ったかということを説明し,かつ事項事例について説明し,そして,これがいかに来期,教材化,カリキュラム化されていく上で関係するかということを書き加えるということでしょうか。そこまで行かない方がよろしいでしょうか。こういうものなら読みたいなという観点からお考えいただいてもよろしいのですけれども…
○杉戸副主査
来期にどうつながっていくのかについて,もう1回この小委員会が開ければできそうなんですが…。
○西原主査
1月8日に第16回日本語教育小委員会がありますが,そこではほとんど最終稿に近いところにはなると思うので,事務局に努力いただいて,そういう内容も書いてほしいという要望を出した上で,またそれを審議するということはできると思います。しかし,あと2回しかございませんので,それを考えますとあと1週間ぐらいの余裕しかないのではないかと思います。
○杉戸副主査
ということであれば,あえてそこは来期に任せる。今回の内容からモデルカリキュラムへのつながりの部分,それも含めて来期に任せた方が良いのではないでしょうか。
○西原主査
そうですね。ただ,この表の中身になっているようなことは,もう少し説明してほしいというのが御意見ですね。そのことはよろしいでしょうか。そして,具体的には2−1,2−2というふうに,審議経過とそれから審議結果としての内容というのを項目立てしていただくということですね。
更に御意見がなければ,これで宿題を事務局に渡して終わってしまうのですけれども,せっかくでございますので,どうぞ,直接に反映されるということではなくても結構でございますが,この内容に期待することをお話しいただければと存じます。それがどの部分に反映されるかということにつきましては,事務局の方で向こう1週間ないし10日の間に練っていただくということになろうかと思います。
○杉戸副主査
細かなことを二つ,三つ言いますが,一つは4ページの?の「1」の最初の丸の3行目の最後の部分です。前回だったか,前々回だったかで,「日本語能力を身に付けさせるために行われる」という使役表現は,注意しなければいけないのではないかという御意見をどなたかおっしゃったことを印象深く覚えています。
○西原主査
私もそれは気になっているところです。
○杉戸副主査
そこが一つ。それから次のページの5ページの「2」の下から五つ目の項目,「そこで」から始まる文の2行目,「収集された学習事項リストを階層化し,教育内容の枠組みの検討を行った」というところです。検討を行う過程で学習事項リストの階層化されたものが参考にされたと想像します。ここでは出てきていないんですけれども,そういう作業があったんだろうということはよく分かるんですね。ただ,配布資料2の別表は,さっき私がこだわったように,学習項目とか学習領域ということを当面避けるという前の段階だということを私は発言したんですが,そのことを注意深くこういう説明にも残しておきたいと思います。ですから,ここでの「学習事項リストを階層化した」というのは作業としてあったとすれば,「学習事項リストを階層化し,参照した上で」とか,つまり,学習事項リストそのものが別表ではないというふうに,そこの誤解は是非避けるために,そういう工夫が必要だと思いました。
それから,もう1点ですが,下から四つ目の丸,今の次の項目の1行目,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容の枠組みとして,「大分類・中分類・小分類」とそれを説明する具体的な「事例」から成る一覧表を「別表」のとおり作成した。」というところです。これは,今日の形の別表をそのまま説明するんだったらいいんですけれども,ちょっと言葉が足りないかと思います。「日本語教育の内容の枠組み」の辺りに日本語教育の内容として必要な先ほどの表現,「生活上の行為」のうんぬんという,そういうことを既に下から四つ目のところで書くということが分かりやすさを支えるだろうと思います。それは下から二つ目の項目に書いてあって,後から出てくるんですけれども,今の書き方でいう下から四つ目の書き方ですと,何を大分類・中分類・小分類したのかが分かりにくいというふうに思いました。
○岩見委員
私自身はちょっと違う方向でとらえています。「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容」というのは生活に密着したもので,日本語のコミュニケーション能力を通してこれらの生活の行為を行うこと,すなわち,そのものが学習内容だというふうになり,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育」というのは,従来の日本語教育とはかなりその辺が違うと思います。だから,ここの大分類というのはむしろ「日本語教育の内容としての領域」とか,「日本語教育の内容としての学習」とかと付けるかどうかは別として,この行為そのものを達成するための日本語教育が必要で,それがすなわち学習されるべき事柄であると私はとらえています。
○西原主査
だからこそ,それがカリキュラムにつながっていくということですね。
○岩見委員
そういうことですね。「日本語教育の内容」として,こういう設定の仕方はやっぱり「生活者としての外国人」のための教育にはそうすべきだというようなとらえ方をしております。ちょっとニュアンスが違います。
○西原主査
杉戸副主査は,内容を段階的に踏まえ,方法にかかわる部分は次期以降の課題としてとらえていくことをおっしゃって,岩見委員は,それを全体として内容に包括すべきというお考えをおっしゃったと考えてよろしいでしょうか。
○岩見委員
そうですね。
○山田委員
それを私もずっと考えているんです。内容と方法ということですが,方法の方も組み込んではという意見を私は申し上げたことがあるんですけれども,それと一緒に考えると,内容そのものが煩雑になって理解しにくくなるということだったのでそれはあえて避けてきました。ですから「今後の課題」で,具体的にこれらの内容をどう展開するかという方法論も含めて検討されるべきだと思っています。
○西原主査
つまり,モデルカリキュラムの開発というのは,「はじめに」も書いてあるようなことでもあるし,かつ,これを基にしてカリキュラムという段階に至る,そこは正に方法論ですよね。
では,まず杉戸副主査が御指摘の文言のことで,4ページの「日本語能力を身に付けさせる」に代わる表現は何でしょうか。使役表現にしてしまうと強制して何が何でもというニュアンスに感じられるので違う表現にしてはと思うのですが,いかがでしょうか。
○杉戸副主査
そこを変えるためには,すぐ上の行の「「生活者としての外国人」に対する」という,そこから変えないといけないのではないでしょうか。
○西原主査
「生活者としての外国人」がその「生活」のために必要な日本語能力を…。
○杉戸副主査
「身に付けるために行われる教育」,あるいは「身に付け,できるようにする」…
○西原主査
「身に付けるために行われる教育のことを言う」。能力に対しては,このごろ「開発」とかいうことばがくっ付くんですけれども,それはちょっと行き過ぎでしょうか。
能力は何するんでしょうか。身に付くというのは,漢語でいえば何でしょうか。
○杉戸副主査
獲得。
○西原主査
「獲得」というのは私も浮かんだんですけれども,「獲得」というと何かつかみとるというようなニュアンスも生じるかと思うんです。つかみ取ってもらわなくてはいけないんですが,何かいい文言があるでしょうか。それとも先ほどのように「生活者としての外国人」が「生活」に必要な能力を身に付けるという主体的な表現にするということでよろしいでしょうか。そちらを採りますか。(意見なし)
では,そうさせていただきます。よろしいでしょうか。
それから,5ページの2の下から五つ目の丸の「学習事項リストを階層化し,教育内容の枠組みの検討を行った」というところに,もう少し別表に直結した文言に修正するということで,帰着したところを経過として少し説明してほしいということでございました。
それから,?の2の中をさらに二つに分けるということで,もう少し書き加えられていくということでした。
そして,山田委員がおっしゃったことを更に明確にするためには,どこかに「方法については次期に」という,そこのところをもう一度書いた方が,課題として,よろしいということでした。
?のところに?までにまとまったことを踏まえて,日本語の教育内容を方法論として更に展開するとか,そういうような要望をモデルカリキュラムの前に付けるということでございましょうか。又は,「はじめに」のところの一番最後のところに,もう少し書き加えるのでしょうか。
○山田委員
内容の改善については,方法論にかかわる説明がありましたよね。
○杉戸副主査
?に「内容・方法」と繰り返し出てくるんです。それを受けるのが?の方にないわけです。
○山田委員
そうすると,?は「今後の課題」なんですけれども,今後の課題として内容を実現するために必要な方法等を含め検討する。そういうことを入れたらいいと思います。
○西原主査
来期の課題になったことはすごく具体的なことですよね。つまり,具体的なモデルカリキュラムの開発ということを言っており,かつ,そのための教材,これはもう現場で使うものということが来期への申し送り事項ということになりますので,これは正に方法の開発ということになろうかと思うのですけれども,そのことを冒頭で言うのかどうか…
○山田委員
ちょっとまだ検討しないと分からないと思いますが,6ページに「2」とあり,そのすぐ上の丸が「「生活者としての外国人」に対する日本語教育が,各地域において適切に実施されるよう,具体的なモデルカリキュラムの開発が必要である」となっています。この「具体的な」の次に,「具体的な方法を例示する」のだと思うんですけれども,一つだけじゃないので…。でも,モデルと言っているからいいのかもしれません。
○西原主査
具体的な方法を例示するモデルカリキュラム。
○山田委員
そのように入れたらいいかなと思います。
○西原主査
?の「2」の審議経過の中に「知識」,「行動」,「交流」,「ことば」という,そういう側面から今回示された内容について,更に検討していくことが必要だということが書いてあって,それが正に方法を示唆するわけですよね。そこにもくどく言いますか,四つの側面から方法を明らかにするというふうに書きますか。
○山田委員
ええ,その方がいいと思います。岩見委員がおっしゃったように,そういうふうに見ている人たちも多くいらっしゃると思うので。
○西原主査
そうしますと,配布資料3の5ページの「2」の上から4番目の丸というところ,「生活者としての外国人」から始まる文の3行目,「という四つの領域と,「知識」,「行動」,「交流」,「ことば」という四つの側面から方法」,又は「四つの領域と,方法論として「知識」,「行動」,「交流」,「ことば」という四つの側面から明らかになる」,そこはどうしたらよいでしょうか。
○山田委員
四つの領域を実現するための方法として,「知識」,「行動」,「交流」,「ことば」という四つの側面から検討する必要があるという意見があったという,そういうことを入れたらいいと思うんです。
○西原主査
ということで合意を得たということですね。
○杉戸副主査
今の項目の書き始めは,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容は,四つの領域と四つの側面から明らかになるのではないか」という検討ですね。方法はまたさらに別じゃないんですか。
○西原主査
四つの領域と四つの側面という,「知識」,「行動」,「交流」,「ことば」というのが何の側面なのかというと,そこは方法論の側面だという,そういうことを言いたいわけですよね。だから,そうすると,領域とそれを実現する方法論としての何々という四つの側面から明らかになるということでもよろしいわけですかね,くどくなりますが。
○中神委員
ちょっとこの議論の外の話かもしれませんけれども,実は,御存じのとおり雇用調整が進んでいまして,今,市町村の国際交流協会が主として私どもの現場では日本語の教室をやっておるんですけれども,最近は何か変化がありましたかということを聞きました。まだ全部ではございませんけれども,多分ここで想定しています「生活者としての外国人」,定住で暮らす身あるいは永住で暮らす身で,本来,ここに定着していく外国人の方々が生活の一部ということで,いろいろ勉強していかれると思うんですけれども,どうも最近になってようやくというんでしょうか,私の地域ですと日系のブラジル人の方が日本語の教室に殺到してきたということです。
これまで言葉ができなくても十分に働いていけた外国人が,今はかなり選別されるようになっています。そこで,いわゆる日本語の必要性というのを痛切に感じて,ようやく勉強するモチベーションが働いてきたらしいんです。実は今まで市町村の国際交流協会の日本語教室に来ていた方は,ほとんどが技術研修生,技能実習生でした。日本にいられる期間が3年しかない,そういった方が母国へ戻って更にキャリアアップを考え,すごく高いモチベーションを持って勉強に努め,実際に成果を上げて帰っていくという方たちでした。
すべての指導者ではありませんが,迷っていらしたのは,今,私たちが教えている技術研修生,技能実習生は,果たして「生活者としての外国人」なんだろうかということでした。ところがここに来てようやく本来の「生活者としての外国人」が手を挙げてきたということらしいんです。今,ここでお話ししていますことは,当然,定住化,永住化が進んで,これから定着していくという方ではなくて,短期の滞在を前提に来日して,その間にしっかり勉強しようという方が,まだこれから続いてくると思うんですね。
そういった方にしても,一応,生活しているわけですから,ここで言っている「生活者」というのは恐らく相当広い意味で考えていると思いますので,もしかしたら来期以降,そういった議論が出るかもしれません。ですから,日本に滞在する期間が短かろうが長かろうが関係なく,とにかく生活する者,その人に対して,しかも日本語の勉強をする気があれば,こういった形で教えていくということの参考になろうかと思うんです。
1点,要は滞在の長期,短期にかかわらずということを入れた方がいいのか,あるいはそんなことは限定しなくて,要は一時期であるにしろ,生活していれば,すべて「生活者としての外国人」なのかという,「生活者としての外国人」の定義を明確にする必要があるのではないでしょうか。先ほどの技術研修生,技能実習生のような方が大挙して勉強しに押し寄せているという現実があるということは,今,ここで議論している想定とは違うと思うんですよね。ただ,それは一方で現実なものですから,そういう方も含むような議論に当然,今,なっていると思うんですけれども,わざわざそういったようなことをここで何か言う必要があるのか,実はそこまで含んでいるんですということなのか,こんなことをずっと考えて迷っていたものですから,申し上げました。
○西原主査
例えば1ページの「はじめに」のところの二つ目の丸,「生活者としての外国人」を定義するときに,そこに修飾語として,滞在形態のいかんにかかわらず,だれでもが持っているという,そういうところにはっきりと言っておくということもあるかとは思いますけれども,そこの「だれもが」というところをそこまで言っておいた方が,今の御意見ですとはっきりするであろうということでしょうか。
○山田委員
そのすぐ下に,「地域社会の一員として生活するすべての人にとって」と,こういうふうに書いてあって,すべての人なんですね。こちらの方にそういう工夫をしていて,2番目の丸の方は「だれもが持っている」の「だれもが」というのはもっと広い,人であればすべてというような,日本人も含めるというような,それが「生活」というところに係るので,この生活は重みがあるというふうに思います。ですから,2番目の丸の「だれもが」の前に修飾語を入れるよりは,その下の3番目の丸の方に工夫をして入れていただいた方がいいと思うんです。また,さっきおっしゃった在住形態じゃなくて,「地域社会の一員として」の前に,そういう多様な滞在の形態でとか…。
○西原主査
「すべての人」というのがそのところにあるんですけれども,「地域社会の一員として生活するすべての人」の「地域社会」の前に「滞在形態にかかわらず」と…。
○西澤委員
ただ,その下に「中でも日本語を母語としない」というのが出てきますから,そこに入れちゃうと変なことになるんだろうと思うんですね。
○山田委員
そうか,そうですね。
○西原主査
いろいろな人がとにかく存在するのだということをどこかで書いておく。
○西澤委員
だから,「はじめに」の三つ目の○の「地域社会の一員として」のところの辺りに,どういう在留形態であろうということを入れるしかしようがないのかなという感じがします。
○西原主査
この三つ目の丸はこれで一文なんですよね。だから,これを少し二文ぐらいにブレークダウンして,そして何かそこら辺を入れていくということは,杉戸副主査,できるものでしょうか,公文書の専門家でいらっしゃるので。
○杉戸副主査
「高まっている」で丸にする工夫をすればいいわけですね。
1行目の「地域社会の一員として」から書き始めて,「高まっている」で丸にして,そして,その後ろに「日本語教育小委員会は前期において」うんぬんという,そういうことであれば。
さっき西澤委員は最後に残る,今,4行目にある「地域社会の一員として」の直前に,滞在期間とか,滞在形態によらずとかというのを入れるとおっしゃっていましたが…。
○西原主査
滞在期間,滞在形態の違いにかかわらずということですかね。それで,日本語学習を支援する必要があるという,そういうふうにしてしまってよろしいわけですね,そこは。
○杉戸副主査
「であることを指摘した」でしょうか,日本語教育小委員会は。
○西原主査
「日本語教育小委員会は指摘した」というようなことで何とか行くのではないかということで,中神委員の御意思はそこに反映されるということですね。
ただ,面白い現象ですね。今までは短期滞在の熱心な人が地域のボランティア教室にやってきた。それがやっと今になって,元来,生活者として漠然と考えていたような方々が地域の日本語教室に来るようになった。これは何が原因でしょうね。
○中神委員
もともと短期間しか滞在できなくて,しかも多分,中国の方が中心で,帰ってから日本語の力を活用して,更に職に就こうという,そういう意思の方がかなりいらっしゃいますから,非常に目的が明確なんですね。そういった方が実は技術研修生,技能実習生としていらっしゃって,最低限の基礎知識は付けていかれるんです。よく聞きますのは3年間の滞在のうちに日本語能力試験の1級まで取るんだと,実際,そういう方は多いそうです。それを取って,持って帰るという方がどんどん増えてきたそうです。
特に景気のいいときほどそうで,実際にボランティアの方も含めて,こういった方を中心に教えるのが本来の仕事なんだろうかとずっと悩んでいたそうです。ようやくこの半年ぐらい,本来自分たちが想定していた,多分,「生活者としての外国人」と呼ばれる人が増えてきたということなのでしょう。景気が良くなればまたもとへ戻るかもしれませんが,長い目でみれば,そういった短期滞在の方も日本語を身に付けて母国へ戻られれば,それなりに日本語教育の波及効果も高まりますので意味はあるかなと思います。
○山田委員
日本語実習制度だと座学が必要で日本語を学ぶことが義務付けられているんですけれども,それを川崎市の市民館でのボランタリーな活動の場に,雇用と言っていいかどうか分からないんですけれども,そちらから依頼が来るということがあります。ですから,短期というか,最長3年ですけれども,そういうところで日本語教育の場が利用されるということはあると思います。
○西原主査
なるほど。日本語能力試験の国内受験者がこの2年で非常に増えました。それは,うわさとして在留延長と日本語能力というものが何らかの形で関係を持つのではないかという情報が流れ,そのことに反応して起こったといううわさを聞いたことがあるんですが,傍聴席にいらっしゃる,日本国際教育支援協会の川端さん,いかがでしょうか。
○傍聴者(川端一博)
公式な見解ではなく,ある有識者が新聞のコラムにそういうことを書かれ,それだけでそういう反応があったということがございます。
○西原主査
ということなので,純粋に動機付けられた部分もあるかもしれませんけれども,そのような実際的な目的,つまり日本語能力と滞在の延長ということが直結するのではないかというようなことに対する反応も,一方にはあるということを私は聞いたことがございます。それはこの報告書とは関係のないところですけれども…。
○岩見委員
ちょっと余談になります。経済状況からの影響は,インドシナ難民のときにもございました。不況のときは日本語力を非常に重要視して,景気のいいときは日本語力は余り重要視されない。はっきりとは申し上げられませんが,企業側の姿勢は違ってくると思います。しかし,景気の動向にかかわらず,意欲的に学習に取り組むような体制はやはり国として,行政としては考えるべきだというふうに思います。
○西原主査
国として行政として迎え入れる体制を整備することは必要ですが,どういう原因によって,学習者がどう反応するのかということは,その時々で変化する可能性があるということですね。
ほかに,御意見ございませんか。では,このような形で書き進めていただくということでよろしいでしょうか。
それで,お願いがあるんですけれども,各委員の皆様方,お忙しいということはよく分かります。それから,これは事務局案がたたき台として出されて,それに反応するという形で今まで審議をしてまいりましたけれども,今期の審議を取りまとめていかなければならない時期になってきました。
それで,誠に恐れ入りますが,今週から来週にかけてこの配布資料3につきまして,どのようなことでも結構でございますので,こういうことはどうなったのかということですとか,こういうことも入っていた方がいいのではないかということにつきまして,どうぞ,事務局まで御意見を賜りたいと存じます。
年明けに小委員会がありますときには,ほぼ最終稿に近い形でこれがまとまっております。そして,いろいろな波及効果というか,どういう人たちが読んでくれて,どういうふうに応用してくれるか,又はどういうふうに検討資料としてくれるかということが,かなり広い範囲で行われるだろうということが想定されます。この小委員会の持つ責任と申しますか,共同責任というのもかなり大きいことかと思われます。そのこともございますので,どうぞ,年末のお忙しい時でございますけれども,積極的な御意見を賜ればと思います。
更に御意見がないようですと,あと30分あるのですが,事務局にお仕事をお願いするということになりますけれども,いかがでございましょうか。
事務局の方でいかがでございましょうか。何か確認しておくことはございますか。
○日本語教育専門職
まだまだ御意見を頂きたいというのが本音なのでございますけれども,例えばかつて日本人側の意識について,この会議の中で御発言がありましたけれども,それにつきましてはどこにどう書いたらいいのかなどについても,御意見を頂けたらなというふうに思うのですが…。
○西原主査
山田委員,いかがでございましょうか。これは尾?委員もおっしゃっていたことなんですけれども,こういうカリキュラムが走る可能性を示唆しているわけですが,こういう「生活者としての外国人」に対する日本語教育の目的・目標とその想定される内容に関連して,受入れ側,受容社会の一員として,どういうことを考えてほしいかということまで書かなくてよろしいかというのは,いかがでしょうか。
○山田委員
是非書いてほしいですが。目的のところでそれは押さえたいと思うんですよね。
○西原主査
表に書くということではなく,文章に書くということですよね。
○山田委員
はい。それで,先ほども申し上げたのですが,方法とかなりくっ付くことだと思うんです。地域社会で外国人が生きて,そして地域社会そのものに貢献するような生き方をしてもらいたいのですけれども,夏に報告されている体制整備についての審議のまとめの中には,はっきりは書いていないんですけれども,抽象的にはそう読めるように書いてあります。そして,今回,検討した内容についても,配布資料2の一覧表を作っていく過程で確認したんですけれども,人とかかわるとか,社会の一員となるというようなところにそれが含まれているということだったので,これも方法の方に入れていくべきかなというふうに思ったんです。
だから,表立って書いてほしいんですけれども,どこをどうするということについて,私自身には案がないので,点検をさせていただいて,後で事務局に連絡しますが,もしそれができなくても,方法の方にそれは反映させていただけるものというふうには考えています。
○西原主査
方法というところにかかわる来期のカリキュラム開発ということですけれども,そこには何をという内容とともに,おっしゃるようにだれが,どのようにかかわるかという部分が入っていくということになりますよね。
○山田委員
コーディネート機能ということを体制のところで検討しましたけれども,コーディネート機能というのは一体何なんだというようなこととか,それが具体的にこういうことに,こう働き掛けるんだというようなことについても,もちろん体制なので,そこには書けないわけで,そうすると,それは何に対して,どんな方法を採ってやるかという,そういうこともまだ果たされていないんですね。
○西原主査
そうです。そして,直接,教育あるいは支援にかかわる人たちという,そういう一般大衆という意味と,それから,それを取り巻いて見守るというだけの意味でも,日本人たちというのがいるわけですよね。方法というのは,その両方に対して書かれるべきことですよね。今年の4月に,国立国語研究所日本語教育基盤情報センターの金田智子氏がヒアリングのために来て御発表くださった時に,オランダの市民統合プログラムにおいて,教育担当者には有資格者のコーチという人が教育内容の実施状況をモニターして,全体的な内容に目配りをするという御説明がありました。それがコーディネーターの役割とほぼかむということもあるかと思います。
それから,前に私も言ったかもしれませんけれども,オーストラリアで作られたコミュニティーアクセスというカリキュラムについて読んだことがあるんですけれども,市民が外国人と一緒に町を歩くというようなことが書いてあります。その市民というのが教育に直接かかわる人だけじゃなくて一般市民のことも指していて,この表にあるようなことを一緒に行うというようなことが書かれてあるのがかなり印象的でした。
また,私の町内会のことですけれども,外国人住民というのが同じ通りに現れるんです。それで,ごみ捨ての方法ですとか,いろんなことをだれかが伝えなければならないのです。私はアメリカ人,イギリス人というような英語母語者が越してくると,尋ねていって,「町内会でございます,ウエルカム」と言った後で,「これこれ,これのことはお守りいただきたい」というようなことを言うんですね。何か質問があったら,いつでも来てくださいみたいなことを言うんですけれども,そうすると,本当にそれを受けていろんなことをしてくれるというか,町内運動会に来てくれたりとか,そういうようなことが起こって,何か第一歩ってとても大切だなというふうに個人的にも考えるんです。そのようなことですね。
では,それ以外にはよろしいでしょうか。
繰り返し言いますけれども,どうぞ御意見をお寄せください。事務局を刺激して働かせてください。
それでは,今日の審議はちょっと早めでございますけれども,これで閉じさせていただきます。ありがとうございました。
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