議事録

第31回国語分科会日本語教育小委員会・議事録

平成22年9月16日(木)
10:00〜12:00
旧文部省庁舎5階 文化庁特別会議室

〔出席者〕

(委員)
西原主査,杉戸副主査,井上,岩見,加藤,中野,山田各委員(計7名)
(文部科学省・文化庁)
舟橋国語課長,田中日本語教育専門官,仙田日本語教育専門職,山下日本語教育専門職ほか関係官

〔配布資料〕

  1. 第30回国語分科会日本語教育小委員会・議事録(案)
  2. 標準的なカリキュラム案の活用及び指導方法について(案)
  3. 標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)
  4. 具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)
  5. 具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)
  6. 教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)

〔参考資料〕

  1. 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について
  2. 日本語教育小委員会における検討内容の大枠とそのスケジュール(案)
  3. 日本語教育小委員会における検討内容と進め方について(案)(概要)
  4. 日本語教育小委員会における検討内容と進め方について(案)
  5. 平成22年度文化庁日本語教育大会報告

〔机上配布資料〕

  1. 平成22年度文化庁日本語教育大会
  2. 平成22年度地域日本語教育コーディネーター研修について

〔経過概要〕

  1. 事務局から配布資料の確認があった。
  2. 前回の議事録(案)が確認された。
  3. 事務局から参考資料5「平成22年度文化庁日本語教育大会報告」についての説明があった。
  4. 配布資料2「標準的なカリキュラム案の活用及び指導方法について」,配布資料3「標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)」,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」について説明があり,その後,質疑応答を行い,「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案の活用方法及び指導方法について意見交換が行われた。
  5. 地域日本語教育コーディネーター研修について事務局から説明を行った。
  6. 次回の日本語教育小委員会は日程調整の後,事務局から連絡を行うことが確認された。
  7. 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
○西原主査
では,通算31回,今期7回の文化審議会国語分科会日本語教育小委員会を開催いたします。
前回の第30回日本語教育小委員会から今までの日本語教育小委員会ワーキンググループでの作業内容を踏まえて内容を少し御説明いたします。9月1日に第17回日本語教育小委員会ワーキンググループを行いまして,標準的なカリキュラム案を地域の実情に合わせて活用する際の考え方,それから指導方法,それを検討したものをまとめました。
それから配布資料3「標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)」ですけれども,これは8月18日に開催された第30回日本語教育小委員会で御検討いただいたところです。これはこのままガイドブックに掲載されるのではなくて,ここで書かれている内容を文章化いたします。したがって配布資料3「標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)」は文章化するための内容の箇条書きというような形でまとめているということになります。
それから配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」でございますけれども,赤字修正部分がございます。第30回日本語教育小委員会で委員の皆さまから頂いた御意見をまとめ,反映させた修正です。
そして配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」については,後でまた御説明いただきますが,日本語教育小委員会ワーキンググループで作業を行い,さらにその後,各委員から御意見が出され,それを事務局がまとめてくださったということになります。
9月1日に行われた第17回日本語教育小委員会ワーキンググループで,それまでの資料を大体議論したということになるのですが,そのほかに第30回日本語教育小委員会でも御案内いたしました通り,8月27日に平成22年度の文化庁日本語教育大会が行われました。そして,そこではこの日本語教育小委員会の審議状況の報告と,それを踏まえたパネルディスカッションが行われました。
まずは平成22年度文化庁日本語教育大会について,当日,おいでくださった委員もいらっしゃるのですが,参考資料5「平成22年度文化庁日本語教育大会報告」について何か確認がありますでしょうか。四百七十何人という参加者で,多くは地域の日本語教育支援にかかわっておられる方,あるいはその関係者の方であったように思います。もちろん学生もいらっしゃいましたし,いろんな方がいらして,熱心に聞いてくださったと思います。何かいらした方でコメントはありますでしょうか。よろしいでしょうか。
(→挙手なし。)
それでは,配布資料2「標準的なカリキュラム案の活用及び指導方法について(案)」,配布資料3「標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)」,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」で赤字で掲げられている修正部分及び配布資料3「標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)」については前回小委員会で配布したときから文言が変わっておりますが,御確認いただけますでしょうか。それとも何か更なる修正がありますでしょうか。
既に前回の日本語教育小委員会で御議論いただいており,その内容を反映させておりますが,修正が加えられてからは,本日初めて御提示するものです。御覧いただいて,更に何か御意見がありますでしょうか。
配布資料3「標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)」ですが,[1]から[5]までと,[6]から[8]までの書きぶりが少し異なります。[6]〜[8]は[1]から[5]までで述べたことの詳細な記述のようになっていると思うのですが,先ほど事務局から御説明いただいたように,これはこれをそのまま出すということではなく,こういうようなものを含んだものを文章で展開していく,その下書きの案というようなことになっております。その点も御了承いただけたらと思います。
(→挙手なし。)
もし,格別の御意見がすぐに挙がってこなければ,本日は配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」と配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」を主として御検討いただきたいと思っております。
それでは,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」を御覧ください。配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」で取り上げている具体的な日本語教育プログラム例というのは配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」に基づいており,それに従って一部分を作成したものが配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」になります。先回の日本語教育小委員会で具体例では3タイプの生活者を取り上げるのが適当なのではないかということで,外国人登録者の人口分布で多いタイプの3人を典型的な例として取り上げました。それをAさん,Bさん,Cさんとしています。Aさん,Bさん,Cさんを具体的に例にしておりますが,ただ,現実には典型的な人というのはいないので,「Aさんのような人が多いだろう」ということを想定して,2ページ目,3ページ目を展開しており,具体的にこのようなプログラムを作ったらどうですかという提案になっています。
実際にはAさんのような人だけが一つのクラスを形成したり,Bさんだけでまとめられるとか,排他的にCさんだけでまとめられるということではないでしょうから,実際の教室はこれらのことを考慮しつつ,更に考えて展開していかなければいけないということになります。そのことについては,文章で書くことになると思います。また,具体例をそのまま地域で用いるのではなく,それぞれの地域で工夫を加えることが期待されているということを前提とした上で,このAさん,Bさん,Cさんの例が成り立っています。まず,このような作業の書きぶりでよろしいかどうかということを御検討いただければと思います。これは配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の2ページ目以降にある形を踏襲して,そこの1,そこの2,その次の3というのをAさんの場合ということで展開した例となっています。
○山下日本語教育専門職
配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」について,前回日本語教育小委員会で初めて資料として提示いたしましたが,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」については,余り議論は行われませんでした。
その理由として,資料の内容についてイメージがわきにくかった部分もあったかと思うのですが,今回改めて配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」で,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の具体的な展開例を示しております。配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」を見たときに,改めて配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」についても,どういった修正や削除,追加が必要になるかといったことについても御議論いただければと思っております。
もう一つ,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の1ページ目について,これはかなり細かいことにはなりますが,例としての取り上げるのが,「日系人」,「国際結婚で来日」,「技能実習生」となっております。これで,恐らく地域の典型的な学習者をある程度はカバーできるかとは思っておりますが,用語の使い方に関しても少しまちまちになっている部分がございます。これについても,御意見を頂ければと思っております。
○西原主査
配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の2ページ目で「国際結婚の女性」と特定したことと,日系南米人というところで「労働者」という言葉を使っているのですが,これはいかがでしょうか。
山田委員,何か「労働者」という言葉に代わる,良い一般的な言い方というのは何でしょうか。
○山田委員
「勤労者」とかではないでしょうか。「労働者」は普通…。
○西原主査
ラインの人たちだけを指して「労働者」と言うわけではありませんよね。我々もすべて「労働者」になります。
○山田委員
「工場労働者」というのはどうでしょうか。
○井上委員
最近,リーマンショックからちょうど2年たち,その後円高もあって,製造業における日系人の現場労働者は非常に減っています。それで定住志向のある人たちはどこで働いているかと言うと,サービス産業に行っています。サービス産業では多様な日本語が使いこなせないといけない。あるいは機械のレジを打ったり,電卓を使ったりしますが,実はそういうのが意外と苦手な人たちが多いです。労働者と言うと,本当にやはり製造業のイメージが非常に強くなってしまうんですよね。
例えば居酒屋だったら「フロアスタッフ」などと言います。「労働者」と言い切ると何となく製造業で働いている派遣労働者みたいなイメージが非常に強くなってしまうと思います。
○西原主査
中立的な言葉で表現した方がよいということですね。
○井上委員
それから「企業」と書いてありますが,「企業」と言うよりも個人営業のところで働いている人もいるなど,日系人の働く場所は多様になってきています。それを表すような言葉で表現できると一番いいんでしょう。
製造業の,例えば上場企業と取引のあるような中堅企業以上であれば,ある特定のかなり限定的な日本語学習のパターンというのがあると思うのですが,多様になれば多様になるほど,それがばらけてきてしまうので,逆にここを多様にすると,もっと違うことを教えなければいけなくなるということになるかもしれませんね。
○西原主査
そうですね。ただ,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の2ページ目の1の「Aさんの場合」というところの課題の種類,「切迫度の高いこと」,「今できるようになりたいこと」というのは,これは別に三つに限定されません。
○井上委員
これは一般化ですよね。
○西原主査
はい。三つに限定されませんし,もっとたくさんあってもいいわけですが,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の「例1」は「日系人」で,外国人コミュニティーで主として住んでいることになっています。配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」でより一般的な形で取り上げていると思うのですが,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の2ページ目で,こういうふうに地域課題,域内の外国人の状況に対応したというときに,この文言そのものはまだ確定しなくてよろしいので,日系中南米の人で昼間仕事をしている人という,そういう意味なんです。
○井上委員
一般的にはそういう方が多いということで考えれば,「勤労者」でいいのではないでしょうか。
○岩見委員
「就労者」という言葉は一般的に使えます。
○西原主査
では,「就労者」にするのでいかがでしょうか。
○井上委員
派遣アルバイト,正規,全部含めるとすれば「就労者」ですかね。
○西原主査
「就労者」という言葉の前に,「中南米」も入れたらいいでしょうか,「南米」でいいでしょうか,「日系人の」…。
○井上委員
「日系人」でいいのではないでしょうか。
○西原主査
分かりました。それでは「日系人就労者」とします。ありがとうございます。
○杉戸副主査
配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の2ページ目,下から3行目の部分ですが,「国際結婚女性」と「日系南米人の労働者」これは「日系人就労者」に修正されることになりますが,その二つの前に「例:」と入れたらどうでしょうか。そうすると少しほかにも広がります。
○井上委員
配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の方には,「技能実習生」が入っていますが,これはあえて入れたかったのでしょうか。技能実習生は置かれている環境は非常に特殊です。
○西原主査
域内の外国人の状況と言うときに,地域社会との接点が限られているという条件を満たすということで,あえてCさんを挙げています。技能実習生は大勢いますし,かつ,こういう人たちなんだということで挙がっています。例のところにはあえて挙げていませんが,一つには行数の関係があって,これ以上文を増やすと何か下が詰まっている感じになるので,例として出していないということになっているのではないかと思います。
配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」なんですが,このような作り方で,実は今日このようなことでやってみたらどうかという御了承が頂ければ,改めて日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々,実は作業はまだその協力者の方にはお願いしていないんですけれども,本日以降,協力者の方々にも働いていただくことになります。これから,大体このような作業を進めるということでよろしいでしょうか。
この間,平成22年度文化庁日本語教育大会のアンケートを見ていたんですが,「標準的なカリキュラム案はとても使えない」という人と,それから「とても参考になる」という人のギャップが大きいと感じました。標準的なカリキュラム案のようなものが出てくるとと「もう駄目だ」という人も出てくる可能性もあります。一方で,「こうやるのか」と言ってくださる方もあります。アンケートの中には「コーディネーターが魔法の杖のようになっているので,コーディネーターがいなければどうにもしようがないのか」といった感想を書いてくださった方もありました。
○井上委員
実は今年の1月に愛媛に行ったときに,非常に特異な形での外国人の定住,在留の傾向が見られました。日系人がほとんどいなくて,その代わり,技能実習生,研修生がとても多いのです。あとは愛媛大学等に来ている留学生と,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」にも出ている国際結婚の方,女性が多いという傾向です。技能実習生の場合には受け入れている団体,企業と言うよりも団体管理型―というのは一旦,団体で研修生を受け入れて,その後各企業に分ける方式のことですが―その団体のガバナンス(governance)で大きく変わってしまうんですね。ガバナンスがしっかりしたところですと,その団体に,例えば,名前だけの団体ではなく,建物があり,そこに会議室があり,そこで日本語教室を開くというやり方をしているところが一番理想的なところで,そういうのも現にあるのです。しかし,それとは逆にただ外国人を何人かずつに分けて,受入先に送った後は何もしないというところもあります。あとは各受入先でやってくださいということです。その受入先も企業ならいいのですが,農家もあります。例えばフィリピンの人が多かったんですけれども,英語ができる人をどこかから見つけてきて,あてがわれた教材で,最初の1か月だけやって終わりということもあります。極端なことを言えば,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の2ページ目,左下の枠内に「(2)生活課題の把握」とあり,そこにも少し書いてありますが,それを英語のできる人間を雇って,通訳を介して全部処理してしまうという事例があります。あえて申し上げるとすれば,社会との接点が限られていることによって,実は日本語習得の機会が非常に限定的になっており,狭められている人に対して,どういう形で関与していくのがよいのかという話です。本来はその管理団体がやらなければいけないことなのですが,例えば国際交流協会みたいなところがどこまで手を出すのか,出していいのか出さなければいけないのかということがあります。手を出し過ぎるとトラブルが起きたりすることもあるので,やはりコーディネーターが慎重になおかつ工夫しながらやる必要があります。その際の学習の内容を配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」にどこまで書いていくのかということを検討する必要があると思います。
○西原主査
この配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の10ページ目がほとんど空欄なのですが,対象とする学習者の属性や数の把握というところは今おっしゃったようなことを基に少し埋められると思います。ただ,地域のリソース(resource)の把握,教室に使われる場所と指導者等については今,井上委員がおっしゃったように,非常に書きにくいです。中間的な業者がいるかどうかというようなことをどこに書くのかということでしょうか。
それから技能実習生というのを,これはAOTS(財団法人海外技術者研修協会)等に行ってしっかりと把握して来ないといけないのですが,全国的に見てどのような形が一般的なのかというところで,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の「例3)技能実習生のCさんの場合」を展開するとすると,例えば教室に使える場所,―これは二,三人ずつばらけてしまった後の話だと思うのですが―地域のリソースがどうあったら最も典型的な形になるのかというのは難しいかもしれないですね。
○岩見委員
どうあったらいいかという理想の形を書くのと,現状として最も多いのはどういう形なのかというのを書くのとでは大きく異なってきます。
○岩見委員
地域差がとても大きいのですが,技能研修生が地域のボランティアの教室に来ているという例が幾つか見られます。
○加藤委員
でも,本当に日本で生活する以上,やはり私の立場から考えたら,それは日本語が必要だろうと思いますし,習ってほしいと思いますが,日本語を勉強する必要性があると思われていないのではないかと思うところもあります。今,おっしゃったように自主的に日本語教室に行く方もいるのでしょうが,現に技能実習生を3年間して,そして日本語をきちんと勉強したいので,もう一度ビザを変えて,例えば日本語学校に入りたいという話がよくあります。現実的にはビザはもう取れないのですが,ただ,実際に話をしてみると,ほとんど日本語はできません。日本語ができない中で何をしていたかと言うと,自分の国の言葉で,そのコミュニティーの中で生活していたから別に日本語は必要なかったということです。けれども,今度は本気でやりたいと言ったときに,実は道が閉ざされてしまっていて,なかなか勉強のためには日本に入って来られないのです。せっかく三年間なり日本に居たならば,仕事だけではなくて,日本語もできていれば,また別の形で日本に入ってくることができるのではないかなといつも思っているので,何とか地域の日本語教室に自主的に入り込むという道筋を作るだけなく,技術実習生の人たちの日本語を勉強する場について,今,本小委員会で検討を行っているものができることによって,日本語学習は必然であるという形になっていけばいいなと思います。そういった観点から,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」が作成されればいいだろうなと思います。
○岩見委員
その団体の姿勢についても本当に差があります。日本語学習を奨励して,研修生を日本語教室に積極的に出している団体もあり,研修生自身も日本語の学習について非常に熱意を持って考えて,自習もし,そういった場を使ったりしているところもかなり,知っている範囲では見られます。そういった良い事例を典型例として出していくのはいかがでしょうか。
○西原主査
良い事例と言うか,日本語教育積極性というところでプラスに働いている事例を出していくというようなことでしょうか。
○井上委員
私が地方で見た感じでは,やはり漢字圏の方は日本語習得が非常に早いです。日本語学習についてあるレベルまで来れば,あとは独力でできる可能性もあります。問題はやはり漢字圏でない方,愛媛の場合にはフィリピンの方が多いのですが,英語ができる日本人がそれなりにいますから,それで何とかなってしまいます。あとは同じフィリピンから来た人が,例えば休みのときなどはショッピングセンターに集まって,自分たちの言葉で話して,少し日本語ができる人が買い物全体のサポートをしています。極端なことを言うと,研修の場合は日本にいるのは1年間なのですが,その間,日本語をほとんどしゃべらずに帰ってしまうという方もいないわけではないです。そうではなく,理想はやはり,先ほど加藤委員からのお話にあったように,日本語が非常にうまくなって,研修が終わった後も違うビザで日本に入れるようになることです。現実にそういう方がいます。研修技能で3年間学んだ後,日本語もできるので,技術の資格でビザを取る人もいる。それは理想中の理想なのですが,やはり漢字圏でない人たちで,通訳を使って何とか生活ができてしまったり,仕事ができてしまっているという状況の人たちに日本語のある一定のレベルを求める,あるいは学んでもらうというパターンも書いておいた方がいい気がします。
○山田委員
取り上げる内容が,理想でそれがほかのどの人にも当てはまらないような理想だとまずいのですが,こうあるべきだということは盛り込まないといけないと思います。「この程度しかできないんです」というように消極的な書き方は余りしない方がいいと思います。今井上委員がおっしゃったように,技能実習生については,私は1年で帰るというのが一番目的にかなった方法で,3年に延ばすというのはそれはもう有期雇用と同じだと考えています。韓国ではその制度を2007年に廃止しているわけですから,そういう世の中のいろいろな立場からこのことを考えている人たちに,技能実習をしながらもこういう方向があって,そういうことで地域がそういう人たちに協力しながら地域の住民として一緒にやっていくんだというイメージは付けておかないといけないと思います。文化庁は技能実習制度を応援しているみたいには取られたくないと思います。
○西原主査
そういう方向性で記述を行うということでよろしいでしょうか。(→了承。)
○杉戸副主査
配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」で,これは典型的な例として三つ出すということですね。
例えば技能実習生についても,言わば典型的なものと言うか,示すべきものを一つ類型化して,例3として出すわけですが,そこのガイドブックと仮に称する資料,全体の中ではこの配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」は,言わば資料的な部分になりますが,それについての説明は文章化される部分があるということですね。そこで今のような議論,例えば配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の例3の技能実習生のプログラム例については,特に,先ほど西原主査がおっしゃった10ページの「1 域内の外国人の状況・ニーズ,地域のリソース等の把握」のところでこういう留意事項が特に必要であるといったことを,うまく言葉やあるいは書く内容に気を付けながらも補足説明して,肉付けしていくということですね。ほかの場所があるということをよく覚えておくといいと思います。配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」だけがポンと出るわけではないということですね。
○井上委員
技能実習制度は正確には「研修技能実習制度」と言うのですが,制度が出入国管理法上,大きく変わりましたので,技能実習生にするのであれば,トータルで3年間,日本にいるということになります。それから,労働法制の規制が最初の年から入ってくるということを前提に,日本語を相当なレベルで生活上使いこなせるようにするというのがやはり目標となるべきだし,そういう意味での理想の形は書いた方がいいと思いますね。問題は1年間の研修です。これはいろいろな形で残りますので,それまで書いてくると,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」がまた少し違うパターンになってきます。
○西原主査
ここでは技能実習生で3年いる人,かつ,地域社会との接点が限られているという条件をクリアするような人ということで進めたいと思います。
○井上委員
3年間,社会と接点が少ないというのは非常に大きな問題です。日本語教育のなかでそれを打開できるかどうかということは別問題かもしれないけれども,ある意味,一つの手段にはなり得るのではないかと思います。
○西原主査
今は何人に変わったのでしょうか,上野公園に以前はイラン人がたくさんいて,その次はインドネシア人になったという話を聞いたのですが,今でもインドネシア人なんでしょうか,そういう同国人の情報交換ということが週末にいろいろな場で起こっているというようなことを聞きますが,それはそれとしてあるだろうけれども,少なくとも配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」ではそういうことを前提としません。地域で受け入れるということでこの典型例が書かれるということでよろしいでしょうか。
○井上委員
もう一つ問題なのは,やはり,漢字圏か非漢字圏かということです。そこのところはある程度明確にしておいた方がいいのではないでしょうか。
○西原主査
でも,これは非漢字圏の学習者を対象にして書くのではないでしょうか。この典型的なCさんについてはどうなのでしょうか。
○井上委員
非漢字圏の方がハードルが高いですからね。
○西原主査
実際は漢字圏の方が数が多いかもしれないけれども…。皆様は,朝日新聞の夕刊小説『獅子頭(シーズトオ)』を読んでいらっしゃいますでしょうか。昨年,文化庁日本語教育大会でお話しくださった,楊逸(ヤン・イー)さんが書いていらっしゃる小説で,二順という中国人の調理師が日本にやってくる,それで日本でどうやって生活するかというお話を夕刊小説にしているんです。彼はその小説の中でなんですけれども,ピンインの発言に「する」を付けるという方法をだれかから教わり,そうすると,ピンインのままで「する」を付けても,何とかなるんだということで,もう2年も暮らしていると書いてあります。子供が生まれ,離婚をしていて―中国に残してきた妻と離婚して―それで暮らせているというのは,恐らく書いている作家が中国人なので,本当だと思うのですけれども…。日本語で小説を書いて,母語じゃないところで書いて芥川(あくたがわ)賞をもらった初めての人が夕刊小説に進出してきていて,私は語学的な意味でもすごく面白いと思っております。
○山田委員
英語で「する」を付けてもいいんじゃないですか。
○西原主査
英語で「する」を付けたってもちろん…。
○井上委員
恐らくイラン人ですとか,今の中国の調理師の事例というのはもちろん,ビザが技能実習生とは違いまして,技能なり,技術なり,いわゆる人文知識,国際業務で在留するのです。それで,基本的には能力を求められていて,調理師は少し別なんですが,イラン人の方々は大体貿易商です。日本語ができなかったら,全く商売ができないので,必死になって勉強するし,それはもうほうっておいても問題がないと思います。家族の方は別かもしれませんが,大体単身で来る方が多いので。それで中古車を自国に送ったり,第三国に送ったりという仕事をする方が多いのです。
そのときに例えば自動車整備工場だとか,そういったディーラー(dealer)と交渉する能力がなければいけませんし,それは全て日本語でやります。私は何度かそういう場面を見たことがありますけれども,とても上手に日本語をしゃべります。聞いてみると,実は向こうの大学で日本語を学んでいたという人たちが多いので,そういう人たちは今,この日本語教育小委員会で審議している対象ではないという感じがします。
ただ,調理師の場合,私は横浜に住んでいるものですから,中華街にそういう人たちがどんどん入れ替わりで入ってきていますが,確かにほとんど日本語を話せない方もいて,さらにお客さんに近いところに出てくるケースもあります。そういうことを考えると,そういう人たちをどういう形で引き込むかというのは,事例として4例目,5例目というのは作りにくいと思いますが,ありうるのかもしれませんね。
○中野委員
少し細かいことなのですが,地域,あるいは学習者の属性をプログラムの中に反映させるポイントとしては,まず一つには学習者のニーズに合った指標を選ぶという段階がありますよね。しかし,もう一つは,その指標を具体的に達成するための学習内容や方法,すなわち,教室の中での活動を考える段階でも,地域の実情や学習者の属性を反映させることができると思います。
○西原主査
それが,この配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の3ページの「3 地域の実情,学習者の属性を踏まえた具体的な日本語教育プログラムの作成」になります。
○中野委員
はい。配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」で言えば,「言語事項/社会・文化的情報の選択と工夫」の部分が地域や学習者の実情を反映できる学習内容に該当すると思います。
○西原主査
配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」も基本的には同じ例だと思います。
○中野委員
そこで,3ページ目「3 地域の実情,学習者の属性を踏まえた具体的な日本語教育プログラムの作成」の下の表の各欄のタイトルなのですが,この表では一番左の欄に「標準的なカリキュラム案における生活上の行為の事例」があり,その行為を達成するものとして右側に「地域の実情・学習者の日本語のレベルに合わせて工夫する」と「言語事項/社会・文化的情報の工夫」という項目があると思うのですが,言語事項も社会・文化的情報も「地域の実情・学習者の日本語のレベルに合わせて工夫できる」のではないかと思います。
○西原主査
両方とも「工夫」「工夫」と言っているから,もう少しその違いをはっきりさせるということですね。
○中野委員
ええ。右側の欄も恐らく地域の実情とか学習者の日本語のレベルを勘案して考えるのではないかと思います。
○西原主査
この一番右の方は,実際的な活動と言うか,次のページの活動に結び付いていくことになるので,何かもう少しその活動,「活動」という言葉をこのタイトルに入れておいた方がよろしいということでしょうか。
○中野委員
そうです。真ん中と一番右側の中身の違いが少し分かりにくいかなと思います。
○西原主査
項目の書き方として似ているということですね。
○中野委員
はい。右側は明らかに教室活動のことを言っていますよね。真ん中はどうなのでしょうか。
○西原主査
そうしますと,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」ともに「標準的なカリキュラムにおける生活上の行為の事例」,これは標準的なカリキュラム案から取ってきています。それから,「地域の実情に合わせて工夫する」というところはそれでいいとして,一番右のところをもう少し,その欄の名前として,何としたらよろしいですか。
○中野委員
そうですね。言いたかったのは,真ん中の,「地域の実情・学習者の日本語のレベルに合わせて工夫する」で書かれている能力記述も,右側の欄の「言語事項/社会・文化的情報の工夫」も両方とも地域の実情や学習者のレベルを考慮に入れる必要があるということです。
○西原主査
そうすると,「地域の実情,学習者の日本語のレベルに合わせて」という文言は,両方ともに書き込んでいきます。そうすると,真ん中の欄「地域の実情・学習者の日本語のレベルに合わせて工夫する」という欄には何と書けばよいでしょうか。
○中野委員
生活上の行為の事例の具体的目標ということだと思います。
○西原主査
目標設定になるのでしょうか。配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の3ページの「3 地域の実情,学習者の属性を踏まえた具体的な日本語教育プログラムの作成」の一番下の表の真ん中で書くべきことは,目標の設定ですよね。能力記述と書くか,目標の設定と書くか,どちらかにしておいて,そして右の方は同じく「地域の実情・学習者の日本語のレベルに合わせた…」。
○中野委員
活動ですよね。
○西原主査
「活動の工夫」とするのでしょうか。
○中野委員
例えば,そのページの一番下の表,上から3段目の一番右の欄には「初診受付・診察についてロールプレイを行う」とありますが,ロールプレイ(role play)で体験するというのは,目標よりも活動になっていますよね。
ですから,真ん中の欄と右側の欄を「目標設定」と「活動」ということではっきり分けた方が分かりやすいかなと思います。
○西原主査
真ん中のところは具体的な活動というよりは,能力記述をもう少しブレイクダウンしたような形にとどめておいて,右の方にもっと具体的な活動というのを,「活動」と書いて入れるということでしょうか。
○中野委員
目標を達成するための活動ですね。
○西原主査
そして,今度は4ページ目,一番最初の人の例だと4ページ目のところが具体的な日本語教育プラグラムと言うか,ここも活動ということになるのでしょうか。
○中野委員
4ページ目に今度は「活動方法」という欄がありますが,これは恐らく内容というよりもカテゴライズ(categorize)の指標を入れるのではないでしょうか。
○西原主査
これが配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の教室活動の方法の例につながっていく文言なんですけれども,配布資料6「教室活動の方法の具体的内容(記述様式案)」の教室活動の方法の例に「ロールプレイ」や「実体験」というのが改めてその日の活動として説明されていくのが配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の2枚目になっているということなんですね。その項目が,やはり「言語事項/社会・文化的情報の工夫」ではなく,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の3ページ目で,もう少しその活動というのを入れ込んだ形にしておく―それは配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」でも同じなのですが―ということですね。
○中野委員
入れたいものをはっきりさせるということになりますでしょうか。
○西原主査
今の御修正のままを入れて,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の4ページを書くとすれば,一番左の「言語事項/社会・文化的情報の工夫」というのが,「具体的な教室活動」というようなものになり,かつ,活動方法は文言を変えるかどうかは別として,これが配布資料6になって例示されているので,それと連動して修正を加えていくということになりますね。
○中野委員
そうですね。その方が整理されるかなと思います。
○西原主査
「全体にかかわることである」ということはどこかに書いておくということだけれども,この項目の欄のところにも繰り返し書くという話ですね。
○杉戸副主査
一つ,最後のポイントの配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の4ページの表の左上の隅については「言語事項/社会・文化的情報の工夫」とありますが,それを先ほどの議論のようにラベルを変えるということは問題ないかと思います。しかし,3ページの方のこの一番下の表の見出しは,さかのぼると,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページの全体図の項目,箇条と対応させてラベルが付いています。
具体的に言いますと,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページの右下の大きな水色の四角の「(1)学習内容について検討」[1],[2]とあって,それから右に濃い四角の,一部赤字で「地域・学習者に応じた教育内容の選択と工夫」というのが付いていて,これがほぼこの配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」で言えば3ページの下の図,それから配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」で言えばやはり3ページの下の図の見出しに対応しています。この配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」,さかのぼればもう一つ前の資料の右くらいから見出しの表現が関連性と言うか,引き移されてきているんですね。そこのところを先ほどの図で配慮して,手を加えていかなければいけないと思いました。
具体的に言うと,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」で言うと,3ページの下の右の二つの列ですね。それの両方ともその「地域,学習者のレベルに合わせた工夫」ということと関係しているんだからということですが,そのことはこの配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページの図の濃い四角の精神と重なります。
○西原主査
そうですね。ただ,御指摘なのは言い方が似ているじゃないか,つまり配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の右の四角の下のほうの(1)の[1]と[2]というところが真ん中と右側の欄の名前になっているけれども,多分右側の方は,それよりはもう少し下の活動とか,それから学習内容とかいう具体的な学習内容と活動とかというように拾った方が,右側の意味がはっきりするのではないかという御指摘ではないかと思います。
○中野委員
見たときにぱっと分かるのは,目標になっている行為の事例があり,それを実現する学習内容と活動方法が並ぶと,とても分かりやすいと思います。今,書かれている内容を見ると,学習内容と活動方法が何となく混じり合っているような感じで,最終的に似かよったものになっていますから,そこをはっきりさせた方が分かりやすいかなと思いました。地域・学習者を考慮するというのは当然学習内容にも関係してきますが,実は活動方法にも影響を与えると思うんですよね。その辺りが少し気になるところだったのです。
○西原主査
杉戸副主査から御指摘のあった,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページ目の「3 具体的な日本語教育プログラムの作成」の「(1)学習内容について検討」,「(2)学習順序について検討」,「(3)学習時間について検討」「(4)指導者・協力者について検討」,「(5)活動方法について検討」のタイトルを拾ってくるとすれば,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の3ページ目の一番下の表,真ん中の欄で記述されているのは学習内容ですよね。そして右の欄は学習方法,活動方法になるわけですね。それが今のように書かれてしまうとそこがはっきりしないだろうということと,それから両方とも実情に合わせるということは変わらないので,右側の方も実情に合わせるというなら両方とも言いなさいという二つの御意見ですよね。
○中野委員
確かに配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の表では地域,学習者の実情というのは,学習内容の方にしか付いていないのですが,実際に例えば地域のリソース,地域で働いている人を招いたり訪ねたりするとか,いろいろな行事に参加するとか,地域の実情に合わせて活動を考えていくといいのではないかと思います。
○西原主査
配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の2ページ目では,そうなっていると思うんですね。
そうしますと,「地域の実情に合わせる」ということは,実は配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の「3 地域の実情,学習者の属性を踏まえた具体的な日本語教育プログラムの作成」というように大きなタイトルになっているんですね。ですから,それを繰り返すなら2度繰り返す,繰り返さないならそこは書かないということでしょうか。
要するに配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の3ページ目,一番下の表のの真ん中の列は学習内容になるということ,つまり,配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の「3 具体的な日本語教育プログラム作成」の「(1)学習内容について検討」につながるんだということ,そして,配布資料5「具体的な日本語教育プログラム例(記述様式案)」の3ページ目,一番下の表の一番右は配布資料4「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の「3 具体的な日本語教育プログラム作成」の「(5)活動方法について検討」につながっていくんだということをこの項目の名前でもはっきりさせた方がよろしいだろうということですね。
では,それは日本語教育小委員会ワーキンググループへの宿題が出たということでよろしいでしょうか。
○杉戸副主査
分かりました。
○西原主査
それで,今度は4ページ目のところの,そうすると,この一番左の上のタイトルもその前のページの右端を踏襲することになります。そこが書き加えられていくことになるだろうと思います。
そして,今度は配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」について検討したいと思います。この間,9月1日の日本語教育小委員会ワーキンググループで,具体例を示すときの方法について検討しました。
標準的なカリキュラム案の中にまとめた例もさることながら,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」のように,どのような能力の記述を対象とするか,7桁のカリキュラムのところから関連付けてするという方法もあるのではないか,これも非常に有用なガイドブックの中の一部分になるのではないかという意見が出ました。それを例として,もちろん配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の3ページにありますように,既に星印が付いているものもあるわけですけれども,それをさらに実際の能力記述や生活上の課題と関連付けてやってみたらどうなのかということでやってみたのが配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の,特に2ページ目ということになるわけです。
○加藤委員
教室活動の方法論ということでこういうものがあるのはいいと思うのですが,飽くまでもこの標準的カリキュラム案は,教室活動で何ができるかというところをずっと第一の目標に挙げているわけです。何ができるかということ,何ができるようにするかということをするための方法の一つがロールプレイであったり,シミュレーションであったりであって,その例としてインタビューがあるわけですけれども,インタビューをするために何が必要かではなくて,何をするためにインタビューが必要なのかということになるのかと思います。配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」が資料としてあるのはいいと思いますが,地域の先生となる人たちが必要とするものは,その方法論の説明は一部であって,今日何をして,このことをできるようにするためにクラス活動はどのようにしていくかということではないかと思います。その中の一つとして,ロールプレイもある,インタビューもあるというようになるのではないでしょうか。これは一例の方からの説明になっているので,合っているのはいいとは思いますけれども,何かそれと方向が少しずれてきてしまっているというのが気になります…。
○西原主査
例えば今日の60分というようなものも必要だろうと…。
○加藤委員
はい。その中で今日の課題が何である,その中の方法として,協力者はこういう人が必要で,このことをしてほしいといった流れの中で,ロールプレイが出てくるのだと思います。それで,ロールプレイはどうするんですかといったときにの配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」があるのはありだと思います。
○西原主査
標準的なカリキュラムの中でなかった部分ですよね。なかった部分と言うか,星印が付いているのはなぜかと言うと,その星印がもう既にここにもあるわけなので,標準的なカリキュラム案の110ページからになっています。基本的にはこの内容,準備,手順というのは変わっていないんですよね。そこのところをもう少し具体的に展開してみたらいいのではないかというのが今回の作業で,その前に七つの教室活動の展開例というのが行為別に100ページ以降に並んでいる。今,加藤委員がおっしゃったのは,ここの部分をもう少し展開して,時系列に並べていくということも大切なのではないだろうかということですよね。
○加藤委員
最初に事務局案としては,教室活動の例をもう少し増やしていくことを考えていたのですが,それに代えて,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」にするというのではなく,飽くまでもやはり教室活動の事例の書き方がこれでいいかどうかということのお考えは必要だとは思います。けれども,やはり配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」で取り上げられているのはインタビューであり,ここに出てくるものというのはやはり方法論と言うか,教室をどう動かすかということに関する一つの方法であって,本来向かうべきもののための手段ということですね。
○西原主査
資料の一つということですね。例えばある日の60分なり,90分なりをこの標準的なカリキュラム案の100ページのところから見ていくと,「? 標準的なカリキュラム案の活用例(実践例)」の「(2)教室活動の展開例」の右側「サポート情報等」とある中に「<教室活動の方法>・ロールプレイ(※110ページ参照)」となっていますし,それから,その上には「<参考資料>・多言語医療問診票(※入手方法等は113ページ参照)」となっています。これは言ってみれば,ある日の90分の例ですよね。そこのところがやはりもう少し具体的に,何に何分,何に何分というような教案になっていくというのが必要なのではないかというのが,加藤委員が今おっしゃったことですね。
○加藤委員
何に何分という,そこまで詳しいものではないのですが,教室活動のイメージができないということを言われることがあります。学生が前に来ても,どうしていいか,結局はあてがわれた教科書を見て,「では,○○ページを読んでみましょうか」といった形で進められては,ただ教科書を読んでいるだけの授業になってしまいます。恐らく,そこで引っ掛かっているのですが,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」に代えてそれが必要だということではなく,別のものも必要であると言いたいです。
教室を進める資料について,何に何分でという教案のような具体的なものでないにしても,今日の教室をどのように展開するかということとは異なり,インタビューはその中でする活動の仕方の説明なので,取って代わるものではなくて,並列と言うか,上位,下位というような存在として,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」があるのはいいとは思っています。
○西原主査
これだけを示すのではなく,実際に,私は「ある日の90分」とか言っていますけれども,「ある日,この能力記述を今日の目標とした場合には,どういう時間の使い方をするんでしょうか」というようなことも考えた方がいいのではないかということもあるし,それから,ある日はこの活動をやるんだという可能性もあるわけですね。
○加藤委員
ですから,目的がインタビュー,目標がインタビューではないということですね。
○西原主査
目的は情報収集を実際に体験するという目的の中で,こういう例と言うか,該当する生活上の行為をこういうことを達成するという日にはこういうことができるでしょうということになっていますね。
○加藤委員
この記述はとてもよく考えて作ってくれたんだと思っています。
○西原主査
そして,これは日本語教育小委員会ワーキンググループの委員が限られた時間にこういうものをやったらいいんじゃないかというのが意見として出て,それが配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の3ページ目に羅列されているものです。これは御覧になってすぐお分かりになるように,いわゆるタスク(task)というのとエクササイズ(excersize)に当たる部分が混在しています。
ですから,そこを分ける必要があるのか,それとも「タスク・エクササイズ」みたいな感じで教室活動の方法というふうに展開していくのかというのは,これからの順序付けの中で決まっていくことではないでしょうか。例えば「施設見学」と「スキミング(skimming)」というのは明らかに全然違うことと言うか,一つはスキミングはエクササイズの例で,施設見学というのは正にタスクの例になります。
○中野委員
加藤委員が今おっしゃろうとしているのは,私はこういうことなのではないかと思うのですが,今,標準的なカリキュラム案の99ページに掲げられている「標準的なカリキュラム案の活用例(実践例)」,それと110ページの「教室活動の方法の例」,今,二つありますよね。110ページにあるロールプレイとか,その記述の仕方は活動方法例の書き方なんですよね。でも,本日提示されている配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」は教室活動の方法を示した書き方ではなく,実践例を示した書き方のようにも見えます。ですので,飽くまでも活動方法を記述したいのに,実践例が出てきているために,あたかもインタビューというのが前面に出てきてしまうというのをおっしゃりたいのではないかと思います。ですので,書き方はどちらかにした方が分かりやすいですよね。
○西原主査
標準的なカリキュラム案においては,100ページにあるように活動例と言うか,「今日一日の活動の流れ」があり,その横に「インタビュー」とか「ロールプレイ」が出てきています。ですから,そこに一つ階層を設けて,二つをつないだということではないかと思うんです。日本語教育小委員会ワーキンググループで考えたのは,活動例,実践例となっていて,括弧のところの右側に,「こういう活動ができますよ」と書いてある部分を実際の実践例と少し結び付けてみたら,より分かりやすくなるのではないかということを記述しようとしているということになります。頭の中ではもちろん二つは区別されるべきだけれども,それをつなぐ方法として,後ろから攻めてくる場合と前から攻めてくる場合がありますよね。ですから,これは後ろから攻めてみたという例になっているということではないかと思います。
○中野委員
今,見たときに書式が三つあるように見えます。
○西原主査
二つを結合させてみたものの,一つが標準的なカリキュラム案の100ページ以降で取り上げている部分で,どちらが先に来るかは別として,もう一つが恐らく配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容」になっていくということなのではないかと思います。ここのところが恐らくコーディネーターと言うか,計画を立てる方が計画を立てるときに,それから実践する人が実践するときに最も活用する例,経過として,ある日の教室活動というものがここの配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の中に示されているというときに,この標準的なカリキュラム案で二つの項目に分かれていたものをどうやってつなぐんでしょうかというお話ですよね。そのように書かないといけないと思います。頭の中では二つに分けるということは必要だけれども,実際の教室場面では二つはまとまっていかなければいけないということですよね。加藤委員は後ろの方が具体化したんだけれども,前の方を具体化させるというもう一つの資料というのもなければならないという…。
○加藤委員
配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」を見たときに,非常に完成度が高く見えたんですね。とてもよく作っていらっしゃったと思ったので,余計に何か,本来のねらいとは少し違うのではないかという思いが出ました。恐らく,こういうのに合わせてこちらも変わっていくと思いますので,そういう意味では理解はしつつなんですが,これありきにならないようにという懸念があります。学習項目が「インタビュー」という日があるわけではないということが言いたいことです。
○西原主査
それが例えば記述の例として,この形がいいのかどうなのかという,つまり教室活動の方法の名称としてインタビューというのがあって,それの目的何とかと出てくるわけですけれども,これはこれで,例えばこの2ページ目は非常に有用ではないかと思うんですが,6の2ページ目。
○中野委員
これは実践例ではないかという気がしてしまうんですね。
○西原主査
ある日の一日のカリキュラムとしては,シラバスとしては―これはシラバスの例ではないですよね。
○岩見委員
今後の方向として,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」は標準的なカリキュラム案の110ページの「教室活動の方法の例」を充実させるという意味で作っているんですよね。「教室活動の方法の例」の具体的内容,このカリキュラム案の110ページは方法をかなり抽象化して書いているけれども,その具体例を出していくという方向なのか,あるいは加藤委員がおっしゃる教室活動の展開例をもう少し充実させて,その中に方法論も埋め込んでいくのか,二つの方法があると思います。
○西原主査
両方ではないかと思います。例えば配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」のインタビューというのは,随分時間の掛かるタスクなので,これ一つである日の教室活動が終わるかもしれないですが,例えばシャドーイング(shadowing)とかスキミング(skimming),スキャニング(scanning)というのは,これはエクササイズの例なので,ここのところを一日分展開するということはあり得ないですよね。そういうものが混在して,例えば「この目的のために使える方法にこういうものがありますよ」というのがこの配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」になります。そのことは中野委員もおっしゃったと思うのですが,ツールにこういうものが与えられていますということと同時に,それを使ってある目的,能力記述ができるようになることというのを達成するのが,その日の教室活動の目的なわけなので,そのツールをどう使いこなすかということの参考資料としてツールはあるわけなんだけれども,ツールは使いこなすものであって,それ自体が目的になるものではありません。そこのところをはっきりさせておきましょうというのが加藤委員の御意見だったと思います。ただ,ツールの方がやっぱりこのくらい具体的にして初めて,「ああそうか,こういう行為を達成しよう」と思って計画を立てるときに,こういうツールが使えるんだということを現場が理解するという意味で,これは非常に有用なことではないのかなと思います。
○加藤委員
そうです。非常にこれがよくできていたので,反対にこれだけが先行するものではないという意味です。
○西原主査
だから,これが目的になってはいけないという話です。これはツールなのであって,目的ではありません。
○加藤委員
紙なので。本当にその辺りが不安になってしまうのはおそらく紙媒体だからで,インターネット上にあったりしたら,こう出ていたものを,ここはインタビューって分からないから,ツンツンっとクリックしたらこれが出てくるという,そういうイメージですよね。
○西原主査
階層的になっているものですよね。
○中野委員
最終的にロールプレイも,今,活動方法の例として,ロールプレイとは何というのが配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」に書いてありますよね。ロールプレイについてもう一回こういうものを作るということで,三つ出てくるという理解でいいんですよね。
○西原主査
これは読んでいただくものですけれども,ガイドブックはそれを使っていただくときに,それをどう使いこなしていただくかということなので,三つ並列的に並ぶということではないと思います。一つについて詳しく,もう一つについてもっと詳しくとなるものだと思いますが。だから,A,A',B,B'みたいな。
○山田委員
どちらかと言うと,付録的な扱いです。それで,ただ,この教室活動の方法という一番上の一番前に出ている,これが両方にとらえられてしまうんですよね。だから,何か「活動技法の例」といったように何か「これは付録だ」と分かるようなネーミングの方がいいかもしれないです。
○西原主査
何かカタカナを使ってよければ,「タスク・エクササイズの例」。
○山田委員
そう。これはエクササイズの例ですよね。
○西原主査
これ以上カタカナ語は勘弁してほしいといろいろな人から言われているのですが,教室活動という言葉があいまいであれば,「タスク・エクササイズの例」。
○山田委員
少し工夫したらいいかなと思います。
○西原主査
この2ページ目の欄はこのようなことを書くのでよろしいでしょうか。これを枠組みとして。
○岩見委員
枠組みとしてですね。内容はこれから精査するとして…。
○西原主査
例えば,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の3ページ目,8番の「プレゼンテーション(presentation)」と15番の「ショウアンドテル(show and tell)」というのは,おそらく似ているので,どちらか,または中間的な名前を付けることができると思います。また,アンケートとインタビューは媒体が違うだけなので,そういう意味では調整していくというようなことができるでしょう。「シャドウイング(shadowing)」,「スキミング(skimming)」,「スキャニング(scanning)」は,これはエクササイズの例なので,やはり少しエクササイズとしてまとめるということが必要なのかもしれません。
○杉戸副主査
もしこのフォーマットに項目として追加するとすれば,この標準的なカリキュラム案の枠組みからすると,標準的なカリキュラム案の14ページ目「2 生活上の行為の事例に対応する学習項目の要素」の見開きの右側のページに出てくる「機能」を,例えば「インタビューではどの機能を特に焦点化して扱いたいときの技法である」というような形で示すことはできないかということを考えました。例えばスキミングとかスキャニング,これはどちらかと言うと,これは情報収集のときの技法として焦点化して扱えるというようなことを示すことが,1から15までの技法それぞれに,特に「この技法はこの機能を扱うときに有効ですよ」というような情報が示せるのではないかと思います。
○西原主査
同時にこの文法,このスキルというのも,書こうと思えば書けます。
○杉戸副主査
そこが余り具体的になり過ぎると,もう一種類の実践例の方の話になってしまうんですけれども,この境界をどこで引くかは難しいかと思うんです。2ページの上から二つ目のところにインタビューにはこういう能力記述を扱うときの有効な技法であるというところまで書かれていますが,そのすぐ隣に,機能までなら書けるのではないかという気がしました。
○西原主査
表の工夫の一つに何かもう少し書き込めるのではないだろうか,機能もその一例なのではないだろうかということですね。少し日本語教育小委員会ワーキンググループでの検討課題ということになりますけれども,基本的にはこのように1活動を1枚に収めるということを考えて,このくらいのことでいいかという話ですね。今,杉戸副主査がおっしゃったようなことは,もしかしたらここに矢印で,何か項目を一つ作るということなのか,何か矢印っぽく付けるということなのかなということになりますね。例えば活動の流れを見ますと,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の2ページ目の「5.活動の流れ (1)ウォーミングアップ」では,これはお互いの好みを聞き合うというウォーミングアップ活動になりますよね。それから,インタビュー自体というのはシートの作成と実施とそれからまとめとというふうに変わっていくので,機能とかスキルとかになると,この辺りがいろいろと変わっていくので,一つにはまとめにくいです。
○杉戸副主査
このレベルまで行くといっぱい出てきてしまいます。
○西原主査
そうすると,それを全部上に書き出すとなると,今度はここでの機能は「何だろう」ということになってしまうということになってしまいます。階層になっていればいいのですが,データベースになっていれば,その機能というところを押すとどこかで黄色い矢印が出てきたりするということになるといいんですけれども…。
○杉戸副主査
先ほどは,スキミングとかスキャニングを実例にして言ったので,説明がしやすかったのですが,インタビューとかロールプレイというのは,機能を足したようなものが出てきて,それで構成される活動です。
○西原主査
「14 プロジェクトワーク(project work)」というのは,例えば地域交流会を行うというようなこともプロジェクトワークになります。計画から反省会まであるので,そうすると,社会生活を全部体験するみたいなことになってしまうということもありますよね。
○杉戸副主査
また,日本語教育小委員会ワーキンググループで検討することが必要でしょう。
○西原主査
要検討課題ですね。ほかの情報をどのくらい盛り込めるかということは今後の宿題になりますが,一応この配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」の様式を事務局の案のとおりに採択してやってみるということでよろしいですね。そして中野委員及び加藤委員が御注意くださったように,これで終わりではなくて,実際にこれを使ってある日の目標というのを達成するときの実際の活動というのを―活動とどこも言ってしまうので,とても困りますけれども―シラバス例を書くということと,それからエクササイズ・タスク例というものが二つ加わるだろうということでよろしいですね。
○杉戸副主査
そのときに,今シラバスとおっしゃったものは,これまで日本語教育小委員会なり日本語教育小委員会ワーキンググループの議論の中で,30単位という数字が出ていたのですが…。
○西原主査
ええ,それです。30単位の並び替えというのはシラバスの一つですし…。
○杉戸副主査
標準的なカリキュラム案では七つ出ている「Ⅴ 標準的なカリキュラム案の活用例(実践例)」を,30事例に増補するということも…。
○西原主査
そうなんですけれども,30事例になるのかどうなのか。7事例載っているから8事例に増やしていくのか。ただ,もう少したくさん入れなければだめだろうということで日本語教育小委員会ワーキンググループも一致していたと思います。ただ,30事例書かないと本当は―網羅的にやりなさいと言っているわけですが―これは恐らく時間との勝負になります。まず,次の七つは何かというようなことを検討し,かつ,もう七つ入れられるかなとなり,30まで行くかとしないと間に合わないのではないかとは思います。
日本語教育小委員会主査としてはその辺りが少し心配ですが,そういうことでいかがでございましょうか。一応,配布資料6「教室活動の方法の例の具体的内容(記述様式案)」で示されているフォーマットでやってみるということで事務局にお返ししてよろしいでしょうか。
平成22年度文化庁日本語教育大会のアンケートの中に「早く書け」と言うか,「次なるものを早く寄こせ」みたいなことが書かれていて,「世間様はそういうふうに見ていてくださるんだ,うれしい」とは思いましたけれども,「早く」というのが,とても急がれているという話であろうかと思います。
ではこれで,第31回日本語教育小委員会を閉会といたします。御協力ありがとうございました。
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