議事録

第32回国語分科会日本語教育小委員会・議事録

平成22年10月26日(火)
14:00 〜 16:00
旧文部省庁舎5階 文化庁特別会議室

〔出席者〕

(委員)
西原主査,杉戸副主査,伊藤,井上,岩見,尾﨑,加藤,佐藤,中野,西澤,山田各委員(計11名)
(文部科学省・文化庁)
舟橋国語課長,田中日本語教育専門官,仙田日本語教育専門職,山下日本語教育専門職ほか関係官

〔配布資料〕

  1. 第31回国語分科会日本語教育小委員会・議事録(案)
  2. 具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)
  3. 具体的な日本語教育プログラム例(案)
  4. 教室活動の方法の例の具体的内容(案)
  5. 能力評価に関するヒアリングについて(案)
  6. 教材例のコンセプトについて

〔参考資料〕

  1. 標準的なカリキュラム案の活用及び指導方法について(案)
  2. 標準的なカリキュラム案における言語及び言語習得についての考え方について(案)
  3. 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について
  4. 日本語教育小委員会における検討内容の大枠とそのスケジュール(案)
  5. 日本語教育小委員会における検討内容と進め方について(案)(概要)
  6. 日本語教育小委員会における検討内容と進め方について(案)
  7. 日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者一覧

〔経過概要〕

  1. 事務局から配布資料の確認があった。
  2. 前回の議事録(案)が確認された。
  3. 配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」,及び配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」について説明があり,その後,質疑応答を行い,「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案の活用方法及び指導方法について意見交換が行われた。
  4. 配布資料5「能力評価に関するヒアリングについて(案)」について説明があり,その後,質疑応答を行い,ヒアリングの実施形態,ヒアリング内容について意見交換が行われた。
  5. 配布資料6「教材例のコンセプトについて」について説明があり,質疑応答を行い,日本語教育小委員会で作成を行う教材例について意見交換が行われた。
  6. 次回の日本語教育小委員会は11月15日(月)10:00〜12:00,旧文部省庁舎2階第1会議室で行われることが確認された。
  7. 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
○西原主査
定刻になりましたので,第32回,今期第8回の文化審議会国語分科会日本語教育小委員会を始めたいと思います。
9月28日に第18回日本語教育小委員会ワーキンググループ,10月18日に第19回日本語教育小委員会ワーキンググループを開催いたしました。また,10月4日からは日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々にも作業をお願いしております。参考資料7「日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者一覧」がございます。それから,その日本語教育小委員会ワーキンググループの協力者の方々のうち,御都合のついた方に本日この小委員会に御出席いただいているところでございます。
この小委員会では,引き続き標準的なカリキュラム案を地域の実情に合わせて活用する際の考え方や手順を検討していくということでございます。学習者や地域の実情に合わせて標準的なカリキュラム案を活用する際の具体的な手順について,前回も御意見を頂いたのですけれども,それを更に進めまして,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」を作成しております。それから,配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」についても作業を行っておりますので,それらについても御意見を伺いたいと存じます。
全体的なことで,まず何か確認の御質問がありますでしょうか。よろしいでしょうか。
(→挙手なし)
では,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」につきましてて,コメント,御質問等がありましたら,どうぞ。その前に,なぜ,2ページ目,3ページ目の上の表が説明いたします。参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」から日本語教育プログラムを作成するときに,「こういう手順でやってください」ということが配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページ目に示されているのですが,実際に作業を行っていく中で,今,どの部分の作業を行っているのかということが手順の中に埋もれてしまって,全体像が見えにくくなるのではないかと懸念されるという意見がありました。そこで,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の上半分にある進行表の中では,「この部分についてこのページでは解説している」ということをオレンジ色でマークするようにしました。それぞれのページが配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページ目のどの部分にあたるのかということが分かるような工夫をしたということでございます。これは日本語教育小委員会ワーキンググループ以外の方々にとって,一目でお分かりいただけるものでございましょうか。もちろん日本語教育小委員会ワーキンググループの委員の方々も,こんなはずではなかったといった御意見があるようでしたら,どうぞ。
ガイドブックというのは,書けば書くほどややこしくなるという面と,それから書いてくれないと分からないという面が両方あります。配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」に限ったことはないのですけれども,2ページの下半分にある「学習者」を更に展開したものが配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」ということになるわけです。これは飽くまでも,Aさんタイプの人だけが一つの教室にいるという状況ではないので,AさんもBさんもCさんもいるとか,それから圧倒的にCさんタイプが多いといった様々な条件を勘案して,日本語教育プログラムができていかなければならないのでしょう。でも,その前に「この地域にはAさんもBさんもCさんもいるからこういうことは考えない」というのではなく,それぞれの学習希望者に対しては,このようなカルテと言うか,そういうものを作った上で,全体的なプログラムを作っていただきたいという思いで,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」というのができているわけです。
○中野委員
レイアウトの話なんですけれども,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の2ページ目以降,矢印で「1 域内の外国人の状況・ニーズ,地域のリソース等の把握」,「2 日本語教室の目的や設置場所等についての検討」,「3 具体的な日本語教育プログラムの作成」というのがございます。
この「1 域内の外国人の状況・ニーズ,地域のリソース等の把握」,「2 日本語教室の目的や設置場所等についての検討」,「3 具体的な日本語教育プログラムの作成」の色は変えない方が分かりやすいかなと思います。例えば,1は赤,2は黄色,3は緑と決めたら,ずっとそれで進める方がよいと思います。今はそれぞれのページで該当するところをオレンジで示していますが,該当するところはいずれにしてもそこに色が入るので,それがオレンジでなくてもいいわけです。
○西原主査
3色にするということですね。
○中野委員
3色です。それは最後まで変えない方がいいと思います。
○西原主査
そうすると,ただ濃くなっていれば,つまり「1 域内の外国人の状況・ニーズ,地域のリソース等の把握」の色を赤としたら,他を黄色,緑にするとか。そうすると,次のページを開けると,赤のところが別にオレンジになっていなくて,色を付けていれば,どの部分だということは一目瞭然(りょうぜん) で分かるだろうということですね。
○中野委員
そうすると,ページを開いたときに,「今はプログラムの話だな」とか「今は場所の話だな」とかということが一目瞭然かなという気がしました。これは何回も繰り返し出てくるので。
○西原主査
いかがでございましょうか。その方が分かりやすくなるでしょうか。
○杉戸副主査
今の御意見について,今の配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」での示し方と,今の中野委員の示し方を比べて考えると,中野委員の御意見に賛成です。ただ,それを実現するときに,色の選択について条件が厳しくなると思います。障害を抱えた人たちに区別が付くような色を選ばなければいけない。色の数が増えれば増えるほど仕上げのときにそういう問題が今よりも増えることになります。そのこととの兼ね合いで,どこまで色の数を増やすかということがちょっと気になりました。ただ,考え方としては,中野委員の案の方が,上を青とオレンジで移っていくというよりは,今は赤の部分だという方がいいのかなと思いました。
ちなみに,今の資料でも,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページに当たるところに,薄いピンクと薄い黄色でしょうか,この辺りは多分引っ掛かるのではないかなと思うんです。区別の付かない人がいる,あるいは,色の濃さにもよりますけれども,色の種類として,そういう気がします。
○西原主査
御指摘のあった部分,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページの右側の表,「(全30単位)」と書いてあり,御存じのように,標準的なカリキュラム案の全体を示しておりますが,この人に関しては「Ⅰ 健康・安全に暮らす」から「Ⅹ 情報を収集・発信する」までのうち,「Ⅶ 人とかかわる」と「Ⅷ 社会の一員となる」が生活課題として焦点化されているということで,サーモンピンクとクリーム色になっているわけです。そうすると,5ページの方もサーモンピンクとクリーム色だったらよろしいのでしょうか。
○佐藤委員
ここの関係が少し分かりにくいです。
○西原主査
これは,学習者がAさんの場合に,こういう状況で配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページ,2ページ目のような検討を経たときに,学習内容をどう選ぶかということです。これは,優先順位だと思うのですが,学習内容の優先順位を決める際に,生活課題で「切迫度の高いこと」,「今できるようになりたいこと」,「できればできるようになりたいこと」というのが標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為(全30単位)のどこの部分で対応できるだろうかと考えた場合にどういうプロセスが必要となるかということを示しております。例えば,4ページで「できればできるようになりたいこと」である「行動範囲を広げ,知り合い・友だちを増やしたい」というのは,3「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為」の「Ⅰ 健康・安全に暮らす」から「Ⅹ 情報を収集・発信する」までの項目で行けば,「Ⅶ 人とかかわる」にかかわるであろうということです。
「今できるようになりたいこと」として,「住民としての手続ができるようになりたい」と思っている人がいると仮定すると,その上の「切迫度の高いこと」または「今できるようになりたいこと」は,この全30単位の標準的なカリキュラムの中では「Ⅷ 社会の一員となる」という部分に相当します。その30単位というのは,参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」の4ページに黒枠で囲って提示しています。最終的にこれが基本のキのようにして選択されているところです。それを配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ目で提示して,それをここに転写しているということになります。
○佐藤委員
私どもはずっと議論しているから,ここの話は分からなくはないのですが…。配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ目,5ページ目で表と表の間に矢印が付いていると,一番左側の表の「生活課題」の中で「1 切迫度の高いこと」,「2 今できるようになりたいこと」,「3 できればできるようになりたいこと」,「4 今後できるようになりたいこと」とあるけれども,「これは優先順位なのかな,それがどう反映されて,標準的なカリキュラム案と結び付いていくのかな」というのが色がある分,どう読んでいいのかというのが,今伺うとよく分かるんですが…。
○西原主査
実は日本語教育小委員会ワーキンググループの中で,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ目,5ページ目のブルーの矢印というのは,実は個々に関係する項目を結び付ける形で,最初はあちこち向く形で付いていたんです。そうしたら,あちこち向いていることがかえって分かりづらいということになりました。つまり,「3 具体的な日本語教育プログラムの作成[1]」のページで,学習内容について検討するときに,「切迫度の高いこと」というのが色分けされていますように,「1 切迫度の高いこと」,「2 今できるようになりたいこと」,「3 できればできるようになりたいこと」,「4 今後できるようになりたいこと」とあって,そのうちの1,2,3を矢印で,つまりクリーム色のところはクリーム色のところに,ピンクのところはピンクのところに矢印を付けたりなどしたのですけれども,それがかえってややこしくないかということになりました。また,ページをまたがったときの矢印はどうするのかといった話になって,それだったら色を付けて,これとこれが同じことなのだと分かっていただいて,矢印は一律上の方に一方方向で付けていくことで,作業としては,次の段階,次の段階に進むことを示したらどうかと考えたわけです。
○西澤委員
そのように一貫性を持たせるとすると,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の5ページの「Ⅷ  社会の一員となる」,「Ⅶ 人とかかわる」となっているところも,同じピンク色,クリーム色としていくと,分かりやすくなるということなんですね。
○山田委員
ただ,例えば配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ,「(1)学習内容について検討」の方で,「1 切迫度の高いこと」というのがどうして「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為(全30単位)」のうちの「Ⅷ 社会の一員となる」になるのかということは,分からないでしょうね。それから,学習内容についての検討のところ,4ページの一番左の表の「3 できればできるようになりたいこと」というのがどうして「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為(全30単位)」の中の「Ⅶ 人とかかわる」になるのかという必然性,どうしてこれがこうなるのかというのは,これはどういうことでしょうか。
○西原主査
これは,「例えば…」という話ではなくて,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ,右側の表で「Ⅰ 健康・安全に暮らす」から「Ⅹ 情報を収集・発信する」までの単位が付いている大分類のところを見ていくと,ほかに該当しそうな部分がありますでしょうか。例えば,極端に言えば,「生活ルールや地域の集まりについて知りたい」というときに,それが「Ⅰ 健康・安全に暮らす」とか「Ⅱ 住居を確保する・維持する」とか「Ⅲ 消費活動を行う」とか「Ⅳ 目的地に移動する」とかに当てはまるでしょうか。
○山田委員
「できるようになりたいこと」との整合性ということですね。
○西原主査
「切迫度の高い」というのはそういうことです。
○山田委員
そうすると,「切迫度が高い」というのは別にもあるんですね。
○西原主査
学習者の例を出しながら,「この人はこういう人なので…」というときの学習内容について検討するときに,もう一つ前の2ページ目,「1 域内の外国人の状況・ニーズ,地域のリソース等の把握」の「(2)生活課題の把握」を御覧ください。「(2)生活課題の把握」というところに,「切迫度の高いこと」や「できるようになりたいこと」のリストを作成し,順に並べるというのがあるので…。
○山田委員
それで,「切迫度の高いこと」というのが,この人の場合は,「生活ルールや地域の集まりについて知りたい」ことになるということですね。
○西原主査
この人の場合はそういうことです。ですので,それは配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」4ページに示している「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為(全30単位)」のローマ数字のⅠ〜Ⅹのどこに当てはまるのかと考えると,「切迫度の高いこと」,「今できるようになりたいこと」というのは「Ⅷ 社会の一員となる」になるだろうということですね。ただ,日本語教育小委員会の委員にお分かりいただけないということは,地域の方にとっては,「何だ,これは」となってしまいますね。
○加藤委員
恐らく紙の限界というのがあって,ずれてくるということがありますね。恐らく,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページに付けられている色のことで言うと,一番左側の表で「切迫度の高いこと」とか「今できるようになりたいこと」という左側の欄まで色が付いてしまっているので,その誤解があると思います。右側にだけピンクと黄色を付ける,つまり「できるようになりたいこと」というところだけに色が付けてあれば,そこが連続していくというのは分かるかなと思いました。それが一つです。
もう一つは,今見ながら改めて「あれ」と思い,実は今分かったんですけれども,その右側の「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為」というのが10項目ですけれども,ここには「Ⅴ」と「Ⅵ」はないですよね。そのことを実は私も分かっていながら疑問に思ってしまって,それから「そうだ,子育てと仕事は抜かしたんだな」と思い出しました。
○西原主査
抜かしたのはなぜかというのも参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」で実は説明してあります。子育てと仕事については別途,特別なカリキュラムが立つべきなので…。
○加藤委員
そうですよね。ですので,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」4ページの右側の表に番号を打ってしまうと,その疑問が出てきてしまいます。参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」の4ページではローマ数字ではなく「○」になっています。ここは番号をそのまま踏襲する必要はないので,例えば「○」にしておく,子育てや仕事など,あるものがないということをここでそれほど意識する必要はないかなとも思います。ですから子育てと仕事を入れなかったという説明もここには要らないと思います。番号を付けたことの弊害なのかなと思いました。
○西原主査
この全30単位というのを付けた上で,ローマ数字を取ってしまった方が分かりやすいですし,疑問に思わないで済むということですね。
○加藤委員
はい,余計な迷いがないかなと思います。
○佐藤委員
分かりました。配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の2ページ,3ページ目はかなり一般論が書いてあるのですが,その3番目の具体的なところは具体例が書いてあるんですね。
○西原主査
そうです。
○佐藤委員
分かりました。それで理解できました。
○西原主査
「具体的な」と書いてあるので,具体的になっているんです。
○佐藤委員
こちらを見ると,それはよく分かるんですが,4ページから突然具体論になってくるので…。
○西原主査
日本語教育小委員会の委員にお分かりいただけないガイドブックを書いてどうなるのでしょうかね。
○伊藤委員
コメントが少し必要なのかもしれません。下にコメント,具体的なものということを付けた方がいいのかもしれません。
○佐藤委員
それでよく分かりました。
○伊藤委員
一ついいでしょうか。今,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページについて検討をしていますが,4ページの上半分に掲載されている点線の枠内の図と5ページの上半分に掲載されている点線の枠内の図は,これは同じものですね。5ページの図は必要でしょうか。
○西原主査
そうですね。6ページ,7ページにあるように次の見開きの場合は少し右の方が進んでいます。
○伊藤委員
6ページ,7ページは「3 具体的な日本語教育プログラムの作成[2]」に入っているものですから,分かりやすいのかなと思ったんですけれども…。
○西原主査
その表はない方が分かりやすいでしょうか。
○伊藤委員
6ページと7ページではオレンジ色で強調されている場所が違うものですから,上と下で対応しているなと思ったのですが…。
○西原主査
分かりました。そうすると,この4ページ,5ページに関する限り,右上の点線で囲った図の部分はない方がむしろ分かりやすいということですね。
○井上委員
こういう冊子にするのであれば,編集で全部見開きで一本にしてしまうという手はあります。ただ,これはおそらくパソコンのワードか何かのソフトを使っていらっしゃるんでしょうけれども,それだと見開きというのはなかなか難しいですからね。
○西原主査
そうですね。実際のガイドブックでどこまでがどうなるかというのはちょっと…。
○井上委員
また別物だと思います。
○西原主査
ただ,これはこれまで横だったものを縦にした段階でこのようなことが生じてきたのですけれども…。
○井上委員
この図のように横に展開していくものが何度も出てくると,「こういう手順なのだ」ということがだんだん頭に入ってきますから悪いことではないと思います。そして,「今,どの部分なのか」ということを確認しながら進めていける。その点ガイドブックらしいつくりだと思います。ただ,その場合,「一つの例」というものと,「絶対に押さえておく必要のあるもの」が,ある程度わかるように記述しないと,重要性が分からなくなってしまいます。その差がないと頭に入らず流れてしまう。記述されているものに重要性の差があることがわかるように強弱をつけておいた方がよいと思います。
○中野委員
内容的なことではないので,もしかしたら枝葉末節になるのかもしれないのですが,せっかく例としてAさんを取り上げているので,例えば4ページで「(1)学習内容について検討」とありますが,ここにAさんがいて,「私は,生活ルールや地域の集まりについてとか,住民としての手続とか,これをしたいから,「社会の一員となる」を選んで学習したい」のようにするとどうかなと思いました。おそらく今,何となく目が分散してしまっていると思います。どうしてかなと思ったんですけれども,上の点線で囲まれている図の部分では該当するものだけがゴチックになっていますね。この方式はすごく分かりやすいので,下でも同じように採用されたらどうかなと思います。「健康・安全に暮らす」とか,そういうのは薄い色で,「社会の一員となる」というのだけがゴチックになっている。そうすると,色も要らなくなるのかなと思います。
○西原主査
フォーカスしてくるということがそれで分かるということですね。
○中野委員
更に言うと,「Ⅷ 社会の一員となる」だけでよくて,「15 地域・社会のルール・マナーを守る」,「16 地域社会に参加する」というレベルはシンプル化するために,この段階では要らないのかなと思います。つまり,「Ⅷ 社会の一員となる」をまず選ぶ,その次のページに行くと,今度はその下の概念で,「16 地域社会に参加する」などが出てきて,今度はそれをまたブレークダウン(break down)してというように,必要なものだけが出てくると,見たときにすっきりするかなと思いました。
○西原主査
分かりました。では,御提案は,まず色のことについては,杉戸委員からも御意見がありましたけれども,少し工夫の余地ありということです。それから配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ,「標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為」のローマ数字は取った上で,その大分類だけを残して,少なくともここの表からは「01」,「02」で示されている生活上の行為は削除し,そして右のページの第1の表の部分で示すということでよろしいですね。
第2の指摘は,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ,5ページの上の点線の枠内にあるように,該当部分だけをゴチックで示し,あとは薄くするというところを採用する,要らないものは薄くしてしまった上で,フォーカスをはっきりさせる。
第3の御指摘について,Aさんというのは日系人就労者の場合であり,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」のAさんが配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」に例示されているので,それはどうするのでしょうか。「Aさん」と書いて,「○○を見よ」といった形で示すのでしょうか。
○中野委員
せっかくこのアイデアがあるので,Aさん,Bさん,Cさんについて,もう少し,例えば色を変えるとか…。配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページにAさんがいるだけでも,このページはAさんのためのプログラムなんだというイメージができますね。それは分かりやすいかなと思います。
○西原主査
そうすると,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の何ページに飛ぶか分かりませんけれども,Aさんがここにあるんだということをはっきりさせるということですね。あらかじめそういうことをはっきりさせるといった御指摘で,だんだん分かりやすくなるものでしょうか。今,本小委員会で検討しているのはガイドブックですので,だんだん分かってくるまでにこれだけの時間が経過するのは非常に困ったことなんですけれども…。
伊藤委員はしばらくぶりの御出席ですが,分かりますでしょうか。
○伊藤委員
初め,ぱっと見たときは,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の上半分で示されている横の流れと,下とがどういう関係があるのかが少し分からなかったんですけれども,ずっと読んでいて,今,中野委員が言われたように,上がゴシックになっているものですから,下もそのようにすれば,分かりやすいかなと思います
○西原主査
では,フォーカスしないところは薄くして示せばよいということでしょうか。
○伊藤委員
それで,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の「3 具体的な日本語教育プログラムの作成[1]」と書いた横でもどこでもいいのですが,「Aさんの場合」と書けば,分かりやすいかなと思います。
○西原主査
分かりました。ついでに,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」ですけれども,下の部分で明朝体になっているところがその地域,地域でお考えいただきたいことになっておりますが,明朝体というのは分かりにくいでしょうか。
○加藤委員
明朝体とゴチックは,ぱっと見たときに分からないので,もっと手書き風の文字がよいのではないでしょうか。
○杉戸副主査
日本語教育小委員会ワーキンググループでも,手書き文字がいいのではないかという意見が出ていたと思います。
○西原主査
配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」については,流麗行書体とか,漫画チックな丸文字とか,いろいろあるのですが,とにかく書体をもう少し際立たせるということをして,ここは「地域で行うべきことなのだ」ということをはっきりさせるというのが必要であろうことの一つですね。
4ページ目も同じようなことで,全部がゴチックで太字になるのではなく,濃淡が付いていくということです。
それから,6ページ目,7ページ目については,大体これでよろしいでしょうか。これが具体的な教育プログラム例ということなり,この中で一つ取り上げているのが,一番下のブルーの枠組みで囲ってあるところに矢印内に「P.7参照」とあり,これは隣のページですけれども,7ページで具体的な教室活動の展開例を示しています。
○佐藤委員
配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の6ページに「3 具体的な日本語教育プログラムの作成[2]」とありますね。学習時間と指導者・協力者についてというところがあり,ここは一般的な記述になっているのですが,これは配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」のどこに該当するのでしょうか。
○西原主査
配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の6ページ目の「協力者」というところに該当するのですけれども…。
○佐藤委員
配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の6ページ目の上に当たるわけですね。
○西原主査
上のブルーで書いてある欄にあります。
○佐藤委員
ここに反映しているわけですね。
○西原主査
そうですね。
○佐藤委員
時間というのもここに反映してくるわけですね。
○西原主査
時間というのは,例えば「(土),10:00〜12:00」となっているのは,「この人は就労者なので,(月)から(金)までは仕事をしているので,だから(土)の午前中かな」ということになっているわけです。
○山下日本語教育専門職
配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の6ページの左下の学習時間についての検討のところでは,これは基本的にどういった学習者に関して時間がより掛かるのか,あるいは掛からないのかということについて書いています。それをどう反映させるかということについては,まだ案として出ていない段階でございます。
○西原主査
それで,同じように,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」では国際結婚のBさんの場合と技能実習生のCさんの場合が,同じようなことで提示されているということになっています。
○伊藤委員
配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の6ページの「3 具体的なプログラムの作成[2]」というのは,これは一般的なことを言っているのでしょうか。
○西原主査
配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」は,作成手順という手順を示すものなので,実際の作成はこういう段階を踏んでくださいという説明になっています。そして配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」は,例えば学習者A,学習者B,学習者Cが現れた場合に,それぞれの人についてこのような検討をしてくださいということを示しています。先ほど中野委員の御指摘があったように,たまたま配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の4ページ目の例示がAさんの場合に合致しているということになっておりますけれども,これは飽くまでも作業手順の説明ということになっています。そしてその手順に従ってプログラムにまで至ったときに,その作業手順の一部として,具体的に学習者を見ながらこういうことを考えてくださいと言っているということになるのです。そして配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページ目を見ていただくと,これで実施に至るわけですが,このプログラムを実施したときに,さらに日本語教育プログラムは実施した後に見直しを行い,循環していきます。つまり,同じことを繰り返して,人も変わるでしょうし,それから実情も変わるでしょうから,地域の実情に常に合わせるように,このことを繰り返してくださいという表になっています。
実は,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の1ページ目の「2 日本語教室の目的や設置場所等についての検討」と「3 具体的な日本語教育プログラムの作成」の間にも矢印が相互に付いており,ここはやり取りしてくださいということになっていました。そこのところはもっと頻繁に行き来するであろうということになっていたと思いますし,それは,御指摘があってそのようにしたことです。それを取った理由は別にないと思うのですが…。
○山下日本語教育専門職
これはレイアウトを変更する途中の段階で落ちてしまっただけであり,再度,付けた形で修正します。
○杉戸副主査
別の課題ですが,用語についてです。配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の最初のページの一番下には「(5)活動方法について検討」とあります。ここでは「活動方法」と出ています。それが,次のページを見ていただくと,それぞれ今話題になってきた右に流れるフローチャート(flow chart)というか,時系列の矢印のそれぞれのページの一番右では「(5)学習方法について検討」となっている。これは今,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」について申し上げたのですが,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の方でも対応をとらなければいけないと思って見ると,資料の6,7ページに似た概念を表す用語が出てきて,6ページの表の中ほどの列に「活動方法」というのが出てくる。それから,7ページに「教室活動の展開例」と出てくる。さらに,配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の最初の見出しに「教室活動の方法の例」という言葉が出てくる。問題は「活動方法」,それから「教室活動」,「学習方法」,そういう用語が少し混乱しているんです。それを一番いい選択で用語を決めていかなければいけないと思います。
これは日本語教育小委員会ワーキンググループで私なども繰り返し見ていながら,実は今日,気が付いたので,本当に恐縮なんですけれども,どうでしょうか。これは,取りあえずは,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の最初のページの一番下,「(5)」の部分で「活動方法」としておくのは少し危険かと思います。「活動方法」は,現状の資料の全体の体系からすると,配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の「タスク」(task)とか「エクササイズ」(exercise)を「活動方法」と呼んでいます。そこで例えば,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の「(5)」は「教室活動」とする,あるいは「学習方法」にして,それを基にして統一していくということかと思います。そこの部分について少し御検討いただけますでしょうか。
○西原主査
重要な御指摘でございます。これは,日本語教育小委員会ワーキンググループでまたもう一回じっくり見て,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の「3 具体的な日本語教育プログラムの作成」の「(5)活動方法について検討」の文言について特に検討するということでよろしいでしょうか。確かに,「活動方法」というのがここで転写されてくると,非常に分かりにくくなりますね。
○杉戸副主査
はい。あちらこちらで顔を出しますので。
○山田委員
そうすると,文言について,例えば,これは配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の6ページ,「3 具体的な日本語教育プログラムの作成[2]」のところで,そのページの一番下に二つ表があって,左の方が「学習時間を設定する際に考慮すべき要素について」で,右の方が「学習の状況と指導者・協力者について」ということで,これは対応しているはずなのですけれども,例えば左側の表の一番上の項目が「日本での生活経験」を「長い」,「短い」としていますが,右側の表では「日本での生活経験が少ない」になっています。左側の上から三つ目の「日本語学習経験」の欄では「多い」,「少ない」となっていて,右側の表は「日本での生活経験はあるが,日本語学習経験が少ない」となっています。「日本での生活経験」は「長い」か「短い」かであったのが,ここでは「あるが」になっています。それから,右側の表の一番下の左側ですけれども,「日本での生活経験もあり,生活経験も長い」というのは,これは「日本での生活経験が長い」でいいはずなのに,そういう文言が違う表現になっていると,何で違う表現をしたのだろうと思ってしまうのではないかと思うんです。
○西原主査
「日本での生活経験」が「長い」,「短い」をもう少し詳しくしたのが,右側の表になっているわけです。そうすると,この部分についての検討であるということが一つあることと,それから「長い」から「短い」へ並べていった方が分かりやすいだろうということでよろしいでしょうか。
○山田委員
それは,分かりやすいというより,左でそう言っているものを右でどうして違う言葉にしなければいけないんだという疑問が生じると思います。
○西原主査
そうすると,「長い」,「やや長い」,「短い」としてしまった方が,指導者・協力者選びのことを表現しやすいでしょうか。
○山田委員
ただ,これは例なので,「長い」,「短い」で,そんなものを厳密にしなくてもいいのではないかと思うんです。厳密にすると,余計混乱してしまうと思いますので。
○西原主査
ですから,学習者の状況と言うときに,「日本での生活経験」として,「長い」,「やや長い」,「短い」にしてしまえば,この一番上の行に対応するのだということがよりはっきりするということですよね。
○山田委員
そうですけれども,私だけかもしれないんですが…。
○西原主査
ごちゃごちゃ書かない方が分かりやすいだろうということですね。これは,協力者をどのように選んでいくか,または設定していくかということがこの考慮の対象なので,別に左側に学習者の状況をそんなに詳しく書かなくても,日本での生活経験に関してはこのようなことがあるので,こういう協力者が求められるというところの方がむしろフォーカスすべきことになるわけですね。
○西澤委員
それで中身の話で申し上げますと,その三つ目の「日本での生活経験もあり,生活経験も長い」ではなくて,下は「学習経験も長い」とか「学習時間も長い」とか,そういう場合のことを書いているように思われるんですが…。
○西原主査
これは間違いですね。分かりました。ここは少し工夫して,左の表から右の表に飛んでいるということをよりはっきりさせるということですね。
○山田委員
それから,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の3ページの下の方に四角が二つ並んでいて,それで右側の四角の「(2)学習者のニーズ・地域のリソースに基づいた教室の設置」というところに「[1]地域課題,域内の外国人の状況に対応した日本語教室の設置(場所,日時等)」とあって,「例1」と「例2」が出ていて,「例1:日系人就労者」,「例2:国際結婚女性」と書いてありますが,この配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」で後ろまで見ても,例1については触れているのだけれども,例2はどこに触れているのだろうかというのがあります。
○西原主査
これはAさん,BさんのBさんに当たるわけですが,そう書いてしまった方がいいということでしょうか。
○山田委員
だから,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」の3ページでは「例2」は要らないと思います。それから「例1」ではなくて,数字は入れずに「例:日系人就労者」としてしまって,「例2」の部分は取ってしまうので,どうでしょうか。その次の4ページ目以降のの「3 具体的な日本語教育プログラムの作成」の「[1]」と「[2]」で挙げている例は,この例を持ってきたのだなというのが分かると思うんです。
○西原主査
では,「例2」はむしろない方がより分かりやすいだろうということですね。
○杉戸副主査
以前のバージョンでは「例」という1文字だけで,「例1」,「例2」というのはありませんでした。
○西原主査
では,「例1」を取って,「例:日系人就労者」とします。それから「例2」を削除して,「日系人就労者であれば,こういうことを考える」としてしまった方が分かりやすいということでそのように致します。
○山田委員
そのようにしたら,分かりやすいと思います。もし,例2も入れるのであれば,例2に該当するようなものをどこかに作った方がいいかなと思います。
○西原主査
そうですね,また作らないといけないですね。分かりました。時間のことがありますので,それらの御指摘が更にありましたら,この場での御検討もさることながら,11月9日に次回,日本語教育小委員会ワーキンググループが開かれますので,それまでに御指摘いただければ,それについて今の御指摘を踏まえて作業を進めたいと思います。
○尾﨑委員
先ほどは話が途中で途切れたんですけれども,配布資料2「具体的な日本語教育プログラムの作成手順(案)」のプログラムを作るプロセスの中で,学習時間について検討するという項目がありますが,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の方ではその部分がまだ入っていないということなので,これはいずれ加わるという理解でよろしいですね。
○西原主査
そうです。それにつきましては,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の「〈具体的な日本語教育プログラム例〉」の上の方に何となく,どこで何曜日みたいなことが書いてあるのですが,そこの部分をもう少しきちんとさせることで検討したいと思います。
○尾﨑委員
開催時間と言うよりは,ここに盛り込まれた内容をどのくらいの時間を掛けてやるかというときに考慮すべき項目をそれぞれの例に入れ込まなければいけないということで大変だなということです。
○西原主査
分かりました。それについても考えます。
次は配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」についてでございます。これは,プログラム例の中では,例えば配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の最終ページの20ページ,21ページを見ていただくと,例えばCさんの場合は,20ページの真ん中の「初対面のあいさつをする」というところが取られて,21ページの「初対面のあいさつをする」という教室活動の展開例があり,その中で「サポート情報等」とブルーで上に書いてあるところに「教室活動の方法」として「ロールプレイ」というのが出ています。それが「標準的なカリキュラム案110ページ,ガイドブック(仮称)××ページ参照」となっていますが,その「ガイドブック(仮称)××ページ」に当たるところが配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の各ページで,これは配布資料3のあちこちに,その項目名を「活動方法」というまま残すかどうかということは別にして,実体験,ロールプレイ,プロジェクトワーク,ショウアンドテル,プレゼンテーション等々と書いてあるわけです。そのことを説明したものが配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」ということになっております。
配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の一部,一番上の最初のページに書かれている目次的なものの中の右端に「*」が付いているものは,既に参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」の中で例示しているもので,それ以外のものについてもここで取り上げているということになっております。
また,1ページ目のそれぞれの教室活動の方法の名称になぜ概要が付いているのかと言うと,日本語教育に実際にかかわっていらっしゃる方は,もうこれは業界用語として受け入れなければならないと覚悟を決めている片仮名語の羅列というのが問題になりました。国立国語研究所の元所長さんもいらっしゃるのですけれども,国立国語研究所等では何とか片仮名語を言い換えようというので言い換え案というのを提示してくださっているんですけれども,これを下手に言い換えると,かえって分からなくすることがあるのではないのかとなりました。とすれば,翻訳語を提示するよりも,「こういうことなのだ」と説明してしまった方が分かりやすいのではないかということで,翻訳ではなく概要というのが付いたということになっております。シミュレーション,プロジェクトワーク,インタビュー・アンケート,プレゼンテーション等というのは,こういうことをするのですということを目次のところで書いたということになっていて,それが次のページから1ページに一つずつ,このようなことです,こういう生活上の行為について取り上げるときにこのような活動ができますよということになっているものです。
これにつきましては,完成したということではなく,まだ空いているところもありますし,それからもう少し修正を加えた方がいいようなところもあるのですが,2ページ目の「1.実体験」で説明しますと,「1.生活上の行為の事例と能力記述」,「2.教室活動の展開(概要)」,「3.目的」,「4.準備」,「5.活動の流れ」,「6.留意事項」といったことについて書いています。このような展開をしていくということで御了承いただけますでしょうか。
○尾﨑委員
配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の表で「*」が付いているのですが,これは読む人にとってどういう情報価値があるのでしょうか。「*」が付いているものについて参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」をいちいち見なかったら,「*」を付けても意味がないですね。
何のために「*」を付けるかということですね。参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」で,もう作業を行ったということですが,手元になかったら,何だかよく分からない情報になってしまうということです。
○西原主査
「*」の意味が分かる人は限られているとすれば,かえって余計な情報かもしれないという御指摘はあるかもしれませんね。では,これは削除します。
○山田委員
でも,配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」は1例ずつ示しているけれども,参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」を見ればもう1例載っていますというので,「*」をこんなに仰々しく付けることはないけれども,何か「*」のあるものは「こちらの参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」のカリキュラム案にも載っています,何ページ参照です」と書いてあったらいいかなと思いました。
○尾﨑委員
参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」を引っくり返して見たら,「何だ,見ることはなかった」というものだったら,余計な手間だから。
○西原主査
では,それを最終的に削除するかどうかは検討させていただきます。
○杉戸副主査
一つ補足させていただくと,外来語を載せるかどうかということを議論したときに私が考えていたのは,配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の1ページのように,名称をほとんど片仮名語で載せる,そしてそれに概要説明を付けたものを出すということでした。その基本的な姿勢は,つまり先程西原主査が言及してくださった国立国語研究所がかつて行った外来語言い換え提案の基本姿勢と重なるのですが,その前提として,専門家同士は幾らでも外来語を使ってください,専門的に概念規定をしっかりした言葉をきちんと使い合って,その専門の世界のコミュニケーションを充実させてください,しかし専門家でない一般の人に言うときは気を付けてくださいという,それだけの話だったんです。
今回はどちらかというと専門の世界の資料を作ろうとしています。この標準的なカリキュラム案も,一義的な利用者は地域の中心的な日本語教育関係者,そしてその人たちが中心になって,現場の先生方,指導に当たる人たちが使えるようなプログラムを開発していくという,どちらかと言うと専門の世界への提示物です。そこでは外来語も専門語として必要ならきちんと流通した方がいいですし,それを前提にして示すことが大事です。しかし,今回のこれはどちらかと言うと,シミュレーションと言われると「おや」と思う人が最終的なユーザーであるということなので,概要説明を添える,あるいは冊子の方にも,先ほど話が出たものについてはより基本的な概念説明もしています。そういう中での片仮名語を残すという姿勢だということで理解して,私としては,配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」の1ページ目のような示し方がいいのではないかと思っています。ちょっと付け加えさせていただきました。
○西原主査
言語教育,特に日本語教育に今まで接したことのない人がこの目次を見ると,本当にびっくりするほどの片仮名語の羅列です。特に教室活動にタスクの導入というのが日本語教育に入ってきたときは,先進諸国の生活指導,コミュニケーション指導の方法が先に走っているものを借りてきました。そのときに用語もそのまま借りたといったことがあって,こういうことになっているので,業界としては,IT業界と同じで,「アクセス」(access)というのをこれから日本語にしてみてどうなるということになっているというのが現状だと認識して,このようなことにしているわけです。
これは今子細を御検討いただくという時間はないかもしれないんですけれども,この表の左側の「1」から「6」で示している項目について記述を行っていくということでよろしいでしょうか。
例えば,実体験,施設見学などと,それからタスクとエクササイズはこのように違うわけですけれども,特にタスクのようなときに,これは媒介言語が全部日本語というわけでないことが多々あると思います。そのようなことは,つまり,協力者というところに学習者の母語ができる人といった条件を付けなければならないことがたくさんあると思います。つまり,これだけのことをやるのに全部日本語でということにはならない場合があるわけです。そのようなことをこの協力者辺りのところで書くのでよろしいでしょうか。地域の協力者というときに,同国出身で生活経験が長く,日本語もできる人の協力を得るとかということがそこここに出てくるわけですけれども,これらの活動についてはそのようなことが必要になることが随分あると思うんです。つまり,何をするのか全然分からない。昨日,成田に着きましたみたいな人に,「日本語でこうするのだ」とかと言っても,特にタスクについては分からないだろうといったことはあると思います。だから,その表の1〜6の中に媒介言語とかという項目を改めて設けなくてよろしいかということについて御指摘いただければ,日本語教育小委員会ワーキンググループとしましては,それに従ってこの作業を続けるということになるわけです。そのように,この表だけでは不十分だといったことがあれば,御指摘いただきたいと思うのですけれども,よろしいでしょうか。
○佐藤委員
まず,これが何のために使われるのかというところとかかわってきます。つまり,それが一つの活動を見るための例であれば,多分要らないのかもしれませんし,例えば,これを使って具体的に行動に移すということであれば,必要になってくるのだろうと思いますし,逆に言うと,活動の流れなどを見ると,到底1時間では追えないような感じになっています。ただ,これは具体的なイメージという,つまり,「シミュレーション」というものは例えばどういうものであって,このような生活上の行為の中でこのような活動を組み立てていけば,シミュレーションというものがうまくいきますよということを示すものですよね。
○西原主査
ですが,留意事項が付いているので,「例えばこれは2〜3回掛かります。」とか,「1回では無理です。」みたいなことは留意事項に書き加えるべきことだと思います。そういう留意事項のところにそういうものは書いていくということでよろしいでしょうか。
○佐藤委員
でしたら,先ほど主査がおっしゃった媒介語の話とか,留意事項を,例えば学校教育でもこういうものを示す活動の流れをすると,基本的には,要するに単元ですから,何時間扱いで,「本時はこの部分のどこです」というものを示すのが極めて一般的ですから…。
○西原主査
分かりました。そうすると,これは前後3回ぐらい掛かりますといったことを書いた上で,それを活動の流れのところで,例えば1日目,2日目,3日目とか……。
○佐藤委員
そこまで必要であれば,それは恐らく加える必要があるんでしょうけれども,そのもともとの目的がプレゼンテーションであるとか,つまりタスクとエクササイズというものは具体的にどういうものであって,授業の中にどう応用するのだという手引であれば,そこまで……。
○西原主査
それがまず第一の目的です。
○佐藤委員
そうですよね。
○西原主査
ただ,それを使ってくださいとここで言っているので,配布資料3「具体的な日本語教育プログラム例(案)」の中で,「これらを使うのです」と言っているので,これらを使うときの留意事項というのはここに書いてあった方がよいのではないかと考えています。
○佐藤委員
では,それは是非検討していただければと思います。
○西原主査
分かりました。
ということで,よろしゅうございますでしょうか。さらにまた日本語教育小委員会ワーキンググループが働いた後で御指摘いただくことがあろうかと思いますけれども,ではそれはよろしくお願いいたします。
ここまで配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」まで駆け足で御検討いただいたのですけれども,本日は配布資料5「能力評価に関するヒアリングについて(案)」及び配布資料6「教材例のコンセプトについて」についても御検討いただきたいと思っております。
それと,配布資料5「能力評価に関するヒアリングについて」のヒアリング候補先(案)は,まだ本日,御承認いただいたところで交渉と言うか,お願いをするということになっているということでございます。当事者の方で委員の方もおいでになるのですけれども,まだ正式に交渉はしていないということですが,これらの候補先をお願いするということはよろしゅうございますでしょうか。
(→了承)
そして,今度はヒアリングシート案なのですけれども,配布資料5「能力評価に関するヒアリングについて(案)」の2ページ目にあるような内容についてお話しいただくということです。別途資料を御用意いただくということはそれでよろしいのですけれども,このようなことは最低伺いたいということでよろしいでしょうか。
ただ,この前に,それぞれの団体で「能力評価」と言った場合に,実際に測定の目的ではなく,評価というものをどのように考えていらっしゃるかということもあった方がいいかもしれないですね。つまり,各団体で評価ということをどう考えていらっしゃるかが違うかもしれません。例えば,国際交流基金の「JF日本語教育スタンダード」だと,評価を実際に行うというよりは,評価とは何なのかということを随分書いていらっしゃいますよね。恐らく中国帰国者定着促進センターとか難民事業本部RHQ支援センターなどは,もう学習者が目の前にいるところで評価というのは何かということが実際に話題になっているので…。
○西澤委員
どういうことを知りたいのかを具体的に示していただかないと,スタンダードで考えている評価の枠組みだけをここで御説明しても,恐らく何の役にも立たたないのではないかと思います。どういう目的でどういう資料を作るか,あるいはどういうことを導き出したいので,そういうことについてスタンダードとの関係で考えていること,やろうとしていること,あるいはできているもの,それについて説明してほしいと。そういう形で具体的にしないと,なかなか何を説明したらいいのかというのが…。
○西原主査
分かりにくいですね。
○西澤委員
測定についても,だれを対象にしてどういう測定を考えているのかということを言っていただかないと…。
○西原主査
この「生活者としての外国人」に対する標準的なカリキュラム案に関する評価というのは,私の理解では,このカリキュラム案に基づいた具体的な日本語教育プログラムを実施した後に,その達成度と言うか,学習者の達成度をどうやって測るのかということです。今,既に生活者として,例えば中国帰国者あるいは難民の経験者,難民として既に住んでいる人といったところがあります。とよた日本語学習支援システムの関係者についても,今もう評価をしていらっしゃるというところでその内容を聞くということになりますね。とよた日本語学習支援システムの場合は,少しスタンダードに近い考え方をしていらっしゃって,AからCまでのランクを作っていらっしゃいますね。そうすると,AからCまでをどのように作ったのかというところをまずお話しになりたいでしょうし,国際交流基金もそういうことになります。
そうすると,この表を埋めかねるというか,そういう場合が2回目以降にはあるでしょうし,3回目の場合は,海外でのことを御説明いただくので,そのシステム,例えばオランダを取り上げた場合には,「オランダでは…」といったことをまず言っていただかないと,お話もしにくいでしょうし,こちらも分かりにくいということになります。それぞれのお立場というものをはっきりさせた上で「評価」ということをお考えいただくのでしょうが,こちらが知りたいのは,カリキュラム案に基づいた日本語教育プログラムを行った後の学習者評価をどうするかということです。プログラム評価とか,それから,例えばCEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ共通参照枠)あるいはスタンダードに基づいた能力別ランク分けのようなことまで考えるのかどうかということについては,実はまだオープンなわけです。どうするかということは全く白紙状況で,これから検討に入るというところなので,このヒアリングシートは飽くまでも御参考というか,そういうことにしないと,お話ししにくいかもしれないですね。
例えば,有識者の2名の方々は恐らく,制度としてどうあるかということをまずお話しになった上で,ある学習者については例えばこういうことが起こるんですといったことが説明されるという順序になろうかと思うんです。
○加藤委員
おいでくださる方には,今までここで協議と言うか,審議を行っている内容や,もちろん方向性とか,そういうことは事前に全部説明した上で来ていただくわけですよね。全部理解というのは無理だとしても…。
○西原主査
このプロセスを全部御説明して,それを踏まえていただくのは少し無理かもしれないですね。この日本語教育小委員会が何をしようとしているかということを御説明させていただいた上で,お話しいただきたいということになると思います。
○加藤委員
そうですね。純粋に聞きたいと思うのは,来る方たちはそれぞれが御自分のところで評価をきちんとされている方たちですので,その上で今ここでしようとしていることに対して,アドバイスと言うか,こういう点は注意して作った方がいいですよといったところが聞けるといいかなと思います。
○西原主査
そうですね。具体的に評価が進むということについて,何をどのようにというアドバイスもあれば,それから制度としてこういうことが走った場合に何がなされなければならないかということも知りたいことの一つですね。そういう意味でのスタンダードであったり,CEFRであったり,そういうことは大きい枠組みで伺いたいということになるんじゃないかと思いますけれども,そこもまだオープンですよね,我々は。
○加藤委員
オープンなので,なおさらのこと,何でもおっしゃってくださいという形で言っていただきたいと思います。
○西原主査
はい。ただ,私たちとしては,こういうところにたどり着きたいのですということは言った方がいいですね。
○加藤委員
はい,そのことを全員に言った方がいいと思います。来る方は非常に漠然としてしまいますので…。
○西原主査
では,そのようなことでお願いをし,恐らくこのような日程で行うだろうけれども,お願いする先によっては,この日ではなくてこの日にしてとかと言われるかもしれないし,それからそういうことはできないとおっしゃる団体もあるのかもしれないし,それはもう事務局にお任せするということにしたいと思います。
それから次は教材例についてですが,御存じのように,教材例も今年度から走らなければいけません。そもそも教材というものをどういうものと考えるかといったことについて,実は日本語教育小委員会委員会でもこのことについては何度か御提示申し上げていますし,日本語教育小委員会ワーキンググループでも話し合っていることですけれども,それを示したものが配布資料6「教材例のコンセプトについて」でございます。
それで,今本当に大きなところの話合いしかできていないというか,そこも始まったばかりということですけれども,その大きなところで何か御意見,御指摘,このように考えた方がいいということがありますでしょうか。
まず,事務局から出たことについて,「学習者一人一人に渡るものでない」というのは,それでよろしいでしょうか。
○岩見委員
私どもは,昔と言いますか,2001年に「リソース型生活日本語」という教材素材を作って,地域には多様性があるから,支援者向けに素材を提供して,教材は各地域で作ってもらおうという発想の下にやりました。その後,もう大分たちましたけれども,その中で経験のある専門家の人が加わって何か所かで生活者のための教材ができました。教材ができた地域はそれでいいと思うんですけれども,なかなか全国の各地域で教材化するという体制そのものが整っていない状況ですので,それが果たして有効に働くのかどうかという一抹の心配があります。ですから,多様性はあるのですけれども,それは変更も可能ですけれども,少し普遍的な部分で教材例を作成することが必要ではないかと思います。対象となるのが「生活者」ですから,ある程度基盤や共通事項があるわけです。それをもって学習者が使えるものを作っていかないと広く各地域で教材をつくることは難しいと思います。そもそも学習者の能力を向上させることが最終的なねらいだと思うんです。何かそのような気が致します。
○西原主査
国際交流基金でもリソース型のものを出していらっしゃいますね。「みんなの教材サイト」というものを計画して。私も,国際交流基金の「みんなの教材サイト」で,こんなものを作りましたというのを海外の方に見せていただいたことがあるのですけれども,それはプロの先生が素材を自分の学生に向けて加工してプリントアウトしてやっているというものです。それから,外国で出回っているもので,ドイツでしたけれども,バインダーになっていて,学習者も取り外して使えるようなものになっているというものを見たことがあります。今,岩見委員がおっしゃった,学習者に渡った方がいいのではないかということについては,どうでしょうか。外国人登録をした人は今200万人いるんですけれども,外国人登録をした人で ポテンシャル(potential)な学習者は,もちろん赤ちゃんから老人までいるので…。
○尾﨑委員
どのくらいの規模のものでしょうか。紙ですと,ページ数とかがありますが…。教材例と考えれば,地域で実際に教室でいろいろな活動をする,例えば,具体的にさっき出ていましたよね,資料の中に。例えば実体験をするというときには,それをするためにはこういう活動ですよという手順が出ていましたよね。実際にそれをやるとしたら,こんなものを使うといいですよといったものがくっ付いていれば,あとはもう自分たちで考えてもらわないといけないのではないでしょうか。
○西原主査
ということは,配布資料6「教材例のコンセプトについて」の「2 作成に当たっての検討事項」の「(2)各ページの構成・内容について」の「○各ページに盛り込む項目の例」ということがあるものということでしょうか。つまり,場面に関するイラスト・写真,それからその場面に出てくる語彙(ごい) に関するイラスト・写真,これはそれぞれの国の言葉の訳になっているかどうかということはあるかもしれないですね。それから,やり取りの例とか,タスクとか,そのようなものが載っているページということですね。
○尾﨑委員
実は,ここに書いてあるものは,今お話を聞いていて思ったんですけれども,イラストや写真があって,加工して使えるようにというリソースと言うと際限なくあります。逆に公益社団法人国際日本語普及協会でもそういうもののサイトを持っていらっしゃって,国際交流基金も持っていらっしゃいます。また,新たにそれを作るとして,どこまでやるのかなということがあります。しかも,それが紙媒体ということになってしまうと,教材例と書いてあるコンセプトというのが,ここにあるのがだんだん分からなくなってきたんですけれども…。
○西原主査
例えば,「健康・安全」という単元があったとして,それで出てくるイラストや写真とは何だろうかと言うと,まずインスティテューション(institution)と言うか,病院や保健所や相談窓口などが写真になって,お医者さんが出てきて,聴診器をあなたに向けているみたいなところも可能性があるし,病院のベッドというのもそうだし,そのようなことを考えていくと,それも際限なくたくさんになります。そういうのは要らないとおっしゃっているんでしょうか。
○尾﨑委員
ですから,教材例というのは,もうそれはやめたらいいんじゃないかと思います。教材例と言うのなら,実際にこのシートを使って,例えば先ほど出ていましたが―配布資料4「教室活動の方法の例の具体的内容(案)」になるんでしょうか―何か具体的なものに入れた方が分かりいいんじゃないでしょうか。例えば,タスクで実体験というのをやろうと思うと,実はコースシート(course sheet)の読解,交通事情の理解,道を尋ねる会話練習,実体験の実施,フィードバック(feedback)という一連の流れで,これを実際にやろうと思ったら,こういう教材を作らないとだめですよというものです。そのようなものをどう使うかということがまた次に出てきます。ですから,せっかくこういうものがあるのなら,これにくっ付いているものが教材例であれば,何かイメージしやすいと思います。
○西原主査
この中には,イラスト・写真だけでなくて,いわゆるレアリア(realia),実物というのも必要になります。そういうのは実物の写真でしかあり得なくなるんですけれども,このようなカリキュラムが与えられて,委員の皆様方が地域の支援者というか教員になったとすれば,どんなものを手にしたらこのカリキュラムはこなせるものでしょうか。今,尾﨑委員は,その学習者にページ,ページで示すものというよりは,こういう流れでやりなさいというのが教材例というのでどうかということですね。
○尾﨑委員
「やりなさい」かどうか分かりませんけれども,このように出してしまったのなら,これをやるためにはこういうものがあったらいいといったものが並んでいると,もうちょっとこれが具体的にイメージできると思いました。今度は違う何かをやろうと思ったときにも,考えやすいかなと思います。リソースとして絵があって写真があってと言われても,それをどうやって持ってくるということは,先ほど岩見委員がおっしゃったこととつながると思います。違いますでしょうか。
○岩見委員
私は,参考資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について」にもここにも全30単位というのがありますよね。ですから,一つは,少なくとも30単位のどれかを選ぶことになるんでしょうけれども,理想的には,すべて載っていて,教材に使えるようなものがあって,あと個々に各教室で足していただく。もちろん個別に作らなければならない教材類はどの教室でもありますけれども,参考になる教材例というものがあって,あと細かい活動方法とか,それをそこにどう加えていくか,そこはまたもう一つ付けるのかどうするか。ここはコーディネーターの方を中心に考えていただきましょうとするのか。それは決め事だと思うんですけれども,少なくとも教室で絵とか写真とか語彙,表現などがあれば,展開の助けには非常になりますよね。日本語がゼロの学習者にとっても,そうではありませんか。
○西原主査
生活上の課題ということを考えても,それはどうしていいか全然分からないしという段階で学習者がやってくるわけです。
○岩見委員
生活上のインフォメーションも必要になりますね。
○西原主査
インフォメーションと言うか,場面情報というのは必要なことですね。
○岩見委員
翻訳は欲しいですね。
○西原主査
翻訳。語彙については,ピクチャーディクショナリー(picture dictionary)というのがありますね。絵とか写真があって,それに日本語が付いていて,それに何か分からないけれども,バージョン(version)によってポルトガル語や中国語や韓国語(かんこくご) などが添えてある,そういうものがあって,やり取りが載っていてとなると,配布資料6「教材例のコンセプトについて」の「2 作成に当たっての検討事項」の「(2)各ページの構成・内容について」というのがここで踏襲されるんですけれども…。
○岩見委員
掲載するものが多くなると,配布資料6「教材例のコンセプトについて」で取り上げたものと同じになってきます。
○加藤委員
核の部分に絞った方がいいかなと思って,つまり,ディクショナリー(dictionary)とか,それから先ほど尾﨑委員がおっしゃった教室活動の例といったものは,それはそれとして,この「生活者としての外国人」のためのものということでなくても,それは同じように必要なことですよね。標準的なカリキュラム案で特化している,「生活者としての外国人」に必要と思われる30時間というのが出ていて,それらを展開するときにどうしたらいいかというものが示されるというのはないのでしょうか。
○西原主査
そうすると,全体で30課と考えるとすると,1課が何時間掛かるかということは別にして,1課を例えば第1から第30までやるときに,これらのものが,例えば各課について,こういう場面ですというページと,こういう語彙ですということと,こういう活動ですということが付いてきて,1から30までが各6ページになっているとか,全く当てずっぽうですけれども…。
○加藤委員
例と言えば例なんですね。その場所によってまた展開も変わるでしょうが,向けている方向は,学習者一人一人はさらにその下に付いていて,要はその教室運営をする人が,例えば病院でどうするかということがあてがわれても,それをどうしましょうかというところが大きいと思います。教室運営例とか授業の例として全部あるので…。
○西原主査
そうすると,各ページというのは,1冊にまとまってくると思うんですけれども,例えばそれから必要な分だけをコピーして授業に使えるようなイメージでしょうか。
○加藤委員
そうですね。最低それでやったら,70点くらいの授業ができるかなというものを示すということですね。ですが,もちろん100点以上を目指したいので,それをやっていく中で,あとはコーディネーターがどう引っ張っていくかということになるんですけれども,そこで60点,50点,40点の授業があっても困るわけで,何かそのような最低限のもの,マニュアルと言うとまた言葉があれですけれども,そういうものが必要ではないでしょうか。それと,何と言っても,コーディネーターをどう育てていくかと言うか,そういった研修は必ずセットで,これをどう活用していくかということをきちんと伝えていくということが必要だと思います。
○西原主査
前回,佐藤委員が小学校3年生社会「わたしたちのまち」というものは,どこにもないようなまちの例が出ていて,各担当の先生方がそこから自分のまち学習というものに展開していくということでした。その抽象的な「わたしたちのまち」というのは,ありそうで,ないというものが単元として示されるとなると,その類推で言えば,私たちが示すのは,ありそうでない生活上行為の達成ということになるんでしょうか。ありそうで,ないというか,なさそうであるなのか,それがどちらになるかは分かりませんが…。
○山田委員
あってもいいんじゃないですか。実際に,今作ったこういうマニュアルで言うと,この現実はこういうものですというものが描かれて,それでその人に対するそれこそ教材というのはこれですというものがあってもいいと思います。
○西原主査
教材をお作りになったばかりの中野委員はいかがですか。
○中野委員
今私は,教材を提供するというときに,3種類ぐらいあるかなと思っています。教材そのものを提供するか,あるいは教材の使い方を含めて提示するか,あるいは教材の入手方法を教えるかということがあるような気がします。教材そのものずばりということではなく,ここを見ると,素材と,あとキーワード,タスク,トピックというのは,これは一覧表みたいなものでしょうか。
○西原主査
一覧表かどうかはちょっと分からないです。
○中野委員
何を意味するか,ちょっと理解ができていないんですけれども,いずれにしても,教材そのものを提供するとなったら限界があります。今,標準的なカリキュラム案の活用例,このカリキュラム案の活用例は既にあるわけです。そこに身体図とか,写真,広告,どうのこうのとか,そういうものをこれに付ける,あるいはこちらでもいいんですけれども,それしか方法としては考えにくいなと思ったのと,それから教材の使い方という意味では,例えば写真とかイラストというのはあるわけですけれども,それをどのように活動の中に組み込んで,アクティブな生活行為ができるように持っていくかということになります。これはむしろ活動例の中に入るのかなという感じがしました。
もう一つは,今実は国際文化フォーラムで同じようなことをやって,素材をどのように提供しようかと考えているんですけれども,私たちは写真そのものを提供する方針はやめて,むしろ世界中にただで入手できるサイトがたくさんありますので,それを先生方に教えて,その使い方をサポートすることにしました。つまり,何万と写真があるんです。ただ,残念ながら日本の写真のいいサイトが余りないというのがネックではあるのですけれども…。それにしてもいろいろとあることはあります。標準的なカリキュラム案の後ろにも何か情報を提示しましたよね。結局,素材そのものを提供しようとしても際限ないので,目標は一部しか達成できないというのは目に見えているわけです。ですから,例えば案内図だったら,こういうサイトへ行くとあるとか,要するにレアリアの探し方を示すわけです。市役所のマップだったら,こういうところに行ってマップをダウンロードすればできるとか,体の部位だったら,こういうサイトへ行けば身体図があるとか,その入手方法を示すんです。あるいはもっと言うと,ITの操作能力になるのかもしれないんですけれども,ネットをどう使って,地図などはグーグルへ入っていけばいっぱいあるわけです。そのスキルを身に付けるしか,結局全部に対応しようとしたときには無理なんだなということをすごく思いました。ですから,方針としてどうするかということになります。
○西原主査
ただ,その場合には,そういうものを使いこなしたときのある日の実現形はこれですというのは示してあげないといけないですよね。
○中野委員
それはもう限定した活動例ということになります。ここに提示したものに既に素材がたくさん出てくるので,こういうものを付けて,しかもこの素材はこういうところから入手できるというものを付けて,限定して提供するしかないのかということになります。バンクを作るというのは恐らくできないと思うんです。
○西原主査
そのことと,それから私が仄聞(そくぶん) した内容に基づいて推測してしまっているのかもしれないんですけれども,文部科学省的な教科書のコンセプトというのがありますよね。それと今おっしゃったようなこととのギャップというのをどうやって埋めていくのかということは問題として残るんじゃないかと思うんですけれども,事務局としてはどうなんでしょうか。私が心配しておりますのは,文部科学省では,おそらく文化庁国語課が教科書を作るだろうと思っている節があるように聞こえてきます。
○中野委員
その場合にはもう,厳選した指標と,その指標を実現させる活動例を提示し,そこに使 う素材を付けるかちょっと物理的に難しいのではないかと思います。
○西原主査
紙媒体で何かが出ていくというときに,例えば国語課が許される,妥協できる範囲というのはどれぐらいでしょうか。つまり,教科書というのは学習者に渡るというコンセプトですよね。一人一人無償配布されているので。そういうものではないものが文化庁国語課で作られるというのは,文部科学省的に言うと,とても困ったことにならないかなという心配を繰り返ししているんですが,それはどうなんでしょうか。尾﨑委員,どうでしょうか。
○尾﨑委員
そう言われても,教科書と言えば,学習者が持っていて,うちで予習・復習に使うだけの価値のあるものですよね。
○西原主査
または,持って行って,持って帰ってくるものですね。
○尾﨑委員
それを作るのだったら文科省はお金を出すと言うのなら,割り切った言い方をしてしまえば,ここで考えられる範囲でそれらしいものを作って,それはそれでいいなというのができたらいいんじゃないでしょうか。そうすると,例えば標準的なカリキュラム案でしたら,「最低これぐらいは…」というのが30単位で,項目がこれだけあるわけですから,これを全部やると膨大な量になって,扱い切れなくなるので,この中から精選して幾つかのトピックで作成するのではないでしょうか。そして,それを地域でそのままおやりになるのだったら,こういう教材があって,さらにこれで全部はカバーできていないから,それ以外のことをやろうと思ったら,このような教材を参考にしてお作りください,そのときのリソースとしてはこういうところにサイトがあってといった手引がくっ付いているというのなら,まあいいかなという気がします。でも,どうなんでしょうか。使うかどうかは分かりませんね。
○西原主査
学習者は何かもらえるとうれしいですよね。これをやるんだと思えるというのは,少なくとも動機付けになりますよね。その都度教材を配りますと言われると,すごく不安になるような気がするんですが,どんなものなんでしょうか。
○尾﨑委員
その話をすると,これは全部ぶち壊しですよね。個々のニーズを踏まえて,地域の状況に応じて日本語教育プログラムを作成するということと,それと教科書というのをどのように頭の中でつじつまを合わせていくのでしょうか。
○西原主査
それがとても心配されることです。教材例を作ると言ってしまったということで,何かが期待されているということは確かなので,その期待されているものに一番近い形を提供するというのがいいわけですよね。
○尾﨑委員
その場合の教材例というのは,学習者に提示するものではなくて,地域でかかわっている方たちが教材を開発するときの手掛かりになる具体物と情報のリソースで,それが蓄積されていくということがすごく大事だということが,了解されていたんです。
○西原主査
そうです。例えば国際交流基金も今はすごくデータベースが増えているけれども,それは世界中で使ってみたものが,フィードバックされてくるからです。そこでデータベースが豊かになって,引き出そうとする人は,これをまねしてみようかと言えるということです。
○佐藤委員
2番の例で,実は学校でも非常に問題になっていて,これでいくと,非常に教材がいろいろ難しいんですが,一言だけ言います。内容の理解を促すための教材と,ここでは恐らく能力,行動なんですね。
○西原主査
とにかく日本語ができてこなくては困るんです。
○佐藤委員
その活動を促すための支援をするための素材というのが,例えば「総合的な学習の時間」などで,内容そのものを提示するというよりは,活動そのものを促すための支援をするための素材が必要なんじゃないかという議論があります。そうすると,内容だと,内容に沿って全部作らなくてはいけないです。しかしながら,活動であれば,その活動を促すためにどういうものが,例えば子供たちが何か調べるものが分からなかったら,その調べることの素材のものを提供していけばいいということになります。そうすると,その調べる内容ではなくて,調べる方法とか,そういう活動を促していくための素材,教材,学習材と呼ぶようなことが多いんですけれども,そういうものを実は作る必要があるんじゃないかという議論が一方であります。
○西原主査
来年度から始まる英語も,配られるのは英語ノートですよね。
○佐藤委員
ですから,そういう意味で言えば,内容に即して全部作るというよりは,その重要な活動というものを促す,あるいは行動ができるために何か必要なものを提案していくということが恐らくあるのかなと思います。ただ,今ちょっと議論を聞いていて,非常に難しいですね。
○西原主査
今年度中に何とか踏み切って,来年の半ばには形にしなくてはいけないものですから,理想論と,求められているものと,できる範囲の予算とか陣容とかというのを総合的に考えて,早急に手を打っていかないと始められないというものです。この議論は今日終わらないといけないものではないとは言うものの,ずっと続けられないということで,どうぞよろしくお願いいたします。
では,15分超過してしまいましたが終わりとします。ありがとうございました。
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