議事録

第41回国語分科会日本語教育小委員会・議事録

平成23年11月29日(火)
14:00 〜 16:00
旧文部省庁舎2階 第一会議室

〔出席者〕

(委員)
西原主査,杉戸副主査,伊東,岩見,尾﨑,加藤,金田,小山,佐藤,嶋田,中野,西澤,春原,山田各委員(計14名)
(文部科学省・文化庁)
舟橋国語課長,山下日本語教育専門職ほか関係官

〔配布資料〕

  1. 1第40回国語分科会日本語教育小委員会・議事録(案)
  2. 2教材例集について(案)
  3. 3「生活者としての外国人」に対する日本語教育の能力評価について(報告書の全体構成のたたき台)
  4. 4能力評価に関する基本的な考え方の論点整理
  5. 5能力記述について
  6. 6ロールプレイタスク例
  7. 7能力評価に関する検討の具体的な成果物について(たたき台)
  8. 8国語に関する調査研究等の業務を担う組織と当該業務の在り方について(報告書案)
  9. 9-1国立国語研究所における国語に関する調査研究等の実施状況について(移管前後の比較)
  10. 9-2国立国語研究所における日本語教育に関する調査研究等の実施状況について(移管前後の比較)
  11. 10-1国語に関する政策課題に対応する調査研究等の実施状況について
  12. 10-2日本語教育に関する政策課題に対応する調査研究等の実施状況について
  13. 11国語・日本語教育に関する調査研究等の推進体制
  14. 12文化審議会国語分科会国語研究等小委員会の審議状況

〔参考資料〕

  1. 文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の成果物に関するアンケート
  2. 能力評価の成果物(ポートフォリオ)のたたき台について
    (第40回日本語教育小委員会配布資料の抜粋)
  3. 日本語教育小委員会における検討内容とそのスケジュール

〔机上配布資料〕

  1. 国語分科会日本語教育小委員会における審議について―今後検討すべき日本語教育の課題―
  2. 国語分科会日本語教育小委員会における審議について―日本語教育の充実に向けた体制整備と「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容等の検討―
  3. 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について
  4. 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案活用のためのガイドブック
  5. 能力評価に関するヒアリングの取りまとめ

〔経過概要〕

  1. 事務局から配布資料の確認があった。
  2. 前回の議事録(案)が確認された。
  3. 事務局から配布資料2「教材例集について(案)」について説明があり,教材例集の趣旨や位置付け等の説明文について意見交換を行った。
  4. 事務局から配布資料3「能力評価に関する基本的な考え方の論点整理」,配布資料4「能力評価に関する検討の成果物について(たたき台)」,配布資料5「能力記述について」,配布資料6「ロールプレイタスク例」,配布資料7「能力評価に関する検討の具体的な成果物について(たたき台)」について説明があり,能力評価について意見交換を行った。
  5. 事務局から配布資料8「国語に関する調査研究等の業務を担う組織と当該業務の在り方について(報告書案)」,配布資料9−1「国立国語研究所における国語に関する調査研究等の実施状況について(移管前後の比較)」,配布資料9−2「国立国語研究所における日本語教育に関する調査研究等の実施状況について(移管前後に比較)」,配布資料10−1「国語に関する政策課題に対応する調査研究等の実施状況について」,配布資料10−2「日本語教育に関する政策課題に対応する調査研究等の実施状況について」,配布資料11「国語・日本語教育に関する調査研究等の推進体制」,配布資料12「文化審議会国語分科会国語研究等小委員会の審議状況」について説明があった。
  6. 次回の日本語教育小委員会は12月13日(火)10:00から12:00まで文化庁特別会議室で行うことが確認された。
  7. 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
○西原主査
通算41回,今期の第5回の日本語教育小委員会を開会いたします。前回の日本語教育小委員会がもう2か月前になってしまったのですが,先回も本日と同じく,教材例及び能力評価についていろいろ御意見をいただいたところでございます。
前回の第40回日本語教育小委員会の後についてですが,まず10月6日に日本語教育小委員会ワーキンググループを行いました。その後,日本語教育小委員会ワーキンググループでの検討内容を受け,10月12日にも教材例集について日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者打合せを行い,それから11月1日に能力評価についての日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者打合せを行いました。そして,11月8日に再度,教材例集について日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者打合せを行い,11月17日には能力評価についての日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者打合せを行っています。本日も御出席いただいている日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の皆様方には,この間,本当にお忙しいところを精力的にいろいろと御検討いただき,作業も続けていただいています。その後,11月22日に,その日本語教育小委員会ワーキンググループを行って,本日に至っております。
教材例集につきましては,配布資料2「教材例集について(案)」に,後で御説明いただくものが載っていますけれども,一応,イラスト等の打ち合わせを含めて,一通り,教材例集が揃ったということでございます。全体のタイトル,レイアウト,それからイラスト等をこれから挿入するということが残っているという段階でございます。
能力評価につきましては,前回,日本語教育小委員会でいただいた御意見のほか,日本語教育小委員会ワーキンググループの委員それから協力者も含めて,これまでいただいた御意見をもとに,具体的に作業を進めているということでございます。
配布資料2「教材例集について(案)」につきましても,配布資料2「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の能力評価について(報告書の全体構成のたたき台)」につきましても,後で説明をした上で御意見をいただきたいと思いますけれども,教材例集につきましては,細部を除いて一応形ができたという段階に来ております。一方,能力評価につきましては,まだ論点整理で取り上げられたことをさらに整理しているということでございますし,成果物につきましても,いろいろ議論があって今の形が整いつつあるということでございますので,忌憚のない御意見を更に頂きたいと思います。
それでは,今御説明いただきました配布資料2「教材例集について(案)」につきまして,何か特段の御意見がありますでしょうか。これだけのボリュームになっておりますので,これ以上何かを付け加えるというようなことは,なかなか,締め切りが迫っている段階でしにくいと思いますけれども,更にもっとよくするために何かお気付きのことがありましたら,どんな小さいことでも結構ですので,出していただければと思います。
○小山委員
実は私,本日の配布資料2「教材例集について(案)」の前のバージョンなんですけれども,私どものすぐ近くで,実際にボランティアでやってる方たちにお見せして,意見などをお聞きしました。そこで気が付いたことは,ボランティアの人たちは現場でいつも,「何かいい教材がないか」ということで,たくさん教材を探したりしているということがあります。そこで,教材例集を見るとシートがたくさんあり,探していくと,ぴったりとは言わないまでも,自分たちが相手にしている学習者に使えそうなものがあるんじゃないかという期待を持って見始めるということがあります。
ただ,たまたまということもあるのでしょうが,実際どうも,ボランティアで日本語を教えていらっしゃる方は,本当の初歩と言うか,日本に来たばかりの方を対象にするようなことが多いらしいです。そうすると,「これはそのままでは使えないんじゃないか」ということになります。それで,ほかの部分も全部見ていくと,「全然使えないんじゃないか」と言って,これはお蔵入りみたいな感じになっちゃうんですね。そこで「いや,少し待ってください。これはそういう趣旨じゃないんです。それは「1.はじめに」ということに書いてあるんです」となるわけです。今回見せていただいた配布資料2「教材例集について(案)」では,4ページに大きな図も入れていただいて,ぱっと見の誤解というのは大分少なくなったとは思うんですが,やはり現場でやっている人は,お手軽と言うかそういったものを期待してしまうということがあるものですから,この教材例集のせっかくの考え方を誤解して,活用されないということがあるのではないかと少し思いました。
今も工夫されているわけですけれども,是非,私としては「1.はじめに」と言うか,もう少し大きく,「活用について」という項目を立てて,本編の一部みたいな感じで扱って,ぱっと見て,そういった誤解がないようにしていただくと,誤ってお蔵入りするようなことがないのではないかという印象を持ちました。もう既に工夫されているんですけれども,そういった工夫をしていただけるといいかなと思います。
○西原主査
はい。それは,本当によい御指摘をいただいていると思います。この日本語教育小委員会だけでなく,過去,いろいろなところから日本語教育の様々な側面について多数試みがあったにも関わらず,少し見ただけで,「ああ,だめ」となり,使われないというのが結構あるパターンになってしまうんですね。少し見て,最初でつまずかない工夫というのは,おっしゃっていただいたようにとても大切なことだと思うのですけれども,どうしたらよいでしょうか。いつもいつもJSLのことを言ってしまい,佐藤先生には申し訳ないのですが,どうしたらいいんでしょうか。
○佐藤委員
JSLもぱっと見が悪くて,なかなか使っていただけなかったと言うんですが,ただ,簡単なパンフレットを作ったんですけれども,それでもなかなか難しいです。やはり,これも恐らく,何かを付けてもなかなか難しいかなと思います。とすると,やはり,今,小山委員がおっしゃったような,それを介在する人がとても大事だろうと思います。
○西原主査
そうですよね。
○佐藤委員
そこがないと,いくらこれをこう活用してくださいと言っても,その活用そのものを見られないということがあると思います。つまり,JSLも,それを介在させるキーパーソンみたいなものが少し足らなかったんじゃないかなと思います。
○西原主査
まあ,だって,全国2万校,小学校があったりするわけですもんね
○佐藤委員
はい。ですから,指導主事の先生とかに働きかけるようにしないと難しいかなと思います。それが一つと,もう一つは,やはり見開きで,「活用の仕方」みたいな,リーフレットみたいなものが,もしも作れるのであれば−我々も作ってみたんですけれども−それを見ていただくと多少は御理解いただけるということはあったと思います。
○西原主査
普及努力ということでしょうかね。
○佐藤委員
そうですね。
○西原主査
いかがですか,小山委員。
○小山委員
それはもちろん,何と言うか,特効薬みたいなものはないとは思います。私どもが頂いたときに,説明しやすいように,配りやすいように,何か工夫をしていただけるといいかなと思います。ですから,新しく何か作るというのは少し無駄かなということがありますので,例えばこの見開きのページをもう少し,見やすくして,その分だけでもコピーして皆さんに配れるようにするとか,そういったちょとした工夫を重ねていただいて,そして我々も普及に少し協力させていただくということになるのかなと思います。
○西原主査
ありがとうございます。参考資料1「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の成果物に関するアンケート」がありますが,それについて事務局から説明を受けていたときに,やはり,このコーディネーター研修が回数を重ねるごとに,この教材例等についての理解が深まってきている,段々作成側の意図を酌み取ってくださるような反応に変わりつつあるということを感じています。これで何年目でしょうか。
○山下日本語教育専門職
一昨年度は,コーディネーター研修という形ではなく,地域で活動している方を集めた会議でした。また,そのときは恐らくアンケートはしていなかったと思います。昨年度のコーディネーター研修では,カリキュラム案について御意見をいただき,今回はカリキュラム案とガイドブックと教材例集について御意見をいただいたところです。ですので,まだ,実質2回目ということになります。
○嶋田委員
よろしいでしょうか。
私どももこれと同じようなコンセプトで教科書を作りました。そこで考えているのは,教科書を見ても分からないという人たちに−今おっしゃったように,コーディネーター研修で分かる人を増やしていくというのも,同じようなことだと思うのですが−現場で対話をしているんですね。ですから,コーディネーターに指導,プラス,いろんな教室と言うかそこでの交流ですね。これを機会に「どうやっているのか」という事例と言うか授業展開を見ることで,皆さん,理解していってくれています。それが一つの方法かなと思っています。
もう一つ,アンケートを読んでいますと,3ページにも,真ん中あたりに,「どうしても文型の説明から入っている」って書いてあるんですけれども,やはり意識を変えることが大切です。コーディネーターも大事ですが,それにプラスして,現場と現場が行き交うというネットワークを作ること,それにより教材例も広がるし,人と人との交流になると思うんですね。
二つ目は,ウェブをもう少し使うことです。教材例集がウェブにただ載るだけではなくて,動画的なものを載せるとか,そこでまた何か発信し合うといいのかなと少し思いました。自分があちこち回っていて,やはり,顔が見える関係があって初めてつながっていってるなあと感じます。私は,教科書を使うよりも,正に教材例集と同じ考えなんですが,「文型が引っ込んだ,タスク先行のやり方をやろうね」ということを説き続けているんですが,やはりそれは回数を重ねるごとに深まっていくということと,それから,現場と現場が今,行き来をしていることが大切だと思いました。
○西原主査
独立行政法人国際交流基金のさくらネットワークでしたでしょうか,それから,エリンの使い方等のネットが,現場と現場をつなぐような世界的なネットになってますよね。それと,今年は残念ながら日本語教育大会は行われていませんが,その辺りに何か現場をつなぐ分科会を工夫するとか,そのようなことは,今やっているスキーマの中でもできると思います。それから恐らく,ポータルサイトが立ち上がったときに,その後に何が付いていくかっていうそこら辺も,工夫の一つということになるのかもしれませんね。何とかクラブができるのかどうなのかは分かりませんけれども…。
それでは,それは,こういう内容がどうやって活用されるかというところで,いろいろ御意見があったということにしたいと思います。その一つは,その取っ掛かり,一番最初,見開きのあたりのところに,もう少しグラフィックな工夫があるとよいということでしょうか。それから,国語課のホームページが恐らくまた一つのキーになって,でも,万人に魅力的なホームページの表紙なんていうものは,しかも国という何かお堅いところのホームページというのは,どう工夫したらよいのか,それはお任せしますけれども,どうしたらいいんでしょうか。
○嶋田委員
ここでなくて,また違うものを立ち上げてもいいんですよね。
○山下日本語教育専門職
日本語教育のコンテンツ共有化システムについて,先回の日本語教育小委員会でも皆様から御意見をいただきました。それがこの教材例完成のタイミングからは若干遅れてということにはなりますが動きます。そのときに教材例集等も載せるだけでなく,更にそこをどう膨らませていくかということも,今後,考えていきたいと思います。
○西原主査
教員と言うかサポートをする方々の意識改革というのは,これはもう永遠の課題でして,それらは同時並行でいろいろと工夫されなければならないということですが,そこについてはいかがでしょうか。
○中野委員
これは編集上だけの問題なんですけれども,配布資料2「教材例集について(案)」の2ページから5ページまでフォントが小さいです。このフォントが小さいだけでも何となく飛ばす意識がありますので,これを大きな字にする,しかも図に1ページ使う,少し余白を持って,何か目に飛び込んでくるような感じでキーセンテンスを置くといった工夫はできるかなと思いました。
それからもう一つは,非常に面白いキャラクターの人を採用して,この使い方を,動画と言いますか,ウェブのダウンロードでいいと思うんですけれども,それも,エスタブリッシュメントされた堅い説明ではなく,何か面白いキャラクターが現場での経験を積んで,「これ,使ってみたよ」みたいな立場で,「こう使うと結構うまくいく」みたいに説明をしてもらうといいのではないかと思いました。コンパクトに,こういう趣旨ですとか,こう使うということを,文字ではなく音と画像でダウンロードするというのも一つかなと思います。要するに,つい見てしまうという工夫ですね。
○西澤委員
よろしいでしょうか。ウェブを使うとすると,少し先行的に幾つかのところでやってもらって,失敗例とかうまくいった例とかいろんなものを最初にばっと見られるようにすると導入しやすくなるんじゃないかなという感じがします。
○中野委員
そうですね。それか,政見放送じゃないんですけれども,少し引き気味の人に,「でも,こんなのは少し面倒くさいですよね」とか,「今までやったのをこれからやり方変えるんですか」とか,わざと言ってもらって,それに対して,「いや,こうなんですよ」ってやる掛け合いでもいいんですけど。何かそういうのもありかなと思いました。
○西原主査
敬語の指針が出ましたときに,敬語落語をやりましたよね。
○山下日本語教育専門職
はい,取り上げております。
○西原主査
少し正確なタイトルは忘れちゃったんですけれども,落語家に敬語のことを語ってもらったCDができたんですね。
○山下日本語教育専門職
また,ショートムービーを幾つか取り上げる形で,そもそも敬語をどういうときはどう使うかというのを,文化庁のホームページにも掲載しています。
○西原主査
ですから,また落語だと少し二番煎じになるけれど,何かそのような工夫が必要ということでしょうか。中野委員が出演してもいいんですけど。
○中野委員
そういうものだと誰も見ないのですが…。
○西原主査
分かりました。とにかくアピールの工夫が必要ということですね。確かに,今,配布資料2「教材例集について(案)」は2色ですし,色の工夫もありません。文化庁が作りましたと言われると余計に引いてしまうということがあるのかもしれません。恐らく,これらのものは色付きですよね。
○山下日本語教育専門職
全て色で考えています。
○西原主査
色が付くんですよね。カラフルと言うか−今,小中学校の教科書,カラフルですよね。あれは随分お金が掛かっていると思うんですけれど−それほどお金が掛けられるかどうかは別として,少なくともホームページはカラーを付けても,ダウンロードしてもらえばいいわけなので,いろんな工夫ができるかなと思います。
○尾﨑委員
御参考までに申し上げます。恐らく,皆さん御存じだと思いますけれども,『にほんごこれだけ』という教材があって,その教材のサイトがあります。そこを開けると,ボランティアの方と外国の人が授業をやってる動画が出ていて,うまくいかない部分に対して茶々が入っている動画になっています。今度は伝道師たちがいて,全国あちこち回って,教科書を使ってくださいというワークショップをやってるんですね。で,その教材のサイトを見ると,日本地図に,どこで研修したかという旗がどんどん増えていってるんです。もう60カ所ぐらいやってるかな。あれは,恐らく,布教グループがいまして,とても熱心で優秀な人たちです。
○西原主査
布教と伝道師って言われると…。
○尾﨑委員
もう伝道師です。その伝道師に似たようなものを国がやるのは,ここまで来たらやらざるを得ないんじゃないかっていうことです。ただ,一方ではそういうことをやっているチームがあって,ホームページもあって,実際の活動を撮って編集して載せているということもあるので,いろいろ工夫の余地はあるかなと思います。
○西原主査
今,本当に日本語教育でメジャーになっているものの始まりのところを見ると,やはり,そういうキャンペーンというのは繰り返されているということですね。ですから,国と言えどもやはり布教に乗り出さねばならないということです。しかも,みんなが乗ってくるようなトーンに乗せることが大事です。
○尾﨑委員
そもそも周りに教えて回っている人たちが乗っているんですよ。布教するということは,その人たちが,「これがいい」と堅く信じて疑ってないという,それがやはり熱気に表れるのではないかと,私は思います。
○西原主査
本当にそういうことですよね。
○春原委員
一つ,よろしいですか。山田委員と毎年韓国に行っていて思うんですけれども,地域の外国人支援の現場にとても熱気があります。その理由の一つは,若い人たちがたくさん入ってることなんです。日本と全く逆です。日本と違って年輩の人がむしろ少なくて,大学生辺りが中心となってやっています。今,特に震災以降,地域と地域が直接,人的交流をしたり,相互研修をしたりするということがとても激しく起きてます。そうすると,その次に今度,世代と世代を結ぶということが必要です。この教材例集については布教活動と言うのかどうか知らないですけれども…。大学も今,地域貢献ということを非常に言い始めてますし…。
○西原主査
しなければならなくなってます。
○春原委員
ええ。そういうときにやはり,地域の多文化環境を作っていくという意味では,こういう教材を大学生辺りの層にやはり熟知してもらって,使い方のワークショップをやっていくことが大事なのではないでしょうか。そうすると,恐らくこれはどんどん陳腐化しますよね。
○西原主査
そうですね。
○春原委員
いろんな内容とかツールとかが。そういうときにやはり,若い人たちが入っているというのはとても重要なのではないかなという気がしました。
○西原主査
どうすればいいのでしょうか。
○春原委員
大学の先生がこれだけいるから,是非…。
○西原主査
若者たちを焚き付けるということですね。
○春原委員
大学を巻き込んでいくということが必要だと思っています。
○西原主査
事務局としては,それらの御意見があったということを記録に留めて,布教活動をやっていただくということですね。そのためにはいろんな工夫があって,いろいろなメディア,それからいろんな人材を活用していくということになるかと思います。
日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々から,確認しておきたいというようなことはないでしょうか。これで作業がずっと終わりまで行ってしまうことになりますけれども,よろしいですか。
○矢部協力者
それでは,一つ,よろしいですか。やはり,先ほど御指摘がありましたが,初級学習者への結び付け方というのはずっと悩んできたことだったんですけれども,そのようなことを十分に説明でき切れてないんじゃないかとか,指導ノートでも説明し切れてないんじゃないかということが気になってます。また,その辺りについて言葉をまだ持ててないと言うことがあります。
○西原主査
そうですね。もう定着してしまった「初級」,「中級」,「上級」という考え方がありますが,この日本語教育小委員会では「生活上の行為ができること」を目標としていて,日本語のレベルが上がるということが目標ではないということがありますが,両者の間での理論的なやり取りと言うか,考え方について大胆に書き切れていないということはあるだろうと思います。
漢字教育について積極的に提案していらっしゃる方が,例えば小学校の教育漢字の始まりというのは,画数の少ないところから入っていって,だんだん画数が複雑になる,それから,へんとつくりの関係も複雑になるということを,漢字の難しさという標準を設定して進めています。しかし,外国から入ってきて,そして漢字を書き始めるという人たちにとって,画数が少なければ易しいかと言うと,そこは違うわけですよね。
それと同じように,多くの人たち,特に日本語の母語話者たちが推測して,「これは初級だから易しい」と思ってることが,本当に易しいのかどうかということと,それから「これが為されなければ生活できない」というようなことから学習始めるときに,「初級」と言っていることの絶対的な意味というのがどの程度崩されなければならないのかということが,恐らくメッセージになるのだろうと思うのですが,それはどこへ書けばよろしいでしょうか。
○矢部協力者
まず,これを使う方々がボランティアの方で,外国人とのやり取りに必要となる言葉の調整に対しても大変戸惑いを持つことはとてもよく分かります。使い手であるボランティアの人が,それぞれの日本語教室において自分の役割が何かということを認識するところがまず難しいです。この教材例集やガイドブックでは,一応,「指導者」,「協力者」と「参加者」と言うか「学習者」という形で表現しているのですが,今の日本語教室の実態として,例えば本当に「指導者」対「学習者」なのかといったことや,「協力者」としてここで位置付けている人が,本当は教室活動を回しているんじゃないかといったことを考えます。その一方でボランティアとして,本当は外国人を対等な地域住民として日本語教室に迎え入れようとしている中で,ボランティアが「私たちは先生です」と言っていたりします。そういう状況がある中で,どういう役割で誰がどういった言語の調整や計画を考えていくのかというところは,説明を求められるところかなと思っています。
どこにどう書くかということについても迷っている状況で,その辺りのことが少しもやもやしています。
○西原主査
そうですね。例えば,先ほどから教科書の例を引き続き言いますけれども,指導要領に基づいて教科書が出ますよね。教科書について,先生向けには教科書とは別に,「この課はこう指導したらよい」と書かれているものが出ていくわけですよね。そういったものが教材例集には,例えば「指導ノート」はあるけれども,少し言い足りないところはたくさんあるということなんでしょうか。そういうものが第3分冊としてと言うか,第2分冊として出ていくといいのでしょうか。でも,先生たちはそれをどの程度活用するんでしょうか。佐藤先生,いかがでしょうか。
○佐藤委員
私どもがいつぞや調査をしたことがあるんですけれども,やはり,新任の場合はそれを見ないと授業ができません。3,4年目ぐらいまでは見るのでしょうか。5年目ぐらいまでにはかなりプロトタイプとなりますが…。
○西原主査
最初は赤本を見ないと授業できないということですね。
○佐藤委員
逆に言うと,今度,それをどのように自分の生徒,子供の実態や学校の実態,地域の実態に合わせて,どれだけ変えられていくのかということになります。最初は赤本をパターン化して教えていきます。指導要領があって,教科書が作られて,赤本が作られて,教科書に準拠した教材が作られていきます。そうすると,その赤本の中には,面白いのですが,当然,単元の目標があり,本時の学習指導案があり,テストまであるわけですね。こういうテストを作りなさいということまで書いてあります。関心・意欲,知識,態度というところまで含めたものが一応作られているんですね。ですから,それはプロトタイプとしては,非常に,ある部分,有効だろうと思います。
ところが問題は,今度はそれが目の前の子供の実態に合わせたときに使えないというのが,やがて先生にも分かってくるわけですね。そのときにどうするかということだと思うのですが,目の前にいる子供の姿が見えないときは,新任の場合には,子供の姿よりも教える内容が先にありますから,それをやはりプロトタイプとして使っていきます。しかし,それが徐々に変わって行くわけです。それが実践的力量の向上ということだと思うんですけれども,赤本は非常に有効は有効です。例えば教育実習生はそれを見て指導案を作っています。
○西原主査
それでは,先ほど矢部協力者がおっしゃってくださったようなことをどこかで文にしておくと言うか,「これを使う前に」というような冊子がもしDVD付きで出るとすれば,そういうものの中に含まれていけばよろしいのでしょうね。その次の段階として何がこれに加わるかということもあろうかと思いますけれども…。
よろしゅうございますでしょうか。もし,更なる御意見があるようでございましたら,事務局にお寄せいただければと思います。是非よろしくお願いいたします。
では,次に能力評価のことでございます。これもまだまだ御意見を頂かなければならないことがたくさんあるかと思います。
先回の委員会配布資料が参考資料2「能力評価の成果物(ポートフォリオ)のたたき台について(第40回日本語教育小委員会配布資料の抜粋)」によって示されておりますけれども,ここの提案から大きく変わった点があります。例えば,地域に在住する日本語非母語話者の言語能力を社会全体としてどう受け止めるか,それについてどのような判定をするかという部分は,「次に送る」という言い方はおかしいですけれども,それは別途,システムとして構築されるべきものではあるけれども,今回はそれに至る第一歩としての作業でございます。生活上の行為というものが,どの程度−と言ってもラフですけれども−ある個人についてどのようなことができているかというチェックリストから始めるということです。学習者が支援者と一緒に自己評価ができ,支援者からの評価ももらえるというような段階に今回は留まる−という言い方をあえてしますけれども−という提案がされているというところが,先回からの大きな変更点です。本日は御欠席の井上委員が前回の日本語教育小委員会で意見としておっしゃっていましたが,職を変わるとき,あるいは職を得るときに「こういう能力だ」ということが一目瞭然で分かるもの,そういうものがあると経済界としては非常に使いやすいということをおっしゃいましたけれども,そういうシステムというのは,今回は少なくとも構築しないということですし,また,提案しないということです。そのことをするためには,恐らく,今回のこの日本語教育小委員会が今までにしてきたことではなく,もっと広く,各省庁あるいは各機関との連携あるいは協力が必要だということです。その部分につきましては,これを踏まえて次なる段階と考えるという報告書になるだろうということでございました。
これについては御了承をいただかないといけないのですけれども,今申し上げたようなところから始めるということで,今期は御了承いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
更に,このまとめ方,配布資料3「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の能力評価について(報告書の全体構成のたたき台)」に,ページと言うか報告書の全体構成が書いてございますけれども,それらにつきまして,あるいは生活上の行為等の展開の仕方につきまして,何か御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
これは補足でございますが,配布資料2「教材例集について(案)」の後ろに付いている「能力記述」というのは,この能力評価の部分で取り上げている配布資料5「能力記述について」の部分です。これが評価につながるだけでなく,日々のカリキュラムの上にも反映されるであろうということで,標準的なカリキュラム案にあったものよりかなり詳細なものを,教材例集の末尾に付けるということになっています。また,配布資料2「教材例集について(案)」の能力記述の説明は今はまだ3行ぐらいしかありません。そこで,教材例集をお使いになる方に向けても,今のポートフォリオの趣旨を説明した上で,「こうなっているのでここにこれがありますので,このようにお使いください,目安にしてください」ということを書くということになっています。配布資料2「教材例集について(案)」と能力評価が互いに連動する,連携するという形になっているということでございました。
何か御意見はありますでしょうか。日本語教育小委員会ワーキンググループの中でも,支援者を持たない人,つまり地域の学習教室に行けない人はどうするのかとか,それから,これは達成度評価と書いてあるけれども,始めにプレースメントテストのような形で使うのはだめなのかとか,いろんなことが素朴な疑問としてあるわけでございますけれどもいかがでしょうか。
○春原委員
評価の大前提として,これって選別とか何かに使うわけではないので,何か,学習の継続を励ますっていう,学習継続を奨励するっていうのがやはり大前提としてどこかに必要かと思うんですね。配布資料4「能力評価に関する基本的な考え方の論点整理」の「総論で取り上げるべきとされた意見」の枠囲いの中の三つ目に赤で書いてありますよね。「目的・目標を達成する」っていうのはもちろん大切なんですけれども,その前に「日本語教育を継続する」ということ,やはり地域では継続するということがとても大変ですよね。「継続して,そして,その目的・目標を達成する」というようなことがまず必要ではないかと思います。
○西原主査
配布資料4「能力評価に関する基本的な考え方の論点整理」の3ページを見ていただくと,そのことが書いてはあります。3行目から,「日本語学習を継続させていくための評価とする」という書き方では,さらっとし過ぎでしょうか。
○春原委員
分かりました。いいと思います。
○西原主査
「こういうこともできるようになったんだし,次にこういうこともできるようになってみたいなあ」というように,自分のコマを増やしていくというような楽しみになるとよいのでしょうか。配布資料7「能力評価に関する検討の具体的な成果物について(たたき台)」が冊子体あるいはルーズリーフ体で出回るとして,そういうことにつながればよいあということではないかと思います。でも,そのことについて大きな字でそこのところだけ書いた方がいいでしょうか。
○春原委員
そうですね。
○佐藤委員
ポートフォリオに関して,この方向性はとてもいいと思います。ただ,実は今,私ども教員養成の教職実践演習−4年生で必ずこれを取らなければ教員になれないという科目−が出てきまして,ここで実はポートフォリオをやってるんです。そこで論点が四つあります。まず,誰が書くのかということです。負担が大きく,書く量が膨大になるのではないかということが一つあります。二つ目に,保管について。誰が保管するのかということです。今,ウェブ上にポートフォリオを保管できるようになっていないものですから,学生に保管させるということになります。そうなると,学生がポートフォリオをなくしてしまったら卒業できないのかという話になりました。そういう問題があります。それから三つ目が,何をポートフォリオとして記録していくのかということです。これは日本語教育小委員会でもある程度議論されて決まったものがあるのかもしれませんけれども…。実は,教員養成にといて大学1年生から担任を決めて,一人の先生についてほぼ10人ぐらいずつ,ポートフォリオの形式で先生が記録を行い,学生もその記録を残していくというやり方について議論をしています。先生が観点を決めて記録するのはいいのですが,学生が記録に残していくときに,かなりばらつきが出てくるんじゃないかという問題が出てきています。それから,ただ単なる学習の記録ではいけないだろうという話も出ています。先ほど,春原委員がおっしゃっっていましたが,ポートフォリオがどのような形で成長を促していくのかということがあります。ポートフォリオを活用して,本人も教員もどう成長するのかということです。そのための仕掛けをポートフォリオの中にどう作るのかということが,実はとても大事になってくるんだろうと思うんですね。
そうすると,少し今の議論の中で,負担と保存の話と何を記録するのかは,かなり見えてきたと思いますけれども,四つ目の,学習の記録から成長の記録へと結び付けるための仕掛けをどう作るのかということが論点になると思います。例えば学習者を励ましていくときにどうするかということもあると思います。そこが,今,私の大きな論点になっているのですが,恐らくこれも同じようなことが言えるのかなということを思ったのですが,その辺りのことについてはもう解決しているのでしょうか。
○西原主査
解決していません。
○佐藤委員
これからでしょうか。
○西原主査
そこは議論しないといけません。これからの議論になります。
○佐藤委員
恐らく,我々が大学の教員にお願いするときにもとても負担が大変だということもあります。
○西原主査
そうですね。金田委員も学生にポートフォリオをやってみたところ,なくしてしまうということがあったと聞きました。
○佐藤委員
我々はもっと切実です。ポートフォリオをなくすと卒業できないんじゃないかということで,ウェブ上に作れないかという話があります。ただ,ウェブ上に作ると,システム構築で膨大な予算が掛かるので難しいです。ただ,結局個人に持たせた場合にはなくすのではないかという不安がかなりあるんですね。
○西原主査
これはウェブ上で入力し,どこかに保存しておいてもらい,そして,出すときは,「1ページ,3ページ,5ページ」といったような形で必要な部分だけ出力して渡せるようなシステムになれば一番いいと思います。ただ,その場合,外国人登録をしている人と考えると,母数は最大で200万人ですよね。その人たちに,「さあ,どうぞ」と言うためには,文化庁の予算ではできません。
○佐藤委員
できないですよね。やはり個人で保管していただくしかないんだろうと思います。あるいは地域の日本語教室で保管するということでしょうか。
○西原主査
システムだけを示して,後は個人でやってもらうようにするか,あるいは地域の市役所に,外国人登録をするときにこういうことも登録させたらどうかと言うかということになります。紙媒体の場合,本当になくしたらおしまいです。
中学生になってから,「母子手帳を持って来い」と言われて,本当に困っている人がいるという話をこの間聞きました。母子手帳というのは,子を育てたからには保管しておくものなんだそうです。そこにある記載で,中学生になってから必要になることがあったそうなんですね。そのようにずっと持っていて,いざとなったら見せて,これは唯一無二と言うか,世界中であなたしか持ってないっていうものになるわけですよね。
○岩見委員
将来的に証明されたことが学習者にとってどのように有利になるか,結果を何に使うかはっきりして,そういう段階になって,それこそシステムがきちっとできた段階で,都道府県とかがその保管などについて考えればよいことだと思います。当面は,地域の教室で今,実際に学習記録を作っているところがありますし…。それから,後は個人で,自分の利益のために自分で保管する,個人の責任においてやるという段階から始めざるを得ないですね。
○西原主査
ただ,これは試用であって,暫定的なものだというわけにはいきません。
○岩見委員
そうではないですけれども,どこで保管するかということについては,現実的にはそのぐらいしかないのではないでしょうか。第一歩として地域の教室があるかもしれません。確かに負担は大変ですけれども,それは現実に今やってらっしゃるところもあります。
○西原主査
教員養成のシステムとしては,今はどうなっていますか。
○佐藤委員
今度の4月,今度の入学生から始めますので,やはり個人で持たせるしかないとなっています。そうしようとしています。
○西原主査
それでは,入学してきたときに,なくさないように言うということですね。
○佐藤委員
原本もまさかコピーできませんから,明らかにそういうことです。これは個人情報にかなり関わりますので,それはもう「なくすな」と言うしかないということです。
○西原主査
教員養成に関わる人たちは全員その悩みを抱えてるわけですね。
○佐藤委員
もう完全に悩み抱えてるはずですね。私立大学によっては,「ウェブ上で」という話はあるかもしれませんけども…。
○西原主査
大学が学生に代わってやってあげるということですね。
○佐藤委員
ただし,まだ,評価基準そのものもはっきりしておりません。教職実践演習では,例えば「教職の使命感」といったことも出てきます。使命感をどうやって測るのかという話もありますので,なかなか難しいところがあります。その項目がはっきりと決まっているところについては,ウェブ上でやろうという話はあるようです。だから,ウェブ上についても全体についてではありません。
○西原主査
日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者のお二人にお伺いしますが,何かこのことについて話し合いはしたのでしょうか。
○神吉協力者
いや,これについてはまだ特には話し合いはしていません。
○西原主査
保管の難しさとか,そういうことについてはいかがでしょうか。
○神吉協力者
ファイルを配って保管してもらうんだろうといった話はもちろんしていますけれども…。
○西原主査
ファイルというのは,配布資料7「能力評価に関する検討の具体的な成果物について(たたき台)」の1ページ目の絵に描いてあるようなものですね。
○神吉協力者
正にそういう程度の議論しかまだここではできていません。
○西原主査
金田委員は苦労なさってらっしゃいますけれども,いかがでしょうか。
○金田委員
私も少し学生相手に苦労はしているのですが,ただ,このポートフォリオに関する実践は,日本語教育の場では,幾つかの先進的な日本語教育をやってるコースですでにされているわけですよね。地域における日本語教室の場合は,教室が固定されることが難しいので,そのまま応用できない可能性はあるんですけれども,教室の片隅に個人のファイルが全部きれいに並んでいて,授業のときにそれを引っ張り出すところから始まるというやり方をしていらっしゃる方々はおられるかなと思います。
○西原主査
 
何人かのボランティアの方の顔が目に浮かぶんですけれども,ポートフォリオが来たらとてもまじめに取り組むという姿が,少し何となく目に浮かぶんですけれど,いかがでしょうか。
○金田委員
 
それはあります。あと,海外で見てきた事例でも,やはり,ポートフォリオは教室保存というやり方を採っているところがありました。教室に入ってくる学生とか学習者の方々も,入れ替わり立ち替わりどんどん変わるわけなんですけれども,棚が幾つかあり,例えば「2−B」のクラスの人たちであれば,そこのケースから自分のファイルを取ってきて使うということです。本当に,ほかの人に見られては困るような個人情報はもちろんその中には含まれていないんですけれども,例えばテストの点数であるとかクイズで「○」「×」が付いているようなものもその中には入っていて,それをほかの人が仮に見るようなことがあったとしても,それほど問題にしないというようなことが実践としては今まであったかなと思います。
○西原主査
 
そうすると,先ほども,実際にこの教材例集が使われる場合に,それなりのアピールと言うか,キャンペーンと言うか,そういうものが必要だということでしたけれども,この場合もそうなりますでしょうか。ポートフォリオというものは一体何で,どうして欲しいのかということを,むしろ地域の教育活動を行う現場向けにキャンペーンするということが大事になってきますでしょうか。あなたたちの責任においてこれを管理してくださいと言うのでしょうか。
○金田委員
 
私はそういうイメージでいました。学習者の方々は地域を移動して,教室も移動していくので,例えば,「もう来週は引っ越しをして違う市に移るんだ」ということになれば,そのファイルを持って移動して,また移動した先でそれを渡せば,自分がやってきたことをちゃんと把握してもらえて,効率的な勉強が可能になるというイメージです。そのことも含めて,いろんな地域の日本語教育の関係者の方々には,そういう使い方の可能性があるんだということをお伝えしていく必要があるかなとは思います。
○尾﨑委員
 
感想ですけれども,ボランティアの教室に行くと,名札がたくさん並べて置いてあるんですね。たくさん並んでいます。でも,その日に使うのはほんの一部です。名札はどんどん溜まっていきます。それで,もう来るのか来ないか分からなくて,捨てられなくて持っているんだけれども,余りに時間が経つとさすがにもう処分するということがあります。地域の日本語教室はそういう形態ですから,ポートフォリオを教室に置くというのを聞いたときに,それはどんどん増えて行って,二,三回来た誰それさんのものが半年ぐらい置いてあって,「もうこれ,どうする?」ということになるんだろうなと思います。ですから,どうするかということは,それぞれの教室で考えてもらうしかないと思います。
それから,ポートフォリオがなくなるということも,このポートフォリオが単位の認定とか卒業要件とかになったり,あるいは,これを持っていないと就職できないという制度的なことはありませんよね。こういうものがあったら,日本語教室でボランティアも外国人もいろいろ活動の中身がよくなるはずだろうということを期待して作成しているので,この教材例集とある種パッケージで使ってみてくださいという提案をするということではないでしょうか。そして,むしろ,それをどう使うか,どういう問題があるかということをしっかり見ていくということが大事かなと思って聞いていました。
○西原主査
そうですよね。例えば医者のカルテというのは,1回来てそれから2年間も来なかった人のカルテがあるんですよね。このごろは電子カルテになったりしているので,いろいろ取り出しやすくなっているけれども,それでも大変だろうなと思います。ただ,2度目に3年振りに行ってみて,カルテがあるとうれしいですよね。
○尾﨑委員
うれしいですよ。
○西原主査
そのように持っていてもらえるという安心感がありますよね。今,子育てに忙しくて日本語教室に行けないんだけれども,次に行ってみたら,私のカルテがあそこにあると言うか…。
○春原委員
ただ,医者の定期健診の尿酸値や血糖値等は余り人に見せたくないものですよね。中には見せたいものもあるかもしれないけれども,そんなに見せたいものじゃないですね。学習者が移動したときに,むしろ,このポートフォリオが旅行の記録のような感じで見せたいもの,「是非,これを見て」と言えるようなもの,「一緒に見て,これから考えよう」というもの,つまり,隠したいものではなくて見せたいように作るというのが,大事かなと思います。その方が学習奨励にもつながるでしょう。
○西原主査
それは見かけも含めての話でしょうか。
○春原委員
ええ,そうです。そういう工夫が必要かなという気がします。
○西原主査
見かけについてはいかがですか。
○小山委員
NPOと言ってもいろいろな方たちがいらっしゃると思うんですけれども,ポートフォリオを保管するにしても,きちんと教室を持っているNPOもあれば,持ってないNPOもあります。それから,学習者が移動するときにポートフォリオを自分で持って別のところへ行くかどうかということもあります。現実的なことを考えると,ポートフォリオの管理はとても不可能ではないかと思います。引っ越しをするときには,もうほかのことで頭がいっぱいになりますし,ポートフォリオがどこにあるかどころか,ポートフォリオがあったかどうかも忘れてしまうと思うんですね。
どうすればよいのかと言うと,それはそれで仕方がないということだと思います。それで例えば,新たに移動したところでまた新しいポートフォリオを作ればいいのだと思います。例えば,ある教材を使って授業を始めるというときに,レベルチェックのような形で,先生と一緒に作り直していけばいいのではないでしょうか。「あなたはこれは学習しましたか。これはどうですか」と聞きながら,作り直す作業をすればいいのではないかと思います。そこで一つの新しいコミュニケーションが始まるということです。
ですから,現実にはそういう形で割り切ってしまって,時々なくなるものだと考えるのがいいのではないでしょうか。なくなったら作り直すという作業が,お互いにとって勉強を始めるきっかけにもなるというように割り切らないと,現実的には運用できないのではないかと思います。
○山田委員
そもそもと言うか,ポートフォリオであろうが何であろうがいいんですけれども,このポートフォリオがある意味評価になるんですけれども,それと同時に学習を継続していくモチベーションにもなるということが大事だという指摘が多数あるわけです。そのときに,学習者が「ポートフォリオとは何なのか」ということが分かり,学習者も一緒になって,ポートフォリオが必要なんだと自覚すること,更にどちらかと言うと学習者の方から,教師に働きかけるぐらいのものにする必要があるのかと思います。「ここのところをまだ私,クリアしてないんだけれども,これについてはどうしましょうか」という感じで,学習者の日本語を評価をしてそれで終わるのではなくて,学習と一体化しているものという認識ができ,学習者と指導者とでお互いに作り合えることが大事だと思います。そして,ひょっとしたら「そこから引っ越すことになりました」というときに,それを持って次のところに行って学習を継続するということができるようなものになれば…。
何か,ポートフォリオがまず先にあって,それをどうするかという話ではなくて,ここではいわゆる行動目標が達成できるようになるということを目的とした学習活動が行われていて,その中の学習にはこういうものがあって,それを記録するためのものとしてこういうものがあり,その記録の仕方そのものも学習になってるんだという位置付けが必要だと思います。ですので,ポートフォリオをなくすかなくさないかではなく,それが教育の手段としてどう効果的かということを考えたらいいのではないかと思うのですが…。
○西原主査
大きく言えば,はやりの言葉で言えば「学習オートノミー」あるいは「学習者オートノミー」,つまり,自立していくための一つの手段だし,学習者として自立していくということは,社会人としても自立するということにつながっていくだろうということです。例えば職業人として,自分はこれだけのことが日本語でできるということになれば,それが自信になって,面接受けてみようということになったということで構わないわけですよね。そういうことにつながっていくということです。それを,どうやって,感じてもらえるようにするか。それは,どうしたらいいのでしょうか。
○山田委員
私が思うのは,ここで取り上げている項目とか観点というのは,これはもういろいろな観点から検討して考えてきていることなのでいいのですが,もっとオリジナリティーと言うか,「この人の場合だったらこういうものも入れてもいいよね」とか,あるいは,子育てしている人とそれから工場で働いている人とで何が違うのかと言った場合,生活者としては同じなのかもしれないけれども,自分の興味,関心とか,大事に思ってることとかが違うんだったら,そういうことも一緒に話しながら,書き込むスペースがあったらよいのではないでしょうか。ここに白紙の欄があったり,そういうものでもよいのではないでしょうか。
○西原主査
生活の記録と職業の記録だけではなく,もう少し何か自分をアピールできるような記録もあってもよいということでしょうか。
○山田委員
そう思います。趣味でも何でもいいだろうと思います。
○西原主査
確かにそうですよね。それから,グラデーションで,もっときれいな色になっていくような工夫があるとよいのかもしれません。グラデーションのチェックマークが付いていくと,何かの色に染めてみようというような気持ちが学習者に起こるかもしれません。もっときれいな色が何かということは,それぞれに違うので,よく分かりませんけれども…。
○伊東委員
私は能力評価について,とても完璧に近い形で構成されているなと思ったんですけれども,現実,これを運用するのは難しいと思います。ですので,私としてはやはり,単純明快と言うか,使用に当たっては手軽さを重視したいなと思いました。やはり,重要なことは,標準的なカリキュラムで取り上げられている生活上の行為の一覧であり,この文言を各国語版かどうか分からないにしても,これをもう少し重要視したものにしたいと思います。
このポートフォリオをきっかけに「どんなことが勉強したいのか」という話を始め,チェックしてもらって,「ああ,こういうことね」となり,「それではこれを目標にして,ある程度3か月とか半年やってみて,自己評価に結び付けて,どれだけ達成できたかどうか」を確認するということになると思います。ただ,やはり,これ以外にも恐らく,勉強したいことがあるかもしれないので,空欄を設けておいて,新たに来た外国人の人には,「どんなことを勉強した?」とか「これからどんなことを勉強したい?」ということを具体的にカウンセリングではないけれども,話し合いをするということにした方がいいかなと思いました。
それからポートフォリオについて,こちらは本当に立派にできていますけれども,これは,各ボランティアだとか教室が必要に応じて使うっていうことであって,必ずしもこれを学習者に1人1冊ずつ持たせるということではないですよね。カルテ的な形で持っていて,どこかに移動することになったら,「今回こういう形で3か月,府中で勉強したんだよ。じゃあ,これを持ってどこかへ行きなさい。」といった感じで移動のときに渡してあげる程度でいいかなという感じがします。
○西原主査
必ずしも,本人が持つのではなくてよいのではないかということですね。
○伊東委員
ええ。どこかへ行くときに渡すということです。それから,途中でなくなってもよくて,なくなったらまた作ればよいということです。
○西原主査
先ほど,小山委員がおっしゃいましたが,またやり直すのであれば,それがコミュニケーションにもなるし,振り返りにもなるからということですか。
○伊東委員
ええ。私はそう思いました。
○西原主査
それで,今,伊東委員がおっしゃったことの一つに,ここに,「生活上の行為の達成度を測る」というのが配布資料4「能力評価に関する基本的な考え方の論点整理」に書いてあるんですけれども,今おっしゃったのは,これから勉強する人のチェックポイントにもなるということですね。
○伊東委員
ええ。どんなことが勉強したいかっていうことでチェックしてもらって,「じゃあ,こういうことを勉強しましょう。」ということになればいいと思います。例えば,「体の名称が分かる」という項目に関して,「私,分からないから,少しこれ勉強したい」と言ってチェックしたら,「それではそれを勉強しましょうよ」となり,ある程度勉強して,「じゃあ,どれだけ分かったっていうことで,5段階で「よく分かる」,「ある程度分かる」,「まだまだ分からない」という感じで自己評価してもらいます。私はあくまでも自己評価でいいかなと思うのですが…。
○西原主査
むしろ,そのための使い方というのは,この教材例集の後ろに付けたことの意味にもつながりますね。「このようなものがあるんです」,または,「こういうようなことを全体的なカリキュラムと考えるんです」というようなことを,学習者と話し合った上で,とりあえず「ここをやりたい」とか,何ができないということをチェックするために,この教材例集の後ろには,生活上の行為の事例が能力記述の形で付いているわけですよね。それと同じようなことを,能力評価という観点でも考えてみてもいいのではないかということですね。
○伊東委員
はい。それで,少し私が心配するのは,タスク一覧が配布資料6「ロールプレイタスク例」にありますね。これを出してしまうと,テストになりそうな気がして心配しています。それにこれを運用することも少し難しくなり,少し負担が大きくなります。これをやること自体もどうかなと疑問に思いました。これを実際に評価という枠組みの中に入れるというのは,どうなんでしょうか。
○西原主査
この位置付けについては話し合ったと思うのですが,宇佐美協力者から少し御説明いただきたいと思います。
○宇佐美協力者
元々,基本的には学習の場があり,そこでやったことについて記録することを中心にしましょうということで,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の中でも話を進めてきました。ただ,日本語教室で勉強をしたということ,自分はできたと思うかどうかを記録するだけでは不十分だろうという考えがありました。もう少し違う視点からも見てもらえるようなことをポートフォリオに入れた方がいいのではないかという考えがあり,結局,学習者にも日本語教室の人にもできるだけ負担を与えないような形で,現実的な形で考え,御提案したということです。
○西原主査
ですから,配布資料6「ロールプレイタスク例」はそっと添えてあるという感じではあるんです。ただ,各教室が日々の記録を付けるときにあり得る形として−そういうことを想像しではいけないのかもしれないのですが−生活上の行為として教材例に掲載されていることが,例えば「丸暗記できた」ので「できた」というところに記しが付くことを防ぐ手立てとして,「少しやってみて」というタスクが添えられているということであろうかと思います。
○伊東委員
例としてですね。
○西原主査
これが,だから,期末試験みたいになってはいけないわけですよね。
○伊東委員
はい,分かりました。
○西原主査
だから,これをどういう位置にどう置くかということは,先生の御心配ですよね。
○伊東委員
はい。そして,この指示に従ってやるとしたら,状況設定もこれだけの日本語が分かれば問題ないでしょうけれども,やはり,分からないからこれをやらせて日本語力を見るわけですよね。
○西原主査
その通りなのですが,その説明も,相手がどういう人かによってかなり違ってもいいんじゃないかと私は勝手に想像しています。
○伊東委員
ええ,私もそう思います。
○西原主査
例えば「あなた,うち,帰った。鍵,開けてある。おうち,めちゃめちゃ。どうする?何言う?」という指示でも構わないわけですよね。もっと単純なこともあるかもしれません。そういうものに反応できて,最低限,ブロークンジャパニーズで110番を回せるっていうことが,配布資料6「ロールプレイタスク例」で取り上げられている一番最初のロールで「まあまあできた」ということになるとしますよね。そのような感じで,この通りの文言を読み上げてそれに反応できなければロールプレイはできないというものではないのではないでしょうか。
○伊東委員
そうですね。はい,分かりました。
○西原主査
日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々はそういうことでよろしいでしょうか。
○杉戸副主査
今のことに関連してですが,配布資料2「能力評価に関する基本的な考え方の論点整理」の最後の方,9ページ,10ページに,学習の場で何ができたかを「確認するためのタスク(ロールプレイ等)」というところが9ページの赤い二重線の枠の二つ目の「・」のところに出てきます。それから,10ページの一番最後にもやはり,「タスクリスト(例としてロールプレイ等)」とあるんですね。日本語教育小委員会ワーキンググループに出ている身からすると,現段階は,このタスクリストの例が,ロールプレイという形のものが出されている段階だと思っています。それで,タスクにはロールプレイ以外でどういうものがあり得るか,今の伊東委員の発言は,もっと広がりがあってもいいだろうというように聞こえました。その辺りを,日本語教育小委員会ワーキンググループの今抱えている課題としてもう少し意識して作業を始める,展開することが必要なのではないだろうかと思います。今,日本語教育小委員会ワーキンググループとか日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の皆さんの議論や作業がロールプレイに集中していたと思うんですが,そこを少し展開する段階が来ているのではないかと思います。
○西原主査
配布資料6「ロールプレイタスク例」の4番目に聞き取りのものが付いていますよね。
○杉戸副主査
そうですね。
○西原主査
これはロールプレイではなくて,話を聞くということです。
○杉戸副主査
本日,その部分が少し広がったなと見ました。それから,そのこととつながるのですが,教材例もやはり,カリキュラム案で取り上げている生活上の行為の全体を覆うわけではないですよね。それと同じで,このタスクリストも,教材例として扱うものの全体を扱えないだろうし,ロールプレイだけで全てをカバーするのは大変な負担になります。ということで,どういうタスクの種類で,どの範囲を,どのぐらい数をカバーするかということも考えなければならないわけです。その点,この評価の方法,あるいはそれを記録する方法を具体的に提示するときに,端的に言えば分量の問題ですね。それが課題になってきているなと改めて思いました。
その点で,伊東委員の御発言につなげて言えば,タスクリストとして「ロールプレイ等」と書かれている「等」の中に,どういうものがあり得るかということについて,日本語教育小委員会の場で御意見が聞きたいという気がします。本日,配布資料6「ロールプレイタスク例」にロールプレイでない例が最後に一つ,ぽつんと出てますけれども,そういった話ですね。
○西原主査
例えばヨーロッパの例だと「処方せんを理解して,薬屋に行って,ちゃんと処方せんに合った薬を買って来た」というようなときは,薬屋の証明をもらうと言うか,町で実際にその行為ができたということを判こを押してもらうということが行われているという話でした。ただ,そこまで行くと,今度は,もう少し大きい話になり,社会が学習者たちをどう見るかということにつながっていくので,そこの部分までは今回は範囲を広げないということになっていたと思います。そして,支援教室と言うか,何かそういう範囲内でできることで,チェックするに値するような方法はないかということで,大ざっぱに4段階で確認できるようなことに何があるのかということでロールプレイが挙がっていました。更に配布資料6「ロールプレイタスク例」には理解したかどうかを確かめるための聞き取りのチェックというのがあるわけですけれども,ほかに何か,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者でお考えのことがありましたでしょうか。
○金田委員
実は,これに関して議論はなかったと思うんですが,「ロールプレイ」という言葉があるのですが,それに関しての理解と言うか解釈を日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の中でもきちっと詰めていませんでした。共通認識になってないと思います。つまり,口頭表現でやり取りすることをロールプレイと捉えるのか,もっと広い意味で,何かを行った結果を何かに書き込むであるとか,例えば病院の例ですと,問診票を書くという行為があるのですが,これは「生活者としての外国人」に必要なタスクなんですね。でも,そのことを,「受付に行って,「これに記入してください」と言われ,受け取って,書きながら確認をして,「これでいいですかというように最後に出す」」という辺りまでを広くロールプレイと捉えるかどうか。そのことに関しては明確な議論は行ってきませんでした。
で,そこまで含めてタスクと言うのか,ロールプレイと言うのをもっと広い意味で捉えるのかというようなことも,用語の整理が少しできていなかったので,少し誤解もあるかなと思います。
○西原主査
今の杉戸副主査の御意見を踏まえると,「ロールプレイ等」について徹底的に詰めるのではなく,「こんなこともこんなこともこんなこともあるね」というのを,この例のところに入れていただけると,可能性が広がると言うか,自分たちで工夫をするようなことも起こるのではないかということですね。それをロールプレイと呼ぶかどうかは別として,タスク例としては例えば今おっしゃったようなことも,ロールプレイと呼ぶかどうかは別として,タスク例について可能性を膨らませたような書き方をしていただけるといいということですね
○杉戸副主査
参考資料1「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の成果物に関するアンケート」の中に,先ほど目に止まったんですけれども,5ページに,「教材例集は,当地に合うように加工してもよいのでしょうか」という質問が書いてあるんですね
○西原主査
加工してもらわないと困るのです。
○杉戸副主査
教材例集ですら,こうなるということを考えると,評価の枠組みということになると,もっと一層こういう思いになるのではないでしょうか。ですから,「いろいろありますよ」ということを積極的に示す姿勢が是非,必要だろうと思いました。
○西原主査
ありがとうございます。今後もこの議論は続いていきます。今伺ったことを日本語教育小委員会ワーキンググループ,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者で分かち合いながら,次なる作業を続けていきたいと思います。  それで次に,最後の事項に移りますが,文化審議会国語分科会としては三つ目の小委員会が立ち上がっています。その小委員会の報告書が大体まとまったという段階です。配布資料8「国語に関する調査研究等の業務を担う組織と当該業務の在り方について(報告書案)」について,御意見を伺うという場ではないのでございますけれども,何か補足的にありますでしょうか。尾﨑委員,伊東委員,いかがでしょうか。
○尾﨑委員
配布資料8「国語に関する調査研究等の業務を担う組織と当該業務の在り方について(報告書案)」の一番最後に書かれている三つのことは非常に重要なので,今後に期待をしております。以上です。
○西原主査
伊東委員はいかがでしょうか。
○伊東委員
特にございません。
○西原主査
よろしいでしょうか。はい,ありがとうございました。こういう文章が出ていくということを,予め御理解いただきたいと存じます。
少し時間を経過してしまいましたけれども,以上が本日の議事の全てです。長時間に渡って御議論いただきましてありがとうございました。それでは,これで会を閉じます。ありがとうございました。
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