フィルムセンターの在り方に関する検討会(第3回)議事要旨

1. 日時 平成16年4月21日(水)15:00〜17:00

2. 場所 東京国立近代美術館フィルムセンター内会議室(6階)

3. 出席者
(協力者) 横川座長,岡田,河原畑,関口,髙村,西村,松本各委員
 
(オブザーバー) 辻村哲夫 独立行政法人国立美術館理事長,東京国立近代美術館長
 
(文化庁) 寺脇文化部長,木曽文化財部長,西阪芸術文化課長,下坂美術学芸課長,高尾美術学芸課美術館・歴史博物館室長,佐伯芸術文化調査官 外


4.概要
前半をフィルムの収集・保存の在り方,後半を収集・保存以外の機能の在り方に分け,委員間で以下のような議論が行われた。
(前半:フィルムの収集・保存の在り方について)
映画作品をCDなどのデジタルメディアで保存した場合,何十年先まで保存できるのか,実証データがない。
また,デジタルメディアからフィルムにきちんと復元できるかが問題である。プリントが痛んだ時のために,再び復元できるよう,ネガの保存も必要である。費用の問題もあるが,ネガの保存の義務付けが必要なのではないか。
プリントした作品を保存すると同時に,学習・研究のため,簡易に閲覧できるようDVD化するとともに,特に希望がある場合は,スクリーンで見られるなど保存作品を活用していくべき。
法定納入制度については,クリアしなければならない課題も多いことから,今後時間をかけて検討していくべきである。現段階では,映画製作会社と広く協定を締結することや,収集基準を設け,基準に合致したもののみフィルムを収集していく方が現実的なのではないか。
収集・保存を義務付けない限り,これまでと何も変わらない。法制化に伴う課題は,別の有識者や法律家に知恵を絞ってもらうとして,我々は映画振興の観点から,法定納入が必要であることをきちんと主張するべきである。
近年の映画フィルムでさえ,既に散逸していることから,映画フィルムの法定納入について,本検討会において意思表示をすることは賛成である。しかし,実際に全ての映画フィルムを収集できるかについては疑問である。
メジャーの映画製作会社自体が,これまで映画フィルムを大切にする意識が希薄だったのではないか。
協定を締結する際には,映画フィルムの収集に強制力を設けることはできないだろうが,製作者側が納入の意識を抱いてくれるような仕組みを作る必要がある。
納入については,まずは出来るところから納入してもらうべきであり,具体的には,文化庁が行う文化映画賞を受賞した映画作品をフィルムセンターに納入する規定を設けてはどうか。
全ての映画フィルムを保存することについては異論ないが,国が映画フィルムの納入を義務付けるというやり方には疑問。映画フィルムが自発的に納入されるような仕組みを作るべき。また,納入を義務化したとしても,罰則がなければ意味がない。製作会社のメジャー,マイナーにかかわらず,フィルムセンターがフィルムを円滑に納入できるようにすべき。
国が映画フィルムを収集する以上,国家権力を行使して,強制的に集めるべき。そうでなければ国がやる意味はない。
「日本映画フィルムの保存を行う制度の創設」という映振懇の提言をしっかり実現する必要がある。
ネガの納入については,製作者に了承をもらって行うこととなるが,知的財産権に関する問題があり,難しいのではないか。
独立プロの中には,フィルムの保存に悩んでいるところが結構多い。フィルムセンターで保存が可能だということを広く周知することで,もっと納入フィルム数が増える。
国立国会図書館法を改正することも重要だが,一方で,フィルムセンターの収集活動をもっとアピールしていくべき。
納入の考え方については,次回以降引き続き検討する。
(後半:収集・保存以外の機能の在り方について)
今後映画の広場の活性化を考えると,場所をフィルムセンター1階へ移した方がよい。
また,フィルムセンター内に設置されているフィルムコミッション連絡協議会についても検討する必要がある。地域のロケーションを活用するため,ロケーションをデータベース化して,利用を希望する人達がロケーションを選択することのできる環境を作れないか。
人材育成については,フィルムセンターの設備や,その他の資産を職能団体が中心となって活用し,学生を対象としたインターンシップ,後継者の育成ができればと考えている。また,人材育成の窓口を,フィルムセンター内に設けることはできないか。
インターンシップについては,学校や文化庁,インターンシップの受け入れ先となるプロダクションや製作会社などが,三位一体で行っていく必要があるのではないか。
映画の広場を一階に移設することは,セキュリティの観点からもふさわしい。限られた人材で収集・保存をやっていかなければならないが,現在のフィルムセンターの事務能力では飽和状態に達している。
フィルムセンターに事業費をつけて,実際の運営・業務については団体に委託し,業務内容をフィルムセンターがチェック,維持していくことも対応策として考えられるのではないか。
映画の広場を,実際に使いやすい場にすることが大切である。また,広場の利用規約も使いやすいように見直すべき。
フィルムセンターの機能を収集・保存機能から大幅に拡充するのは物理的に不可能であり,それ以外の機能についてはNPO等と連携してやっていくことで,実現できるものも多い。
映画の広場の問題は,広場が場所的,時間的な制約を受けていることである。理想を言えば,広場を1階に移した上で,24時間営業のような形にしていつでも映画製作者や映画に関心を持つ方々などが集えるようにすれば大きく変わる。
また,映画の製作を希望する人達に開放する場を設ければ,より活性化していくのではないか。
映画の広場の浸透度が足りない。映画を核として人が集まり,話し合いができるような場にしていくべき。
例えば,センターの映画上映と併せて,製作者を呼び,ティーチインを行うなどの試みも必要。
映画振興全体の中でフィルムセンターがどのような役割を果たすべきか,核となる考え方が必要である。文化行政として行うもの,その他でやるものを含めて,今後検討すべき。

5.今後の日程
次回は,5月19日(水)に開催することとなった。

以上

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