フィルムセンターの在り方に関する検討会(第5回)議事要旨

1. 日時 平成16年6月9日(水)14:00〜16:00

2. 場所 東京国立近代美術館フィルムセンター内会議室(6階)

3. 出席者
(協力者) 横川座長,岡田,河原畑,髙村,西村,松本各委員
 
(オブザーバー) 高野悦子 東京国立近代美術館フィルムセンター名誉館長
辻村哲夫 独立行政法人国立美術館理事長,東京国立近代美術館長
 
(文化庁) 寺脇文化部長,木曽文化財部長,西阪芸術文化課長,下坂美術学芸課長,高尾美術館・歴史博物館室長 外


4.概要
これまでに出されたフィルムセンターの各機能の在り方を踏まえ,今後のフィルムセンターという組織の中で反映させることができるかについて,委員間で以下のような議論が行われた。
フィルムセンターを独立させるには,具体的にどのようなことをやればいいのかその段取りが分からない。
映画の機能をフィルムセンターに全て担わせることは難しく,収集・保存以外の機能を付与するとなると見直しが必要になる。
フィルムセンターの機能は,基本的にアーカイブを推進していくことでいいと考える。フィルムセンターを独立させるのは素晴らしいことだが,現実的には難しい。
フィルムセンターの機能として,アーカイブに特化するだけでいいのか。フィルムセンターの立地条件を考えると,他の機能も付与させることを考えて欲しい。アーカイブ化だけなら相模原分館だけでも担うことができるのでは。
「これからの日本映画の振興について(提言)」では,独立の形態として色々な手段が挙げられていたが,その他に機関の在り方を考えることはできないのか。
映画振興に関する懇談会が始まった時,国に色んなことをやって欲しいと思っていたが,今では製作支援以外にも,人材養成や各地の大学での積極的な取組に対し,国が協力するようになってきた。
このような状況の中,フィルムセンターが映画に関するあらゆる機能を果たす必要はないのではないか。フィルムの収集・保存,普及・上映を中心にやっていくべきである。
フィルムセンターがそのまま「映画センター」のようなものになるのではなく,数多くある映画機関と協力していく中で,「場としてのフィルムセンター」として認知されるべき。このことは,映画に関わる人全てが受け止める問題である。
映画は芸術,美術の一環で,独自性のある幅広い機能を備えており,フィルムセンターについては,独自の組織として存在する方が活性化していくものと考える。しかし,フィルムセンターの今後果たしていくべき機能としては,フィルムの収集・保存と,それを基にする普及・上映機能を中心としたものでいいのでは。
組織の在り方については,他の美術館と並ぶ形にするか,もしくは独法化する方法があるが,現実的には他の美術館と並ぶ形になるのが一番いいのではないか。
世界が認める映画行政を行う場として,フィルムセンターが映画に関する全ての機能を担うような組織になっていない。現実的な問題を解決するには,まずは他の美術館との並びをとり,その中でアーカイブと普及・上映機能を果たしていくべき。
映画は従来の伝統芸術とは異なり,社会性などを有しており,色んな分野の方々が結集して映画を作り上げていくものである。
海外を見回した際に,国における映画の重要性を示すための機関が存在しているが,日本ではフィルムセンターがその機能を担うことにより海外にその存在を示すことができる。
独立を視野に入れると,アーカイブ機能を果たすだけでは規模が小さいのではないか。人材養成や製作支援の話もあるが,これらについては「映画の広場」を活用すればよく,その他必要なことについては,文化庁などにもご協力をいただきたい。
フィルムセンターにあらゆる機能を付与することは不可能。本来は人材養成は関係業界が担うべきものであり,製作支援についてもフィルムセンターとは別の形でやればよい。フィルムセンターにおいては,従来果たしていた機能に,実現可能な機能を付与する程度でいいのではないか。
現在,映画のために交流する拠点がない。ネットで拠点を作ることも一つの手段として考えられるものであり,誰が実現するのかも含め,議論すべき。
人材養成で問題なものは,養成した人材の受け入れ先が必要であること。環境の整備も含め,業界を挙げて取組む必要がある。
映画に関して,何でもフィルムセンターや文化庁が担うのではなく,業界も積極的に取組んでいくべき。人材養成に関しては,映画の創作者のみならず,子どもに対する映画教育など,裾野の部分の人材養成にも取組んでいくべき。
映画作品の保存については,映画作品であれば,保存方法は異なれども,デジタルであれ,フィルムであれ,形にとらわれず収集していくべき。
以前,映画は文化財として認められなかったが,現在映画の文化的位置付けは高まっており,国が映画を文化財として認めてくれるものと期待している。映画が文化財として認知されることにより,社会的に認知されることになる。

5.今後の日程
次回以降の日程については,今後事務局で調整されることとなった。

以上

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