議事要旨

新国立劇場及び国立劇場おきなわの運営の在り方に関する検討会
(第2回)議事要旨

1.日時

平成23年5月12日(木)14:00~16:00

2.場所

文部科学省 東館 3F2特別会議室

3.出席者

(委員)

渡邉座長,田村座長代理,伊藤委員,大城委員,田中委員,中山委員,西川委員,牧委員,吉本委員

(文化庁)

吉田文化庁次長,小松文化部長,関文化財部長,大木文化庁政策課長,湊屋伝統文化課長,高比良文化庁政策課独立行政法人支援室長,滝波文化庁政策課企画調整官,牛尾大臣官房総務課行政改革推進室長

(オブザーバー)

白石内閣官房行政改革推進室内閣参事官,崎谷日本芸術文化振興会理事,韮澤新国立劇場運営財団常務理事,宜保国立劇場おきなわ運営財団常務理事

4.議事内容

(1)課題整理に関する意見交換

渡邉座長から開会宣言後,本日は資料3(論点整理(叩き台))をベースに,まず現行の運営形態に関する課題整理を行い,次に想定される運営形態について比較検討を行った上で,今後の運営形態に関する本検討会としての考え方の方向を出すことについて説明があった。
 続いて事務局より資料2(第1回検討会における主な意見)及び資料3前半部分について説明があり,引き続き崎谷日本芸術文化振興会理事より資料4(運営形態に関する課題整理)について説明があった後,以下の意見交換が行われた。

【田中委員】

 経済界の寄附案件は,最盛期は約120億円,今は年間20~30億円に減少しているが,その中で新国財団に約5億円,多い時期は約7億円の民間の金が入っている。そうした組織は殆ど聞いたことがなく,形態が財団法人という民間組織であることが大きい。
 国や国の役割を担う独立行政法人に対する企業の理解は,活動は税金で賄うべきで,法人税,固定資産税等の税金を企業は納めており,更に寄附まで求めるのはおかしいというもの。国の関係する機関にすると,民間からの寄附が激減するのは必至と思うので,形態は今までどおり財団法人でいくべき。
 財団法人の会長や役員,職員に民間人が入り努力する。芸術に携わる人など多様な人たちの参加を得て,良い芸術活動に取り組んでもらうには,国のような硬直的な機関では難しく,民間法人という形態を維持すべき。

【吉本委員】

 資料4追加資料で,振興会直営とする場合に寄附金がなくなり繰越金が使用できなくなる理由を伺いたい。財団だから寄附金が集まりやすいとのことだが,独立行政法人では民間からの寄附金を得ることができない法的制約があるのか。繰越金が使用できなくなるのは,目的積立金が国の承認等がないとできないとの理解で良いか。

【崎谷理事】

 寄附金等収入を独立行政法人が受けることは法的に認められているが,振興会に芸術文化振興基金を作る際に企業から多額の寄附金を頂いた。その後に新国立劇場ができ,そこに寄附をお願いしても,もう協力したし現在は新国財団に大いに協力しているので,その上に振興会にまで支援できないとか,独立行政法人という法律で定められた法人なら,国の支援が先決で,企業はどうしても寄附を出さなくてはいけない立場にはないとの答が返ってくる。新国立劇場が振興会に加われば,そうなる可能性がある。財団設立時に経済界の理解ある人も一緒に,財団の形で応援しようとした経緯があるので,独立行政法人になるなら支援はやめようという声がある。
 繰越金については,財団だからお金の取崩しができる。寄附金等収入が7億円あるが,収支の見込みが立たないため取崩さざるを得ない。独立行政法人の場合,赤字予算を初めから組むことは考えられず,収支ぎりぎりの場合どうしても使うときは相当の手続が必要。現に国立劇場部分でも利益が出た場合,目的積立金として翌年度に使いたいと文部科学大臣に申請しても経営努力認定が厳しく,文部科学省と財務省との協議が成り立たない。独立行政法人になれば同じことが適用されると考える。

【西川委員】

 新国財団の常務理事と芸術監督が連携・連絡をとり,理事長が基本的に運営方針の提示・公演計画の承認を行うが,分野ごとに担当理事を設けて,演目や財政・運営面を決定しているのか,それとも包括的にやっているのか。

【韮澤理事】

 芸術監督はオペラ,舞踊,演劇の3名おり,常務理事は分野別ではなく業務別に総務・制作,営業,技術を担当している。制作面は制作担当理事が1名おり,芸術監督と連携をとりながら業務を行っている。常務理事が事務面を担当し,財源の確保,予算の執行,人事管理,契約・権利処理などについて制作部を指揮する。一方,芸術面は芸術監督がいわば全権を持って制作部を指揮する形。

【西川委員】

 芸術監督と制作部が主に来年度のレパートリー,演目を決め,赤字が出たり運営的な面や集客,戦略がうまくいかなかった,一方で作品として適切でなかったというときは,責任は全て芸術監督ないし制作部にあるのか。

【韮澤理事】

 基本的に作品の芸術面で質が悪いとか問題がある場合は,芸術監督が責任を負う。一方,観客が少ないとか営業面で問題がある場合などは常務理事が責任を負う。
 理事長は運営全体を統括しているが,芸術面については3人の芸術監督がそれぞれの部門の最高責任者として芸術上の責任を負っている。理事長も芸術面のことは例えば公序良俗に反するなどの問題がある場合を除き,基本的に芸術監督にお任せしている。

【渡邉座長】

 資料4参考資料の2頁の新国財団の組織図で,常務理事に仕事がぶら下がっているが,民間では考えられない。営業,制作,舞台等の仕事が主体であって,誰が責任と権限を持つかという組織の書き方にしないと,管理会計的なお金の問題や責任が全部絡む。芸術監督は各分野の制作をすると同時に,興行上の収入やコストに対して責任を負うのかどうか。責任は制作部等が分担して負うのか。説明的な組織図となるよう書き方を工夫すべき。
 入場者1人当たりのコストについても,育成のためのコストまでかけて良いかどうか。オペラ,バレエ,演劇では恐らく1人当たりの収入に対してコストが違う。そういう書き方で良いか財団には説明責任がある。コストが掛かるのは当然と見るか,掛かり過ぎと見るか,もっと掛けなければ良い作品ができないと主張するか。丼勘定で入場者1人当たりで他の劇場と比較しても意味がなく,工夫が必要。
 コスト比較表は寄附金と繰越金の問題だが,本来,上部団体の振興会にこの管理をするために何人いるのか,どれだけコストが掛かるのか。財団側にどれだけコストが掛かるのか。共同運営したらコストは変わらないのか,ガバナンスを含めればもっと要るのか,統合したときに3,4人でも重複部分が減らせるのかが書かれていないといけない。この比較表は,合併したら新国財団の人数がそのまま移るという考え方。
 今の運営形態の方が民間の創意が入って良い興行ができ,より多く収入を得ているが,振興会と一体化すると組織肥大化や動きの悪さで興行面にマイナス影響が出るのか。そういう考え方がなければ単なる足し算にすぎず,それがあって今の運営形態を採っていると思う。質の面,上部組織と業務運営を行う組織の人員がどういう関係かきめ細かく作って欲しい。

【崎谷理事】

 資料4追加資料は,財団の業務を振興会に移す場合について書いたもの。現在,振興会に新国立劇場部があり,6人の職員が直接執行,中期目標・計画,予算,評価等の業務を行っている。取扱金額は約7億円。仮に統合する場合,新国立劇場の仕事として一緒に移すのは当然だが,独立行政法人レベルに対応する計画,評価等に関する管理部門の強化が必要。
 寄附金や繰越金の減少による収入不足分をチケット代で補うとどうなるか試算すると5割増となる。しかし観客数が維持できるとは考えられず,想定以上に観客が減ると更にチケット代を上げねばならない悪循環になり興行的に成り立たない。できるだけ単純化して説明した。

【渡邉座長】

 単純化したため問題に答えていない。上部組織と業務委託を行う組織があって,統合すれば重複部分が減らせると類推するが,今の説明では減らない。振興会の6人は管理運営上必要で組織的に分かれてやっているにすぎず,分かれている方が良いという結論にならなければ,今の形態で良いという弁明にならない。

【崎谷理事】

 分かれているのは劇場運営と公演,研修,調査等の業務で,包括的一体的に運営するためには財団の組織が最も適切で,そこと切り離してもできることを振興会で取り扱っているから,連携・協力の関係ができている。そこに無駄はないと考えている。

【渡邉座長】

 おきなわ財団は41名の職員がいて,県派遣職員24名も財団が給与を払っている。41人は年間働いているが,公演日数は年間39日である。これについてどう答えるか。

【崎谷理事】

 両劇場の主催公演の大きい違いは,新国立劇場はオペラやバレエでも5~6回公演が基本,演劇公演は20~25日の公演がある。国立劇場おきなわの組踊,琉球舞踊,沖縄芝居は,1~2回公演で,それだけの観客数しかない中で工夫している。公演数が少なくても準備や手間をかける密度を考えたら,これだけの職員でぎりぎりでやっている。独立行政法人の年度計画でも組踊の公演数等を決め,それに従った公演計画を組んでいる。

【田村座長代理】

 組織図で芸術監督が脇に出ているが,芸術監督は制作部や営業や技術に対してどの程度の予算権,人事権を持つのか。芸術面のアドバイザー的な力しか持っていないのか。

【伊藤委員】

 寄附行為には,芸術監督を置くとか総監督を設置できること等について書かれているが,業務内容は一切書かれていない。説明を聞いても納得できないので,運営規則や細則でどれぐらい芸術監督の職務について書かれているか見せて欲しい。
 データによると管理部門の比率が多くないことは分かったが,実際に144名で新国立劇場の活動を行うのは不可能で,外部委託(アウトソーシング)も含め様々な人たちが関わっている。
 海外の劇場も10年前に比べ相当外部委託が進み,職員数が減っている。その中で,管理部門を外部委託するのか,警備,清掃など雑用は当然外部委託されていくが,制作部門を外部委託しているのか,新国立劇場について分からない。数はコンパクトで頑張っているように見えるが,コアになる人材構成がどうなのか,明確にして欲しい。

【韮澤理事】

 組織図は主に事務局部分を中心に書いている。芸術監督は非常勤ということもあり,横に出して表現したが,芸術面の最高責任者であり,その指揮を受けて制作部長等が仕事をしている。
 芸術監督の職務内容については,財団に組織規程という内規があり,芸術監督について,オペラ,舞踊,演劇の各分野にそれぞれ一人置くこと,芸術監督は理事会において承認された公演に関する計画に基づき,それぞれ担当する分野の公演事業について芸術面に関する事項を掌理すること,すなわち担当部分は責任を持って仕事することが決められている。
 職員140人ではとてもできないので特に技術関係で外部の協力を得ている。公演のある日等にホワイエで切符を切る方,警備,清掃等は全部既に外部委託している。
 管理部門における総務関係は,財団全体にかかわる重要な事項の処理,例えば本検討会への対応や重要な予算の執行管理等を行っている。

【渡邉座長】

 理事長がいて芸術監督がいて制作部があるという中で,全体がどう組織的サポートをするかによって新国立劇場の質的評価が決まる。好評を得ていると言うがどのように認識するのか。

【韮澤理事】

 新聞,雑誌で新国立劇場の公演は極めて多く取り上げられ,大部分は高く評価されていると考えている。入場率が平均8割を超え,アンケート等でも9割近い方が満足し,様々な受賞も多く,総合してお客様の評価を得ていると考えている。

【渡邉座長】

 樫谷委員から五つの質問が来ている。その中で各劇場のユーザーに対するアンケート等で意見聴取しているかという質問があり,あれば示して欲しいとのことで,ご用意頂くと有難い。
 各国の特にオペラ座の運営を見ると三パターンに分かれる。ドイツやオーストリアは補助金収入と事業収入で殆どの収入を確保している。英国はエージェンシーの歴史もあるのか,どちらかというと補助金型からバランスよく給付金と事業収入型へ移っている。米国は伝統的に殆ど寄附金と事業収入で確保し国からのサポートはない。
 我が国のオペラハウスとか何か,どういう方向に進もうとしているのか。方向性として英国型なのかドイツ型なのか,米国型は無理だとすると,進む方向によって一番良い運営形態に決まっていくと思う。英国型でいくと民衆に広がっていて,BBCと一体になった運営などやり方も変わってくる。考えがあればお聞かせ願いたい。

【韮澤理事】

 オペラはドイツとイタリアが中心であり,我々の場合は主にドイツの劇場を一つのモデルとしてやってきている。

(2)各運営形態の比較検討に関する意見交換

 次に事務局から資料3の後半部分(運営形態に関する比較検討)について説明後,次の意見交換が行われた。

【伊藤委員】

 前回,A以外の案を積極的に主張したのは私だけのようだが,Aを全否定する訳ではなくC,Dに固執する訳でもないが,初めからAありきでは現在の問題について改善案が見付からないこともあり,主にCに即した形で考え方を説明したい。
 新国立劇場は大きく人事と財務,運営形態の問題。財務については事業収入比率が少ない等の批判もあったが,それは仕方ない。ただし公演数の少なさは開場13年で大きな問題。海外の劇場の事業収入が多いのは,コストを掛けているが観客動員数が大きい。夏シーズンを除いて年間ほぼ毎日開場し公演している。良い作品を作れば数年にわたって公演できるというレパートリーが確立している海外とは大きな差がある。
 業務運営,制作の仕組みについて大きな改善を図る必要がある。それに関して芸術監督の問題を,本検討会の課題ではないかも知れないが,提起したい。
 管理部門の比率が少ない点は,海外でも外部委託(アウトソーシング)によってこの比率が変わるが,イタリア,フランス等でこの比率が高いのは,ユニオン(組合)の力が強く,日本では完全に外部化できる末端管理の人たちが全部内部にいることが影響を与えており,一概に単純比較はできない。このような問題は,C,Dにしても解決できる問題ではなく,A,C共通して考えるべき問題として指摘しておく。
 次に芸文振。私は45年間の国立劇場の活動を高く評価し大ファンであるが,国の文化財保護政策の側面が強いため,日本の伝統芸能の保存が現代芸術とのつながりをなくしている側面が指摘できる。例えば,伝統芸能後継者の養成も,3年間の期間を修了した人たちの活躍の場が限られている。
 まずCというより,AとCの折衷案的な方向が考えられないか。芸文振に基金があり,並行して調査研究会が行われているが,アーツカウンシルの問題との兼合いもある。基金部は配分の問題と評価の問題が常にあり,国立劇場の評価だけでなく日本の文化行政全体に関わる問題との絡みがある。国立劇場が特殊法人の時代に基金を特殊法人として増やせず,一緒にしてしまった点に問題がある。アーツカウンシルの議論でどうなるか分からないが,基金部を切り離し,国立劇場,新国立劇場,国立劇場おきなわ等を事業部制的な形で,例えば国立美術館のように独法化し,個々の劇場が管理主体的な活動ができる形も,AとCの中間的なものとしてあり得る。最初からABCDEという分け方自体が固定化している。

【大城委員】

 前回の会議後,沖縄に戻って何名かの意見を聞いたが,国立劇場おきなわは現行方式でよいとの意見を多く頂いた。企業から寄附金等を得ているが多く望めない現状。寄附金がある一方で業務委託費が削減されるのはいかがなものか。国立劇場おきなわが開場した平成16年から昨年度までに22%ほど減少しており,企業から寄附を頂いた分だけ業務委託費を削減され,今後の運営に支障を来す。業務委託費が削減されないような方策が課題。
 多くの職員が県庁からの派遣だが,劇場を運営していく上でマンパワーの充実を図らねばならず,その課題を改善していく必要がある。

【田中委員】

 企業は今,民間の寄附に非常に消極的になっている。株主総会,代表訴訟等を意識し,総会で通っても質問されることを嫌う。企業経営にとって寄附するメリットがあるかどうかで,仮に財団の民営形態を維持しても,民間の寄附が維持できるか分からない。民間の寄附の意義や考え方を作り,企業に示していかないと,じり貧になる恐れがある。

【中山委員】

 私はAを前回支持し,今も変わっていない。
 国立劇場は直轄で,国立劇場おきなわは財団方式という説明が分からないので,直接的に本音で書くべき。
 新国立劇場の芸術監督の位置付け図を見ると,金勘定の部署と芸術面を管理する部署が「連絡」するだけで,これでは納得できない。具体的にどういう調整を互いにしているか箇条書きして欲しい。我々のような小さな所帯では何人か集まればお金のことから芸術のことまで話ができるが,新国立劇場のような大きな組織では,例えば稟議書の決裁権者が誰かということまで明らかにすべき。
 海外の劇場の多くは直轄の職員だが,新国立劇場はこの表にない膨大な臨時職員がいるはずで,同じテーブルに載せないと比較する意味がない。私自身,この表にある海外の劇場は全部楽屋まで行き,技術監督と話した。なぜこの人数が必要で,両面舞台が必要なのか,現地で習得できた。
 新国立劇場の組織図では舞台制作部門に殆ど人がいない。海外の劇場の技術部門は約300人だが,それだけ人がいないと舞台制作はできない。新国立劇場のやり方を明らかにしないと議論できない。どうすれば国民のためにやって頂けるか一生懸命考えているので,本音で話をさせて頂きたい。

【西川委員】

 官から民へという大きな流れ,財源である寄附金が確保しやすいか,芸術面で自由度が保障されるかを含めて考えると,新国立劇場はAで良い。芸術監督と運営面についての理事長,理事及び芸術監督の関係,スタッフの関係等々を考えると,うまくいかない場合に誰が経営面の責任を取るか曖昧。芸術監督の権限も芸術面だけで他はどうでも良いとならないよう両面必要。責任の所在がはっきりする体制が取れるなら,Aで機能すると思う。
 国立劇場おきなわは,新国立劇場と同じに扱うのは難しく,Dも考えられるのではないか。
 CとAの間の案があったが,法律等の環境が変わっていくときは,A,Cの間で検討する可能性もあるのではないか。

【牧委員】

 私はAが良い。芸術監督はお客様に良い作品を提供しつつ,劇場運営も理解し劇場を助ける部分も必要。芸術監督がやりたい作品もあると思うが,観客動員できないものもあるかも知れない。芸術監督は,できるだけ大勢に見て頂くことを考えて仕事すべきで,好きなことをして劇場が潰れたら何にもならない。世界に比肩する作品を出していかねばならないので,今までその路線に乗ってきている。他の業務で検討することはあるかも知れないが,Aで良くいっている。今後もっと力が出る時期に入ってくるので,Aに賛成する。

【吉本委員】

 比較表でメリット,デメリットを比較すると、Aしかない。全体を通して他の案ではだめだから仕方なくAになったという印象がある。私としては独立行政法人制度には制約が多く,独立行政法人直営ではできないから,柔軟な運営ができる財団を選ぶものと受け止めている。B・Cの考え方の最後,独立行政法人制度の見直し検討の中で,懸念を解消できるか注視する必要がある,とあるのがポイント。この検討会は,見直しの基本方針で,法人が直営する場合との比較を含め,現行の財団への運営委託で良いか検討を求められており,真面目に検討するとこのとおりだが,これでは,仕方なくAになったという経過を示すに過ぎない。将来ビジョンを含め,両劇場の運営形態はこうあるべきと,強くポジティブに書けないか。
 国立劇場は法人直営で,新国立劇場と国立劇場おきなわは財団運営委託という違いについての説明は私も分からない。資料3の16頁の下から二つ目の○のなお書きは消去的な説明となっており,両劇場は関係者の理解・協力が得られないから財団委託しているとも読める。国立劇場は法人直営で,両劇場が財団委託であることの違いについてこれでは私は説明できない。
 比較検討の結果,Aとなった場合でも,独立行政法人制度の在り方そのものを見直したとき,もっと良い運営の形態があるかも知れないというニュアンスも出して,検討依頼されたことに答えるまとめ方はないか。
 資料4参考資料の5頁は独立行政法人と財団が明確に役割分担し重複がないことの説明と思うが,国が独立行政法人に運営資金を提供するが,決算報告は財団が直接国に提出することになっている。国から見ると,支出先から説明を受けずに,その先の業務委託した財団から説明を受けるように見え誤解を与えるため,説明を工夫すべき。

【渡邉座長】

 財団は劇場の管理運営の他,民間的な仕事もやっていて,両方合わせた財団法人としての決算報告を国にする必要があるということ。

【田村座長代理】

 仕方なくAが成り立っているのが現状と思う。国立劇場おきなわについては,なぜ他の伝統芸能と別なのか疑問。特殊法人新設が認められなかったからというよりも,最終的に国の文化政策としてどうするか,そのためにどうしたら良いかという視点で考えた方が良い。

【渡邉座長】

 運営形態の方向性のニュアンスは分かったが,問題も多い。理想的な姿はあるはずだが,独立行政法人をなるべく減らす,増やさない,お金は一律減らす,ということでやって来た。独立行政法人は寄附を積極的に募るべきと言うが,寄附を募るノウハウがなく,誇りも高く,寄附が集まらない。
 法的縛りの中で,理想的な形態から現実的な問題も踏まえて考える必要。芸術監督や運営に関する課題は,民間の入った現在の形態の方が実現しやすい。将来,独立行政法人は財団型になるかも知れず,現在の姿は先を行っているとも考えられる。利点を生かして運営しても適切に評価されないのは問題。Aにするにしても運営については改善しなくてはいけない。
 民間は自分で経営しなくてはならないから,法人運営の責任は明確に自己が負っている。税金が入るノンプロフィットの問題点は,責任が曖昧なところ。ガバナンスの体制は必要で,独立行政法人のガバナンス改革はこれから取り組まれる。本検討会の結論が最終的に将来の運営を示すことになることを希望する。

(3)今後の日程

 事務局より,今後の日程等について以下のとおり説明があった後,閉会した。

  • ・次回は,6月3日(金)14:00~16:00に文部科学省内にて開催予定。
  • ・本日の議論を踏まえた論点整理(案)について次回までにメールによる意見照会等を行うこととし,後日事務局から連絡予定。

(以上)

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