国立メディア芸術総合センター(仮称)設立準備委員会(第6回)
議事録

1. 日時

平成21年8月21日(木) 15:00~17:00

2. 場所

旧文部省庁舎6階 講堂

3.議題

  1. (1)基本計画(案)について
  2. (2)その他

4. 出席者

(委員)

安藤委員,石原委員,さいとう委員,里中委員,中谷委員,布川委員,浜野委員,林委員,古川委員,水口委員,森山委員

(オブザーバー)

阿部氏,石川氏,岡島氏,甲野氏

(事務局)

玉井文化庁長官,合田文化庁次長,戸渡長官官房審議官,清木文化部長, 清水芸術文化課長, 外務省文化交流課, 経済産業省文化情報関連産業課(メディアコンテンツ課), 観光庁国際交流推進課

(欠席委員)

植松委員,神村委員,土佐委員

15:00 開会

○浜野座長

 定刻になりましたので,ただいまから国立メディア芸術総合センター(仮称)設立準備委員会の第6回を開催いたします。
 本日はご多忙のところご出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 なお,カメラの頭撮りは配付資料の確認までとさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 会議に先立ちまして,事務局から配付資料の確認と説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○清水芸術文化課長

 〈配付資料の確認・説明〉

○浜野座長

 どうもありがとうございました。前回までは基本計画に盛り込むべき事項を箇条書きにしてご議論いただきましたが,委員の発言を踏まえて文章化して今日の基本計画案ができました。事務局から案文ができた段階で各委員に事前に送付させていただきましたので,目を通していただいていることを期待しているんですけれども,文章化したことを全員で議論するのは今日が初めてですので,この見ていただいた案に沿ってご意見を伺いましてブラッシュアップしたいと思います。内容が目的とかセンターの盛り込むべき機能と管理運営とか組織体にかかわることと2つ分かれておりますので,まず7ページまでは目的と機能について書かれております。まず7ページまでの前半部分についてのご意見を委員の方々からお伺いして,その後,後半の施設内容とか管理運営についてご意見をお伺いしたいと思います。
 それでは,前半の7ページ目までについてご意見があれば伺いたいと思います。いつも安藤先生だと申しわけないので,逆に行きましょうか。では,森山さんから。

○森山委員

 前回欠席してしまって大変失礼いたしました。ただ,事前に基本計画案につきましては考えを送らせていただきまして,それはほぼ盛り込んでいただいたと思いますので感謝しております。
 前半につきまして私が主にもともとの案に盛り込ませていただいた部分は2ページになりますが,上のほうにあります趣旨・目的,それから注の部分ですね。趣旨・目的でこのようなセンターになるというのを最初に宣言すべきだと,それはしていただきまして,注でメディア芸術とは何かというのを補足させていただきました。単数形のメディアアートというと主に複製芸術時代以降のメディアを用いたファインアートとしてのメディアアートで,複数形になりますとメディア芸術といって,今ここで言う意味の,「メディアアート」も含む総合的な領域になっていくという点です。これで非常に気になっておりましたのがいろいろと昨今の報道の中でここの部分が正しく報道されておらず,メディア芸術というのは日本固有の割とひとりよがりな領域であるかのような報道がされていて,それでその根拠として,「なぜなら英語にすると『メディアアート』になってしまうからだ」というような報道があるのを目にしたことがあります。それは残念ながらちょっと事実関係の間違いでありまして,ここで言っているメディア芸術というのは,やおよろず的に日本固有のいろんな領域が一つとなって,複数の領域が総合的に展開されるものをメディアアーツという複数形でメディア芸術の本当の意味として表現しています。そのことをきちんと定義したほうがいいと思いましたので,このように書かせていただきました。ここのところの背景にはそのような事情があります。とかくここが誤解されがちであったと思っております。
 1つアドバイスをいただきましたのは,この注の部分のところで「双方向性・参加体験性を特徴として」と書かせていただいているんですが,これを一読してインタラクティブアートという双方向性のアートがイコールメディア芸術とかメディアアートであるようにとれるというふうなご指摘もありましたので,委員の先生方がどのようにお受け取りになるか,問題なければこのままでよろしいかと思いますが,特徴の一つとしてこういうものはあるけれども,イコールではなくて一部である。非常に魅力的な特徴としてこれがあるけれどもという意味になっております。前半はそのようなところですね。
 それから,その下にあります補足の部分で,メディア芸術は常に変化しており,新しい領域を取り入れていけるような施設にしてくださるというようなことを書いてくださっている,ここが非常に重要だと思います。いろいろ誤解もありますけれども,本当に新しい価値観を独自のものとして,オリジナリティーの高いものとして世界に発信するために変容していく領域に写真だとか先端技術を用いた新領域,今何であるというふうには断定できないんですが,こういう部分を柔軟に受け入れていくということも基本計画に入れていくということを入れさせていただいた部分が非常に大きかったと思います。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。それでは,林さんお願いします。

○林委員

 前回の議論も踏まえまして,この前半に関しては非常にうまくまとめていただけたものと思っています。
 定義の部分に関しても前回はややわかりづらい部分があったものが,日本固有の意味合いを打ち出しながらまとめていただけたということで,わかりやすくなったのではないかと思います。加えて産業振興,観光振興ということが入ったことによこれがわが国の現在緊急経済対策,つまり国を挙げてのその経済対策として取り組まなければいけないテーマなんだということが表現されたのではないかと思います。
 この後,7ページ目の部分はいわばゴールイメージというか,いろんなことをやりたいというふうになっていますが,実際にはこの後の具体的な実施計画の中でプライオリティーなり,あるいは段階的なステップをどう踏んで何から優先的に実現していくのかということが現実的に詰められていけば,よりリアルなものになるのではないかと感じています。
 いずれにしましても,国営マンガ喫茶とかアニメの殿堂とかそういった風評を払拭できるような内容にはなってきているのではないかと思っておりますので,この先を考えていけばもういいのではないかと思います。
 この先の部分で言いますと,今日のこの議論を経てこの基本計画という,つまりこの設立準備委員会が答申する内容がここで確定をするというぐあいにとらえていいのかどうかということと,仮にその確定をするというのが今日のタイミングであれば,前回もちょっとお聞きしましたけれども,この後のステップはどういうスケジュールで進むのかということについても少しご説明いただけるとありがたいと思っています。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。最後のご指摘は後半部分で事務局にお答えいただきたいと思っております。
 それでは,布川さんよろしくお願いします。

○布川委員

 私も本当に前々回いろんな議論を進めた中で煮詰めた文章としてはすごくわかりやすかったんじゃないかなという気がいたします。
 もう一つここに私自身が加えるとすれば,やはり前回の委員会にも言ったのですが,海外からの評価を得られるということをもう少し力点として入れてみたらどうでしょうかと思います。日本の大きなメディア芸術というものを大きくうたい上げて,一つのミュージアムとしてつくるならば,これはやはり海外からの見方というものが相当注目されるでありましょうし,そのことをもう少し大きな文章で描いてみたらどうでしょうかと思います。
 また個人的には芸術という言葉が少し多過ぎるような感じも受けますけれども,これは国立メディア芸術センターとうたっている以上は,致し方ないことなのかもしれませんね。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございます。では,中谷委員,お願いします。

○中谷委員

 よろしくお願いします。
 拝見させていただきまして,まとまりは非常にいいと思うんですね。それで,本来この国立メディア芸術センターを私がイメージしていたやっぱり一番コアになるイメージは,やっぱりハブ的な機能を有するような新しい形の総合センターというイメージがあったものですから,この文章を見ると,そのイメージが少し足りないような気がするんですね。そして,前半はこういう形で説明はいいと思うんですけれども,私が一番大事だなと思っている他機関との連携という項目が基本計画ではあれ,もう少し突っ込んだ表現がされていていいのではないかなという気がします。それで,この連携イメージもいただいているんですけれども,この連携イメージを見ると余計わからなくなってしまうので,これに関してはもう少し説明を深くされていったほうがいいのかなという気はいたしました。
 以上です。

○浜野座長

 その詳しい説明というのを,具体的に教えていただけますか。

○布川委員

 人的な交流というようなイメージがありますよね。例えば客員研究員として他研究組織の人間との交流を図るような感じなのですが,もう少し構造として連携がどういうふうに図られるのかというようなことを盛り込んでいかないと,連携のイメージが全然この文章ではしてこないんですね。これは私だけかもしれませんが。

○林委員

 私もそう思います。やはり出さないほうがいいんじゃないでしょうか。

○浜野座長

 いや,連携はその相手があることなので,どこまで具体的に。

○布川委員

 そうなんです。ただ,相手がいるものの,こちらからどういうふうな連携をしたいというアプローチをしていかないと,相手もどうしたらいいかわかりませんよね。そういう意味ではこの基本計画ではそのぐらいのところは出していかないと,これから先を進めるにしてもなかなか交渉も難しいんじゃないかなという気がするのですが。

○浜野座長

 難しいですけれども,ご指摘の点,理解いたしました。では,里中先生お願いします。

○里中委員

 確かに今の問題は難しい面があると思います。書いちゃったら書いちゃったで具体的にどうなんだと突っ込まれそうな気もしまして,発表する前に全国のすべての関連施設とコンセンサスをとるというのはなかなか難しいことですが,もう少しぼかしてデータのやり取りあるいは研究成果の交換などとか,何か展覧会,巡回展をお互いにやりますよとかだけじゃないような中身のソフトについての共同でお互いの質を高めていくみたいなほうに持っていけたらいいのかなという感じが今お話を伺っていてしました。
 この案ですけれども,この「はじめに」というところがしっかり書かれていて,わかりやすいものになったとは思っております。
 あと,見ていて昨日までは余り気がつかなかったんですけれども,5ページの役割と方向性のところで,もし入れられるんでしたら文化輸出国といいますか,それを目指すというようなことをどこかに入れると,方向としてはでもそうだと思うんです。文化こそが問題なく輸出できて経済効果も上がるすばらしいもので,日本というのは割とそこのところを余り積極的に活用してこなかった面がありますので,フランスを見習えというわけではありませんけれども,こういうことをやったことが結果として,日本を文化輸出立国に向けて育てる礎となるよう努力するとか何か入るとイメージがもう少し前向きになるかなと思います。つまり経済効果がどれだけあるのかということで関心を持ってくださる人も結構たくさんいらっしゃるはずですから,遠い将来の経済効果を踏まえてこういうことは構築しなければいけないんだと。イメージとしては100年後なんですけれども,100年後に文化立国として存在しているため,アジアの中での文化の中枢発信国になれるようにと,そういうイメージづくりでこの1枚ペラのイメージ図というのももう少しドラマチックにつくるといいんじゃないかなと思いましたが,紙が1枚カラーでついているとわかりやすいことはわかりやすいんですけれども,確かに言われてみれば何か一応思いつくのを幾つか書いて輪っかでつないであるだけですので,そういう文化輸出国としてのイメージみたいなのを盛り込むと,もう少しすてきになるかなと思いました。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では,さいとう先生お願いします。

○さいとう委員

 何か1年ぐらいやってきたことの結果が何となく出てきたことにはとても感慨深いものがございますが,ただ最初に,1年前にちょっと疑問に思ったことがやっぱりまだ解消され切れていないという感じがしていて,このメディア芸術がアニメーション,マンガ,ゲーム,映画,写真等を一緒に,本来違うものであるのを一緒にしてしまっているためにやっぱり関連性みたいなものがどうしても薄いので,それは仕方ないことなんですけれども,何か一緒にすることによってすごくいい結果が出るんだみたいなことがもうちょっと何か具体的にイメージできないかなというふうに,ちょっと難しいことですが,本来ちょっと違う分野のものなので難しいとは思うんですけれども,その辺がもう少しわかりやすくどこかで説明できればいいかなという感じはいたしました。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございます。これは専門家だけじゃなくて国民の方々に対してのメッセージでもあるので,先生のご指摘,大変重要だと思うんですが,大変多分難しいのでちょっと考えてみます。
 では,石原さんお願いします。

○石原委員

 この7ページまでの趣旨,目的から役割,方向性,背景,そして事業内容全体に関しては大変よくまとめられており,これまでの議論が最大限に網羅され,すばらしい目標と事業内容が掲げられているというふうに思いました。ただ,ここまで大きく内容を広げて何でもやるぞ,ということになっていますので,7ページ以降の運営方法や施設内容といったものが,それにちゃんと見合うものになっているかということを,しっかり検証する必要があると思っています。
 以上です。

○浜野座長

 では,安藤先生お願いします。

○安藤委員

 いろいろたくさんの意見が出た中をよくこれだけの文章にまとめていただいたと思って感謝しております。我々の討論してきたことが非常によくまとめられていると思います。特に先ほど森山先生がおっしゃっていたメディア芸術のところなんですが,できるだけ誤解のないようにと思いますけれども,まさに森山先生がおっしゃったように,メディア芸術は常に変化しており,これまでにない新しい表現が常に生み出されているというところが肝だと思います。ですから,恐らく先ほど森山先生がおっしゃっていたインタラクティブ性というようなことも含めてなんですけれども,例えばビデオアートはどこに入るんだみたいなことが言われると,そういうふうに区分けをするといろんな形の弊害が起こってくるのは,それこそメディア芸術の特徴だと思います。つまり常に変化しているものなので,ですからでは映画というのはフィルムなのかというと,今のこれからの映画はフィルムレスになっていく可能性が大でありますし,そうするとそれは電子メディアを使うものであるからメディアアートなのかというと,またそれはそれで違った考え方もあるし,そういう区分をすること自身が,ですから森山先生がうまくこういうことを総括した形である種の区分けをしないとわかりにいくからということでこういう形で書いていただいたというふうに理解して,非常にいいまとめ方をしてあると思いますけれども,肝の部分はメディア芸術は常に変化しておりというこの新しいものがこれからもここの部類に分けられないようなものがこの中にどんどん存在してくるというような可能性をここの中で感じてもらいたいというふうな気がいたします。
 それから,先ほど里中先生のおっしゃっていた5ページの役割と方向性のところなんですけれども,一番最初の丸の中,保存・継承と創造というふうに2つのものを掲げた形になっているんですが,育成と発信という言葉は落としちゃっていいかどうか。つまり文化輸出国みたいな形というのはやっぱり発信でありますし,つまり常にやっぱり保存・育成,創造,発信という4つの柱というのはこの会議の中でもいつも述べられていたことなので,そのことをはっきりここで言葉として打ち出しておいて,前にはずっと人材育成のことも発信のことも書いてあるんですけれども,役割と方向性というところでポンと出たときに今,里中先生がおっしゃったような文化輸出国みたいなことをうたうんだとすれば,やっぱり発信というところの言葉もここで強調しておいてよろしいのではないかなという気がいたしました。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では,古川先生お願いします。

○古川座長代理

 僕は今,安藤先生がおっしゃったようなことと全く同じことを言おうとちょっと思っていたんですけれども,最後にやっぱり育成みたいなことをちゃんとある程度言葉で出していただいたほうがいいかなと思います。
 あと,細かいんですけれども,最初の森山委員のメディア芸術のところなんですけれども,このアニメーションというのも難しいんですけれども,例えばメディアアートはファインアート,アニメーションの例えばマクラーレンとかユーリ・ノルシュテインは絶対芸術だと思ってアニメーションをつくっているわけですし,こういうふうに言ってしまうと,またどこかに何かあるような,最初は森山委員の案にあったのは「ファインアートとしてのメディアアートやアニメーションだけでなく,エンターテインメントとしてのアニメ,マンガ,ゲームなど」と書かれていたんですが,アニメをアニメーションという言葉であの段階で統一したんですが,でき上がったこれを見てみると,ここちょっと何か引っかかったんですけれども,いかがでしょうか。一般にと書かれているからいいのかなという気もしないでもないんですが。それだけです。

○浜野座長

 マンガだってそう思っていらっしゃる漫画家の先生はいらっしゃるし,水口さんが前におっしゃったように,アートのゲームもあるわけだからちょっとこれ難しいんだけれども,それでは水口さん,ではお願いします。

○水口委員

 ざっと見させていただいて,非常に何人かの方がもう指摘されていますけれども,非常にある意味大きいものを包括している存在感のあるものになったのではないかなと思います。僕はやっぱり2ページの中ほどに書かれているメディア芸術は常に変化し続けると。ここはやっぱりメディア芸術のある意味一番いいところでもあり,つまりテクノロジーというものは常に変化し続けると。ただ,そのアートとかエンターテインメントとか,例えば人を楽しませるとか感動させるという本質は当然変わっていかないと。ただ,その2つの技術と芸術というか技芸ですよね。技芸,メチエという言葉もありますけれども,やっぱりそのダイナミズム,常にその時代の最先端を行き続けながら新しいテクノロジーをまといながら進化し続けていくと,常にとまらないこのダイナミズムというのが何かやっぱり少しずつ出てきたなという感じが文言の中にします。
 この前の原田さんが来られたときも「呼吸する場所」とかいろんな表現が飛び交いましたけれども,そういうダイナミズムも具体的にどういうふうに落とし込んでいくかというのは,これはある意味運営のやっぱり一番の醍醐味でもありますし,そこが大事なんだというところにつながっていくまとまりを見せているような気がしますね。
 あと,やっぱり常に若い世代,これからの世代が例えば私が子供のときには,これ何度も言ったような話ですけれども,ゲームクリエーターなんていう職種はないわけで,要するに今がこれで終わりではないと。つまり常に時代は動いて今ない職種とかい今ない分野がどんどん出ていくんだというその未来とか希望を感じられるような場所にすべきだという気もするんですね。若い世代がやっぱりそういうのを体感して自分たちもある意味このダイナミズムをつくっていく,そこに文化を創出していくとか,それが経済につながっていくとか,そういう流れを少しずつ感じられるような場所になると,それも非常にいいのではないかなと思います。それがある意味とまらない,どんどん変わり続けて進化し続けるこのメディア芸術総合センターの非常にやっぱり重要な価値じゃないかなと。それが感じられるものになってきたのは非常にうれしいことだなと思いました。
 個人的には余り皆さん1年以上もやられている方もたくさんいらっしゃる中で,余り回数を参加できなかったんですけれども,非常にすばらしいものにまとまったのではないかなというふうに思います。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では,阿部さん,いかがですか。

○阿部氏

 7ページまでは良くまとまっていると思います。この内容が正確に伝わったならば多くの賛同がいただけるのではないでしょうか。今日もマスコミの方がたくさんいらっしゃっていますので,アニメの殿堂やマンガ喫茶ではなく,このような内容であることを報道してください。宜しくお願いします。
 内容につきましては,欲を言えばもう少し具体的にしていきたいと思ったところもない訳ではありませんが,これは基本計画であるので次のフェーズに委ねるべきことなのでしょう。
 国民の多くの方々は経済対策の補正予算として出てきたこのメディア芸術総合センターに対して疑問や意見を出されています。したがって,このセンターがもたらす経済的効果を,もう少しイメージできるようにしていくことは必要であると感じました。
 以上です。

○浜野座長

 では,石川さんお願いいたします。

○石川氏

 皆さんと同じようにこれだけのいろいろな意見があったものをこういうふうにまとめていただいて,ご苦労さまでしたというふうに思います。やはり前半部分を読みますと,かなり幅広くいろんなことができるような形にはなっていますけれども,これは後半部分のほうの話でいろんな意見が出てくるのかと思いますけれども,なかなかこれをまた実現,具体的にどういうことをやっていくのかとか,どういう場所でどういうふうにやるということが非常に大変だなというのも一緒に考えています。
 やはりただ,一番初めに出てきたマンガ喫茶であるとかアニメの殿堂であるとかというところのほうが話題になっちゃいましたけれども,単なる展示施設というだけじゃなくて,あくまでも芸術総合センターということでいろんなもののハブ的な機能を持たせていくというところが一つの大きなポイントになるのかなというふうに思いますので,そういったところも十分この中には入っていると思いますので,あとこれをいかに本当に実際つくってやるときにはどういう形でやっていくのかというところが今度次にまた考えていかなきゃいけないのかなと。次の課題が出てくるのかなとは思いますけれども,今のこの段階ではこれでよくまとまっていると思います。

○浜野座長

 では,岡島さんお願いします。

○岡島氏

 私は少し皆様と違うかもしれませんが,7ページまでの中でこの2ページのメディア芸術とは何々であると,ここがやっぱり依然として私は少数派だと思いますが,もう少し何か書きようがあるような気がしております。それはメディアという言葉の難しさ,それからメディアという言葉と芸術という言葉が複合されたときの難しさに恐らく胚胎するところだろうと思いますけれども,それと「とは」ということを言いながら実はメディア芸術はこれとこれとこれを含んでいるんだよと言っているに過ぎなくて,恐らく包含するという言葉と芸術表現であるという言葉の間に何かこのメディア芸術たるものの特徴をとりわけ歴史性として位置づける言葉が必要なんじゃないかという気がします。うまい表現がだからといって私にアイデアとしてあるわけではありませんが,そんなに古いものじゃないんだよといったような何か言葉がこの「包含する」と芸術表現の間に必要なんじゃないかなという気がしております。
 それから,その注についてもメディア芸術とは何かというのは最初に出てくるのではなくて,メディアアートをまず定義して,その後でメディア芸術という一番定義しなきゃならないものが後に来ている。それから,ここでもまたメディア芸術とは何かというと,総合芸術でこうこう,こういうものが含まれているということを言っているに過ぎなくて,「メディア芸術とは」について本当に答えているようには私には残念ながら読めない。それもだからといって私にいいアイデアがあるわけではありません。やはりメディアという言葉は難しいと思います。USBメモリだってメディアと呼ぶわけですし,オーストラリアでは記者会見のことをメディア・ローンチと言うわけで,メディアという言葉は本当にやっぱり難しいんだと思います。
 そこの難しさで皆さん審議しながらこの文章をつくってきたんだと思うんですけれども,やはりとりわけ映画の研究者の立場から言うと,映画が前に来ようが後ろに来ようがそれは余り関係なくて,要はメディア芸術とは何かということがこの文章の中ではもう少しはっきりすべきなんじゃないか。前にも言いましたけれども,繰り返しになりますけれども,新聞もメディアだし,それからテレビもメディアだし,テレビの芸術というのはあるわけですから,これもメディア芸術と呼べないことはないし,ラジオもメディアだし,ラジオ芸術もあり得るのですから,これだってメディア芸術なんですから,安藤先生がおっしゃったとおりビデオアートというのも当然あるわけで,そこのところは依然として私は納得していないんですけれども,もちろんオブザーバーの立場でもございますし,皆様方がこれですばらしい定義であるというふうにお考えでしたら,反対するようなことはございません。
 以上です。

○浜野座長

 一番大事なところなので,了解いたしました。もう一回審議がありますけれども,岡島さんの納得いくものになるかどうかわかりませんが,努力してみます。

○森山委員

 すみません。よろしいですか。

○浜野座長

 どうぞ。

○森山委員

 先ほどの古川先生からのご指摘と岡島先生からのご指摘は,提出したオリジナルの案のほうには実は反映されていると思いまして,まずメディア芸術を先に説明して,それからメディアアートを説明する順番になっていたと思うんですね。それを審議の途中で多分逆にしたから,現状の順番になっているというのはご指摘のとおりです。プラス古川先生がおっしゃっていたように,オリジナルの提出した文章のほうでは,私はここが非常にポイントだなと思ったんですけれども,アニメという言い方とアニメーションという言い方に非常に拘泥されるつくり手の方々がいらして,そこの部分は非常に重要で,アニメーションでファインアートの領域のほうに入れる書き方をしており,アニメという書き方でエンターテインメントのほうに入れていたと思います。それはここで再提案してどういうふうに変えたらいいのか,もしくは現状のまま行くのがいいのかというのはご判断だと思いますが,オリジナルのご提案ではそういう形になっていました。
 先ほどご指摘のラジオによるアートとかビデオによるアートというのは,要するにメディアアートという場合のメディアはマスメディアではないとは言いつつ,1行目に書いてある「主に複製芸術時代以降のメディア(コンピュータやエレクトロニクス機器等)」と書いてあるので,そのビデオとかテレビとかラジオによるアートというのはここに含まれるという考えで書いております。そこら辺がこの文章の真意だったんですけれどもということです。ありがとうございました。

○浜野座長

 それはアニメとして括弧して日本の商用アニメーションとかやってもいいんですが,マンガの先生方でも芸術だと思っていらっしゃる方とかの意向を考えると,簡単な処理では済ませられない。古川先生のおっしゃるとおりだと思うので,これは慎重にしたいと思います。水口さんもおっしゃっていたように,アートとしてのゲームもあるわけですから,ここはもうちょっと慎重に言葉を選んで修正したいと思います。森山さん,それでいいですかね。一緒に相談してやりましょう。

○森山委員

 はい,お願いします。あとは「映画等を包含する芸術表現である」の間に何か入れるというときに,ほかの委員からもちょっとアイデアが出ておりましたが,常に変化し続けるとか温故知新的なとか,いろんな時代やメディアを等距離に往来するとかというような意味合いのことが一言で言えて入れられればいいと思います。今すぐに文案は難しいけれども,大体そのようなニュアンスかと思います。

○浜野座長

 では,甲野さんお願いいたします。

○甲野氏

 国立美術館の立場としては,ここの部分につきましては特に感想めいたことぐらいしか申し上げることはできないんですけれども,収集・保存から教育普及・人材さまざまな事業につきまして,具体的にさまざまなご提案をなされているわけでございますが,委員の先生方のご提案をまとめられたものとして大変重要な基本計画の案であるというふうに受けとめさせていただいた次第でございます。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。
 私は細かい点で1点あって,3ページの上のほうで「メディア芸術祭,若手クリエーターの作品制作に対する支援等の施策を実施し」の後に可能だったら例えば昨年とか2008年に芸術選奨の一部門としてメディア芸術が新設されるなどというのを入れてメディア芸術の振興に努めてきたというふうにつなげていただけると,本当にメディア芸術が一般の芸術表現の中で披見できるぐらいに皆さんに認知されたという意味合いが出てくるんじゃないかと。せっかく文化庁のほうで努力していただいて芸術選奨に入ったわけなので,平成20年度からでしたか。

○清水芸術文化課長

 平成20年度からです。

○浜野座長

 つい最近になってやっと入ったということが表現できればいいかなと思いました。
 前半の部分のご意見をお聞きして,安藤先生のおっしゃっていた5ページ目の育成・発信というのは入れたほうがいいなと思いました。それとあと,連携についての具体的なイメージはちょっと考えさせてください。どこまでやるか,わかりづらいということなので,相手先名ではなくて機能としての連携を並べるとか。海外からの要望も多いということについて強調する。経済,私は「文化の産業化」という言葉がふさわしいと思いますが,経済的な事柄に非常にかかわっているということを書き入れる。最近のメセナ協会の会合でも文化に配慮していなかったから今,日本の経済はジリ貧になってしまったという発言があって,やっぱり文化に立脚した経済とといことと整合性があるので,里中先生の意見が反映できるような書きぶりにします。森山さんが努力された部分についてはもう一度岡島さんのご指摘もあって,古川先生のご指摘も当然のご指摘だったと思いますので考えます。メディア芸術には何が入るか国民にわかりやすくというところについても何かやりたいと思いますけれども,水口さんがうまくまとめてくださったんですけれども,これまでのミュージアムは終わったものを並べているんだけれども,そうじゃなくてこれからも変わっていく,これまでなかったミュージアムを目指すということ。安藤先生も古川先生もおっしゃった点ですが,安藤先生はそこが肝だとおっしゃっていたので,その点を明確にして,我々の委員の総意として文中で反映させていきたいと思います。
 私の理解では大体そういうことですが,理想を石原さんがおっしゃったようにたくさん書いてしまいましたが,それを受けて後半部分が重い事柄が並びますので,8ページ以降について議論をしたいと思いますし,カラーの1枚のイメージ図が出ているんですが,これをここで議論して修正して,これを添付して公表するか,先ほどはなくてもいいかなというお話もありましたが,それも含めて考えていただいて,一巡してからまたイメージ図で意見があればご意見をお聞きできればと思います。
 では,もう一回森山さんからでいいですか。

○森山委員

 後半部分につきましても,大分ハブ的なとかモジュールとして運営していくというような言い方で何度もお願いしたことがほぼ反映していただいていると思うんですが,どこかにどのような言い方でもいいんですけれども,文化的価値を高めていくというような切り口が入っていればいいかと思います。これまでの経済的効果を高めていかなければというようなこのタスクだけではなくて,今回の設立によって次の段階としての社会参加,それで社会への発信で文化的価値を高めていく,文化の輸出,先ほどのご指摘にもつながるところですが,それを後半の「おわりに」の結論のところでも,もしくは前半のもっと意義のところでも入れるべきではないかなというふうに思います。
 それから,連携イメージ図について先ほどはちょっとお話ししなかったんですけれども,ここに平成元年と平成3年に同じように約20年前に策定してつくりました東京都写真美術館の映像部門の基本計画を参考にお持ちしたんですが,それを見ても非常に今回の似ている広がりのある書き方はしてあるんですけれども,具体的に誰のどんな作品を展示するのかとか,行ったら何が見られるのかというようなそういう詳細までは書いていないです。だけれども,これが基本計画というもので,今後いろいろとコンペティションをやっていく材料になっていく指標のようなものだと思っています。こちらで全部限定してしまわないで,提案にいろいろゆだねる部分を残すのだということで理解されていればそれでいいと思いますので,逆にどんな作品を見られるのかというような国民からの素朴な質問に答える部分というのをうまく作成できるのならば,連携イメージ図で補足されたらいいというふうに思います。一般に配布する報告書とか基本計画には図版が入れられますけれども,今回のものには図版が入っておりませんね。なので言葉で詳細に書くわけにもいきませんし,なかなかイメージが伝わりにくいと思います。現状おつくりになっています連携イメージ図は割と役所的なパワーポイントで固いものなんですが,もう少しそれぞれの組織体をつなぐベクトルが書かれて,例えばどういうふうな人的交流でこことここが結ばれるとか,ここへの貢献は開発とかフィードバックとかいろんな書き方での何によってお互い同士が結ばれるのかというのをちゃんと書けば生きた図になるというふうに思います。
 あとはメディアアートの手法が単にファインアートとしてのメディアアートの領域だけでなく,アニメーションや映画やエンターテインメント,マンガのそれぞれの見せ方をつなぐ手法として,全体をつなぐアタッチメント=のりみたいな,媒体みたいな,触媒みたいな役割を果たすのだというお話を以前にしたと思うんですけれども,そういう具体的イメージをもっとポップな絵柄で表現するというようなことができれば,こういう図というのは非常に効果的に働くと思います。今日はお休みされてはいますが,以前明和電機の土佐さんがご自身のブログでメディア芸術って何という非常におもしろい効果的な生き生きとしたイラストレーションの解説をしてくださっていて,大変チャーミングでわかりやすい。ああいうようなことがやっぱりメディア芸術にはできるので,この連携イメージ図もそのようなつくりを試みられるというのも逆にこの領域にしかできないことなので,効果的なんじゃないかと思います。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では水口さん,お願いします。

○水口委員

 これをどなたが読むかということによっても随分変わってくるとは思うんですけれども,もちろん関係者レベルの話であればここに書かれていることというのは必要最低限なことだと思います。比較的網羅されているのではないかなと思うんですけれども,もしこれが一般の方々の目に触れたときにその理解を促すというものであるとすれば,ちょっととらえにくいかなという印象はやっぱり多少あるんですね。ちょっとどうしたらいいという具体的な案を持って言っているわけではないんですけれども,例えばこの報道に非常に関心のある方がこれを見て,こういうことだったらいいんじゃないの,これはやっぱり税金を使ってでもやって,そしたら例えば自分も行きたいか,あるいは自分の子供たちもここに例えば行かせたくなるようなとか,あるいは海外からのお客さんをここに呼び込みたくなるようなと,そういうオーラを出すにはどうすればいいのかなということを正直思ったりはします。ちょっとその目的によって変わるとは思うんですけれども,もしやっぱりその国民の理解を得るということであれば,もうちょっと何か具体性が必要なのかなという気はしました。
 以上ですね。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では,林さん,先ほどおっしゃったことをもう一回繰り返してちょっと事務局にも言ってください。

○林委員

 先ほどの質問も含めてなんですけれども,私は一番の課題として,箱物行政と言われかねない117億円の使い方という問題が当初あり,またもう一つ運営予算の確保というものをどうしていくのかということを大きく持っておりました。それに関しては,7ページ以降の部分でいいますと,まず9ページに建築形態というのがありまして,結局この間の議論の中で建物に関しては新設に限定することなく,柔軟なプランニングができるというようなことがうたわれておりますし,それによって初期に係る補正予算の使い方というものについてもこの計画のもとになった方針でも言われていましたようなソフトも重視するということで,バランスのいい,あるいは適正な配分による初期予算の執行ということがなされていくことを期待しております。
 それから,もう一つ運営予算のことについてですが,ここでこれ以上のことを表現するのは多分難しいとは思うんですね。今日の資料の中でも11ページにそのことが書かれているわけですけれども,文化庁の委託事業等も積極的に受け入れというこの辺の表現の部分に恐らく国が関与しようというような姿勢も十分に見受けられるのではないかと見ております。ただ,もう少し明確にしていくとすると,この11ページの一番上に「独立行政法人国立美術館が設置し,その運営は外部委託する」とあり,その次の表現が「センターにおける事業は継続的に行われるよう十分配慮する」という,ここに非常に重い意味を私は感じております。つまりそれはどういうことかといいますと,結局これは国立の施設であるということなるわけですね。国立ということは,一般的に言うと国営というぐあいに理解をします。
 しかし,一方でその運営は外部委託ということですので,私のイメージでは国営であるけれども,例えば指定管理者制度による民間への運営受託をするというような理解をしています。つまりこれは公設民営ということではないんですよね?つくるのは国の予算でつくるけれども,そこから先はすべて民間が責任を持つということではない形で,国がきちんと責任を持って国立という立場で国営で運営する。そのことが「センターにおける事業は継続的に行われるよう十分配慮する」という表現になっていて,民間に委託をするけれども,最終的には国営という立場で国が責任をとっていくということを意味しているんだろうというぐあいに私は受けとめておりまして,そういうことであれば,このテーマについてもある程度クリアできたのではないかと思っています。
 それから,12ページにこの間の議論にも出てきましたフィルムセンターの独立の課題については引き続き検討がなされる必要があるとなっているのは,まさにそのとおりだと思うわけです。これはメディア芸術センターの計画の話とはダイレクトには結びつかない話ではありますけれども,ただ,この問題は長年懸案事項としてもはや5年以上の時間を費やしていて,現状進んでいないテーマでもありますので,この先どこがどういう形でこの検討をしていくのかということについて,もう少し明確にしていく必要性があるのではないかなということを,申し上げておきたいと思います。
 最後に,前回も,なるべく基本計画はゆるやかなものにして,余り縛りをかけないでこの後の民間による公募あるいは入札ということにつなげていったほうがいいのではないかと申し上げましたが,今日の時点はこれで基本計画が確定するのかどうかということと,確定することを前提に今後のスケジュール等について確認させていただければと思います。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。林さんの今後のこととか継続という意味合いとか,苦労のあとが見えるんですけれども,特に今後のことについて何か言える範囲で林さんのご質問にお答え願えますか。

○清水芸術文化課長

 それでは,事務局からでございますが,基本計画の今回の議論につきまして,本日案をお示しして議論をいただいてということでございますので,その中でこの会議,本日の審議を踏まえて決まっていくということになろうかと思いますが,基本計画がここで確定した後につきましては,独立行政法人国立美術館が設置の主体と考えられているわけでございますので,この基本計画を踏まえて設計者,建設業者,事業プランについて企画提案の公募に向けた準備を進めていこうと考えているところでございます。幅広くそういった募集をして,そして募集の期間,一定の期間が必要でございますけれども,応募があったものの中から選んでいくということになろうかと思います。そして,その建設形態等も幅広く公募されるということでございますので,それによってその後のスケジュールをもちろん確定できないところでございますけれども,応募を受けて決定の後あるいは設計,また建設等々の手続に入っていくという順番になっていくかと考えております。

○浜野座長

 林さん,よろしいですか。では,また何かあれば。よろしいですか。
 では,布川さんお願いします。

○布川委員

 やはり今回のこのメディアセンターに対する一般的な人たちの関心というのは,どのようなものができるんだろうというのがやっぱり一番のポイントだと思うんですよね。それで,やはりどうしてもこの施設内容というものに目を引くんですが,いわゆる交流スペースや,工房スペース,管理共通スペース等さまざまな部分がありますが,やはり一番のポイントはお客様や来訪者に対してどういうサービスが提供できるのかというのが一番のポイントなんじゃないかと思います。まず,一番のポイントである展示公開スペースというのはどういうものが公開,展示されていくんだろうか。先ほど水口委員のお話でもあったように,いわゆる生き続けるミュージアムというものを目指すならば,やはりその展示するものというものを単なる博物館にはしてはいけないんだと。死んだものをそのまま展示してはいけないんだというものが生き続ける展示公開スペースを目指すということならば,やはりこの展示というものを相当な頻度で変えていかなきゃならないんじゃないかという気がするんですね。またどういう切り口でどういう展示を行うのかという点でも。イメージ的にアニメ,マンガ,ゲーム,これらの類をどのような形で公開展示するのか。なかなか一般の方はイメージがつきづらいんじゃないかなという気がするんですね。切り口をどのように持ってくるかというのは,いろいろこの辺は迷いどころで最初の1回,一発目でその見せ方としてすばらしいものができれば結構なんですけれども,やはりある程度2度,3度と回が重なってくるとなると,さっき林委員から出たように,これに類する費用,お金というものがどのようになっていくのかというが問題でもあります。つまりこの先の建造物を建てるということ自体は,それで済むことなんですけれども,この中のコンテンツをどう生かしていくのかというのが非常に大きな問題でもあるので,やはりこの施設内容の説明で,さっき森山さんからもここの部分に関しては,一般的なところからいろんなアイデアが出てくるんだといっても,何かここにもう一つ確信めいたものが入れられないのかなというのが少し印象としてあります。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では中谷さん,よろしくお願いします。

○中谷委員

 私も施設内容について思いましたことは,このメディア芸術の難しいところは,やっぱり趣旨にもありますように,メディア芸術というのは常に変化している,進化しているわけですよね。それで,このメディア芸術総合センターですごく重要な部分はやっぱり上映するための施設がすごく重要だと思っていまして,この上映するための施設がここには各種媒体に対応した多様な設備が利用可能な形態とするとありますが,これやっぱりメディアのさまざまな進化に対しても対応していかないといけないかなというようなイメージをここで盛り込んでいただいたほうがいいかなというふうに思うんですね。
 それからもう一件,建築形態なんですが,これ「建物の新設に限定することなく」というここに言葉がありますけれども,それと一番最後のこの総合センターの面積配分というこの表を見てしまいますと,かなり限定されたイメージがされてきてしまうんですね。ですから,もう少しここの面積配分の部分でもトータルで考えるとこういう感じになるんですよというふうなイメージを少し盛り込んでいったほうがいいんじゃないかなというふうに思うんですが,いかがでしょうか。例えば収蔵庫が約1,100平米というふうに書いてありますと,1カ所に収蔵庫がどんとできるんだなというふうに思いますけれども,そうとも限らないわけですよね,ある意味。可能性としてはですね。ですから,分散も含めてトータルなイメージがこういう感じになるんだよという表になればわかりやすいのかなという気がします。
 以上です。

○浜野座長

 「少なくとも1万平米」と書いているので,1万平米として見ればもうちょっと何か柔軟性がある表現にする必要があるかもしれませんね。これが目安ととられてひとり歩きしないように配慮が必要かもしれないですね。

○中谷委員

 それから,上映ホールなんですけれども,800平米とありますよね。これもう少し……

○浜野座長

 前回から書いてあります。

○中谷委員

 上映ホールをもう少し大切にしていただいたほうがいいかなというふうに思います。

○浜野座長

 では,里中先生お願いします。

○里中委員

 本当に難しいですよね。この面積配分を見て何かみんなこればかしの面積で大丈夫かなとつい思ってしまいますので,今ちらっとお話が出た仮に1万平米としてというようなのをわかりやすく上に入れて,国立メディア総合センターの敷地面積が1万平米とした場合の仮の面積配分と,ややこしい言い方ですけれども,もう最初にそうやってわかりやすく書いておくのが必要かなと思います。
 あと11ページなんですけれども,組織のあり方,ここが物すごく気を配ってまとめられた苦労はわかるんですが,これを一般の人たちに見ていただくという形で出す場合に,独立行政法人国立美術館が設置しというと,何かここでまた,しかしその運営は外部委託をすると言いながら必要な職員を配置するとか何とかと,こうあるので,苦しいんですけれども,文化庁として今後も外部に丸投げじゃなくて,この部分の経済的基盤も整備するみたいに収入の確保方策というのは,これはもうセンターの運営の収入確保の方策ですから,これは外部委託というところに入ってもいいと思うんですけれども,支出の部分で絶対に民間だけに任せておいてはいけない部分もあると思うんですよね。そういうところは国立であるからして国が面倒を見るみたいな,面倒を見るというのは変な言い方ですけれども,もう少しわかりやすく書いておかないと今結構皆さん,結局民間に丸投げしてうまくいかなくなったら赤字で閉鎖になるんじゃないかとか,そういうふうに言われている方も多いですから,そうじゃなくてちゃんと必要な学術的部分は押さえておくんだよみたいなのを書けるんだったら書いておいたほうがいいのかなと思いました。
 一番下のメディア芸術祭,収集・保存・修復とずっと書いてありまして,文化庁等の委託事業を積極的に受け入れというのも文化庁からの委託事業はもちろん大事なんですけれども,上のほうに収入の確保方法のところですね,すみません,11ページの。2の収入の確保方策の一番下の丸ですけれども,企業からの協賛金,寄附金等を積極的に受け入れるとなっておりますけれども,企業との連携で経済効果を上げるということもどこかに入れていいんじゃないかなと思いました。企業からしますと,協賛金と寄附金ということだけで,何かお金をとられるだけで一緒に商業行為が積極的にできないんだったらつまんないなと思われるよりも,商業行為を積極的にやりますよというのをここら辺でちょっと見せておいたほうがかえっていいのかなとも思いましたが,そんなところです。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。確かに本当にこのセンターができていろんなアーカイブスができたら,それをもとにビジネスをしたいと思う民間企業も出てくると思うんですよね。そのときにロイヤリティーとか費用をとって,それを運営資金にするということを考えると,そのことが書き込まれていないなと先生のご指摘で思いましたね。ですから,それは何らかの形で書き込んでおいたほうがいいかもしれませんね。
 では,さいとう先生お願いします。

○さいとう委員

 12ページの「おわりに」のところなんですけれども,最後から2番目の丸のところに「これだけでは十分であるとは言えない」というふうにあって,4つ項目があって,このことはすごくこの業界にいる人たちにとってはかなり興味のある部分だと思うんですけれども,ここに「十分であるとは言えない」というふうに書いた上で項目があるということは,やっぱりこれはこのメディアセンターができたときにこの部分は余り従属するように今の段階ではならないんじゃないかなという印象が強くなってしまわないかと私はちょっと心配したんですけれども,もちろんこの部分はメディアセンターができたからといって即従属するようにできるというふうにはいかない分野だと思うんですけれども,やっぱり……。

○浜野座長

 補足しますと,もしセンターを大きな国費をかけてやったら,ではメディア芸術に関する公的振興はセンターで完結し,支援はもういいではないかということになりかねない。いや,そうではなくてもっと多面的総合的に支援が必要で,センターで完結はするのではないよという意味でこれ書きました。

○さいとう委員

 いや,もちろんそのつもりで書かれていると思うんですけれども,でも何かちょっと読んでいたときにこの部分が不安だなということを私は感じてしまったので,もちろん難しいとは思うんですけれども,この部分はやっぱりまだこの段階では決められることではないんですけれども,もちろんその方面に向けて努力するということはやっぱりかなり強調してもらわないとメディアセンターの意義についてちょっと賛成しかねるという方は結構いると思うので,業界全体のためになるとか海外に向けてすごくコンテンツ産業を促進させるとかということに対して,かなり多分みんな興味というか重要なことだと思っていると思うので,その部分がやっぱりもっともっと具体的に書くのは難しいかもしれないんですけれども,その部分をかなり強くこのセンターに対しては,ちょっと私としては希望したい部分なので,そこは何とかならないかなというふうに単純に思ってしまいました。
 以上です。

○浜野座長

 「十分であるとは言えない」というのは,ちょっと言葉が足りなかったかもしれないので,もうちょっと適切な言葉に修正するように考えてみます。
 では,石原さんお願いします。

○石原委員

 1つ質問なのですが,先ほど林委員も言及されておりました,一番最後の,この「また,フィルムセンターの独立の課題については,引き続き検討がなされる必要がある」という部分,ちょっと私の不勉強もあり,何を指していて,今,構想されているものとの関係がどういうふうになっているのかが少々理解ができなかったので,簡単にご説明いただければと思います。

○浜野座長

 当初,センターとフィルムセンターとは緊密な関係で考えられていました。それで,最初の委員会ではフィルムセンターは独立してもっと機能を充実させてということで有機的な連携ということがあったのですが,センターが具体化の段階になってフィルムセンター自体は建物を所有していることと,岡島さんなどの意向もあって,一体としてではなくて友好的な関係で運営するという長い議論がありました。それで最初からの委員は皆さんフィルムセンターの役割が重要だという共通認識を持っています。
 ただ,これはメディア芸術センター(仮称)の報告書なので,フィルムセンターのことを断定的に書くことは違和感があるのは事実です。フィルムセンターの独立について書くのは越権行為になるので,配慮して書いたらこんな文章になってしまいました。

○石原委員

 思いとニュアンスについては大変よくわかりました。ただ,普通の人にはちょっと理解がしづらいのではないかなと思いました。

○浜野座長

 そのとおりです。

○石原委員

 それと,これだけのことを全部やるという事業内容に対して,本当に全てできるのか? と思われるだろうという懸念もあります。また一方で,やはりこの施設は,ある特定分野といいますか,特定の機能を掘り下げた専門性の高い機関というわけではないですし,すべての分野を押しなべて,総花的で薄っぺらなものになってしまう危険性もあると思います。なので,その辺りを払拭できるイメージがもうちょっと欲しいな,という感じはしました。
 ただ,12ページの一番最後の2つ目に「時間的,空間的,予算的,人員的制約の中で成果を上げることができるよう,事業等について,優先順位を定めて進めたり,重点化を図ったりするなど,工夫しながら,可能な範囲で実施することも必要である」との3行がありますが,私はこの部分が最大のポイントになると思っています。この前,浜野先生もおっしゃっていましたけれども,分野ごとにセンター長が入れかわっていってもいいでしょうし,オリンピックも4年に一回ですし,ビエンナーレやトリエンナーレといったような様々な形態の芸術祭があってもいいと思います。このメディア芸術センターがどこにフォーカスして,どういう優先度で,どういうものづくりや展示,あるいは支援を行っていくのか,今,具体性を示すのは難しいかもしれませんが,この3行の中に書かれていることは非常に重要なので,「ああ,そういうことなら可能性があるな」と思えるような何かが,もう少し欲しいかなというふうに感じました。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。今日,欠席されている土佐さんもそういうご意見だったと思います。「工夫して」は書いていますけれども。
 それでは,安藤先生お願いします。

○安藤委員

 今,石原さんがおっしゃっていたフィルムセンターとの関係みたいなことも含めてなんですけれども,先ほど出ていた他との連携みたいなことですね。だから,先ほどどなたかもおっしゃられていたこの連携の図というのは,やっぱり余りよろしくないかなという気がするのは,恐らく今この管理とか運営とかというところになったときに,どのくらいのアーカイブをどういう形でやるかみたいなことを例えば1つ考えたときに映画とかアニメーションとかどこまでをアーカイブできるかというと,フィルムセンターというものがもう膨大な形でこれまでの積み重ねの中でやってきていて,しかも,これでもまだ足りないというような状況で独立してきちっともっとやれるような体制をつくろうじゃないかという話が出ているということだと思うんですね。
 そうすると,マンガだとか,アニメーションというのが今度は映画なのかどうなのかというところの論議もありますけれども,その他のメディアアートというものがどういう形でアーカイブできるかというと,非常に物によってはスペースが要ったりすると。そういうときに連携ということが非常に強い力を持ってくるのではないかと思うんですよ。これまでにほかの美術館その他でもビデオアートにしてもそうですし,それから違う近代美術館なんかが所有しているようなアートというものが恐らくこのメディア芸術ということと非常に強い連携の中で発信されていかなくてはいけないものがあったとして,ではそれを同じようにここがアーカイブするかというと,これは大変なことだと思うんですね。
 そのときに先ほど連携をもうちょっと具体的にというご意見がありましたけれども,その連携というのがこういう図の中であらわされなければいけない。つまりこの図に映画,アニメーション,メディアアートそれぞれが違う形でこういうふうに書いてしまうからそれぞれが違って見えてしまうのであって,そうではなくて映画があったらば,例えばフィルムセンターとどういう連携を持って,フィルムセンターの持っている映像を発信していくかとか,それからマンガをこの中でやるときにマンガミュージアムみたいなものが持っているものとどういうふうに連携していくかというようなことがこの図には書かれなきゃいけないのではないかなという気がします。そこのところは相手のあることだからと座長がおっしゃっていたので,確かにそうではあるんですが,イメージとしてはそういうことだと思うので,映画とアニメーションとメディアアートとマンガとそれらがというのは当然連携するに決まっている話であって,それがここの中に分かれて書かれていること自身がちょっと不自然な感じを持つのではないでしょうか。
 それで言いますと,例えば8ページの(1)の2つ目の先ほども出ましたけれども,アニメーションなどを上映するためのホールを設置する。「アニメーションなどを」というよりは映画もあれば違う形での映像もあるわけですから,例えば「先端映像を含めた多様な映像作品を」とかというふうにして,やっぱりその中でアニメーションは映画じゃないのかというと,やっぱりそれがいわゆるメディア芸術という何とも区分をしてはいけないような形でお互いに重なり合うところにこの特徴があり,よさがあるんだと思うので,ここで「アニメーションなどを上映するための」ということ自身が非常に間違っていて,要するに立体映像なんかも含めるような先端映像を含めた多様な映像作品を上映するためのホールを設置すると。その際にというような形で,その先端的な先ほどご意見が出ましたけれども,新しいメディアが出てきたり立体映像なんていうのが恐らくここから急速に出てくるようなときに,若いアーティストたちが立体的なものを映像化したとき,もうすぐだと思いますよ。そうしたとき,そういうものにはすぐ対応できるような形がとれるのかどうか。
 そして,例えばこの間も出ましたけれども,フィルムセンターのほうでは作品上映ができないような新しい映像がこれから出てくると思いますし,そういうものはこちらでやると。そうじゃないものは例えばフィルムセンターのほうと連携して,フィルムセンターで一緒にやるというような形の一緒にイベントが行われるような形で先ほどのスペースの狭い問題も何とか解決していく。例えば国立新美術館なんかもあそこはアーカイブを持っていないので,そういうような形で同じようなイメージの中で連携してやっていくようなことも含めて,これは相手のあることですから何とも言えませんけれども,そういう連携のイメージを持たないとなかなかうまくいかないのではないかなと思います。
 それからもう一点は,先ほど里中先生,林さんがおっしゃっておられたやっぱりセンターは独立行政法人国立美術館が設置し,その運営は外部委託するというところがこれはこれで,こういう形で決まっているということなので,ぜひともその中で先ほど里中先生もおっしゃっていましたけれども,やはりこの中にスタッフとしていなくてはいけない学芸員ですとか,つまりここでアーカイブするみたいなものがあるんだとすれば,やはりそれはきちっとアーカイブという立場の中で保存・修復ができるような方がこの中にいないと,外部委託してしまうと,とかくそういうものがなおざりになって利益のほうに行ってしまって,中はぼろぼろになってしまうようなことが起きかねない。そういうようなことも含めてこの組織のあり方ということは一つ重要に考えていただきたい,あるいは重ねてお願いしますけれども,文化庁のほうでできるだけその辺に対してのサポートということをお願いしなければ先行きが非常に不安になるというようなことがここにはらんでいるかと思います。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。先生がおっしゃった上映施設の「アニメーションなど」というのは,先生が言われた多様な映像というふうに変えたほうがいいですね。
 では,古川先生お願いします。

○古川座長代理

 同じところですけれども,前にたしか森山委員も1回おっしゃっていたんですが,ホールと展示場という感じでやっぱり今まだ見えてしまうんですけれども,ホールと展示,今さっきから盛んに皆さんおっしゃっているような新しいもの,これからどういうメディアのものが出てくるかわからない。空間全体が展示,展示場はもちろんあるんでしょうけれども,例えば上映とか作品の発表する場所というのは必ずしも展示室とかに多分限らないものが当然いろいろ出てくると思いますし,その辺のところを新しいものが出てきたときに全体,ここの館全体がそういう展示スペースになったり上映スペースになったりするというところまで何かどこかに言葉として入れておいて,そういうことがやっぱり建築形態とかこれから入札して発想する人たちのところに何か斬新なアイデアが出てくるようになってほしいなと思います。
 それから,難しいんですけれども,その延べ床面積が1万平米の中でこうやって考えていって区割りしていっちゃうような,やっぱりこれとても難しいと思うんですけれども,その連携とか前半でありましたハブ的な機能がすごく特徴なんだよ,ここはといって,ちょっと新しいものをつくるんだというのがどこかにまだもっと強く出て,これから建物とかいろいろ発想する人たちに何かとてつもないような斬新なアイデアを期待できるような書き方にできないかなと思いました。

○浜野座長

 これまでのミュージアムのスペース割りみたいな固定的な考え方を払拭するような……

○古川座長代理

 難しい。

○浜野座長

 難しいんですけれども,先生のおっしゃるとおりなので何かちょっと工夫が必要だと思います。
 では,阿部さん,いかがですか。

○阿部氏

  8ページ以降の内容はすごく議論も白熱してきました。そもそも今回の議論では建物としてではなく,日本がメディア芸術における国際的な拠点として持つべき役割や,これから求められること何か?ということを議論してきたら,予想以上に多くのやるべきことがあることが明らかになったといことだと思うのです。昨年度の会議をベースにして1万平米程度と予算としては117億円という枠組みがあります。全てをセンターのみで実施するには無理があるのは当然です。そのためにもやはり連携ということが重要になってきます。先ほどから連携についての議論もありますけれども,連携する内容はこの計画にか書かれている収集・保存・修復,展示・公開,調査研究・開発,情報収集・提供,教育普及・人材育成,交流・発信です。このすべてにおいて,メディア芸術センターがイニシアティブをもって。日本国内あるいは世界を含めたいろんなメディア芸術関連のセンター,美術館,ミュージアムと連携を図っていかなければいけないと考えます。
 また,8ページからのところで気になったところとしましては,まず8ページ,4としては施設内容・規模等というので,ここからはどちらかというとハードのことを書いています。ついつい展示の内容とかソフトについて気になってしまいますが,それらについてはその前の5ページと6ページで基本計画としては書ける範囲のことはぎりぎり書けていると思います。例えば展示のところではメディア芸術の各分野の歴史を俯瞰・検証し,その未来を展望することができる展示をしていこうとか,また陳腐化しないようにというお話もありましたけれども,その件についても常設展については,陳腐化しないよう,適宜その内容を見直していくということもきっちりと盛り込まれているので,その辺は全部これちゃんと読んでいただけるといいかなと思います。
 あと収蔵スペースのところについても後ろの表だけを見てしまうと,これに固定化されたように思われがちですが,9ページのバックヤードの収蔵スペースのところをごらんいただきますと,「なお,収蔵スペースは,別途,外部に確保することも必要に応じ検討する」というふうにここまで具体的にちょっと書いているので,拡張していったら当然検討していくということだと思います。
 今回のこの基本計画ですごくポイントとなるのは,建築形態のところですよね。「新築に限定することなく」というここが入ったのがすごく大きいことではないかなというふうに思います。あと,設置場所についてもお台場案というのがあって,それについてもいろいろ誤解がありましたけれども,具体的な場所ではなくてどういうふうな要件を満たすところかということがちゃんと書かれたのでよかったかなと思います。
 あと11ページからは管理運営ですけれども,管理運営そのものについてもメディア芸術総合センターが,メディア芸術の特性を活かした新しいミュージアムのモデルケースになることが出来ることを願っています。従来モデルの良いところは活かしつつも,そのままではこれからの国際競争のなかでは難しいと思うからです。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。では,石川さんお願いします。

○石川氏

  私もちょっと気になったのは,いろいろ規模であるとかという内容についてはよろしいかと思うんですけれども,管理運営のところ,組織のあり方というようなところがややあいまいなのかなというふうな気がしております。
 まず,運営は外部委託とするというところが一番初めにございますけれども,どの部分まで外部委託になるのか。もう完全にセンターをつくった後はもう全部お任せねということなのか,それとも当然センターというものができれば,センター長とかいろいろな方々が必要になってくると思いますけれども,そういうところの方々はどうなるのかというところがこれだけ読むとちょっとわかりにくい。それとあと事業部門・管理部門などで,次の段落のところでは学術・技術などの専門スタッフを含め必要な職員を配置すると。このあたりのことも外部委託ということでやるのか,それではなくて文化庁のほうで責任を持ってこういうことをやっていくということになるのかというところがこれから考えてご提案,公募の後のときに出てくるということなのかもしれませんけれども,この文章だけだとちょっとわからない。
 収入の確保もこれは自己収入で賄うというところが一番初めから出ていた話ではございますけれども,この先の2番目の段落のところで円滑に事業を実施することができるような会計上の仕組みを必要とするということがこれ必ずなければ,今単年度予算ですとかそういうところで外部に委託して事業をやっていくという中では非常に今イメージとして沸きにくいんですね。
 それで,最後の文化庁等の国のいろいろな委託事業を積極的に受け入れられるような施設であるべきだというところは大変賛成でございまして,これはもう本当にどんどんいろいろな人が集まってやっていければいいのかなというふうに考えますけれども,その上の部分の具体的に今こういうことをやっていますというようなイメージがあれば一番わかりやすい,例えばこの国の施設はこういう形で外部委託していますというようなものがあればわかりやすいんですが,恐らく今までにないような形を目指していくということになるんだと思いますので,これ実際に外部の機関に委託をするに当たっての公募だとか,そういうことをするときにはかなり具体的な案がないとなかなか対応しづらいのかなというように思います。
 以上でございます。

○浜野座長

 ありがとうございました。では,岡島さんお願いします。

○岡島氏

 管理運営についての不安については既に何度か発言をさせていただく機会がありましたので,それについては述べません。それから,一つ一つの文言についても後半部分について述べませんけれども,1つ私はこの会議を通じてとてもよかったなと思っているのは,先ほど歴史性の話をいたしましたけれども,比較的新しい文化芸術についての保存というものを真剣に考える必要があるという点で多くの委員の方々が同意されたことではないかと思います。浜野座長がアメリカの映画保存法のことをおっしゃいましたけれども,まさに1980年代の後半にアメリカに映画保存法が生まれ,それをもとに国家映画登録制度,ナショナル・フィルム・レジストリーというのがつくられました。それで,年間25本のアメリカ映画が文化的・歴史的美学的に優れたアメリカ映画を25本選んで国家登録すると,そういう制度ができて,最初は不思議な制度だと言われていたんですが,何十年もう既に20年ぐらいたってしまいましたので,非常に多く500本ほどの映画が国宝扱いされるということになりました。
 実はこの制度を立ち上げた議会図書館の人から直接聞いた話ですけれども,日本の国宝制度をまねたんだということでございました。つまり日本の文化財保護のやり方というのはやっぱり世界じゅうが非常に高く評価しているんだと思います。問題は新しい文化芸術にこれをどう適用していくかということではないかと思います。
 ことしフィルムセンターが持っております「紅葉狩」が映画として初めて重要文化財歴史部門で指定をされたわけでございますけれども,この作品ができてから現在まで110年たっております。つまり映画というものが国家の重要文化財として指定されるまでに1世紀以上の時間が必要だったということだと思いますけれども,その前には写真が指定されているわけでございまして,やはりある時間というものが国の宝になるまでは必要なんだろうと思います。アメリカの場合には若い国なので,日本の国宝制度を参考にしながら新しい芸術である映画というものを指定することに成功したんだと思います。問題は今後もメディア芸術と呼ばれる比較的新しい文化芸術が国宝になるにはまだ時間がかかるわけですから,その前に散逸しないような努力をどうやってやっていくかと。つまり今必要なのは,もしかしたら比較的新しい文化芸術についてのナショナル・プレザベーション・プランというものを何らかの形で策定することなのではないかと。大変大げさなことを申しておるのかもしれませんけれども,そのことがもし行われるとすれば,この会議の一つの非常に大きな成果になるような気がしております。保存というものにはやっぱり大変人もお金も要るんだということを含めて申し上げたいことはそういうことでございます。
 それから,もしご検討いただけるならば先ほどの2ページの定義のところでございますけれども,メディア芸術とは何々を包含する,書き方はいろいろあると思いますが,写真,映画の誕生以降に出現した視聴覚芸術表現であるというような文言もあり得るのかどうか。つまり複製芸術時代以降というのが大変あいまいな気がしておりますので,映画あるいは写真というのをうまく利用して,写真,映画の誕生以降に出現した視聴覚芸術表現という定義の仕方もあるのかなとちょっと思っております。そういう書き方をすることによって,メディア芸術というものの時代性が少しはっきりするのではないかと。それが先ほど申しました今後比較的新しい文化芸術をどう保存していくかという国家の政策にある種の道筋を与える可能性があるのではないかと思いました。

○浜野座長

 ごご指摘の点を含めて考えます。それで,今おっしゃったアメリカの制度で米映画保存協会の関係者から私が直接聞いた話によると,ケネディー暗殺事件の撮影していたザプルーダーフィルムと呼ばれている素人が撮った8ミリ映画もあの制度の一本に選ばれました。ある出版社が長期間と撮影者に返還しておらず,激しく劣化していたそうです。民間が預かるとそういうことが多々あります。選ばれると提出義務がある法律ですから,国会図書館にオリジナルプリントと同等のレベルのものを提出しなければならないのに,撮影者の遺族が数億円を要求したそうです。保存に時間が経過すると,こういった問題が多発します。こういう制度をつくっておかないと,いろいろが障害が後になればなるほど出てくる。そういうきっかけになればいいなと思いました。貴重なご意見ありがとうございました。
 では,甲野さんのほうからよろしくお願いします。

○甲野氏

 この議論の中で今後どうなるのかということも話題になって,それについての文化庁からのご説明もあったわけでございますが,国立美術館にはこれから先,手続ですとかあるいは諸対応が求められていると思いますけれども,それはいずれにいたしましても,この計画の具体化に向けてということであろうかと思います。そのようなことでございますので,それを遺漏なく進めるためには,やはり国のご支援ですとかあるいはご助言,そうしたものがぜひとも必要かと思いますので,そこのところをよろしくお願いしたいというふうに思っております。何かお願いばかりでいつも申しわけないというふうに思っておりますけれども,そのように感じている次第です。
 それから,先ほどご議論の中でこの運営の方法については今後のモデルケースになるのではないかというようなお話がありましたけれども,私どもの理解としては今回このような外部委託をして,それから自己収入で原則として賄うという方策がとられたのは,メディア芸術というアニメやマンガなどこれまで民間で採算がとれてやってきたような分野を対象としているので,そういうような方策をとったというふうに理解をしているわけでございます。したがって,採算がとれない部分につきましては,さまざまな例えばいろんな支援などもこの中に加えられているわけでございます。そうしたようなことを考えますと,これは限定的なこの分野についてはこういうようなやり方がかろうじてとられるということでございまして,既存の美術館の運営等々についてのモデルケースには,私はなり得ないというふうに思っております。
 以上です。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。一つ一つ重要なご意見をお聞きしたんですが,全体的に言ってこういう基本計画というのは,これまでは,こういうものをよく読みなれている専門家が読んで,その人たちが読めばわかるように書けばよかった。今回かなり事情が異なり,一般の人々の関心も高いので,これまでのような基本計画なら一般の人々は具体的なイメージが沸きづらいというので,わかりやすくしたつもりです。プロ用としても,きちっと書いていると思いますが,民間委託なので手足を縛らないでできるだけ自由度を上げて,その意向を反映できるようにとしたために,具体的に書けない部分も多々あり,そのためにイメージが沸きづらいかもしれません。その点の配慮がとても必要だという全体的なご意見だったと私は理解いたしました。
 それと,具体的に中谷さんからおっしゃったようなホールの具体的な部分などについてはありましたが,前半と後半を含めて骨格としてかなりまずいというご指摘ではなかったと思います。今日のご意見,全部メモしていますので,それをもう一回反映するようにして私の責任で修正をさせていただくという手続でよろしいでしょうか。もちろんもう一回やろうということえあればやぶさかありませんが,もう一回やったら,また意見が出ると思いますので,皆さんのご意見はできるだけ尊重はしますが,残念ながら全員が100%納得するものは不可能だと思います。ほぼ委員の意向は今日で反映できたと私は思っておりますし,何度も皆さんご指摘になった施設を独立ではなくて多様な形でつくっていいとか,場所を固定しないとか,予算については間接的には書いていますが,文化庁ができるだけバックアップするという形とか,フィルムセンターを中心として,連携を強化してハブ的なものとしてやる。それで,それで,丸投げではなくて,重要な部分はできるだけ継続性を重視するようなシステムをとりたいとか,私個人としては一番重視していた未来に託すという部分もうまく反映できたのではないかと思っています。皆さんのご意見で一番安藤先生も古川先生も肝とおっしゃったそういう部分が反映できて,大体先生方の意向が酌めたかと思いますので,本日いただきましたご意見を踏まえて案文を修正したいと思っております。
 また,その内容とかその後の発表日程については申しわけございませんが,座長の私に一任していただきたいと思います。また,案文の修正版ができましたらもちろん先生方に発表前にごらんいただきます。もうそれでどうしてもここだけはということがあれば,また個人的にお伺いして議論したいと思いますけれども,できればここでご一任いただきたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 どうぞ。

○石原委員

 1個だけ要望を。イメージ図。

○浜野座長

 そうだ,これを決めなきゃいけない。

○石原委員

 格好いいイメージ図をぜひつくっていただきたいと。

○浜野座長

 だから,これはだめということですね。

○石原委員

 いや,だめと言うとつくっていただいた方に申しわけないんですが,格好いいのをつくっていただいて,魅力的なものだなと思いたいというのと,もし座長が見られて「うーん」と思ったらテキストだけでもいいのではないかなというふうに思いました。
 以上です。

○浜野座長

 では,事務局がせっかく頑張ってつくってくださったのですが,申しわけございません。努力を無にするわけではないのですが,たたき台があるからこういう意見が出てくるわけで。私にいいアイデアがあったら,もう一回投げかけてやりますけれども,どうしてもこれは誤解を生みそうで,この時間のスケジュールの中では無理だろうと思ったら,文章だけにさせていただくかもしれませんが,よろしくお願いいたします。これもご一任下さい。
 では,本当にどうもご協力ありがとうございました。事務局から何かございますか。

○清水芸術文化課長

  それでは,基本計画の取り扱いにつきましては浜野座長と相談いたしまして,各委員の皆様に事務局からご連絡させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○浜野座長

 それでは,最後に長官がおいでいただいていますので,ぜひごあいさついただきたいと思います。よろしくお願いします。

○玉井文化庁長官

 本日は,本当にありがとうございます。大変有意義なご意見をたくさんいただいておりますので,きっと座長もまた頭を悩ませることになりましょうが,どうかよろしくお願い申し上げます。
 私は,今年度ここに参りましたので,一言だけ申し上げさせていただきたいと思っております。
 本日,またこれまでもそうでございますけれども,このセンターの議論を通じて,これにとどまらない文化芸術政策について幅広いご意見を私どもはいただいたと,こう思っております。例えば,センターの予算自体が少ないのではないかというご意見もいただきまして,そのとおりだと思っておりますので,これは十分,私として受けとめさせていただきたいと,かように思っております。
 ただ,具体的にもうセンターは,こういうことがメインになってまいりましたので,これはそもそもが平成19年度の第2次基本方針の中にも触れられたことでございますし,また,去年の7月から,そもそもいわば基本的な構想をご議論いただいてきた。そして,ことし4月からもご審議をいただいておりますので,それを踏まえたさらに具体的なものというのが今回の準備委員会であったというふうに受けとめておりまして,したがって,もう既に今日で6回,間にワーキンググループを2回開かせていただいて,かなり密度の濃いご議論をいただいたと,こういうふうに思っておりますので,大変ありがたく思っております。
 私どもとしては,最終的にまとめていただいた上でのお話になりますけれども,これをしっかりと世界に誇ることができるような,また将来に牽引できるような,そういう拠点の整備に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと,かように思っていますし,あわせて,今日のまとめの中の12ページで「おわりに」というところにございますように,メディア芸術の振興は,この拠点の整備でそもそも終わるものではございません。これをまたきっかけにしながら,さらに総合的にメディア芸術の振興に取り組んでいくものだろう,こういうふうに受けとめておりますので,したがって,ここで書かれていますことも,私どもとしては,今後の概算要求を含めた予算要求の中にできるだけ反映させていただきたい,かように思っているところでございます。
 いずれにせよ,大変それぞれがお忙しい中,こうやって時間を費やしていただいたことを心から感謝申し上げまして,引き続きぜひメディア芸術の振興について,また忌憚のないご意見やご指導をいただけると大変ありがたい,かように思っております。
 本当にありがとうございます。

○浜野座長

 どうもありがとうございました。一言ちょっとお礼を言いたいと思います。日本の文化を向上させて,それで世界に貢献したいという先生方の熱意が大変立派な案に至りました。先生方に納得していただいて案がとれるように努力いたしますので,どうもありがとうございました。本当にさまざまなことがありましたが,結果的に大変すばらしいものに到達できたのも先生方のご協力によるものだと本当に心から感謝しております。
 それでは,これにて閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

17:00 閉会

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