第11回 日本語教員等の養成・研修に関する調査研究協力者会議
議事要旨
1. 日時
平成24年1月30日(月) 15:00~17:00
2. 場所
旧文部省庁舎2階 第1会議室
3. 出席者
出席委員
杉戸座長,砂川座長代理,阿部,安藤,井上,佐藤,田尻,西尾,西原(純),西原(鈴)の各委員
事務局
早川国語課長,鵜飼日本語教育専門官,ほか関係官
4.概要
○ 事務局の異動,資料説明,資料についての質疑応答の後,意見交換が行われた。意見交換の概要は,以下のとおりである。
<海外派遣の取扱について>
- 報告書の標題案を見て,海外で日本語教育を行う日本語教員等の養成・研修の扱いはどうなるのか気になった。本文で海外派遣について触れておく必要があるのではないか。
- 海外で教える日本語教員等については,現地での養成は対象にならないが,日本国内での養成は調査対象に含まれるという整理であった。
- 平成12年3月の報告書「日本語教育のための教員養成について」においても,海外における日本語教員養成について少し触れられている。その報告書においても,日本語教師が持つべき資質は,国内・海外の区別はしていない。
- → 海外派遣については,何らかの書き足しを検討し,報告書の標題は「日本語教員等の養成・研修に関する現状と課題」することで了承された。
<日振協認定機関について>
- 日振協の審査・認定の事業は継続されており,現在見直しが検討されているのは,法務省が日本語教育機関を告示する際に日振協の審査を参考にできる枠組みである。資料3-1の6ページ脚注4の,事業仕分けに関する記述は,日振協の審査・認定が廃止になったかのような誤解を与えるため,削除してはどうか。
- 逆に,記述しておかないと,法務省が日本語教育機関を告示する枠組みの中で現在も審査・認定が続いているかのような印象を与えるので,法務省の枠組みの問題であることを書き加えるという形で修正してはどうか。
- ここでは,調査対象の整理に当たり,それぞれの機関の性格付けが問題であるので,日振協の審査・認定が事業仕分けでどう扱われたかについては,触れない方がポイントが明確になるだろう。
- → 脚注は,報告書における「日振協認定機関」という用語を説明するためのものであり,調査時点での認定について説明できればよいので,事業仕分けについての記述は削除するということで了承された。
<調査結果について>
- 図表に出てくる「分からない」という回答の意味が,項目によって違うのではないか。
- 全て,団体がその項目について把握していない,または,問うていないという意味である。例えば,地域の日本語教室でボランティアが学習支援に携わるに当たって,「専門分野」は求められる要件に当たらないということを表している。
<注目すべき事例について>
- 「日振協認定機関」において,「420時間」を非常に短い期間で行う事例が取り上げられているが,どのぐらいの期間であれば教育効果の点からいってもふさわしいのか,改めて検討する必要があるのではないか。
- 大学の場合は,集中講義として,短期間に集中的に教育を行い,単位を出している。教育内容・やり方にもよるが,メリットもデメリットもあり,期間の長さだけを見て,一概にいいとか悪いとか言い切れない。
- 本文中の「柔軟な運用」という表現にはプラス評価のイメージがある。
- 中立的な書き方にしてはどうか。
- 「大学等機関」については現状の把握だけでなく,踏み込んだ表現をしている部分もある。「日振協認定機関」についても,同じように踏み込んだ表現を入れられないか。そうすると現状の問題が浮かび上がってくるのではないか。
<調査対象の整理について>
- 「日振協認定機関」を「一般の施設・団体」と別立てにする理由を説明する際,日振協の「日本語教育機関の運営に関する基準」にある「教員の資格」にのみ触れられている。実際には,基準に基づいて施設,体制,教員等を整えて日本語教育を行っているので,「教員の資格」を強調しすぎないように書きぶりを工夫する必要がある。
- 「日振協認定機関」という名称にすることによって新たな誤解が生じるなら,このグループの名称は「日本語学校」とした方がよいのではないか。
- このグループの示している調査対象は「日振協認定機関」であり,「日本語学校」とすることによって,日振協認定機関以外の日本語学校が含まれていないことが逆に問題になる。
- 毎年行っている実態調査における「一般の施設・団体」の定義と,今回の調査における「一般の施設・団体」の定義の違いをわかりやすく,紛らわしくならないように,脚注の書き方などを修正することが必要。
- 「一般の施設・団体」とすることによって,大学とも日本語学校とも違う地域の施設・団体の特徴がかき消されてしまった印象を持つ。日振協認定機関にはなりにくい機関,例えば,ビジネス・ジャパニーズを教えているところや,英語圏の外国人に限って教えているところ等が,地域の施設・団体と同じく「一般の施設・団体」の区分に入る。今後もますます日本語教育が多様化し,それぞれの養成やシラバスがあっていいと考えている者として,それらを全部まとめて「一般の施設・団体」としてくくることには違和感が残る。
- 日本語教育機関等の実態をより詳細に把握するために,カテゴリーをこれ以上細分化しても,細かすぎてかえって傾向が見えなくなるのではないか。第?章の記述の部分で,地域のことに触れてはどうか。
- この調査結果を土台として,今後の課題として書き加えることはできるのではないか。
- 本文18ページ,19ページで,目的・目標に書かれたキーワードを見てみたときに,「大学等機関」「日振協認定機関」「一般の施設・団体」でニュアンスの差があることが書かれている。全体的な調査をした結果,差が出てきたということについては,もう少し肉付けし,さらに,今後に向けての提言に結びつけていくということになるのではないか。
<第Ⅲ章について>
- 前回の骨子に肉付けした形で項目毎に示してあるが,本調査研究協力者会議の趣旨から考えて,残すべきものかどうかという項目もある。
- 大学からの教育実習生の受入れや,現職教員に対する研修を日振協認定機関が行っていることについて委員から紹介があったが,これらの具体的な事例を,どこまで報告書に盛り込むのがよいか検討が必要。
- 委員から提出のあった追加すべき項目(資料2の7ページ以降)については,本調査研究協力者会議の趣旨から考えて,別の機会に検討すべき内容として整理するのが適当ではないか。
<その他>
- 報告書案に対する御意見を,2月6日までに事務局に御提出いただきたい。
- 報告書案の内容を精査するため,予備日を少なくとも1回は使わせていただきたい。