資料6

資料6


キトラ古墳の保存・活用に関する今後の進め方について(案)

平成19年3月23日


1.現況
(1) 石室内の環境について
  平成15年に仮設保護覆屋を設置し,石室内の環境制御と,週2回の定期点検を行ってきた。
 
[1] 毎回,カビらしきもの発見され,その都度,除去。
白いものがほとんどであるが,黒いものなど色つきのものも確認。
[2] 平成17年9月に石室全体にゲル状の物質を確認。
(除去しても繰り返し発生するので,壁画に配慮し,除去を行っていない。)
[3] 平成17年10月に朱雀の尾に穴が発生。
[4] 天井の漆喰の浸食が進行。
[5] 虫については,点検のたびに発見。

(2) 壁画の剥ぎ取りについて
 
[1] 平成16年7月 「青龍」,8月 「白虎」(胴体)剥ぎ取り。
[2] 平成16年9月 調査研究委員会で,全面剥ぎ取りの方針決定。
[3] 平成17年5月 「白虎」(前足)剥ぎ取り
[4] 平成17年6月 漆喰剥ぎ取りの際に「十二支像(午)」確認。
[5] 平成17年11月 「玄武」,「十二支像(子,丑,亥)」剥ぎ取り。
[6] 平成18年12月 「十二支像(寅)」剥ぎ取り。
[7] 平成19年2月 「朱雀」剥ぎ取り。

[6][7]は,東京文化財研究所において開発したダイヤモンドワイヤー・ソーを用いた剥ぎ取り


(3) 剥ぎ取った壁画の公開
  平成18年5月に,飛鳥資料館にて,「白虎」を公開(6万人の入場者)。
  平成19年5月には,飛鳥資料館において,「玄武」を公開予定。

2.今後の課題
(1) 天井の天文図等
 
委員会やワーキング・グループでの議論を行いながら,文化財研究所において,技術的検討を行うことが,考えられる。

 
<剥ぎ取りの必要性の確認>
[1] 天井の漆喰の浸食の進行 → 天文図等が一部失われる可能性
[2] 繰り返し発生するカビによる被害の心配
[3] ゲルの発生

<剥ぎ取り方法の検討>
[1] どのような剥ぎ取り方法が技術的に考えられるか?
 
ダイヤモンドワイヤー・ソーの応用は技術的に可能か?
天文図等を分割して剥ぎ取るのならば,技術的に可能か?
(考慮すべき点)
表打ちの困難さ
上を向いての剥ぎ取り作業
天井がすべてフラットではなく,側壁に向けて,周辺部が屈曲している。
[2] どのような剥ぎ取り方法ならば,天文図等の剥ぎ取りとして許容できるか?
 
天文図等をブロックごとに分割して剥ぎ取ることは,許容できるか?
星や朱線などを個々に剥ぎ取り,全体として再構築することは許容できるか?

<剥ぎ取り完了までに必要な漆喰浸食等の進行食い止め策の検討>

(2) 泥に隠れている可能性のある十二支像
 
「午」のように,土に転写されて発見される可能性はあるが,現在の状態ですぐに劣化する心配はないので,天井の天文図等の処置の後,剥ぎ取りを模索することが考えられる。

(3) 残された余白部分の剥ぎ取り
 
天井の天文図等の処置と平行して,逐次,実施することが考えられる。

(4) 剥ぎ取りが完了した壁画の公開
 
当面,年1回程度,状態のよい壁画を選び,飛鳥資料館で公開。
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