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漆喰の厚いところはヘラでも剥ぎ取れるが、1.5ミリ程度の非常に薄い場合は現在の技術では取り外せないことはわかった。新しい技術を持って剥ぎ取ることはできないのか。 |
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寅のような周囲がかたくついているところは、力を加えた場合、漆喰層を破壊する危険性がある。また、ヘラで剥ぎ取ると漆喰層を曲げてしまい、漆喰層を破壊してしまう。そのため、細かい鉄線の上にダイヤモンドの粒を埋め込み、それを一方方向に引くという器具を作成し、実験している。実験室レベルであるが、垂直面については、0.5ミリぐらいの厚みがあれば剥ぎ取りは可能である。ただし実験室レベルであり、実際に使えるかは未定。現在、垂直面で実験を行っているので、垂直面については、条件さえあれば剥ぎ取れる。 |
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現在、表から紙を貼り付けて養生して剥がしているが、今の石室の内部では、表打ちの紙を引っ張れば漆喰もついてくるような接着ではないという前提は変更していないのか。 |
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変更していない。特にゲルが発生した後の表打ちの強度は著しく落ちるため、表打ちの粘着力だけで壁面を保持しながら外すというような状態は危険であると考えている。 |
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キトラ古墳に関して漆喰を全面剥ぎ取るという基本方針に変更はないのか。二上山という凝灰岩は強度の不均衡が非常に大きく、ダイヤモンドワイヤーによる剥ぎ取りでも黒い礫があるところはワイヤーがこすり、壁画に重大な影響を及ぼす可能性があることから、石ごと切るということも除外せずに検討するべきではないか。 |
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おさらいとして、無理して剥ぎとらなくても、置いておけるのならば、それを検討してもいいのではないか。 |
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もう生物連鎖が出来上がっているのならば、半永久的にこの生物連鎖の面倒を見なければならないため、全部剥ぎ取り、保存するという方針は変更しない方が良い。 |
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決して固執はしないが、南側の石ごとはずしていくのが一番いいと思っている。 |
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天井については、前回の委員会で剥ぎ取りは難しいと説明があったが、新しい方法で何とかなるのか。実用化できるのか。 |
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考古的には、解体よりは、石ごと切るというほうがまだ、遺構の破壊度が少ないと考える。 |
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ヘラでの剥ぎ取りは、石の壁にかなりの損傷を与えているのか。 |
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擦り傷はあるかもしれないが、石は硬いので、基本的には何もない。 |
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石ごと切るのはどうかとの意見については、当初、石ごと切ることを考えたが、技術的にうまく切れないため、石と漆喰の間を切ると言うことが一番現実的であると現場では考えている。 |
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あの環境の中で作業を行うことは、最善な努力をするような環境ではないと考える。しかるべきところに石を持っていき剥ぎ取った後、元に返すのであればいいのではないか。 |
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仮に放置した場合に、現在の漆喰がどのようなるのか生物環境としてシミュレーションしてから、剥ぎ取りを行う方が、成功確率が高いのではないか。 |
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将来的に保存・活用していく上で、一つの壁面を一体として保存・活用していくような方法にしていくのか、絵の部分だけを保存していく方法でやるのか。方向性は出ているのか。 |
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垂直面の部分については外せそうだが、天井部分がその方法では無理だという話になると考え直さなければならないと思う。 |
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垂直面も出来ると言ったわけではない。天井については、舟形になっているので、今の機械では切ることができないので、そこは手作業で剥がしてやると言う方法を考えている。 |
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天井部分については、現実的に小さなピースに分けて、壊せる確率の高いピースに分けて剥がずと言う方法でいいのではないか。丸ごと剥がすというのは現実的に不可能だと思われる。 |
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天井部分については、印象よりはるかに残りが悪く、漆喰層が非常に薄いため、漆喰層を切るというより、全く別の方法が必要だと考える。ダイヤモンドワイヤーによる剥ぎ取りは、天井では一部適用できるかもしれないが、側壁のような切り取りはできないと考える。いろいろな手段を用いてバラバラに切り出す方法が一番いいと思われる。 |
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高松塚壁画の場合は、どこも剥ぎ取りはできないと言うことか。キトラの天井より高松塚古墳の側面の方が優しいように思えるが。 |
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高松塚古墳は作業環境が非常に悪いため、キトラでできる技術ができるともできないとも言えない。 |
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高松塚古墳は、発見当時にかなり合成樹脂で接着されて処置しており、キトラはそのような処置をしていないため、ダイヤモンドワイヤーの技術で剥ぎ取れるのだと思う。 |
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ダイヤモンドワイヤーで非常にかたい部分、柔らかい部分を一様に切ることができるが、高松塚古墳の場合は、合成樹脂が摩擦熱で溶け、それで表面をひっぱてしまうことが起こってしまうので、難易度は遥かに高いと思う。 |
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昔処置した樹脂は劣化するのではないか。 |
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劣化と熱的な物性が変化することは異なり、なくなるのではなく、不均質な状態になってしまうため、やってみなければわからない。高松塚はキトラのように石が出ている部分があって切れるわけではないため、難易度は高いと思う。 |
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キトラ古墳は漆喰の状態はまだいいが、高松塚古墳は漆喰の劣化が進みすぎて剥ぎ取り自身が困難だと思われる。 |
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キトラ古墳の天文図は、東アジアでキトラしか残っていないため、一枚物で捕るような気持ちで行って欲しい。そのため、天文図については、あわてず、検討をいろいろやって、残して欲しい。 |
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生物劣化の視点から言えば、ケーソンと言っても完全に押さえることはできないため、一刻も早く切り取って、しかるべき措置を施すしかないと思う。 |
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高松塚古墳を解体という決定がされたのは、よほど難しい側面があったからと思われる。そのような事態が一方にあるので、できれば、キトラ古墳をあまり傷つけない方向で何とか処置できないか。 |
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資料では石室解体時の衝撃等で危ない、解体を選択しないというふうに書いてあるが、解体する場合、漆喰の状態を考えると高松塚古墳の方が、キトラ古墳より危険が高いと思うが。 |
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高松塚古墳はリスクが大きい。しかしながら、この古墳を救うために、リスクを承知で、最大限努力して保存しようと言うことである。今の段階ではキトラ古墳は解体する必要はないと考える。 |
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解体修理はいけないことなのか。 |
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いけないといっていない。解体修理しか高松塚古墳は救えないので、解体修理を行う。 |
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キトラの場合はどうなのか。 |
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それをこの検討会で決定する。高松塚古墳も議論を行ったうえで解体修理することになった。 |
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キトラ古墳の場合は、遺構としての石室も生かすということで、壁画を外に出して、石室は解体せずに元の状況にしておくいう選択をしている。遺構をバラすと本来の価値を失うという考え方もある。だから、キトラの場合は何とかその考え方を成就させようとして剥ぎ取り等の難しい選択を行っており、一番簡単なのは解体だと思う。 |
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新しい工法を含め、どの程度の期間で妥当な手段が判明するか見えていない。その間に劣化が進むのではないか。 |
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当初は落下の危険があるということで剥ぎ取りを行うことになった。最近の議論は、カビ対策が不可能なので、室外に取り出すが天井とは朱雀をどうするかという議論になっていると考えている。 |
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高松塚古墳壁画は特別史跡、国宝に指定されているため、どういう状況になろうと絵画として指定されていることになるが、キトラ古墳は絵画の指定がされていない。将来剥ぎ取った壁画が外に出してしまった場合、どうなるのか。 |
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現状において、技術的に貼り戻すことは困難であるが、保存・修理のために出しているということであり、原則としては石室内でそこの部分も含め保存するという考え方が前提。その限りにおいて、特別史跡キトラ古墳の構成要素の中にあると考える。 |
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キトラ古墳壁画の模写については、剥ぎ取った後に考えてもらえないか。 |
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どういう形かは別として、壁画を古墳の外に持ち出すという点については、再確認できたと考える。どのような方法かについては、WGでよく検討していただき、とりあえずできそうなことをまとめていただいて、改めて委員会を開催して審議していただくことにしたい。 |
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もし、失敗した場合は、最終的な責任は文化庁が取るが、その前の責任は委員会で引き受けることを考えて、現場になるべく自由度を持っていただき、委員にも一定の責任を担っていただくことを確認させていただきたいと思う。 |