資料3

資料3

特別史跡キトラ古墳の保存・活用等に関する調査研究委員会 ワーキンググループ(第17回)の議事要旨(案)

  日時 平成19年2月22日(木)15:00〜15:48
  場所 奈良ロイヤルホテル鳳凰の間


出席者
(委員)
巽座長,今津,梶谷,川野邊,肥塚,松村の各委員
(オブザーバー)
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所企画情報部長,奈良文化財研究所企画調整部長,国土交通省国営飛鳥公園事務所,奈良県教育委員会,明日香村ほか
(文化庁)
岩本記念物課長,その他担当官

議事

  会議開催前に,独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所遺物解析処理棟において,2月15日(木)に剥ぎ取りを行った南壁の四神「朱雀」の視察を行った。


1.開会

  • ○ 岩本記念物課長より挨拶が行われた。

2.配付資料の確認等

  • ○ 配付資料の確認を行った。

3.キトラ古墳壁画の保存措置について

川野邊委員より資料2に基づき説明が行われ,以下のような意見交換が行われた。

  1. 黒い部分は漆喰の薄かった部分で赤い部分は泥の付着している部分であるが,漆喰の薄い部分や泥の様な部分と堅い部分を一緒に切れる事を実証できたと思うか。
  2. 0.5ミリメートルはあると思うが,1ミリメートルに満たない部分についても取れている。また,以前のヘラの作業では出来ない部分である。
  3. レールの設置やワイヤーを改良したことについて,効果はあったか。
  4. 今までのワイヤーで問題がなかったため,改良をしたワイヤーについては使用していない。レールについては有効であったと考えている。
  5. 剥ぎ取り実施に際して,想定していた穴の開いている部分や,漆喰厚の不均一さなどかなりの難易度のものをクリアしている,また剥ぎ取った跡の朱雀の表面にヒビもでていない。フェイシングの技術が確立されている事と,ワイヤーソーについても,完成形で技術者の熟練度も高いと思われる。成功したが,想定されていたリスクと結果についての検証を当委員会で行って欲しい。
  6. 写真で見るより墨の濃淡があることと,朱の色の濃さが見て取れた。蛍光X線で調べて欲しいが,瞳の部分に黄色が入っている様に見受けられる。今後は,公開し,広く国民の方々に古代への思いを馳せていただけるよう希望する。
  7. 瞳の黄色については,ゲルによるものではないと思われる。
  8. 高松塚についてもリスク管理をきちんと行い進めて行かなくてはと思った。剥ぎ取った朱雀にカビが発生する懸念があるが,今後の対策について如何。
  9. 剥がした壁画については,今までも脱酸素材の封入により,カビが発生したものは無い。
  10. ゲル状物質についてはどうか。
  11. 北壁のものより影響は少ないが,色の濃いゲルであるので,乾燥していく際に色が濃くなる懸念がある。
  12. ワイヤーソーの技術を天井に応用は出来るか。
  13. ヘラで取れる部分については取り尽くしている。ダイヤモンドワイヤーでの対応しかないとは思うが,天井部分は舟形になっており,そのままでは利用できない。また,表打ちについても,今の技術では漆喰が粉々になってしまう可能性があり,新しい技術の検討が必要。天文図は絵画でなく図形であるので,分割の可能性等の修復方針が決定しないと手法についての検討が出来ない状況である。
  14. 天井については,事前にもう少し調査を行い,取り外し方法を検討するほうがよいであろう。朱雀について公開に向けての修復の方針はご検討されているか。
  15. 青龍と同様である。漆喰と泥が混在しているため,青龍についても漆喰と泥の収縮立の差から湿度を展示用の55%まで下げられない状態である。朱雀も同様に長期の期間が懸かることが予想される。
  16. 3D測量について,いつ頃の時期を検討しているか。
  17. 来週でも可能である。天井のレプリカ作成用に写真測量は実施済みである。
  18. 近々の実施とのことではどうか。
  19. 公開について,実物の公開は難しいであろうから,レプリカの作成を検討は出来ないか。
  20. いつの段階でのレプリカか。保存修復前か。
  21. 出来れば各段階のものであるが,最低限として修復前と後のものの作成を検討して欲しい。
  22. 保存措置については時間をかけて安全に行うことが必要。一方公開については早急に要望が出ると思われ,映像やレプリカ等での公開を行うのも両立させる上で,良い手段である。
  23. 早く見せたいが,天井の天文図が残っており,人員も限られている事であるので,そちらを優先させたい。保存措置・公開については猶予を欲しい。
  24. 壁画の状態を見ながら,順次公開を行ってまいりたい。レプリカや映像については,委員会で検討してまいりたい。
  25. 剥ぎ取った壁画のレプリカだけでなく,石室全体のレプリカは検討しないのか。
  26. 現地点での模写は難しい,石室内に余白も残り,茶変の程度が違っている。映像の方が絵画への負担も軽いのではないか。映像を取る際に負担になる事はあるか。
  27. 撮影時間の短縮と,光量を減らせば,可能。
  28. 漆喰に乳剤を塗り,映像を焼き付ける手法もある。
  29. フォトマップは完成しているので,委員が指摘した映像を焼き付ける手法も出来るのではないか。
  30. 天井の対策と余白についての今後の生物被害対策について。
  31. 東壁の独立した漆喰部分については,やせが目立ってきているので,ケーソン塗布を行いたい。天井についても石材露出部分の周辺が同様の傾向が見られるので,ネフライザー等での塗布を検討していきたい。
  32. 生物被害のこともあり,天井の剥ぎ取りも含め検討していきたい。

4.その他

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