資料 5-1
過去の高松塚古墳壁画の修理(剥落止め処置)について その2
(平成13年〜平成19年3月)
平成14年 | 1月28日 | 石室西壁に損傷事故が発生(西壁男子群像下方部,西壁男子群像胸部) 剥落防止措置(当日) |
1月29日 | 剥落防止措置(翌日) | |
2月26日 | 西壁男子群像下方部の剥落止め | |
3月28日 | 損傷部分の補彩を行う。 ※この後,剥落止め措置は実施していない。 |
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平成18年 | 4月25日 | 高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び石室西壁の損傷事故に関する調査委員会 (委員長・石澤良昭)を設置 |
6月19日 | 『高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び石室西壁の損傷事故に関する調査報告書」提出 閉会 |
『高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び石室西壁の損傷事故に関する調査報告書 (平成18年6月19日)』(抜粋,一部要約)
【損傷時の剥落止め処置】
- 文化庁担当者,東文研担当者,修理技術者の3名で損傷の状況を観察した。文化 庁担当者および東文研担当者により,損傷箇所の下方がさらなる剥落をきたすおそ れがあると判断されたため,文化庁担当者の指示により,東文研担当者および修理 技術者によって剥落止めの処置が行われた。
- ・ 具体的には,損傷部分にレーヨン紙(もしくは典具帖紙)をあて,その上からパラロイドB72を筆で塗布し,浸透させた。接着を確認しつつ必要に応じて塗布を繰り返す作業を行った。パラロイドB72が固まり安定するまでレーヨン紙を静置した。
- ・ 午前中に生じた下方の損傷については,当日特に処置を行わなかった。
→この傷については,2月26日の午後の点検時にパラロイドB72を含浸した。 - ・ 応急処置の翌日(1月29日),損傷箇所の接着状況を確認し,レーヨン紙表面に溶剤を塗布して徐々に剥がし除去した。除去後,損傷箇所の状態を確認し,必要箇所にパラロイドB72を塗布した。
【事故箇所の補彩(同3月28日)】
- ・ 取合部の墳丘土を採取してアルコール殺菌し,精製水で練ったものを傷2ヶ所に塗布した。
(平成19年4月〜8月 石室解体作業)