杉山委員: |
壁面に付着する有機物等の分析は、生物劣化の原因究明では非常に役にたつデータである。壁面の表面と漆喰内部に浸透した有機物を可能な限り分けて分析すれば、さらに役立つデータが得られる。
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和田委員: |
余白漆喰と目地漆喰は外れた状態でも区別できるのか。また、サンプリングに使うのにどのくらいの量の漆喰が必要なのか。
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建石調査官: |
余白漆喰は板状になっているものが多く、状態がよいものであれば見分けられる。サンプリング調査を実施する場合は、識別できるものを使用した方がよいと思う。
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肥塚委員: |
分析に必要な資料はどの程度の量なのかということか。
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和田委員: |
何を分析の目的とするかによって、サンプルの量は変化するだろう。修理の方法や壁画の技法に大きく影響すると思われるので、サンプリング調査で漆喰の断面をきちんと調査する必要があると思う。また、漆喰の成分である炭酸カルシウム以外の成分が使われている可能性もあり、これは非破壊調査では限度がある。
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成瀬委員: |
調査対象となる漆喰の量を明確にすべき。
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永井座長: |
専門的な見地からどの程度の量が必要なのかについては、次回以降さらなる整理をしていただきたい。
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肥塚センター長: |
材料調査の現場としては、どの程度の調査を行えばよいのか非常に悩むところがある。何かよいアイディアがあればいただきたい。
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和田委員: |
現場で出る様々な方法などをその都度、検討会に提案し、合意形成を図るという方法しかないのではないか。
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成瀬委員: |
現場において、壁画面に戻せない余白漆喰を使って、現場の問題意識で「ここまでわかった」という実例を示し、「これ以上わかるためにはこういうことが必要だ」というものを提示するのがよい。
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永井座長: |
サンプリング調査は発見時以降なんらかの理由で壁画と分離した余白漆喰に対して実施するということで検討するが、調査に必要な漆喰の量などをさらに整理し、次回以降提示するということにしたい。 |
青柳委員: |
過去の高松塚古墳壁画の保存対策で、変化があった際、その都度評価をすべきであったが、結果として、その評価システムがなかったことが問題だったのではないか。例えば、旧保存施設の不具合についても評価システムがあれば対処できたはず。サンプリング調査もどういうところに分析を出すのか、適切な分析結果を出せるのか、そういったことも評価しなくてはならない。
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永井座長: |
何事においても現状把握が一番大事である。その上で原因を特定する。その上で目標をたて、手段を選択する、そして実行した結果、目標と結果を比較すれば評価ができる。そのような考え方が劣化原因の検討として必要。
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高鳥委員: |
この検討会での検討は、発見してから今日に至るまでの劣化の経緯である。時系列でどの時点で劣化が起きているのか整理することで、全体を把握することができる。
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永井座長: |
全体を歴史的に俯瞰して眺めるという視点が必要。
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杉山委員: |
壁画発見時の調査データは残っているのか。残っているとすれば、どのようなデータが含まれているのか。
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建石調査官: |
発見時の写真や記録を精査することにより、壁画が発見したときにどの程度壁面が残っていたのかはある程度は復元できる。しかし、これだけでは、分かることと分からないことがある。少しでも劣化原因調査に役立つよう、検討を進めていきたいと考えている。
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和田委員: |
時間の経緯と劣化の進行状況と人の行為の関係を編年図のような形で整理すると関係性が見やすくなると思われる。
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青柳委員: |
国内の装飾古墳では、装飾古墳の発見年を教えてほしい。
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建石調査官: |
次回以降整理して報告する。
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青柳委員: |
高松塚古墳壁画の築造年前後の他の漆喰で比較資料としてデータを集めることは可能か。
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建石調査官: |
奈良県高取町の束明神古墳では接着剤として使用された漆喰の分析例がある。高松塚と同様、鉛の成分が検出されている。
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和田委員: |
古墳だけではなく、法隆寺など、障壁画に使われた漆喰の分析もできるのではないか。
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肥塚センター長: |
寺などの障壁画は白土を使用しており、漆喰は使用していない。
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永井座長: |
これは最終報告書の目次のたたき台みたいなもので、これを充実することで報告書に近づくという理解をしている。一番最後の項目に、この検討会で得られた教訓と今後に向けてといったものが最大のポイントになると思われる。この会議の当初は中間まとめという形で考えていたが、今後は論点整理という形で内容をブラッシュアップしながら報告書としてとりまとめていくということにしたい。
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杉山委員: |
次回、生物関係の中間的なまとめを発表したい。
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永井座長: |
次回の検討会で発表していただきたい。
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