壁画保存についての現時点における課題

  1. 墳丘部
    現状は景観上好ましくなく、シートの耐用年数も4、5年と推測される。したがって、現用シートからの何らかの代替法を早急に策定する必要がある。
  2. 取り合い部及び石槨内の環境
    緊急保存対策措置により、カビの多量発生は抑制されている。しかし、カビ発生、虫の侵入ともに終息したわけではなく、今後梅雨から夏の高温多湿時期に向かって予断を許さない状況にあり、保存環境について注意深い観察を継続する必要がある。
    また、現在3週間おきに石槨内点検を実施し、取り合い部や石窟内に発生したカビをその都度エタノールで滅菌処置し、点検後にパラホルムアルデヒドによる燻蒸を行っているが、このような保護措置についても、安全性、有効性を再検討し、現時点における最善の方法を模索する必要がある。
  3. 壁画
    従来、剥落の危険がある部分のみについて剥落止め処置を実施してきたが、壁面全体について劣化が進行している可能性がある。未処置部分を含め、壁面全体について精密に診断を行い、保存計画を策定すべく作業を開始している。
  4. 保存施設
    保存施設は昭和49年12月に竣工しており、建設後30年を経ている。老朽化による諸性能の低下は未だ顕著ではないが、改めて施設の構造及び諸設備を再点検し、更に現在における技術水準等をも反映させた改新を検討する必要がある。

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