高松塚古墳壁画の保存方針の再検討について

1.再検討が要請される背景
(1)
様々な意見及び技術・学術成果の進展
壁画の保存方針については、昭和48年当時、検討の結果、発見当時の環境で保存することが壁画にとって最善の方法であるとされ、以後、その方針に沿って保存対策を進めてきた。
しかし、今回の出版を機に壁画の劣化に関連して、各専門分野の方々から、壁画の保存方針について様々な意見が出されていること及び当初の方針を決めてから30年余りが経過しており、この間、科学技術や学術研究成果も進展してしていることから、これらを踏まえ、壁画の保存方針を再検討することが必要である。

(2)
カビ対策の現状
石槨内に発生するカビによる壁画への影響を極力抑えるために、壁画発見以来尽力してきたところであるが、これまでに抜本的な対策を見いだすには至っていない。
現在、3週間毎の点検で、カビを初期状態で処置し、壁画に対する被害を防いでいるが、抜本的なカビ対策を打てていないのが現状であり、この点からも壁画の保存方針を再検討することが必要である。

2.今後の検討について

あらゆる保存方針の可能性について検討する。
なお、それぞれの保存方針の実現可能性及びリスクについて、できるだけ詳細な検討を行う。
また、保存方針の検討に当たっては、検討会が必要とするデータ等を事務局並びに作業部会において収集し、報告する。

【例】
(1)

現在地で保存する
  1. (1)従来の保存方針に基づき現在地で保存(保存施設機能及び周辺環境等を整備)
  2. (2)温湿度管理を行いながら現在地で保存
    1. 墳丘ごと保存環境を管理
    2. 石槨のみ保存環境を管理
(2)
別施設で保存する
  1. (1)壁画を剥ぎ取り、保存施設において管理
  2. (2)石槨ごと取り出し、保存施設において管理
3.検討スケジュール

9月以降月1回のペースで検討を行い、できるだけ早い時期に保存方針を決定する。

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