高松塚古墳石室内の監視装置について(案)

平成16年8月10日
1.目的
現在、カビによる壁画への被害を防ぐため、3週間に1度の間隔で点検を行っているが、石室内部に入室することにより、内部環境に何らかの変化が生じて壁面に影響を及ぼす可能性があり、頻繁な点検は壁画の保存上好ましくない側面をもっている。しかし、点検間隔を長くとれば、その間にカビの被害が拡大する恐れが高まる一方、現在の点検間隔でもカビが急激に生育する可能性は否定はできない。
このため、監視装置を石室内に設置することにより、カビをはじめとする石室内の変化を入室することなく常時監視することができ、石室を開ける頻度を下げることによって内部の環境変化を最小限に抑え、壁画への悪影響の軽減を図るものである。

2.装置の概要
(1) 2台のカメラを遠隔操作することにより、東西南北側壁及び天井の全壁面を監視することができる。一日一回のストロボによる自動撮影とし、その光及び熱を抑え、また、装置の発生熱量も最低限に抑えることにより、壁画に与える影響を最小限に留めることができる。なお、装置全体の構造については安全性、安定性を追求しており、細部を検討中である。

(2) 撮影データは、現地機械室のコンピューターに蓄積され、機械室から東京文化財研究所に光ケーブルで画像を送信し、東京文化財研究所からは、任意に撮影箇所を遠隔操作できる。また、東京文化財研究所を通じて文化庁及び奈良文化財研究所でも画像の送受信、遠隔操作ができる。

(3) 撮影する1カットの範囲設定が可能であり、範囲を狭めれば観察する精度は上がるが、データ量が大きくなるので、効率性と精度の兼ね合いを調整する。
また、カメラのフィルターは赤、青、緑に赤外を加えた4種のフィルターを用いることにより、可視光画像に加え、赤外によってカビを赤く際立たせて感知した画像も得ることができる。

(4) 東京文化財研究所に蓄積される受信画像データと次の新画像とをコンピューターで自動的に比較され、画像に差がでた場合にアラームを発する。差の程度は設定が可能であり、最小で3ミリ程度の差を感知することができる。

3.設置時期
平成16年10月中。(予定)
なお、設置後も当分の間は、目視点検も並行して行う。

写真イメージ
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