資料11

資料11

石室解体作業によって想定される主な事態分析例とその対応(案)

1 天井石の把持に問題が生じ,つり上げの際に,天井石が落下する。
 
以下の回避措置を講ずる。
石材把持の調査に万全を期しており,あわせて,落下防止装置の装着,歪みセンサー等による異常の検出を行う。

2-(1) 天井石の亀裂による崩壊。
2-(2) 天井石の亀裂が拡大し,星や朱線にかかり天井天文図が分割される。もしくは,星の上に亀裂が入り,星が損なわれる。
 
以下の回避措置を講ずる。
取り上げ用治具を,東西からの拘束に加え,南北方向からの拘束を加えたタイプのものとする。
状況に応じ,亀裂の入った石材をバンディング法により固める。
2-(2)については,取り出し後,ある程度は再構築が可能である。

3 石材ブロックの落下による壁画面の損傷。
 
以下の回避措置を講ずる。
事前に取り外せる石材ブロックは,取り出す。
できるだけ静かに取り上げる。
シクロドデカン等を適用した充填固化接合。
テーピング等を実施。
壁画漆喰について養生措置
落下に備えてスクリーン等の設置により保護すると同時に石材を回収

4 天文図の星,朱線の描かれている天井石の漆喰が一部剥落する。
 
以下の回避措置を講ずる。
メチルセルロース(MC)により,できる限り養生を行っておくが,剥落の可能性があるため,下に柔らかなクッションで受け止める。

5 側壁が不安定になり倒れる。
 
以下の回避措置を講ずる。
いきなり,石室全部を検出せず,側壁の外側の土を一部残すことで不安定な側壁を支える。さらに,側壁を両面から支保工等で支える。
天井石取り出し→側壁外側の土を除去→側壁取り出しのサイクルを北から南へと段階的に行い,取り外しを完了する。

6 側壁の絵が描かれている箇所が剥落する。
 
以下の回避措置を講ずる。
表打ちをし,養生により対応。なお,漆喰が極めて脆弱な部分については,顔料が漆喰から分離することも考えられる。その場合でも表打ちとともに顔料は残ると予想されるため,修復可能と考える。

7 その他
 
あらかじめ,取り出し方法,壁画の養生等を工夫する。
仮に,壁画や石材に損傷が生じても,最小限の被害で済む措置を講ずる。
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