資料16

資料16


これまでの文化審議会文化政策部会におけるアートマネジメントについての主な意見
(抜粋)

(1) 第3期第19回文化政策部会(平成17年10月17日)

  •  人材育成と申しても,アーティストである芸術家の育成と,それ以外の,先ほど伊藤(裕夫)委員(現富山大学芸術文化学部教授)が言われました「等」の部分である,主としてアートマネジメントの担当者の育成と,この二つに大きく分かれる。
  • アートマネジメント担当者の育成について,アートマネジメントのコースが各地の大学にできている。これらは経済的な側面,経営的な側面,政策的な側面,この3つの観点からのアプローチによる教育研究がなされている。それらは,研究分野として文化経済学,アートマネジメント論とも言われている文化経営学,それに文化政策学ないしは文化政策論の三つの分野に分けられ,それは,それぞれの大学の性格,当該コースの成り立ち,教員の構成,立地条件などから,大学ごとに一定の傾向が見られる。
  •  これらの分野はまだ学問としても未成熟で,寄せ集めと言っていいような授業科目が開講されてる。大学院レベルの充実ということが必要。学部レベルからアートマネジメント教育を行っている大学では,学部段階でいろいろな現場に接することができるような科目を配置しており,それを修士レベルで総合化するといった必要性がある。
  •  アートマネジメント担当者について,市場性は非常に少なく,ネックとなっている。このため,受け皿,活動の場の確保の必要性が生じている。この場合において,制度上の課題として,修士レベル以上の専門家として何らかの資格の可能性を考えていく必要があるのではないか。
  •  アートマネジメントに関する公的な資格は,時代に逆行しているので,例えば関係大学の連合体とか,場合によっては各大学で資格を設定して付与することも一案ではないか。
  •  指定管理制度が導入され,都市部では民間の参入が見込まれ,民間サイドの指定管理者にアートマネジメント担当者の市場の可能性が存在してくる。
  •  学芸員の資格を持っていても,それを活かす場がほとんどないという現状で,学芸員の資格があるとか,あるいは企業の中でメセナの担当セクション,財団,そういう活動を担当してもらう人には,可能であれば従来の学芸員の知識のある者よりは,むしろ,アートマネジメント寄りの学習をした者が良い。
  •  人材育成も芸術家とアートマネジメントを仕事をする人と二つの局面がある。劇場,文化施設,芸術団体等の現場で大学院レベルの高等教育から現場へと,実際に活躍する前段階のところで人材育成をできるシステムがないか。

(2) 第4期第13回文化審議会文化政策部会(平成18年12月12日)

  •  文化芸術活動を支えるためには,文化施設や文化芸術団体における事業の企画,運営,及び教育普及を担う専門家(アートマネージャー担当者と舞台技術者など)の人材育成は急務である。と同時にこれらに携わる人々がその活動に安心して取り組める環境を整備することが重要。
     その結果,享受者としての国民と豊かな文化芸術を結びつけるために一定の知識や経験を持つ文化芸術コーディネーター,それからアートNPO,及び質の高い文化ボランティアが地域や学校で活動しやすい環境となることが望まれる。
  •  これまでアートマネジメント担当者が養成されてこなかったことから,その間際を縫ってコーディネータなるものが現在活動している実態である。基本的にはアートマネジメント担当者,専門性を備えた人材が全国くまなく行き渡るべき。

  •  アートマネージャーは国民と享受者と文化芸術創造活動を担う者を結びつけるのがアートマネージャーの仕事である。
  •  アートマネージャーを専門家として育成して配置するような仕組みをつくったとしても,コーディネータは必要。アートマネージャーと一般地域,サポーターをつなぐ存在は社会の仕組みとして当然必要。

  •  そもそもの問題は,アートマネジメント担当者あるいはアートマネージャーの指し示している範囲の理解がそれぞれ異なる。我が国でアートマネジメントとは何なのかというところが漠とした概念でしかないという事実に起因している。
  •  アートマネジメントにはいろいろな職種があり,それらを総称してアートマネジメント担当者と呼んでいる。教育だけを行う人もアートマネジメント担当者であろうし,企画だけ,チケット販売のみを考えている人もいるので,かなり様々なものを総称しているため,資格化が難しい。

  •  地域において文化を振興していくためには様々な職種があって,それをトータルしてアートマネジメントという1つの機能と考えるべき。

  •  アートマネジメントという専門性のある分野は文化政策として育成することは重要。

(3) 第4期第14回文化政策部会(平成19年1月16日)

  •  アートマネジメント担当者と舞台技術者等との人材育成を図ることが急務である。

  •  「企画・管理担当者,アートマネージャー,舞台技術者等の研修の充実を図る」,「文化施設の職員などの資質向上のための研修の充実を図る」と記されているが,前回の第一次基本方針には「充実を図る」との表記であったが,現実に充実が図られていないので,「最重要課題である」,「急務である」という表記にしたほうが,基本戦略として実際に踏み出せる。

  •  アートマネジメントを養成するような教育,大学機関,大学院機関もたくさん出てきたことは事実。ただ,我が国の大学において,この分野で世界に通じるような人はほとんどいない。

  •  日本で,特にアーティストに対する敬い,社会的な評価が低い。アーティスト,アートマネージャーという言葉は意外と日本語になりにくい。自分で「芸術家」とは恥ずかしくて言えない。そのような意味でも環境づくりをしっかりして,文化に対する関心や理解度を高めていくことが大切。
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