第7期文化審議会文化政策部会第2回議事録

1    日時
平成21年5月29日(金)
2    場所
文部科学省3F2特別会議室
3    出席者
(委員)
田村(孝)委員 山内委員 唐津委員 高萩委員 田村(和)委員 吉本委員 米屋委員
(事務局)
青木文化庁長官 高塩文化庁次長 清木文化部長 清水芸術文化課長 他
(欠席委員)
宮田(亮)委員 池野委員 三林委員 宮田(慶)委員 ロジャー・パルバース委員
議題
  1. (1) 舞台芸術人材の育成及び活用について関係機関からのヒアリング
  2. (2) その他
【田村(孝)部会長代理】
 定刻になりましたので,始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。本日は宮田学長が所用で欠席ですので,私がかわりに部会長をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 ただいまから文化審議会文化政策部会第2回を開催いたします。本日は,ご多忙のところ,本当に皆様ありがとうございました。
 本日の会合には,関係機関の方々として,後ほどご紹介させていただきますが,植田様,野田様,草壁様,西川様,松本様,間瀬様にお越しいただいております。お忙しいところ,ありがとうございました。関係機関の方々には,後ほどお話を伺いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 会議に先立ちまして,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【清水芸術文化課長】
 <配付資料の確認>
【田村(孝)部会長代理】
 それでは,前回は文化政策部会における検討の進め方についてお話し合いをするとともに,これまで文化政策部会において取りまとめました。前回の部会では「実演芸術家等」と「アートマネジメント人材等」の2つの審議経過報告に関して,関係機関からのヒアリングを行いました。本日は,引き続き,お招きした関係機関の方々からご意見をお伺いしたいと思っております。その後,委員との意見交換を通じて審議を深めたいと考えております。
 それでは,本日お越しいただいた関係機関の方々を改めてご発言順にご紹介させていただきます。
 東京藝術大学音楽学部長,植田克己様。
 日本大学藝術学部長,野田慶人様。
 日本オペラ連盟常務理事・事務局長 草壁貞二様。
 社団法人日本劇団協議会常務理事,西川信廣様。
 社団法人全国公立文化施設協会常務理事,松本辰明様。
 社団法人全国公立文化施設協会アドバイザー,間瀬勝一様。
 関係機関の方々からは,各機関とも,申しわけございませんが,15分程度ご意見を伺った後に,各委員との自由討議とさせていただきたいと思います。
 それでは,植田様から,15分ほどでご意見を伺いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【植田学部長】
   前回のこの審議経過報告を読ませていただきまして,我々に何ができるのか,それから広く芸術系大学として何ができるのかということを少し考えさせていただきました。
 我々の大学が持っている使命というのは決して簡単ではないと,このごろさらにその思いが増しているのですけれども,日本で唯一の国立,今は独立行政法人になりましたけれども,その使命を担って,全国から芸術を目指す,音楽,美術あるいはこのごろは映像がございますけれども,それを目指す若者たちが大学の場で学びたいということで,入学試験の段階から専門性が問われる科目を課しておりまして,それの倍率だけではございませんけれども,その試験の内容というのはかなり厳しいものであると課すほうも認識しているところです。全国から若い力が結集されたところで選抜を行い,その結果,合格人数も残念ながら多くないというのが実情でございまして,その中でお互いに切磋琢磨を図る,それからレベルの高い教員からの教育をどのようにするかというところ,さらにその4年間という一つの期間がございますけれども,その間で何ができるか,それこそ社会に出てからどういう活躍ができるかという方向性を指し示したいという思いはずっと持っております。創立以来,東京音楽学校時代を含めますと,120年を超えている学校ではありますけれども,芸術の道は長しということと本当に同じぐらい,その120年の間,先輩の先生方も一緒になって考え続けてきていることが今の姿だとまず申し上げたいと思います。
 それから,実演芸術家という人達が一度は夢を見るところを目指してくる。それで結果的には,例えば音楽学部で申し上げますと,大体250人ぐらいの若者が毎年入学しています。大学院では120人近くが入学しています。100人から120人ぐらいという定員で行っているんですけれども,その中で,美しくも厳しい道をずっと上を見続けて上り詰めていける人材というのは残念ながらそんなに多くないというのも現実です。ごく限られた人数の者が本当にステージの上での活躍ができるという,あるいはその自覚を持って進み続けているという面,それはそれですごく高いレベルを指し示していることにはなるとは思うのですけれども,それと大多数とは申しませんけれども,そうではなくて,音楽は大変好きだし重要ではあるけれども,いわゆるソリスティックな活動,あるいはある意味スポットを浴びるような活動を実際はできなくても,どのように自分が音楽にかかわるかというところで,ある種の気持ちの持ち方を変えて音楽に進んでいく者,それから社会に出て自分がどのようにその中できるかということを考える部分,そこもその教育の中で指し示さないといけないということがあります。
 それから,残念ながらこの道に自分は向いていないのではないかと思ってしまう,あるいは途中で思わざるを得ないような結果を自分で認識してしまうという人も少なからずいます。それが,自分の方向性をほかに見出していけばいいんですけれども,これは多分我々の大学だけではなくて,広く今の若い人達に多いのかと思いますけれども,自分を見失ってしまった結果,学校に向かう気持ちもなくなる。それから,芸術という道を一度は選びつつも,その自分の気持ちを外に向かって発信することがとても恐ろしくなってしまう心的な,あるいは内的な悩みすら感じてしまう例もございます。教育機関ですから,どのようなレベルとは申しませんけれども,色々な面に向かって我々は教育指導をしていく,それから教員自身も切磋琢磨を図って,研究を続けなければいけないというところになっております。
 それから,この場合,ここの会議で問われるのは,それこそ実演芸術家等ということですから,今,私が最初に述べました段階では,言葉は選びますけれども,自分こそはと思って,さらにその自分の専門の道を精進し続ける者を相手に,あるいはそれを対象にということであろうと思って参りました。250人入ってきたその1学年のうち何人がそれに該当するか,それは一つは気持ちの問題でもありますから,それを強く持ち続けられること,それからいつかは自分はと思っていること,それから,そのときにはわからなくても,これは多くの方が,多くの先輩たちもそうでしょうし,我々自身もですが,いつか,なるほどとわかるある時期が来るということもあります。若いときには残念ながらそこまではいかなくてもということもありますので,そういうことも含めてなんですけれども,さらに上を目指したいということで行っていること,それからさらに世界的に見てどうなのかという,今,東京藝術大学は日本ではこういう立場にある,こういうことを行っているということは指し示すことはできても,さてそれが世界に出たときにどうなるのか。もちろんそれは社会,世界,この場合は2つ一緒に並べてもいいことぐらいに私たちは思っておりますけれども,そこのレベルまでどのように,できることなら引き上げていくのか,あるいは若者たちにその心構えもそうですけれども,実力を高められるような,それから自己啓発をできるようなことを自分たちが指し示すことができるのか,そこにかかっていると私たちは考えています。
 音楽だけの世界で申し上げますと,現在,世界各地に優秀な音楽大学,音楽院というのがございまして,そこで行われている,それからそこの卒業生たちというところのレベルは本当に高くなっているというのを実感しております。私は約35年ぐらい前に何年間かヨーロッパに留学をした経験がございますけれども,そのときに行われていた状況と今は大分違う状況と考えています。一つには,音楽で注目を浴びるために,音楽に限らず,コンクールが行われている。コンクールで選ばれることが,そして,注目を浴びることが世に芸術家として出る大きな道である,あるいはスタートラインであるとかなりの人が思い込んでいる。これは一種自己批判も含めてですけれども,思い込んでいるところがあります。しかし,それで本当の芸術になり得るのか。それから,人々のその批判に耐え得る高度な芸術,芸能,演奏,それを指し示すことが本当にできるのかというと,それはそうではないということが多くの方がご存じのことです。この辺のギャップをどうするかというところ。それから,若者たち自身もそれだけでは駄目なんだというところを理解してもらうことで社会に一つ示すことができる。それはハードもソフトもそうですが,どのようにその活躍の場を提供するかということにも結びついてはいくと思いますけれども,一つ難しい,自分がよければ,自分がいいと思っていることがいつかは通じると思ってやるその行為と,それから現実に評価を受けるということはどういうことなのかということの厳しさとその両方とも自分の中でせめぎ合っていくような,あるいはそれができるような若者になってもらいたいと私は思っています。それは,変な言い方ですけれども,実技がさほどでないから,では教員になるのがいいのかとか,そういうことでもない。もちろんそんなことはあるはずがないのであって,例えば教育に自分の活動の重みを乗っけようと思ったときに,そこで行われる仕事の難しさ,それからそれを通して芸術のすばらしさを教えることがどんなに大変なことであるかというのはその場になってみればすぐわかることです。
 東京藝術大学の場合は,残念ながら,音楽学部としては音楽教育に関する部分,いわゆる教育音楽と置きかえてもいいのかもしれませが,教育音楽の部分という専門の部門を持っておりません。大学院になって初めて音楽教育というコースがございます。それは,音楽教育の先生たちが東京藝術大学の持っている専門実技のレベルの高さをまず生かす,それがあっての,その一様の技術なり音楽に関して,芸術に関しての技術,それから知識を習得した上での音楽教育の場としたいというところがありますので,学部の4年間に関してはいわゆる教職をとるための授業はございますけれども,そういう部分ではやや手薄と申し上げていいと思います。その分,演奏にかける,実技にかけることを重視しております。
 それから,例えば,ピアノならピアノで,ピアノ1台で済むような楽器ではありますけれども,幅広い芸術,音楽のありようを学んでもらうために,例えばほかの楽器と組んでの室内楽の授業とか,それから歌の伴奏もするとか,そういうことはカリキュラムに入れて,ただ一人自分が部屋にこもってピアノを弾いていればいいとはしておりませんけれども,ただ,先ほども申し上げましたように,世界各地の若者が見せている現状,そのレベルの高さからすると,どうしても自分の独創にどのようにかけるのかということに一部の者は本当に邁進したいと思っているし,それはバックアップしたいと思っています。同じように,歌の場合は,ソロも勉強し,また,アリアも勉強するけれども,合唱も経験するということも同じことです。オーケストラ楽器ですと,当然のことながら,学生オーケストラの授業でそういうことを学びます。
 それから,全体のレベルとしては,音楽学部のレベルもおかげさまで私は大変に上がってきていると思っております。それから,大学内にも立派なホールを建てていただいて,そこでの発表の機会も多く,それを楽しみにいらっしゃるお客様の力が,また,若者の意欲と努力を高めていただいているということも本当にありがたいことだと思っていますけれども,実際問題,それぞれの演奏でステージに出る機会が少ないのと同時に,昨今はオーケストラで募集する人員が極めて少なくなっているということにかなりの危惧の念を持っております。どのオーケストラでも,現在,1人を募集するのに,例えば,二十何人で演奏するバイオリンですけれども,一つのポストがあいたといったときに何十人という人が応募してくる状況がございます。フルート1本募集しますと言って,もう60人,70人の方が全国から,あるいは場合によっては世界から応募してくるというような実情の中で,若者にどのように自分がやりたい音楽のその希望と将来性を持って,それを維持して続けていってもらうかというのは大変に重要な問題だと私は認識しております。
 教育機関としての自分の立場からはそのように今は申し上げました。
【田村(孝)部会長代理】
 ありがとうございました。
 先生にはもう一度改めて伺わせていただきます。野田先生,この実演家等に関する人材の育成及び活用,それからアートマネジメント,この2つの報告書を実際お読みになってというところも加えていただいてお話しいただけばと存じます。
【野田学部長】
 野田でございます。日本大学の藝術学部で現在学部長を務めております。
 東京藝術大学は,国立大学と,今は独立法人ですけれども,私どもは私学でございます。私学の中でも一つ大きな特徴を持っておりますのは,純芸術から現代芸術まで,場合によっては芸術的なものまでという言い方をしたほうがいいかもしれませんが,音楽,美術の分野から写真,演劇,映画,放送,文芸,デザインと8つの学科を持っております。我々のキャッチフレーズとして「8つのアート,1つのハート」という言葉を掲げまして,芸術の総合学部として,バランス感覚にすぐれたいわゆる芸術家やクリエーターを養成しようということを目標に行っております。最近は純芸術の芸術家の方々もバランス感覚を備えていないといけないのではないかと。色々な交渉事もありますし,そういうことも含めて,バランス感覚にすぐれた芸術家,クリエーターを養成しようということを前提に,約90年の歴史を持っています。そんな中で,日本の芸術に対する理解のなさには嘆いていたわけですけれども,今回といいますか,最近このように芸術に対しての理解を深めるために,文化庁の方々や委員の先生方がこのように今努めてくださっていることには深く感謝を申し上げたいと思っております。
 その中で,この報告書を読ませていただきました。私の専門は放送学科でございまして,放送広告が専門でございますので,芸術という意味では少し離れた部分にいるのかと思いますが,物を創造する,つくり出すという意味ではその基本は一緒だと思っております。題目が実演芸術家ということでございましたので,演劇学科の主任,音楽学科の主任,美術学科の主任とともにこの報告書を一緒に読みました。それぞれの先生方にも意見をお聞きしましたし,それから,そこに所属する何人かの頑張っている学生たちにも話を聞いてみました。その中で,私見も含めまして今回述べさせていただきたいと思います。
 本件に関しては,まだ経過報告ということでございますので,こんな状況になっているのかなと思ったのですが,基本的にはどうも個々の意見がまだ主に述べられているような気がしまして,その内容がそれぞれ余り一貫性ができていないのではないか。総括的なまとめ的なことをやはりしていただかないと,読むほうは非常に読みにくい気がいたしました。それから,これは文化庁と先生方にもお願いしたいというか,科学立国という言葉を発せられていましたが,いつの間にか文化芸術立国という言葉になってきているような気がいたします。やはりこの2つは共生すべきであって,それぞれ継続性を持たせて常に議論を行い検討をしていかなければいけないことではないのか。何かこういう言い方をして申しわけありませんが,例えば体制が変ると中身が変りテーマが変るというのはやはり我々にとっても,それから国民にとっても余りいいことではない。やはり継続的にすべて行っていただき,最終的な結論を出していただいて,我々に公開していただくといいますか,そういうことをお願いしたいという気がしております。
 その場合に,いわゆる連携性が非常に必要ではないか。継続性と連携性が必要という気がいたします。科学と芸術という部分の連携も十分あります。例えば,日本大学の講座の中に,サイエンスコミュニケーションという講座もできております。そういう意味から,その連携性も非常に大事なことではないかと考えています。そういう意味で,少々大げさかもしれませんが,こういう大テーマを掲げた場合に,最終的なものというのは公開をしていただくといいますか,国民に浸透をさせていただくまで継続していただく。場合によっては連携して共生の形で行っていただくということをお願いしたいと思いました。
 文化庁で,「芸術拠点形成事業」,「本物の舞台芸術体験事業」を今まで実施されてきたと思いますが,そういうものの例えば成果でありますとか,そういうもので得たものもここの中に織り込んでいただくといいのかという気がいたします。まだ途中の段階ですので,経過報告ですのでそこまでいっていないんだろうと思いますが,やはり最終的にはその成果物や結果をうまくこちらのほうにも連携をしていただいて絡めていただくと非常に具体的なものになると思います。
 少し中身に踏み込んだ話をさせていただきますと,例えば芸術家にしても,例えば今,世の中で職場の問題がございます。例えば介護士ですとか,そういう部分が叫ばれましたけれども,大学もそういう人たちを養成するところをつくりましたが,いざつくってみて卒業してみると,職場が基本的には非常に冷遇で,そこを志す人たちがいなくなる。そういう部分に芸術の分野も似ていまして,例えばアートマネジメント,私どもでも講座はございますが,育成しても現実には職場がない。職場へ行っても,なかなか下働きや連絡係だけで何にも本当にアートマネジメント的なことができていないという現状がございます。そういう意味では,やはり受け皿の必要性というものを非常に感じます。その辺の具体的な施策までお考えいただくとありがたいという気がいたします。アートマネジメントもそうですし,色々な部分で,芸術家に関してもそうだと思います。
 例えば海外で賞を受賞し,海外で活躍する人が多いんだと。それは残念なことだというような項目がございましたけれども,それに関しても,日本に受け皿があって,賞をとった人たちはその受け皿に吸収をして,そこから日本で活躍する場をつくっていくような制度をつくっていくと大分変わっていくのではないか。その際に,日本大学の卒業生もそうですが,例えば演劇で芝居を志す人たちは中堅になってもまだ生活できません。基本的には,本当に大物にならない限り生活できない状況だと思います。アルバイトをしながら,切符を売りながら,好きのために,非常に好きだということが大前提になっています。そういう形で働きながら頑張っているわけです。そういう意味で言いますと,表現の芸術家の方々,音楽もそうです,みんな非常に苦しい中で,自分の好き,もしくは自分の主義主張を通すために一生懸命頑張っている。そこに関するバックアップ的なものというのが非常に少ない気がいたします。そこに関しては,例えば自己申告制という形でそういう奨学生みたいなものを与える,奨学金を与えるバックアップをしていくみたいな形もいいんではないか。その自己申告制の中に評価をする委員の方がどれぐらいのポジションにあるのか。どれぐらいの力があるのかということを評価する部署を設ければいいのではないか。どこか外部から推薦する,もしくは協会から推薦するという形だけではなくて,いわゆる自己推薦みたいな形のやり方も考えてもいいのではないかと意見が出ておりました。
 それからもう一つ,この中で大事なことは,すばらしい観客を養うこと。それから芸術家を育てることと同時に,教育者を育てることといういわゆる3つのポイントであろうと思いますけれども,その3つのポイントに関して,すべてとは申しませんが,今,東京藝術大学の先生もおられますが,大学もかかわれると思います。それはいわゆる産官学連携というような形のかかわり方ができればいいのではないかと思います。大学独自では決してできません。と申しますのは,例えばアートマネジメントにしても何にしても,現場を踏ませないで,ただ大学で,机上の空論というのは極論ですけれども,いわゆる理論的な勉強だけ,もしくは実習的なまねごとをさせただけでは意味がありません。やはり現場へ出して,その現場で例えば優秀なアートマネジャーにつけて,そして1日はそういう日にして,それを単位にして認めていくというような形。現在,日本のほかの部署で,例えば,プロデューサーが少ないからプロデューサーを養成することが先決だという話がありますが,アートマネジャーもプロデューサーみたいなものだと思います。そういう意味では,いわゆる映画や放送のプロデューサーもアートマネジャー的プロデューサーも産官学で連携をしないと育てられないと思います。大学に学部をつくったから育つという考え方は,私は間違っていると思います。いわゆる産業界,それから官公庁と一緒になって育てていかなければ,そういう大きなプロデューサー的な人材は出てこないだろうと考えます。
 以上,私どもが何人かと話し合った結果を報告させていただきました。ご清聴ありがとうございました。
【田村(孝)部会長代理】
 ありがとうございました。後ほどまとめて意見交換ということになっておりますが,野田先生が所用で途中退席をされますので,野田様へのご質問等がございましたら,先にご発言をお願いしたいんですが,委員の先生方,何かございますか。
【吉本委員】
 今,受け皿の必要性というのが野田学部長のお話にありましたが,それはこの審議会でも,人材育成を行ったその先の仕事の場所の確保が重要だということが随分と議論されていたと思います。やはり今日のご報告でもそれを指摘されたということが大きいと思います。それで,この実演芸術家等に関する審議経過報告の資料の23ページに,芸術系学部における在籍者として,7万人の学生がいるという数字が出ています。その次のページを見ますと,美術家,写真家等の就業者の合計が51万人ですね。51万人の仕事があるところに7万人の学生がおり,7万人の学生がいるということは毎年1万7,500人卒業しているわけですよね。だから,1万7,500人が卒業して,その先の仕事をしている人が51万人しかいないということは,これは要するに供給過多,別な言い方をすると職場がない,芸術を仕事にできる人が限られているというようなことがわかります。その背景には大学の教育のボリュームというのもかなりあるんだと私は思います。ですから,人材育成をどのように仕事の場につなげていくのが重要だと,今日,野田先生のお話を伺いながら改めて思いましたので発言させていただきました。
【野田学部長】
 ありがとうございました。
【田村(孝)部会長代理】
 ほかに野田先生にお伺いすることはございますか。
【高萩委員】
 職場を作っていかなければならないということはすごくよくわかるんですね。具体的に大学の側から見てこの様にできないだろうか,という提案はありませんでしょうか。
【野田学部長】
 一つは,先ほど私が申し上げた産官学連携みたいな形で,インターンシップ的なことを始めたらどうかという話はよく出ています。例えば,芸術の現場,働いている方は嫌でしょうけれども,博物館なり美術館なり色々な,本当に学芸員一つにしても間口の狭いところです。アートマネジャーのところへ修行に出すといいますか,インターンシップみたいに,そしてそこで覚えた形のものをひとつその方に紹介していただくとか,ついた人から紹介されていく形ってとれないのか,あとはそういう研究所であるとか,そういう場所でインターンシップをしていただいて,優秀な方はそこでもう採用していただくというような芸術家のインターンシップは考えられないだろうか。いわゆる一般企業のほとんどはインターンシップを行っています。そこから採用していくシステムはできているんですけれども,なかなかそういう部分に関しては芸術の分野ではないという話が出てまいりました。例えば劇場にしても,そういうところにインターンシップをさせて,劇場でそういう関係者を育てていく,雇っていくというようなことができればいいのではないか。ただ,私ども色々調べましたが,劇場自身も今赤字の状況の中で運営していますので,なかなか人材をそれだけ採用するということはできないのかという気もいたしますが,そういう意味では,今度はそういう部署をもう少しバックアップするようなこと,つまり受け皿をもう少し国が助けてあげるようなこともするのも必要かと。そうすることによって,そこで採用できるような経済状況,財政状況になっていくのかと。私ども小屋と呼びますけれども,劇場がやはり赤字であったり,映画館が赤字であったりというような状況ではなかなか採用の場がないというような部分になってきますので,そういう受け皿の部分を何か新しいものをつくれればベストですけれども,つくれないとするならば,そういう受け皿の部分を援助していく,支援していくというのも一つ必要なことなのではないかと思います。
【田村(孝)部会長代理】
 受け皿の部分でと。先生のところは多分アートマネジメント系と技術系の方を多く輩出されていますね。私どももお願いしたりしておりますが,芸術家についてはどのように,今,受け皿とお話しなされましたか。
【野田学部長】
 その受け皿に関しましては,これも申し上げましたけれども,例えば海外へ出ていって賞を受賞する人たち,海外の学校を卒業した人たちを,例えば今は一つの例として,これがふさわしいかどうかわかりませんが,新国立劇場みたいなところに所属させてしまうとか,戻ってきたら,つまり,受け皿を完全につくっておけばなかなかうまく行かないのではないか。それともう一つは,その際にやはり続けた奨学金みたいなものを出して,やはりなかなか暮らせないと戻ってきませんから,奨学金みたいなものを出して,その受け皿の中に所属させながらまた活躍をさせていくというような方法があるのではないか。韓国の大学の学校の話も出ましたけれども,そういうところはそういう受け皿まで準備をしていて育てているというような話をする先生がおられました。
【田村(孝)部会長代理】
 そういう意味では,日本は公立の文化施設,国も含めて,専属の芸術団体を持っているところというのは非常に少ないのですね。
【野田学部長】
 厳しいですね。
【田村(孝)部会長代理】
 やはり私もそういう場がふえたらとは思いますが,そのようになれば,学生さんたちにもチャンスがあると思います。
【野田学部長】
 ふえるし,もう少し逆に意欲も出てくるのではないかなと思います。天才的な人は別格ですから,それ以外の人で一生懸命活動している人,もしくは場合によっては研究者になりたい人,必ずしも名プレーヤーが名教育者であるとは思いません。イコールもありますけれども,そういう意味で言うと野球も一緒ですね。名選手,名監督ならずという部分がありまして,バレエの世界も音楽の世界も恐らく100%それが通用するわけではないだろうと思うので,教育者の養成という意味では大学は非常にお役に立てると。そういう意味では,もう一遍卒業して教育者になられた方々に対して再教育ができる場,それからいわゆる名プレーヤーの方々に逆に一遍戻ってきていただいて,そこで基礎的ないわゆる教育法を学んでいただく場みたいなことが,東京藝術大学さんも日本大学もできるのではないかなと。何かそのような教育者を育てる,それからもう一つは観客を育てるのも我々にもできるという気がいたします。
 優秀な観客を育てるというのは,小学校・中学校・高校にもう少し協力をしていただくべきだと思いますけれども,その上で大学もいわゆる日本大学みたいな8つのアートを持っているわけですから,いわゆる純芸術に対する理解みたいなものも,そういう場を持つこと,鑑賞する能力を身につけさせることで優秀な観客になっていくだろうという考え方をして,全体的に国民が学べるような講座を多くつくっております。そういうような工夫をしながら育てていけばいいと思います。
 例えば外国ですと,小学生,中学生,高校生,大学生のいわゆる観劇の料金というのは半額であり,非常に安いです。日本は学割というのがありますけど,そんなに料金が安いわけではない。そういう部分に関しても,これは国なりが補助していく方法というのも考えられると思います。それも観客を養う一つの方法と私は考えております。
【高萩委員】
 お話を聞いていて思ったんですけども,特にアメリカなんですけれども,大学の場合,かなり文化芸術施設を大学の構内に抱えている例が多くあります。そこの中で興行を打ったりとか,展覧会をやったりしながら,つまり卒業生がそういう大学の中でのそういう芸術施設の中で活動することができます。それからプロに移ったり,もちろんその中で頑張る人もいますし,かなり地域に開かれた形の芸術施設運営とかも行っているのを聞きますが,日本ではなかなかそういうことが行われないんですね。大学の施設というのがなかなか地域に開放されない。だから,どうしても大学は学生を育てた後は外へ出さざるを得ない。それは何か問題があるのですか。つまり,日本大学ぐらい大きければ,それこそ大学の中で興業を行ったり,展覧会をしたりと,観客も含めて,実験的なこともできるんではないかと思うんです。そういうことは行えないのか,行わないのか,これから行えるのか。どうですか。
【野田学部長】
 少し行っています,現実に。例えば現場のいわゆるお芝居を中へ持ってきて,そして,学生さんもそこに加えて一緒になって,いわゆる業界と学生と教員が一緒になってやるという事業は行っております。私どもは,NAP事業と名づけておりまして,NAP事業ということでそういうことも行っていますが,非常に少ないです。現実には,年に1回とか,そういうようなことですので,これから芸術学部が新しくなりまして,22年の8月にはすべてリニューアルいたします。それを機にオープンキャンパス制にしようということと同時に,地域に開かれた大学にしようということで,またその枠を広げようとは思っておりますが,そこには予算もかかるものですから,地域に開くのなら無料で来ていただこうとか,色々なことを考えていますので,入場料無料にして皆さんをお招きしてお見せするようなことまでやっていますので,お金を大学側が色々調達していかないという部分に関して非常にきつい状況はあります。そういう部分に関しても,これから色々な奨学援助のシステムを使いながら行っていこうとは思っていますけれども,今のところ,大学でそういうことを催す場合には,できるだけ無料にしようというのが私の考え方でして,いいものを無料にすると見に来てくれるだろうという考え方がありまして,行ってみようかと。今まで年に1回,2回やっていた部分をこれからはそういう拠点にすべく,時間はかかると思いますけれども,劇場も新しいものができますので,行っていこうと考えています。私も,アメリカの状況を見ておりますので,何かああいうことができたらいいなという考え方はありますが,現実には,事業をやりながらそういうものを企画しながらといういわゆる教職員の労力の問題もありまして,なかなか簡単にいっぱいできないというようなところがございます。
【田村(孝)部会長代理】
 東京藝術大学は奏楽堂があって,演奏芸術センターがおありでございますよね。野田先生が先に退席されるのでお伺いします。カザルスホールと提携しておられますね。
【野田学部長】
 カザルスホールは,御茶の水の跡地の再利用ということで,今年度いっぱいですから,3月31日付で使用停止になっています。と申しますのは,あの土地を日本大学が購入してから5年ぐらいたつんですが,何の再利用もされていなくて無駄になっています。日本大学は現在,例えば医学部再建の問題でありますとか,色々な問題がございまして,そういうことも一緒になって,御茶の水の再利用計画というのを現在考えている最中です。カザルスホールを壊すとかなくすとか,そういうことではなくて,カザルスホールはど真ん中にありますので,御茶の水の中で,例えば移築をするとか,色々なことまで考えざるを得ないので,計画が定まるまでは今年度いっぱいで停止にしようと日本大学としては決めております。
 現実にカザルスホールは大学の施設としてうちの音楽学科の学生さんがずっと使ってまいっております。その成果というのはやはり大きいだろうと思います。
【高萩委員】
 確認したかったのは,大学の構内で催しものを行うときというのは,無料でやってくれと言われるんです。私も学生から聞いていますから,大学の構内で公演を行おうとすると,チケットを売ってはいけない,料金をとるなら会員券にしてくれ,と言われるのです。何かそういう規制があるんですか。
【野田学部長】
 何にもありません。料金を取るんだったら取ってもいいんですが,大学の会計に入ります。だから,個人でやるわけにはいきません。やはり大学の行事としてやるとすれば,大学の会計(経理)にお金を入れて,その大学の経理から今度はそこへの出費をしていくという形になります。
【高萩委員】
 アートマネジメントとかアーティストの育成をするときに,大学の施設というのは非常にフレキシビリティーがあって色々利用しやすいと思います。今後,もし今言ったような大学の中で興行を打ったりとかそういうことをしていくために,何かご意見があったら具体的にお話いただけると助かります。ここを何とかしてくれればうちもできるようになるというようなことがあれば。
【野田部会長】
 今回の劇場をつくるのは,多分消防法その他も考えてつくっていると思いますので,今回新しい劇場になりますので,毎回毎回許可を得たり,まずそういう公的な機関の許可をとるということが一つ。それからもう一つは,例えばそこで何かをやるための経費に関して大学側が毎年毎年予算組みをしていないと,急に支出できませんので,スケジュールの中に年間スケジュールに組み込まないといけないということ。それから,手弁当的に行うんですけれども,やはり経費がかかるということ。それから,今先生にお話いただきましたけれども,大学で行うのだから,皆さんに見ていただくために行うのだから,皆さんをそういうものに興味を持たせるんだから,できるだけ無料にしようよというような考え方から,例えば出演料やそういう部分までこっちが持ってしまうというような状況があります。もちろん安く来ていただきますけど,大学という場所で,やはりそういう経費面が一番大きいかもしれません。それともう一つは,年間スケジュールにどう組み込むかということが難しいと思います。1年前に決めなければいけませんので,急に何かを催せないという部分がございます。  
【田村(孝)部会長代理】
 どうもありがとうございました。それでは,野田先生,ご退席でございますので,本当にありがとうございました。
 では,引き続き,関係機関の方からご意見を伺いたいと思います。
 野田様,本当にありがとうございました。
【田村(孝)部会長代理】
   草壁様,よろしくお願いいたします。
【草壁常務理事】
 オペラ連盟の草壁と申します。
 私の話はかなり現場的な話になってしまいますので,お許しをいただきたいと思いますが。ただ,私どもオペラ連盟が,現在人材育成といいましょうか,人材の育成と活用についてかかわらせていただいておりますといいましょうか,大変お世話になっております文化庁の新進芸術家海外研修制度と,それから文化庁の芸術団体人材育成支援事業,この2つについて申し上げたいと思います。
 日本オペラ連盟は,統括団体といたしまして,文化庁の新進芸術家海外研修制度,これの実は推薦団体でもありまして,その募集から書類の審査といいましょうか,書類がなかなか,受け付けて各制作団体から参っておりますのを私どもで見ますと,不備な点が多くあるものですから,書類不備で落とされないようにという気配りをしまして,一つ一つ全部チェックをしまして提出をさせていただいております。
 それから,在外研修につきましては,隔年ではございますけれども,在外研修の修了者が2年置きぐらいに,在外研修の成果の発表ということで,文化庁主催で明日を担う音楽家による特別演奏会というのを実施しておりますが,それの制作委託を手伝わせていただいています。いま一つ,文化庁の芸術団体人材育成支援事業というのは,私どもは平成15年度からオペラの自主公演を継続的にやらせていただいております。
 本日はこの2つについてご説明を申し上げたいと思いますが,まず,新進芸術家海外研修制度につきましては,研修員が声楽,特にオペラの関係の声楽家は私どもで推薦をさせていただいておりますのは,毎年二十数名を推薦させていただいております。そのうち,平均いたしますと七,八名の方々が選ばれて,欧米諸国へ1年から2年という形で研修をさせていただいております。実はこの制度は大変すばらしい制度でございまして,どの方に聞きましても,若い芸術家たちは大変ありがたい制度ですと申しておりますが,実は先ほどもありましたように,研修を修了して帰ってきましてからが実は問題が少し残っておりますので,それにつきましてお話を申し上げたいと思います。
 研修を終了し帰国しまして,大体3割ぐらいが男性でございます,あと研修生の7割ぐらいがオペラの場合はおりますが,その3割,男性はテノールなど比較的そこそこに仕事が帰ってきましてもあるようでございますけれども,特にソプラノの女性につきましてはほとんど仕事がない。所属団体の自主公演にすら出演できないという状況でございまして,どうしているのかと聞きましたら,自分の後援会の協力を得ましてリサイタルを開いているとか,それからレッスンをするためにコンビニにバイトに行っているとかという毎日だということで,大変苦しんでいるようでございます。先ほど申し上げましたように,在外研修を終りまして二,三年をしましたら,文化庁主催の明日を担う音楽家による特別演奏会を開催いたしますので,その二,三年後に研修生の中から約七,八名がその在外研修の修了者ということで選ばれて,またその特別演奏会に出られますが,選ばれなかった人たちが圧倒的に多いわけでございまして,この方々は,当面また目的のないといいましょうか,毎日レッスンに励むといいましょうか,モチベーションを維持するのに大変苦労していると聞いております。
 そこで,研修修了者の所属団体,私どもの場合は,東京二期会,オペラ振興会,藤原歌劇団等々になりますが,そこからの推薦をもらって,私どもが推薦団体となって文化庁に推薦するというシステムになっておりますので,私はその推薦団体,芸術所属団体は,非常に才能もありますし,将来性を見て恐らく推薦をしているんだろうと思います。幸い,研修員に選ばれた人たちが希望するヨーロッパ諸国,欧米諸国で研鑽を積んで帰国してきたときに,なかなか活動の場がない。先ほどの先生も受け皿の問題とありましたけれども,自分の所属する団体ですら帰国後に出演をする場がない,受け皿がないということは大変困ったことでございますので,ぜひ私は推薦した以上は何とか受け皿をつくる義務があるのではないかと厳しいことを言っておりまして実は嫌われておりますけれども,そんなところもございますし,中には,研修に行く前に,一応端役ではありますけれども,オペラ出演が決まっている人たちが研修期間中に一時帰国をするという話はよく聞きます。これは,彼らに聞きますと,たとえ端役であったとしても,そこに出演し舞台を踏まないと,次いつまた舞台を踏めるかわからないという非常に不安な気持ちから,研修をお願いして,研修期間中といえども一時帰国をさせていただいて,舞台に立っているという状況でございます。
 そこで,お願いでございますが,研修期間中に一時帰国は絶対認めない,原則として認めないということにしていただきまして,ただその成果を発表する機会を別につくるからということであれば,彼らも集中して研修をすることができるんのではないかと思います。そこで,在外研修の修了帰国後に活躍できる場の提供といたしまして,現在行っております研修の成果を発表する明日を担う音楽家による特別演奏会をさらに発展をしていただきまして,研修修了者を中心としたオーディションによるオペラ公演というものをつくっていただきますと,帰国しオペラのオーディションが通れば出演できるという,コンサートよりはオペラのほうが圧倒的に対象件数が多いわけですから,出演できるという目的があっていいのではないかと思います。そうすると,研修にも力が入るのではないかと思いますので,多くの在外研修員にかわってお願いを申し上げたいと思います。
 さらにもう一つ案がございまして,研修修了者のその活躍の場を確保するという点から,先ほど申し上げましたように,研修員を所属団体から推薦をしていただくわけですが,その人材育成の一環といたしまして,研修員が研修を修了して帰国してきたんですから,ぜひ積極的に使えということをぜひ文化庁から強く言っていただけないかなと思うわけでございます。具体的には,芸術団体がオペラ公演を,自主公演をやるとき,ないしは売り公演でもいいのですが,開演のときにその在外研修員を主体的にアンダーとかカバーとかに登用していただけないか。それは当然出演者,出演料といいましょうか,賃金にかかわる話でございますが,その出演料を主演対象経費として入れるということが行えれば大変使いやすくなり,また制作団体側も使いやすくなり,チャンスがふえてくるのかと思います。
 次に,統括団体として私どもが日本オペラ団体連盟が行っております文化庁の芸術団体人材育成支援事業というのは,平成15年から毎年1公演を行っております。これは,成長期の若い人たちに一日も早く多くの舞台を踏ませること,それがたとえソロであれ合唱団であれ,舞台に立つということというのは,何時間も,人によっては100時間のレッスンよりもと言っておりますが,役立つと,ためになるんだということをよく聞きます。舞台経験を積んでもらうために人材育成公演を始めました。そういう中で,オペラの現状といいますと,最近,全国的にオペラの公演はふえています。ですが,外来オペラと言われるような外国から来るオペラの数がふえておりまして,日本のオペラは逆に減少傾向にあると思います。そういう現状でございますので,オペラ公演に対して,オペラに出演することができるのは中堅やベテランでも大変厳しい状況にございまして,ましてや新人歌手などはなかなかその機会がめぐってこないというのが現状でございます。
 私ども,平成15年の当初は,人材育成という観点から,演出家やそれから指揮者などの人たちも育成しなくてはいかないということで,若手を起用して実施しておりましたけれども,途中から若手声楽家の育成という観点から現在はベテラン,中堅の指揮者や演出家にお願いをして公演をしておるところでございます。出演者はほとんど無名でございまして,名のない,プログラムやチラシに書きましても,ほとんど名前を見たことがない人たちばかりですので,入場者は非常に少なく,ほとんどが親戚縁者,知人友人です。この若手の人たちはオーディションで選んでおります。東京で2公演,それから大阪で1公演という3公演を行っておりますが,そのオーディションの参加資格は各所属団体で主役または準主役の経験のない方で35歳以下の方。オーディションの日に35歳になる人はどうするんだというような方がいますが,その辺は割とできるだけチャンスを与えようということで,広げながら実施しております。オーディションを開きまして,そのオーディションに参加している人たちからよく聞く話は,このオペラ団体連盟がオーディションを始めて,割と早い時期,35歳前後の人たちにオーディションを行いオペラを行っていただくことによって,今までですと所属団体におりましてもいつのことかわからない,いつ舞台が踏めるかわからない状況で延々とレッスンをしておりましたけれども,オーディションに早く参加できるということで,割とターゲットを絞って稽古ができ,また,オーディションの演目によってはその役柄にターゲットを絞ってレッスンをすることができるので非常にありがたいというような,若手の人たちからよく耳にしております。ただ,出演者にとりましては,約3カ月間ほど稽古いたします。3カ月間ほど稽古いたしますが,先ほど申し上げましたように,東京で2公演,大阪で1公演やります。東京はダブルキャストでございますので,実は舞台を踏むのは1回しかないわけでございます。3カ月間稽古して1回だけ舞台を踏んで,それから初めての演技をされ,それから音楽もつくっていかなければなりません。一番厳しいのはどうも言語指導が,言語指導の先生から聞きますと,イタリア語になっていないとか,ドイツ語になっていないとかというようなお話をよく聞きますが,その辺のことが非常に頭にあって,実際,公演に出ても無我夢中で行っておりまして,果たしてどうだったか,反省点が非常に多く,1回だけでは反省点が多過ぎて,逆にフラストレーションがたまるみたいな話を聞きますが,ただお客様は,熱心に行っていることがいいのかどうかわかりませんけれども,大変好評でございまして,何人かの評論家の方々から,あの熱心さというか,初々しさといいましょうか,既成の芸術団体の公演よりはいいのではないかという,多少私たちへのお世辞なのかもしれませんが,そういうようなお話も伺っております。
 ただ,これではなかなか育ちませんので,1回きりでは。これを実は1回公演しか舞台を踏まない公演をいかにすればいいかということで,継続的に何か舞台を踏めないかなということでございまして,文化庁が実施されておられます「本物の舞台芸術体験事業」というのがございますが,それの地方公演に参加をお許しをいただければと思います。そうしますと,複数回の公演ができれば,出演者も複数回の舞台を踏むことができて,恐らく今までの反省点を見直し,よりさらに成長し,それから地方から東京へ来て勉強している人がおりますが,そういう人たちの地元へ例えば行くということになりますと,地元の人たちのオペラへの関心といいましょうか普及と思いますので,ぜひこの人材育成公演を行って「本物の舞台芸術体験事業」に参加をお許しをいただきたいとお願いをしたいと思っております。
【田村(孝)部会長代理】
 ありがとうございました。
 それでは,西川様,現場にお立ちの立場で,ぜひこの2つの報告書についてどのように思われるか,よろしくお願いいたします。
【西川常務理事】
 西川と申します。
 本日,私は日本劇団協議会の常務理事という立場でこちらに来ていますが,劇団協議会の常務理事でありながら,私,劇団文学座という民間の劇団の演出部に所属しておりまして,30年ぐらい演出の仕事をやっております。同時に,新国立研修所の演劇コースの立ち上げからかかわりまして,今,副所長という立場で,なおかつ植田先生がおられますけど,東京藝術大学の演奏藝術センターで客員教授ということで,非常勤講師ということで演劇の講座を2つほど持たせていただいています。加えて,多いんですけれども,金沢市民芸術村という地域の劇場と,それから可児のアーラという文化センターでアドバイザーというのもやらせていただいていまして,このすべてを含めて審議経過報告書を読ませていただいた上での感想,それからお願いしたいことを少しお話ししたいと思います。
 まとめてですけれども,人材育成という観点から言わせていただきますと,ここに書かれていることは,日本の現在の,特に演劇に関してですけれども,現状の問題点と,それからあるべき姿というのはもうほとんど網羅するように書かれていて,これがこうなったらすばらしいだろうなとだれしもが思います。その中で,もしこれを実行,少しでもここに進めるためには何ができるかなと思いますと,こんな簡単にはいかないかもしれませんが,まず一つは,植田先生がおられますけれども,東京藝術大学に演劇科のコースをぜひ設けていただきたい。というのは,これは演劇だけの問題ではなく,育成ということを考えると,演劇人の勝手な妄想,発想かもしれませんが,僕の授業にオペラ科の学生が多く来ています。それで,やはり一番問題というのは演技だと言うんですよ。どうも歌うようにしゃべってしまうと。もちろんオペラは歌が中心ですから,リアルにしゃべらなくてもいいのかもしれないけども,例えばミュージカルのほうに最近は行く東京藝術大学生も多くいるようですので,そういう学生たちはその辺の悩みを随分抱えていて,どうしたらいいでしょうかと個人的な相談にも来られるし,直接ではないにしろ,演劇があることによってオペラ科とか他の芸術分野にある種の一定の刺激を与えるんではないかと。もちろん東京藝術大学には美術もありますし,音楽もありますし,映像もできましたから,その中で色々なクロスオーバーは刺激があると思うんですが,もう一つそこに演劇を加えるとまた別のキャラクターというか,思考を持った人間たちが入ることによってよき刺激になると思います。
 これは私の聞いた話で正確ではないのですが,韓国に国立大学を設立したことによって,韓国の演劇界が随分変わったという話も聞きましたので,大変難しい色々な問題があるとは思いますが,国立大学,東京藝術大学とは言わず,他の国立大学でもいいと思うんですが,できれば東京藝大学に演劇コースが近い将来できると,広い意味での人材育成という立場から大変有効なのではないかと一つ思います。
 次に,ここの中にも書かれておりますけれども,新国立劇場の養成所,現在,演劇コースだけで1期15人で,今5期生に入りまして,全体で45人,3期でいるんですが,3期生はほとんど支援開講を行い,今,私が担当しているんですけれども,主に30人が毎年毎年行っているんですね。ここに,今演技だけで,演出,スタッフ養成コースがないんですね。この中にも必要だろうと。多分,宮田委員がお話されたと思うんですが,やはり私は劇団でも演劇研究所にかかわっておりまして,そこでも演出コースと演技コースがあることによって,内々で小さなカンパニー的なものになって,俳優にとっても演出家にとっても,同じレベルの人間たちがやりとりする。そこに先輩たちが入ることによって,かなりその育成という意味では有効に働いているという気がします。もちろん,今の研修所にはプロの演出家が入ってきて授業をするんですが,やはりそれは教えを請うというような教師と生徒という立場をどうしても超えられない部分が出てしまう。だから,ある意味ではレベルが低いというか,一緒につくり上げるということは,プロからするとアマチュアに近いようなやり方なのかもしれないけれども,何をつくり出していくという意味では,演出コースを目指している人間と演技を目指している人間,スタッフを目指している人間が一緒になってつくるといい体験になるのではないか。
 少しここから外れてといいますか,横の道にそれますけれども,その新国立の養成所をつくるときに,私,アメリカの調査の担当になりまして,イエール大学に行ってきました。イエール大学は,ご承知のとおり,すぐ横にイエール・レパという地域劇場がありまして,こことの提携が非常に強いんです。受け皿の問題も含めてですけれども,イエールの学生はイエール・レパの例えばアンダースタディーであるとか,それからプロンプターであるとかと入っていて,まさに学生のころからプロの現場でプロの仕事を見るということが,イエール大学の学生の成長にもつながっているという話を大学側で聞きました。なかなか日本ではこういう形で,日本大学の野田先生がお話していましたけれども,大学とそれから現場が一緒になるというのは日本では状況的に非常に難しいんですが,こういうことが将来的にできたらこれもいいのではないか。少し後の話で可能性はあるかなと思っていますけれども,新国立劇場も,劇団新国立劇場と研修所と一緒になって何かできないかということを探っていますが,なかなか経費の問題であるとか現場からの問題で,あるところはできるけど,あるところはできないとかという問題をまだ抱えているので,この辺をもう少し整備して積極的にできないだろうかということが私の一つの考えです。
 それから,続きましてもう一つは,極めて現状的な問題になりますが,民間の演劇研究所の支援ということも考えてはいいのではないか。これまで日本の演劇は,新国立劇場の養成所ができるまでは,主に民間の劇団が独自の養成所を経営し,運営し,そして俳優を育ててきました。それは,直接には自分の劇団に欲しいような人材を育ててきました。それの問題点が一つあるとすれば,その劇団ではなかなか使える俳優であるが,そこに残らなかった場合に,ほかの劇団に行ったときにシステムが違うとか,俳優の育て方が違うとか,求めるタイプの俳優が違うということで,なかなか他へ行くと俳優になれないという問題を抱えています。
 しかし,国立大学が包括的にやるとすれば,民間で特に絞り込んで俳優を育てるということも一方で必要ではないかなと私は思っていますので,過去の実績からいっても育ててきてはいるので,この中の問題点として,現場の技術に傾いているというようなことがありましたが,ここに支援をすることによってもう少し技術の傾きではなくて,幅広く民間の教育施設を充実させるということも人材育成につながっていくのではないかと私は思っております。
 それともう一つ,地域の問題についても人材育成という立場からお話しさせていただきますが,私も年に1回ぐらいの割合で各地域に行って,地元の演劇人と一緒に芝居をつくるのですが,やはりかなり優秀な,特に訓練を受けたわけではないんだが,非常に勘のいい人であるとか,非常に優秀な人がいるんですね。ただ,話を聞くと,要するに実際,訓練を受けたり,それから発表をする場が非常に少ないです。それで,結局,才能はあっても地域でやっている以上は育たない。本当に行うなら少し東京へと,全部一極集中化になってしまうんですね。もし今できるとすれば,お隣に松本さんがおられましたが,現在ある公立劇場に,例えば年に2本行うというような公立劇団ですか,そういうものを文化庁なり文部科学省の支援のもとに定期的につくって,そこに東京のプロの演出家,俳優が加わって地元の俳優たちと定期的に行う。現在,何周年のアニバーサリーであるとか,オープニングでやろうとかというイベント的な形では行われるが,定期的にはなかなか行われないのではないか。
 現在,国立劇場,日本に一つしかないんですけれども,将来的には,例えば北海道に1つとか,東北に1つとかというのがあってもいいような気がします。そこにプロの俳優たちが,今年は北海道,来年は九州とかというように雇用契約を結んで,そこで1年間丸々抱え込むのは大変だとすれば,年に2本なり3本なりのプロジェクトをつくり,そこに東京の俳優,都市の俳優,東京とは言わず,プロの俳優がそこに行き,1年間,地元の人を含めて仕事をする。これも地域の人材育成につながり,なおかつ,やはりどんなスポーツもそうですし,文化もそうだと思いますけれども,トップレベルをいかに育てるかということも大事だと思いますが,そのためにもすそ野を広げないと,なかなか優秀な人材が生まれてこないと思います。さきほど,よき観客を育てるというお話もありましたけれども,これも地域に行きますと,鑑賞団体というのが各地域にありますが,そこに主に新劇団がツアーをしていき,最近はプロデュース公演も随分行くようになりましたけれども,それを見るしか機会が多くはない。すべて東京のプロがいいとは私は思わないけれども,しかし,行くときに,行く劇団は比較的クオリティーが高い劇団がどうしても呼ばれていくわけです。だから,それを見る機会というのは非常に限られている。だから,地元に行ける地域に,そういう公共劇場の中にそういう公立的な劇団が,年間2本なり3本公演を行う劇団ができる場があると,そこで観客も定期的に行っているので行きやすくなるのではないか。そういうのに触れる小学生,中学生,高校生がいることによって,これも将来の観客を育てて,その中から新しい演劇に,演劇に限らないかもしれませんけれども,若い人が育ってくるということにもつながってくるのではないかなと思います。
 この辺がそんな簡単にはいかないことと思いながら,ここの審議報告書を読ませていただいたら,今私が考えつく,比較的夢物語ではなく,何かシステムをつくるなり,文化庁なり国なりの,または地方自治体からも協力があれば可能なのではないのかなと思います。
【田村(孝)部会長代理】
 ありがとうございました。私どもの静岡は劇団を持っておりますし,それから青森なども非常に積極的になさっているところも,全く日本にないわけではないですが,そういうのがふえたらいいということでございますね。だから,全く不可能ではないということでございましょうね。
 それでは,ご意見は後にいたしまして,松本様,間瀬様恐れ入りますが,よろしくお願いいたします。
【松本常務理事】
 私,社団法人全国公立文化施設協会常務理事をしております松本でございます。本職といたしましては,上野にございます東京文化会館の副館長を務めさせていただいております。
 私からは,公立文化施設の立場から,総論的な感想または意見になるかと思いますが,述べさせていただきます。また,協会のアドバイザーを務めていただいております間瀬様からは,現場での長年の経験とか,全国の施設の事情に大変お詳しい立場から,さらに事例等を踏まえたお話が聞けるのではないかと思っております。
 まず,今回の審議会報告についての全体的な印象でございますが,非常に現状課題等を踏まえた形で,総論的という印象はございますが,これまで光が当らなかったアートマネジメント職の確立に大きく貢献するのではないかと期待しております。ぜひ最終報告に向けて,具体的で実効性のある取り組みの提言をお願いしたいと思っております。
 私からは,主にアートマネジメントの人材の関係につきまして,大きく2点と幾つか細かい点でお話をさせていただきたいと思います。
 まず一つは,指定管理者制度の問題でございます。数年前に導入されまして,第1期の指定管理者期間が終了して,第2期目を迎えるというような状況になっていると思います。そういう中で指定管理者制度のアートマネジメント人材育成,あるいは館の運営にとってさまざまな課題が明らかになってきたのではないかと思います。報告書の中にも記述がございますが,やはり施設の活性化という意味では,民間と競争しながら,あるいは提案書を提案するという形で,施設の使命であるとか活性化については一定の指定管理者は効果があったということは事実だと思いますが,一方で設置者の考え方にもよりますが,効率化をするということがまず目的になっているというような現状も見受けられます。自主事業の予算がない,あるいは職員が極端に減らされている,そこで働く職員もアルバイト並みの賃金で働いているというような現状がございます。
 それから,指定管理期間も3年から5年,5年というところもございますし,長いところで8年というようなところもございますが,比較的短い中でやはり人材育成,中長期的なそこで働くアートマネジメント人材も含めた人材育成という,そういう考え方は育っていかないというような状況がございます。また,最近では民間単独で指定管理者になるというところも多くなってきておりますが,民間ですと,利潤追求というのがまずございますので,採算のとれない公益性の高い事業については避けていくというような傾向もあるのではないかなと思っております。そういうさまざまな問題点,課題がございます。やはりこの指定管理者制度について,この報告書の中でももう少し踏み込んで課題を検証して,適切に運用できるような,そういうところももう少し踏み込んだ形で示していただければと思っております。
 それからもう一つは,全国の公立文化施設,2,500とも3,000とも言われておりますが,約2,500ぐらいございますが,そのうちの8割を占めています中小規模館の問題でございます。中規模館というのが一応1,000名未満のホール,それから小規模館といいますと500席未満ぐらいの規模のものを指しますけれども,それが全体の8割を占めている。そういう中小規模館では非常に予算も少ない。中には正規職員がゼロというようなところ,自主事業予算もゼロというような,そういったところも少なくないわけでございます。行っている業務と言えば,集会施設の運営,貸し出し業務というところでございます。そういう施設においては,アートマネジメントの視点に立って,どのように地域の活性化,文化振興を活性化していくのかというような,そういう視点が全く持ちにくいというような実情がございます。本報告書の中では,大規模館であるとか,あるいは中核的な施設で,アートマネジメント人材でそういういい事業をやっていくところには支援が多くなされるというような,そういった傾向があるかと思います。ただ,8割を占めるその中小規模館というのは,それぞれの身近な自治体,地域でのやはり一つの大きな重要な施設でありますので,そういう中小規模館に対する何らかの具体的な支援,重点的な支援といったものを具体的な方策の中に盛り込んでいただければと考えております。
 大きくは,全体を読んで感じたところはその大きな2点でございます。
 それで,具体的な部分で順番に申し上げますと,まず1つは大学等における人材養成活用のところでございます。インターンシップについては施設の中では結構始めているところもございます。私どもの東京文化会館におきましても,3年前から導入いたしまして,募集をし,来ていただいておりますが,期間的に短期間です。そんなに長い期間ではございませんが,2週間から一月あるいは二月ぐらいの状況です。今回,長期間のインターンシップ,6カ月以上というのも募集しましたが,基本的に応募がないという状況です。短期間についてこれから募集を始めますが,私どもにとって,やはりインターン生を受け入れるということは,単にそのインターン生の実技的な経験を積ませるというだけでなく,職員にとっても非常に有益になると思っております。研修生を育てるというような視点,あるいはインターンシップ生,かなり知識を持っておりますので,その中で色々なやりとりをする中で,逆に学ぶというようなことも多いかと思っております。ただ,どういうプログラムにしていくのかというところで,まだまだ我々にとっても経験が浅いということもございますし,それらをもう少し標準化といいますか,標準的なあり方といったものが具体的に示していただければと考えております。受け入れ施設と,それから本人の学校側のニーズ,そのあたりが合致するような形で,具体的なそういうプログラムといったものが提案されればと考えております。
 それから,採用の関係でございますが,やはり施設側で採用するのは非常に不定期な形で採用するということが多いです。それで,対象も即現場で戦力となる経験者採用ということがほとんどだと思っております。私どもも募集いたしますと,不況の影響もございまして,相当の申し込みがございますが,結局は経験者採用ということで採用してしまうわけでございます。新卒者の採用につきましては非常に少ないというような状況があろうかと思います。そういったことを踏まえて,施設側が求める人材と,それから供給する側の人材とのミスマッチというのが起こらないような形で今後どのようにしていくのか,もう少し検討する必要があろうかと思っています。
 人材情報につきましても,報告書の中に人材バンク等,提言されておりますが,適切にそういったものが活用できると,情報提供をしてもらえるという策があればと考えております。
 それから,現職研修についてでございますが,私ども,文化庁と共催ということで,アートマネジメント研修会というのを年に1度開いております。また,各地区でブロック研修というのをアートマネジメント,それから技術職員研修といったものも行っております。ただ,なかなか参加が少ない。なぜかといいますと,やはり研修に出てくるための時間的なゆとりであるとか,あるいは経済的なゆとりがないという訴えがございます。そういう研修に出るための何らかの支援といいますか,そういったものが今後求められてくるのではないかなと思っております。
 それから,これも報告の中には提言されておりますが,研修を受けたいと思う意欲を喚起するインセンティブをどう持っていくのかということで,その受講した者がそれぞれの職員のニーズに合い,なおかつそのことが自分のキャリア形成にとって一つの印となるというか,そういった仕組みというのが求められているのではないかなと考えます。報告書にもございますが,資格制度みたいなその規制を強めるようなものというのは非常に難しいのかもしれませんが,何らかのそれにかわる認証制度のようなものを何かご提言できないだろうか,提言していただけないだろうかと考えております。
 それから,舞台芸術に関しましては,これは私どもの東京文化会館もそうですが,ほとんど委託を,会社に委託しているところが多い。委託してもそれはそれで適切に運営されれば問題ないかとは思いますが,施設側に舞台技術に関するノウハウがある職員がいない。ですから,舞台技術者,その委託先を管理する,円滑に連携をとっていくということは舞台の円滑な運営とその安全管理上重要ではないかと思いますので,そのあたりをどのように,専門家を配置するというのはなかなか難しいのかもしれませんが,職員の側にある程度ノウハウを持った職員を配置し,育てていくのかといった問題があると思います。これらについても何らかの具体的な提言があればと思っております。
 アートマネジメントという仕事が,誇りが持て,人々や地域の方々に,地域に役立っているという価値ある仕事だということが,そして,なおかつ評価してもらえるということが,この職の確立に非常に重要ではないかと考えております。
 この報告書の中で的確に色々示されておりますが,やはり先ほど西川さんのお話にもございましたが,これをどう実現していくのかといったところがあると思います。先ほど言いました中小規模館でもそういう文化振興なり地域の振興に役立つために何ができるのかといったところも今後の課題であろうと思います。そういったところにやはりその地域特性とか,あるいは施設の実態を踏まえた多様なモデルといいますか,そういう今できていないところがどのよううに,どういったモデルに従って,どういうプロセスに従って展開していけばいいのかといった,そういう具体的な何かものを示していただければと考えます。
 それから最後に,こういうアートマネジメント人材育成にとって必要なのは,それぞれの施設の設置者の責任者の意識改革,あるいはそれぞれの自治体のトップの意識改革といったものが求められるのだろうと思います。これをどのように意識改革していくのか,もう少し具体的な方策があればなと思っているところです。例えばトップの意識改革ということで言えば,例えば全国の知事会であるとか市長会あるいは町村会などを通じて何か働きかけるというような方策などもあるのではないかと思っております。
 時間の関係で,実演家については省略させていただきます。
【田村(孝)部会長代理】
 ありがとうございました。
 それでは,間瀬様,よろしくお願いいたします。
【間瀬アドバイザー】
  私は,現在,全国の公立文化施設協会のアドバイザーといいましょうか,プラス中小規模館の特別委員会というのがございまして,そちらの委員もさせていただいております。それから,全国の文化活動に対する支援委員というお役をいただいておりまして,これでかなり全国の,特に中小というよりも,小規模館の現場で問題点がある場合に,その現地でアドバイスをするというようなお仕事を3年ほど前からさせていただきました。そこから見えてきましたことを本日はこの報告書の中にありました項目に合わせてご報告をしたいと思います。
 先ほど松本さんからお話がありましたように,全国の公立文化施設のアートマネジメント研修で,昨年度の研修は中小規模館にこそアートマネジャーが必要だというタイトルのシンポジウムをさせていただきました。これは先ほどもお話があったように,全国の公立の文化施設,本当に80%ぐらいが中小規模です。そこで実態は何が行われているかということを浮き彫りにしていかないと方向が見えないなということが一つ。それから,かなりつらい現場の中で頑張っているその自治体の施設のノウハウ,現状の報告をしていただくことで,何も動けなくなってしまっているような施設が何かをいただいて,地域で実現できればいいのかと行っておりました。私自身が,こういうような考え方というのは,やはり地域文化というものがこれからの日本を救っていく大きな力になる,それは地域文化施設が元気にならなくてはいけないという大変単純なことで考えておりまして,1970年代ぐらいからこの形の仕事をしております。
 舞台芸術の日常化を目指すという,これを題目にしているわけですけれども,やはり先ほどからアートマネジメント人材,それは何のためにするのか。やはり地域が豊かになり,その地域の中でさまざまなことが行われるわけですけれども,実はそれを受けとめる観客というのが日本にはかなり少ないと思っております。ですから,そういう現状を打破するのは,まずは身近にある地域の文化施設の仕事と私は思っております。地域文化施設のミッションというのは,やはり文化の担い手をつくること,育成という言葉は余り好きではないのですが,そういうのをつくる,またはそれを支援する。それを行うことによって,やはり地域が元気になり,その地域でさまざまなことが行われ,その継続の中でアーティストが生れてくる。その可能性が出てくると思っております。
 幾つか昨年度,一昨年度見せていただいた中で,キーワードはやはりそこで働く人であると思っております。これは職員というのも一つ人として考えますと,地域の施設でより深くかかわるその地域住民ですね。それからもう一つは,近所に住んでいる地域の住民の方,やはりこういう3つの区切りの中でいくと,我々,今行おうとしていることは,その職員にリーダーシップ,それから施設経営のノウハウを何とか身つけてほしいという,それはあるわけですけれども,どうもそのテクニックの,テクニカルな部分でいってしまって,私はどうもその地域に住んでいる住民の方々,こちらの席で言えば国民という言い方をしていいんでしょうけれども,その地域に住むことの誇りというもの,それを持たせる施設になるというような大きな目標をどうも見失っているように思われます。
 それは,やはりアートマネジメントを学ばれた方,またこの業界の経験を積まれた方が,各地域の施設でその地域の方と面と向き合ってお仕事をしていただく。そこから生まれてくるのではないかと思っております。ですから,そういう専門家を自治体が雇用をするという方法というのを考えないといけない。現在,有期雇用の制度で地方公務員を雇用する制度というのができましたが,まだまだそれを取り入れている自治体というのは少ないようです。実数として私はつかんでいないわけですけれども,そういうことを施策として指導していただけないだろうかというのが一つございます。
 それから,先ほどありました指定管理者制度の問題なんですが,実は指定管理者制度を導入することによって,これは専門家,今のアートマネジャーをその施設に置くことは大変可能になったと思います。行政が直営で運営しているところでは,なかなかそういう職員を雇用するのは難しいのだろうと思うんですが,それが可能になったと思います。だた,問題点は,先ほども松本さんのほうからお話があったように,大変今この現場では雇用の変化してきています。昔は地方自治体または専門職として公的団体の雇用というものが一般的だったわけだと思うんですが,指定管理者制度になりまして,そこの期間が一つありますので,非常勤職員であったり,それから臨時職員であったり,それから契約社員とか,その地域に根差すというような職員の雇用というのは大変少なくなっているように私には見受けられます。
 そうしますと,先ほどに戻りますと,地域の文化施設が地域の住民に対して育成支援をするということの事業が担保できるのだろうか。期間も大体5年,8年,短いところは3年というような,この期間で何ができるのだろうか。これはものすごく危惧をしております。この制度がワンクール終わったわけで,これから2クール目に入ろうとしていますけれども,この辺は注視をして,打開策は見えないかもしれませんが,それは審議会で注視をしていていただきたいと思います。
 それでもう一つ,指定管理者制度で忘れられているのではないかと危惧していますのが評価ですね。どうもそれがセットになっていないように思われます。確かに自治体が事後評価等,事業評価等を行っていますが,評価する側に専門家がいないという現状があるのではないかと私は思っております。指定管理者制度または委託,そのほかで自分たちが本来やらなくてはいけない仕事をほかにお任せするわけですから,その中身について理解できていないということは,大変これはいかがなものだろうかと思います。それはやはりそういう専門家を行政内部に雇用していく。まさにアートマネジメント人材を自治体の中で雇用するということも,私は選択肢の一つではないだろうかと思います。
 最後になりますが,いまだ進行中ですが,インフルエンザの問題です。これは各地方自治体,特に小規模単位の自治体では,国の指示がないと何も動けないという現状があちこちで見られました。大変声の大きな首長さんがおられるところは国を動かしてくださっていたようですが,どうも単位自治体,5万,3万というような自治体では,国の指示がなければ何もできない。それを逆に思いますと,今回のようなこういう自治体のレベルで文化支援のこういう専門人材を置くというのは,国の指示がないとどうも何も動かないのではないだろうか。人を雇用するという方法,それから,予算的な面もあろうかと思いますけれども,ぜひそれを考えられないだろうかなと思っております。
 それから,地域の文化振興というものを考えていくわけで,アートマネジメントのこの育成の中でもやはりより専門的な,こういう言葉があるのかどうかわかりませんが,ハイアートといいましょうか,芸術家をという,大変そのハイアートを皆さんはお考えになっていると思いますが,私は地域で文化に興味のない方にどうこちらのほうに向いてもらうか。地域に溶け込んで何かを実践をする,そういうアートマネジャーが私は地域が必要としているのではないかと思います。ですから,ハイアートプラス地域の文化活動,そこにぜひ目を向けるような専門教育の中で起こしていただければと思います。やはり文化施設には,先ほどもありましたが,専門的な人材を配置するというある意味,義務化するようなルールを策定していただかないと,小規模単位の自治体ではそういうことが見過ごされるんではなくて,私は,言葉は悪いですが,無視をするんではないかなというような気がいたしております。自分たちの行政という組織の中で物事が動いていたりしていますので,ぜひ専門人材を配置するルールをつくっていただきたいということ,それから専門の教育のところでは,市民とともに物を考えるという,または実行するという人材をつくっていただきたいと思います。
 大変ありがとうございました。
【田村(孝)部会長代理】
 ありがとうございました。
 皆様に先生方から,ぜひこれだけは伺っておきたいという,お聞きしたいということがございましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。
【唐津委員】
 すみません。公立文化施設協会さんで行われている現場研修のことについてひとつお伺いしたいですが,私,愛知県の施設におりますけれども,やはり今お話にありましたように,忙しいということ,そういう時間的な問題と,それから出張費の問題で,行きたくてもやはり研修に行けないという声をかなり聞きます。それに対して,例えば国が逆に補助していただくとかというようなことが実現できないかということ,それからもう一つ,時
期が大体年度末に行われるということが多いんですけれども,正直,職員の異動で運営されているような施設では,大体1年から3年ぐらいで職員が異動になってしまいます。異動になる可能性が非常に高い職員を2月,3月の時点で出張に行かせる必要はないというやはり判断がありますので,なるべく早い時期に,これも非常に手続等で難しいとお聞きはしておりますけれども,4月,5月は無理でも,例えば6月,7月ぐらいまでに開催していただくような,そういった可能性というのを聞かせていただきたいと思います。
【松本常務理事】
 まず,現場研修の出張について,なかなか費用が捻出できないということですけれども,国の補助が得られないかというところでございますが,これについては基本的に文化庁さんと今後検討しなければいけないと思いますが,現状の施策では難しいのではないかなと思っております。
 それから,時期的な問題も今後改善の余地はあると思いますので,それにつきましても文化庁あるいは私どもの公立文化施設協会として,どのようにしていくのかについては検討してまいりたいと思っております。
【間瀬アドバイザー】
 たしか愛知県舞台運営事業協同組合が今ごろ,6月ごろにたしか行っているので,私の伺ったところ,最初何で秋口ではなくて年明けなんですかと伺ったときは,要するに繁忙期はなるべく研修は避けようということで,1月,2月というのは割と昔はホールが閑散期で,その時期にということなんですが,現在それが平準化してきまして,だんだん日程的にはばらけてきたと思います。
 それから,出張旅費ですが,地方自治体,小規模自治体になりますと,全国大会には基本的に行かないとか,何かそういうルールづくりはされているそうです。ある職員はかなり出張が多くて,ある職員は行けないとかになってしまう。ですから,総額が相当カットされています。現実としては,現場サイドでは行きたくても行けないという,休みをとって自分の私費で行きなさいみたいなところになってしまう,そんなのが現実としてはございます。
【唐津委員】
 ありがとうございました。
【田村(孝)部会長代理】
 何かほかにございますか。
【高萩委員】
 公立文化施設協会さんになんですけれども,結局提言が欲しい,提言が欲しいという言い方になっているんですけれども,こちらから提言するのは難しいと思います。公立文化施設協会が提言を出さなければ,つまりこちらのほうは色々なことで考えているけれども,現実的な提案にならないと思います。今,間瀬さんと松本さんのお話で言えば,もし文化庁側から,つまり我々の審議している中から言うとすれば,つまりある種の条件を整えなければ,文化庁の助成金は差し上げないですよというようなやり方というのはあると思うんです。そこまで踏み込んでいいのかどうか。つまり,研修とかにスタッフを送り出さない自治体にはもう助成金は出ません。それから,アートマネジャーがいないところには助成金は出ませんという格好で,かなりのすみ分けが行われていく。今のところ,公立文化施設協会さんの場合,比較的護送船団方式みたいな感じだと思うんですけれども,団体としてはそこまで踏み込んでいいと思われているのか,それとももっと別の予算がふえるような方策を立ててくださいというお話なのか,お聞かせください。
【松本常務理事】
基本的には公立文化施設協会として,今後そのアートマネジメントの人材育成なりについてどのように行うかという考え方を一回整理する必要があると思います。その上で,これまでは文化庁のご協力を得て,連携してまいりましたので,そういった色々な課題を整理した上で,どういうあり方があるのかというところを考える中で,そういう事業として,その予算,経費の面,それから運営の面といったものを検討していくことになるのと思っておりまして,今のところ,予算を要求というところまではまだ現段階では申し上げられないと思っております。できれば,そういう出張旅費等含めた何か手当てができるような,そういう研修会の運営といったものは考えられるとは思いますが,現段階ではまだそこまで踏み込んだ形では検討していない状況です。これからということでございます。
【高萩委員】
 オペラ連盟さんですが,先ほどのお話で,帰国しても,公演の際に選ばれない人が多くてということになると,逆に,門外漢(非専門家)だから言えるんですけど,多く送り過ぎというような意見だって出かねないと思うんです。送る人をもっと少なくして,絶対に活躍していける人材しか送らなければいいのではないのという答えが出てくる。そうではないんだというのがあるならそういう話をしてほしい。公演の絶対数が少ないという話になると,公演を行う為にもっと予算をふやしてくださいという話だけなのかなという感じがしてしまう。現在の状況の中で,オペラ連盟さんとしては,逆に装置を使わないオペラというものや,シアターオペラとかコンサートオペラみたいな形のものをもっとふやしていくとか,そんな方策とか何か方法がないと,どうも今のお話いただいた意見だけが載ると,ほかの芸術業界,または全然別の業界から見たときに,要らない人はいないですかという話が出かねないかなと思うんで,補足をして記録に残したいと思うんですけど。
【草壁常務理事】
 まずは人数でございますが,できるだけ本場に行って多くの勉強してきてもらいたいんですが,中には,もう少し絞って,集中的に出してもらったほうがいいのではないかという意見もないことはありません。正直言いまして,1年間行き,果たしてどれだけ成果があったのかといったら,余り成果が見えないという人もいます。ですから,そういう意見も全く皆無ではありません。
 もう一つ,少なくていいのかということになりますと,公演数が,先ほど申し上げましたように,全体に日本人の公演が少なくなってきています。私どもの傘下の団体の公演数もだんだん減ってきておりまして,予算的なこともあったりしまして,多少規模が小さくなってきております。ですから,出演者数も少ないとか,ソロで出ていた人が合唱に回ったりとか,合唱はどうするんだというようなこともあったりしまして,全体に公演数が少なくなってきていることも事実でございまして,外来オペラに対抗するために,今のお話のような,少し映像を使ったりとかするような,要するにコンサート方式など,そういう方式も考えておりまして,私どものほうで,今,こちらの力で共同制作公演というのを行っています。それのほうで,グランドオペラはこれはもうどうしようもなく,それで行わなければいけないと思いますが,その演奏会形式のもう少しコンパクトな経費のかからない,あるものはホールでもできるけれども,同じ演目である部分はシンフォニーホールでもできるのではないかという多様性のあるようなものを現在考えておりまして,実現しつつあります。ですから,そうすることによって少し出演機会がふえてくると思っておりまして,何とかできれば予算をふやしていただきたいというのが本音なんですが,ただ,一方でそういう具体策も考えているということでございます。
【田村(孝)部会長代理】
 どうもありがとうございました。多分ご意見がまだおありだと思いますが,不手際で申しわけございません。時間となりましたので。どうぞ。
【吉本委員】
 本日は色々とありがとうございました。それで,今お話を伺っていると,やはり,人材育成のためにも,舞台を踏む機会がふえたほうがいいとか,あるいは公立の劇団をつくって全国回したほうがいいとか,あるいは観客をどうつくるんだとか,やはり人材育成の問題は,色々なことがリンクしているということを改めて確認できたと思います。このことは次の会で答申というか,あるまとめがあるということになっているんですけど,私は次回出られないのであえて発言をさせていただいたのですが,この人材育成の問題というのは2次基本方針の重点事項になっていたので,議論が始まっていると理解してますが,重点事項って全部で6つありましたよね。でも,2年半かけてまだ1個しか終わっていないんですよね。それで,また今度の第3次基本方針は平成24年の2月につくらなければいけないとなると,残った5つはどうなるのかとか,何か全体のグランドスケジュールが,私,全然わからなくて,本日いらしていただいているゲストの方には申しわけないんですけど,人材育成のことはやはり今日お話を伺っても,それだけ議論していても全然始まらないなというすごく印象を持ったので,その辺のことを事務局の方に最後ご質問したくて発言させてもらいました。  
【清水芸術文化課長】
 文化政策部会といたしましては,6つの課題がありましたけれども,すべてを審議するわけにもいかないということで,第1の課題であり,また,今お話にありましたように,ほかにも関連することだと思いますので,人材育成,それはアートマネジメントと実演芸術家ということに絞って考えてきたところでありますけれども,ほかの5つの課題をそのままにというわけではありませんで,これは文化政策部会の場とはまた別になるかとは思いますけれども,それぞれの担当課それぞれでもちろん進めてきているところかと思います。ですから,むしろ文化政策部会といたしましては,もう次の第3期の基本方針に向けて,もうしばらくすると,現在の状況がどうなのか。現在の課題がどうなのかということを考えていくことになろうかと思いますので,また文化政策部会でどういうような進め方をするのかというのはご相談をさせていただきたいと思っておりますけれども,これが終わったので,その6つの課題を順番に行っていくというようなことではなく,今回はこの人材育成でまとめていただいた後は,むしろ次に向けて検討していくというような時期が近づいてくるんではないかと思っているところであります。
【吉本委員】
 ありがとうございました。
【田村(孝)部会長代理】
 どうもありがとうございました。
 お忙しい中おいでいただきましたのに,十分お時間をおとりできなくて大変失礼いたしました。本日は大変申しわけございませんが,討議はこれまでにしたいと存じます。
 植田様,草壁様,西川様,松本様,間瀬様,本日は本当にありがとうございました。
 本日いただいたご意見などを踏まえまして,事務局においてたたき台となる報告書の素案を作成いたしまして,また論議を進めてまいりたいと考えております。
 では,次回の日程についてよろしくお願いいたします。
【清水課長】
 <今後の予定等について説明>
【田村(孝)部会長代理】
 どうもありがとうございました。
 本日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
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