第7期文化審議会政策部会第4回議事録

1    日時
平成21年7月23日(木)
2    場所
文部科学省3F2特別会議室
3    出席者
(委員)
池野委員 唐津委員 高萩委員 田村(和)委員 田村(孝)委員 山脇委員 米屋委員 宮田(亮)委員 宮田(慶)委員 吉本委員 三林委員
(事務局)
玉井文化庁長官 合田文化庁次長 戸渡長官官房審議官 清木文化部長 大木政策課長 清水芸術文化課長
(欠席委員)
パルバース委員 山内委員 堤委員
議題
  1. (1) 舞台芸術人材の育成及び活用について
    【文化審議会文化政策部会報告書素案審議】
  2. (2) その他
【宮田(亮)部会長】
 定刻となりましたので,開催させていただきたいと思います。
 第7期文化政策部会第4回の議事を進めさせていただきたいと思います。
 本日はご多忙のところ,ご出席ありがとうございました。本日の部会は,政策部会の報告書案について審議を行いたいと思っております。
 ご承知かとは思いますが,人事の異動がございましたので,事務局のほうからご紹介をいただきたいと思っております。よろしくどうぞ。
【清水芸術文化課長】
 <人事異動の紹介>
【宮田(亮)部会長】
 そうでございますか。私どもが今まで構築したものを伝えていっていただければと思いますが,どうですか長官,もう少し何かお話をいただけたら,長官の思いなどもいただけたら私どもはうれしいなと思うのですが。
【玉井長官】
 部会長からのお話でございますので,一言と思います。
 私が芸術文化の仕事をするのは20年ぶりぐらいになります。どちらかというと教育行政のほうを長くやってまいりましたけれども,芸術文化振興基金をつくりあげるときの担当官でございまして,文化芸術の全体像をどうするかというところは,あのとき描いていった思いがございまして,多分その時と基本は同じだろうと思っております。いかに芸術の頂点を高めるか,あるいはさらにそのすそ野を広げ,そして親しみを多くの人々に持っていただけるか,文化財をいかに保護し,かつ活用していくのかと,そういう中にやはり時代の進展とともに,どういうジャンルにどういう手法をもって行うのがいいのか,その時の公とそして民間との関係,公の中でも国と地方の関係,こういうものをしっかりと見極めながら行ってまいりたいと思っております。例えばこの政策部会におきます人材育成という面についても,詳しい青木前長官が一生懸命そこに力を入れられたわけでございまして,私もその路線はしっかりと受け継いでいきたいと思っておりますし,何よりも,宮田部会長のほうがご見識が深いと思いますけれども,この時代の中でこういうあまりうれしくないお金がどうのこうのといった,そちらのほうばかり言っていた時代の中で,やはり今変わっていかなければならないだろうと思いますし,そしてそれはきっと文化なのだろうと思います。芸術文化がやはり時代をリードする時代にまさに入ってくるのであろうし,そうせねばならない,そういう時期ではないだろうかと思っております。そういった思いで心を引き締め,気を引き締めながらしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございました。  長官の文字を見ますと左右がきれいにシンメトリーで,中央と地方と,色々な部分において左右のバランスをもったお答えをいただきました。文字が体を表すというか,そういう感じでございます。期待申し上げます。よろしくどうぞ。厳しいことも言いますので,ぜひそれに応じていただければと思っておりますのでよろしくどうぞ。
 さて,それではありがとうございました。会議に先立ちまして,事務局から配付資料の確認よろしくお願いいたします。
【清水芸術文化課長】
 <配布資料の確認>
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございました。
 今ご説明をいただいた資料につきまして,先生方から忌憚のないご意見をいただいて,最終的にはそれを取りまとめ報告書とするということでございますが,とりあえず3−2あたりからいきますか,それ以外のところ,もうランダムで結構でございますので先生方のほうでこのようなことはどうこうということをお願いできればと思っております。
 口切りの最初でございますが,この間の会議の後,帰り際に何人かの先生方に,座長もう少し頑張ってくださいと言われたので,これは大変だと思って,宿題を言われたなと思ったので,少し書かせてもらいましたが,最初の3行は要らないなと思って,これはメモですよということを言っているだけの話で,この3行は削ってください。
 その前段階の,今こそ日本の文化力を高めていくという,これもたしか私が書いたのですが,その時にたしか下に宮田亮平と書いたのですが,これはやめましょうと言ったんで,それで昨年報告書を出させていただいたわけですが,今回少し5番が,自分で言うのもあれなんですけど,これはいけるかななんて,すみません,こんな表現も,うたい文句に何かやっぱりキーワードの1つがあるといいのかと,やはり千里の馬だとか,伯楽だと言えるようなことが人材の育成になるのかと思ったので,少し入れてみました。
 その中でこの間,先ほど清水芸術文化課長からのご報告にもありましたが,14日に先生方お忙しい中,お集まりいただき分科会を開いていただいて,箇条書きにしていただいた提言の骨子,3ページでございますが,とてもいいことかなという感じがして,これもとてもわかりやすい感じがいたします。ありがとうございました。箇条書きというのは,結構いいですね。
【田村(孝)部会長代理】
 骨子にしていただいたのは,とてもありがたくわかりやすくなったと思います。ただ,ここしか皆様お読みにならないかなとも思いますので,この小さい丸ポツでずっと並んでいる項目を,3つぐらいに区分けをしたら如何でしょうか。例えば,教育と研修,戦略的支援,そして劇場の法整備に向けてという様にです。そしてその中に例えばいわゆる新進芸術家研修制度とか,新国立劇場の人材育成の拠点とか,芸術大学,それからその下,学
校教育において云々,それから大学などにおけるアートマネジメント教育,アートマネジメントの現場研修,これらは教育研修の部分に入るのかなと。それから,もう一つ戦略的支援と言いますか,芸術団体人材育成支援事業とか,国,文化庁が行っている,その下の芸術創造活動特別推進事業,それから舞台芸術振興の先導的モデル推進事業,それから子供の能動的な観賞機会の充実云々と,それから優れた舞台芸術の全国展開を図るためという,これらは実際に行っている戦略的支援として,きちんとやらなくてはいけないものを2つ目にして,そして,最後にもう一歩踏み込んだ,中にも書いてくださっていますが,劇場・音楽堂の法整備に向けてというようにして,そして真ん中辺の文化芸術団体を有する劇場・音楽堂,それから地方公共団体はというところと,それから劇場・音楽堂におけるアートマネジメントの充実,そして法整備というのが次にありますが,それからアートマネジメント人材などの専門職員の配置というように,3つに分けて書いていただいたほうがわかりやすいのではないかと思います。
 実演芸術家等とアートマネジメントの人材育成等と常に分けるのではなく,提言の骨子としては,教育と研修を行って欲しいと,それから戦略的支援をしっかり行ってほしい,そして望むらくは,劇場・音楽堂の法整備に向けて一歩踏み出してほしいと書いていただけたらわかりやすいかと思いました。
【宮田(亮)部会長】
 まさしくそのとおりと思います。今これは羅列してあるだけですので,そのほうがわかりやすいのではないでしょうか。ありがとうございます。
 さて,それ以外ではいかがでしょうか,私はまさしく田村先生のお話に賛成でございますので,そうしたいと思います。いかがでしょうか。すべてに渡って結構でございますので。
 例えば資料4のこのポンチ絵も昨日持ってきていただいたので,それも大分,整理していただいたのですが,整理すればしただけで問題があるので,これはもう少し整理しましょう。これにはお金をかけないとだめだよ。やはりこれも絵ですから,こういうふうにある絵と同じですから,何かその辺から集めてきたみたいなのは,かえって見にくい。
 また少し相談させていただいてよろしいですか。
【田村(孝)部会長代理】
 はい。
【宮田(亮)部会長】
 意味は皆さんおわかりになっていただけると思うんですね。要するに大きく2つの柱があるわけですが,アートマネジメントの部分と,今回やっている人材の育成,いわゆるお稽古ごとから色々とセレクトされていって,実演芸術家の人材育成というようになっているわけでございますので,随分事務方は苦労してくれているんですよ。だけどいまいちまだというところが。これは宿題にしましょう。
 あとはいかがでございますか。この間,14日のときにお集まりいただいた分科会の中でのお話などもいただいてありがたいかとも思っていますが,いかがでしょうか。
【田村(孝)部会長代理】
 すみません,今のところでもう一つ,上から3つ目の○のところに「実演芸術家等を活用して」と書いてありますね。活用してというと常に保護対象という感じがするもので,実演芸術家はある意味自主的であってほしいと思うので,この言葉を協働とか何か,ここはそうあったほうがいいのかなという。「同時に」ではなくて「そのためにもアートマネジメントの充実に向けた」という。
【宮田(亮)部会長】
 そうですね。
【田村(孝)部会長代理】
 どうしても実演芸術家となると,保護対象というにおいがどうしても残っている。それは変えた方がいいかなと思います。
【宮田(亮)部会長】
 はい。それは結構,根本的な問題ですよね。
 では,唐津委員どうぞ。
【唐津委員】
 すみません,少し細かいところに入ってしまうんですけれども,最後ということでお願いしたいんですが,11ページの舞踊部門の[2]のところで,芸術として扱うのではなく,保健体育における運動の一環として舞踊を学ぶことが多いということで,少し否定的に書かれているにもかかわらず,17ページの真ん中ぐらいの,「実演芸術家等を活用した文化芸術に関する教育の推進」のところで,小中学校から舞踊の基礎を取り入れるなどして,足や腰を強くし,姿勢をよくする体づくりということで,やはり少し保健体育の一環的なところに,実演芸術家等に活用するというような形に少しここは読み取れるので,この足や腰を強くし姿勢をよくするという体力づくり的な保健体育的な書き方ではなく,もう少し芸術的な書き方といいますか,例えば美しく健康で精神とのバランスのとれた身体を育成するというような表記に,これは例ですけれども,したほうがよろしいかと感じます。
 それから,今の同じ12ぺージの保健体育から続く文章の中に,能力の向上を図っていくためには舞踊の哲学を学んだり,音楽や演劇等の他の分野を含めて幅広くというところで,いきなり「舞踊の哲学」ということが唐突に出てくるのは,理論と実演ということの双方という意味だと思うのですが,少し哲学の使い方が唐突な感じがしますので,例えば理論とそれから実演というような,実技というような形で両方からのアプローチ,頭脳的なアプローチと肉体的なアプローチというような書き方にしていただいたほうがよろしいかと思います。
 すみません,それから少し飛んでしまうのですが,時間もないと思いますのであわせてお話しさせていただきたいんですが,23ページのアートマネジメントのところになりますが,一番上の○のところで,「各地で多くの劇場・音楽堂が整備されてきたが,事業や運営の評価基準が明確になっていないこともあり」ということで,評価ということが一番に出てきてしまうんですが,どう評価されるかということよりも,どういう事業や運営の理念や目的を持っているかということが先にあっての評価だと思いますので,そちらのまず目的,理念が劇場・音楽堂にないということのほうが問題だと思いますので,先にその理念や目的かつ評価基準という形で書いていただいたほうがよろしいかと思います。
 以上です。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。今のような感じで結構でございます,先生方,どうぞご発言いただきたいと思います。
 はい,どうぞ。
【池野委員】
 こちらの資料3−2とそれから資料5の1枚の紙と両方に共通している言葉で,どうしても読んでいて引っかかる点というのがあって,それが言葉として,「国際競争力のある才能を見いだし,育て,広める」ということで,一番最初の理念のところに書いてあります。それと,同じ1枚紙の中の2章の中に2の基本的な課題の認識で,「国際競争力のある育成対象者を選抜,育成強化策を重点的に打ち出す」と書いてありまして,この言葉だけを見ると,例えばイメージとしてオリンピックに参加できるようなスポーツ選手をピックアップするような,何かその競争力というと,勝敗とか勝ち負けとかいうものを連想してしまいます。舞台芸術と競争力という言葉が何かとてもなじまないような気がします。こういう表現が出てきた経緯というのは何かほかにこうしたほうがいいということで,この言葉が出てきたかと思いますが,それがどういう経緯で出てきたかというのが思い出せないのと,あともう一つ,この資料3−2の中で17ページの実演芸術家等の受け皿の整備の中でも,やはりこの「国際競争力の強化のため」とあります。私が非常に読み込む力がないのかもしれませんけれど,「そのほか国際競争力の強化のため,日本の実演芸術家等だけでなく,日本文化を担うアジアの実演芸術家を対象として招聘することを検討する必要がある」と,この文面の中での国際競争力の強化の対象となっているのは,これは実演芸術家のことなのだろうかということが少し疑問に思ってしまいました。
 これは,少しここから離れるかもしれないのですけれど,日本の実演芸術家が世界に通用するという意味の競争力ということなのかどうか,少し考えてみました。例えば日本の舞踊に関して言えば,国の政策として何かこれまで人材育成というものをしていないにもかかわらず,例えば芸術大学で音楽科のような教育機関がないにもかかわらず,日本の舞踊家というのは本当に個人の努力の成果で,今色々海外のバレエ団,ダンスカンパニーで活躍している人は多くいるんですね。ということは既にある意味,実演芸術家は舞踊家なんかですと,もう世界に通用する人というのは,こんなに貧しい教育環境の中でも生まれています。そう考えると,国際競争力を強化する必要があるのは実演芸術家ではなくて,それをカンパニーとして立ち上げるとか,それを継続して団体としてプロフェッショナルなものにしていく,その周りの,次に書かれています,アートマネジメントに携わる人たちこそだと思います。その辺が少し,言葉として3カ所に出てきていますけど,それをもう少し違う表現というか,わかりやすい表現にしたほうがいいのではないかと感じました。
【宮田(亮)部会長】
 国際競争力の下にかかる部分が本人なのか,組織なのか,国なのかと,何かその辺のところはっきりしてくださいということですね。それはわかりますね。
【田村(和)委員】
 14日に色々と話もしたことなのですが,今回これを全部読み通してみて,何をやったかということをしみじみ考えてみますと,私はこの実演芸術家とアートマネジメントというのは,非常にアプリオリにとらえて,そこでのそれぞれのあり方みたいなもの,恐らく育成の仕方を考えたというようなことがあると思いますが,私にとって一番大切なことは,人材という世界は,非常に日本では個人化されていて分節化されていたと思うんですね。それがやはり実演芸術家とアートマネジメントを一体化して,新たな人材の世界のイメージをつくり直したことだと思っています。そういう意味でいきますと,人材の世界というのが非常にこのトータルなイメージを持つことと,それから人材がダイナミズムを持つこと,それからもう一つは,人材というのは個人に分節化されていくことではなく,公共政策だということをはっきり言ったことだと思っています。そういう意味で,こういう人材という世界をもう一遍違った見方でとらえ直さなければいけなかったという話と,それがまさに今の状況,国際化というような言葉がいいかどうかは別にして,今の状況の中で非常に緊張感を持って考えなければいけない問題だったというところに,この話のスタートがあったと思います。ここのところがやはり戦略として私は置かれなければなという感じはしていまして,そういう意味で言いますと,全体を通して言えることは,実演芸術家というか,むしろ芸術家のトップレベルの活動力の強化みたいなものと,それからもう一つは既定部分というんですが,これは色々今までの芸の道なども含めて,もっとそういう話にとらわれずに,ポテンシャリティを向上させることだというようなことだと思います。その2つの話が非常に強くありますが,現実に言うとそれが国際競争力みたいな話になってしか言えないのが,これで果たして本当にこの国際競争力という言葉を使えば国際的に通用するのかというと,そうではなくて,むしろ例えばサブカルチャーなんかの場合は別に国際競争力ということではなくても,ある人たちが非常に出て行けば,これがジャパンクールになったりするわけですね。ですから何か国際競争力という経済的な用語を使うのではなくて,むしろこの羽ばたき方みたいな,そういう活動力のダイナミズムの高まりみたいなものをもう少し言葉遣いとしてはっきり出してもいいのではないかと思うんですね。
 そういう意味で言いますと,本当に今回の話が単に実演芸術家とアートマネジメントが多分アプリオリにあって,その人たちがせっせと高まっていかなければいけないという構図だけではなくて,そこが本当に一体化されて,新たな人材をワンセットとして,公共政策として打ち出さねばいけない時期に来たのだということをしっかりつかまえるべきなのかという気がしています。
 そんな意味で少し14日にも幾つか提案させていただいたのですが,何かそのあたりをもう少し戦略的な話というのを今というところにおいて考えていくと,必ずしも今ご提案があったように,国際競争力だけではなくて,もっともっと深い問題なのではないかと,深くて非常にダイナミックで力強いものが今必要というのが,もう一つ書いていただきたいところで,表現していただきたいところだなと思います。贅沢かもしれないけれども,先生の伯楽の話も多分そういうところにあるはずなのだという感じがしています。
 ですから,大変に努力していただいて,随分これは非常に読みやすくなりましたし,重複が減りましたし,すばらしいレポートになってきたのですが,もう一つ贅沢を言えば戦略,今このことを考える我々の1つの創造的な破壊みたいな意味での提案というのは,そのあたりを何か出していただきたいというのはもう一つ期待したいところです。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。競争力とか戦略という言葉がどうしても経済産業省言葉なんですよね。どうもあまりしっくりこないなというのがあるのだけど,頑張ろうという言葉に対して,文化的なところでの頑張りだとか発言だとかというところが,もう一つ新しい言葉を,造語をつくるべきかもしれませんね。そうしませんとどうしても何か数値的な。
 はい,どうぞ山脇委員。
【山脇委員】
 今の言葉でも少し関連するのですが,本当にそもそも論になってしまって申しわけないのですが,私がずっと違和感を感じていたのは,今,副部会長のお話になられた人材活用という言葉なんですね。国が人材を育成するということは非常に大切なことだと思います。それから,今の日本の問題で仕事場がないということも大きな問題で,その育成した人材を活用するという,その言葉に対してとても私は違和感があるのですが,それは私だけの問題でしたら全然問題ないのですが,どうでしょうか。つまり会社で新人を育てる,それを活用する,それは大いにあることだと思います。私たちもよく,会社内で使います。だが,芸術家の人材を育成した後,活用するというは,国のこういう報告書であんまり違和感はないですか。どうでしょう。
【宮田(亮)部会長】
 ありますね。
 どうぞ。
【高萩委員】
 さっき玉井さんが話された90年の段階と今の文化政策がどのぐらい違うかというのがあると思います。90年に芸術文化振興基金をつくったときというのは,日本の芸術家は世界と比べて非常に色々な意味で公共的な支援を受けていなかった。そこで,頑張っている芸術家に国からも支援をしてあげましょうという趣旨だったと思います。芸術が好きな人,芸術が好きな親が子供に対して一生懸命バレエを教えてという状態で,ほとんど公共的な支援はなかった。80年代までに,ハードの支援,ハードの整備が進んできたということで,次はソフトの支援が遅れていることが明らかになった。海外と色々な制度を比べてみて非常に遅れている。アートマネジメントという言葉自体まだ入ってこなかった時代ですから,芸術をどう扱おうかということもはっきりしなかった。多分,研修事業だけは行われていたぐらいだと思います。本当にこれからつくっていかなければいけない状況だった。
 それで20周年経ったところで今回の人材育成の話が起こったときに,今回はアーティストを恩恵的に支援してあげるのではなくて,才能のあるアーティストを使ってというか,活用して国自体がどのように豊かになっていくかを考えなければいけない。自分で頑張っているアーティストを支援するだけではないというところから,アーティストを育て,才能のある人たちに対して場所を与え,それがその世界,日本の社会全体に豊かに,そこから国際競争力ということが出てきていると思うんですね。ここははっきり活用と言うのだったら活用すると言った方が良いと思います。つまり文化庁の支援する方向性が変わっているのだということを強く打ち出したほうが意味があるだろうと思います。多分50代以上の方,すみません年代を区切って申しわけないのですけど,「活用する」という言葉に違和感が少しあると思うのですけれども,逆にそこが大事だと思います。どうでしょうか。
【宮田(亮)部会長】
 吉本委員。
【吉本委員】】
 活用という言葉について今,山脇委員のお話にあったのは,何か上から目線で活用してあげるよみたいなニュアンスがあってそれが違和感になっているんだと思うんですね。私もそういうニュアンスがあると思いますし,実際前にもこの人材の活用という言葉が出たときに,そういう議論がこの文化審議会政策部会でもあったように思うんです。厳密には覚えていないのですが,たしか2次基本方針の中にも人材の活用という言葉がそのまま使われていたかもしれません。活用に代わる言葉は,今,高萩さんが話されたように育成するだけでなく,その人たちに活躍の場所を提供しなければいけないというニュアンスを込めて活用になっていると思いますが,活用に代わる適切な言葉はあるかというと,そのときもたしか議論をしたのですが,なかなかなかったと思うんですね。
 だから,もちろんここでもっといい言葉があれば,何とかその嫌なニュアンスがなくなるような言葉があればいいと思いますが,活用をはずすと,育成だけやればいいのかという話にまたなるので,それではここで議論してきたこととはずれるのかなという気がいたします。
【宮田(亮)部会長】
 活用というと,何となく上から目線だねと聞こえます。要するに,「用」というのは使うということでしょう。せっかくできあがったんだけど,それを大いに国のために使ってもらいたいという気持ちでそちらから言うと活用になるかもしれないけど。
 どうぞ,米屋先生。
【米屋委員】
 吉本委員の今の話に少し補足ですが,むしろ雇用しようということで議論をしていたという記憶がございます。つまり,それだけ能力があって社会に影響力を与えられるような芸術家に対価を払って活躍してもらうという発想で,ここも主語はやはり国,地方公共団体を初めとする関係機関においてはということで,もちろん実演家等は,自立的に活躍していってほしい存在なんですけれども,今まであまり活用してこなかった自治体に,もっとその活躍する場所を与えなさいというような文脈でこの言葉を使うようになったのだと思うので,本当でしたら登用するとか雇用するとかっていうことで対価のことも含めた言葉にしたかったのですがその辺少し文化庁がまとめる基本方策の中でそこまで言うのはいかがなものかというような議論があって,活用に落ちついたという経緯があったかと思うんです。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございました。
 そういいながら,私ものっけに育成と活用にと書いたものだから。これも少しまた議論してもいいかと思いますが,どうでしょうか,ほかに皆様方。
 どうぞ。
【田村(孝)部会長代理】
 さっき米屋さんが話されたたように,人材の育成及び雇用の場所を創出に向けてと言えないのでしょうか。というのは,実はマネジメントの検討がされた後,音楽芸術マネジメント学会ができまして,その定款を読みましたら,芸術家の保護という言葉が入っているのです。これが多分ずっと流れている考え方だった,文化財保護法の延長で,国立劇場が伝統文化の人材を育成しているのもやはり文化財保護の視点からということがあったのではないでしょうか。本当は伝統文化も現代文化も運営する立場では私は同じだと思いますが,今回は思い切ってもし可能ならば雇用の場所を創出するくらいに向けてというとことはできないものでしょうか。
【宮田(亮)部会長】
 今までの議論の中で,全国に千八百幾つ箱はあるのだけど,実際にその中で人間が生き生きと活動,活躍していないというような議論もございました。その中に非常にすばらしい人がいて,かつ発信をしてという環境があれば人材は自ずから育成されるというようなことを考えますと,雇用という言葉も決して悪くはないんですよね。そういう場所があれば,より人間も競うことができる,活躍する,発信することもできるということがございます。
 ただ,雇用というと,また今度はハローワークみたいになってきて,面倒なことも少し出てくるので,慎重にならざるを得ないところがあるものですから。前,後ろ活用という言葉があってもいいのですが,前,後ろができあがっていれば,活用という言葉は決して悪い言葉ではないのですが,どうしても前,後ろが悪いと,使ってやるというような環境になるのが少し気になるかもしれませんね。
【山脇委員】
 宮田先生がお書きになった,文化が持つ力を効果的に活用されるべきと,これはいいと思うんですよね。
【宮田(亮)部会長】
 それは割に神経は使ったつもりなのですけど。
 はい,どうぞ。
【清木文化部長】
 活用という言葉は本文にも多く出てくるのですが,例えば16ページにありますね。16ページの真ん中あたりの表題で,ここは「劇場・音楽堂等における活動機会の提供」となっていまして,これも活用と同じ意味に使われていると思うのですが,活動の機会の提供とか,あるいは活躍の機会の提供とかいうような,少し長いですけれども,活用というのにもし違和感があるのであれば,そういう選択肢もあるのかなとは思います。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。
 そうですね。長いけど,一応これは意味が通じているわけですよね。今の疑問点に関しては,カバーされていると思いますね。
【清木文化部長】
 それで,これは先ほど議論になっていますが,表題も含めて活用という言葉は各所に出てきますので,それを全部別の言葉で言い換えるのかどうかというのは,ここで共通理解をいただいたほうがよろしいと思います。
【米屋委員】
 今のような議論を議事録にとどめておいていただいた上で,活用をそのまま使っていただいたほうがいいのではないかと思います。と言いますのは,むしろ今の活動機会といいますと,これは実はとても曖昧にされている言葉で,例えば芸術家が活動するというのは,それは仕事として活動しているのか,自分の鍛錬のために活動しているのか,非常に曖昧な言葉ですね。私どもで議論するときに,やはり業として,職業としてやっている人たちに対しては,それは事業であったり雇用であったりという概念でなるべくだったらとらえていただきたいのですが,そういう方でも人知れず自分で修練する部分と,両方持っているわけで,そうした場合にこの活動機会の提供というのは,好きにやってくださいというだけと,とらえられてしまうこともありますので,活用という中には,その積極的な意味が入っているのだということでとどめていただいたほうがいいのではないかと思います。
【宮田(亮)部会長】
 もう少し引っ張りましょう。はい,どうぞ。
【吉本委員】】
 今,念のために2次基本方針を見ているのですが,人材の活用というのは使われていないようですね。ただ,ここで重点的に取り組むべき事項の最後は人材の育成で終わっているので,育成だけではなくてもっとその実際の仕事の場,雇用の場とは言いにくいのですが,そういう人たちが活躍できる場所をつくるという意味合いを込めて活用という言葉を使うのであれば,2次基本方針の育成よりも,さらに前向きな提案になっているととらえることもできると思いました。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。
 少なくとも,私も教育の現場にいると,とてもつらいのは育てるまでの4年とか9年は,大学院の博士まで色々と責任持てるのですが。その後に責任が持てない。今自分が考えている,私ごとで恐縮ですが,卒業した後の10年間も大学は責任を持つというようなシステムづくりを行いたいと思っています。そうすることによって,すばらしい人間が,より増えると思っています。大学の中で育成しても,それはやはり弱いのですよ。世間知らずの中での育成で,やはり社会との中でもまれたときにやっとできあがってきて完成される。スタートしてから,やはり20年かかっている。それで本物になっていくという感じがしたときに,それをどう展開していくかというときに,大いに活用していただいて,より大きな人間になっていただきたいという言葉になったときに,活用という言葉をよく使っているものですから,非常に今,山脇委員からの話が興味深くて,この中でどうしても本当に議論していただきたいなと,その場に応じて変化させながら使っていかなければならない言葉なのですけれども,そんな気持ちがあるので。
 長官,いかがでしょうか。
【玉井長官】
 今,山脇先生がお話されたのは結局,教育と社会の接続をどうするかという,問題だろうと思っています。これは別に芸術文化に限らず,あらゆる面において日本社会はどちらかというと教育は教育のシステムだけで,どちらかというとやや閉ざされたといいますか,完結したスタイルで,社会は社会で自分の世界でむしろ育てていくとか,鍛えていくみたいな発想があった,そういう社会でしたが,どうもそういかなくなってきているのが今の日本の社会そのものであります。いかに教育と社会,働くこと,あるいは生活することとの接続をいかに円滑化していくか,スムーズにしていくかが1つの政策課題だろうと思っております。
 宮田先生がはなされたのは,ポスドクまで含めて,どういう政策を打っていくのかという意味で多分お話されているのだろうと思います。この芸術文化の世界はそれよりももっと自由でありながらどう接続を図ったらいいのだろうかという,さらに難しい問題を抱えているのかと今,聞かせていただきながら,感じております。活用という言葉を仮に使うならば,これは1つの提案で,事務局がどう思うか,長官でありながら言ってしまうのは申しわけないですけれども,ここではこんな意味で使って,つまりこの報告書では幅広く使っていると,多分,雇用の意味もあるだろうし,機会を提供する意味もあるだろうし,だけれど,その基本はあくまでも実演家の方々の自主的な力であるということが基本であると。その自主的な力が発揮できるチャンスをどう確保するかであって,そのやり方として色々なものがあるだろうと,そういう幅広いもので活用というものを使っているということを,どこかにお書きになったらいかがかなと,勝手に言って申しわけないが,聞いておりましてそう感じました。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。
 活用以外のことでもどうぞお話ししていきながら,最後にその活用に関しては少し落としどころをつくりたいと思います。活用だけに特化したのはこの時間,ここまでにさせてください。
 はい,吉本委員どうぞ。
【吉本委員】】
 私も14日の会議に出させていただいて,この提言の骨子を事務局がつくってくださったので,これはすごくよかったと思います。特に,人材育成というと,どうしても教育・研修的なことだけにとどまりがちだったと思いますが,この政策部会での議論で,教育・研修だけではなくてその先のさまざまな機会を提供しようということで,例えば,この箇条書きの5つ目のところに,公演の創作から実施までの一体的な支援を充実するとか,あるいはその3つ下のところに,劇場専属の文化芸術団体を増やすとか,あるいは下のほうに行きますと,劇場・音楽堂のアートマネジメントの充実に向けた重点的な支援とか,そういったことが書き込まれているというところが大変重要と思います。個人的には今のところに下線を引きたいぐらい重要だと思いますが,なおかつこれが,ただ羅列されているのではなくて,先ほど冒頭で田村委員のお話のように,見出しをつけるということになれば,さらにわかりやすくなるかと思います。
 その上での意見ですが,この文末を見ていきますと,大体推進という非常に強い言葉でメッセージが出ているのですが,期待という言葉が1カ所と,検討という言葉が2カ所あるんですね。具体的には,上から3つ目の新国立劇場のところが期待になっていまして,これは独立行政法人だから多分期待と書かざるを得ないのかなと思うのですけれども,次に検討というのが,その2つ下のところにありまして,これは支援の充実を検討とあるのですが,この検討は取ってしまって支援の充実と言い切れないのかと思います。後ろの文章を読むと詳しく丁寧に書かれているので,骨子としてはそれぐらいメッセージを出していいのではないかということです。それからもう一つ検討とあるのが下から2つめなのですが,これはこのあり方を検討ということなので,そのままでもいいのかと思いました。
 それともう一つ,これは質問ですが,この箇条書きに出ている項目というのは,資料5の中段と下段にあります具体的な推進方策というものがそのままここに出ていると思うのですが,なぜか一番右下のアートマネジメント人材等の積極的な活用の促進,資料5のほうの下の2つが,この骨子の箇条書きには含まれていません。
 それから骨子の箇条書きの一番下に,劇場・音楽堂等におけるアートマネジメント人材等の専門職員の配置を推進というのが一番下に来ているのですが,資料5のほうでは,右下の3の(2)ですね。これは何か一番上なんですよ。こういうのは順番が少し変わっているという,大変細かなことで恐縮なのですけど,突き合わせると少し違うのでその辺はそろえてはどうかなと思います。いずれにしても,期待と検討というのを,もっと前向きに変えてほしいというのが私の意見です。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。資料5は,これは見にくいですね。文字そのものもそうですが,グラフィック的に白抜きの○などは,上下見たら,明朝ぽくてもっと細字でよろしいかと思いますね。これも少し整理させてもらってもよろしいでしょうか。そのほうがきれいに見えると思います,すっきりさせて。
 はい,どうぞ。唐津委員。
【唐津委員】
 先ほどの活用のことと,それに関連して資料4のことについてなんですが,先ほど長官のお話のように,活用という意味合いを我々がどのように今回とらえているかというのも,かなり最初のほうにはっきりと明記をして,今回は育成だけではなく活用として,そしてその活用の中身,それについて取り入れたということが,今回の議論の非常に重要な点だということを最初にうたったらよろしいかと思います。
 それで,少し資料の見にくさというのもありますので,逆に資料4をもう少し充実させる方向というのも考えていただけないかなと感じます。これは,もう少し違う形だったものをすっきりさせたということを先ほど部会長のお話に,少しそのあたりは事務局にお任せするということで,私が少し今思ったことを幾つか話させてください。
 この図自体が,アートマネジメント人材と実演芸術家の人材育成のところだけが非常にピックアップされている形で,こういったものを育成し活用したことが社会に対してどのように影響力を持つのかというところの,一番上の部分だと思うんですけれども,そこが少し単なるタイトルのような形に見えてしまって,伝わりにくいという印象を持ちました。特に今,活用ということで,その活用していった結果どのような社会をつくっていくかという接続,先ほどのお話の接続の地点をもう少し何か目に見えるような形で,言葉でなくてもいいと思うんですけれども,例えば矢印,ここでも矢印というのが使ってあるんですが,それが一気に「文化に関する市場の発展」という少し経済的な形の言葉になってしまっていて,もう少し,何という言葉が適切なのかがわからないのですが,ここで今議論に一番出ている中核の部分が出てくるような形で書けないのかなと。そのために,ここは育成と活用というのが並列的に,人材育成のほうもそれからアートマネジメントのほうも出てきてしまうのですが,育成というのはやはり,中の人材の内側の方向で,活用というのは外側の矢印だと思うんですね。その辺ももう少し,ひとくくりの言葉にしてしまわずに,育成の方向と活用の方向がどちらを向いているかということ,社会のほうをもう少し向いているような表記の仕方にできたらどうかと。
 それから,アートマネジメント人材の「専門人材の育成・配置・活用」の部分で,アートマネジメント人材という言葉と舞台技術者という言葉しかないのですが,これを見たときにやはり専門家でなければどういった仕事をしている人たちなのかということが少しわかりにくいかと思いますので,もう少し例えば企画・制作だとか,広報だとかという3−2の文章の中に出てくるような言葉の中で,主要な単語をこちらに入れていただいたほうがわかりやすいかと。これについては,例えばお稽古事だとか,それから学校というところも同じでして,私たちは舞台芸術人材というのがどういった人材なのかというのが一応わかった上での議論になっていますが,これを例えば地方行政が見たときに一目瞭然で,例えば演劇だとか,それから舞踊だとか,音楽だとかということを表しているということがわかるように,もちろん絵で工夫していただいてはいるのですけれども,文字としても出てきたほうがわかりやすいかと。
 それから,実演芸術家等の人材育成のところは,お稽古ごとからトッププロというところの段階的に書かれているのですが,アートマネジメント人材については,ひとくくりになってしまっています。これも非常に,やはりステップアップというかキャリアアップというようなことも問題に出てきていますので,そういった地点をもう少し現場の研修レベルから,最終的にはどういったところまで目指していくのかというところの段階を少し分けていただいたほうがいいかと思います。
 あともう一つ追加で,全体の要というところで,本文にも出てくるんですが,アートマネジメント機能を持つという言葉が出ているのですが,大学においても劇場においても,それから多分,実演芸術家の方々においても,そういった視点というのは非常に重要になってくると思います。これは議論の中で,芸術家自体が社会にどのように貢献していくのかという視点が抜けているというお話もあったと思うので,このアートマネジメント機能というものを皆さんが持つということですね。人材を育てるという意味だけのアートマネジメントではなく,社会的な機能としてそういったものを持つというような視点を要の部分で何か表記していただけたらわかりやすくなるのではないかと思いました。
【宮田(亮)部会長】
 少し要約させていただきますと,「文化に関する市場の発展」というところは,アートマネジメントも含め実演芸術家等も含め,人材を育成することによって社会に還元する,あるいは貢献するということによって,社会のいわゆる文化芸術が大事だということを言いたいと考えてよろしいですね。わかりました。
 この文化に関する市場の発展という,この矢印は不要ですね。これはもう一つ社会還元にするような感じのほうがいいですね。選抜という,これも気になりますね。これも自然にセレクトされてきているわけですから,文字ではなくてこの間,ふるいという言葉に対して云々というのがございましたので,点々かなんかで十分ではないですか。
 山脇委員,どうぞ。
【山脇委員】
 すみません,私が最初のほうの議論にいなかったものですから,今さらのことを言って申しわけないのですが,17ページの「実演芸術家等を活用した文化芸術に関する教育の推進」のところですが,私は舞踊を本当に小・中学校でやる必要があるのだろうかという根本的な疑問を持っております。つまり舞踊家の育成は早いうちにやったほうがいいとは思うのですが,いわゆる初等教育,普通の学校で舞踊などをやる必要があるのかどうかというのは少し疑問を持っています。これはそれこそ実演芸術家を活用するために仕事場をつくる,そのために学校で舞踊とか演劇とかをやらせようという,ここはそういうことですか。その仕事場をつくるためにという,何かそのように読めるんですが。
【宮田(亮)部会長】
 清水課長,それはどうですか。
【清水芸術文化課長】
 この部分については両方の意味があったかと思いますけれども,そういった実演芸術家が舞台の上だけではなく,教育の現場でも舞踊の方あるいは演劇の方,もっと活躍していただく場をつくっていくべきだという議論が1つはありました。ただ,この意見につきましては,新国立劇場の牧先生がヒアリングで来られた際に,そういった舞踊家の方が教育に入っていくということの1つの効果として,バレエなど舞踊の基礎といったものが小学校の例えばそういう保健体育の授業などで,そういうような舞踊家の方が指導することでもって美しい姿勢をつくっていくとか,そういう将来の子供たちの心身の発達にも有効ではないかといったようなご指摘もございまして,牧先生のそういうご発言などを反映して,こちらの提言の文言としてはまとめたところでございます。
【山脇委員】
 これは本当に必要ですかね。
【宮田(亮)部会長】
 はい,どうぞ,三林先生。
【三林委員】
 私は必要だと思う1人でございますけど,今,姿勢が悪くて,歩き方も悪い,そういう舞踊までいかなくても,せめて小・中学校でそういう,保健体育ではそれを教えていないんですよね。姿勢が悪いと言われるけれども,どこでも正しい姿勢はどういうものかというのを教えてもらえなかったという子供がすごく増えております。保健体育で体育の授業としてそういう,歩くという,行進もできない,足踏みもできないというところで,そういう教育が,体育の教育がどのようになっているのかわからないのですけども,それでは,音と同時にダンスというのは,歩くということが基本だと思いますので,牧先生ができるだけ子供の時分からやったほうがいいということは私も賛成をした覚えがございますので,これは外してほしくありません。
【山脇委員】
 姿勢がきちんとするということは,本当に大切なことだと思いますし,姿勢がいいか悪いかというのは,その後の人生の健康を左右することでもあると思いますが,舞踊ですか。
【三林委員】
 その舞踊の先生にも寄ると思います。そこまで骨格から説明して,正しい姿勢,正しい座り方,正しい立ち方,正しい歩き方ということから入れる舞踊の先生が果たして何人おられるかということが問題なのです。そういう先生でないと意味がないのですけども。教えても,ただ音楽に合わせてこんなこと,お遊戯みたいなことをさせるだけでは意味がないということを含めて,非常に難しい深い問題になると思いますけど,今の段階では外してほしくないです。
【山脇委員】
 体育の授業数はどのくらいあるのでしょうか。
【玉井長官】
 もと体育課長としてお答えいたします。
 体育の授業はたしか週2コマから3コマぐらいで,今度新しい指導要領に改定いたしまして,そのときに,主要教科とともに体育を重視していますから,時間数を今増やしております。本当の基礎的な身体能力を整えていくというのが体育の基本的な考え方でありまして,よく,なぜ逆上がりをさせるのだと言えば,それは非日常的な身体活動を体験させるというのが,あの年代にものすごく大切なものですから,実はやっているわけであります。
 ですから,ここで言う演劇にせよ,演劇は多分,体育というよりは,むしろコミュニケーション活動ですね。コミュニケーションの力をどのようにするのかとか,あるいは感性をどう磨いていくかというかに多分意味があるでしょう。舞踊は多分,感性とそれと身体的な基礎的なところにかかわってくるでしょう。だからそれは,基礎は多分どこかに共通するものがある。ただ,それを舞踊そのものとか,あるいは演劇そのものというのは多分,基礎教育のところではそこまでではないのだろうと思っておりますが,ただ,そこに通ずる本当の共通する基礎的な部分というのは,お互いに共通した部分があるし,それをうまく,活用することはあり得るのではないかと受け止めています。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございました。
 田村委員どうぞ。
【田村(孝)部会長代理】
 私も同じで,やったほうがいいと思っています。というのは,先日もアウトリーチを実施したのですが,今の小学生は真っすぐ立つということすらできないそうです。揺れてしまうそうです。これが現実で,それは言葉で伝えてもできないことで,体からきちんと叩きこまなければ育たないのではないかという話を伺いました。
 ですからすぐ座ってしまう。何とか座りってよく言いますけれど,そういう状態のようです。
 それともう一つ,舞踊,ダンスというのは,体による表現だと思うのです。日本人は,表現力に乏しいとよく言われます。言葉や音楽と同時に,体による表現力は育成する必要があるのではないかと。特に国際社会に出ていったときに,歩く姿だけでも美しくなってほしいと思います。そういう意味でもあったほうがいいと思うのですが。
【三林委員】
 立ち居振る舞いという言葉があると思いますが,振る舞いというのは,振りと舞いなのです。舞踊から来ていると思います。やはりそこに,今の日本は家庭でしつけられない,大変崩れてきている中で,その1つの振る舞いという日本語に置き換えると,大事な教育ではないかと私は思います。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。
 要するに,アートマネジメント並びに実演芸術家を育てることによって,具体的にはその舞台やそういうもので,芸術が出てくること以外の波及効果として,小さな子供たちをも非常に正しいという言葉は正確ではごさまいせんが,すてきな子供たちができあがっていくというところまでの波及効果があるというふうにとらえているというのはいかがなのでしょうか。そのときに,舞踊家という言葉だけに限定するのはいかがなものかというのは,私もずっと聞いていて感じましたけれども,その中の1人に舞踊家があるということは決して悪いことではないのかという気がします。どうでしょうか。
【三林委員】
 先ほど田村委員の,3つに分けて資料5をもっとわかりやすく書いていただいて,資料5を見たら,これは,もっと詳しく読もうと思ったらここを読めばいいだわということがすぐにわかって,しかもかつ,それを見たら読みたくなるようにこの資料をつくっていただけたら,うれしいなと思います。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。やればやるほどどんどん,どつぼに入っていくというのがよくあるパターンなのですけれど,特に骨子に関しては一番最初に田村先生がお話しになったように,段落を3つに分け,しかもそれに,米印のナンバリングを打って,それは次のここにありますよというような丁寧な部分というのは必要かもしれません。そうやってぐいぐい引っ張り込んでいって,最後気がついたら全部読み終わってファンになっていたと,動いたというふうになっていくような報告書が必要だと思いますね。ありがとうございます。
 私もずっと何回も読ませていただいていてつくづく思うのですが,少し自分の仕事の部分で恐縮なのですが,なかなか私どもの実技教育というのはカウントされないのですね。されにくい。科学技術等々なんかにおいては,例えば科学研究費などを取得するにしても,数値に表れない世界で非常に苦労しているものですから,それで大学として成り立たなければならないということで,運営費の交付金までに反映するかもしれないということを言われる。「てやんでえ」と言いたくなる部分というのは多くあるわけで,そういう意味でこの報告書というのは,すべて私どもの大学の中にも振り返りながら作成させていただいている感じがするんで,いい報告書になってもらいたいなと思っております。どうでしょうか,
 宮田委員,どうぞ。
【宮田(慶)委員】
 すみません,先ほど出ていました,国際競争とかの文言についてなんですが,骨子の○の3つ目の頭のところに出てきますね。「今後舞台芸術をさらに発展させていくためには,競争に基づいて優れた才能を持つ者を育成するとともに」という,ここに競争に基づいてという,我々が色々審議を重ねてきた中で,ここに至った経緯というのは何となくつかめるのですが,いきなりお読みになった方が,競争に基づくというのが,どうしても芸術と競争というのはなかなか。確かにコンクールという形で優れた芸術家たちというのは選抜されてくるわけですけれども,それがやはり競争なのかということに対する,ノッキングを起こすということと,それと関連いたしまして,これの9ページの第2章の基本的な考え方の(2),8ページの下から始まっています「基本的な課題の認識」の中で,最初の○はオーケーだと思うんですね。貴重な資源であるということと,社会使命を十分理解しなくてはいけない。その次の,9ページの上の方に入っています○ですね。「そのために」からスタートする,これはよく読んでもなかなかわかりにくいのですが,すみません,私がここのところを,後半に少し出席をさせていただけなかったこともあるかもしれないのですが,「目利きにより」というのが難しいなと思ったり,それから「多くの競争者の中から国際競争力のある育成対象者を選抜する一方」と。もしそうなった場合に「研修に集中できる諸条件を整備」行うって,具体的なイメージが浮かんでこないですね。
 それから,「才能を持つ者がオーディション等を経て出演機会を与えられた場合には」,オーディションによる出演の機会というのは,オーディションを行うというのは,今はいわゆる民間がやっているわけで,これをどうサポートしていくのだろうということだったり,少し,割と具体的にはどういうことなのかなという,かなりこの文言は悩みます。
 それと同時に,今回非常に論議が多方面に活発に行われた結果だとは思いますが,トップを上げるという発想と,それから恐らくそのアートマネジメントを行って全体をどうイメージを立ち上げていくかで,立ち上げていくために確かにトップの芸術家がアートマネジメントによって色々なところに行って,より近しく優れた芸術,本物の芸術という言い方もありますけど,優れた芸術を見てもらう方のためにもトップは必要なのだということで,確かに両方に行かなければいけないのですけれども,ここの関連がもしかすると少し見えにくくなっているのかという印象があります。
【宮田(慶)委員】
 どうしましょうね,この文言。何かいい方法がないかなと思うのですが。
【宮田(亮)部会長】
 少しここのところ,生々しく具体的過ぎて。
【宮田(慶)委員】
 かもしれないですね。
【宮田(亮)部会長】
 少しカットしてもいいかもしれませんね。
【宮田(慶)委員】
 そうですね。何か思い切って削除してしまう方向もあるかと思いますのですが。
【宮田(亮)部会長】
 そうですね。はい,ありがとうございます。
 米屋委員,どうぞ。
【米屋委員】
 少し細かいことなのですが,見え消し版の最終ページ,「積極的な顕彰の実施」のところの2行目,「アートマネジメント人材等が魅力的な職業人の1つである」は,職業であるのではいいのではないかなと。ここも,アートマネジメント人材等の中には,アートマネジメントに従事する人と,舞台技術者と両方入れているかと思いますので,1つというのも変ですし,少し言い回しとしておかしいと。
 これに関連してなんですが,27ページの(2)の見出しが簡潔になったこともありまして,これは一昨年の議論でしたので,そのときにも確認していたかと思いますが,国の施策はどうしても劇場・音楽堂等という中で,劇場・音楽堂に今は傾斜していて,それはそれで構わないんですけれども,芸術団体はどうなのかといったときに,これも十把一絡げになっていますし,この文章を読んでいると,舞台技術者は劇場・音楽堂等にしかいないのかというように思われるかもしれませんが,実際にはスタッフは会社に居たり,芸術団体に所属して居たりと,非常に多様な立場の方々がおられます。今回そういったところをあまり細かく議論しておりませんでしたけれども,報告書に反映させろということではありませんが,実際にはアートマネジメントの現場である場所が多様であるということや,舞台技術者が働く形態や立場も多様であるということを踏まえて,今後の施策につなげていっていただきたいなということを少し確認したいと思います。
 それともう一点,14日の会議に私も参加したのですが,そのとき確か吉本委員が確認されていたかと思いますが,この議論が現代舞台芸術に限ってまとめたものであるということと,それと実は美術やほかの分野もあるのに,実演芸術に限ったのだという注釈をどこか注でも入れておいてほしいというご希望があったかと思いますが,それがこの見え消し版の2ページの*3になったのかと,どうなのかなというところを,確認したいと思います。
【宮田(亮)部会長】
 清水課長,どうぞ。
【清水芸術文化課長】
 今ご指摘の2ページのところですけれど,ご指摘のとおりでございまして,舞台芸術の中でも,能楽・文楽・歌舞伎等の伝統芸能に関しては今回対象にしなかったというのは本文で述べますとともに,美術等に関してもアートマネジメントは重要なわけですけれども,今回は舞台芸術に限定したというのは表題にも出ているところでございますので,実は注の3という形で対応したという案をつくったところでございます。
【宮田(亮)部会長】
 そうですね。今回は特化しているということですので,その文章が入っているわけでございます。
【吉本委員】】
 そうであれば,この*3のところがアートマネジメントだけになっているので,何か美術家というのは考えなくていいですか。芸術家の中に舞台芸術家がここでは入っているわけですけど,美術家というのもいるわけですね。あるいはもっと言えば,写真とかそういうビジュアルアーツ系の人たちが多くいるので,そういう人たちの人材育成というのも重要だということもあると思うので,そのニュアンスをもう少し入るようにしていただけたらと思います。
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございます。
【高萩委員】
 最初のほうに田村(孝)さんが話された,提言の骨子を3つに分けるのは僕は良いと思います。先ほど,吉本さんが言ったことと少し重複するかもしれないのですが,基本的に資料5の具体的な推進方策がこっちに入って,提言の骨子になっているんだと思うのです。そうすると法的整備と話された田村さんの部分がかなり少ないんですよね。真ん中のところと最後に2つ出てきているだけです。資料5の最後の具体的なアートマネジメントの一番最後のところですけど,アートマネジメント人材等の積極的な活用の促進というところに,「国は施策点検や制作誘導によりアートマネジメント人材の育成等を図る」と書いてあるので,ここにアートマネジメント人材だけではなくて,実演家芸術等とかを入れて,育成を図り活用するというようにならないでしょうか。活用というのは最後になってもう一回お話しするかと思いますが,「活用を図る」みたいなことと,「その地方公共団体の取り組みが重要」というのをここら辺を入れて,少なくとも3つでなくて4つぐらいはその法的整備というグループの中にしっかり位置づけられるようにしていただければと思います。
【宮田(亮)部会長】
 山脇委員どうぞ。
【山脇委員】
 宮田先生がさっき宿題になさった資料4の絵なんですが,何の他意もないことはよくわかっていますが,実演家全員女性で,劇場・文化会館とかマネジメント側が男性なので,これいかがなものかと思います。
【三林委員】
 そういえば,そうですね。
【宮田(亮)部会長】
 びっくりですね。このようなご発言もいただきたいと。
 池野委員どうぞ。
【池野委員】
 こういった公的な資料の作法ということについて無知なのですけれど,今回のこの「舞台芸術人材の育成及び活用について」という宮田先生のこの宮田亮平という名前,個人名でこういったメッセージが出てきたのは,実に画期的なことだと思います。それまでの無記名の文章を見てもあまり読みたいと思わないものが,宮田先生という個人名が出たことによって,一挙に何だろうと読む気になるというところで,すごくよかったと思います。どうせならこの文化審議会文化政策部会長宮田亮平というのをこの「舞台芸術人材の育成及び活用について」のその下に入れたほうがよろしいのではないでしょうか。
 最初にだれが書いているかわかったほうが,より一層読む気になると私は感じました。だれが書いたのかわからない,顔が見えないということでは,やはり読む気というのは起こらないと思うのですね。本当に新聞なんかでも今は新聞記者の方が署名で書かれていると,こういう個人が書いているのだということがはっきりわかる。行政で何か公的な文書を出そうとしたときに,必ず個人名は消すという,それはやはり何か,悪くとらえて責任を回避しているような印象を受けます。そうではなくて今回この会議でも,だれが言い出したのかわからないということではなくて,ここで宮田先生の名前が打ち出されているということが重要だと思います。
 それで,今回この会議に出る前から新しく問題点として提起されたらと漠然と思ってきていたことに関連して,これを読んだ時点でいまだに釈然としない事柄があります。17ページから18ページにかけて,3番の「実演芸術家等の育成と活用に向けた環境の整備」ということで,実演芸術家等の主にその処遇の改善に関して4点ほど書かれているんですけれども,この中では実演芸術家というものの立場が今1つわかりません。特にその3番目の18ページですけれども,3番目の一般労働者と比べてという処遇の問題に関してなんですが,ここで文化芸術団体における処遇の改善を図るということになっていますが,その前提として文化芸術団体とそれから実演芸術家との関係性というのが少しわからないです。
 つまり,文化芸術団体そのものもある意味で実演芸術家の集合体でもあって,運命共同体のような関係であるところと,それから例えば法人格を有している団体というのは,一般会社組織と似たような,それに準じた組織であって,そこにおける実演芸術家というのは,ある意味労働者ではないかと思います。そうすると,その関係性というものを明確にすることによって,その労働者である実演芸術家に対する雇用や賃金という考え方に繋がっていきます。それから労働者であるなら,一般の労働者という考え方における最低賃金や健康診断の義務にまで踏み込んでいくべきだと思います。
 ところが,文化芸術団体における処遇といったときに,それは自ら実演する芸術家たちが自分たちで何とか自主公演を打つというところでの共同体であるのか,あるいは法人格があって,あるいは有限会社のようなところもあります。そういったところと,実演芸術家との関係性というものが,もう少し強く明確に打ち出されるべきではないかと思いました。
【宮田(亮)部会長】
 なるほど。清水課長お願いします。
【清水芸術文化課長】
 それでは,池野委員からのご指摘に関しては,確かに17ページの下から18ページにかけて書いてありまして,処遇の関係につきましては17ページの一番下の○のところで,むしろ実演芸術家の労働条件の整備という観点から提言していると考えておりました。ただ,実際には本当にさまざまでございまして,法人格を有しているかどうかということで必ずしも分けることはできないのかと思いますが,実際に民間の法人の形をとっている演劇の団体などもございますし,オーケストラなどは財団法人という形をとっているところが多いわけでございます。こういった場合には確かに社員としての位置づけをしていたり,あるいは一つ一つの公演ごとで契約をしていたりということはさまざまでございますけれども,法人という形でその運営するものとそれから雇用されるものといったような関係がある場合もあります。ただ,多くの芸術団体の場合には,法人格を持っていても社団法人という形で芸術の実演家の方が集まってやるという形態がかなり多いところでありますし,法人格を持っていない多くの芸術団体では,やはり運命共同体的な形でやっているところもあるかとは思います。ただ,色々な欠点はあるかと思いますけれども,やはり実演芸術家等の実際の生活を安定するというような観点から,この労働条件の整備等についてはその団体の側とそれから実演芸術家の側とで相談をして,またそれが文書,契約にできるところはしっかりと契約にしていくことでもって,安定して創造活動に打ち込めるようにしていってほしいというところを,この17ページの一番下の○で書いているというところであります。
 18ページに関しては,確かにこれは芸団協の調査等で労働条件として処遇の問題,指摘をされているところでございますので,前のその○のところを追加,補足する形でもってそういった労働条件の問題も含めて,処遇の改善といったことをより広く必要であると述べたと整理をしているところでございます。
【宮田(亮)部会長】
 三林委員どうぞ。
【三林委員】
 今,例えば「安定して創造活動に打ち込めるようにすることが重要である」という文章がここにありますよね。これを今,はい,このようにできました。この重要であるということに対して,どうするのかということはおやりになるのですか。これでおしまいなのですか。
【清水芸術文化課長】
 文化庁あるいは少し関連する分野では経済産業省なども出てくるところもありますけれども,少し舞台芸術から離れてしまいますが,例えば映画などの制作の場に関しては,そういう経済団体の側としてもモデルの契約書をつくってやっていこうという動きがございます。文化庁もそういったモデル契約書,モデルの契約の仕組みづくりといったことを,経済団体も含めて検討する会にオブザーバーというような形で,そういった動きについては支援をしているということがございます。
 それからあと,もう一つ,前のところに出てきました,文化庁の特別推進事業などの支援に当たりましては,団体からその公演の計画書などを出している中で,さらに芸術団体から出していただくわけでございますけれども,実演芸術家に対して公演に当たって一定のそういう出演料なりあるいは文芸費なりを支払っているのかということを確認して,優れた公演について支援するという形をとっておりますので,文化庁からの助成をする事業についてはしっかりとその団体と芸術家の間での正しい関係と言うのでしょうか,適正な形でもってなされるようにということを指導しているという形で進んでいくというようなところはあるかと考えています。
【宮田(亮)部会長】
 少なくとも昨年の私の概念ですが,アートマネジメントに対しての報告書を書かせていただいたときに対して,そして今度は人材育成で毎年階段を確実に色々な意味でも上がってきているような気がします。これをまたどんどん重ねていくことによって,本来あるべき日本の文化芸術政策そのものに対しての厚みが出てくると期待をしていくということですね。財務省まで行って,どんと予算をくれるところまで持っていかなければいかんという話なんですよ。そのための基礎づくりをしているのだというぐらいの感覚でよろしいですね。そういうことでございますので,三林委員どうぞ。
 やはりそのためには理論構築ができあがっていない,それから現場からの意見が聞けていない,そんな論理ではいけませんよと言われたときに,そんなことはありませんよ,ここにあるではないですかという話をする材料と私は考えております。
 先ほどの活用の話,それはやはり前後関係のうまくバランスがとれていれば,活用も決して上からではないという部分もございますので,全体を読んでいただければ。部分的には確実に山脇委員のお話されたことは,私もちくっとすることはございました。この様式の中で使ってきた,それから舞踊家を小学生のためにというとき「家」だけではなくて「等」という部分も少し含ませたらいいのかなという感じも少ししております。それ以外のところでも色々と文章があると思いますが,いいご発言をいただきましたということに感謝したいと思いますが,どうですか最後,すべてを網羅することは不可能でございますが,いただいたご意見を確認しながら事務局と一緒に行っていきたいと思いますが,御一任いただけたら幸いでございますが,いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは,今月中に公表したいと思っております。
 今後の見通しを,事務局からお話しいただけますでしょうか。
【清水芸術文化課長】
 <今後の予定>
【宮田(亮)部会長】
 ありがとうございました。
 最後に玉井文化庁長官,ごあいさついただけますでしょうか。恐縮でございますが。
【玉井長官】
 本当にありがとうございました。大変刺激的な会話がここで重ねられたのかと,いかにも芸術文化という感じで聞かせていただきました。単なる議論ではなく,まさに問いかけ,答える,そしてその間に1人と1人の考え方がそれぞれ表れているわけでございますが,大変刺激的でございました。特に宮田部会長のその持って行き方はさらに刺激的でございまして,これがまた文化芸術の振興に大いに役に立っていくのではないか,そうさせていただきたいと,かように思っております。
 今まであまり踏み込んでいなかったこの分野についての1つの考え方を,こうやっておまとめいただいたと受け止めております。多分,まだまだなのだろうと,皆様のお気持ちは,やっととっかかりが始まったかなというお気持ちだろうと思いますけれども,私どもはこれを受け止めながら,次の一歩,次の一歩と,やはり積み重ねてまいりたいと,かように思っております。
 そして,報告書や審議会の答申となると,どうしても現実とのことを頭に入れながらになるものですからやや窮屈なことがございますけれども,できるだけ私としては,報告や答申などは前に出て,ただ,それが全部書いたのだから実現できないのはいかがかと言われると後がつらくなるものですから,そうすると報告が今度また寂しくなってしまうと。むしろ,少し前に出ていただきながら我々を引っ張っていただき,追いつけない面もあるかもしれないけれども,方向は向かっていると,このように進めさせていただければ大変ありがたいと,かように思っております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【宮田(亮)部会長】
 大変,先生方にはお忙しい中,ありがとうございました。感謝以外はございません。自分自身が実際の舞台に関しての専門家ではないものですから,先生方には大変歯がゆい思いをさせたことばかりではないかと思っておりますが,何とか皆さんのおかげで1つの報告書の最後の委員会ができたと思っております。感謝申し上げます。
 それでは,これにて散会したいと思います。ありがとうございました。

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