文化審議会第8期文化政策部会(第1回)議事録

1.出 席 者

(委員)

宮田部会長,田村部会長代理,青柳委員,小田委員,加藤委員,後藤委員,佐々木委員,里中委員,鈴木委員,高萩委員,堤委員,坪能委員,富山委員,西村委員,浜野委員,増田委員,山脇委員,吉本委員

(事務局)

後藤政務官,玉井文化庁長官,合田文化庁次長,戸渡長官官房審議官,清木文化部長,関文化財部長,松村文化財鑑査官,大木政策課長,他

2.議事内容

【大木政策課長】
 ただいまより文化審議会文化政策部会,第8期になりますが,第1回の会合を開催いたします。
本日は大変ご多忙の中ご出席を賜りまして,まことにありがとうございます。
 私は文化庁政策課長の大木でございますが,本日は何分最初の会合ということでございまして,後ほど部会長を選出いただく必要があるわけでございますが,それまでの間,便宜的に私が議事を進めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は当省政務三役より後藤大臣政務官が出席いただいておりますけれども,後ほどごあいさつを申し上げる予定にしてございますので,よろしくお願いいたします。
 初めに第8期文化政策部会の委員の方々をご紹介させていただきます。資料1をごらんいただきたいと存じますが,その順番でご紹介を差し上げます。

《委員紹介》

続きまして,本日会議に出席しております文部科学省の関係者をご紹介させていただきます。

《文部科学省幹部紹介》

それでは,部会長と部会長代理の選任に移りたいと存じますが,人事につきましては,非公開扱いでございますので,申しわけありませんが,一般の傍聴者の方々は一旦ご退出をお願いできればと思います。

(傍聴者 退出)

※ 部会長に宮田委員,部会長代理に田村委員が選ばれた。

(傍聴者 入室)

【宮田部会長】
 それでは,まず本部会の概要について,事務局から簡単な説明をいただいて,部会の運営に必要な事項としての文化政策部会運営規則,議事の公開につきましても,決定したいと思います。それでは,事務局,よろしくご説明ください。
【大木政策課長】
 《資料2~資料7により文化審議会文化政策部会の概要説明》
【宮田部会長】
 ありがとうございます。今の事務局からの説明で,皆様からご質問等ございますでしょうか。 よろしゅうございますか。それでは,次に移らせていただきます。ありがとうございました。
 それでは,文化政策部会運営規則,議事の公開につきましては,配付資料の案のとおりで部会の決定としたいと思っております。よろしゅうございますね。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,大変お忙しい中,後藤政務官にお出でいただいております。思いのたけを。
【後藤政務官】
 ご紹介いただきました政務官の後藤斎と申します。きょうは本当にお忙しい中,総会に引き続いての先生方,また,今回初めて委員に就任していただいた先生方,文化政策部会の委員に任命をさせていただきました。ありがとうございます。
 実は,先生方ご案内のとおり,通常であればまだ第2次基本方針の途中であります。ただ,昨年の9月に鳩山政権がスタートをし,その後の事業仕分け,予算編成の中で,このままの基本方針をベースにした事業や予算でいいのかなというふうに,私だけではなくいろんな方からのご意見もいただき,ここはやはり文化政策部会で改めてきちっとしたご議論をいただきながら,鳩山政権のこれからの文化芸術政策をきちっともう一度抜本的に詰め直していただきたいということで,総会において大臣から包括的な諮問をしたところでもございます。
 文化芸術というのは,もちろん大切なものはだれでもが「イエス」と言うはずであります。ただ,それが本当に有機的につながっているかどうかというのは,私もこの4カ月間,自問自答しながら,もう少し体系的にいろんな予算や事業を整理していったほうがいいのかという思いがございます。予算も史上最高で文化庁予算がご案内のとおり1,020億円ということになりました。国が基本的に決めることは,予算をある程度きちっとつけ,さらにはいろんな法律に基づいて仕組みをつくるということがベースだと思います。地方自治体の長の方にも改めてご案内をし,この委員に入っていただいていますが,地方自治体の文化芸術予算が,おおよそ3,000億円強あるのは先生方ご案内のとおりであります。
 文化芸術行政をこれから日本国としてやっていくときに,国や地方自治体,またNPO等の民間も含めた各種団体との有機的な連携というものがどうあるべきか,議論をもう一度整理していただいて,これからの新しい鳩山政権としての文化芸術行政の大きな方向性を出していただきたいということで,今回,本当にお忙しい中でありますが,部会長はじめ皆さん方に今回のことを,諮問を踏まえての議論をお願いしているというふうに,私自身は皆さん方にあえてお話をさせていただきたいということであります。
 例えば,アメリカでは日本よりも文化芸術予算は若干少ない,900億円強でありますし,フランス国では日本の4倍である4,000億円が文化芸術予算と。予算の高低で測れないとは思いますけれども,本当に予算をつけなければいけないものがどんなものなのか,それがまた国か地方自治体か民間かという,その役割分担をきちっとした形で,先生方の見識とご経験の中であるべき姿というのを深めていただきたいということであります。
 諮問の中で大臣もお話をしましたが,できるだけ夏ぐらいまでに中間報告を部会長はじめ先生方にお願いできれば,平成23年度の予算に反映できるものはできるだけにしておこうと思っておりますし,また1年という任期の中で,翌年以降の法体系の整備や予算に生かすということで,後ほどご説明があるかもしれませんが,特に3月はかなり目いっぱいお願いをするような工程表になっているようであります。
 そんな中で,それぞれの専門分野の見識と,また,必要に応じて専門委員という制度もあるようでありますので,そういうお願いをしながら,私個人的に思うのは,大平内閣の田園都市構想の文化政策以上の思いを先生方にまとめていただきたいということをお願いし,本当であれば大臣がきちっと皆さん方にお願いをすべきでありますが,きょうは予算委員会に呼ばれておりまして,大変恐縮ですが,私が代理でごあいさつをさせていただきました。
 私自身もできるだけ参加をして,議論に加わりたいと思っております。今後益々,委員の皆様の活発な議論がなされますことを,部会長はじめ先生方に改めてお願いをして,ごあいさつにさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 ただいま後藤政務官からごあいさつがございましたが,この前にこの場所で12:00から開催されました文化審議会第50回総会において,川端文部科学大臣より文化審議会に対して,「文化芸術の振興のための基本的な施策の在り方について -「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次)」の策定に向けて-」の諮問が行われました。また,文化政策部会において,この諮問内容について審議をするよう決定されたところであります。そこでまず,私のほうから大臣からの諮問理由についてのご説明と,今後の議論の進め方についてご提案をさせていただきたいと思います。
 まず,文部科学大臣からの諮問理由についてご説明させていただきます。お手元の資料8をごらんください。理由は大きく分けて3つございます。国の政策としての文化芸術振興の意義,2番目として,文化芸術振興のための基本的な視点,3番目は文化芸術振興のための重点施策,この3つでございます。それぞれについてのポイントをちょっとご説明させていただきます。
 まず,1の国の政策としての文化芸術振興の意義でございますが,3つ上げさせてもらっております。芸術文化振興,文化財保護は国民にとってどのような意義をもつか。2番目として,国が公共政策として文化芸術を振興することはなぜ必要なのか。3番として,社会に挙げて文化芸術を目指す上でどのような取組が必要なのか等について諮問がございました。
 次に,(2)の文化芸術振興のための基本的視点につきましては,1として,第2次基本方針を検証・評価した上での我が国における文化芸術振興のための基本的な方策。2として,「ソフト」と「ヒューマン」に軸足を置いた文化芸術振興の基本的な方向性。3番として,文化芸術振興を担う各主体の役割等についての検討が求められております。
 そして,最後に,(3)の文化芸術振興のための重点施策につきましては,1,芸術文化及び文化財保護の分野ごとの振興策。2として,人材育成の在り方。3として,文化発信と国際交流の推進方策。4として,文化芸術を振興するための新たな手法の導入についての諮問がございました。
 今後の審議の進め方について少し語らせてください。今後のスケジュールにつきましては,文部科学大臣から平成23年度の概算要求にある程度反映できるよう。ということになりますと,必然的に夏前に中間的な報告を行い,最終的な取りまとめはさらにその1年後を目標にするということでございます。夏前ということでございます。相当厳しゅうございます。お覚悟の上ひとつよろしくお願い申し上げます。
 こうしたスケジュールを踏まえて,今後の審議の進め方としては,本日第1回目の部会では,総論的に文化芸術の振興の在り方についてご議論いただいて,第2回目以降は諮問理由の(1)から(3)それぞれについて精力的に審議を進めてまいりたいと考えております。既に事務局より委員の皆様のご都合を伺いましたが,3月の日程は資料11のとおりとさせていただきたいと思います。言っている自分もつらいのですけれども,3月はご多忙とは存じますが,ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。
 各部会では,限られた時間で効率的に審議を進めていくために,委員の皆様から本日と同様に,事前にご意見を書面にしてご提出いただいた上で,部会ごとに数名の委員に意見発表をしていただき,効果的な審議が行われるのではないかなと考えております。部会の委員で数回審議を行った後に,外部から文化芸術団体や有識者樣をお呼びしてヒアリングを行っていくことも,審議を深めるためには必要であると考えております。
 このようなことでございます。少しお時間をいただきまして,皆様からご意見等をいただきたいと思っておりますが,いかがでしょうか。
 今の段階では,なかなか出にくい部分もあると思いますので,適宜,質問にはお答えできることはございますけれども,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 それでは,時間も少し押していますので,この諮問を議論の前提として,第2次の基本方針の重点事項の進捗状況と今後の課題について,事務局より説明をいただいて,またいろいろとご議論というのでよろしゅうございますか。
 それでは,すみませんが,事務局のほうから説明をしてください。
【大木政策課長】
 《資料9により第2次の基本方針の重点事項の進捗状況と今後の課題について説明》
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 さて,これから少しお時間をいただきまして,事務局の説明並びに大臣からの諮問の内容等々につきまして,全般で結構でございますので,時間を制約して恐縮ですが,4分程度で先生方から忌憚のないご意見を頂戴したいと思いますが,いかがでしょうか。
 加藤委員,どうぞ。
【加藤委員】
 今回初めて参加させていただいたので,極めて初歩的なことを申し上げるかもしれませんが,2つ,今後の審議の進め方についてお願いというか,確認をしておきたいところがあります。
 1つは,諮問をされた側の政務官がいらっしゃらなくなったので,後でご確認をお願いしたい点です。一般的に諮問に対する答申というのは大変立派なものができたというので評価はされるのですが,そのままたなざらしになる,あるいは実行を検討されない場合がしばしば見受けられるように思うので,ここはそういうことがない,答申項目の実施の可否は大臣がお決めになればいいと思いますが,ぜひ具体的な検討をしていただきたい。それをぜひ諮問した側が約束をしておいてほしいという点が1点でございます。
 それから,もう1点は,それと関連することですが,実行可能な答申だけを出すのではなくて,意見が出たものについてはできるだけ幅広く,もちろん表現の整理はあるかと思いますが,具体的に実行の可否について,答申の後に政治的にご判断されればいいと思うのですが,一見実行が難しいようなものについても,新たな提案についてはぜひカバーをしていただきたい。これは事務方にぜひお願いをしておきたい点ですが,概してこれはできないと,事務方で判断しないでいただきたい。到底実現できないから,表現を変えようとか,整理整頓が行き過ぎて,抽象的になりすぎ結局何を言っているのかよくわからない,という答申の仕方をしないでいただきたい。その点をぜひお願いしたいと思います。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 私もこの会議に出させていただいて何年かなりますが,相当発展していますね,長官。徐々にではございますが。そういう意味では,加藤委員,今までの中でいろいろご苦労があったことがしみ出ているような感じのご発言に感じますので,その辺は心して動いていきたいと思っております。
 事務局のほうもひとつよろしくお願い申し上げます。
 ほかにございますでしょうか。全員ご発言いただくつもりでございますので,ぜひどうぞお願い申し上げます。
 はい,どうぞ。
【小田委員】
 私もきょう初めて出席をさせていただきまして,大変初歩的な基本的なところをご質問させていただいて恐縮でございます。ご案内のとおり,最近経済指標というものが,GDPを含めて出ておりますけれども,できますれば,文化度,文化指標といったものがあらわせるような方策というものが見いだせないかなという思いをいたしております。経済も大事です。しかし,文化芸術活動というのは我々の生活に潤いと喜びと感動をもたらしてくれる,大事な心の要素だと思っております。それを文化度みたいな形で何とかあらわせるようなものが見いだせないかなということで,素人ながらにそんな思いをいたしておりますので,そういったことを何とか指標として整理できるようなものが確立できればという思いをいたしております。
 と申し上げますと,すべて数字によってあらわせて,指標によってこうだということは一方ではよくわかるのですけれども,その気持の度合いをどのように表現し,どのように対応していくのか,きょうは各界のいろんな先生方がお集まりかと思いますので,そういうことを模索するといったことも将来必要な課題ではないかと,そんな思いをいたしているところでございます。
 きょうは少し問題提起というようことで申し上げておきたいと思います。以上でございます。ありがとうございました。
【宮田部会長】
 せっかく書面によるご意見を出したのだから,一言いかがですか,あまり長くなくて。
【小田委員】
 ただいま申し上げました,京都は長岡京市の小田でございます。今回こういったことで文化審議会の臨時委員としてご推挙をいただき,発言をさせていただく機会をいただきましたことに,改めて厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 ここで長岡京市のコマーシャルを少し入れさせていただきますと,ちょうど大阪と京都の中間点に位置しておりまして,大阪の中心地であります梅田まで約30分,京都の中心地の四条河原町まで約10分という交通の便に恵まれた地でございます。そういった中で,私は,緑と歴史と,そして,先端産業のあるまち長岡京市,こういうことでまちづくりを進めさせていただいております。私は,文化そのものはまさに我々の生活,暮らしの延長だと思っているところでございまして,今を生きる我々が文化の振興をさせていただく。それによって品格のある,落ちついたまちづくりというものを進めていくという展開をさせていただいております。
 そして,これまでの文化,まさに文化財を象徴するように,文化財を中心にした新たな展開をもっていく。そのためには,先ほどもお話が出ておりましたけれども,諮問事項の中にございました単なる文化財,文化という視点も非常に大事な視点でございますけれども,そういった点を今の市民の皆さん方に点から線へ,線から面へ,ネットワークを図りながら,文化度を上げていく,文化振興を図っていく,こういうことが非常に重要な視点ではないかという思いをいたしているところでございます。そういった視点からひとつやらせていただきたい。
【宮田部会長】
 その辺までで…。
【小田委員】
 わかりました。まあ,そんなことで長岡京の都が置かれたところでございまして,そういったことを一つ文化の振興を要にして図ってまいりたい。ぜひ先生方のご指導とご教授をいただきますように,よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 古い都長岡京,いい名ですね。そこで新しいものをということで。ありがとうございました。
 皆さんもぜひ,こういうチャンスがありましたら,どんどん言ってください。そういうことからヒントが得られることがいっぱいあると思います。ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。増田委員,お願い申し上げます。
【増田委員】
 バラバラの意見でも構わないのですね。
【宮田部会長】
 きょうは第1回目でございますので,いろんなご意見があったほうがよろしいかと思います。
【増田委員】
 今までにも文化芸術振興についてはいろいろと討議が行われて,この成果も部分的に出ているようなのですけれども,今,長岡京の市長がおっしゃったように,文化関係というのは登録文化財でさえ最低50年と言っているのですね。非常に長期にわたらないと成果とか結果というのはなかなか出てこないことなので。それを,文化度を数字でというと,つい3年でどのぐらいとか5年でどのぐらいという,私たちにとっては非常に短期な,10年が長期なんて言われるとびっくりしちゃうような,我々にとってはそういう方向にいくのは非常におそれるのですけれども,こういうことに関しては一般経済指標のような期間で測るのではなしに,登録文化財のように60年とか,そういうかなりの長期を,一般的な常識から言えばかなりの長期をもっていつも行っているのだという,評価についてもそういう観点からしかなかなか評価できないのだということを,強く言っていただきたいという感じがするのです。
 まずはそこのところだけ。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 はい,鈴木委員。
【鈴木委員】
 浜松市長の鈴木康友でございます。私も初めて参加をさせていただきまして,15:30ぐらいに退席をさせていただきますので,少しだけご意見を述べさせていただきたいと思います。きょうは大きな視点で2点お願いをしたいと思います。
 1つは,それぞれその自治体も,今,長岡京市の市長様からお話ありましたけれども,かなり個性をもって文化振興活動をしているので,これからの国の大きな役割としては,こうした自治体の活動を側面的に支援していくということに力点を置いていただきたいなと。例えば,浜松は今一つの都市ビジョンとして,「市民協働で築く未来へ輝く創造都市浜松」というのを掲げているのですけれども,そのベースは音楽でございます。
 ご承知のように浜松はヤマハ,カワイ,そして,電子楽器のローランドと,世界三大楽器メーカーが集積している地でありまして,楽器のまちという特性を使って,今,音楽のまち,そして,音楽の都へということで,市が主体的に行う事業として昨年実施しました。3年に一度ですけれども,浜松国際ピアノコンクールでありますとか,さまざまな音楽活動,または市民ベースのさまざまな活動もされているわけですけれども,そうしたことをベースに,今,ユネスコの創造都市ネットワークへの加盟活動に取り組んでおります。それぞれ都市の特徴に応じた文化活動をやっておりますので,そういうものをぜひ国として大いに支援をしていただきたいということ。
 それから,私は市長になる前に国会議員を5年やっておりまして,先ほどの後藤政務官と同期でございます。国会活動をしていたときいつも感じていたことは,省庁の縦割りの問題なのですね。先ほどご説明をいただいた基本方針の中に他省庁にかかわる問題というのがあると思うのですね。例えば,在外公館なんかを積極的に活用するというのは我々にとっても大変ありがたいなと。
 昨年,浜松でモザイカルチャー世界博という,花と緑の国際博覧会をやったのですよ,モザイカルチャーというのは花と緑で立体アートをつくるという新しい芸術なのですけれども。国内外80を目標に,最終的には91の作品を集めたのですけれども,特に国外の作品を集めるのに死ぬ思いをいたしましてね。浜松のような単独の自治体で国外から出展を要請するというのは至難の業でございまして,私もいろんなネットワークを駆使して海外へも営業活動に行きました。
 そういうときに,国の機関がさまざまな応援をしていただければ本当にありがたいなということをしみじみと感じました。当然,こういうのは外務省がかかわってくることだと思いますし,あるいは,寄附金税制の話が出ていましたけれども,これも大事な課題でありますけれども,当然これは財務省がかかわる話でありますから,これは文部科学省の所管でありますけれども,他省庁へしっかりとこれを波及させていくということ,ぜひそういうことも視点に入れておいていただければなと思います。
 以上です。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 では,ほかにいかがでしょうか,先生方。では,五十音順でご発言いただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。
 青柳先生。
【青柳委員】
 資料9の最初のところで,日本の文化芸術の継承等々といって,「文化芸術」という言葉が使ってあるにもかかわらず,すぐその後で「芸術文化」というふうになっている。「文化芸術」というのは文化と芸術で,次が芸術文化なのか。その辺のターミングを教えていただきたい。
 それから,もし「芸術文化」ということにすると,我々の常識からすると造形芸術とか再現芸術とかメディア芸術とか伝統芸術とか,いろいろなものを含めて「芸術文化」というわけですけれども,この「芸術文化」の中では舞台芸術とかメディア芸術だけが取り上げられていて,それ以外の造形芸術とか伝統芸術とか,それがどこにいくのかわからない。それを後のほうにもってきて,文化財のほうに入れているのかどうかということ。その辺のターミングの整理がきちっとされていないのではないかという印象をまず持ちます。
 それから,第2点は,これは僕がいつか『読売』か『朝日』に書いておいたのですけれども,今,何々力という,「文化力」とか,「学士力」とかいう,聞き慣れない言葉を,例えば影響力とか,「影響する」という動詞だったら「力」がつくのですけれども,名詞に「力」をつけるのはあまりきれいな日本語ではない。こういう文化を審議するレベルでどんどん「力」を使うというのはいかがなものか。何かきめの細かさというもの,あるいは,もうちょっと積み上げたことが,もう少し必要なのではないかなという気がします。
 それから,先ほど増田さんがおっしゃっていたように,私もどちらかというと古いほうを扱っているものですから,それぞれの分野で時間の感覚というのは違うので,それをうまく組み合わせていくことが,メディアなどでは1年過去であれば古くなってしまうわけですから,そういうものもある。ですから,芸術文化というものを平面的にとらえるのではなくて,立体的にとらえて,なおかつ,それに時間枠を組み重ねて構築していくと,そういう構想力が一番に求められているのではないかなと思っています。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 文化芸術,芸術文化と,私もとても気になっておりましたので,ちょっとお時間いただいてよろしいですか。
【大木政策課長】
 これが皆様方から見てどういうふうに受けとめられるかは別といたしまして,私どもの用語の使い方といたしましては,文化芸術の振興に関する基本的な方針と。文化芸術振興基本法というのがあるわけでございまして,「文化芸術」と言った場合には文化財も含む概念として,文化庁全体の所掌事項をほぼ網羅するような形で使っております。「芸術文化」と言った場合には,現代物,新しいもの,文化財は入っておりません。したがいまして,文化庁文化部の中に芸術文化課というのがございますけれども,これは文化芸術課ではなくて,芸術文化課でございまして,まさに舞台とか比較的新しいものを扱っていると。文化財部はそれと別途にあると,こういう用語の使い方をしております。それが基本でございます。
 あと,全体的におかしなところがございましたら,ご指摘いただくとともに,美術の視点が入っていないとかいうことに関しましては,資料のつくりがまだちょっと粗いところがあろうかと思いますので,議論を重ねていただく際に,2次方針のレビューというのは当然もう少し緻密に必要になってまいりますので,その際にはもう少しきちっとしたものを,追い追いお出ししながら進めていただきたいと思っております。
【青柳委員】
 そうすると,「芸術文化」と「文化芸術」を英語に直すとどうなるのですか。
【大木政策課長】
 ちょっと思いもよらないご質問でございまして。すみませんが,ちょっと考えてみます。申しわけありません,即答できません。
【宮田部会長】
 これはまた議論いたしましょう。私も自分で結構勝手に使い分けているところがあるものですから,反省の意味も込めまして,ここにいる先生方は皆さん発信者でございますので,どこかでベースをつくっておくという点では大変よろしいのかなと思っております。
 さて,それでは,小田先生は今終わりましたので,後藤さん。
【後藤委員】
 埼玉大学の後藤です。よろしくお願いします。私は2点申し上げたいと思うのですけれども,一つは税制について,6ページのところに寄附税制などの充実を図る必要ということで,適用下限額を5,000円から2,000円にというふうに書いてあるのですが,税制による文化芸術の支援というのは,世界の中でも,アメリカはもとよりですけれども,ヨーロッパでも補助金が頭打ちになると同時にさまざまな税制によって支援をする。そのことによって民間の力を引き出していく,あるいは,個人の力を引き出していくということで,いろんなスキームが開発されてきています。
 日本の場合は主に文化財を中心として税制の支援が行われてきたと思うのですが,もう少し芸術文化のほうにもできることがある。例えばパリのピカソ美術館などは相続税の物納で一館の美術館が建ってしまったとか,それから,イギリスにおいても収蔵品をふやすために物納制度が使われているとか,さまざまなことがありますので,どんなことが可能かという,もうちょっと税制のスキームを検討して,さらに税制が有効に活用されるためにはどういう条件整備が必要かというところまで掘り下げてやらないと,税制だけがあっても必ずしもそれがうまく使われるとは限らないので,そういうことも検討していけたらいいなというふうに思います。
 それから,2点目なのですが,5ページのところにメディア芸術というのがございまして,ここに芸術文化というのはコンテンツ産業や観光の振興にも資するというふうになっておりまして,世界の中ではコンテンツ産業という言い方ではなくて,クリエイティブ産業という言い方をすることが多くなってきていますが,大体クリエイティブ産業の政策省庁は,文化庁と経済産業省が協力してやるということが多いかと思います。それで,日本の場合はコンテンツ産業,文化庁もメディア芸術ということでかかわっていますし,経済産業省のほうはメディアコンテンツ課というのがかかわっていると思うのですが,そこのところの連携をもうちょっと掘り下げていくとか。
 それから,クリエイティブ産業といってもさまざまなものがありまして,私は今,東京都の経済産業局の方たちと一緒に,東京のクリエイティブ産業の集積を調査しているのですけれども,非常に興味深い結果が出ると思うのですが,例えばゲームとアニメをとっても全然状況が違うと。非常に細かなヒアリングをやった結果,ゲームというのは非常にうまくいっていて,勢いがある,それから,世界の中でも非常にポジションが高くなってきているということで,自信をもっていらっしゃるのですが,片やアニメーションのほうは,ご存じのとおりアニメーターが恵まれないというようなことがあって,先行き不安というようなことがあるのですね。
 そうすると,アニメーターが貧しいというのはどうやって解決したらいいかということなのですが,著作権収入が圧倒的に巨大メディアのほうに入ってしまうというようなことがあって。ゲームの場合はそういう巨大流通があるわけではないので,個々の会社がそれぞれ収益を得られるということなのですが,アニメーションの場合は収益の多くが著作権の関係で巨大メディアに入ってしまう。だけど,著作権そのものが収益配分を決められるわけではないので,契約の問題になると思うのですよね。そういうところまで問題を掘り下げて,何とかアニメーターの人とかクリエーターの人が食べていけるような状況になるにはどうしたらいいかというようなところまで考えないと,コンテンツ産業の振興といっても先行きが大変な分野もあるということで,もうちょっと具体的に掘り下げて検討していけたらいいなというふうに思います。
 以上です。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】
 文化庁のさまざまな事業は本当にきめ細かくなってきたなという気がします。ただ,全体の予算のパイが少ない,それが一番問題なのだろうと思うのですね。ですから,私は意見を聞かれまして,資料10で書いていたと思うのですけれども,文化予算というものが国の全体の予算の中でいいバランスで設定されるべきだろうと思うわけです。では,具体的にどういうふうなバランスで国の文化予算は設定すべきかということは,今後文化庁の事務局のほうでいろいろご検討いただかなければいけないんだろうと思うんですけれども,私ども素人なりの漠然とした考えとしましては,恐らく国家予算の1%。これは多分割に理想的なのではないかなと思っているわけです。
 きょう総会のほうで資料をいただきましたときに,日本は寄附文化が育っていないと,アメリカ,ヨーロッパはその点はかなり育っているということで,寄附文化ということを考慮しますと,文化国家と言われているのは1%になるだろうと思います。ですから,そのあたりを日本の文化庁予算を,今回全体の予算が九十数兆円でしたね,ですから,1%というと9,000億円ですか。今の文化庁予算が1,000億円とすると9倍の予算をつけなければいけないということになります。しかし,本来はやっぱりそういうふうなバランスで国家の文化予算というのは推移していくべきだろうと思いますので,今後は国の全体の予算の中で文化予算というのはいかにいいバランスをキープしていくか,設定するかと,そこを大きく議論をしていっていただきたいなと思っております。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 どうぞ。
【大木政策課長】
 今の佐々木委員のご発言の中でございました,総会のほうで説明があったという資料ですが,きょうここにいらっしゃる先生方からご意見をいただいたものが資料10にあるものですが,事務局からあまり説明してもいかんと思いまして,総会と同じ資料をここでは配っておりません。その資料が皆様方のところにあるファイルの上に乗せてございます。これが総会でもって配られた資料でございます。
 佐々木先生が今おっしゃられた予算の比較表というのが,右下に「2ページ」と振ってあるのをごらんいただきますと,日本の文化予算の割合と,それから,これは文化芸術以外も含むのですけれども,GDPに占める寄附の割合を見るとこういう状況であると。我々は予算と寄附による収入でもって文化政策を推進していくことが大事だなと,それが両輪だなと思いつつもこういう状況だと,こういうご説明を総会のほうでは差し上げたところでございます。これはどうぞ必要があればお持ち帰りいただきたいと思いますし,また,次回以降の議論の中でこの手の資料も含めていろいろなご説明をさせていただくつもりでおりますので,よろしくお願いいたします。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 部会にご出席の皆様,とてもいいデータで,わかりやすいデータでございますので,ご参考になさってください。できればデータでもらえると。
【大木政策課長】
 かなりのボリュームになりますけれども,ご要望に応じましてデータもまた考えたいと思います。
【宮田部会長】
 どの部分でも結構でございます,いろんなやり方があるでしょうから。そうすると加筆訂正,勝手に訂正してはいけないかもしれないけれども,よりいいものになるのではないかと思っております。ありがとうございました。
 それでは,次,里中先生,お願いします。
【里中委員】
 先ほどから頭の中で文化芸術なのか芸術文化なのかというのがぐるぐるしてしまって,日本語というのは大変便利で,漢文を取り入れて,漢字の熟語を組み合わせることによって全部言いあらわしてきたのですけれども,こういう言語環境で,どちらがどうなのかと言われても,私自身もよくわからなかったのですね。
 あと,その漢字が何をあらわすのかということですが,いわゆる文化先進国と比べて,文化庁というのがいつまでも庁でいいのかなというのはずっと思っていました。省になったから,庁だからという差は,素人が考えるほどないのかもしれませんけれども,我が国の重要な省庁として,まず省がありますよね。先の会議でも話題になったのですが,フランスなどは文化大臣というと,ものすごく威張っているとは言いませんが,権威がありますよね。国全体として文化を重く見るという形そのものから,やっぱりフランスとはちょっと違うのかなと思ってしまうのですけれども,そんなことを今から言っても,とりあえず1年間で何をということですので,皆さんがお書きになった具体策,意見というのは後でまた何かあるのですよね。この資料10は後で,持ち帰って読んでいただければいいのですか。
【大木政策課長】
 事務局として考えましたことは,先ほど部会長からご発言がありましたように,かなりタイトなスケジュールで進んでまいりますので,一回一回密度の高い議論をということを勝手に考えまして,今回は最初の会合ですので,通常ですと,全くフリーでお話しいただくのが筋だったのですけれども,ちょっとでも短い時間でコンパクトに中身の濃いものをということでご協力をいただいたと,そのような趣旨でございます。
【里中委員】
 そうですか。では,これは皆さん持ち帰ってからごらんになるというか,持ち帰ってから読めばいいのですね。
【大木政策課長】
 今申し上げたとおりでございまして,これをどう使っていただくかは,それぞれの先生方のご随意でございますので,これに沿ってご発言いただくことも,あるいは,持ち帰ってごらんいただくということもあり得ましょうし,引き続きこうした形でご意見を伺うのは毎回続けていくようにお願いしようかと思っておりますので,そういうことをお含みおきの上でもって,失礼ですけれども,里中先生のご自由にお使いいただければと思います。
【里中委員】
 すみません,この中で書いてあることを言っても仕方ないしとか思いながら迷っていたものですから,申しわけありませんでした,余分な時間をとってしまって。タイトなのであまり申し上げてもなんですが,これはもちろんすばらしいことが書いてあるのですけれども,「充実しなければいけない」,「充実を図るべきだ」と。でも,やっぱりついて回るのは後々の具体策ですので,そちらのほうにエネルギーを注ぐといいのかなとは思っております。
 すみません,中途半端になってしまいまして。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 きょうはスタートだったので同時に見る。これは別に謝ることでも何でもございません。今後の部会のときにどの辺で早めに皆さんに周知できるかということの策をちょっと練りましょう。せっかく時間を割いてくださった意味が構築された上で議論できるほうが大事かと思っておりますので。
 ありがとうございました。
 それでは,高萩委員。
【高萩委員】
 東京芸術劇場の副館長をしております高萩と申します。私は芸術文化,舞台芸術のほうの専門ということで参加させていただいているので,どうしても意見がそっちのほうへ偏るかと思いますが,今回,地方の方とかいろいろ参加されていますので,是非バランスのとれた良い議論になればいいと思っております。
 第2次の基本方針を推進中に第3次の議論をすること自体かなり思い切った決断だと思うのですけれども,文化に関しての予算獲得の緊急性が問われているのだと思います。今までの論議というのはどちらかというと余裕があるから文化に助成するという感じだったと思うのです。しかし,昨年の事業仕分けの中で,ああいう形で国の政策を並べて,どれにお金を使うべきなのかが問題になった。「文化のお金」も「福祉のお金」も「産業育成のお金」もすべて,今,何を優先させるのかで判断されるのだなということがすごくよくわかった。日本の現状で税金を何にどう使うかという話をしているのだなということが改めて芸術関係者にも分かってきたところだと思います。
 芸術文化に今,税金を使うということに関して,広く国民の理解を得られるような提案がきっちり出て,そういう中で文化芸術,芸術文化,両方ともに税金を使って活性化していくのだというような論議になればいいかなと思っています。その中で税制改革みたいなことも。制度だけつくっても使われなければ意味がないので,是非「税額控除」が認められて,どういうふうにすれば文化芸術に寄附が集まるのか,その寄附がどう使われるのかみたいなことが話題になればいいなと思っております。
 特に国家が芸術文化にかかわることについて言いますと,これだけ政治経済の全ての分野で国際的になっている日本なのに,国内の生活においてはほとんど国際的ではないわけですね。文化はちょっと難しいかもしれませんが,芸術文化の中では国際的な活動をどんどん行う,それから,一緒に国際共同的な活動を行うことで,一歩進んだ国際化を図るということがぜひ必要なのではないかなと思っています。世界の中でも特に危険な地域と言われるようになってしまった東アジアの中で,日本がある種豊かな文化を持ちながら存在感を示していくとすれば,まず東アジアの中で,それから世界の中で日本文化のすばらしさを示していくことが,日本がこれから本当に豊かさを保っていくためにもぜひ必要であろうと思います。文化芸術の振興は,「余裕があるからやるのだ」ということではなく,「ぜひ必要なのだ」ということがきっちり訴えられればかなり成功なのではないかなと思います。
 それで,手法の件ですけれども,今まであまりこの中で議論されてきてなかったみたいですが,芸術評議会とか,アーツカウンシルとか言われているような形の助成の仕方を考えていかないと,今までの形のままお金がふえたとしても,評価がかなり難しい。その辺ちょっと論議しにくいのかもしれないのですけれども,どこかで時間をとっていただいて,支援の仕方についても話せればと思っています。
 それから,地方支援のことなのですけれども,長岡京とか浜松の方に来ていただいて,各地それなりにすばらしい文化政策をお持ちなのだと思うのですけれども,それらの活動の評価を全部東京で判断するというのは難しい状況になっていると思うのですね。一億何千万の日本列島の中で道州制ぐらいのある種の広域化の中で文化政策を考えていただけるようなことを提案できれば。それはかなり大きな提案になりますし,それ自体がまた議論を呼ぶと思うのです。そういうことも一度時間をとっていただければと思っております。よろしくお願いします。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,堤委員。
【堤委員】
 私の考えはこの雑誌に書いておりますので,読んでいただければと思います。日本という国がこれからもっともっといろんな面で伸びていく,芸術文化の面でも伸びていく,そのためには世界的視野から見た,世界という大きなコミュニティの一つの国である,特色を生かしながら,それが大事なのではないかと私は思っております。
 今,里中先生がとても大事なことをおっしゃってくださった。それは文化庁ではなくて省になると。私,実は海外に45年以上住んでいたのです。ですから,私の場合,例えば文化庁が主催されている芸術祭であるとか芸術院賞とか,そういうのをいただいたときにいつも英語に直していたわけですね。外国の方もそういうのを国からいただいたというと,大体“Ministry of Culture”と書いてあるわけですね。ところが,文化庁なので,“Ministry of Culture”と私は書けないわけです。英語で何と読むのですかいうと,“Agency of The Japanese Government”というのですね。ですから,いつもその辺で私自身が,これは個人的な感じかもしれませんけれども,そういう意味でも文化省になっていただきたいなというふうにいつも感じておりました。
 それから,日本はいろんな意味で資源がない,石油にしても何にしても。でも,私は一番大事だし大きいすばらしい資源は人間だと思うのです,日本人そのものだと思うのです。ですから,いつも話に出てきますが,人材育成ということが一番の基になりますし,その基になる大きな部分が芸術であり,芸術というのは表現ですね,エキスプレッション。エキスプレッションというのは,日本の国内だけでなく外にも出ていく,情報発信ですね。そういう積極性に結びついてくる。そういう意味でも国家力,先ほど名詞に「力」をつけるのはおかしいというご意見がございましたけれども,そういう言葉を今使わせていただくと,そういうのはやはり国の力になっていくし,海外に向けてもっともっと日本という国を知っていただいて,またそれによって日本が潤っていくという,総合的に豊かになれるのではないかと思います。
 私の文の終りのほうに,東京だけでなく,もっともっと他の都市でいろんなことが盛んになる。先ほど長岡京市,そして,浜松の両市長から大変心強いコメントを伺って私大変うれしく思っております。私の文の中では,アメリカの例,ニューヨークもあるけれども,シカゴもありボストンもある,ロサンゼルスもある,同じようなことがドイツでもありまして,ベルリンだけではない。ミュンヘンもある,ハンブルグもある,ライプチヒもある,すごいですね。そういうふうに全国的に文化活動,芸術活動が盛んに行われていくということが,本当の力になっていくのではないかなと思っております。
 それからもう一つ最後に,税制ということが何回か出てまいりました。もちろん税制そのもの,そして,寄附したときに何パーセント,特別,今,制度がございますけれども,日本で税制を考えるときに寄附も一時的な寄附に対しての考えが大きいのではないかと思うのですね。私が長い間住んでおりまして,教えていたのですけれども,アメリカでは大学とか財団に対して長期的な寄附,例えば向こうではエンダーメントファンドとかいう言葉でやっておりますし,トラストファンドというシステムもある。ですから,長期的にわたって大学なり財団なりが,博物館でもいいし美術館でもいいし,そこに長期的に税制がアプライズされている,そういうことがこれからは税制の一つの考え方だと思いますので,皆様でご審議していただけたらと思います。
 どうもありがとうございました。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,富山委員,お願いいたします。
【富山委員】
 私,地唄箏曲を演奏しております富山と申します。私ども古典を中心にやっておりますので,私ども古典を中心にいたして演奏しております者にとりましては,私どもを絶滅危惧種に指定していただきたいような現状であります。これは私どもだけの責任ではないと思うのですけれども,楽器づくりという面が崩壊の危機に面しております。私が今弾いております三味線の皮はメイドイン・台湾でございます。このような状況になっております。何ていうのでしょうか,底辺の部分から崩れていくような感じがいたします。
 歌舞伎座は4月で改修に入ります。4月まで公演いたしておりますので,大変な盛況でございますが,歌舞伎に詳しい方に言わせますと,大道具,小道具のほうから崩壊の危機にあると。つまり,大道具をつくる方,小道具をつくる方というのは六十,七十が若手で,ほとんどの方は八十,そのような状況になっています。これは笑い話でございますが,田舎のおじいちゃんが出てくる,その着ていらっしゃる着物が絹であったと,木綿ではない。ライトをあてると光ってしまう。だけれども,そういうものしかできない。そういうような状況であります。これはある意味で言えば非常に危機的な状況ではないか。大道具さん,小道具さんというのは,縁の下の力持ちであります。そういう方たちがきちんと生活できない。だから,新しい人が入ってこないという状況であります。こういうことは何とかしていかないと。歌舞伎だけでありません。ほかの伝統的な私どもがやっているようなことやっている人たちにとっては非常に危機的な状況にあるということです。まさに崖っぷちだと思います。
 それから,私は過去の文化庁の移動芸術祭で,舞踊協会というところから地方の公演を頼まれまして,いろんなところを回っておりましたけれども,それが近年なくなりました。舞踊協会の方になぜなくなったのかと伺いましたところ,地方の負担が非常に大きくなってしまったと,お金が地方にはない,だから回れない。つまり,こういうところを回りたい,こういうような構成で行きたいのだけれども,どこか手を挙げていただけないかといった場合に,手を挙げてくださる地方自治体がない。それで自然消滅というのでしょうか,そういうふうな状況になってしまった。
 地方には結構すてきな劇場がたくさんございます。これは地方に対する補助金とか,そういうもので大変立派なものが建っております。国立劇場にはないような装置まであるような会場が,地方のそれこそ原発で有名な玄海町にもございます。入口は大理石でできておりますし,我々が行きましたときに,舞台と全く同じような楽屋がございまして,そこで皆さん,しょうがないので雑魚寝をしておりました。そういうような状況です。ぜひとも地方にもある程度の財政的なものを分けて差し上げるようなことができないかと私は思っております。
【宮田部会長】
 すみません,富山先生,いい話を切っちゃうみたいですが,皆さん4分ですので。恐縮ですが,ご協力ください。要点は必ずファイルされておりますので,次の回の中で十分審議するように努めますので,よろしくお願いいたします。
 坪能先生,お願いいたします。
【坪能委員】
 初めてであることと,不勉強であることと,空気が読めないということが結構あるものですから,失礼があったらおわびいたします。
 いろいろな文章を拝見いたしまして,充実した企画や事業というのは年数がかかり,しかしだんだんよくなっていくと思いました。それの分年をとっていくと,年齢が高くなると,大人の目線だけではなくて,文言の中には「子どもへのアプローチ」,「子どものうちから」とか,ちゃんと子どもを巻き込んではいますが,大人の与える側の意見が強くなりますので,子どもと一緒に「みんなでつくる」ということが広げられているといいなと思いました。確かに人材育成というのはありますが,子どもからも対象になります。子どもということに関しては学校への芸術家派遣の授業等広がってきております。学校には学校教育があり,地域文化を考えると社会教育で,そこには線があると思うのですけれども,それぞれが協力しあえるようなシステムになれるような配慮があるとありがたいかなと思っております。
 子どもと考えていくときに,消費として,あるいは,学習としての文化だけではなくて,創造的な活動ができる可能性を盛り込んでいただけるとよろしいのではないかなというふうに思いました。子どもにもどこの企画の中にも接点が持てる,決して子どもだからできないというのではなくて,最近は低年齢化しておりますので,いろんな意味において子どもを含んで創造的な活動ができる,みんなでつくれるようないい答申ができることを願っております。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,西村委員,お願いいたします。
【西村委員】
 私は文化財や世界遺産のことをやっているものですから,そういう世界で知っている話からしか言えないのですけれども,また資料10にも書きましたけれども,私も文化省になるべきだと思っているのですね。でも,理由は違う理由なのです。と言いますのは,文化財の人たちとつき合っていると,文化庁の中にも文化財個々の専門家はたくさんいらっしゃるのだけれども,文化財行政のプロという人がいるのかなと思ってしまうのですね。目の前にして申しわけないのですけれども。こんなことを言うと次から呼んでもらえないと思っていますけれども。
 というのは,ここにいらっしゃる文化庁の幹部の方々も,教育行政のプロだろうけれども,文化行政の本当のプロなのかなと,ごく一部分ではないかと。また,数年後には全部教育の世界に戻られてしまって,文化行政に携わっている部分というのはごく少ないのではないかと思うのですね。もう少し人事が文化の中で回って,人事異動があっても文化に関連しているところで人が動いて,文化というのは優れて人間的な作業なので,そういう人間的なネットワークを深めていけるような人事の組織になっている必要があるのではないかと思うのですね。ということは,やはり人事が独立していないといけない。という意味から,私は文化省になるべきだと思っているのです。
 また,教育行政のプロがいてもいいと思うのだけれども,文化は教育だけから成り立っているわけではないのですよね。教育は文化のある一側面だと思うのです。日本はそこが大きくなっている。例えば,文化はある種産業の側面もあるし,観光もあるし,情報発信という面もあるわけですよね。それから,まちづくりというのもある。しかし,この中には観光のプロもいないし,まちづくりのプロもいないし,情報発信のプロもいないわけですよね。その意味で,文化というものからそういうものに広がっていって,人材がきちんとその中で育成されて,文化行政が進められていく必要があるのではないかと思うのです。
 これは国でもそうなのだけれども,地方へいくともっと悲惨でして。悲惨というと申しわけないけれども,私がつき合っている大半は,例えば教育委員会の社会教育とか文化財課とか,そういうところなのですね。そうすると,もっと世界が狭くなってしまって,言えることが限られるわけですね。文化というのはもっと広いことが言えるはずなのに,教育委員会の中のあるセクションにいて,本来なら市長部局とか,そういうところで幅広くさまざまなものがやれるようになっていないといけないと思うのだけれども,多分国の縦割りと同じような形で,教育委員会の一部局に押しとどめられていることが,地方の文化行政を本当に貧しくしているのではないかと。その意味でも,私は,きちんと独立した人事の組織があって,それが地方にも反映されるようなことがぜひとも必要ではないかと。
 ちょっと言いにくいけれども,言いました。以上です。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 浜野委員,お願いいたします。
【浜野委員】
 資料10の15ページにデータを上げていますので,ごらんいただきたいと思います。基本方針だけでなくどこにも海外発信ということが出てきます。イギリスのBBC,公共放送局は,どの国が海外にいい影響を与えているかという調査を毎年行っています。ここ数年ずっと日本が1番だったのですけれども,去年の2月の発表では4番に低下しました。といっても,1番が61%,4番の日本は57%です。それよりも大きな問題は日本国民の過半数が日本がよい影響を与えていると思ってないことです。世界平均が57%なのに日本は41%です。資料の下を見ていただきますと,中国は92%の国民が「自国は海外に影響を与えている」と。ほかの国は全部過半数の国民が「自国は海外にいい影響を与えている」と認識している。
 日本の調査はBBCが読売新聞に委託したもので,1,700人ぐらいに対面調査していますから,信頼度は高いと思われます。世論を大切にするということであれば,海外発信なんてしなくていいということになります。この調査結果から言えることは,海外発信の意義について国民の了解が得られてないのではないかと思います。ですから,基本方針で出てくる対象の方々は文化庁のいろんなサービスとか,手厚い保護とかの意義について認識してはいると思いますが,国民全体が文化とか芸術の重要性とか,海外発信の意義の認識がなければ,海外発信に力は入らないわけです。
 逆風で海外に出ていこうという話ですから,大きな問題だと思います。支持もなしに海外に出ていくということはできないわけですので。先ほど富山先生からもお話があった,例えば伝統文化を我々が税金を使ってでも守りたいという国民的な合意がないと,伝統芸術はすべて遅かれ早かれ絶滅危惧種になるでしょう。これらは同根で,文化芸術について国民の理解を得る努力をしてきていなかったのではないかと思います。
 宮田先生の大学には建築がありますけれども,ファッションを大学で学ぼうと思ったら被服科になってしまい,多くは女子大に限られます。食はどうなのかといったら家政科で,芸術とか文化という観点で学べるところがない。何故衣食にかかわる人が芸術学部を出られないのか。衣食住の住は芸術でも,衣食は芸術ではないのかという疑問がおこります。そういったことで,日常的なことも含めて根本的に考えていただきたい。私も全くほかの委員の方々と同じで,文化省にすべきだと思います。もう時間がないので説明しませんが,そういう意見です。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
【増田委員】
 もう一回しゃべってもいいですか。
【宮田部会長】
 どうぞ。
【増田委員】
 そんなに長くないです。佐々木委員からも国家予算の1%がいいという話がありましたし,税制のことについて発言された委員もありましたけれども,今,確定申告の季節で,寄附額の上限が絶対額で決められているのですね。これは税務署が認定できる収入額の何パーセントということにしていただければ。あとは,理想的には文化庁という指定寄附に対しては収入の1%,あるいは,10%までは無税とかいうことになると,文化庁もいいのではないか。先ほど見せていただいた審議会の資料のとおり,予算としてはなくても,寄附のところでずっとふえると思うのです。私としても,できるだけ文化関係の団体の寄附金額は自分の収入の5%を目指して寄附を経年的にしようと努力しているのですね。こういう文化関係のところにきていただいた委員の先生方には,最低でも5%とか10%を目指して,そういうところに具体的に寄附をしていただきながら,いろいろ発言していただけると,外に出たときに発言力が出てくるというふうな感じもいたします。
 余計なことを言いましたけれども。
【宮田部会長】
 いえ,ありがとうございます。
 それでは,すみません,あと3人おりますので,よろしくお願い申し上げます。
【吉本委員】
 ニッセイ基礎研究所の吉本です。よろしくお願いします。2つの視点から意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つ目は,先ほどご報告いただいた資料9の2次基本方針の進捗状況と今後の課題についてなんですけれども,重点事項6つそれぞれにどういう施策を行ったかということが整理されているわけですが,重要なのはこういう施策を行った結果どのような成果があらわれたのかということだと思うのですね。例えば,人材育成に関してもかなりいろんな政策が行われておりますけれども,この資料はこういう政策をやった,これぐらいの予算を使いましたという記録であって,これでは進捗状況というふうにはなっていないのでないかというのが大変気になりました。確かに検証するのは非常に難しいと思いますけれども,3次基本方針を策定するにあたっては,2次基本方針の成果がどうだったかということを検証することが重要だと思いますので,ぜひ今後そういう視点で,こういう施策を行った成果をどのように捉えているのかというような資料を出していただけたらなと思います。
 それから,それにあわせて,このリストをもう一度ざっとみますと,予算の後ろのほうに「新規」と書いてあるものが幾つかあるのですが,それはわずか3つしかなくて,「創設」というのも文化庁長官賞1件だけなのですね。ですから,重点事項は6つあるのに,新しく始めたことは4つしかないと。もちろん予算が充実されたものもあると思いますので,従来やっていたものが,この重点施策が出てこういうふうに予算が拡充されて積極的にやっていますということがわかる資料もほしいなというふうに思いました。
 それが1点目です。もう1点は,この文化政策部会での議論に関してです。これは文部科学大臣からの諮問であるわけですけれども,文化芸術というのが文化だけではなくさまざまな分野に効果があるというようことが言われるようになって久しいと思うのですね。ですので,先ほど後藤委員からもクリエイティブ産業の話がありましたが,教育ですとか,産業ですとか,福祉ですとか,まちづくりですとか,文化芸術の振興だけにとらわれないような議論もぜひこの文化政策部会でしていってはどうかなと思います。
 と言いますのも,皆さんも聞かれたり読まれたりしたと思うのですが,鳩山首相はこの間の施政方針演説で「文化立国」というのをアピールされています。大変ささやかな試みだったのですけれども,数えてみたところ,演説の中に「文化」という言葉は31回出てきます。もう一つのキーワードが「いのち」だったのですけれども,これも31回なのですね。このことは,それぐらい現政権は文化を重視しようということのあらわれだと思うのですね。
 もちろん文化芸術をどう振興するかということは非常に重要でありますし,基本法に基づいてつくられる基本的な方針ですから,それが中核になるべきだと思うのですが,政権が交代したわけですから,ちょっと申し上げにくいのですけれども,今まではどちらかというと文化庁さんが財務省にどうやって説明して新しい施策や予算をつくっていくかというような感じがあったのではないかと思うのですね。けれども,そういうのにとらわれない,ぜひ新しい政権らしい骨太の文化政策をここで議論して,提案できたらいいなというふうに思っておりますので,よろしくお願いします。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 山脇委員,お願いいたします。
【山脇委員】
 先ほどの総会,そして,メモにも少し書いたのですけれども,日本が現在文化国家かというと,私は大きな疑問を持っております。先ほど来出ております予算の少なさとか,文化庁が,省ではなく庁だということがその証左だとは思うのですけれども。ただ,限られた予算で国が何をすべきなのか,これは国ではなくて地方でいいとか,国ではなくて企業でいいというようなこともあると思いますし。それから,今最も急ぐべきことは何なのか,国がすべきことは何なのかということを,きちんと整理しないと。すべて絶対必要だし,すべて大切であることは確かなのですね。不必要なものというのはあまりなくて,いろんな人の見方からみれば,どれもこれも多分必要なのだと思うのです。ですが,本当に今,国が何をすべきかということを考えるときに,文化国家としての日本のグランドデザインというものを肝に銘じてというか,きちんと描いて何をすべきかということが必要なのだと思います。
 もう一つは,自分のメモに書かなかったので申し上げたいのは,例えば,富山清琴先生のすばらしい地唄を聴いて,一歩外に出ると全く文化的とは考えられないような町並みとか,日本の国土というか,そういうまちが広がっているというようなことが,日本人のもともとは持っていた文化というのか,日本人の中にしみ込んでいたものが,こういう汚いまちに住んで,スルスルなくなっていってしまうのではないかというような気がちょっとしていて。例えば歴史的な町並みというのは本当に点でしかない。先ほど来フランスの話が出ていましたけれども,パリに行くとパリ自体まちが文化的だというようなことがあって。ですから,そういったことがかなり根本的なものなのではないかという気がちょっとしていて,これは文化庁だけの問題ではない,先ほど来ありますいろいろなところにかかわっていますが,民主党政権が観光立国というようなことを掲げているのであれば,そういったことともリンクさせて考えていくべきなのではないかなというふうに思っております。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,部会長代理でございますが,先生,ひとつお願い申し上げます。
【田村部会長代理】
 私も文化庁ではなく文化省であるべきだと思っています。2点申し上げます。
 それは,いわゆる世界に発信できるような芸術家を育てるための教育の在り方というのが,文化庁,文部科学省の壁があって,総合的な芸術教育というのができにくくなっているのではないかと思っております。それから,先ほどからあります子どもに対する教育の中での芸術の役割ということを考えると,それも文化庁であるがためにやりにくくなっている。教育の中からどんどん芸術教育というものの時間が少なくなっているのが現実でございます。先日,イタリアで活動をしていらっしゃる彫刻家の方に見せていただいたのですが,イタリアの中学生の美術の教科書はこんなに厚いのです。伝統芸術から建築に至るまで,日本の大学生の教養の本になるくらいのレベルのものだとおっしゃっていました。日本の中学生の教科書はたった5ミリです。この違いは何なのだろうと思いました。
 それともう一つ,昨年,文化庁が主催する国民文化祭が静岡でございました。そして同時に,たまたま静岡では同年開催だったのですが,障害者芸術祭が全く別の日に開催されるのです。これは一体何なのだろうと。文化庁と厚生省の縄張り争いなのか,びっくりしてしまいました。芸術だったらバリアを超えることができたのに,どうしてそれが一緒に行われないのだろうか。たまたま静岡県では昨年は同時期の開催だったのです。同時開催でなく同じ年だったのですが。大体は別々の地域で開催されるそうです。このことも文化庁でなく文化省になればお互いにもっと協力し合うことができるのではないか。文化の持つ力というのをもっと発信していかなくていけないのではないかと感じて居ります。
【宮田部会長】
 ありがとうございました。
 大変心強いお話を先生方からいただきました。ちょっと整理しますと,短期的ではなくて,もっと長期的な視野の下に,あるいは,地域の中に個性のある発信,縦割りではなくそういうことをもう少し是正してもらいたい。税制に対しては多くの先生からご意見をいただきました。そして,東アジアから発信すると。いろんなことに対して具体的な提案が必要ではないかと。世界的な視野が必要であることと,猫の皮はやっぱりメイドイン・ジャパンでなくてはというふうな話,もっと行政そのものに対しての考え方をしっかりしなければいけないのではないかというふうなこと。日本人自身が文化に無関心であると,その辺に関しても考えなければいけないと。
 何といっても報告書のための報告書ではないということを加藤委員が言われました。まさしくそのとおりだと思います。政権交代というのは,交代は後ろに下がることではなくて前へ進むことでございます。私は文化省でもなく文化庁でもなくて,文化財産省をつくれと前から言っております。そのぐらいの心意気でスタートしていきたいなということを考えております。と同時に,“パーセント・フォー・アート”というのをぜひともつくりたいという気がしております。何としてもこの1年間でございますが,特にこの半年になりますが,強い発信力のある,下がらない文化審議会をスタートさせていきたいと思います。先生方のお力をぜひぜひお借りしたいと思っておりますので,よろしくお願い申し上げます。
 先ほどのご意見の書類は,できれば事前に皆さんが一回は目を通せるようなこともこれから検討していきたいと思っております。よろしくお願いします。
 はい,どうぞ。
【大木政策課長】
 今,部会長からご指摘のあった点も含めて,少し部会長にご指導をいただきながら,どういうふうに今後やるのかというのを事務局としてきちっと対応いたしたいと思っておりますけれども,一つだけ,すみませんが,資料9にかかわりまして。先ほど吉本委員から「新規」と書いてあるのが二つ三つしかないではないかというご指摘がございました。申しわけありませんが,これは役所の習性でございまして,次年度の予算で新たに起こす事業だけを「新規」と書いてしまうという習性がございます。したがいまして,第2次基本方針が始まったのは19年の2月からでございまして,そこからのストックではなくて,22年度予算の新規のネタだけを「新規」と書いているということで。これ全体誤解のある資料でございますし,これからも類似の資料を出すときには,きょうのご指摘も含めて,もう少しきちっとした資料にするようにいたします。申しわけありませんでした。
【宮田部会長】
 よろしくお願い申し上げます。
  それでは,最後に玉井文化庁長官からごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【玉井文化庁長官】
 文化庁の長官でございます。大変活発なご議論をありがとうございました。
 私どもの問題意識は,例えば昨年夏に舞台芸術と人材育成というような形を政策部会でご議論いただいて,これまであまり突っ込んだことのない分野まであのときご議論いただいたと思っておりますし,そのときに一番問われたのは公共政策としての文化政策,何をどこまでなのかということが一番大きな議論であったのかなというふうに私は受けとめております。そうは言いながら,これはもう国でなくて地方でいいではないかとか,あるいは,そもそも何で公的資金を出さねばならないのだという議論も一方に常にあるものですから,改めて文化庁だけではなくて,もっと幅広いわけでございますけれども,公共政策としての文化政策をどういう方向にもっていくのか。
 同時に,理念ももちろん大切なのですけれども,あわせてできるだけエビデンスベースと言いますか,もちろん短期的にはなかなか出ないものもたくさんあるので,何でも数字であらわせればいいということではありませんけれども,できるだけ説得力のあるデータを駆使しながら,こういった方向を何とか見いだしていただければ大変ありがたいと,かように思っています。今回,各先生方にお願いいたしましたのは,これでいろんな専門分野を大体カバーできているのではないかなと思っていますし,いずれヒアリングによってさらに足らないところは補っていっていただければ大変ありがたいと,かように思っております。
 大変忙しい中申しわけございません,夏前ごろには中間的なということを言っておりますので,ぜひ。もちろん予算も民間資金もパイを広げるのが大前提ではありますけれども,メリハリをどこにつけながら向かっていくのか,このあたりもぜひご議論をいただければ大変ありがたいと,かように思っております。それぞれ忙しい先生方に申しわけございませんけれども,ぜひ精力的なご議論をしていただければ大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【宮田部会長】
 ありがとうございます。
 文化というのは,先生方,ちょっと頭の中で絵を描いてください。パルテノンの神殿がございますね。正面からは見たときに,国家は文化であり,あの屋根のこの部分が大きな傘で,これが文化なのです。柱がありますが,それは経済であったり,科学であったり,法律であったり,医学であったりと。そして,重要なところに,この柱をなくすと,この国家は崩れるというところに芸術というものがあるのだというふうに考えると,文化芸術とか何とかかんとか,青柳先生もおっしゃっていまして,僕もあやふやだったのだけれども,もっと大きく,文化は国家であり,国家は文化であるのだというぐらいのイメージを持っていただくと。きょうお帰りになりましたら,パルテノンの絵をごらんになってください。あそこにはすべてが網羅されています。
 すみません,変なことを言いまして。よろしくお願い申し上げます。
 それでは,事務局からご案内します,今後のことにつきまして何かございますでしょうか。
【事務局】
 今後の日程のことを少しご連絡差し上げたいと存じます。
 先ほども資料の紹介がございましたが,資料の11番が今後のこの文化政策部会の開催の予定となってございます。本日が第1回の会合でございましたけれども,来月にまいりますと,3月1日,15:00から17:00,第2回となってございます。また,第3回,第4回,第5回というふうに3月中に4回の開催を予定しております。先生方,本当にご多忙の中ではございますけれども,可能な限りのご出席,ご協力をお願いしたいと存じます。正式なご案内はまた改めて事務局のほうから差し上げたいと存じます。
 以上でございます。
【宮田部会長】
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは,これにて閉会ということでよろしゅうございますか。ご協力,ありがとうございました。
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