文化審議会第8期文化政策部会(第15回)議事録

1.出 席 者

(委員)

宮田部会長,田村部会長代理,青柳委員,加藤委員,佐々木委員,里中委員,高萩委員,堤委員,坪能委員,富山委員,浜野委員,増田委員,山脇委員,吉本委員,福原文部科学省参与,平田内閣官房参与

(事務局)

近藤文化庁長官,吉田文化庁次長,芝田長官官房審議官,小松文化部長,関文化財部長,松村文化財鑑査官,大木政策課長,滝波企画調整官,他

2.議事内容

【宮田部会長】第15回の文化政策部会を開かせていただきます。
 本日は,小田,後藤,酒井,鈴木,西村,山内の6名がご欠席でございますが,議事を進めていきたいと思っております。
 前回,11月22日にまとめた審議に入っておりますが,本日も引き続いて,これまでの意見の調整・整理をしていきたいと,かように思っておりますので,よろしくお願い申し上げます。
 目安でございますけれども,基本理念に対して約40分,重点施策,基本施策ということで約50分,最終的には15分ぐらいで全体を通してというような考え方でいきたいと思っておりますので,ご協力をお願い申し上げます。
 それでは,本日の議題に入ります。
 まず,基本理念を審議したいと思いますので,前回からの修正点を中心として事務局からご説明をいただきたいとおもいます。よろしくどうぞ。

【滝波企画調整官】それでは,資料のご説明に入りますけれども,資料につきましては,資料1が,いつもご覧いただいていますけれども,答申と第3次基本方針の構成案ということで,現行の2次方針,それから夏にまとめていただいた審議経過報告との対比ができるような形で真ん中の欄ですが構成を書いたものを用意しております。本日もこの赤枠の部分,全般にわたりますけれども─についてご審議いただきたいなというふうに思っております。
 資料2でございますけれども,きょうの中核的な資料になると思いますが,これについて,まず基本理念の部分ということですので,3ページから6ページまでの部分につきまして,特に修正を加えたようなところを中心に少しご説明をまず申し上げたいというふうに思います。
 第1が基本理念ということで,1.文化芸術振興の意義,2.として基本的視点。基本的視点の中には,これを取り巻く諸情勢の変化ということと基本的視点そのものの中身を書いていくという構成にしております。この構成自体は変更を加えてございません。文化芸術振興の意義に関しては,前回から特に修正を加えたところはございません。
 2.基本的視点の部分に関しましては,幾つか修正を加えた点がございますので,それをご覧いただきたいと思いますが,ページで言いますと4ページに入りますけれども,基本的視点の(1)が文化芸術を取り巻く諸情勢の変化という部分でございます。まず,ここの真ん中よりちょっと下のあたりですが,「国際的には」で始まる段落がございます。ここのところで,前回のこの部会の中で幾つかご意見が出た中で,各国の間での連携・協力に関連して,特に昨今の諸外国との緊張関係みたいなものを何か表現できたらいいんじゃないかというようなご意見がたくさんあったと思います。我々事務局のほうでも少し考えてみたんですけれども,やはり緊張関係といったような表現を如実に書くのもなかなか難しいのかなというようなことも思いましたので,ここではそのニュアンスを少し込めようということで,アンダーラインのところですが,「経済社会面で各国間の一層の連携・協力が求められる中」というふうな表現ぶりに修正をしてございます。
 それから,その次の段落ですけれども,ここのところで真ん中あたりに少し書き加えておりますけれども,この点についてインターネット等の情報通信技術の発展がもたらす影響に関連して,人間関係であるとか,あるいはコミュニケーションに関してのいろいろな影響もあるんじゃないかというふうなご意見があったかと思います。その点について少し文章化しまして,ここでは「人間関係に及ぼす様々な影響が指摘されるほか,」というふうな表現を新たに追加してございます。
 (1)の諸情勢の変化は以上のような修正でございます。
 次に,(2)基本的視点に入りますが,ここでは,まず(1)として,成熟社会における成長の源泉というふうな視点のまず1つ目の部分ですが,ここのところで5ページになりますけれども,真ん中あたり「このような認識の下」のパラグラフの中で,少しここでもご意見があったかと思います。ここの部分に関しましては,特にパラダイムシフトがこの間あったんだということが明確になるような表現にしたらどうだろうかというふうなご意見だったと思います。それを踏まえまして,ここで少しそのニュアンスを込めようということで,「文化芸術への公的支援に関する考え方を転換し,」ということをまず明確に書こうということにしておりますことと,後ろの文章とかなりつなげて書いておったんですが,切り離してインパクトを持たせようということで,「とらえ直す。そして,」というふうな形で文章を切り離す形にしてございます。
 2つ目の項目が,文化芸術振興の波及力ということでございます。ここの下の段落,「我が国としても」で始まる段落のところですが,ここに関しては,前回の部会の中で,文化芸術が雇用に果たす役割というのは非常に大きいだろう,雇用につながるんだというふうなニュアンスをぜひ強く書きたいというふうなご意見がたくさんあったというふうに思います。それを踏まえまして,ここでは「我が国としても」の直後ですが,「新たな成長分野として雇用の増大や」云々という形で「雇用の増大」という文字を明記したということでございます。
 次6ページでございますけれども,ここは3つ目の視点として,社会を挙げての文化芸術振興という視点でございます。ここの部分に関しましては,前回のこの部会の中での意見としては,特に大きな意見というものではなかったというふうに思いますけれども,少し我々事務局の中で再度整理をし直しまして,特に国としての果たすべき役割といったところを,よりシャープな形で書き加えていきたいなというふうことを少し考えまして,アンダーラインの部分ですけれども,その観点から少し書き込んだ部分がございます。「国においては」で始まるパラグラフですが,後ろのほう「国際的動向も踏まえつつ,成熟社会における成長の源泉たる文化芸術の振興を通じて国力の増進を図るとともに,多様かつ広範な文化芸術活動の基盤及び諸条件を整備することが重要な役割」というふうな表現にしまして,国の役割というものを明確に打ち出そうというふうにしてございます。
 なお,この修正によりまして,前回のこの資料の中では,現行の第2次方針におおむね沿った形で文化芸術の頂点の伸長であるとか文化芸術の裾野の拡大といったような記述を盛り込んでおったわけですけれども,その部分が削除されておりますので,その点も大事な論点かと思いますので,改めてご検討いただきたいなというふうに思っております。
 あわせて,基本的視点に関しましては,今申し上げた(1),(2),(3)の3つの視点が提示をしてあるわけですけれども,ここのフレーズといいましょうか,ネーミングとしてどんなような言葉があるかなということで少し各委員の皆様方にもお考えは何かないだろうかということをお願いしたり,あるいは事務局の中でも少し考えてはみたんですが,なかなかとってかわる言葉が思いつかないなということで,とりあえず据え置きの形にしてございます。ということでございますので,その点も含めましてご審議いただけたらなというふうに思っております。よろしくお願いします。

【宮田部会長】ありがとうございました。  さきの委員会の中から出てきた文言等も含めまして修正案をやっておりますが,いかがでしょうか。
 これを見つつ次に進めていきたいと思います。逆戻りしても結構でございますので。
 基本的な視点というのは6つの重点戦略ですね。あわせて第3次の基本方針の特徴を打ち出す部分となっておりますので,1から3のタイトルについてこの間宿題を出しましたが,いかがでしょうか,先生方,何かいいのがございましたら出していただければと思っております。
 それと,文化省の創設ということになると思いますけれども,いろいろな思いが先生方の中にはいっぱいあると思いますので,さらに事務局と詰めまして検討していきたいと思っております。
 閣議決定となるところですと,ちょっとまだ物足らんというか,武器不足というところがあるというふうな指摘もあるものですから,その辺も含めてもうひとつ詰めていきたいと思っております。
 この基本理念等々のところはいかがでしょうか,何かございましたら,先生方の中で,今十分に調整はできますので,お気づきのところ等ございましたらお話しいただければと思っておりますが。
 ちょっとお時間いただいて,少し見てもらって。
 さっきの省の話ですけれども,大臣あてに答申文の記載を盛り込めるかどうかは検討しておりますけれども,次の部会で部会長から試案を皆様方にお示しさせていただきたいというふうに思っております。
 よろしいですか。お気づきの点がありましたら,また言ってくだされば結構ですが,続いて,重点施策と基本的施策の点を含めて,一体にこれも先生方の視野に入れていただいて審議していただけたらと思っておりますが,そこまで進めていきたいと思います。
 では,この辺の修正点を中心にご説明いただけますか。

【滝波企画調整官】わかりました。
 それでは,また後に戻ることもあるという前提で,重点施策及び基本的施策の部分の説明に入らせていただきたいと思います。
 資料は引き続きということで,7ページ以下になりますけれども,7ページが第2の文化芸術振興に関する重点施策というところです。ここから以下のところで,前回の部会を受けて少し修正を加えたところ,同じようにアンダーラインを引いてございます。
 7ページのところは,特に体制に影響のあるような修正はしてございません。
 重点戦略の1つ目,文化芸術活動に対する効果的な支援でございますけれども,これの8ページの一番最初の◆ですけれども,ここのところで,前回の部会の中で,「日本版アーツカウンシル(仮称)」というふうな表現を使っておりましたけれども,この(仮称)というような形で日本版というような表現をしておくのがいいのかどうかというふうな点でかなりご議論があったと思います。事務方のほうでも少し考えてはみたんですが,なかなかいい知恵もなく,また各委員のほうにも何かいい言葉があればということでお願いしておったんですが,なかなかいいアイデアが浮かんでこないような状況もございますので,とりあえず今回のここでお示しする案としましては,アンダーラインのところですが,「諸外国のアーツカウンシル等を参考にしつつ,新たな仕組みの導入に向けて」云々ということで書いたところでございます。この点については,また改めてご検討いただきたいなと思っております。
 もう一つ,次の◆で,ここは劇場・音楽堂の整備に関しての中身がもう少し見えるようにならないかなというふうなところ,特に後ろにつながる法的基盤の整備に関してつながりが見えないなというようなご指摘もあったかと思います。その点を踏まえまして,今回お示しする案としては,アンダーラインのところですが,「地域の核となる劇場・音楽堂等の文化芸術拠点が創造・発信機能を十分に発揮できるようにするため,その活動への支援を拡充するとともに,その法的基盤の整備について早急に具体的な検討を進める。」というふうなことで具体化を図っておるところでございます。
 それから飛ばしまして,次の修正点としては9ページになりますが,重点戦略の4つ目で,文化芸術の次世代への確実な継承に関してでございます。
 ここの部分では,前回のご議論の中で,文化財の保護の裾野の拡大に関して,より積極的な記述が盛り込めないだろうかというふうなご意見があったかと思います。それを踏まえまして,アンダーラインのところですが,「地域の文化財の総合的な保存・活用の推進や,文化財登録制度等の活用により,文化財保護の裾野の拡大を図る。」ということで明記をしたところでございます。
 次のページ10ページになりますけれども,これは重点戦略の5つ目でございます。
 最初の◆で,ここもご意見があった点として,伝統芸能に関して記述が必要ではないのかということと,有形の文化財だけではなくて無形の文化財ということもやはり大事,文化資源というものは大事であろうというふうなご意見がありましたので,それを明示的にしようということでアンダーライン部分の追加をしてございます。
 そこまでが重点施策の部分に関してでございます。
 11ページに少しアンダーラインを引いていますが,これもほとんど体裁に関することですので,割愛させていただきます。
 それから,12ページ以下が,基本的施策に関する修正を加えた部分でございます。
 もう少し拾っていきますけれども,12ページですが,ここは1つ目の文化芸術各分野の振興の(1)として芸術の振興ということですが,これは先ほどの重点施策のところと連動する形での修正ということで,平仄を合わせた形にしてございます。
 飛ばしまして14ページでございますけれども,ここは文化財の保存・活用に関してでございます。ここにつきましても,先ほどの重点戦略で修正を加えたこととの平仄を合わせた形の書きぶりの変更でございます。
 それから,18ページでございますけれども,これは前のページからのつなぎで,国語の正しい理解に関するところで,上から2つ目の矢印のところで,内閣告示を「第2号」と書き込んでいますが,昨日,常用漢字表の新しいものが内閣告示されましたので,それの告示番号を明記したところでございます。
 内容にかかわるような修正点は以上のようなことでございます。
 あわせまして,別添ということで,別添の資料としては資料3と資料4がついているわけですけれども,これについても少しご紹介しておきますと,資料3は,戦略目標と評価の進め方・指標に関してですけれども,今ご説明したような,これまでの意見の整理のほうの文案の修正に対応する形でそれぞれ重点戦略の戦略目標,評価の進め方・指標についても修正をそれぞれ加えておるというところでございます。
 1ページ目のところは,ご覧いただくとおわかりのとおり,アーツカウンシルのところの書きぶりとか劇場・音楽堂のところの書きぶりを変えてございますことと,上から4つ目の◆,劇場・音楽堂の関連で,指標のところですけれども,赤字で「国内外の評価」というふうに書きましたけれども,国内だけじゃなくて海外からの評価のされ方というのも大事ではないかというご意見もあったかと思いますので,その点の修正を加えております。
 3ページ目は,文化芸術の次世代への確実な継承です。これも,先ほどの重点戦略の見直しに伴う対応ということで,登録精度の活用,裾野の拡大に関する技術を盛り込んでおります。そのような修正を加えたものになってございます。
 それから,もう一つの資料,資料4でございます。
 これは工程表とおよその見通しということで,前回お示しした際には,後ろに括弧書きでイメージ試案ということで書いておりましたけれども,今回はイメージ試案は外しましたけれども,少し事務局のほうでもない知恵を絞りながら,これから先どんなことが考えられるかということを少し赤字で盛り込める範囲で盛り込んでみたものがこれでございます。なるべく中身が具体的にイメージがわくような形で書きたいという思いを込めて赤字のところそれぞれ追加記述してございます。
 特に,インセンティブが働くような助成制度のところとか,アーツカウンシルのところといったところは,具体化をそれぞれ図ってきておりますので,このような書きぶりでいいかどうかという点のご確認をいただきたいと思っております。
 2ページ以下についても同様でございます。
 それぞれ今後の施策の展開を見据えて,可能な範囲で具体化を図るべく記述を盛り込んでいるところでございます。これらについても書きぶりについてご確認いただけたらなというふうに思っております。
 重点戦略部分と基本的施策については以上でございます。どうぞよろしくお願いします。

【宮田部会長】ありがとうございました。
 いかがでしょうか。これもまたしばらく時間をいただきたいと思います。
 資料4が23,24,25からというのが縦に随分無情な線が入っていて,23以降は空白という状態だったんですが,その辺は継続してつながっていくというふうな連携の表現の仕方に変えてあります。
 佐々木先生,どうぞ。

【佐々木委員】重点戦略の件ですが,例えば,いろいろな時代によって,これから先の時代によって既に成立している法律そのものも検討していくような事態が発生しないのかということが一つです。例えば,文化財保護法であるとか,あるいは文化芸術振興基本法であるとか博物館法であるとか,そういうようなものを随時見直していくような体制をつくっておくというか,そういう準備をしておくというふうなことを何かここに入れておく必要があるのかないのか,その点が一つです。
 それから,基本施策のほうなんですけれども,これは私が,たしか美術ワーキング,それから文化財ワーキングでも出た話なんですけれども,今後いろいろな基礎資料であるとかデータであるとか,あるいはいわばアーカイブですね,アーカイブというものを今後充実させていかなきゃいけない。そのときに博物館,美術館,それから図書館,公文書館,つまりMLA連携ということがそのときのワーキングで話が実際に出たんですけれども,それが審議経過報告書には明記されているんですけれども,こちらの基本施策の中でそれが落ちているように思うんですが,それを入れる必要がないのか。入れる必要がないのかというか,今後のことを考えると,1行でもこの文言を入れておいていただいたほうが今後の対応にベターなんじゃないかなというふうに思います。

【宮田部会長】ありがとうございます。前段に関しては,当然時代も変われば,法律というのはそれに即応しているというほうがよろしいんじゃないかと思うんですが,いかがですか,事務局のほうでは。
 それから後半に関しても,いわゆる改良の余地あるというための文言というのがあるでしょうけれども,どんなものでしょうか。直接今すぐ博物館法が目の前にあるわけじゃないものですから,すぐお答えするのは辛いところはあるかもしれませんが,基本的には,今僕が話したように,問題があれば,それはよりベターな方向へというのは全く問題ないですよね,文化財なんかにしても。関さん,どうですか。

【関文化財部長】もちろん法律を変えるという行政課題が発生すれば,それはまたいろいろご意見を伺った上で対応してまいりたいと思っております。

【宮田部会長】よろしいですか。後でまた滝波さんと大木さんで答えられるということですね。
 加藤先生,どうぞ。

【加藤委員】今の佐々木先生のご意見は非常に大賛成です。というのは,例えば重点施策の中の一番最初の部分で,「インセンティブが働くような助成方法」という表現の次なんですけれども,「1事業ごとの審査の積み重ねとしての」というのが,こういうふうに変えていただいてよくはなったと思うんですが,やはりこれがどうして必要なのかがよくわからない。というのは,やはり事業というふうに考えた場合に,「公演」というような表現があったのは,せめて「事業」に変えてほしいと前々回申し上げて,前回の議論に参加していないので,この部分はよくわからないんですが,やはりアウトプットというか,公演とか展示というところに重点が置かれているのではないかな。むしろここはすっきりと,「年間の活動への」と言い切っていたほうがいい。というのは,創造活動こそが一番重要な話なので,その結果としての公演や展示ということだろうと思うんです。そう思って,実は文化芸術振興基本法をもう一回全部つぶさに読み直してみると,公演,展示,上映等,あるいは芸術祭の開催というような文言はあるんですが,残念ながら創造の部分を支援するんだという話がどこにも書いていないんです。やはりこの法律自体が一つの時代的背景を帯びているんではないかな。ということは,根拠法そのものを今すぐいじくれと言いたいわけではないんですが,しかし,やはりこの点は今の時代の流れというものを考えたら,この文化芸術振興基本法も今後改定していく必要があるんではないかなというふうに,その部分からも感じた点なので,ぜひこの点は何らかの表現をしておいていただいて,すぐそういうことに着手するかどうかはわかりませんが,必要があるんではなかろうかと思いました。

【宮田部会長】加藤先生,逆振りしてよろしいですか。変に分類をきちっとすると,分類漏れしたものがあるから,それは心配なので包括的にやりたいという,だけど包括的にやることによってそういうことの文言をつくることによってインパクトがなくなるというマイナス面はないでしょうか。

【加藤委員】そのために,ここには冒頭に創造性というところの発揮や継続的な発展というところを入れていただいて,そこで創造性にはきちんと配慮しているよというふうに理解できるようにはしていただいたので,せっかくそこまで踏み込んだにもかかわらず,後半で再び現状追認みたいなところにやや戻っているのではないでしょうか。ですから,先生おっしゃるとおり,確かにインパクトという点ではこっちのほうがわかりやすいということかもしれませんが,ないほうがむしろここは整合性がとれるのかなというふうに思います。

【宮田部会長】ありがとうございました。
 吉本先生,どうぞ。

【吉本委員】前回の議論があって,日本版アーツカウンシルというのは確かに変な言葉なので,今こういう表現に修正していただいているんですが,こうなると,新たな仕組みの導入となっちゃうと,何かちょっと変えるだけかなという印象になっちゃいますよね。非常に難しいんですが,仮称づきで,日本語で日本芸術評議会(仮称)とか,やはり具体的なものを書いたほうが,今までと違う新しいものができるんだというメッセージが出ると思うんです。だから,前回も,要するに外国のものを参考にして,それの日本版をつくるというんじゃ弱い,しかも片仮名は問題ではということだったので,仮称でそう書いてしまったらどうかなというのが一つの提案です。
 その場合に,具体的に課題になるのが,日本芸術文化振興会というのがあって,その英語名称は,たしかジャパンアーツカウンシルなんです。だから,英語名称の整合性をどうするかという点については,技術的にクリアをしなきゃいけないと思うんですけれども,例えば,仮称をつけて日本芸術評議会というような言い方があるんではないかな,ということです。
 それに関連して,資料4の工程表なんですけれども,これも事務局の御努力でいろいろ具体的なことを書いてくださって,上から3つ目のところにもアーツカウンシルの項目があります。ただ,実はアーツカウンシルというのは,それだけが独立しているのではなくて,一番上の今,加藤委員からご発言のあった創造性の発揮への支援とか,あるいはその下の寄附のところや4つ目の地域の核となる劇場・音楽堂,これらとリンクしていると思うんです。ですので,書き方として,23年,24年度ぐらいにそれぞれやっていって,25年度の頭に(仮称)日本芸術評議会の本格的な稼働というふうにして,そこに集約されていくというようなイメージがあると,より具体的になるかと思います。
 この工程表というのは,新しいものを立ち上げていくときは,そういうふうにステップステップで目標ができると思うんですけれども,従来やっているものを拡充したり改編したりするものというのは,こういう書き方にならざるを得ない部分があるかもしれませんね。ですので,アーツカウンシルの部分が今回の提案の目玉になるのであれば,工程表のほうでもそういう見せ方をするというのが一つのアイデアではないかなと思いました。

【宮田部会長】ありがとうございます。
 あれは日経さんでしたか,括弧づきでこの前の書いて……。

【山脇委員】取材させていただいて。

【宮田部会長】高萩委員。

【高萩委員】今のに関連してですけれども,ワーキンググループの中では結構いろいろ意見が出て,日本版としてのアーツカウンシルというふうにしたんです。前回のときに,片仮名がということがあったので,僕も芸術評議会というのがいいかなとも思ったんですけれども,直しても結局訳せばアーツカウンシル,諸外国の場合のアーツカウンシルを訳すと芸術評議会なんですね。だから,もし残すならば,本当に日本版アーツカウンシルのままのほうが,逆に将来正式名称を出すときにいいのかもしれないなとは思います。それこそ皆さんのご意見としてこの間,片仮名はやめようというような感じだったので,その割にはアーツカウンシルだけが残っているというのがちょっと不思議な感じがします。
 工程表についてですけれども,やはり5年後のところで,検証結果を踏まえて本格的導入に向けた検討を実施というのは,これは余りにもないんじゃないかな。やはり23年度からやってきて,27年度には本格的導入じゃないですか。工程表については閣議決定をなさらないならば,本格的導入と書いていただいて,それを検証する。5年経っても導入に向けた検討を実施している状態じゃ,本当に諸外国に間に合わないんではないかと思います。工程表をつくっていただいたからわかるんですけれども,やはりここはぜひ本格的導入として,前をちょっといじっていくというふうにしていただけないでしょうか。まずアーツカウンシルのところからよろしくお願いいたします。

【宮田部会長】ありがとうございます。

【加藤委員】これは補足よろしいですか。

【宮田部会長】はい,どうぞ。

【加藤委員】今の高萩委員の意見に全く賛成なんですが,諸外国のアーツカウンシル等を参考にと言っている以上は,5年後のほうが私は問題じゃないかなと,むしろ初年度だけ試行して,24年度からは本格実施をすると言い切ったほうが,それぐらいのテンポでやらないと,まさに諸外国にますます離されてしまう。
 先般,私どもの企業メセナ協議会で韓国との交流をやって,韓国のアーツカウンシルとの交流もさせていただいたんですけれども,相当日本のほうが負けているなというか,それを考えると,参考に余りしていないという感じが,これだと出るんじゃないかなと思って,少なくとも何年目かには本格導入という,工程表というはもっともっと早めて表記されるべきではないかなと思いました。

【宮田部会長】どうぞ。

【里中委員】先ほどから,片仮名語がどうのこうので,前回も申し上げたんですが,日本語で表記できるところは,なるべく日本語のほうがいいというのは,つまり「アーツカウンシル」という言葉も,諸外国のアーツカウンシルと言っていますが,各国での使用言語があるわけですよね。ものすごく細かいことを言うと,使用言語を全部並べてこの意味を言わなきゃ変になっちゃうかなと思うんですよ。どうしてもこういうときに英語とか,あるいは特別イタリア語っぽいのとかフランス語とかを導入してきて書きますけれども,どうして名詞だけを直輸入っぽい片仮名語で言わなきゃいけないのか,これもわからないんですよ。「諸外国の」と言い切れば,「諸外国の芸術評議会等を参考にしつつ」でいいんじゃないかなと思うんですが,そのほうがすんなりと後に移行しやすいような気がいたします。それだったら,今,日本語で我が国がどういう名称をつけるかということを急いで悩まなくても,じわっと浸透していくような気がするんですけれども。ただ,先ほどありましたように,じゃ,それを直訳した場合に,アーツカウンシルというのはもう一つあるんだということになった場合にまずいですよね。そこをテクニックとしてどうしていいのか私にはわかりませんけれども─と思います。まずいんですかね。もうここで日本語訳で入れちゃうというのは。どうなんでしょうか。

【宮田部会長】青柳先生。

【青柳委員】1つだけ,もし日本語に直すとしたら,ゲンブンシみたいなところでも芸術文化と使っているので,もうちょっと広くするためにも,文化芸術評議会というふうに,ページ数だけにこだわらないあれがちょっと必要じゃないかなという気がしますけどね。ページ数だけにこだわらないあれがちょっと必要じゃないかなという気がしますけどね。やはりアーツカウンシルというのは,カウンシルという概念自体イギリスから出てきていますから,だから,いろいろなところで少しずつ違ったアーツカウンシルがあるけれども,やはり基本はイギリスのカウンシルの概念が中核にはあるんじゃないかなという感じはするんですけれども。

【宮田部会長】文化芸術評議会。
 高萩先生,どうぞ。

【高萩委員】文化芸術振興基金に関しては,文化を入れたことによって非常に幅広くなってしまったと思います。今回のアーツカウンシル的な部分に関しては,やはりどっちかというと国と助成金のやりとりをするところということで言うと,「文化」を入れないほうがはっきりするんではないかと私は思っております。
 アーツカウンシルに関しては,世界アーツカウンシル大会,世界のアーツカウンシルのアソシエーションみたいなものができてきまして,英語圏だけの英語というよりは,非常に国際語としての英語のアーツカウンシルというふうになりつつあるんではないかと思いますので,英語表記だけということではないと思いますけれども。

【青柳委員】まさにその点をここで議論したいんですけれども,いわゆる芸術,アートといった場合の概念についてはヨーロッパから持ってきたものですけれども,日本語で芸術と言うときには,非常に狭くとらえられる危険性がある。
 例えば,歌舞伎はアートだけれども,お神楽はアートじゃないというような形になって,一番補助金が必要とされるような周辺芸能みたいなものまでいかない可能性があるんです。恐らく日本の文化というのは非常にそういう意味で,世界的に見てもまれなケースなんだけれども,継続性,継承性の非常に強い文化ですから,頂点と周辺が非常に一体化しているんです。ですから,妙に現在,「芸術」という言葉だけを使うと,本当の中核部分だけになってしまって,将来の頂点が高まるような活力を補助することができなくなるんじゃないか。これは,この基本政策を考えるときの芸術,あるいは文化芸術と芸術文化の理念のすり合わせをもっとやっておく必要のあることだと思います。
 これは,ですから一番最初のときに,僕は芸術文化と文化芸術はどう違うのかというのを質問したんです。

【宮田部会長】そうですね。文化力と一緒に。

【青柳委員】もう一つよろしいでしょうか。全然違うことなんですけれども,目次を見たときに一つ感じたのは,第1の2.文化芸術振興に当たっての基本的視点,(2)基本的視点,(1)成熟社会における成長の源泉です。これだけ見ると,例えば,発展途上社会における成長の源泉という意味だったらわかるんですけれども,成熟と成長というのはどこか矛盾しているような気がするんです。それで,そろそろ成熟社会という認識があるんだったら,成長もある程度必要でしょうけれども,成長一本やりじゃないんだから,成長と充実。だから,成熟社会における成長・充実の源泉というような概念にできないかな。これは,時代認識あるいは社会認識にあれすると思うんです。
 そういうふうに見ると,例えば,5ページの第4パラグラフの3行目のところで「成熟社会における新たな成長分野・充実分野」というような,平均にしていただくと少し居座りのいいものになるんじゃないかなという気がしますし,それから,同じページの一番下のパラグラフの「我が国としても,新たな成長分野として雇用の増大や」何とかというところも,「成長・充実分野」とか,恐らく「成長」という言葉がかなり日本の社会の中では難しくなっているということは経験的に皆さん持っているにもかかわらず,この言葉しかないから使っているわけですよね,政治家も何でも。だから,その辺をひとつ考えていただきたい。
 それからもう一つは,5ページの一番最初の「経済学的に見れば」何々と書いてある。だけど,「経済学的に」と全然言う必要ないと思うんです。経済学者が指摘しているんじゃなくて,むしろ我々が経験的に,及び経済学的にわかっていることは以下の文化芸術を,その性質上,市場のみで資金調達が困難だからというふうに。だから,ここでわざわざ「経済学的に」という言葉を入れる必要はないんではないか。というのは,私は日本の経済学に不信感を持っているからです。
 それから,4ページでちょうど中段のあたりですが,「国際的には,グローバル化の」というパラグラフの中で,「文化芸術面での交流の深化も期待される。それと同時に,中国,韓国をはじめ」何とかかんとかと書いてあるんですが,ここでわざわざ「中国,韓国」ということを入れるよりも,周辺の国々の経済文化的なことでいいんじゃないか。なぜ,ここで固有名詞を出さなくちゃいけないのかというあたりです。

【宮田部会長】ありがとうございます。
 もっとも,成熟した社会というのは,自分で自分のことを褒めるあほはいませんからね,その辺は気をつけたほうがよろしいですね。だから,周辺といえば,もうすべて含まれるということですね。

【青柳委員】今,特にベトナムなんかの発展状況というのはすさまじいものがありますから。

【宮田部会長】そうですね,シフトも変えていますからね,経済界も。
 浜野先生。

【浜野委員】今のご発言に近いことですが,4ページの一番下のほうで,資源の少ない我が国においては,人材こそが資源であると断定的に書いてありますが,一方,9ページの下のパラグラフでは,「文化芸術資源を発掘し」と書いてあります。私も小さい頃から学校で日本は資源がないと,日本は何もないんだと刷り込まれていたわけですが,芸術資源とか文化資源は,今,青柳先生おっしゃったように,豊潤であるにもかかわらず,日本は何もない,何もないとずっと公教育の中で刷り込まれてきたわけです。文化も芸術もないのだと思っていたわけです。文化庁の報告書なのに,人材こそが資源であると断定し,文化芸術資源を発掘しなければならないというのは,矛盾していると思うんです。こういう考え方こそを転換しなければならないと私は思っています。人材も資源ですが,美しい風土も資源です。江戸時代は自給自足していたわけですから,人材だけが資源であると断定的に書くのには抵抗があります。9ページとの整合性も考えると,ご配慮いただくとありがたいと思います。
 以上です。

【宮田部会長】独特な文化の継承の仕方を日本はしていますから,今までは。
 今のような感じで先生方,いかがでしょうか。
 どうぞ,高萩先生。

【高萩委員】ちょっと名称のところだけはぱたぱたっと発言があって止まっちゃっているので,決めておいていただいたほうがいいのではないでしょうか。日本版アーツカウンシルにするのか,芸術評議会にするのか,そのあたり。そうじゃないと,文化庁の方も,これで書き直して,また何人か違った人が意見を言ってということになるとお困りだと思うので,ちょっと議論させていただいたほうが……。

【宮田部会長】ありがとうございます。もうちょっと出させて,それからぱっといこうかなと思ったんですけど。どうぞ,どうぞ。
 いかがでしょうか。高萩先生の今のご発言がございますが,そろそろ名称については,やや怖いと言ってみたり,言い切ったほうがいいと言ってみたり,いろいろありますが,この辺で出したいと思うんですけど。真っ向違う……,どうぞ。

【高萩委員】私としては,ワーキンググループのときに結構意見が細かく出まして,それで,評議会とかアーツカウンシルがいろいろ出た結果,とりあえず日本版アーツカウンシルということにしたので,ぜひ,この際,日本版アーツカウンシルでいっていただければなと思います。

【宮田部会長】わかりました。

【里中委員】ちょっと物知らずで質問させていただきたいんですけれども,先ほど,文化芸術振興会が,訳したときにもうアーツカウンシルと言っているんですよね。

【吉本委員】そのままアーツカウンシル。

【里中委員】そうしたら,どうするんですか。もう既にあるわけですよね,国内に。で,新しく……

【宮田部会長】ちょっと吉本先生。

【吉本委員】それは私が答える立場じゃないと思うんですけれども,現実的なことを考えると,芸文振,つまり今のジャパンアーツカウンシルの中にある芸術文化振興基金というものを強化して,ここで議論している新しいアーツカウンシルになっていくというのが一番現実的だと思うんです。そこまで具体的な検討が進んでいるかどうかわかりませんけど。そうなれば,そのジャパンアーツカウンシルが本来の意味でのジャパンアーツカウンシルになっていくということになるんだと思うんです。今は,残念ながら,ジャパンアーツカウンシルという名前でありながら,大半は国立劇場,新国立劇場という施設を運営する組織で,その一部に芸術文化振興基金という,部門でいうと非常に小さいセクションがあるんですよね。そこはいわゆるプログラムオフィサーとかプログラムディレクターのような方々がいないし,そこ自身が,諸外国でいうところのアーツカウンシルのような評価・検証というのはやっていないんです。その機能を強化しなきゃいけないというのがもともとの議論の発端にあるので,ジャパンアーツカウンシルとの関係をどう整理するかというのは,現実どうするかということと,答申をどうまとめるかということが分けて考えないと難しいんじゃないかなというふうに思います。

【山﨑芸術文化課長】高萩委員のほうから,ワーキングでの議論のご紹介もありましたけれども,確かにわかりやすいということで「日本版アーツカウンシル」という言葉を使ってきたと思うんですが,つまりイングランドのアーツカウンシルのような機能あるいは仕組みを導入するということでやって,ですから,ここも試行的導入とか本格的導入という言葉を使っているので,必ずしも新しい組織をつくるということではないのかなと思うんです。ですから,そういう意味では,(仮称)という言い方をすると,何か新しい組織をつくるような印象もあるのかなということで,今回,きょう事務局で出させていただいた原案のような書きぶりをしてみたんですが。ですから,組織なのか機能なのか,もう一度ご確認していただいた上でご議論いただいたほうがいいかなと思います。

【吉本委員】そうであれば,どこまで書けるかわかりませんけれども,芸術文化振興会の基金の機能をさらに強化して,評価とかそういうものも入れて強化をして,そこを抜本的に改正していくというような書き方もあるんじゃないかと思うんですけど。ただ,何かメッセージとしてはやはり今までと違う新しい仕組みができるんだということをここで出したほうがいいと思うんですよね。なかなか難しいとは思いますが。

【高萩委員】その組織の二重化云々で言えば,地域創造も何とアーツカウンシル・フォー・オリジナルアーツという英語名を持っていまして,英語名に関して言えば,余り……

【吉本委員】地域創造はファウンデーションです。

【高萩委員】ファウンデーションでしたっけ。

【吉本委員】ジャパンファウンデーション・フォー・リージョナル……

【高萩委員】ごめんなさい,勘違いでした。すみません。

【近藤文化庁長官 事実関係のご質問ですが,アーツカウンシルイングランドのやっていることは,これから基金にやってもらおうと思っていることとほぼ同じなのか,それとも,今の振興会がやっているようなほかの業務も含めて幅広い責任範囲なのか,そこはどうであるのでございましょうか。

【吉本委員】イギリスの例で言いますと,国立劇場等もアーツカウンシルから助成金が出ています。ただし,それはレギュラーファウンディングということで,一々申請をしなくても定期的に出る仕組みになっています。ただ,劇場そのものの組織はアーツカウンシルとは別の組織になっている。でも,今,日本の芸術文化振興会は,芸術文化振興会が国立劇場そのものだし,新国立劇場は別の財団になってはいますが,振興会自身が文化施設の運営をしているという点では,イギリスのアーツカウンシルとは,構造が違うんじゃないかと思います。
 あと,参考までに申し上げますと,イギリスの場合は別にフィルムカウンシルというのがあったり,博物館・図書館・資料館評議会,これもライブラリー&アーカイブカウンシルと言うんですけれども,要するに,カウンシルが幾つかあるんですね,分野ごとに。保守政権になって,このフィルムカウンシルは廃止になるという話を聞きましたけれども。だから,芸術にするのか,文化芸術にするのかというのも,結局,文化芸術全般でどういう仕組みとどういう組織でもってそれを支援していくのかということとあわせて考えないと,芸術がいいのか,文化芸術がいいのかという結論はなかなか出ないような気がします。

【宮田部会長】印象なんですけど,文化芸術と言ったとき,最初のころの話に戻りますが,結構並列に聞こえるんですね。芸術文化というと,芸術の中にある文化的な要素というふうにとる場合が過去の例でいくとあるんですが,ニュアンスでとっている話ですので,難しいかなという気がするんですが。ですから,吉本先生が,ふっと文化芸術評議会ではなくて,芸術文化評議会とさっき一言言いました。語呂がいいなと思って聞いたんですけれども。
 どうぞ,加藤先生。

【加藤委員】アーツカウンシルの機能,今言ったいろいろな調査研究,プログラムの開発,それらのプログラムオフィサーがやっていく,検証もするというような機能は,いわゆるイギリス型のアーツカウンシルの機能をなるべく日本で活かしたほうがいいだろうと思うんです。そのときに,ただ芸術と呼ぶか,芸術文化と呼ぶか,文化芸術と呼ぶか,それは一見大変違うように見えて,高萩委員は多分狭く芸術をとらえたいほうだと思うんですが,青柳先生心配しておられる,もっと日本の文化は幅広い,いわゆるマージナルアートまで含んでアートと言うんではないかという,あるいはそれをあえて定義するために文化芸術と言ったほうがいいんだというお考えもよくわかるんですが,名称よりは実態が恐らく日本で周辺領域を入れない定義というのは今後難しくなるだろうと思うんです。そういう意味で,余りここはそれほどこだわらなくて,いわゆるアーツカウンシルと,アーツと言っておけば,日本に持ってきた場合のアーツは,やはり日本型のアーツに当然なるはずなので,そこはもっと幅広くカバーもいずれできるんではないでしょうか。現にアーツの存在形態が,この10年ぐらいで相当変わってきて,世界で恐らく最も幅広い分野をカバーして活動をやっているのが日本だろうと思うんです。そういう意味で,最近注目されている新たなコミュニティアートのようなものも,日本にとってみれば,そんなこと昔からやっている話よというぐらい当たり前のことになってきているわけですから,そこの名称は,どっちでもいずれカバーできるので,機能の部分と領域の部分は分けて考えてもいいのかなというふうに,つまり結論的に言うと,どっちでもいいということなんですが,名称はね。ただし,残念ながら,これは成立時に私は非常に抵抗しましたが,文化芸術振興基本法と言っちゃったんですよ,あのときに。それまで文化芸術なんて言葉はなかった。それをあの法律をつくるときに発明をしてしまって,法律用語にしてしまったので,我々もその後,しぶしぶこの用語を使っているわけで,そういう意味では,現基本法にあわせて用語を使っても不自然ではないというか,そのほうが整合性がとりやすいんではないかなと思いますが。

【宮田部会長】ありがとうございます。
 片仮名を使いたくないと先般も私は言ったんですが,そこまで言うならば,もうちょっと議論の余地があるならば,日本版という言葉が逆に一番気になるのかなという,せっかく答申をするのに,何とか版と人から借りてきたものというような感覚のレッテルを張ることが,いかにも借り物という感じがするので,日本発信をということであるならば,アーツカウンシルだけでもいいかもしれませんし,最初の文章に戻る,苦労して事務局がつくった,あの表現の仕方でもいいのかなと思ってみたりもするし。
 これ,どうしますか。決めちゃいましょうか。どっち決めてもこういうものというのは,半分は引きずります。でも,今,加藤先生おっしゃったように,試行することのほうが,組み立てることのほうがもっと大事になってきますので,文言に関してはそろそろ終わりにしたいと思いますが。ちょっとくらまた冷静になって考えて,次のときにこうしますと言い切っちゃいますが,よろしゅうございますでしょうか。まだありますか。何かございましたら,今までの話をずっとまとめていったところでやってみたい。

【高萩委員】名前をつける方向,今,名前をつけない新たな仕組みになっていますので,名前をつけて,ぜひ乗っけていただいたほうが,さっき吉本さんが言ったように,新しいことが起こるなという感じが……

【宮田部会長】だから,名前をつけて発します。

【高萩委員】それはもう決めたところで。

【宮田部会長】よろしゅうございますね。

【高萩委員】はい。

【宮田部会長】では,そうさせていただきます。
 それでは,次にどなたか,何か違う方向でございましたら。よろしゅうございますか。
 どうぞ。

【加藤委員】すみません,たびたび申しわけないですが,あと2点,全体の中で気になっている点があるので,その点について申し上げたいんですが,1つは,重点戦略の一番最初の部分の中の4つ目でしたか,地域の核となる劇場・音楽堂等の文化芸術拠点,これはいわゆる劇場法をにらんだ場合に,その法的基盤整備ということで整合性がとりやすいということでこういうことになったんだろうと思うんですが,前回の議論を私が踏まえていないので,とんちんかんなことを申し上げるかもしれませんが,たとえそうであっても,ここはやはり文化芸術拠点というものは,地域において非常に幅広い機能を本来持つべきだというふうに考えるならば,あえて劇場・音楽堂等のということはここに盛り込まないで,とはいえ,工程表の中で,いわゆる劇場法のことを視野に入れて工程表をつくられるのは,それはいいと思うんです。そのほかのことはなかなか今のところ日程に上がっておらんじゃないかということになっても,それはやむを得ないことだと思うんですが,余り機能を限定しないで考えたほうが,今後の地域における文化振興にとって非常に意味があるのではないかなというので,議論を戻すようなことで大変恐縮なんですが,ひとつその点をご検討いただきたいなと思っている点が一つでございます。
 もう一つは,一番最後の重点戦略の6の部分の中の海外フェスティバルに言及されているところは,これは非常にいい点だろうと思うんです。特に,国際芸術フェスティバルへの支援ということが触れられているんですが,この点は前々回,むしろ日本から世界に向けて発信をしていくことが重要なんだということを申し上げましたが,それのさらに続きなんですが,そうした場合に,よく言われることは,海外に持っていくことが発信だというふうに一般に考えられている。それはもちろん相当の効果があるはずですが,逆に日本で開催して,日本に海外から特に専門家をお呼びする。そういう人たちに日本の文化を海外に紹介してもらう,このことがいかに効果的かという点が,ややもすると少し閑却されているんではないかなというふうに思います。そういう意味で,こうした支援策をとられる,特に今回の来年度の概算要求の中にこれが盛り込まれていることは非常に高く評価できる点ですが,実際のこういう執行に当たっては,ぜひ海外からいかに専門家を日本に呼んでくるか,その部分にこうした予算が使われるようにという,ある程度条件を付与して執行されるというふうにしたほうがいいんではないかな。そうした考えをやはり今後より強化をしていくことが日本文化の国際的な発信の強化につながっていくと思うので,ぜひその点をお願いしたいなと思います。

【宮田部会長】ありがとうございます。
 今,具体の例でいくと,至近なところで,例えばMOA美術館で,イギリスの学芸員2人をお呼びして,日本の21世紀における伝統工芸美術展を2人の英国人が見た日本の伝統的な美術を選別して何点かを陳列する美術展をやるというのがきょう新聞に出ていましたけれども,なるほどな,彼らの目から見たときに,日本の美学はどう映るのかというふうなのがあったので,加藤先生のお話が,きょう朝見た新聞でちょっといいなと思ったのがあったので,その辺も盛り込んでみるとおもしろいと思いますね。それが,結果的には日本人が日本を知ることもあり,海外の人が日本のすばらしさを伝えることにもなるというふうになると思います。ありがとうございました。
 さっきのにちょっと戻りますが,例えば,諸外国のアーツカウンシル等を参考にしつつ,新たな仕組みとして文化芸術評議会の導入に向けて早急に必要な調査研究を行うとともに,可能なところから試行的に取り組みを実施するというあたりはどうでしょうか。そうすると自然になじんでくるかな。後で書いたのを渡します。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【高萩委員】1番目の工程表のところで見てみますと,さっきの法的基盤の整備のところなんですけれども,やはりなかなか整備されていくようには見えないわけですよね。なので,つまり施策としては「早急に具体的な検討を進める」で,どこかで段階を追えないのかな。23年度は「意見聴取」,24年度は「法案の基本的な骨格を作成」とか,法案の,何かでき上がっていくんだなというような感じの工程表にならないものなのでしょうか。

【宮田部会長】どうですか。

【滝波企画調整官】ちょっと検討します。

【高萩委員】わかりました。期待しています。

【宮田部会長】田村先生。

【田村部会長代理】私も同じくでございます。
 それともう一つ,重点戦略1のところに,「支援を拡充する。また」と書いてございますよね。恐れ入ります,次の重点戦略2のところに,「運営を支える専門的人材の育成・活用に関する支援を充実する」。支援を充実するだけではだめだと思いますので,ここにも法整備が必要だということを,雇用の場の創出を目指すとか,そういうところまで書いていただいたほうがよろしいかなというふうに思います。

【宮田部会長】ここのほうに,雇用と文化は密接な関係があると書いてありますからね,力強い言葉ですね。ありがとうございます。
 山脇先生,どうぞ。

【山脇委員】すみません,ずっと議論に遅れているものですから,目についたところだけ。
 今,加藤さんでしたっけ,おっしゃったのは,8ページ目の地域の核となる芸術・音楽堂等のというのが指摘なさいましたけれども,私も賛成で,文化芸術拠点というのは,何も芸術・音楽堂だけではなくて,美術館も含めてすべて文化芸術拠点で,それは地域の核となるべきものだと思いますので,この2つだけを取り上げる必要はないんじゃないかと思うんです。
 そういった意味で,全部通して見ないとわからないんですが,何か舞台芸術と美術みたいなものを分けて考えるような,違うこともあるんですけれども,議論がなされているかなという気がしないではないんですが。

【大木政策課長】そこの地域の核となる劇場・音楽堂等の文化芸術拠点の部分なんですけれども,ここは,今,美術館というお話がございまして,別に美術館を排除する,だから,文化芸術振興の一つのありようとして,美術館の振興というものを排除しているとか,そういう意図はないんですけれども,ここでもって書いているのは,少なくとも舞台芸術系のことに注目して書いている。そもそも発想の根本的なところというのが劇場法だったりとか,そういうところが根っこにあるものですから,ここで意図して書いているのは,舞台芸術系のことを書いているということでございます,少なくとも。したがって,美術館とかというような取り違いが起こらないように,劇場・音楽堂という,音楽堂は何だという話もありましたけれども,一応法令で使われている用語といたしまして音楽堂という文言を使ってイメージを出していると,そういう感じです。

【山﨑芸術文化課長】すみません,補足しますと,この部分は第2次基本方針を引きずっていまして,第2次基本方針のときに,項目名で劇場・音楽堂等の充実という項目がありまして,その中の文言として,この劇場・音楽堂等のことについて文化芸術拠点という言い方をしていたので,前回のときには項目名で劇場・音楽堂というふうにもう定義していましたので,裸で文化芸術拠点と言っても美術館や博物館が入るという誤解は生じなかったんですけれども,今回そういった項目名がなく,裸で文化芸術拠点と表記しますと,美術館や博物館も含まれてしまうんではないかという誤解が生じるかなと思いまして,例示的に劇場・音楽堂等のという文言を付加してはどうかということで入れさせていただいたという次第でございます。

【宮田部会長】2次のときもちょっとという気はちょっとしながら流れたんですよね。
 山脇先生,どうですか。

【山脇委員】議論の流れを無視して申しわけないんですけど,誤解を生じる,生じるとおっしゃるんですけれども,つまり誤解しちゃまずいですかということなんですよ。ここに文言としておっしゃっていることは,別に誤解しても問題ないようなことじゃないかなと思ったんですが。

【山﨑芸術文化課長】前半の部分の支援を拡充するという部分は,両方につけるのかもしれないですけれども,法的基盤の整備については,劇場関係者の方々は,例えば,博物館には博物館法という法律があって,図書館には図書館法がある。なのに,劇場や音楽堂にはそういった法律がないので,そういった法的基盤をつくるべきではないかというご意見があるわけです。ですので,美術館,博物館については現在のところ法的基盤の整備について云々という記述は当てはまらないのかなというふうに思います。

【宮田部会長】どうぞ。

【田村部会長代理】今のようなお話が出るということは,今いろいろな全国の施設の方も危惧していらっしゃることですが,劇場・音楽堂からの創造発信への支援というのが今ございますよね,来年度に。それと結びつけて法的基盤が一体となって論議されるので,そこを皆様が危惧していらっしゃる。私は,地域の核となる文化芸術拠点への支援を拡充する。またではなくて,これはまた別個に,どちらかに書いたらいいのかなとさっき申し上げたことなのです。人材の育成・活用の充実をするという2つ目のところです。そこに書くのがいいのか,法的基盤というのはどちらに書くのがいいのか,それとも両方に書いておいたほうがいいのかとも思うのです。最終的にはそうなのですが,支援を拡充するという実際問題の今の支援のあり方ですね,走り出した支援のあり方とその法的基盤がついてしまうと非常に危惧される方は多いのではないかと思います。

【吉本委員】ここのところは,私は今具体的に進めようとしている政策に合う形で記述をしておいたほうがいいと思うので,この劇場・音楽堂等というのが入っていたほうがいいんではないかと思います。というのは,これがもともと出てきたのは,全国に3,000館あると言われる公共劇場・ホールというものの中に,もっと地域の拠点になって,その周辺の小さな劇場・音楽堂の核になるようなものをつくろうというのが背景にある具体的な施策なので,余りここにいろいろなことを入れ過ぎると焦点がぼけちゃうんじゃないかと思うんです。ですので,美術館を排除するつもりは私は全くありませんが,ここは特に劇場や音楽堂などのところを重点的にやるということで書いてはどうかと思います。
 先ほど,加藤さんのおっしゃっていた劇場・音楽堂以外の新しい文化芸術拠点があるという部分については,むしろ10ページの上から2つ目に「文化芸術創造都市の取組等新たな創造拠点」というのがあって,ここがいわゆるNPOとかが使っている新しいオルタナティブな場所とか,ここにアーティスト・イン・レジデンスというようなことも出ていますので,そちらのほうで読むようにしたほうがいいんではないかなというふうに思います。

【加藤委員】ここが,いわゆる劇場法を視野に入れてやっているんだということはよくわかっているので,それに反対するつもりは全くないんですが,これよくないのは,地域の核となるというのを,こういう形容詞がその後に必ず劇場・音楽堂等と出てくるところがまずいんですよ。つまり,言っていることはよくわかっているんですよ,わかっているんだけれども,そう言うんなら,地域の核となる文化芸術拠点が創造発信機能を十分に発揮できるようにするため,その活動への支援拡充をまずしなさいということですよ。現在,幅広いいろいろな美術館だけではなく,もっと様々な新たな地域の拠点となるものがあるんだから,そういう意味で,まずそれを言った上で,なかんずくとか,特に劇場・音楽堂等の法的基盤の整備について早急に具体的な検討を進めるという表現だったら,私は納得できる。ただ,ここの冒頭に,地域の核となる文化拠点と言っているのを,なぜ,音楽堂,劇場に限定しているんだというところが引っかかるところなんですよ。なので,そこはやはり整理をしていただいたほうがいいかなと思います。

【宮田部会長】法整備をしましょう。そういう感じですね,ありがとうございました。
 よろしゅうございますね。とても明快になったと思います。ありがとうございました。
 どうぞ。

【青柳委員】また申しわけない,アーツカウンシルに戻るんですけれども,先ほど事務局のほうから,機能なのか,あるいは組織なのかというようなこともございまして,この12ページの文章からすると,新たな仕組みの導入というすばらしい曖昧模糊とした言葉が使われているので,どっちにでもとれるんでしょうけれども,アーツカウンシルを考えるときに,僕はアートよりもサイエンスのほうが強いので,普通は個々の研究者がいて,そしてその上にプログラムオフィサーがいて,その上にサイエンスマネジャーがいる。サイエンスマネジャーというのは,中国科学史なんかをやったニーダムみたいなとんでもない大きな学問全体の動向を導く人で,その下にプログラムオフィサーがいてというヒエラルキーと言うとおかしいですけれども,序列だと思うんです。
 ところが,アートを考えるときは,もう既にアートマネジメントというような形で,アートマネジメント自体,アートマネジャーというのが,いわゆるサイエンスでのサイエンスマネジャーとは違うんですね。ですから,組織をつくるとき,あるいは機能を考えるときも,プログラムオフィサーとマネジャーというものをどう考えていくのかということが非常に問題で,少なくとも第二次世界大戦後のイギリスのアーツカウンシルを考えたときと,ちょうどそれと並行してフランスではマルローなんかが活躍したときと,我々のイメージとしては,マルローみたいなのがちょうどサイエンスマネジャーに当たるカルチャーマネジャーに相当するんじゃないか。その下にプログラムオフィサーなんかがいるんじゃないか。
 そういうふうに考えると,ここで,例えば文化庁は既に松村監査官がいらっしゃるところでの調査員がたくさんいらっしゃるんです。そういうもの,あるいは監査官という役職の組織あるいは機能もあるわけですけれども,指定物件なんかで。それと,これから新しくつくろうとしている,あるいはイメージしているアーツカウンシルというものが,あるいはトウブンケンというようなものとどういう関係にあるのかというのはまだ余り話題にせずにアーツカウンシルだけ今我々考えている。そうすると,どこを補充するのか,どこを違うふうにするのか,あるいは今の監査官のもとにある調査員たちのところで何が欠けているのか,何が弱いのか,そういうことも少し検討しないと,この辺具体的なイメージが出てこないと思うんです。

【宮田部会長】そうすると,また戻るけれども,高萩先生が,それぞれの部会で苦労して日本版アーツカウンシルという言葉にして出してきたということの背景が今ちらっと見えますね,そういう部分も。

【青柳委員】トウブン系にも演劇なんかもあるわけですよね,ちゃんと伝統芸能に関しては,調査をする研究者が。

【宮田部会長】わかりました。
 滝波さんの苦肉の策のさっきのぼかしがまた復活しそうですけど,周辺がまだ確立していないうちに表札をつくると,母屋はなくなっちゃいますね,下手すると。と言いながら,何かないとなというのが。ちょっとここで立ち止まるのは時間がもったいないので,その辺も含めてまた冷静に考えてみたいと思います。ありがとうございました。
 それ以外でございましたら,いろいろな意味で先生方,窓口を常に開いておりますので,ご指摘をいただけたらと思っております。
 工程表いってみようか。どうぞ。

【浜野委員】細かいことで申しわけないのですが,13ページの真ん中辺にフィルムセンターのことが書いてあるんですが,現在,放送脚本などの蓄積が膨大になっていて,映画の脚本も含めて,どこで保存管理をするかが問題になっています。できれば映画,映像作品等と書いておいていただきたい。本当に放送脚本の保存には困っていて,下手すれば産業廃棄物として捨てられかなない状況になっているので,映画脚本につていは専門家のいるフィルムセンターのようなところで保存してほしいと思います。フィルムセンターは人手が足りず,はウエルカムじゃないでしょうが,利用者からすれば,フィルムセンターに関連資料があるのが望ましい。

【大木政策課長】メディア芸術というくくりの中で書いている事柄でございまして,脚本というとちょっと違うのかなということになるのと,それから,実は重点戦略4の9ページなんですけれども,ここの重点的に取り組むべき施策の中に,「文化芸術分野のアーカイブ構築に向け」云々というのを一つ入れてございます。この中でもって読み取っていただくということは十分可能かとは思いますけれども,どうでしょうか。

【浜野委員】日本の脚本は,海外の脚本と違って,素人でも読めるような独自の芸術作品となっています。海外の脚本は,訓練を受けた専門家しか読めませんが,日本の脚本は,翻訳しても外国人でもそのまま読めます。日本の脚本は,映画の資料というだけでなく,優れた表現手法であり作品です。だから,救っていただくとありがたいとは思いますが。

【宮田部会長】そこは質問してみますけれども,やはり諸外国と比べると。さっきは諸外国のものを参考にしということだったんです。その裏返しなんですけれども。

【浜野委員】何のトレーニングを受けていない人でも読めるように,日本の映像作家たちが工夫を重ねて磨き上げた表現手法です。海外の台本は,映像を創るための道具でしかないため,素人には読みこなせません。日本の脚本家の方々は脚本そのものを,とても大事にされていて,句読点すらも映像で表現することを求める方もいるくらいです。日本の脚本は,脚本それ自体で一つの作品です,そういう点では,我々の大事な資産だと思うので,映画と同じ程度のウエートを持って扱っていただくとありがたいと思います。

【宮田部会長】映画そのものもそうですが,周辺のポスターにしてもそうですし,結構いろいろな資料が私どもの学校で取り損ねたという苦い経験があるものですから,コロンビア大学に持っていかれちゃったので。そうですか,わかりました,検討してください。
 ほかはどうでしょうか。田村先生,どうぞ。

【田村部会長代理】重点戦略2の無形文化財や文化財を支える云々というところがございますが,参考までに申し上げますと,NHKは,戦後から50年かかって全国の民謡民舞を全部採譜し録音し,解説も残して,それが1993年にやっとでき上がりました。2万曲です。それでも,今やもとの形で残っていないというものもあるそうです。やはり保存とか,いわゆる今伝承をというお話がございましたけれども,アーカイブは早くに始めないと,なくなってしまうものもあるわけでございます。変わってしまうものもあるということで,そこは支援の拡充に向けた取組などということではなく,即始めるということにしないと失われていくものはたくさんあるのではないかと思います。

【宮田部会長】特に日本の文化は非常に小さく,隣近所でも伝えていくみたいなところがあるから,ふっと消えちゃうときありますからね。それがまた日本らしい独特な伝わり方なんですが。
 坪能先生,どうぞ。

【坪能委員】全体に重点戦略にも共通しているキーワードになってくるのは,やはりアーツカウンシルの部分だろうと今思っているんです。今の田村副部会長のご意見も同じなんですけれども,この中で,審査評価・調査と書いてありますが,一番今問題にしてきたのは,検証と評価だったと思うんです。それで,重点施策の工程表の中のそれぞれのところに,専門家による審査と評価というのはどこにも24年度から出てきています。このカウンシルの中のシステムとして,ここで検証と評価を踏まえたものがどう活かされるかという,そのシステムを明確にしておかないと,結局は支援,支援と言うんですけれども,支援をした結果がどうであって,それをさらに有効に伸ばしていくためにどうするかというのは,並列的過ぎると思うんです。子どものところも施策の検証と,検証を踏まえた事業の改善なのであって,その改善はだれが,どういうふうにもむのかということも明確ではない。先ほどのメディアのことも,問題がそこで出てきたときに,実際に調査をしているんではなくて,それをよりよく活かすために検討したり,実際に活動できるような,そういうチームがないと,それぞれがやりっぱなしになってしまうんではないかと思うんです。ですから,機能を活かすためのシステムなんですが,現在のところでは,24年度から,重点のブロックがそれぞれが独立しているような気がするんですがアーツカウンシルのところには重点戦略に関する検証,調査も含めてですが,評価・検証というものを活かすというようなことをしっかりここに明記していただいて動かないと,24年度あたりからはまた先送りになるかなという気がしますので,それを一言加えさせていただければと思いました。

【宮田部会長】ありがとうございます。
 さらっと逃げられないね,ここは。また知恵を絞りましょう。
 富山先生,どうぞ。

【富山委員】無形文化財,文化財を支える技術伝承者に支援を充実するということが書いてありますけれども,かなりこういうものをやっていらっしゃる方というのは高齢化していますので,早急に映像化する,そういう技術をどうやって伝承していくかということが大切なので,それからいわゆる職人さんたちというのは,自分たちで道具までつくってしまうような方が多いです。ですから,道具が残っていても,どうやって使うか,そういうことがわからないことが多いです。ですから,そういうものを映像化する,それから今,職人さんたちというのは,自分たちが伝えたものを,つまりお弟子さんとか後継者という方が帰ってこない場合が多いんです。ですから,そういうものを公開するという方が相当増えていらっしゃいます。ですから,そういうものを映像化して残しておくということがすごく大切なことだと思いますので,早急にそういうことはやっておいたほうがいいと思っております。

【宮田部会長】ありがとうございました。
 神宮の20年で一つのサイクルをつくるみたいな,それのもっと近場版ですね。

【富山委員】いわゆる宮大工の方が,道具は残っている。そういうもので技術的なものがなくなっても,それは復活できるというようなことをお話しになっていらした宮大工の方がいらっしゃるんですけれども,それは定期的にそういう修理が必要だ。それから,そういうものをどうやって使っているか。つまり寺社なんかですと,それを解体した時点で,どういう技術を使っているかということがはっきりとわかります。でも,私どもが使っているような,例えば楽器とか,そういうようなものに関しましては,これから先永久にそういうものを分解してきちんとしたものを修復するということは,もうできなくなるんではないかと思っています。ですから,定期的にそういうものがある程度のお金を使ってやれる部分と,我々みたいに,もう一度なくなってしまったらそれっきりになってしまうようなもの,やはり区別して考えないといけないと思っております。

【宮田部会長】ありがとうございました。

【高萩委員】基本指針のところに戻るんですけれども,先ほど青柳先生がおっしゃっていた5ページのところの成長分野,充実分野のところの後のところです。ここを直してくださって非常にわかりやすくなって,「公的支援に関する考え方を転換し」というふうに変えてくださったのですごくわかりやすくなったと思うんです。しかし最後に「社会関係資本の増大を図る観点から,公共施策としての位置付けを明確化する必要がある。」という,あいまいな感じに終わっているんですよね。
 見直してみますと,第2次基本方針はかなりの量で「必要がある」という言葉で終わっているんです。それと比べると,今回言い切りになっていて非常に強い調子になっていると思うのでいいと思うんですが,「明確化する」で終わってもいいんではないかと思うのです。多分前のところに引っ張られて「必要がある」が残っちゃっているのかなという気がしますので,ぜひ言い切っていただければなと思います。
 そう思うと,次の「必要がある」は非常に,こういう長期的な視点に立ってする必要があるので,そういうことをしようと思っているんだよというので残してもいいと思うんですけれども,もしご検討いただければと思います。

【宮田部会長】これはもう問題ないと思いますよね。何しろ,今回のは強く言い切るというのが根本ですから。

【高萩委員】前回のやつは「必要がある」連発なんですよね,2次方針は。

【宮田部会長】ありがとうございます。
 すみません,次のバージョンへ行かせてください。まだあると思いますが,また戻っても結構ですので。
 別添まで大体はいっているとは思うんですが,いかがでしょうか。
 どうぞ。

【田村部会長代理】工程表のところでございますけれども,重点戦略3の子どものところでございます。この2つは,概算要求を拝見いたしますと,地域,自治体が担うべきという事業仕分けのときのコメントが生きているという感じが否めないのでございます。その上,23年度の施策で,NPO法人などによるコーディネートの開始,両方ともそうなっていますね。それは一体何を考えていらっしゃるのかと思います。アートNPOが本当に一生懸命やっていらっしゃる方がいらっしゃるのは事実ですけれど,国の戦略として,アートNPO頼みというのはいかがなものかな,もっと責任ある施策にすべきではないかという感じがしています。というのは,伝統音楽等の普及促進支援事業というのを拝見いたしますと,やっと8年目にして,いわゆる邦楽教育,伝統音楽の教育のマニュアルというかそういうものをつくるというようなことになっています。大変申しわけないのですが,学習指導要領が変わって8年目にそれを始めるというのは,これは文化庁の責任だけではない,文部科学省の問題でもあると思うのですが,とても遅いような気がいたします。それから,文化遺産を活かした事業も,目的が子どもに伝統文化に触れさせるということであって,観光振興地域活性化事業というのが,これは戦略としてこういうふうにしていらっしゃるというのは理解できますが,重点戦略として「子ども」と言っているのに,国として子どもにどういうものをというはっきりした姿勢がわかるようにして頂ければと思います。そして,結果として平成24年か25年ぐらいからは,自治体が担うようにしていくというようにしていく,最終的には私もそう思いますが,現段階ではそういう状態ではないわけですね。ですから,国が責任を持って誘導していくような策になるように,少なくとも23年度は工程表の中ではそうではないかという気はしております。

【宮田部会長】そうですね。子どもの充実ですね。
 どうぞ。

【吉本委員】今のNPOのところなんですけれども,確かに国が責任を持ってやらなければいけないと思うんですが,私は,これはむしろ,ここにNPO法人と具体的に書かれたことが,前向きに書いているというふう理解をしていました。全国でこういうことをやっているNPOがいろいろありますけれども,国の施策の中でやっているというよりは,みずから非常に苦労してお金集めをし,人を集めてやっているので,そうしたNPOと国が手を組んで,こういう事業を積極的に広げるんだという,そういうメッセージで私は受け取っているんです。ですから,そこら辺の実態はどうなのかという説明を聞きたいなと思ったんですけど。

【宮田部会長】どうぞ。

【山﨑芸術文化課長】すみません,誤解を招いているのであれば訂正させていただきたいんですが,子どもの舞台芸術の事業ですが,現在は学校に派遣する文化団体や芸術家を文化庁が選んで,都道府県を通じて各学校から事業の希望を募って,どこの学校にどの団体を派遣するかというのを文化庁が業者に委託等をしながら,文化庁の責任でやっております。
 この事業は,来年度概算要求している事業については,引き続き国が責任を持ってやるという仕組みは変わらないんですが,文化芸術団体の選定も文化庁の責任で行いますが,その選んだ文化芸術団体と学校とのマッチングについては,それぞれの地域の実情に詳しい,地域のNPO等を活用してやっていただくというものであって,責任はあくまで国が持ちますし,国の事業としてやっていくということでございますので,決してNPOに任せてしまうとか,あるいは事業仕分けでは指摘されましたが,何年か後に地方に移管するということを念頭に書いたものではございませんので,その点はご理解いただければと思います。

【田村部会長代理】ただ,申しわけございません。このように書いてあると,そのようにとれてしまうということが,表現ですね。

【宮田部会長】ちょっと表現をご検討ください。
 どうぞ。

【高萩委員】やはり工程表を出してもらって本当によかったなと思うんです。今のところでも,27年度にどうなっていたらいいのというのが全然わからないわけですよね。これじゃ工程表じゃなくて,「来年やるよ」と書いてあるだけで,「その後は検討するよ」ということになってしまいます。各ワーキンググループのときに,結構重点支援を取り上げていただくときに,こうしたいねという話があったので,我々のほうももう一回読み直して思い出して,ここへ行きたいんだという話をもう一回こっちも考えますので,きょう出ないところもありますけれども,特に線が引っ張ってあるところだけは,27年度にかなり具体的な到達点を書き込んでしまって,欲しい。はっきり言うと,工程表ですから検証するとき,できていないねと言われるのは,しょうがないと思う。こんな書いてあるのにできていないじゃないというのをかなり言われるかもしれないにしても,やはり書き込んでおかないと,どこまで進行したかすらわからない。
 もう一つ同じようなことで,ほかもあるんですけれども,自分の分野のところだけ言いますと,戦略6のフェスティバルの充実というところです。国際フェスティバルの支援,横浜トリエンナーレへの支援,東京国際映画祭への支援とぽんと書いてあります。23年度に今予算要求されているから書いたんだと思うんですけれども,その後何もないんですよね。そうすると,ここだけに支援続けるんですか,5年間ということになってしまうので,やはり27年度には国際的な評価になる国内の10ぐらいのフェスティバルには支援というぐらい書きたいなというところなんです。これは本来やっておくべきだったんですけれども,次回までに考えてくれば許されますか。多分,各ワーキンググループのときに,27年度には,こうあって,欲しいという状態というのは,皆さんワーキンググループで話し合ったと思うので,もうちょっと出てくるかなという気がするんですけれども。

【宮田部会長】ありがとうございます。これもぜひ。例えば,海外に向けて国際的な発信,横浜トリエンナーレとございますが,そこら辺大変おもしろいんだけれども,ここでぶっちぎれちゃ何の意味もないので,これは継続してもらわないと。トリエンナーレの性格は難しい部分もあるのかもしれないですけれども,ぜひいい計画ができるように。
 どうぞ。

【田村部会長代理】なぜ,この2つだけなのかという疑問はやはり残ります。もっとするべきものがあるのではないかなという……これも含めてですけれども。

【宮田部会長】逆に言うと,書いたことによって,より前に向けていく。書かないでぼかしておくと何もできませんので,これを書いて,次のときにはもう一つ違うものをというふうな前向きな姿勢。
 どうぞ。

【吉本委員】今,高萩さんが指摘してくださったように,本当に来年度やることは見えているけれども,その先が見えていないというのが,非常に申し上げにくいんですけれども,結局,前回の2次方針のときも,同じような形で進んできたから,4年後の状況というのがわかってなくて評価できなかったと思うんです。ただ,具体的に書けるものはこれに盛り込んだほうがいいと思うんですけれども,それを全部文化政策部会でやっていくというのは,やはり限界があると思うんですね。例えばアーツカウンシルのことに関して言うと,ワーキングチーム的な形で,今,公共劇場のボランタリーの人たちで検討していると聞いていますが,やはり目玉になるものはちゃんと検討組織をつくるべきかと。さっきの子どものところもそうだと思います。そちらは文科省との関係もあると思うんですけれども。それからフェスティバルに関しても,この2つだけというのはやはり変なので,国際フェスティバルというのを国の政策としてどのように考えるかということを,23年度はこの2つに支援しながらちゃんと検討の組織を立ち上げるべきだと思うんです。その上で,フェスティバルに対する国のかかわり方を明確にして戦略を構築して,例えば毎年10件ぐらいのフェスティバルを集中的に支援するとか,何かそうしたことを議論しなきゃいけないと思うんですけれども,この場でそこを全部決めていくというのは,無理があるような気がするんです。ですから,具体的に検討できる専門の少人数のチームをつくっていくというのをあわせて提案したいと思います。

【宮田部会長】それに,滝波さんの味方をするわけじゃないんだけれども,書いちゃった後,袋だたきになって,やらなかったのでみたいな感じになるのが,それはまた気の毒なので,そこではない物の言い方というのはやはり知恵を絞って必要だと思うんだけど。でも,来年しかないわけじゃないので,文化は,日本は滅びるわけじゃないので……

【高萩委員】でも,工程表を書いて袋だたきになることはないですよね。やらなかったことについて,原因があるからこそですから,滝波さんは,予算ないからできないんだよと言えばいいわけだし,予算をつけるのが先でしょうということですよね,結局。

【宮田部会長】逆の武器になると。

【高萩委員】ええ。それで,書いたんだから,予算をつけてくれという話になるわけだし。

【宮田部会長】なかなか私向きの表現の仕方で,怖がらなくていいよということ……。

【吉本委員】そういうことで言えば,出し方として,今回の文化政策部会からは出せないと思うんですけれども,将来のプランとしてA,B,Cみたいなのがあって,例えば文化庁の予算が,5年後に倍になった場合は,ここまでいける。現状のままだと,ここまでしかいけませんぐらいの出し方をして予算獲得をするというようなことはできないんですかね。

【宮田部会長】なるほどね。工程というか,来年以降のことに関しては,なるべく高望みのほうがバランスはいいと思うんです。それに向かおう機運ができますので。と言いながら,吉本先生の言う気持ちはわからないでもないんですけども。
 これは決してうそついているわけでも,高望みしているわけでもなくて,こうあるべきだなんですよ,正直なところは,今までの議論の中で諸外国と比べたりした場合においても。
 いい話がいっぱい出てきたんですが,それでは,この辺でそろそろひとつまとめたいと思います。またこれを整理していきたいというふうに考えております。
 最後ですが,1点,先ほどもご案内が滝波さんのほうからありましたけれども,これを,長官,大変お忙しいのは申しわけないんですが,やはり動く長官には動いてもらわにゃいかんので,のっけの表題は私が書いたんですが,「豊かな感性 強い日本へ」ということでございますけれども,文化庁長官と芸術系大学の学長,首都圏及び国公立の大学長を呼んで,もちろん私学もそうです,多くの方においでいただいて,国と芸術系の,いわゆる若者,次世代を育てる若者たちとの関係がきちっとでき上がっているんだということを強く言うことによって,若者がどれだけ今やっていることに対して不安ではない,これは本当にまさしく日本をつくる,もちろん自分をつくることなんですが,そういうふうなことの理念を構築させるために文化庁さんと我が大学とが共催しながらこういうことをやっていきたいというふうなことでございます。これは多分始めての企画ではないかと思うんですけれども,こうご期待というのは言い過ぎかもしれませんが,同時にこういうことをやった,あるいはこんな程度か,どちらでも結構ですが,多くの人にお伝えいただけたらというふうに思っております。
 2ページ目には,NHKの早川さんですね,文科系の解説主幹,それから金沢美術工芸大学の学長さんの久世先生,それから,このメンバーでもございます桐朋学園大学学長の堤先生にもおいでいただいて,国立,公立,私立で美術,音楽を含めて全体の感じでやっていきながら,先生方からもいろいろ事前に質問事項あるいは提言等を書類でいただいたものをまとめていきながら,パネラーとモデレーター等いろいろなことをやっていきたいというふうに思っております。こんなことでございます。これも発信する,この審議会から出てきたものを継承しておりますので,また先生方の中でもいろいろなことございましたらお伝えいただけたらというふうに思っております。
 事務局で次の伝えることは。
 どうぞ,ごめんなさい。

【高萩委員】中間報告のときはパブリックコメントを取ったんですけれども,今回は,今これで見てみるとパブリックコメントを取る暇はないので,取らないということですか?

【滝波企画調整官】審議経過報告に対してのパブリックコメントということを行いましたので,この後は改めてもう一度というところまでは考えておりません。

【宮田部会長】では,次回の。

【滝波企画調整官】ありがとうございました。
 次回ですけれども,資料5にございますように,次回は12月20日(月)ということで,15:00から,会場はこの場所3F1特別会議室ということになります。この日には,きょうのご議論を踏まえて,いよいよタイトルが答申(素案)というふうな形のものにバージョンアップしたものでお示しをしたいなというふうに思っております。
 きょういろいろご意見もいただきましたし,また,時間もなかなか限られた中での話ですので,言い尽くせなかった点とか,後で気づいた点とか,多分たくさんあるんだろうと思いますので,そういった点は,ぜひ早い時期に我々事務局のほうにお寄せいただけたらありがたいなというふうに思っております。
 それから,20日を迎えるに当たりまして,我々事務局のほうで,先ほども話題になりましたけれども,閣議決定をこれから目指していかなきゃいけないということがございますので,少し今の答申(素案)といった形での文案になりますけれども,このバージョンで関係省庁のほうとの調整といいましょうか,そういったことを早速始めていきたいなと思っております。場合によったら,いろいろな意見が出る中で何らか文言を変えていくようなケースもあるかもしれませんけれども,そんなことを考えておりますことと,それから,この部会のほかに,この文化審議会の下にはそれぞれメンバーおられますけれども,各分科会がございます。それぞれの分科会のほうにも,この文案について具体的なご意見をいただく機会も必要だろうと思っておりますので,次回の会までの間に開催される分科会の機会をとらえまして,分科会のほうのご意見も伺いたいなというふうに思っております。
 あわせて,今,部会長からもご紹介ございましたとおり,12月21日ですけれども,シンポジウムというものが開催されることになりました。宮田先生,それから堤先生にもご参画いただく形でのプログラムということになっております。もちろんいろいろご意見があろうかと思いますので,きょうお集まりの皆様方にご都合つけていただくのはなかなか難しいかもしれませんけれども,可能なようでございましたらば,ぜひ足をお運びいただけたらありがたいなというふうに思っております。
 それの関係もございますので,次回の開催のご案内を差し上げる際に,21日のシンポジウムのご出欠のご様子についても少しお伺いさせていただきたいなと思っております。
 いろいろ申し上げましたけれども,以上のようなことで次回の20日については,いよいよ答申(素案)という形でお示ししたいと思っております。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【宮田部会長】それでは,本日はこれにてということにしたいと思います。大変いいご意見をいただきましてありがとうございました。また次のときまでに何とか頑張っていきたいと,かように思っております。
 お忙しいところ,ありがとうございました。

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