文化審議会第10期文化政策部会(第1回)議事録

1.出 席 者

(委員)

青柳委員,秋元委員,伊藤委員,太下委員,岡本委員,片山委員,熊倉委員,佐藤委員,相馬委員,中村委員,平田委員,宮田委員,山村委員,渡辺委員

(事務局)

近藤文化庁長官,河村文化庁次長,芝田長官官房審議官,大木文化部長,石野文化財部長,山﨑政策課長,他

2.議事内容

【内田調整官】  それでは,これから文化審議会第10期文化政策部会の第1回を開催させていただきたいと思います。私は文化庁政策課の内田と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は初会合でございますので,後ほど部会長の選出をいただく必要がございますけれども,それまでの間,私が議事進行をさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,今回は初回ということもございまして,資料1に名簿をご用意しておりますので,この名簿に沿いまして,50音順に各委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず,青柳正規委員でございます。

【青柳委員】  青柳でございます。よろしく。

【内田調整官】  秋元雄史委員でございます。

【秋元委員】  どうも,よろしくお願いします。秋元です。

【内田調整官】  伊藤裕夫委員でございます。

【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いします。

【内田調整官】  太下義之委員でございます。

【太下委員】  太下です。よろしくお願いします。

【内田調整官】  岡本真佐子委員でございます。

【岡本委員】  岡本です。よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  次の奥山恵美子委員でございますけれども,本日欠席でございます。
 次に,片山泰輔委員でございます。

【片山委員】  片山です。よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  その次の加藤種男委員でございますけれども,本日ご欠席でございます。
 次に,熊倉純子委員でございます。

【熊倉委員】  熊倉です。よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  佐藤信委員でございます。

【佐藤委員】  佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  相馬千秋委員でございます。

【相馬委員】  相馬と申します。よろしくお願いします。

【内田調整官】  中村紘子委員でございます。

【中村委員】  どうぞよろしくお願いいたします。

【内田調整官】  平田大一委員でございます。

【平田委員】  よろしくお願いします。

【内田調整官】  宮川彬良委員でございますけれども,本日ご欠席でございます。  次に,宮田亮平委員でございます。

【宮田委員】  宮田でございます。よろしくどうぞお願いします。

【内田調整官】  山村浩二委員でございます。

【山村委員】  山村です。よろしくお願いします。

【内田調整官】  次の湯浅真奈美委員でございますけれども,本日ご欠席でございます。
 渡辺靖委員でございます。

【渡辺委員】  よろしくお願いします。

【内田調整官】  続きまして,本日出席しております文化庁内の課長級以上の職員をご紹介させていただきたいと思います。
 近藤文化庁長官でございます。

【近藤長官】  近藤でございます。よろしくお願いします。

【内田調整官】  河村文化庁次長でございます。

【河村次長】  河村でございます。本日は別用務がありまして,終わる直前で中途退席をする失礼をお許しいただきたいと存じます。

【内田調整官】  大木文化部長でございます。

【大木部長】  どうぞよろしくお願いいたします。

【内田調整官】  石野文化財部長でございます。

【石野部長】  よろしくお願い申し上げます。

【内田調整官】  山﨑政策課長でございます。

【山﨑課長】  よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  舟橋芸術文化課長でございます。

【舟橋課長】  よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  湊屋伝統文化課長でございます。

【湊屋課長】  湊屋です。よろしくお願いします。

【内田調整官】  以上でございます。それでは,今期の文化政策部会の部会長及び部会長代理をお選びいただきたいと思います。

(傍聴者退出)

※ 部会長に宮田委員,部会長代理に青柳委員が選ばれた。

(傍聴者入室)

【宮田部会長】  よろしゅうございますか。それでは政策部会の運営規則等につきまして,事務局よりご説明を願いたいと思います。

【内田調整官】  それでは説明させていただきます。今回は各委員の皆様に事前に資料を送付させていただいておりますので,事務局からの説明はできるだけ簡略化させていただきまして,後々の議題等の意見交換に少しでも時間を割けるようにしたいと考えておりますので,よろしくお願いします。
 資料2でございますけれども,文化審議会の構成図がございまして,この文化政策部会ですけれども,文化審議会総会のもとに置かれる部会の1つという位置づけになっております。さらに詳しくは,後ろのほうにあります参考資料1をごらんいただければと思いますけれども,そこの1ページに文化審議会の設置根拠であります文科省設置法第30条がございまして,その規定のとおりになっておりまして,大臣または長官の諮問に応じまして,文化の振興や国際文化交流の振興に関する重要事項の調査審議等々を行うと規定されております。
 部会に関しましては,同じ資料の4ページに文化審議会令がございまして,そこの第6条第1項に根拠規定がございます。
 参考資料2に運営規則がございまして,文化審議会の運営上のルールが規定されております。例えば第5条におきまして,会議を公開する旨の規定がございます。
 参考資料3ですけれども,24年3月に文化審議会総会で決定されました,この部会の設置の趣旨などを記したペーパーでございます。
 次に参考資料4といたしまして,この部会の運営規則でございまして,会議の公開等について規定されているところでございます。
 最後の参考資料5でございますけれども,この部会の会議の公開について定めておりまして,会議の傍聴の手続などを定めているところでございます。
 以上でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。そういうことで,運営の規則をごらんになった上でこの会議を進めていきたいと思っております。
 それでは,長官においでいただいておりますので,長官から一言,冒頭にごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【近藤長官】  改めまして,文化庁長官の近藤誠一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮田部会長】  お座りになって下さい。

【近藤長官】  第10期を迎えました文化政策部会,第1回の会合ということで,一言ごあいさつ,御礼,お願いを申し上げたいと思います。
 文化庁という役所ができてから44年でございます。文化庁長官は私が20代目ということで,その間に,2001年に文化芸術振興基本法という法律ができまして,そのもとで政策部会,あるいはその前身のアドバイスを得ながら,文化芸術の振興をどういうふうにやっていくかについていろいろな取り組み,議論をしてまいりました。昨年の2月でしたか,閣議決定をいたしました第3次基本方針,6つの重点戦略ということで,これからの文化政策にとって必要な点がほぼ網羅され,かつ極めて明確な重点が記されていると思います。
 したがいまして,今年度,今期の部会でのご議論は,基本的にはこの論点をどのように実行していくかという,一見地味かもしれませんが,極めて重要な節目に来ていると思います。ぜひ先生方の具体的なご提言,叱咤激励をいただければと思っております。
 それからもう一つは,第3次基本方針ができた直後に起こりました東日本大震災への対応も非常に重要な柱になっております。それぞれについてご議論をいただきたいと思いますけれども,特に私,個人的に強く思っておりますのは,6つの重点戦略の中で第1にあります文化芸術活動に対する効果的な支援です。文化庁は1,072億の予算がございます。そのうち3分の2ぐらいが文化財関係ではございますが,文化芸術振興も予算は,少しずつですが増えてきております。これをますます量的に増やすことも必要ですが,同時に民間の資金との協力も必要です。そして,この公的な予算をどのように効果的に使うのかが,これからの大きな課題になってくると思います。
 PDCAサイクルについても深い議論をお願いしたいと思いますけれども,もう一つはアーツカウンシルの設置について,既に2度ほどワーキンググループ,芸文振の中でのグループを含めて2回ほど議論をいたしましたが,ある意味では3段跳びのホップとステップが終わっただけで,ジャンプの部分がまだ議論がされておりません。今の法律的,制度的,組織的な枠組みにとらわれずに,本来公的な資金の芸術への支援のあり方はどうあるべきか,イギリスのようなアーツカウンシルがいいのか,違った形がいいのかも含めて,あらゆる制約を取り除いて自由なご議論をぜひしていただければと思います。必要があればまたもう一度ワーキンググループをつくることもあり得ると思います。その辺はぜひ先生方の忌憚のないご意見を賜れればと思います。
 それから東北の復興でございますけれども,これまで,例えば文化財で言えば,いわゆるレスキュー事業とかドクター派遣事業ということで被災した文化財をとりあえず救出し,中長期的な修復を念頭に置いて保管をし,それに必要な人材を日本全国から集めることをやってまいりました。阪神・淡路大震災のときの教訓も踏まえまして,比較的早目にこういったプロジェクトを立ち上げることができたと思っております。しかし,まだまだ現場のニーズに十分に手が届かない歯がゆさも残っておりますが,とりあえずスタートした2つの大きな事業,そしてまた文化芸術の振興という点では,これは大変時間がかかり,担当も大変苦労いたしましたが,いわゆるコンソーシアム,文化芸術を復興の柱にする,劇場とかでのアーティストによる活動,あるいは伝統芸能も入るかもしれませんが,そういったものもやっと立ち上がりつつあります。
 そういった既にでき上がったスキーム,事業をどのようにより有効に使っていくかということと同時に,できればご議論いただきたいのは,まだこれまで手をつけていない部分,つまり5年,10年を見据えて,東北に文化芸術がしっかりと根づいた新しい町がつくられるように,日本の中でもモデル都市,モデル地域にするために,よりプロアクティブに,どのようなことを文化庁として,あるいはほかの自治体とか民間セクターと協議をしながら進めていったらいいのかということについても,ぜひ議論をいただきたいと思います。
 菅総理のもとにできました復興構想会議,五百旗頭真座長のもとで文化芸術は復興の1つの柱と位置づけられております。しかし霞が関におりますと,現地のきめの細かい情報が必ずしも手にとるようにはわかりませんし,どうしてもインフラ優先になりがちです。地元もなかなか人手も足りない,予算もない,経験もないということで,思うような文化芸術が復興に,あるいは復旧・復興にすぐに取り込まれているとは限らないという話もときどき漏れ聞こえてまいります。
 そういう中で,どのようにして手おくれにならないうちに文化芸術的な要素を復興の中に組み込んでいったらいいのか。例えば兵庫県の復興のシンボルとなった県立芸術センターのような大きな目玉的なものがあったほうがいいのか,あるいはよりきめ細かなものが必要なのか,そういった点も含めまして,予算の問題等いろいろございますけれども,これまでの常識にとらわれずに,この機会に,東北に文化芸術を中心としたすばらしい社会をつくるにはどういうアイデアがあるか,そのためには何が必要か,どういう人材が必要か,どういうシステムが必要かといったことについてもぜひじっくりとご議論いただいて,今後5年,10年の文化庁の政策の一環にしていきたいと考えております。
 若干大ぶろしきに聞こえるかもしれませんけれども,これまでの政策部会,その前身からいただいたアドバイスで,かなりメニューというか,やるべきことの具体論がそろいましたので,それをどういうふうに実施していくか,成果を出していくか,そして同じことが東北の復興についても言えるわけで,5年,10年たって,確かにうまく文化芸術が東北の復興に役立った,これからのいい参考になるし,またほかの地域のこれからの活性化にも役に立つという評価をいただけるような政策を今から考え,弾込めを,予算も含めてしていきたいと思っておりますので,ぜひ先生方から,これまでの枠にとらわれずに,のびのびとした自由な発想でご提言をいただければと思っております。
 ちょっと長くなりましたけれども,第10期の政策部会の開会に当たりまして,御礼とお願いを申し上げました。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【宮田部会長】  ありがとうございました。重点戦略についてどうしようか,あるいは東北の震災に対して文化芸術がなすべきことは何かというベースをしっかりつくる年ではないかということでございます。全くそのとおりでございますので,長官の今のお話もベースにしていきながらぜひ議論をしていきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。
 さて,今期の審議事項について,事務局からご説明していただけますでしょうか。

【内田調整官】  それでは,資料3に今期の主な審議事項をまとめさせていただいております。
 ただいまの長官のあいさつとも重複している内容もございますけれども,まず,1つ目の議題といたしまして,2の(1)で,23年2月に閣議決定いたしました文化の振興に関する基本方針,これは次の議題でも出てくるんですけれども,そういった中で示されました6つの重点戦略のフォローアップ,これが1つ目の大きな使命でございます。
 2つ目でございますけれども,それとも関連するのですが,東日本大震災から2年目を迎えまして,復旧から復興へという段階にもなりまして,そのあたりのご議論をいただきたく思っております。
 東日本大震災関係につきましては,今年度前半から少し比重を置く形で議論いただきたいと思っております。この部会でも集中的に議論していただく必要があるのではないかと考えておりますし,場合によっては個別テーマごとに少人数のグループによる話し合いですとか,各委員の皆様個々人へヒアリングさせていただくような場合もあるかと思っておりまして,いろいろな形で随時ご相談させていただきながら議論を深めてまいりたいと思っております。
 それと,2の(2)にございますけれども,文化庁で行っております文化の政策評価に関します調査研究ですとか,現在試行中の日本版アーツカウンシルについての報告といったことも予定しているところでございます。以上でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。資料3に基づいて内田さんからご説明いただきました。
 それでは,東日本大震災からの復興のための取り組みについて事務局からご説明をいただき,先生方から,少々の時間ですが,意見交換をしていきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。

【内田調整官】  それでは資料4でございます。昨年7月の復興対策本部の決定でございます。これが今後の復興の基本方針でございますけれども,その中に文化関係のさまざまな提言がございまして,まず5の(1)災害に強い地域づくりといたしまして,埋蔵文化財の迅速な調査が可能となる体制ですとか,土地利用調整の迅速化,また(2)ですけれども,地域における暮らしの再生ということで,例えば被災した博物館・美術館などへの支援について記載がございます。また,(4)の大震災の教訓を踏まえた国づくりといたしまして,効果的な情報発信の強化等々の提言がございます。
 その次の資料5のペーパーでございますけれども,これまでの文化芸術分野の取り組みでございまして,1といたしまして文化芸術分野の被害状況,1におきまして国指定等文化財の被害状況,2で文化会館等の被害状況,3で公演等への影響ということで,具体的な被害の状況を数字で記載させていただいております。
 その次のページに入りまして,2といたしまして文化芸術分野の復旧・復興に向けたこれまでの取り組み状況でございますけれども,1といたしまして,3回にわたります文化庁長官メッセージ,2といたしまして被災文化財の調査・復旧ということで,文化財の被害状況調査で調査件数250件,また,文化財レスキュー事業,ドクターの取り組みについて記載しております。さらに,下にございますけれども,被災文化財の修理・復旧といたしまして,予算計上でございますけれども,3次補正で32億,24年度予算におきましても19億を計上しているところでございます。
 さらに次のページに行きまして,3,復旧・復興事業に伴う埋蔵文化財の取り扱いということで,埋蔵文化財に係る適切な処理に係る通知ですとか,発掘調査を復興交付金の対象事業とすることですとか,文化財専門職員の派遣の状況について記載させていただいております。
 4の特別名勝松島に関する取り組みといたしまして,去る1月に宮城県に設置されております検討会が報告書をまとめまして,それを踏まえて今後対応していくこととしておりますし,さらに文化施設の復旧といたしまして,1次補正予算,3次補正予算に予算計上されている事業が着々と進んできているところです。
 6の子どもの文化芸術体験でございますけれども,この事業に関しましては合計459件,芸術家が学校に派遣されているという実績となっております。
 最後のページ,7でございますけれども,復興推進コンソーシアムが24年5月に設立されております。全国公立文化施設協会と日本芸能実演家団体協議会に共同事務局となっていただきましてコンソーシアムが立ち上がりまして,東京国立博物館で3月にシンポジウムが開催されているという状況となっております。
 最後に3の今後の取り組みとして,ここに記載のとおり,さまざまなことを予定しておりますけれども,創造的な復興支援ということで,こういった今後の取り組みに関しまして,また,これまでやってきた取り組みに関しても含めてでございますけれども,委員の皆様からいろいろとご意見をちょうだいできればと思っております。よろしくお願いします。

【宮田部会長】  ありがとうございました。ただいま資料5について,これからの取り組みについてご説明をいただきました。
 さあ,いかがでしょうか。先生方,なるべく多くの方からこの件,またはその次にもございますが,意見交換をしていきながら構築させていきたいと思っております。とりあえず資料5につきまして,何かご意見,あるいはご提言等ございましたら,忌憚のないところでお願いしたいと思いますので,いかがでしょうか。伊藤先生,どうぞ。

【伊藤委員】  震災の件に関して,この資料5で言いますと,最後の今後の取り組みのところにかかわってくる問題だと思いますが,前回にもちょっと触れましたが,阪神のときも,被害を見るときに比較的目に見えにくい被害が非常に大きな後遺症となって残っていくことを指摘したと思います。
 今回の震災につきましても,いろいろと考えてまいりますと,二,三カ月前に作家の髙村薫さんが,今回の震災で明らかになったのは,それ以前からあった問題が顕在化したという指摘をされておりました。文化に関しても,例えば伝統芸能,お祭り等々を支えていく問題というのは,震災以前から過疎化,少子化等々で伝統行事を支えていく担い手がほとんどいなかった。それが今回震災で色濃く顕在化してきて,確かに今さまざまな形で多くの人たちが協力してお祭りをやって,元気づけは行われているわけですが,しかし永続するシステムではないなという気がしています。
 また,現代的な文化に関しましても,例えばいわきのアリオス等々,非常に頑張っていい活動をしているところもあるわけですが,やはり多くの文化施設は人材の問題,あるいは地域の文化団体だとかアーティストたちとの連携があまり構築されていなかったところでは,なかなか避難所以上の機能を果たせないということもまた事実ではなかったかと思います。
 後者に関しては,劇場法の動き等々も昨年来続いておりまして,こういうものがきちんと整備されることによって一定程度システムの再構築が可能じゃないかと思いますが,特にお祭り等々の無形文化財の保護に関しての取り組み,ここでは方言とか伝統行事について書かれておりますが,この取り組みの難しさをかなり認識しつつ考えていく必要があるんじゃないかと考えた次第です。

【宮田部会長】  無形文化財ですね。目に見えないというか,要するにだんだん衰退していたところへきて,ものすごいダメージを受けたのが,逆の復興に改めてなるかもしれないというふうな持っていき方ですね。ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
 例えば,きのう1日,私はずっと南三陸を回っていたんですが,土地の人に1回も会いませんでした。来ていたのは私のような何とかしようと思って来ていた人たちで,最後まで津波です,逃げてくださいと言っていた防災センターの建物だけが無惨に残っているという,そのしゃべっていた職員の女性は亡くなっているわけですけれども,不思議なもので,杉の木立がだーっとあるんですが,斜面の津波の来たところの杉の木立が全部真っ赤に枯れているんですね。
 しかし,聞いてください。ワラビだとか,小さな草木がもう緑になっているんですよ。枯れた木の周りが緑なんです。あの力強さというのは何か東北の我慢強さみたいなものを絵にかいたような感じがして,これはこの場にいない人間としては何かしなきゃという,すごいものを感じました。可憐な小さなスミレだとかがいっぱい咲いているんですね。びしーっと咲いているときに,何か力強さを感じさせる,頑張りの何かを感じたような気がします。それでは,相馬先生,どうぞ。

【相馬委員】  私も自分のフェスティバルや作品,芸術活動を通して,去年1年復興の問題を考えてきたんですけれども,そこですごく重要だと思ったことは,東北をどう表象するかということです。今,旅行代理店や広告代理店が一生懸命東北を元気づけるためのPRを行っていて,より多くの人に東北に行っていただこうということで,町中でさまざまなPRを展開していますけれども,まさに宮田さんがおっしゃったように,実際に現地に行くと,だれもいなかったり,まだ現地はそういう状況ではないという現実もあると思うんですね。
 そこで,まだ言葉を発することができない人,語る言葉を持っていない人たちの声をどう芸術文化が聞いていくかという観点が非常に大事かと思います。被災地を元気づけるとか,なぐさめとかいうことはもちろん重要なんですけれども,まだそこに至る前の段階のものをいかにアートですくっていくかということは,1つ忘れてはいけない観点なのかなと思います。
 それから,私も演劇をやっているので,無形文化財や伝統芸能,民俗芸能的なものをいかに後世に伝えていくかということをよく考えているんですけれども,やはり1つ1つのコミュニティーや村では,それを保持していくのには限界があるのかなという現状があると思います。ですから,例えばそれらを複数ネットワーク化して,ある時期に集中的に外に開いていくようなネットワーク型のフェスティバルを構想するのはどうでしょうか。もともとフェスティバル,つまり祭りというのは,死者の魂を鎮魂する機会であったわけですから,そういうことと,今世界の最先端のパフォーミングアーツが,東北で出会うような,つまり世界のトップのものと東北の土着のものがそこで拮抗するような,何か新しい形のフェスティバルなり,枠組みを考えていくのはどうかと思います。そのようなあらたな機会を作ることによって,単純に元気づけるとかいうことではなくて,もう少し芸術性,あるいは死者の鎮魂,聞こえない声を聞くということと,復興とが,生産的な形で結びついていく可能性があるのではないかと思います。
 近藤長官が平泉の文化遺産の認定に非常にご尽力されたと伺っているんですけれども,例えば東北であれば平泉という世界遺産があるわけですから,ああいったものをシンボルにしつつ,その周辺にある民俗芸能や,東北に根差した土着の文化を世界に向けてよりアピールしつつ,現場の声を聞いていくような,そういうインターフェースとしてのフェスティバルなり文化事業を考えていくことができるのではないかと,ほんとうにラフなアイデアなんですけれども,例としてご提案させて頂きます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。文化遺産というのは,ほんとうにそういう意味ではいいタイミングでございましたね。ただ,実はあれだけじゃないんですよ。あれの復興のための記念貨幣もつくったんです。その記念貨幣が世界中の記念貨幣のコンクールで1位をとっているんです。だからこれが,せっかくいいことをやっているんだけれども,束になって伝えるというところが日本人が苦手としているところなんですよね。 そういうのを細かくつなげていくと,スクラムという言葉が自然に出てくるのかななんて思うわけですが,ほかにございますでしょうか。佐藤先生,どうぞ。

【佐藤委員】  2点だけ。1つは今の資料5にある子どもの文化芸術体験の充実なんですけれども,震災地域の子どもたちに文化的な格差をつくらないというのは非常に重要なことだと思うんですね。ピンポイントのことも大切なんですが,より幅広い視点からの施策が求められていると思うんです。文化活動というのは必ずしも大げさなことではなくて,まずは子どもたち自身がそういう活動に取り組めるという形を幅広く考えていく必要がある。長期的に見ると,特に小学校就学して間もないところから中学生ぐらいまでを対象にした重点的な施策がないと,必ず将来に文化格差が出てくるんじゃないかと思っております。
 もう1点は今後の取り組みなんですけれども,中長期的に言うと,文化芸術領域では,1つは記録,伝承,そして発信という役割があると思うんです。我々の心が体験したことをどのように記録し,作品化し,世界に向かって発信していくかいうのは非常に重要な私たちの課題だと思っております。東北地域だけではなくて,今回の震災で日本人が何を感じ,今どうしようとしているかということをもう一つ作品に取り込んでいく活動についての取り組みも必要なんじゃないかと思います。

【宮田部会長】  ありがとうございます。特に子どもの,小・中学校の図工の時間がほんとうに少なくなっております。図工も含め,いわゆる文化に関しての授業体系が非常に少なくなっているために,とてももったいないなと思います。図工というのは,図画工作じゃないんです。図画と工学なんですよね。
 今までの概念ではないものをどんどんつくっていきながら,ここから発信していくことによって,工学もそういう1つのアイデアの構築によって新しい科学が生まれますので,そんなことを考えながら,いろんなご意見をいただけたらと思っておりますので,あと,いかがでしょうか。熊倉先生,どうぞ。

【熊倉委員】  震災後,つらつら考えてみますと,東北地方には1つも国立の文化施設がなくて,あまり重点的に面倒を見てもらっていなかったところなんだなという気がいたします。
 さまざまな助成金の審査などさせていただいていても,残念ながら,文化政策の先進県が多いとは言えない状況のような気がしております。県の文化振興担当が市町村のさまざまな状況をきちっと把握しているかですとか,あるいは震災後やはり問題になりましたが,沿岸部の大きな施設がないようなところに,全国から行きたいと殺到した文化支援を,適切な時期に適切なところへ送り込むハブとなるコーディネート機能を務められる機関が1つも存在しなかったことが大きな問題だと指摘されています。
 幸いなことに,阪神・淡路のときとの大きな差は,震災直後に六本木アートナイトで近藤長官ともシンポジウムでご一緒させていただいて,早い時期から文化庁があまり自粛をしないほうがいいのではないかというメッセージを発していただいたこともあって,多くのさまざまな分野のアーティストたちが,最初はほんとうに泥かきのボランティアで,若い子たちがたくさん行ったりしました。その中で地域とちゃんとつながりをつくって,少しずつ芸術活動を地域の皆様方と行って,新しい成果を上げている企画も多数ございます。
 しかしながら,現地の方々も文化芸術に対してそれどころではないと,阪神・淡路のときはそういう機運が非常に色濃くございました。歌舞音曲というような言葉も聞かれましたが,今回はそのようなことはなく,芸術文化活動に対する受け入れの希求の度合いが非常に強いなというのが私の個人的な,何カ所か視察をさせていただいた感想です。
 しかしながら現地の方々は,ご自分たちの生活の復興に非常にお忙しくていらっしゃいます。何か外部から来てくれる人たちと一緒にやりたいという気持ちは強いのですが,どういうふうに動いたらいいのかよくわからない。また地元の文化政策もきちっとできておりませんので,行政もどういうふうに手を出したらいいのか,小さな町村などでは難しそうな状況がかいま見られます。できればそうしたところに具体的な施策のコーディネート役になるような専門家が中長期的に派遣されて,特に先ほど伊藤委員もご指摘になりましたけれども,これまでの取り組みの最後の2つのほう,地域を元気づける文化芸術活動に対する支援ですとか,芸術祭・音楽祭等のイベントの開催実施などに関しては,新しい形の地域のお祭りとして,伝統的なお祭りとはまた別の枠組みで,地域絡みで開催できるようになると,根づいて,新しい復興のシンボルになるのではないか。でもそのためには,もちろん地元の中でもいいんですけれども,きちんとしたつなぎ役の登用が望ましいと思っております。

【宮田部会長】  ありがとうございます。これは熊倉先生,ほんとうに,最後の部分がすごく大事だと理解しております。
 さて,震災のほうばかりに議論が及んでおりますが,どなたか震災以外の,資料3あたりで何かお話をいただける方はございませんか。
それでは,昨年までの審議会で6つの重点戦略等々,それから,まだまだこれからやらなければ,先ほど長官もおっしゃっていましたが,日本版アーツカウンシルの問題とかを含めましてご意見を頂戴できればと思います。渡辺先生,どうぞ。

【渡辺委員】  今,東日本大震災を受けていろいろ文化庁としても対応を迫られているという現実があって,それは予算の上でもかなりの比重を占めるであろうし,それからこの部会でも,私は前回から参加させていただいているんですけれども,かなりの時間が東日本大震災関連の事業について割り振られてきたんですけれども,一方で,被災地以外の地域に対する文化的な支援が,どうしても時間的な制約もあり,これまであまり議論に上ってこなかったところがあって,今,欧米よりもアジア,中東だと思いますけれども,文化的な領域に対しての投資が非常に盛んで,ある種の,韓国にしても,アラブ首長国連合にしても,文化に対する文化立国としてのかなり重点的な取り組みがあるという現状があるので,そういった国際競争もある程度踏まえていかないといけないところもありますので,これは希望ではあるんですけれども,どこかの時点で震災以外の,日本の国際文化戦略的な部分についてもう少し議論ができればと思います。以上です。

【宮田部会長】  渡辺先生,ありがとうございます。ですから,非常に多岐にわたってこの会議は議論をしていかなければならないと思いますが,その辺も含めて,大きく進展していきたいと思っております。
 さて,1つこまを進めさせてもらいます。第3次の基本指針の進捗状況,この辺も一度事務局からお話をいただきながら,またご議論をいただく方向にしていきたいと思いますが,よろしくお願いします。それから,先ほどのお話にまた戻っても構いませんので,その辺はどうぞ。じゃあ内田さん,お願いいたします。

【内田調整官】  それでは,第3次基本方針の進捗状況についてご説明させていただきます。まず資料6でございますけれども,23年2月に閣議決定した基本方針の概要がございます。文化芸術の振興を国の政策の根幹に据えまして,今こそ文化芸術立国を目指すという考え方に立っております。ここにマル1,マル2,マル3ということで基本的視点について記載されております。特に下半分にございます重点戦略1から6までにのっとりまして,これまでさまざまな施策を進めてきているところでございます。この部会はまさにそのフォローアップ的な役割を担っているということでございます。
 具体的には資料7以降にそれぞれの施策がございまして,まず,それぞれの戦略ごとの施策が,24年度の予算としてどういう状況かを説明した資料でございます。この部会と特にかかわりが深そうなものですとか,額が大きいものだけをあくまでも補足的に紹介させていただきたいと思いますけれども,例えば重点戦略1の中には,上から2つ目に,先ほどお話が出ましたけれども,諸外国のアーツカウンシルに相当する仕組みといたしまして,新たな審査・評価,調査研究等の仕組みの試行的な導入ということで,音楽,舞踏,演劇,伝統芸能・大衆芸能などを対象にした試行が行われております。
 次のページに行きまして,重点戦略2ですけれども,例えば上から3つ目でございますが,文化財を支える技術・技能の伝承者への支援ということでございまして,それぞれ対応する事業,24年度予算の記載がございます。
 重点戦略3でございますけれども,例えば一番上の事項といたしまして,芸術鑑賞機会等の充実ですとか,重点戦略4の一番上には計画的な修復,防災対策ですとか,重点戦略4の2つ目の事項といたしまして,文化財に親しむ機会の充実といった事項がございます。
 重点戦略5に行きまして,例えば一番上に有形無形の資源の地域振興への活用といったことですとか,重点戦略6といたしまして,上から3つ目でございますけれども,文化発信・交流拠点としての美術館・博物館の充実といった各施策を並べさせていただいております。
 資料8には,さらに詳しくそれぞれの重点戦略ごとの施策の今後の工程表と,昨年度の進捗状況を説明させていただいております。  今回一番右側の進捗状況(平成23年度)の欄を新たにつくらせていただきまして,それより左側の欄はこれまでもこの審議会でお示ししたり,3次基本方針に資料として添付して公表しているものでございます。
 例えば,重点戦略1でございますけれども,上から2つ目のアーツカウンシルに相当する仕組みのところにおきましては,PD,POを配置して試行しているという23年度の進捗状況を書かせていただいております。
 また,重点戦略の2,例えば上から3つ目でございますけれども,文化財を支える技術・技能の伝承者への支援という事項,これもいろんな団体に行っていただいている事業に対して,23年度においては補助を実施してきております。
 重点戦略3に関しましては,先ほども話題に出ました次代を担う子どもの文化芸術体験事業といったもので,1,610公演,芸術家の派遣事業に関しましては1,832カ所となってございます。
 重点戦略4といたしましては,一番上の文化財の保存・継承では,計画的な修復,防災の対策を行ってきておりまして,上から2つ目の文化財に親しむ機会の充実という項目に関しましては,記載のとおり,文化財の展覧会を行いましたり,観光振興,地域活性化事業等々を行ってきているところでございます。
 重点戦略の5番目といたしましては,一番上,有形無形の資源活用でございますけれども,地域振興への活用ということで,観光振興,地域活性化事業ですとか「歴史文化基本構想」策定技術指針の策定などを行ってきております。
 最後に重点戦略の6といたしまして,3つ目の文化発信・交流の拠点としての美術館・博物館の充実策といたしまして,学芸員の派遣等々を行ってきております。
 駆け足でしたけれども,以上でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。今事務局からご説明がありました6つの重点戦略でございますが,これにつきましても,先生方の中でご意見等々,ご提言がございましたら承りたいと思いますが,いかがでしょうか。中村先生,どうぞ。

【中村委員】  今のお話に関しての質問をさせていただきたいんですが,こうしたことをもっと具体的に,どういう人材,顔ぶれが,例えば若い人の芸術的なことに対しての教育にかかわっているとかいったものは,どこで知ることができるんでしょうか。ホームページか何かに全部出ているんでしょうか。

【宮田部会長】  いかがでしょうか。

【内田調整官】  それぞれの施策ごとにはホームページなどで記載してございますけれども,個別具体的にどこかの事業ということでしょうか。

【中村委員】  いろいろと拝見して伺っていると,すばらしいことの羅列なんですけれども,これをもっと具体的に知りたいと思って。それは,膨大な数になるでしょうから,例えばいつでも閲覧するというか,チェックすることができるのかどうか。あまりにもこれは漠然としていて,もうちょっと具体的に知りたいなという気がして。

【宮田部会長】  では大木部長,お願いします。

【大木部長】  一般的に文化庁でやっていることは,大ぐくりの政策から非常に細かい地道なものまでたくさんございまして,先生がおっしゃるように,まず1つはホームページでかなりの情報を外向けにオープンにしてございますので,これを見ていただくのが先決かなと。いろんな施策の予算面のことでありますとか,事業の内容がどうなっているかとか,その結果,例えば人の採択をするのであればどういう人が採択されて,審査に当たる人はどういう人かというところまで大体出ております。
 それから,本日いろんな資料が配られている中で,山積みになっているものの下のほうに予算の関係の資料が,「平成24年度文化庁関係予算の概要」というのがございまして,これはまた非常に事務的な資料でございまして,なかなか見ていただいて,あまりおもしろいものではないんですけれども,要は文化庁がお金をつけている施策のカタログのようなものでございまして,これをごらんいただきまして,ある程度ホームページもごらんいただきまして,ご不明の点がございますれば,個別にご説明に伺うなりという対応をさせていただきたいと思いますので,またひとつよろしくご指示をお願いいたします。

【宮田部会長】  ありがとうございます。なかなかこれだけですと,確かに分かりにくう部分もあろうかと思います。一方,先生のおっしゃっていることはよくわかりますが,大木部長からのお話のとおりでございますので,よろしくどうぞお願い申し上げます。ありがとうございます。
 ほかに。片山先生,どうぞ。

【片山委員】  片山でございます。今回の部会の大きな検討の論点が評価ということになっておりまして,そのときに6つの重点戦略がどうなったかというのが大きな論点になってくるかと思います。重点戦略は,「文化芸術立国」の実現を目指してという目標に向けての戦略と理解できるかと思うのですが,私がいろいろ基本方針などを読んでいる中で,いまひとつはっきりしないなと思うのが,文化芸術立国なる状態が,どういう社会システムのもとに文化芸術が存在している国をイメージしているのかという点です。
 もう少し具体的に言いますと,国と地方と民間の関係の中で,どういう形で文化芸術が支えられている状態を目指しているのか,ヨーロッパのようにかなり公共部門が支える形を考えているのか,アメリカのように民間が支えるという形なのか,それから国と地方の関係はどうなのかというところが,まだあまりはっきりしていない。5年後,10年後,20年後にどういう姿を目指しているのかが明確でないまま,施策レベルでは,例えば新しい公共による民間支援活動を促進するということが書かれているのですけれども,マクロで見たときにどれぐらいが民間が支えている部分で,どれぐらいが国が支えている部分で,どれぐらいが地方公共団体が支えている部分かといったところのビジョンが実はあまり明確でないまま,それぞれの施策が走っているようにも思うのです。
 つまり,国立の文化施設を充実するといっても,フランスのようなところまでやるのか,それとも国のものは,例えば民間や地方がみずからやるときの1つのモデルを提供する範囲にとどめるものなのか,その辺が見えにくいかなと思うんですね。例えば舞台芸術の創造でも,新国立劇場で国が制作するのをやりながら,一方で民間の団体に対する助成制度も充実していきましょうと。これは場合によっては競合するものでもあるわけですので,その辺をどういう関係にしていくのか,実はまだあまり明確でないまま進んでいる面もあるかと思います。このように,どういう姿を目指すのかを明確にすることで,戦略の進捗状況を評価するときの基準ができてくるのではないかと思っております。

【宮田部会長】  大変貴重な意見をありがとうございます。どうぞ。

【近藤長官】  今の片山先生のご指摘は,私も常に頭の中で考えていることでございますが,どの程度の政府と自治体と民間,これも民間企業のメセナ活動もあれば,NPOとか財団の事業もありますけれども,大まかに言って,公と民がどれぐらいの比率であるべきか,フランスのように公が相当支えるべきか,アメリカのように寄附に頼るべきか,これは実は,日本の将来のあり得べき姿としてアプリオリに,こうあるべきだと決めがたいんですね。これは最終的には国民が決めていただくことになるかもしれないし。
 ただ,今,「文化芸術関連データ集」という資料が一番最後にあると思いますが,1枚めくっていただくと,右側のページに文化予算,これは有名なグラフでございますけれども,日本はどう見ても政府の予算に占める文化予算の比率も,寄附も,どちらも圧倒的に低い。ということは,文化資源はあるし,文化を受容する気持ちもあるけれども,それをつなぐお金であったりシステムであったり,一種の広い意味のアートマネジメント的なものが欠けていることは明らかでございます。
 じゃあどっちを増やすことでそこをつなぐのかは,むしろこれからの議論であり,広く国民の方々と議論しながら決めていく,とりあえずは両方とも増やしたいということでスタートせざるを得ないのが現状だろうと思います。そのためには,家庭においても,学校においても,職場においても,文化芸術の重要性をもっと認識し,文化芸術の持つ力があらゆる場に浸透していくようなことを一生懸命みんなでやっていかなくちゃいけない。そういうためには,とりあえず今の予算,今の人員で文化庁は何ができるか,そういったことを,事後策に近い状況かもしれませんが,それで1年1年進んでいるということでございます。
 できればもちろん明確なビジョンがあって,それに向かっての10年計画とか5年計画とかがあればいいんですけれども,多分今の財政状況とか,今の文化芸術に対する国民一般の,あるいは政治家の方々一般の認識を考えると,残念ながらそれは必ずしも現実的ではない。したがって,そういう方向に持っていくためにあらゆることを,できることをやっていくということですが,もしこの部会である程度のガイダンスをいただければ,つまり今の社会状況を見て,中村先生が前に0.5%までという運動をしていただきましたけれども,まだまだそういうことで政府が引っ張るべきだというご意見なのか,それとも,財政再建も大事だから,やはり民間にもっと頑張ってもらおうということなのかとか,それも含めてある程度のガイダンスをいただければ,私どももそれに沿って努力したいと思います。
 いずれにしても,あらゆる部分で不十分であることは間違いないところで,にもかかわらず,政治,経済が比較的思うように日本人の実力が発揮されていない中で,文化芸術,スポーツは非常に個人が活躍しておるので,望みは十分あると思いますので,そういった力を社会の力,国の力に還元していくシステムをどうやってつくっていったらいいか,そこにおける文化庁とか,企業とか,財団とかの役割をもっと国民の皆さんが考えて,自分なりの方向を出していただくことが大事で,そういうことを奨励していきながら,自分で今できることをやるという,ちょっと繰り返しになっちゃいましたけれども,今そういう状況で,明確にずばりこうだというお答えはできませんが,そういうことを考えながら日夜ストラグルしている状況でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。そろそろ時間が来たので,的確にひとつお願いします。

【平田委員】  沖縄から参りました,沖縄県文化観光スポーツ部部長の平田といいます。沖縄は,おそらくこの一,二年で大きく,文化,観光とスポーツの3つの課が1つにまとまりまして,転換期というか,チェンジの時期を迎えているなという気がします。
 1つ,これまでの観光が商工労働部門の中にありまして,要するにお土産物とか物産とつながって伸びてきた沖縄の観光を,文化とスポーツという,もう一つマグネットコンテンツをしっかりくっつけることで新しい文化の仕事をつくっていこうという知事の思いがありまして,昨年4月に新しい部ができて,そこに,復帰40周年なんですが,何と琉球政府以来初めての40代部長ということで私がお声をかけていただきました。
 今日お話ししたいのは2つあります。短目に話しますが,1つは,やはり沖縄版アーツカウンシルをやっていこう,平成24年度,今年から早速仕掛けていこうと思っております。これは,実はもちろん日本版のアーツカウンシルを,我々もいろいろと参考にしながらやらなければいけないところがあるんですが,そういうふうに思った思いは,文化行政の中で予算をとりに行くと,やれ文化の成果指標がないということで,なかなかとりにくい。これは,かつて私は民間で舞台の演出家をやっておりましたので,プロデュースする際も,なかなか文化での人材育成は見えにくいとか言われている中で,いやいや,見えるんですというのを出していきたいという思いがありまして,ちょうどそれを実現するために,何かPDCAをもとにした文化の成果指標が必要なんじゃないか,もし他府県ができていないのであれば,沖縄がそれをやるべきなんじゃないかということを言い出しているときに,日本版のアーツカウンシルがまさに始まっていることを伺いまして,そういった面では,東京,大阪等,我々,勉強させてもらいながら,もしかすると日本の外にあるものも含めて参考にしながらやっていこうじゃないかということで,早速この7月からそれに向けた動きをやっていこうと思っております。どういう形になるのかわかりませんが,何はともあれ,やりながら考えていこうということでありますので,またこの会議の場で進捗状況等,それから意見交換をやりながらぜひつくっていきたいと思っております。
 2つ目ですが,お手元に資料をお配りさせてもらいました。文化観光戦略という概要版とパンフレットがあります。沖縄は2年前から文化観光戦略の策定に向けた準備をしておりまして,ようやく1つまとまりまして,これからはこの戦略にもとづいた事業を展開していくということで,予算も含めて今頑張って事業化をしているところでございます。
 今日いただいた6つの重点戦略の中の,まさに1番と5番に当たるところ,それから戦略6にありますけれども,文化発信・交流拠点としての美術館・博物館等の充実も含めて,沖縄の場合は文化観光戦略の中にルーツツーリズムというのを考えていて,沖縄には海外移民者が40万人おりますので,その40万の人たちがルーツを感じながら沖縄に来てもらえる,新しいインバウンドの形を考えていこう,これをルーツツーリズムと呼んで,空手,エイサー,琉舞等々を含めた人たちのルーツの源が沖縄にあるんだ,含めて5年後,10年後にはルーツミュージアムという,人間のルーツ,アジアのルーツ,日本のルーツを沖縄に来れば見られるような,ルーツという切り口で今いろいろと事業を,またこれから展開していきたいとも考えております。
 申し上げましたけれども,まさに沖縄版アーツカウンシル,それから文化観光の戦略,沖縄ブランド,コンセプトとしてのルーツイノベーションといいますか,そういったものをこれからどんどん広げていきながら,沖縄らしい文化の新しい仕事の形,文化の新しいブランディングをやっていきたいと思っていますので,ぜひこの会合の場でも,いろいろと意見交換できたらうれしく思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【宮田部会長】  40周年ということもあると理解しております。

【平田委員】  そうですね復帰40周年ということでございます。

【宮田部会長】  1つの節目として頑張っていただいて欲しいと願います。ありがとうございました。太下先生,手短にどうぞ。

【太下委員】  手短に発言させていただきます。
 資料8の中で,2回ほど文化芸術創造都市という政策が出てまいります。これはご案内のとおり,長官表彰もある制度で,文化庁さんとしても力を入れられている制度かと思います。ユネスコのクリエイティブ・シティーズ・ネットワークを踏まえてつくられた政策かと思いますが,文化庁のご担当の方はご案内のことかと思いますけれども,今ユネスコは非常に大揺れになっております。パレスチナが加盟することに対してアメリカが反発して,ユネスコへの資金提供をとめている状態で,ユネスコの資金の4割をアメリカが占めているということで,クリエイティブ・シティーズ・ネットワークの事務局機能が今ストップしている状況です。多分今月下旬中頃に今後の対応方針が出ると思うのですけれども,おそらく都市の財政規模に応じて負担をして,ネットワークを維持していくという方向性になろうかと思います。
 そうした状況の中で,文化庁さんの取り組みもあって日本国内でムーブメントが起こっているところですので,これに水を差さないように,ぜひ国としても情報収集をしていただき,こういう創造都市に取り組んでいる各都市へ情報提供していただくとともに,今ユネスコが苦しい中で,都市に対してオブリゲーションを課すような状況になってきた場合には,何がしか政策的な支援もあわせてご検討いただければと思う点が1点目です。
 もう1点は,重点戦略5で「くらしの文化」の振興というのをまた大きな柱として掲げていらっしゃいますけれども,先ほどの震災のテーマともかかわるのですが,震災後のコミュニティーでの「くらしの文化」をもう1回見つめ直すことはとても大事なことだと思っております。文化庁さんは長官メッセージの発信から,文化財レスキュー,ドクターと,いち早く取り組んではこられたわけですけれども,今取り組まれているのは宝物としての文化財の保護が中心です。もちろん,こうした活動は必要ですし,また,非常にわかりやすい取り組みではありますが,一方で当たり前の日常の暮らしも宝物だったと思うのです。
 これに関しては,ちょうど1年前のこの会議で私は,「記憶のミュージアム」という提案をさせていただいたのですが,ちょっとタイミングが早かったかなと思うところです。ご案内のとおり,ボランティア活動の「思い出探し隊」は,泥まみれになった写真を洗って保存していく活動を行なっているのですが,返し先の持ち主がいない写真がいっぱい今たまっているのです。では,1年前にもお話ししたとおり,引き取り手がなかったら最後どうするのかという問題が,多分近々上がってくると思います。これは決してごみとして捨ててはいけないものだと思うのです。そしてこの問題は,著作権の問題とか,プライバシーの問題とか,非常に悩ましい問題がありますので,現場では絶対に解決できない状況にあります。
 一方で,本会議の会長代理である青柳先生を中心に,文化情報のデジタル化についても,今ムーブメントが起こっておりまして,今度議連が立ち上がるという状況でございます。そこで,ぜひそういった動きを国が制度的に支援して,経費の問題を解決する中で,デジタル化して保存するような動きを今対応しておかないと,かつてそこにコミュニティーがあったという記憶が全くなくなってしまうという,ほんとうに危機的な状況だと思いますので,ぜひこの点もお考えいただければと思います。

【宮田部会長】  ありがとうございました。先ほど冒頭に伊藤先生がおっしゃった,地域に対してというのと,太下先生の今の話はどこかでリンクするものがございますよね。青柳先生もひとつよろしくお願い申し上げます。
 どっちにしても,今回大きく,昨年度やったものの中で,例えば前年度,予算が困窮している中にもかかわらず,文化庁予算は,少ないながらもという言い方をしては失礼ですけれども,増えております。それはほんとうに文化庁さんのお力によるもの以外はございません。多少僕らも頑張ったという感じがございますが。
 少ない予算にもかかわらず,それがいかに有効に還元されているかという意味で,アーツカウンシルを日本版として相当大急ぎでつくりました。かといってそれが完成したわけではなくて,それがあることによって,より生きた文化行政ができるのかと思っております。
 そんな意味で,大分時間が過ぎていて大変申しわけないんですが,吉本先生に今日おいでいただいておりますので,ご説明を受託者としてお話しいただけたら幸いでございます。よろしくお願いします。

【吉本室長】  ありがとうございます。時間が押しているようですので,なるべく手短にご説明したいと思います。
 今日は審議会の席でこういうご報告の機会をとっていただきまして,どうもありがとうございました。お手元の資料9ですけれども,文化政策の評価手法に関する調査研究ということで,昨年12月から私どもの研究所でこれを受託して調査を進めてきました。昨年度の調査についてまとまりましたので,今日その概要をご報告させていただきます。この調査研究は,私のほかに大澤と稲村の3名でやっておりまして,今日は稲村も同席させていただいております。
 まず1ページをごらんいただきたいんですけれども,これが,昨年度になりますが,行った調査研究の全体像を示すものでございます。最初に評価の目的ですけれども,調査を進める過程でよりこういったことが明確になってきたわけですが,第3次基本方針の中に事業のPDCAサイクルを確立するということがありまして,ですので,今回の調査では下にあります5つの事業が対象になっているんですが,その事業のPDCAサイクルを確立し,それぞれの事業を改善していくのが非常に重要な目標であって,その下にわざわざ括弧書きで書いてありますが,採択団体の事業・運営の評価が主目的ではないということでございます。
 これは,この評価のための様式を開発するに当たりまして,採択団体の方々にいろいろお話を伺ったんですが,同じデータを収集するにしても,データの多い少ないで判断されると,これは違いますという意見が多数ありまして,同じ劇場でも劇場全体の中での位置づけがあると,この数字は少ないけれども,そのことが逆に意味があるんだということがあるんですね。ですので,この評価はあくまでも文化庁さんの各事業のPDCAサイクルを確立することが目的だということを明確にしないといけないという点が,調査の過程でより明らかになってきました。
 とはいえ,各採択団体さんが行う事業も,芸術の振興ということに向かってやっていらっしゃるわけですから,この評価が各採択団体のPDCAサイクルにも何らかの形で寄与するようなものができないかということで調査を進めております。
 それとあわせて,後ほど簡単に説明しますが,さまざまなデータを収集する中で,例えば優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業を文化庁さんが推進されることで,こんなに成果がありましたということをわかりやすく引き出して,それをアピールする,国民の皆さんにわかっていただくと同時に,財務省にもそういうことを説明できる資料をつくっていく,大体その3つが目的になっているかと思います。
 そうした目的を達成するために,右側に書いてございますように,まずは各事業の政策の中での位置づけの確認,それから下に書きましたが,戦略目標の設定,その戦略目標に基づいたロジックモデルをつくり,それに基づいて各事業の評価指標,データの収集方法,調査項目の検討というのを行いました。
 その後,今日ご出席の太下委員にもご協力いただいたんですけれども,調査研究会を開催しまして,調査の進め方,事業の評価方法をご検討いただき,ここで言うところの様式例1の案を作成しました。その後協力団体の方にご協力をいただいて,もう一度研究会を開催し,さらに様式1,2を検討して,また協力団体の方に集まっていただいてご意見をちょうだいして,様式1,2の最終案を最終の委員会で検討いただいてまとめたということになっております。
 何をつくったかというのが1ページの下にあるものでございまして,評価指標づくりに向けた戦略目標というのは,昨年度のこの部会でご報告させていただいたんですが,各事業は目的等の記述があるんですけれども,そこには何を支援するかが書いてあっても,それで何を達成するかという目標があまり明確ではないということがございまして,まず戦略目標をつくり,それを達成したかどうかを評価することが重要だということで,これはいろんな議論の中で,今回の調査で出てきた戦略目標でございます。
 それから右側に様式例1,様式例2とありますが,様式例1が,各事業の評価を行うためにさまざまなデータ収集をする必要がございまして,そのデータ収集を行うための様式例でございます。アンケート調査であったり,インタビュー調査であったり,訪問調査であったりということです。
 様式例2というのは,それぞれの様式例1で集めた調査結果,データを集約しまして,各事業の評価を行うことになっています。
 ちょっとだけ具体的なご説明をさせていただきますと,2ページ以降にBからEまでの全体像がありまして,左側は事業の概要,まず文科省での3次方針の中での位置づけに始まって,戦略目標があり,その下にどういう事業を行って,具体的にどういう団体が採択されているかということをまとめてございます。
 右側が評価指標,評価データの収集方法と調査項目でございまして,成果もアウトプット,アウトカム,インパクトと3つに分けております。アウトプットというのは,劇場・音楽堂で言いますと一体どれぐらいの公演を行い,何人ぐらいの人が入ったという数字の部分でございます。従来はここだけが評価に使われている傾向が非常に強くて,それでは文化のことは評価できないと言われた部分です。
 ですので,その右側にございますアウトカム,例えば観客や参加者がどのように満足したのかとか,劇場・音楽堂で言いますと,舞台芸術の作品に対する芸術面でどういう成果があったのかというようなこと,さらにはそれが右のほうに行きまして,地域における劇場・音楽堂が果たす社会的役割,あるいは文化環境がどういうふうに変わっていったのかといったこと,あるいは芸術文化を鑑賞することによってその地域の市民の生活の質の向上にどのように貢献したのかといった流れで下の評価指標が出され,それぞれの調査票のようなものがつくられているという構造になっています。それぞれの調査票も資料でお出しすると膨大な量になりますので,それは今日は省かせていただいております。
 以降,3ページがCの観光振興・地域活性化事業,それから4ページがEの海外発信拠点形成事業,同様の資料になってございます。
 最後のページに,おそらくこれが評価の手順をある意味で示すものになると思うんですが,スケジュールを作成してみました。今回の私どもの調査研究は昨年度,つまり3月末で1回終わってしまうんですけれども,それをどう次に活用するのかも含めてこのスケジュールはつくっております。
 色がいろいろ分かれているんですけれども,オレンジ色の部分は平成24年度の補助事業に関する項目,緑色の部分が25年度,青色の部分が26年度でございます。今は6月になるわけですけれども,様式例1,2ができていますので,今年度この調査研究を継続するのであれば,様式例1,2を具体的に試行してみる段階に入るかと思います。観客向けのアンケートとか,インタビュー調査を1年間行って,それを,25年4月のところにございますが,様式1に反映させ,さらに右に行きまして,来年7月ぐらいに評価結果が出て,その評価結果に基づいて今度はアクションということで,補助事業の改善を検討する流れになりました。
 ただし,それをやっている最中に25年度の事業が既に始まりますので,事業が行われることと評価を行われることがパラレルに,少しずつずれて始まる形になります。ですからこれがある種のサイクルでちゃんと機能するように,この評価の書式,手順といったものがうまく組み立てられていく必要があるだろうと思います。
 簡単ですが,ご報告は以上です。

【宮田部会長】  ありがとうございました。事務局,何か補足はございますか。

【内田調整官】  はい。簡単に補足させていただきますけれども,ただいまの吉本室長のご説明で,今後のスケジュールについて最後にございましたけれども,今年度以降についても,ここにご提案いただいているような方針に立ちまして,文化庁としても引き続き政策評価を行うための仕組みを確立できるように委託調査を進めていきたいと考えておりまして,これまでの成果を踏まえまして,実際の試行を今後やっていきたいと思っております。以上でございます。

【宮田部会長】  パラレルになっていきながらですけれども,ちゃんといい関係でサイクル化できていくといいなという気がいたしております。アウトプット,アウトカム,インパクトということですね。ありがとうございました。
 突然これを読まれた方もいらっしゃると思うので,結構大変かなという気もしますけれども,ちょっと時間が,大変申しわけございません,私の進行が悪くて30分で終わるはずが5分ばかり過ぎてしまいましたが,これに関しては,またご質問等は文化庁に各自いろんな手法でご連絡いただけたらと思っております。吉本様,ありがとうございました。

【吉本室長】  ありがとうございました。

【宮田部会長】  とても見やすい,この前のこれを構築するための会議のときの混乱から,とてもすっきりとした感じに,さすがでございます。ありがとうございました。
 それでは,そろそろ終わりにしたいと思いますが,この次にやるときには全員の先生方からご意見をいただきたく努力したいと思いますので,簡潔に,しかしインパクトのある感じで会議にご協力をいただけたらと思っております。ありがとうございました。
 あと事務局,何かございますか。

【近藤長官】  時間を過ぎておりますので,短時間ででお話しします。アーツカウンシルにつきましては,東京都と,大阪府か市かが今導入をしつつあります。そのような状況も参考になるのではないでしょうか。。

【太下委員】  府と市で両方一体になって。

【近藤長官】  両方一体となって,だそうでございますので,そういった動きも見ながら,場合によっては来ていただいてご説明を伺うことも含めて,進めたいと思います。沖縄もよろしくお願いいたします。
 それから先ほど東北について,記憶のミュージアムとか,国立施設がないとか,受け入れの人が十分いないとか,いろいろご提案がございました。できればこういった点をもう少し掘り下げて,検討できるアクションオリエンテッドな部会にしていきたいと思います。昨年から幾つかご提案を伺いながら,聞き流しているつもりはございませんけれども,なかなかアクションに結びついておりませんので,そういったことに心がけたいと思います。
 それから冒頭にごあいさつするときに,今回委員をお引き受けいただいたことに対するお礼を言い忘れまして,大変失礼いたしました。今回はジェンダーバランスと平均年齢を下げることに努力して,それなりに実績が上がったと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮田部会長】  ありがとうございました。事務局,よろしいですか。

【内田調整官】  はい。

【宮田部会長】  今度,こんなのをやろうかと思っております。白熱教室です。「近藤誠一文化庁長官と語る白熱教室,21世紀文明と文化,芸術の役割について」というので,東京藝大でに5日に近藤長官においでいただいて,学生と議論をするということです。入場無料でございます。ご紹介させていただきます。
 本日はどうもありがとうございました

── 了 ──

ページの先頭に移動