文化審議会第10期文化政策部会(第3回)議事録

1.出 席 者

(委員)

宮田部会長,伊藤委員,片山委員,加藤委員,熊倉委員,佐藤委員,相馬委員,宮川委員,山村委員

(事務局)

近藤長官,河村次長,作花長官官房審議官,石野文化財部長,大和文化財鑑査官,山﨑政策課長 他

2.議事内容

【宮田部会長】   それでは第10期文化政策部会第3回を開かせていただきます。お忙しいところありがとうございます。感謝申し上げます。
  前回、前々回と大変ご多忙で、宮川先生がご出席が今回初めてでございますので、一言お願いします。

【宮川委員】   なかなかスケジュールが合わなかったのですけど。去年はちょっとこういう場に、空気に慣れなかったんで、慣れることで精いっぱいだったんですけど、今年はちょっと慣れましたので、皆様がどんなことをお考えでどんなことに力を注いでいるかということを非常に興味を持って、今ここにおります。
  今日は、特に、あれをこうしてくれとかそういう意見は僕はないのですけれど、話し合いを本当に楽しみにして、ここに来ました。

【宮田部会長】   ありがとうございました。
  さて、それでは議題でございますが、今内田さんからお話がございましたが、配付資料のもとに進めさせていただきたいと思います。まず何はともあれ東日本大震災でございますが、最近の状況を踏まえた文化政策のあり方ということについて、しばらくの間、意見交換をしていきたいと、かように思っております。その後また報告事項でございますが、明後日8月8日(水)より、富山県で全国高等学校総合文化祭が開催される予定でございますので、その辺も踏まえまして事務局よりご報告をいただきたいと、かように思っております。
  それでは皆さんから、いろいろなご意見、震災について復興、それから文化芸術について私たちは何をすべきか等々の意見をちょうだいしたところでございますけれども、前々回の部会では第3次基本方針のフォローアップのための文化政策のあり方全般についてご意見をいただいたところでございます。大変これらは貴重な、そして重要な論点でありますので、今後もこの部会におきまして構築していきたいと、かように思っております。
  そして今年度は、第3次基本方針の2年目ですから、震災のほかに劇場法の制定などもあり、文化芸術の期待がますます高まっているという中で、来年度の予算要求などもにらみつつ、この部分としても、これまでの議論の成果を何らかの形でまとめていけないかというふうに考えております。よろしゅうございますか。こうしたことも考えまして審議の提言案というものを事務局と一緒に相談して、私のほうで作成していきたいというふうに考えております。そういうこともございますので、先生方の貴重なご意見をいただきつつ、今月の末ぐらいまでをめどにまとめようと考えておりますので、よろしくまたお知恵を頂戴したいと、かように思っております。いかがなものでしょうか。そんな方向でいきたいと思います。
  それでは、その辺を踏まえまして事務局のほうから提言案についていろいろお話しいただけますでしょうか。

【内田調整官】   はい、ありがとうございます。
  それでは、今、部会長からご提案いただきました提言案というものに関しまして、本日、資料の1としてお配りさせていただいておりますけれども、この中身についてご説明させていただきたいと思います。
  先週、委員の皆様には一旦、未定稿版というものをお送りさせていただいておりますけれども、若干その後、追記したり修正している箇所もございます。ただし、大枠は変更してございませんが、一通りご説明をさせていただきたいというふうに思っています。
 右上に資料1と書いた資料をごらんいただければと思いますけれども。特に、この資料のアンダーラインの部分がポイントですので、そのあたりを中心にご説明を申し上げたいと思います。
  最初に1といたしまして、最近の状況でございますけれども、平成23年度から基本方針に基づく施策が展開されてきておりまして、今年度はその2年目ということでございます。その基本方針におきましては6つの重点戦略というものを掲げておりまして、今後もそれらを力強く引き続き実施していく、という状況ではございます。ただその一方、東日本大震災がございましたので、そういったことも踏まえる必要があるいうことで、(1)といたしまして「被災地への持続的支援の必要性」というふうに書かせていただいておりまして、これまでさまざまな文化芸術団体、芸術家などが文化芸術の力を用いまして、音楽だとか演劇などさまざまな分野で支援する活動を行ってこられましたり、文化財の救出ということをされてこられました。こういった取り組みを通じまして、被災者にとっては前向きに生きる力を得たとか勇気を得られたというような、そういった感想などもあるわけですけれども、こういった状況をまず踏まえる必要がありまして、2ページ目でございますけれども、そういう中で、文化芸術の果たす役割の重要性というのを改めて再認識されていると、そういう局面でございます。
  (2)といたしまして、もう一つの重要な流れといたしましては、劇場法が制定されております。この法律は、「我が国の実演芸術の水準の向上などを通して実演芸術の振興を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現に寄与する」と、そういった趣旨の法律でございますけれども、これは文化芸術振興基本法や第3次基本方針の延長上にあるものでございますが、文化芸術振興のために一層の推進力となっていく、そういったことが期待される法律でございます。
  また、少し順番が前後しますけれども、資料2の中に最近の提言といたしまして福島復興基本方針ですとか日本再生戦略というものが制定されておりまして、こちらの資料につきましては既に先生方にお送りしておりますのでごらんいただけていると思います。ですから詳しい説明は省かせていただきたいと思いますけれども、こういった流れを踏まえる必要があるということでございます。
  それで3ページ以降に具体的なことが記載されておりまして、まず、文化芸術に対する新たな期待、課題といたしまして、(1)「被災地への支援に関する事項」といたしましては「文化芸術活動への期待」といたしまして、阪神・淡路大震災直後と比べまして、今回の大震災におきましては早くから文化芸術活動を希求する度合いが強かったということが言われておりまして、その復興の過程で確認されたことといたしまして、「日常を取り戻す契機となる」、また、「復興の困難に立ち向かう心にエネルギーを充てんする」、「文化芸術を通じて国民の心を一つにする」、そういったことが言われているわけであります。
  どのような分野の機会提供が、誰を対象に、どんなことを期待されているのかという、そういったニーズと芸術家が提供を申し出ているもののマッチング、そういったものを発展させることが必要だというようなご指摘が、これまでのヒアリングでも何人かからございました。
  こういうニーズと芸術家が申し出ていることが一致するわけではないので、よくそのあたりのマッチングをしっかりさせることによって、文化芸術の押し売りとならないように留意しなければならないといったことでございます。
  また、「文化施設の果たす役割」といたしましては、特に原発事故があったようなところの近隣などでは子どもたちの出入りが激しいということで、そういった教育環境への影響が指摘されている中で、ある文化施設では地方公共団体と連携した上でコンサートのために来訪したプロの演奏家を学校に派遣するような事業をやっておられて注目されているというような動きがございます。このように、地域への教育普及活動などをみずから実施していく、そういったことの重要性が明らかになっているわけであります。
  また、「地域における文化財の意義」といたしまして文化財というのが地域のアイデンティティーを形成するものだということで、これまでのさまざまなネットワークを生かしながら、さらに新しいネットワークを構築する形で、文化財レスキュー事業、文化財ドクター事業が進められてきております。埋蔵文化財も復興への取り組みが進められてきております。
  こういった取り組みを地元の人々が直接関与するということが、「地域のたから」をみずから実感するということで重要だということが認識されているところであります。また、そういった業務に関連した新たな雇用なども生まれているということが指摘されております。
  こういった文化財のレスキューなどに関連することですけれども、文化財の指定の有無とか類型の違いにかかわらず、地域の文化財を総合的に把握したり、保存・活用していく、そういった人材といったものをさまざまな関係機関と連携して確保していくことの重要性というものが指摘されております。
  「被災文化財等の救援」といたしまして、阪神・淡路大震災の際に保管されたような文化財でもまだ返却されていない、そういった事例からもわかるとおり、非常に長期的な取り組みが求められてきているということも指摘されております。
  さらに「民俗芸能の果たす役割、保存・継承」でございますけれども、ヒアリングで実例とともに紹介されておりましたのは、幾つかの避難所に分かれていた被災者が民俗芸能をいち早く復活させることで自律的な復興につながった、そういった例があったということで、津波で壊滅的な被害を受けたような地域におきまして、今後民俗芸能などをどのように保存・継承していくかが課題となっております。
  「行政からの財政支援」に関しましては、被災地の生の声といたしまして、行政からの財政支援というのはありがたい一方で、膨大な資料の作成を求められる、細かなお金の使い方に制限がある、精算払いで立て替えが困難である、という声があります。
  また、支援を受けるために必要な書類というのをたくさんつくらなければならなくて、そういった余力のある職員が存在しないというようなことですとか、事業費の半額を負担する必要がある、そういう事業があるということで、そういった課題が指摘されておりまして、今後、被災地のことを考えた使いやすさと、その反面、税金で使われているお金ですので、さまざまな条件、制約、バランスのあり方を早急に考えるべきであると、そういう指摘がございました。
  次のページが、被災地に限定せず、日本全体共通の事項でございますけれども、これは文化施設に関しましてですけれども、地域住民の鑑賞のみならず創造に関します文化芸術活動の拠点、情報発信の拠点としての機能を備える必要があるということですとか、あと、情報発信の拠点になろうとしても内部職員の理解が不十分なために前になかなか進めないんで、啓発を図る必要があるというようなこと。
  また、文化施設は地域の人々がさまざまな活動を通じて人間関係をつくったり、それを持続していったりするという社会包摂的な機能を果たしていく、そういったことも求められてきておるということです。
  さらに、大震災が起これば避難所に様変わりするという幅広い機能も果たし得るということが改めて今回の大震災で認識されましたので、日ごろからそういったことも意識して準備をしていくということが、地域で真に必要とされる施設として重要なことなのではないかということです。
  また、指定管理者制度の導入ということで、経済性、効率性を重視されるあまり、協定書の中身が限定されがちなので、大規模災害時に柔軟な支援に限界があるというケースも想定されるということで、今後、運用の改善に向けて留意すべきであるということです。
  また、ヒアリングの中で出されたお話といたしましてヘリテージマネジャーの育成ということで、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、地域における文化財の保存・活用などを推進する専門の方の育成というのが一部の自治体で行われておりますけれども、そういった取り組みをまたさらに推進すべきではいかという指摘がされております。
  また、大学等における取り組みといたしまして、大学が持っているみずからの教職員や、学生を組織的に活用しまして、教育・研究機能と両立させながら文化財保護、文化芸術振興に貢献し得るような取り組みを進めていくべきではないかという指摘がなされております。
  7ページ以降が今回のレポートの肝の部分ではないかと思いますけれども、将来に向けた提言として記載いただいている部分でございます。1つ目、「被災地への支援に関する事項」といたしまして「地域に根ざした組織の育成」ということで、今後、地域主権の流れが進んでいく中でも、復興ということに関連しましてはより自律的な復興ということに比重が置かれていくことになりますので、地域に根ざした芸術団体の育成というのが必要となってくるであろうと。
  また、「長期的展望に立つ支援」ということで、阪神・淡路大震災の後10年以上経過してもまだ解決しない課題がありますので、そういったことを踏まえても、持続的に行っていく必要があるのではないかということです。
  あと、「地域のニーズに合致した文化芸術の支援」ということで、地元の現状とか要請、あとは芸術家、芸術団体が提供したいということの両方のマッチングを図るようなコーディネーター的役割を担う人材の育成というのが必要ではないか。また、文化芸術による復興推進コンソーシアムが立ち上がっておりますけれども、より実効性の高い形で取り組みが求められるんではないかということです。
  「文化芸術による『心の復興』への支援」といたしましてアートセラピーという言葉が言われておりますけれども、「心の復興」が重要でありまして、小・中学校への芸術家の派遣、被災地の県・自治体が企画する舞台芸術の鑑賞などへの支援を引き続き推進していくことが重要であるということです。
  また、「海外への広報発信」ということに関しまして、大震災後の日本に対する外国人の見方もだんだんよい方向に変わってきているということで、この機会に海外発信の必要性というのがあるのではないかということでございます。
  また、提言の大きな2つ目の柱といたしまして8ページ以降に、今度、日本全体の文化芸術振興策でございますけれども、「ネットワークづくり」といたしまして、文化圏が近い近隣の自治体間で平時から応援協定のようなものを締結しておくことで大災害が起きたときに、職員は震災対応に忙殺されることになりますので、そういった衝撃を緩和できるのではないかと。
  また、全国展開した文化財レスキュー事業、ドクター事業の成果を震災対応に限らずさまざまな場でこのネットワークを活用していくべきでありますし、国としても、このネットワークを支援を行うべきだということです。
  「文化施設の在り方」といたしまして、文化施設が文化芸術活動の拠点、情報発信の拠点として本来の役割を果たしていくことが重要でありますし、地域住民がその地域において特色ある文化芸術に少しでも触れる機会を確保していく必要があるということです。
  また、震災時における避難所、集会場所としての活用ということに関しましても日ごろから考慮に入れて、その存在意義を日ごろから対外的に示していく必要があるんではないかと。
  また、「文化財の修理・復旧」に関しまして、文化財というのは国民的財産でありますし、「地域のたから」でありますので、その修理・復旧、防災機能の強化、継承等に継続的に取り組んでいく必要があると。
  また、美術館・博物館等は、文化財の保存・活用、地域の生涯学習活動、国際交流活動の拠点として期待されておりますので、こういった取り組みを支援していくことが重要であるということです。
  「地域の文化財の保存・活用を支える人材の確保」といたしましてヘリテージマネジャーの養成のような、地域の文化財を総合的に把握したり、これらの保存・活用を支える人材というのを確保していくことが重要であるということです。
  さらに、「危機管理体制の強化」といたしまして、各施設におきまして何らかの危機に際して保有・展示する文化財を限られた時間の中で優先度に応じて効率的に救済するためのリストの作成、そういったことですとか、救済された文化財につきまして、応急措置、一時保管を実施するための体制が平時から整備されていることが望まれる、ということです。
  「大学等との連携」といたしまして、大学等におきましても専門的な能力を有する人材の養成に貢献することが重要でありますし、大学等における専門人材の養成につきましては、劇場等の文化拠点、伝統芸能や工芸技術を継承している人々と連携したインターンシップ、また、履修証明の制度等も活用して、社会人の再教育を充実していく必要があるということです。
  さらに、文化芸術の振興にかかる諸課題には、地域の内外を問わず大学が参画していくことが有効ではないかとや、第3次基本方針に掲げられた施策をより効果的に実施する観点から大学という新たなリソースに着目して、文化芸術施策の実施に大学に組織的に参加してもらう、そういうことを促すことが必要ではないかということです。
  最後になりますけれども、「文化芸術の力に関する認識の普及」ということで、各国民が、その職業を問わずに文化芸術の力を正しく認識する必要があり、学校、家庭、職場すべてにおきまして、文化芸術を各人の日常生活の一部と位置づけられるようなさまざまな措置を関係者が講じていくべきではないかという、そういったことでございます。
  以上が提言案の中身、部会長から提案いただいております提言案の中身ということで説明させていただきました。この提言案に関しまして委員の皆様から、例えばこういった視点がさらに必要ではないか、というようなことや、ここに記載がございます文章をさらに補強するような、先生方が取り組んでおられるような具体的な事例など、この場をおかりして頂戴いただければというふうに思っております。
  長い説明で失礼いたしました。以上でございます。

【宮田部会長】   はい、ありがとうございました。最後のところは、あれは私が言う言葉ですね。委員の先生方にはぜひ、いいお話をいただきたい。内田さんはとても親切なんで、よかったと思います。ありがとうございます。
  いかがでしょうか。例えば3ページで言うならば、ニーズとマッチングしてないこと、復興のときのどたばたというのは、非常に私も反省しているところがいっぱいあるんですが、そういう問題とか、5ページであります精算払い、立て替えですね。何もなくなっているところに立て替えしなきゃいけないといったときのあの困難さとか、いろいろあるわけでございますが、最後に内田さんが言いましたけど、この文章のプラスアルファで、ああいうふうにしたらいい、こういうふうにしたらいい、あるいは、これはもう少し膨らまそうというようなことがございましたら、この時間をおかりして先生方からお話をちょうだいできればというふうに思っております。
  たまたま私は大学に職を置いているわけですが、大学の人材というのは特に危機管理の多いとき、皆さんの手が足らないようなときには非常に人材の宝庫であるということをつくづく感じました。即戦力もあり、同時に裏づけになる学問的な、あるいは知識等々も含めた財産もあるので、これは大学の使い方というのは、文科省というよりも文化庁の中からも、この文化財に関しては非常に強く発信できるようなものがあるなということを身をもって感じたわけでございますので、そんなところも感じました。
  9ページのところにございますが、大学がやるべき仕事も同時ですが、やっぱり最後には学校、家庭、職場において、文化芸術というのは隣のうちのものではなくて自分の中の生きざまの中にあるというような関係をみんなで共有し合うということが非常に大事なことではないかというようなことを感じております。
  先生方、いかがでしょうか。どなたか口火を切って下さい。伊藤先生、いかがですか。

【伊藤委員】   それでは3点ばかり、意見といいますか、コメントみたいなものを言わせていただきたいと思います。
  まず最初は、大きな問題ではないんですが、2ページ目の劇場法の成立のところに書かれていることですが、劇情法のところの最初の丸です。「最近、国レベル」というところで最後のところの傍線を引いてあるところが劇場法の趣旨のように書かれているんですが、私自身は劇場法の趣旨はむしろ、さまざまな文化施設、特に劇場・音楽堂等々の文化施設がもっと機能を高めていくといいますか、人材等々、そういったものをきちんと活用できるような体制にしていくところに大きなポイントがあるのであって、実演芸術の振興というのももちろんその手段として劇場・音楽堂の大きな職務だと思いますが、これを見るとちょっと、やや実演芸術の振興のみが劇場法の目的であるかのような形で書かれている点が気になったので、ちょっとこの辺はご検討願いたいというのが第1点です。
  第2点は、これは前々回のときにも多少触れた形のことですが、5ページでございます。5ページの、4ページの終わりからのところに関連しますが、かなり、従来に比べて民俗芸能等々無形文化財について踏み込んだ記述が増えたということは、非常に感謝しております。しかし、ちょっと、前からも触れていることなんですが、確かにお祭り等々が多くの人たちの結びつきに大きな効果を上げたことは事実なんですが、ややもすれば、これは一時的に終わってしまう傾向が高いんですね。祭りというのは継続して初めて意味を持つものであり、1回だけのものではないということがあります。そのためには、5ページ目の一番上の丸のところで「今後、民俗芸能等をどのように保存、継承していくかが課題である」というのはまさにそのとおりでありまして、ただ、それをもっと強調していくために、実は震災以前からも少子化だとか過疎化といった形で、こういった民俗芸能というものの継承がおかしくなってきているわけです。したがって、「震災以前からあった問題も踏まえて」といった言葉を少し補って長期的な展望を述べていくのがいいんじゃないかと思っています。
  それから次、6ページです。これは提言のほうの8ページとも若干絡んでくるんですが、6ページのほうに即して述べたいと思っています。
  実は私、この4月から、ちょっと変な縁で、逗子市で文化振興の仕事をお手伝いをしたりしています。現場でいろいろ今市民とも、新しい市の顔になるような文化事業をおこしていく、あるいは市の文化施設が今直営であって、それを指定管理者制度に移していくに当たっての問題点を列挙したりだとか、こういったことをちょっと日常やっているわけなんですが、その中で、ここにも書かれています、2番目の丸の「内部職員の理解が不十分である」ということは、非常にひしひしと感じているんですね。文化振興課の職員自体が、まずあまりわかっていません。ましてや、ほかの課の職員の人たちというのは、文化というのは市民たちが喜ぶし、その分においてはやっていけばいいけれども、それ以上のものでもないという認識が圧倒的に強いわけですね。そういう意味で3番目の丸に書いてある、文化というものは単に「公演、公開及び発表等の場としての機能だけではなく、地域の人々がさまざまな活動を通じ、人間関係を構築・保持したり」云々というところ、特に社会的包摂の問題、ここは非常に重要な指摘であって、ここはもっともっと強調したい気持ちがあるわけです。ただ、なかなか、これと従来からの文化施設の役割の間につながりが見えてこない。これが、今、日ごろ苦労しているところなんですね。
  そういう意味で、この辺ちょっとまだ、すぐに文案はできないんですが、行政における縦割り問題というのは1970年代の地方自治体の文化行政が起こったときから総合行政といった言葉で、あるいは行政の文化化といった言葉で議論されてきたことだと思いますが、この辺については何らまだ、40年たっても変わってないんだというところを踏まえた形で、ちょっとこちらのほうも考えてみたいと思っておりますが、触れていきたいと思っています。
  その関連で、4番目の丸のところの文化施設の問題。これも、逗子でやっていますと、あそこも、もし津波が起これば完全にだめなところなんです。海抜2メートルぐらいのところに文化施設があります。小学校が横にあったりして、避難所になれるかどうかさえわからない場所なんですね。最近かなり危機感が起こってきて、避難所になった場合はどうするかみたいなことも含めて計画づくりをしているわけですが、やっぱり対症療法なんですね。今まで、この関係のシンポジウムでも出たんですが、最近、企業のほうではBCPという、ビジネスコンティニュープランという事業継続計画というものをきちんと立てて。これは特に去年のタイの洪水のときに、日本の自動車メーカーたちがどのような形で事業を継続するかということについて日ごろさまざまなシチュエーションを想定して、こういった場合にはこういった形だとかというような形で考えていかなきゃいけないわけです。そのときに特に重要になってくるのは、避難所としての機能というものはきちんと考えていくと同時に、そこにいるスタッフたちが、その施設から離れて独自に文化振興の仕事ができるような仕組み。企業で言えば、そこにいる従業員たちがほかの工場に移ってでも製品をつくるということが必要になってくるように、文化事業を継続していくためには、そういったことも含めた事業継続計画というものが必要になるんじゃないかと思っています。
  それが指定管理者制度にも絡んでくるわけでして。例えば指定管理者は施設の管理を中心に考えていきますために、施設外での活動については、なかなか心がいかないわけですね。あるいは避難所の問題に関しても同じことだと思いますが。特に多分、ヒアリングでいわきの話なんかでお出かけ、アリオスなんかの話があったんじゃないかと思いますが、こういった活動を指定管理者がやっていくということをどのような形で、例えば仕様書といいますか、に盛り込んでいくかということなんかも今非常に考えているところなんですが、この辺はできれば提案を受けて、文化庁のほうでもう少し具体的なアドバイスになるようなものも考えていただていただくとありがたいなと思っている次第です。
  長くなりました、済みません。

【宮田部会長】   はい、ありがとうございました。もうお一人よろしゅうございます。片山先生、どうぞ。

【片山委員】   静岡文化芸術大学の片山です。
  最初、伊藤委員がご指摘された劇場法の成立等に関する記述のところの、2ページですけれども、この部分は、私も気になりました。これに関しては、6ページの(2)のところの前半に書いてある内容がまさに劇場・音楽堂等の法律の検討をする中でずっと言われてきたことですから、ここに書かれているような社会的包摂のことも含めて、内容を2ページの趣旨のところにも盛り込むと、良いのではないかと思いました。
  それから、指定管理者制度のところの、6ページのところですが、「経済性や効率性を重視した指定管理者制度の導入により」とありますが、指定管理者制度は、それを規定している地方自治法には、施設の設置目的を果たすために有効な場合に用いろと書いてあるのであって、それを犠牲にして経費削減をするというのはそもそもの導入趣旨とは違っています。むしろ、ここの書くべきことは、指定管理者制度のもとで短期的、部分的な経済性、効率性を重視した運用をしてしまったために起こっている問題だと思います。効率性や経済性はやはり高めるほうが良いに決まっていまして、ほんとうに目指すべき重要な点は、短期的、部分的なそれに陥らずに、長期的、全体的な効率性や経済性を目指すべきだということです。
  そういう意味で、先ほどの劇場・音楽堂等の法律とも関係してくるのですが、これまで施設としてしか見なかったものを機関として見るということになって、その機関の長期的な目的を達成するために最も効率的、経済的なやり方を目指すという形できちんとした指定管理者制度の運用がなされていくように、今度、法律の中でも指針を定めるということになっています。したがって文部科学大臣が定める指針の中にそういうことをきちんと定めていくべきだということを、この審議会の提言の中にも盛り込んでおくとよいのではないか思いました。
  それから、長くなって恐縮ですが、もう1点。大学等の連携に関する、9ページのところで気になったところなのですが、確かにインターンシップなどは、教育的に重要なことだとは思うのですが、今むしろ問題になっているのは、インターンシップなどを経験して能力をつけても、なかなか職が得られないというケースが多い点だと思います。ですので、そういう教育を受けた人たちが、任期つきでもいいので、常勤の職を得られるような体制づくりをすることが重要なのではないかというところを思っております。
  それから、既に働いている人たちの再教育というところで、「履修証明の制度等も活用し」というふうにあるのですが、そういうことも全く無駄ではないと思いますが、むしろ、各財団にしても行政にしても人員削減が激しい中でなかなか研修のための時間を割けないという状況が、むしろ一番深刻なのだと思います。一昔前であれば、例えば行政の方とか財団の方が1年ぐらい研修として大学院などに来るということもあったんですけれども、最近めっきりそれが減ってきております。ですので、在職のまま研修が受けられるような時間的、金銭的な支援が、やはり必要なのではないかと思います。かつて、雇用保険の制度を用いた教育訓練給付金が注目されたことがあったかと思いますが、それをより広く活用するのが良いのかどうかはありますが、やはりそういう分野の人材が在職のまま研修を受けられるような仕組み、支援が必要だと思います。それは、奨学金のようなものになるのかもしれませんし、あるいは、研修をしている間の代替的な人材に対する補助といった制度が良いのかもしれませんが、いずれにしても、そういう支援を行うことについて提言しても良いのではないかと思います。
  以上です。

 

【宮田部会長】   いかがでしょうか。相馬先生、宮川先生、加藤先生の順番で、簡潔にお三方お願いします。

【相馬委員】   では、私のほうから手短に。前回の委員会に欠席したので、もしかしたら既に出た話かもしれませんが、先日、文化庁の内田さんと平田オリザさんのところに個別ヒアリングに伺いまして、そこで平田さんが力説されていたことがとても印象に残っているので、共有させていただきたいと思います。平田さんは、復興を考える上で重要な課題は、芸術文化による復興を担う人材の定着であると仰っていました。これは震災後に始まったことではないけれども、東北では優秀な人ほど東京ないし大都市のほうに出てきてしまって、地元に人材が残らないということが起こってる、と。今後もますます人材が流出するということを防いでいくためには、やはり未来に向けて東北の市町村の魅力を高めていくためのさまざまな施策が必要なのかなと思います。こちらのレポートに書かれた被災地への支援に関するさまざまな提言の中で、今すぐには無理かもしれないけれども、今後つけ加えておいたほうがいいのかなと思う視点が一つありますので申し上げます。
  このレポートの中の基本的な考え方として、芸術文化が被災地の復興に役立つんだ、芸術文化の力で被災地を元気づけていくんだという観点が主だと思うんですけれど、逆の見方をすると、これからものをつくっていく人や若い人たちというのは、被災地に学ぶことがたくさんあるわけです。今はやはり励ましや癒しということが中心的な目的になると思いますが、今後は、例えば東京に住んでいる若い人やアーティストたちが被災地に長期的に入って、そこで現地の人といろいろな経験を積んでいくことで彼ら自身の創作やこれからのビジョンづくりに役立てていくという視点も盛り込んでおくといいのかなと思います。
  最近、もともと東京に住んでいた若い人たちが大学を卒業して、被災地に自分たちで家を借りて長期的に住むということが起こっています。例えば、瀬尾夏美さんと小森はるかさんという、まだ20代前半のアーティスト二人は、まだ東京芸大を出たばかりですけれども、震災後、岩手県の住田町というところに移住し、自分たちで車も買って住んでいる。彼女たちは、何か被災地のためにしようということではなくて、自分たちがこれから表現をしていくにあたって、今の被災地に寄り添っていたいという気持ちが強いというふうに聞いています。ですから、そういう若い創り手たちが現地に行って長期的に住めるような環境づくりですとか、あるいはアーティスト・イン・レジデンスの仕組みを、ゆくゆく現地の復興プランの中に盛り込んでいくというようなこともあると、長期的にお互いのニーズをマッチできる可能性があるのではないかなと。そういう視点もゆくゆくは盛り込んでいただけるとありがたいと思います。
  以上です。

【宮田部会長】   ありがとうございます。
  そうですね、結構私も何人か知っていますけど、頑張っておられますね。直で、同じ空気を吸って、今何をしようかという、ああいう生の声を聞くのは非常にリアリティーがあっていいなという感じがしました。ありがとうございました。
  それでは宮川先生、その後加藤先生お願いします。

【宮川委員】   すみません。7ページに「マッチングを図るためのコーディネータ的役割りを担う人材の育成」と書いてありますけれども、これ、すごく難しいですよね。うかつにこういうことを書いちゃっていいんでしょうかというような感じがしたんです。要するに、その前にも3ページに、ニーズと芸術家が提供、その食い違いという問題がありましたけど、これは要するにどの程度の食い違いのことが書いてあるのか、僕はもう少し詳しく知りたい。つまり、クラシックのピアノの人が「弾きます」と言ったら、「いや、うちはできれば演歌がいいんだけど」と言われちゃうような、そういうギャップなのか、あるいは、「ピアノよりバイオリンがよかったわ」みたいなことなのか。これはだから、マッチングを図るためのコーディネーター、すごく文化の範囲が広いことだとしたら、ほんとうに大変なことで。僕は音楽しかわからないんですけど、演歌からクラシックからいろんな畑のことをよく知って、それなら、こちらがどうぞというようなことを采配を振るということは、僕なんかが今の職をなげうって、これに没頭してやっとのことなんじゃないかなという。育成するって、じゃ、だれが育成するんだろうというようなことを正直ちょっと思ったんですけど、という、文章に対する疑問です。

【宮田部会長】   よくわかります。それはほんとうに相馬先生がおっしゃった、現地に実際にいて、そこから出てきた声なのかというのが。むしろ、そういう人はただの芸術家ではなくて、非常に生きたコーディネートの役もするのかなという感じがしておりますね。この文章に関しても、ちょっとその幅を広めて。
  ありがとうございます。それでは、加藤先生お願いいたします。

【加藤委員】   震災絡みの話ですけれども、例えばいわきの、先ほども出ましたが、アリオスとか、あるいはほかにも、えずこホールとか仙台のメディアテーク、もうちょっと広くとると八戸の「はっち」なんかもそうだと思うんですけど、文化施設が震災が起きる前から地域社会に寄与してこられたケースが幾つもあって、そういうところが震災後も大変いい仕事をされている。美術館なども幾つかそういう事例がありますけれども、そうした仕事をずっとしておられるということを考えると、やっぱり日ごろから、こうした文化施設の運営というのが非常に重要だと思います。その上で、コンソーシアムを今回つくられているわけですけれども、どちらかというと現地から遠く離れた人だけで構成されていて、今申し上げたような現場で非常にいい仕事をしておられる人たちが構成員としてコミットしていない。現場に即した、まさにマッチング等々を言われているわけですから、そういう意味ではぜひ、コーディネートを機能させるためにも、現地でいい活動をしている人たちに構成員としてコミットしていただくべきではないか。
  一方、さはさりながら金の問題が非常に大変で、1つの方法として、こうした地域で、現地で非常に大変いい仕事をしておられる施設に応援隊というか、専門家を雇用できる、それぞれ施設に5人とか10人とか雇用できるような予算を付与して支援して、それで対応を増やしていくべきではないか。
  先ほど、コーディネーターというのが難しいとおっしゃられるのはまことにそのとおりだと思いますが、実は、現地へ行くとすぐれたコーディネーターが何人も何人もいらっしゃるわけです。そういう人たちがいて、ほんとうにデリケートな仕事、難しい仕事を随分やっておられて、そういう人たちがさらに仕事をできやすくするようなバックアップの予算というものがあるといいんではないかなと思いました。
  難しいのは、それぞれの現地でいろいろなニーズがあるけれども、ニーズ間の調整というか、人の問題は非常にデリケートで、地域コミュニティに入れば入るほど、だれがこれを提唱しているのかによって賛成になったり、反対になったり、「何とかさんが言うならやめておこう」みたいな話になりやすいので、そこはよそ者で、しかし、愛があるというか、ほんとうにそこのことを考えようというよそ者が行って調整をしていくということも必要でしょう。すべての集落に入れればいいんですが、人数も限られているから、当面やれることは、こうした今いい活動をしておられる文化施設にそうしたコーディネーターを配置して、その費用を予算化して配置することによって、現実にいろいろな現場に行っていただくということが割合と有効かなというふうに思いました。

【宮田部会長】   はい、ありがとうございます。相馬先生からあったお話とも連動しますが、まさに、支援する人、そこに特化されてきますね。ありがとうございます。
  山村先生、いかがでしょうか。

【山村委員】   そうですね。復興支援に関しては特に私のほうから何か話せるようなことがないんですが、ちょっと漠然とした印象として、やはりどちらかというと、中央から地方へ何かをしようというような全体提言のような印象がありまして。芸術とか文化の役割の1つとして、鑑賞だけではなくて、物作りや、表現することそのものがほんとうの癒しになっていくと思うんですね。何か押しつけてみせるとか、そういうことじゃないような気がしまして。ですから、地元の人たちが表現できる何か喜びみたいなところに関する、僕もいいアイデアがあるわけではないんですが、そういった内容の提言というものが必要なような気がしました。

【宮田部会長】   大変ありがたい言葉ですね。ありがとうございます。
  この後もこの件に関しては、先生方、どうぞ討論等を通じてどんどん膨らませていってくだされば結構かと思いますが。ぜひ、文化政策のあり方について、被災地の状況、これをいい文章にしていけたらいいのかなというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
  勘違いしないでもらいたいのですけど、一生懸命書くと総花になっちゃうというけど、決してそういうわけではなくて、やはりここが大事、これが大事ということはきちんと伝えなければと思っております。
  はい、ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。佐藤先生、どうぞ。

【佐藤委員】   2点だけ。1点目は復興支援なんですけれども、1回目のときにも申し上げたとおり、何とか文言の上で子どもたちへの事業に対する重点的な支援というのをぜひお願いしたいと思います。というのは、1つは、福島に対しては復興でもあるんですけれども、現在進行形なのですね。生まれた赤ちゃんから考えると、これからかなり長い間いろいろな状況が出てくるということを考えなきゃならない。そのときに文化からのアプローチというのは一番ソフトにアプローチできるので、ウオッチングを含めて、やはり重点的な施策が必要なんじゃないかと思います。
  例として、今年、最近2回ばかりベビードラマについての集会に参加したんですが、ベビードラマというのはそもそもはスウェーデンで命名されたのですが、今まで児童のドラマというと大体、言葉がしゃべれるところからということだったんですが、それ以前の3歳児以下の子供さんに見せるドラマというのが欧米を中心にすごく発達してきており、既にフランスなんかでは専用の劇場が生まれようという計画であるとか、それから、高名な演出家がそれを実際に手がけるとかという動きがあります。それから、ベビードラマというのは、非常に領域が広いもので、いろいろな、音楽や他領域と一緒に結ぶことができるんですね。何よりも大きいのは、赤ちゃんのためのドラマをやることによって、若いお母さんたちがそういう場所へ出てくるきっかけになると。それで、自分の赤ちゃんと一緒に見ていく。今やはり一番福島で混乱していらっしゃるのは、そこの年代の、若い女性たちを中心にした層、実際に赤ちゃんを持ってらっしゃる層である。そこに対する働きかけなんかを考えられるのではないかと思うので、一つ何かお考えいただければと。何とか文言に「子ども」というのを入れておきたいというのが1点です。
  それから、人材育成のほうについては、やはり超法規的な基礎研究が今必要な段階だと思います。1つは施設的、それから、機関、制度的に、ある程度整備ができてくる。足りないのは人材なんですね。しかも、人材が従来のアウトマネジメントではなくて、地域と結びついた人材というのをどうやって育てていくかということについて、まだ基礎的な取り組みがされてないと思うんですね。これは、劇場自体が地域コミュニティの再生を担うというような新しい分野にかかわっているときに、その地域の中でどうやって人材を育てていくかということについて基礎研究もやはり、基礎的な取り組みが今必要なときだと思うので、その2点、何らかの形で言葉として反映していただければというふうに思います。

【宮田部会長】   佐藤先生、ありがとうございます。子どもというのでふと思い出したんですが、子どもの名前を、子どもが生まれたときに一番最初に親が悩むのは名前なんですけれども、あのときに文化力が発信、ものすごいエネルギーが発信するんだそうですね。私もそういう経験がややありましたけれども。あれで、時代性がすごくわかりますね。何子としかつかない頃から、最近は、多様な名前が多くなってきておりますけれども、ああいうのも面白いなと思っております。余談になりましたが。
  人材と地域ということで言うならば、熊倉先生、ご専門じゃないですか、お一つどうぞ。

【熊倉委員】   はい。コーディネーター的役割についていろいろご意見が出て、それぞれ非常にごもっともだなというふうに思いました。
  ここの7ページの文言に関しては、とりあえず、非常に顕著に露顕したものに関しては、避難所あるいは仮設住宅に何の演目を受け入れるのかというようなマッチングだったのかもしれませんが、決して聞きたい人は何を求めているかというようなことだけでなくて、その先の、これまでお話があったような、外から来るものを受け入れるだけでなくて、今、地域の人たちが自分たちの力で何かをしたいと思っていると。文化以外のボランティアで多くの若者たちが被災地に長期的に入っているというお話もありまして、この中で地域の中のキーパーソン、例えばお寺さんだったり、神社さんだったりすることが多いということが今回のヒアリングでもあったんですけれども。つまり、地域コミュニティから非常に信頼が厚い人たち、この若者たちがこのままこのまちに残ってくれて一緒にまちづくりを手伝ってくれればという、おめがねにかなう若者たちが何人もいる、おめがねにかなわない若者たちも何人もいるというところなんですけれども。その中で、今その地域コミュニティが抱えている難しい問題。ほんとうに難しいんですよ。さまざまなデリケートな問題を一緒に悩みながら考えて、それを何らかの文化プログラムに集約しつつ一歩を踏み出すような、そういう単なる文化振興、文化のためにやるのではなくて、地域に根ざした文化によるコミュニティ再生などに寄与できるようなコーディネーターが必要だと思うんですね。
  そんなのいないじゃないかというご意見かもしれませんが、これは確かに将来的には文化施設の、もしかしたら専門的な職員がそういう能力も持っていればいいのかもしれませんけれども、現時点では、あまりそれは現実的ではないかなという気がいたします。むしろ、さまざまな形で現地に既に入っている20代後半から30代半ばぐらいの若い人たち。あるいは、私は、文化施設を使わない、全国で行われているアートプロジェクトと呼ばれるような地域密着型の文化事業をあちこち見て歩いたりしているんですけれども、そういうところで十分に一定の成果は上げていて、それに関する基礎研究は十分行われていると思います。

【宮田部会長】   はい、ありがとうございました。そうですね、なかなか。なじまない、なじむという微妙なお言葉がありましたけれども、よくわかりますね。
  ちょっと1つの提案なんですけど、必ずなじませるために、ためにという言葉は大変ご無礼なんですが、うちの大学でやった1つの事例なんですけれども、7万本の松がたった1本しか残らなかったところがありますよね。あそこの流された松を使って、母子の地蔵様をつくったんですね、私の大学で教員と学生が。それを向こうのあるお寺さんに納めさせていただいた。それがどんどん大きくなっていって、地蔵堂までつくることができた。そうすると、お母様が、自分の子供が運動靴も、もちろんアルバムも跡形もなく、すがるものがないというときに、母子の地蔵に手を合わせることによって非常に救われるものがあったというふうな1つ事例がありますけれども。そのときに、ただ、こちらでつくったんではなくて、そこのところにあった松を使ったというあたりで人をつなげていくというようなことができる。それがまさしく、私の大学なんかでは一番やりやすい、また、非常に深く長くやっていけることかなと。短期的でもありながら中・長期につながっていけるというふうな心の支えになるものがあったんだ、そういう1つの事例がございますが。
  どこかで、ただ持ってきたんじゃなくて、ただお仕着せでお金を渡すわけではなくて、こういうように、その辺をよく考えた接点のあるものをやることも事例の1つかなという気がしております。
  同じようなことで、ある学校の校歌を改めてつくろうというふうな話もありますね。それによって子供たちが、よりよい自分のふるさとを改めて感じることができるというようなことも、うちの大学らしい1つの方法かなというような気がしておりますけれども、そんなことがあります。
  どうぞ。

【伊藤委員】   先ほど述べたことと、それから、今、コーディネーターをめぐって、幾つかの方からのご意見を聞いて感じたんですが、震災だけではないんじゃないかという気がするんですね。コーディネーターの役割というのはほんとうに、例えば文化施設のあり方においても、そういう性格を持った人たち。つまり、先ほども言いましたように、文化施設の指定管理者なんかを考えてみますと、文化施設をきちんと活動していれば、それが文化振興であると思い込んでいる文化行政の担当者が、あまりにも多過ぎる。むしろ文化施設というのはあくまで地域とつなげていくための拠点であり、地域の人たちが交流したり、あるいはそこにいるスタッフがどんどん出張っていくということが必要になってくるわけで、アウトリーチもすぐに、アーチストをアウトリーチしちゃうのであって、言ってみれば、スタッフがアウトリーチしていくことはほとんどないわけです。そういうことを促進していくためには、震災での経験を踏まえて全国的に、別に震災以外の今度、日本全国における文化芸術のあり方のほうにも、こういったコーディネーター的な機能というものを文化施設における機能の中に追加して記述していく、そういったことが必要になってくるんじゃないかなと。
  先ほどの民俗芸能の話でいきますと、今回の震災が起こったために起こったわけではない、それ以前からずっと続いてきていた問題というものがここに来て顕著になってきたということもありますので、逆に言えば、日ごろからの問題として、先ほど加藤さんも言っていましたけれども、日ごろからきちんとそういった活動をしていた文化施設は、震災のときにもきちんと対応ができたわけです。だからそういう意味では、震災が起こったから対応していくというやり方ではなくて、日ごろからの問題というものがすごく重要になってくるということは、かなりしつこく強調していいんじゃないのかなと思いますね。

【宮田部会長】   ありがとうございます。これを契機にという言葉は失礼なんですが、やはり再認識するということは大事ですね。ありがとうございます。
  次いきます。そろそろ。時間はまだ少しあるんですけれども、次へいきます。どうぞ、先ほども申しましたけれども、どんどんご提言いただいて結構でございます。それから、今日ご出席でない先生方にも、ぜひ内田さん、今の話もプラスアルファしていくようにお願いいたします。ありがとうございました。
  長官、どうですか。

【近藤長官】   じゃ、1つ質問。

【宮田部会長】   はい、どうぞ。

【近藤長官】   いろいろご意見ありがとうございました。最初の会合だったかと思いますが、たしか熊倉先生だったかと思いますが、東北には公の施設がないということをまず言われたんですが、それは今後必要であるというインプリケーションなのか、ないはないでいいけれども、別のやり方があるという趣旨なのか、その辺について、もし今ご意見があれば。
  つまり、今まではどちらかというとソフトの話をしてきましたので、コーディネートとか。ハードもやっぱり要るんだということであれば、このご時世で難しいですけれども、検討はしてみようかなと思っているんですが、いかがでしょう。

【熊倉委員】   済みません、私自身は必ずしも、いわゆる従来の文化施設というイメージではなくて描いております。場があることは非常に重要かと思いますが、これはほかの委員の皆様方からもぜひご意見を伺っていただければと思いますけれども、個人的にはアーツカウンシル計画を前期に出されて、今回出ているような、きちんとした人的配備の仕組みというような、一種のアートセンターのようなものが実験的にできてもいいのかなとは思っておりますが。

【宮田部会長】   ありがとうございました。
  もう、これは中・長期の域に入っているのかな。1年以上たちましたけれども。まだ初期と考えてよろしいんでしょうか。難しいところなんですけど。日本人の嫌なところというのは、火がつくと一気にみんな火がつくんだけど、消え出すとあっという間に消えていくんで、これは気をつけなきゃいけないなと思っているんですが。ですから、そういう意味も含めて、この提言というのは非常に慎重でもあり、かつ威力のあるものであるというふうなものになっていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
  さて、それでは次に移らせてもらいますが、よろしゅうございますか。

【相馬委員】   すみません。今の長官と熊倉さんのやりとりを受けて、一言付け加えさせて下さい。
  確かに今、東北にハードをつくる、例えば国立の劇場をつくるというのは現実的ではないと、私も思います。ただ、私のように、フェスティバル運営、つまりソフトづくりをひたすらやっている人間の身からすると、ハードがあるということはやはりものすごく重要なことでして。今、東北に世界的で先端的な作品を定期的に巡回させられるような劇場があるかというと、残念ながらないのが現状です。あるいは、海外から大規模な劇団なり作品が来た場合、それを関西には回せる、それから、九州や山口のあたりにも行けるだろうという感触がありますが、やはり福島以北にはなかなか難しい。単純にハード的な問題、あるいは施設の予算的な問題で、作品を巡回させるためのそもそもの前提条件が満たされていないというのが現状です。これは震災云々に関わらず、単純にそれだけ文化施設のキャパシティ、ポテンシャルがないということだと思います。
  ですから、新しい文化施設をつくるという非現実的な話にはいかないまでも、結局のところ先ほど来のコーディネーターの話や劇場法の話につながるのだと思いますけれども、やはり中央やほかの地域との格差のないよう、文化的な機会を享受できる機会や施設を、震災云々に関わらず当たり前のように持てるよう配慮していくことは重要なのかなというふうに思います。

【宮田部会長】   ありがとうございました。
  それから、あれですね、文化芸術というのは、なくなったところにも意外と、町の人たちの、職人さんたちの元気をつくるきっかけにもなるんですよね。例えば、さっきの話に戻りますが、母子地蔵までは僕らはつくったんですが、その後、地蔵堂ができ、屋根の銅板のふきができ、参道ができ、いろんなことができていく。それは全部、その土地の人たちがみんな、一生懸命やれるんですね。そうすると、産業の振興にもなるというふうなこと。活力にもなるというような感じがあって。これは決して宗教色は全く入れてないんですけれども、それもまたおもしろいのかなというような気がしましたけれども。ありがとうございました。
  では、またこの件に関しては本日の中でもどうぞ、ここのところをもう少し言ってみたいというようなことがございましたら、戻っていっても結構でございます。
  次、行かせてもらいます。それでは、全国の高等学校の総合文化祭についていきます。
   明後日8月8日、富山県において全国高等学校総合文化祭が開催されるんだそうです。事務局より、この件に関してちょっとご説明していただけますでしょうか。

【門岡室長】   はい。それでは全国高等学校総合文化祭について少し、あしたから長官にも行っていただきまして富山県で開催されますので、その概要についてご説明させていただきます。
  全国高等学校総合文化祭、資料8をごらんいただきたいと思いますが、これは昭和52年からこういう形で開催されておりますが、それ以前は一部の都道府県の文化連盟とかでその分野ごとに、演劇とか音楽とか、そういった分野でやられていたんですが、52年からは今のように47都道府県が参加するという形で開催されてきております。開会式、パレード、開催部門等いろいろございますけれども、第36回の全国高等学校総合文化祭とやま2012につきましては、8月8日から12日の5日間にわたりまして開催されます。8日には富山芸術文化ホール、オーバードホールにおきまして総合開会式、それから、あと、パレード等もありますが、秋篠宮同妃両殿下と佳子内親王殿下がお見えになります。19の規定部門、これは毎年どこの場所でもやっておるんですけれども、ブルーのパンフレットの後ろ側に19の規定部門と、下のほうに4つ、ボランティア、特別支援学校、定時制通信制のところと、あと茶道のところ。これは、その県ごとに少し、自分のところでこれに取り組んでみたいというようなものを県のほうで提案して開催する協賛事業ということで4つ。その上のほうの19が、これは毎年大体全部やられているという内容でございます。
  それで、今回のテーマにつきましては「創造の舞台~美しき越の国~」ということで富山で開催しますが、全国から約2万500人の高校生が、この期間中に集まります。参加校は約3,400校。そのほかに大韓民国、ロシア連邦及び中華人民共和国のほうから約80人ということで、その方々が来られて交流もされるということになっております。
  今年は富山県で、この期間でありますけれども、昨年は福島県が開催地でありました。一昨年22年は宮崎県が開催地でありまして、宮崎の場合には口蹄疫の問題であったり、23年福島につきましては、震災の後、開催するかどうかというようなこともございました。この高等学校総合文化祭は学校の先生方が中心に活動されますけれども、文化庁のほうからも予算と支援をしますが、生徒実行委員会というものを開催県のほうでは3年前に設立して、高校生がみずから運営にかなり参加するという構造をつくっておりまして、今回の場合にも200人近くの生徒実行委員会、実際の開会期間中には数千名の富山県の高校生たちが、この運営に携わるということになっております。
  中に茶色い冊子が折り込まれているかと思うんですけれども、これは富山の高校生たちが、この大会のために高校生がつくった冊子です。今回の場合に富山のほうで、この高総文際と北信越かがやき総体ということで高校総体のほうが同時開催ということになりましたので、2つの要素を合わせたこういうお国自慢、いろんなものを織り込んだ形でのこういう冊子もつくって、高校生たちがつくって、来られる方々のおもてなしというようなこともやっております。8日以降いろいろなところで開会されますので、急なお話でありますが、もしも近くに行かれるようなときがあれば、日にちとかそういったのはパンフレットの後ろに、どこで何をやっているかというのは大体見えますので、ぜひごらんいただけるような機会があればと思ってご紹介させていただきました。
  以上です。

【宮田部会長】   はい、ありがとうございます。国民文化祭とは全然リンクしてないのですか。

【門岡室長】   はい。これは別物です。完全に別物です。

【宮田部会長】   これは、手挙げ方式で決定するのですか。

【門岡室長】   文化庁も主催者なんですけれども、主にはやっぱり高等学校文化連盟という高校の文化活動をやっているいろんな、演劇とか音楽系とかそういった部門ごとがあるんですが、そこがまた1つの組織をつくりまして、開催県についてもその中で、よろしくというような形で。国体とかいろいろなところも手を挙げるところが今なかなか出てこないんですが、これは高校生の事業について言うと、先の先まで決まっているようなことがありまして、今は平成28年ですか。広島まで一応開催県が決まっておりまして、来年が長崎、その次は茨城、滋賀、広島ということで、毎年順繰りによく決まっていっておりまして。指導は、高等学校文化連盟というところが中心でやっております。

【宮田部会長】   文化連盟というのは高校の先生方ですか。

【門岡室長】   そうですね。高校の文化活動についてお世話している先生方の集まりというふうに考えていただいて結構だと思います。

【宮田部会長】   ここで頑張って、専門家が育ったり、指定管理者のいいのが育ったりしてくるといいと思います。

【門岡室長】   それを目指す子たちも演劇系でいたりもしますけれども、やっぱり部活というところに重きを置いてやっている子たちもいっぱいいますので。
  去年の福島の総合開会式のときに高校生たちがみずから考えて、長官以下いろんな知事さんもいらっしゃいましたけれども、皆さんがほんとうに涙するような、自分たちの置かれた立場というものを受けとめて、これからどうやっていくのかということを構成劇にして演じましたけれども、やっぱりそれはほんとうに福島が元気にやっていこうというふうなきっかけになるような1つの事業だったように、振り返ると思いますし、高校生たちがこれによってすごくやっぱり成長するというのは、私も年に1回これに行きますと、汚れた心が少しきれいになるというようなことも経験して、大人にとっても非常にいい事業かなという気はしております。

【宮田部会長】   ありがとうございました。
  ちょうど、夏の高校野球もそろそろ始まりますが、昨年の選手宣誓なんか、とてもよかったですよね。ああいうふうに、高校生というのは非常にターゲットとして、この震災の話のときでもそうですが、いろんな意味で次世代を担う子たちですので、こういう文化祭というのは大事なことかなと思いますね。
  長官は行かれるんですね。

【近藤長官】   はい。

【宮田部会長】   ぜひ、開会式では、心に、歴史に残るようなお言葉をいただきたいと思います。

【近藤長官】   今、門岡が説明しました昨年の福島県での開会式で行われた構成劇ですが、そこで主役を演じた男子高校生が、新国立劇場の研修所に入ったということです。新国立劇場の研修所の入学式に行きましたら、「長官」と声をかけられ、「昨年、福島県でお会いした者です」と言われました。ですから、もともとそういう意向があったのか、それとも、全国高校総合文化祭で活躍をして自信が出たのか、わかりませんが、そういううれしい話もございました。野球の甲子園に比べると、全国高校総合文化祭は、まだ、国民的認知度が足りないかもしれないのですが、そういう個別のいい事例が出てきているのは非常にうれしい材料だったので、ご報告をいたします。

【宮田部会長】   もうちょっとちゃんと宣伝していいですよね。私も、存じ上げなかったですので。

【門岡室長】   済みません。我々の課題の大きなものの1つとして、やっぱり周知する手段についてもう少しエネルギーをかけなきゃいけないかなということについて高文連と今話をしているんですけれども、なかなかマスコミ系も何かしら今おいしいものがないと飛びつかないようなことを。世知辛い世の中になっていまして。
  追加で済みません。高総文祭について言いますと、8月の後半になりますが、優秀校東京公演というのがございます。実はこの全国大会で、演劇と日本音楽、主に琴です、それと郷土芸能、この3部門については優秀な学校を4校選びまして、その4校については8月の25、26、この両日2日間に分けまして国立劇場で合計で12校が発表する機会というものを設けておりまして、チケットは無料なんですけれども、チケットぴあで一応販売して、ほんとうに即日完売みたいな形で。これもやっぱり知っている人は知っているんですけれども、なかなかそれ以上にあまり広がってないのかもしれませんが。全国大会で優秀な成績をおさめた、その部門ごとに4校ずつが国立劇場で披露するということで、高校生たちにとっても国立で発表できるということで、それを目指して頑張っているような子たちもいて、実際に見てみると、そのレベルの高さにはびっくりするようなものをやっていることがございますので。もしもご希望をいただければ席のほうは確保させていただきますので、ご連絡いただければと思います。

【宮田部会長】   メディアが食いつかないというのは、そういうことではなくて、食いつかせる、という視点が大切ではないでしょうか。

【門岡室長】   はい。

【宮田部会長】   風が吹いたら桶屋がもうかるじゃなくて、風を吹かせて桶屋までもうけさせるというように考えて、ぜひ。ちょっと、僕、結構おもしろそうだなと思っておりますので、是非、宜しくお願いいたします。

【門岡室長】   去年、長官にご尽力いただいて、今までは普通に後援だった読売と朝日両新聞が特別後援という形になりまして、新聞でも特集の記事を書いて、シリーズ的に発表してみたり。読売は何年か前からやっていましたけれども、ジュニア・プレスの記者の人たちに記事を書かせて、大体10段抜きぐらいの特集記事を読売新聞で出すとか、若干、新聞社としてもいい印象を与えるような記事で購買部数を増やしたいという裏はあるんですけれども、朝日と読売はそういう形で、かなり積極的に今協力を始めているというところがございます。

【宮田部会長】   広報ですが、地方紙、富山だったら北日本新聞などに積極的に広報して欲しい。

【門岡室長】   はい。

【宮田部会長】   ありがとうございました。
  はい、どうぞ。

【河村次長】   ご存じの方、この中では多くいらっしゃるかもしれませんが、去年の福島での公演の高校生のその構成劇の「福島に生まれ、福島で育っていく」という、その劇の言葉が総理官邸に非常に感銘を与えたということで、その後の国会での総理の所信表明演説で、高等学校総合文化祭でこういう福島の高校生の言葉があったということが引用されておりました。それはちょっと、福島だったからそうなったのかということにとどまらないように、これからもさまざまなところに総合文化祭のことについて伝えていきたいと存じますが、昨年はそういうエピソードがございました。

【宮田部会長】   はい、ありがとうございました。文化芸術の言葉が国の政治も動かすというところまでいってもらいたいと思います。ありがとうございました。
  さて、これに関してはご質問等々、あるいはご提言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
  もう一つ言い足らないこと等々ありましたら御意見ください。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
  それでは事務局のほうから、次回の日程について、ご連絡ください。

【内田調整官】   それでは次回の日程でございますけれども、8月30日(木)の16:00を予定しております。場所や議事等の詳細につきましては、後日またご連絡させていただきたいと思います。
  以上です。

【宮田部会長】   ここで終了したいと考えております。さて、7月30日付で長官の任期が1年延長になったということだそうですが、長官、どうぞ、一言、お願いします。

【近藤長官】   ただいま部会長からご報告がありましたように、30日付で2年の契約の任期が切れたのですが、もう1年任期が延長となりました。いろいろやり残していることが多いからちゃんと始末つけろということだろうと思って、残り1年間頑張りたいと思います。どうぞ引き続きご指導のほど、よろしくお願いいたします。(拍手)

【宮田部会長】   はい、ありがとうございました。また、大変でしょうが、ひとつよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
  それでは、本日はこれにて終了したいと思います。ありがとうございました。

── 了 ──

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