文化審議会第10期文化政策部会(第4回)議事録

1.出 席 者

(委員)

宮田部会長,秋元委員,伊藤委員,太下委員,岡本委員,片山委員,加藤委員,佐藤委員,相馬委員,平田委員,宮川委員,湯浅委員,渡辺委員

(事務局)

近藤長官,河村次長,作花長官官房審議官,大木文化部長,石野文化財部長,大和文化財鑑査官,山﨑政策課長 他

2.議事内容

【宮田部会長】  お暑うございます。先生方におかれましては,お忙しいところをどうもありがとうございます。今,内田さんからご説明がありましたとおりでございますが,それでは部会に入らせていただきたいと思います。
 どうしましょうか。欠席の委員は今日は2名ですね。

【内田調整官】  部会長,すみません。直前に連絡が入りまして,合計5人が欠席。欠席委員名は座席表の左下にございます。

【宮田部会長】  わかりました。ありがとうございました。
 それでは,提言案の修正点について御説明おねがいします。

【内田調整官】  それでは,まず1つ目の議題でございますけれども,東日本大震災と最近の状況を踏まえました文化政策の在り方についての提言案に関しまして,部会長ともご相談させていただきまして,前回の部会でのご議論ですとか,あと,その後,委員の皆様から電話,それと電子メールなどでいろいろと意見をちょうだいいたしましたので,それらを踏まえまして修正させていただきましたので,ご説明したいと思います。事前に資料を先週お送りしておりますけれども,少し変更となった部分もございますので,またご説明をさせていただきたいと思います。
 資料1でございますけれども,副題といたしまして新たに文化芸術の力による東日本大震災からの創造的復興と日本再生という副題を入れさせていただいております。こういった副題のつけ方も含めまして,資料の中身をあわせましてそれぞれまた後ほどご議論いただければと思います。前回からの変更点といたしましては,赤文字になっている箇所でございます。ページをお開きいただきまして,1ページ目はそのままなのですけれども,2ページ目以降,赤で入っているところが修正箇所でございます。
 まず,劇場法の成立等というところでございますけれども,劇場法の意義といたしまして,劇場や音楽堂等の活性化についてもっと強調すべきではないかという意見が前回ございましたし,また人々の生きるきずなの形成,また,地域の文化拠点の形成,そういったことをもっと強調すべきだという意見が幾つか前回ございましたので,そういったご指摘を踏まえて修正させていただいております。それで,下から2つ目の段落におきましてもコミュニティの再生ということで,文化芸術の果たす役割について記載させていただいているところでございます。
 3ページ目に行きまして,阪神・淡路大震災のときよりも今回は文化芸術活動への期待が高まっていたというところですけれども,ここは正確に言うと地域によってという文言を入れたほうが正確ではないかというご指摘がありましたので,そういった記載をしております。また,その一方,全国から被災地にたくさんの支援が行われましたので,そのあたりの書きぶりも入れております。3つ目のパラグラフといたしまして,若手の芸術家を中心といたしましてある一定期間定住して,支援を長期間にわたって行いまして,なおかつ,自分の創作活動の力量向上にもつなげるような試みも見られたということで,そういった前回紹介された事例をここに書かせていただきまして,また,地域に根差した声を聞いてコーディネートを行うような支援の意義,そういったものもあわせてここのパラグラフに書かせていただいております。
 このページの最後から4ページ目にかけての部分でございますけれども,特に現場のニーズと支援のマッチングについてですが,成功事例もある一方で,反対に情報が集約できなかったという課題が指摘された事例もありましたので,そういった両側面について書かせていただいております。4ページ目の3つ目のパラグラフ,平泉の記述について若干微修正をしております。
 5ページ目でございますけれども,3つ目の民俗芸能のところですが,長期的に保存・継承していくということについて,これまでも保存・継承については課題であって,それで今回改めて認識されたといったニュアンスを出したほうがいいのではないかというご指摘がありましたので,それを反映させております。また,一番下の段落で,行政からの財政的な支援ということを書いていたのですけれども,やっぱり人的な支援という部分も今回新たに5ページから6ページ目にかけてですが,盛り込ませていただいております。
 6ページ目の2つ目の段落でございますけれども,ここは文化財・民俗芸能などの被災地の復興に果たす役割についての重要性を指摘する意見がたくさんございましたので,改めて強調して書かせていただいております。あと,6ページ目の一番最後に関しましては,昨年度から文科省で進めております復興教育,つまり復興のための教育を行うさまざまな活動があるのですけれども,そういった取り組みの中で例えば,俳句ですとか,演劇を通して,創造的な復興を行っていくのだというような授業が文科省の初等中等教育局でやっておりますので,ここは本省の初等中等教育局と調整する中でこういった文言も入れたほうがいいのではないかというご意見があって入れさせていただいております。
 次,7ページ目でございますけれども,今度,日本全体の文化芸術の振興策でございますが,2つ目の段落ですが,文化施設が情報発信の拠点になろうとしたときに,内部職員の反発があるということについて,長年にわたって指摘されたことだというご意見がありましたので,それを反映しております。3つ目のパラグラフですけれども,社会包摂的な機能について強調すべきというご指摘を踏まえて修正しております。また,5つ目のパラグラフですけれども,指定管理者制度のところで,経済性や効率性を重視した指定管理者制度という書き方が適切でないのではないかというご指摘がございまして,表現を修正させていただいております。短期的な視野に立った経済性・効率性を追求しがちであるというような書きぶりに修正させていただいております。
 次に,8ページ目以降でございます。ここからは具体的な今後の提言ということになりますけれども,8ページ目の一番最後,アートセラピーという言葉を使っていたのですが,その言葉について,まだ十分定着していると言えないのではないかというご指摘がございまして,癒しの効果という言い方にしております。あとは,舞台芸術鑑賞への支援について推進の後に強化というふうに書かせていただいております。
 9ページ目,海外への広報発信に関しまして,仙台フィルの取り組みに対しましてロンドン交響楽団は確かに注目してはいるのですが,ロンドン交響楽団の公式見解が出ているわけではないというご指摘がございましたので,海外の文化芸術団体というふうに書きかえております。あと,9ページ目の最後ですが,先ほど申し上げました復興教育の充実ということを,改めてその趣旨を書かせていただいているところでございます。
 10ページ目,日本全体における文化芸術の振興策についての提言でございますけれども,最初の段落ですが,平時より応援協定のようなものを締結することによって,大きな衝撃を災害時において緩和できるという記述ですけれども,これはふだんからの文化芸術活動などを通じた交流の積み重ねも大事だというご指摘がありましたので,反映させていただいております。同じページの3つ目の段落におきまして,被災地におけるアート・イン・レジデンス機能について,非常に重要性が指摘されておりますので,このあたりも盛り込ませていただいております。また,下から3つ目ですけれども,前回特定の文化芸術に関心のある方々だけではなくて,子どもですとか,子育て中の母親など,いろいろな方々に対しても幅広く機会を提供していく必要があるというご指摘がありましたので,それを反映しております。
 また,11ページですけれども,最初の段落,文化財の修理・復旧のところですが,史跡・名勝などにつきまして,被災者の生活再建とかかわりのある文化財につきましては,常日ごろから理解増進に努める必要性があるということを改めて書かせていただいております。また,危機管理体制の強化といたしまして,BCP,つまり,緊急事態の際の行動計画をあらかじめ策定しておくことの必要性ということのご指摘も前回ありましたので,追記させていただいております。
 最後に,12ページですけれども,大学等との連携のところですが,文化芸術にかかわる学問分野というのは非常に広範にわたっているということで,文化経済,アートマネジメント,文化政策など,さまざまな分野について,横断的な研究を行っていくことが期待されているというご指摘がございましたので,修正させていただいております。あと,最後の段落のところは,文化芸術の力に関する認識の普及ということで,地域という文言も入れさせていただいているということでございます。提言の修正点などのご説明は以上でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。前回の提言に対して皆様からご意見をいただいたり,欠席の先生からもいただいたものを踏まえて,赤を入れながら,現在ここまで進行しているということでございます。内田さん,ご苦労さまでした。ありがとうございました。
 意見交換に入る前に,提言案の議論の参考にして,6月27日に施行されている劇場,音楽堂等の活性化に関する法律に基づく指針の作成に向けて,文化庁さんが劇場,音楽堂等の関係者と意見交換を行うヒアリングを実施していますので,その概要についてちょっとご紹介いただけるとありがたいのですが,よろしくお願い申し上げます。

【舟橋課長】  資料2をごらんいただきたいと思います。劇場,音楽堂の活性化に関する法律につきましては今,座長からお話がありましたように,6月27日に法律が公布をされました。この資料の一番上の段落の参考という括弧書きがございますけれども,法律の第16条におきまして,文部科学大臣は劇場,音楽堂の事業の活性化のための取り組みに関する指針を定めることができると定められております。また,第2項におきまして,この指針を定めるときには,あらかじめ劇場,音楽堂の関係者の意見を聞くものとするという規定がございますので,この規定を踏まえまして,今後指針を策定するために関係の劇場,音楽堂等の関係者のご意見を伺うということでヒアリングを今月17日から24日にかけて開催をさせていただきました。
 ヒアリングの中身でございますが,(1)にヒアリング事項とございますが,まず現状において文化庁で指針に定める事項の骨子の案ということで,ここに書いているような事項を考えておりまして,この事項に沿って各劇場,音楽堂等の関係者のお考えを聞いたということでございます。骨子の案はここにあるとおりでございますけれども,劇場,音楽堂の運営方針の明確化でございますとか,あるいは人材の養成・確保,教育普及活動あるいは複数の劇場,音楽堂の連携の関係でございますとか,あるいは安全管理の問題でございますとか,あるいは公立の施設についての指定管理者制度の運営のあり方,そういった事柄についてご意見を承ったところでございます。
 ヒアリングの参加団体は29団体でございます。これはいろいろな特色ある取り組みを行っておられる劇場でございますとか,あるいは地域のバランスや団体の規模などを考慮いたしまして,29団体にお願いをしたところでございます。まず,劇場,音楽堂,それから設置者である地方公共団体,また関係の団体からご意見を伺ったところでございます。それから実演芸術団体ということで,2枚目でございますけれども,公益社団法人の日本芸能実演家団体協議会,芸団協からもご意見を伺いました。また,舞台技術の関係団体ということで舞台技術者連絡会,それから照明家協会,音響家協会からもご意見を伺いました。また,大学ということで,東京芸大,神戸大学,大阪音大,京都造形大学からご意見を伺いました。また,学会ということで,日本音楽芸術マネジメント学会からご意見を承りました。この政策部会の委員につきましても宮田部会長,佐藤委員からご意見を伺ったところでございます。
 ヒアリングにおける主な意見ですが,さまざまなご意見をいただきましたので,今私どもでそれを整理しているところでございますけれども,指針に記載すべき内容ということでご指摘をいただいた主なご意見をここで紹介させていただいております。
 まず,劇場,音楽堂の運営方針を明確化するという点についてでございますけれども,劇場,音楽堂等の設置者はそれぞれの施設の理念,目的,運営方針等を明確にすべきであるといったご指摘をいただきました。また,特に公立の文化施設につきましては,各地方公共団体において,劇場,音楽堂等についての運営計画を策定するということ,また必要に応じまして既存の文化施設の設置条例を見直したり,あるいは文化振興条例の制定がまだない自治体にあってはそういった条例を制定するというようなことが求められるというようなご意見がございました。また,劇場法におきましては,法律の目的として実演芸術の振興ということが規定されているわけでございますけれども,実演芸術の振興という目的だけではなくて,それを手段としてどのような健全な社会を実現しようとしているのかということについて明確にすべきであるといったご意見もいただいたところでございます。
 それから2番目の専門的な能力を有する人材養成,確保についてでございますが,劇場,音楽堂等にはそれぞれの性格に応じた専門的人材が確保されるべきであるというご意見,また法律13条におきまして,専門的人材の養成・確保について規定しておりますけれども,これらの専門的人材の育成,確保を図るとともに,鑑賞者の育成にも配慮するように努めるべきであるといったご意見をいただきました。また,劇場,音楽堂,それから芸術団体,さらに大学との連携によります人材育成,研修等の推進に努めるべきであるというご意見をいただきました。例えば,具体的には大学においてアートマネジメントや舞台スタッフに関して専攻している学生などについて,劇場,音楽堂等でインターンシップとして受け入れたり,あるいは劇場,音楽堂や芸術団体のスタッフが大学において講義を行うといったような相互の連携による人材育成をさらに進めるべきであるというご意見をいただきました。
 それから教育普及活動の促進についてでございますけれども,劇場,音楽堂等は実演芸術にかかわる教育普及活動についての社会的な役割を担っているということ,また,地域の多様な社会的な機関あるいは学校,文化団体との連携を担う中心的な役割があるというご指摘をいただきました。そのほか,劇場,音楽堂等における地域の児童生徒を対象とした公演の実施でありますとか,劇場,音楽堂等から学校への派遣など,劇場,音楽堂,それから芸術団体,学校の連携の推進について,さらに一歩進めるべきであるといったご意見をいただきました。
 また,劇場,音楽堂の相互の連携につきましては,すぐれた芸術活動を創造するとともに鑑賞機会をさまざまな地域においても拡充するという観点から,共同制作ですとか,巡回公演といった連携を進めるべきであるというご意見をいただきました。また,劇場・音楽堂と芸術団体との連携についても,フランチャイズ契約を結んだり,実演家を配置するといったような連携を一層推進すべきであること,また,連携の形態を柔軟化したり,多様な連携を図るべきであることについてご意見をいただきました。
 それから,安全管理の関係でございますが,これは観客,利用者,またはスタッフの安全を確保・維持するという観点から必要な技術管理者の適正な確保,配置,人材の養成を図るべきであるというご意見をいただいたところでございます。
 それから,最後に指定管理者制度につきましては,劇場,音楽堂の特性を踏まえまして,施設の運営計画の内容に応じて指定方法,指定の期間について柔軟に対応することが重要であること,特に継続性やノウハウの蓄積などが求められるということにかんがみて,企画提案など,公募によらない方法も可能とすべきであることについてご意見をいただいたところでございます。
 このほかにも,様々な貴重なご意見をいただきましたので,現在,ヒアリングの結果を踏まえまして,指針の案を作成しているところでございます。今後,案がまとまりましたら,パブリックコメントという形で,さらに幅広く国民の皆様のご意見を伺うことを予定しておりまして,最終的には年内を目途にこの指針を作成して公表させていただきたいと考えております。
 劇場法に関する指針のご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【宮田部会長】  ありがとうございました。この件に関しては私もヒアリングの仲間に入れさせていただいて,時間が足りなかったですね。そろそろ佳境に入ったころで終わりになったので,と言いながらも30分もオーバーしてしまいましたが,申しわけございませんでした。またどうぞ機会を見つけて,あの後,メンバーともまたいろいろ話をしたりしていましたので,どうぞ連携をとっていただきたいと思っております。多分ほかの方々ももうちょっと言いたかったというのはあると思います。中身の濃い連携になってもらいたいと思っております。ありがとうございました。
 さて,先ほど,内田さんからもこの提言案,資料1でございますが,以前からいただいたものに,プラスアルファしたこと等々,それから同時に劇場法についても先生方のご意見をちょうだいしたいとかように思っております。ぜひとも忌憚のないお話をいただきまして,政策のあり方について提言されたらと思っております。どなたからでも結構でございますが,いかがでしょうか。片山先生,どうぞお願いいたします。

【片山委員】  片山です。報告書案の2ページの劇場法の成立等というところ,いろいろ書き加えていただいて,前回よりも非常によくなったかなと思っているところですけれども,1点だけ書き加えてはどうかという点をお話ししたいと思います。
 非常に地味な規定なのですけれども,第2条のところで劇場,音楽堂の定義を行っています。文化芸術に関する活動を行うための施設及びその施設の運営にかかわる人的体制により構成されるもののうちということで,要するに単なる箱ではなくて,人的体制が整っている,いわゆる施設から機関へという転換をうたっています。しかも,その人的体制というのはその有する創意と知見をもって実演芸術の公演を企画し,または行うこと等によりというようなこともありまして,単に人がいればいいということでもなくて,きちんと創意と知見を持った専門家がそこに配置されている施設のことをいうのだというところが定義されています。これは地味ですけれども,重要なところだと思いますので,どこかに入れていただけたらと思います。以上です。

【宮田部会長】  ありがとうございます。全然問題ないと思います。むしろそのほうがよろしいかと思います。
 あと,いかがでしょうか。今日は先生方,少し時間があります。いかがでしょうか。
 私はずっと何回も読み直したのですが,東日本大震災からというよりも日本の文化芸術そのもののあり方をこうあるべきだというような感じにもとっても十分大丈夫なような気がいたしております。ですから,災害があったことを転じてより大きな,今度は創造都市というふうなものになっていけたらという気持ちになったときに,何回も読み直してみると,随所にちゃんとその趣旨が書いてあるという感じがいたしております。
 と言いながらも,それぞれの専門の先生方の中でここの部分はというようなのはあると思いますが,平田先生,遠方からいらしていますが,台風はいかがでしたか。御意見お願いします。

【平田委員】  台風はご心配をおかけしました。
 1点だけ,私は感想になるかもしれません。12ページの大学等との連携のところはすごくこの記述は重要だなと感じております。特にどの分野でも今問題になっているのは,人材の部分で,プレーヤーをつくる,それからアートマネジメントの分野の人材をつくる,あわせて文化行政の人材をつくるという意味でも,まさにここに書かれている文化経済とかアートマネジメントのみならず,文化政策,文化外交,観光,地域振興という,まさに本来文化が必要としている人材というのはプレーヤーであると同時に,アートマネジメントできる人材であると同時に,やはりもう1つは文化行政をできる人材育成が非常に重要だと部長になって以来,非常に感じていることなので,ぜひそういった面での学びの場をいわゆる大学のときからやっていく,これは非常に重要だなと思っていますので,この赤いラインのところは特にとても大事だなと思って見ておりました。以上でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございます。このアートマネジメントというのは大学でやっているだけではやっぱりどうしても座学的意識があるので,そういう意味では,この次に来る劇場,音楽堂でのほうがうまくリンクしていくと,とても実践教育ができていいのかなという感じがしておりますね。ありがとうございます。
 加藤先生,御意見ございますか。

【加藤委員】  全体に非常にすっきりとわかりやすくなってよかったと思います。企業にかかわる私の立場から一点指摘をしておきたいと思います。一番冒頭の部分に状況分析がされて,今後,国,地方公共団体,文化施設及び文化芸術関係団体等が本提言を参考とされ,最新の諸情勢を踏まえて,いろいろな展開をされることを期待するというところの中に民間の企業というか,その役割がどうしてほしいのかに触れておられませんね。いつもお金を集める場合に資金を民間からも得ることを期待されていることはよく承知をしているのですが,期待されたから民間側がどうするというのは民間側の判断だと思うのですけれども,行政側からも民間との協調をもうちょっと打ち出されてはどうかという点。というのは,現場での,今回の震災への支援復興のプロセスで企業の果たした役割は少なからぬものがありまして,また現在も果たしつつあり,特に文化の領域でも幾つかの企業が非常に特色ある活動をしておられるわけですから,そうした面が大きな力になるという認識は入れたほうがいいのではないかと思います。
 それからさらには地場の産業復興ということが今回の復興のプロセスでは文化の復興とともに非常に重要だと思うのですが,地場企業における文化振興というものも少なからぬ事例があるわけで,要は地元の経済が元気になる,町が元気になるということは地元の経済も元気になるということで,こうした面でも文化を通した復興が寄与しており,そのあたりも含めて,どこかで表現していただくといいのかなと思いました。
 もう1つ,ちょっと小さいことなのですけれども,劇場法の文章のほうで,2ページ目の下から3つ目の劇場,音楽堂等の連携の促進の中にフランチャイズ等,実演家等の配置を含めて,芸術団体も含めた連携を一層促進するというのは全くそのとおりで,方向は間違っていないのですけれども,考え方として,そもそも劇場,音楽堂に芸術団体がいないという前提が問題だったので,このことは一度根本を本来のあるべき姿に戻すのだという観点からいうと,連携という表現は現実を踏まえればこういう表現もやむを得ないかもしれませんが,もうちょっとここは考え方を,本来あるべき姿をこの法律によって実現していくというところをちょっと補足していただいたほうがいいような気がいたします。以上です。

【宮田部会長】  ありがとうございます。先生,3つのご提案をお聞きしましたが,特に2番目の文化ということと産業の復興ということ,この両輪はタイヤのかたさは違うのですが,大変重要なことかと思います。
 私はこの際文化産業省をつくったほうがいいのではないのかということを考えております。文化と経済の両方の中での横断的なものをつくるというようなこともちょっと提案させていただいたりもしたり,特区をつくれないかということも考えたりしております。
 加藤先生,どうですか。東京に特区,上野の文化地区なんかはものすごいところですのですが,今現在で年間1,200万人ぐらいしか来ない。あれが,近藤長官なんか海外をよくおわかりかと思いますが,テムズ周辺などは,集客力がすごい。上野は,規模でいって,大きさでいって,それから施設でいったら,他にかなうところはないですね。にもかかわらず,全部,1イベントやってもたった100万人しか来ないんですよ。あれをもう少し連携をとったら,あそこには3,000万人は来ると私は思っているんですね。そうしたときにおける新しいもの,あの中にあるものをうまく利用することによって大きな経済効果も得て,そしてその場所がきちっといざといったときに防災の設備までつくられるというふうになったらいいかなと思うので,東京都も攻めてみたいと思っております。ちょっと外れましたけれども,申しわけございません。
 いかがでしょうか。ほかの先生方。相馬先生,どうぞ。

【相馬委員】    実際被災地に行ってやはり感じることは,いわゆるアートの文脈というものはないということです。もちろん,ある特定のコミュニティにおいてはあるのかもしれませんが,一般的に言うとやはり地元のおばちゃんたちとか子供たちは東京のアートシーンで我々が普通に享受しているようなアートの文脈というものがないところで生活されている場合が多いと。そういうところに我々の感覚のものをただ持って行っても,それこそこの提言でも危惧されているように,ある種文化の押し売り,芸術の押し売りになってしまうだろうと。ではどうしていったらいいのかなということをちょっと考えたのですけれども,そのヒントがやはり先ほど加藤さんからも出た産業復興と文化をどう絡めていくかという視点かなと思いました。やはり我々はどうしても芸術文化というと構えてしまう部分があるのですが,実際に被災地のほうの従来ある豊かな文化というのもあるわけで,それは例えば,食文化であったり,あるいは工芸品や民芸品それらのデザインですとか,そういったものを総合的に見て生活文化という切り口から考えることができるだろうと。そういったものと雇用の創出であるとか,産業の復興を有機的に再構成していくような仕組みがとれれば,もう少し文化というものの射程が広がって,現地にいらっしゃる方にも身近でかつリアリティーのある具体的な取り組みが加速できるのではないかと思います。ですから,この提言にはまだ盛り込まれていない,生活文化や食文化,デザインといった言葉も,可能であればぜひ盛り込んでいただければなと思います。

【宮田部会長】  食文化というのはなかなかおもしろくて,ぜいたくなものがあればうまいものができるかといえば,決してそうではないんですよね。そこの人間の心,それから工夫,いろいろなものがあってからで。そして,あと,地方色が出ますよね。とても大事なことだと思いますので。ありがとうございます。
 あと,いかがでしょうか,どなたか。岡本先生,どうぞ。

【岡本委員】  岡本です。3ページの終わりから4ページ目に書かれていることで内容的に,今回現場のニーズとそれから提供する側のマッチングを適切に行うという部分なのですけれども,ここについて幾つかの団体の方とお話をしていたときに,確かに必要な適切な場所に支援を届けるために必要な情報収集をする仕組みが十分ではなかったと。そのとおりなのだけれども,中間支援組織というのはかなり情報は持っていたと。ただし,公的な情報網から彼らが外れていた。あるいは中間支援組織が持っている情報が有効に活用されるようなところがうまくかみ合わなかったという部分があるので,例えば,既に中間支援組織などはこのあたりの情報を持っているという面もあったのだというようなお話を伺いました。その意味では,必要な情報を収集する仕組みが十分ではなかったという側面の1つとして,中間支援組織の情報を有効に生かすような仕組みの再考を含めといった表現があってもいいのかなと。一から新たに情報を収集する仕組みをつくるということだけでもなくて,既にある仕組みで少しそれを活用できれば,もう少しうまくマッチングが行く,できる部分があるのかなと感じています。以上です。

【宮田部会長】  ありがとうございます。湯浅先生,どうぞ。

【湯浅委員】    提言の内容とは別のことになりますが,この提言書をどのように広報して,より広い層に伝えていくかということが大切だと思います。広報する主な対象のひとつが,主に文化芸術にかかわる団体であると思いますが,先ほどもお話が出ましたほかの省庁,例えば,復興にかかわるいろいろな省庁もありますし,中間支援組織や企業,アート以外のNPOや社会企業家など,文化芸術以外の分野で活動する方々に,文化芸術が復興もしくは社会に対してどのような貢献ができるのかなど,この提言書に書かれている内容をお伝えしていくことが必要ではないかと思います。また,この提言書を文化芸術以外の分野で活動されている方々に広報するに当たり,いかにして説得力をもって伝えるかが必要だと思います。提言書には文化芸術というものが人々の生活に大事であるということは書かれていますけれども,具体的にそれがどうなのかということをやはり何かエビデンスを示す必要があり,今回ヒアリングで集めた地域の方の言葉などもあるかと思いますけれども,そういったものを使って発信,または広報して,他分野との連携ができるような仕組みをつくっていくということが必要ではと思いました。
 あともう1つ,海外への広報ということが9ページ目に書かれていますが,海外に向かって,現在,日本で起きていろいろなこと,文化芸術に対していろいろな思いが実際つながっているということを広報していくかということについてもあわせて考えていく必要があるかと思います。

【宮田部会長】  ありがとうございます。先ほどの加藤先生の話で,ほんとうに企業からは金はもらっているけれども,企業に対してどういう連携がとれているのかというところなんかも,今後もご支援はいただかないとならないと思うのですけれども,よく考えるとそこのところの部分は欠落していましたよね。金をもらうとさよならという感じがした感じがあるので,少し気をつけないといけないと思いますね。
 渡辺先生,どうぞ。

【渡辺委員】  今回の地震に関してよく使われる言葉で今回の経験とか教訓というのを世界と共有していこうということをよく言われて,全くそのとおりだと思うのですけれども,そうした観点からこのレポートを見たときに,日本国内ではなくて,例えば,海外で,特にこういう災害,特に震災のリスクを多く抱えているような地域の文化政策の担当者の人たちに対して,これがやっぱり教訓でしたと強くアピールする項目みたいのが5つぐらいあってもいいのかなと思いまして,それはもしかするとヒアリングの中に出てきたのかもしれませんし,出てこなかったのかもしれませんけれども,全般的に文化が大切だというのは文化政策をやっている人にとってはある程度共有されていると思うのですが,もう少し今回の教訓をどういうふうに具体的な形で打ち込むかということで考えると,11ページにある危機管理体制を強化するというのはやっぱりかなり一つのメッセージにはなると思うのですけれども,ただこの文だけを見ると,それはそうだよねということで,具体的にこの緊急体制の中でもどういうことが重要だったのかとか,どういう工夫が必要なのかとかというようなことはもう少し踏み込んで書いて,それをぜひ実際に各国の文化政策の担当者の人と共有していただきたいと思います。

【宮田部会長】  わかりました。ありがとうございます。太下先生,どうぞ。

【太下委員】  この提言案は非常によくまとめていただいたのではないかと思っています。第3次基本方針が始まる直前に,東日本大震災が起こったということですので,計画をつくって動き出そうとしたら,いきなり新たな対応が必要になったという状況ではないかと思います。そういう意味では,この提言は第3次基本方針のバージョン2というか,2.0みたいな形で今あるのだと思います。そこで,この提言に対応した具体的な施策とかプログラムというものが今後必要になってくるだろうと思います。
 その意味では,ぜひ文化庁さんにリーダーシップをとっていただいて,復興推進コンソーシアムさん等と連携しながら,これからの具体的なプログラムを推進していただきたいと思います。それに当たりましては,先ほど加藤種男さんもおっしゃっていましたけれども,文化と生活とか,文化と産業という視点が非常に重要かと思っています。
 今回の文化による復興に関する一連のヒアリングにも私も参加させていただいて印象に残っていることとしましては,これは前回もお話ししたと思いますけれども,東北学の提唱者の赤坂憲雄先生が会津で漆文化のフェスティバルをオーガナイズされているという件がありました。これは単なる美術展ということではなくて,漆文化というものをもう一回根底から見直していこうという動きだと私は理解しています。そういう意味ではイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動のように,我々の生活の中に文化的な要素というものを今一度取り戻していく大きな契機になり得るのではないかと思います。
 もしそういうことができれば,それは日本の文化的な様式ということで,経済産業省さんと連携しながら海外にも発信するということができるのではないかと思いますので,ぜひそういう視野を持った具体的な施策とかプログラムというものをこの提言をもとにご検討いただければと思います。

【宮田部会長】  そうですね。そういう1つの事例をもとにすると大変わかりやすく,動きやすいということが言えますよね。ありがとうございます。私も思うのですが,この提言案というのはたまたま今太下先生がおっしゃっていましたけれども,スタートしたときから,その後に3.11が中間に入ってきたというのがあるのですけれども,我が社でもそうですが,守りの戦略というのは何かあると必ずやるのですが,同時にそのときはそのことは忘れて攻めの戦略に対応できる文章を考えておきながらやりなさいと。そうしないと,守りばかりでは何も生まれないからというふうにしているのですが,この提案書も実はそのことを両方意識しながら私も文章を読ませてもらっているわけですけれども,ぜひ先生方もそのようなところでただの反省を書くわけではなくて,反省って書いているだけで満足しているような感じにならないようにしていただきたいと思っております。ありがとうございます。
 伊藤先生,いかがですか。

【伊藤委員】  伊藤です。いろいろ修正もしていただきまして,よくまとまっておりますので,特にこれからこういった形の追加とか修正すべきという発言ではなくて,感想として2点ばかり挙げたいと思っています。
 1つは,先ほど渡辺先生がちょっと触れられたものですが,海外からの視点という点がちょっと気になっています。違った言い方をすると,文化芸術というのは確かにすばらしいものなのですが,しかし,海外の現状を考えてみると,必ずしも文化芸術というものは楽しい,美しいものばかりではなくて,広い意味での文化である宗教だとか,さまざまなものが紛争の火種となって,今日の世界の中においては争いごとが尽きないわけです。もちろん世界においても震災もありますし,さまざまな災害もあります。そういう動きの中で読んでいると,感想として少し楽天的過ぎるような雰囲気を感じとったのですね。例えば,これを東南アジアの方,あるいは南アジアの方たちが読んだりすると,ちょっと違和感を感じるのではないのかなと。そういう意味で,先ほど渡辺先生が言われたような,ちょっと海外に対して日本が提言できること等々を少し,この報告書ではなくて,次のあたりで考えていってもいいのかなというのが第1点です。
 もう1つは歴史的な視点からの感想です。前回もちょっと触れて,かなり入れていただいているのですけれども,今回の特に東北の方の震災の被害というものの根源には震災以前からあった戦後日本の社会変動があったと思います。特に60年代の高度経済成長の中で大きなひずみというものが生まれてきていて,そういったものが今回震災のバックにあるということがやっぱり指摘できるのではないかと思っています。そういったものに対して1970年代,地方自治体の文化行政が始まったり,さまざまなコミュニティづくりだとか,文化によるまちづくりといった取り組みが行われてきたわけですけれども,そういう動きとそれからこの10年間に進んだ指定管理者だとか,あるいは市町村合併だとか,さまざまな動きもあって,そういう中に震災が起こったのだという認識はやっぱり必要ではないかなと思っています。したがって,今回の報告書にそこまで触れる必要は全くないと思っているのですが,このような観点というものも忘れてはいけないのではないかという形で,自戒の念を込めて感想を述べた次第です。

【宮田部会長】  ありがとうございます。ほんとうにそのとおりだと思います。このペースですと,ぜひとも全員からお話をお聞きしたいと思います。
 秋元先生,どうぞお願いいたします。

【秋元委員】  前回休んでしまって申しわけなかったのですけれども,一生懸命追いつくのにこれを読んできたのですが,随分とまとまってきている。1つは芸術それ自身をどう育成していくかとかということと,もう1つはそれがどういう役割を持っていくか,どういうふうに地域なり,町なりに,どういう機能を持てるかというような両面がうまく対応してきていて,そういう意味ではよくできていると思いました。
 ちょっとこれも自分が今やっていることとのかかわりの中で感じることなのですけれども,今,金沢というところで工芸というのをいじっているわけです。これは文化の問題であるし,現代的な活動もあれば,伝統的なものもあるという両面を持っている文化として見てもそういう両面を持っている。かつて先ほどの漆の話もありましたけれども,これは金沢だけではなくて,日本の各地に地方では必ずあると思うのですが,地場の産業としても工芸というのはあるわけです。出荷額は随分と減ってきているところはあるでしょうけれども,それでも石川だけ見たって輪島なり九谷なりというふうにして,工芸の産業地があって,そのあたりが細々でも地場の産業としてあると。このあたりを,例えば,文化で地域再生をしていくというときには,それ自体が文化的に意味がある,非常にクオリティーの高いものであるとか,伝統的な要素があるということ,それをどういうふうにちゃんとして今の時代の中に伝えていくかということもあるのですけれども,そういう芸術のクオリティーの問題もありますが,やっぱり先ほどから何人かの先生方が言われているように地域経済としてどういうふうに育成していくかという観点は考えていく必要があるだろうと。これがないと多分,芸術的な意義だけでは,やっぱり細々としてしかというか,形骸化したものとしてしか残っていかないだろうと思うのですね。だから,ちょっとこのあたりは今の経産省さんのやっていることとかぶってしまうところがあるのですけれども,そこは文化は文化政策,そして経済的な地場産業の問題とあまりきれいにばちっと,やっぱり現場では分かれていないので,というか,むしろ混在一体としているので,そのあたりはちょっと手を取りあってというかしていただくと,私のように地方でやっている人間にとってみると現場に即したものになっていくかなというのは思います。今回のものでどうしていいかというのはわからないのですけれども,そのあたりは次の一つのステップかなという気はします。

【宮田部会長】  ありがとうございます。それはとても感じますね。私は経産省の電算品のそれのあんなに最初はすごい勢いでスタートしたのに,今はどこへ行ってしまったのかということで,活性化してくれって呼ばれたのですが,なかなかそっちのほうだけでやるのもちょっと難しいですし,では,こっちのほうで,あちこちなんて言っている自分がもうそこに敷居をつくっているという悲しさがあるのですけれども,では,こちらでやっている伝統的ではなく,的をとったときのそれをヘンのほうとか,現代的なものをと,その辺との関係はどうなっているのだろう,そんなので両方うまく調整できるといいなという感じがします。特にやはり生活ができるということが基本にあるという気もしますものね。
 あとお2人の先生がまだご発言がございませんので,どちらを先にしましょうか。宮川先生,先にどうぞ。

【宮川委員】  この提言書についてどうこうということは全くアイデアがこれ以上は僕もないのですけれども,何となくこっちのヒアリングのほうに,2ページに上のほうに振興のみならず,それを手段としてどのような健全な社会を実現しようとしているのかを明確にというようなことはすごくやっぱり僕もぴんと来るんですね。そういうことが,ちょっと提言書だけを見ていると難しいというのが率直な,普通に読んだときに,では,それが何のためになるかということであったり,文化を必要としていない人のために何なんだということとか,あるいは考え方によっては被災地にだけ有効な文化なんていうものはもともとないわけですよね。ですから,そういうところが何か一般的にわかりやすいように,この提言書の中に盛り込む必要があるのかどうかはちょっと僕もわからないですけれども,そういうことがやっぱり見えてほしいなと。
 それ全部芸術家任せにしているという,例えばですけれども,僕が自分の音楽会をやるときに,これからこういう曲をやりますとちょっと説明するんですね。そうすると,ソプラノがいて,アルトがいて,テノールがいて,バスがいてという4つの楽器が違うことをこれから言う。それぞれきれいなメロディーでしょう。無駄がないでしょう。だけど,これがあわせると和音になるんですよ。みんな,言いたいことを言っているのに,それが1つのハーモニーになるなんていうことは音楽の中にもうどこをとってもあるわけで,つまり欲張らないということであったり,音楽を愛するということがもう平和に1票を入れているのだという行為なんだというようなこととか,音楽の中にはほんとうにどのような健全な社会を実現しようとしているかという,理想図があるわけですよね。もう何百年も昔からある。
 そういうことをもうちょっと興味を持っていただいたり,劇場の人たちがほんとうに芸術を愛してほしいなと。あちこちのホールに行ったときに,そういう少しでいいから芸術の奥義に対してもうちょっと興味を持ってくれているといいなというような感じがします。そういうことを僕は常にやっていますので,何かぴんと来るようなことがあったらぜひ利用していただきたいと。コンサートに来て見ていただきたいなと思います。こういうプレゼンテーションをすると,もっとわかりやすく,芸術そのものの価値というものがどんどん上がって,芸術から何か学ぼうという気にもうちょっと,その温度が低いような気がしてしようがないのですね。趣味,嗜好で好き嫌いというところまではいいのですけれども,意外とすごいことをやっているのですよということを,どうにか表現して,この提言書はこれでいいと思うんです。
 気になるといえば,ニーズにこたえる,現場のニーズ,芸術家がニーズに応じてやっているわけはないわけで,芸術は芸術で内なるものが,やっぱりほとばしるものがあるからやっているわけですものね。それはニーズということが出てきてもしようがないのだろうけれども,ちょっとそういうところの意識をこれから全体的に着目してほんとうの芸術,文化国家というものをもう一歩進めたいなと。震災の後であろうがなかろうがこれはもう同じなのです。そういう思いはやっぱり常にありますので,どうぞ私を利用してくださいという提言です。

【宮田部会長】  宮川先生,やっと先生らしさが出てきましたね。

【宮川委員】  そうですか。

【宮田部会長】  無理に会議言語を使わなくて結構でございますから,今の調子でぜひ。私は見ていると,ドレミファで見えていますので,そこから大きな合唱ができてくればよろしいのではないかと思っております。

【宮川委員】  そうですね。

【宮田部会長】  ありがとうございます。佐藤先生,いかがでしょうか。

【佐藤委員】  この提言案そのものに対しては,これがどのような人々にどのようにこれから共有されていくことを目的としているかということが明確になってくればいいと思っています。考えていたことは,むしろ基本構想みたいなことだったのですけれども,ただ,委員長がこれをきっかけにという言葉に後押しされて,2点こんなことがにおわせられれば工夫いただけないかということで,1点は,劇場法が制定されて,私のかかわっている演劇の分野というのは非常に大きな後押しを得たわけですが,実は根本的な問題を抱えていまして,これは演劇という分野がまだ公教育に取り入れられていないということなのですね。日本の場合,美術・音楽は取り上げていると。それから,舞踊はちょっと変則的な形で体育に入れられているのですけれども,この演劇・舞踊というジャンルをこれからどういうふうに取り扱っていくのかということが一つどうしても押さえていく必要があるだろうと。人材育成等々,非常に盛んに言われているし,子供にいいお芝居を見せましょうとか言われているのだけれども,最も根本的なところで,これは明治以来何度も挫折したりしながら長い歴史を持っていることでなかなか取り組みが難しいと思うのですが,一つ問題点として挙げるぐらいはあればいいかなということと,それからもう1点は,新しいジャンルについての話ですね。
 1つはメディアートなんですけれども,これはものすごく今までのアートの状況を変えるぐらい今,例えば,ネットなんかを見ていると普通の人がいろいろなものをつくって,それをいきなり全世界に公開していくみたいな形というのを持っている。これはある意味で可能性を持っているし,それから実は日本の持っているその分野に対するポテンシャルって非常に高いと思っています。
 同じように先ほど舞踊と言いましたけれども,パフォーミングアーツの分野も今までの演劇とか舞踊というカテゴリーで分類しないほうがいいという表現がものすごくたくさん生まれてきているわけですね。こういう表現をどう取り扱っていくのかというのが,これはこういう構想をお書きになるときに,頭の中にあるのが従来のカテゴリーだけではなくて,そういう少し新しい分野があるのだと,そうなってくると,いろいろな文言って少し変わってくるかなという印象を持ちました。ただ,これはどちらもこの提言にそのまま反映されるべきかどうかということについては僕は留保するのですけれども,委員長がこれを機会にということもあるとおっしゃったので,ちょっと後押しされて申し上げました。以上です。

【宮田部会長】  ありがとうございました。大体,委員の先生方からはお言葉をちょうだいしたのですが,片山先生,どうぞ。

【片山委員】  済みません。冒頭でちょっとしゃべったのですが,追加で一つだけしゃべらせていただきたいのですが,12ページの大学等の連携というところです。私どもの大学,大学院も文化政策とアーツマネジメントのコースを持っていますので,少しその観点からお話ししたいと思います。まず,このアンダーラインが引いてあるところで基礎研究を行っていくということが記載されたのは非常によいことだと認識しております。といいますのは,90年代のアーツマネジメントが日本で注目されたときもそうですが,人材養成が重要だというと,いわゆるハウツーを身につけるための研修会のようなものばかりが普及してしまうということもあります。大学の役割は,現場の知識をハウツー的,ノウハウ的に伝えるということではなくアカデミックな研究があっての教育ということなので,この下線部があるところが非常に重要だと思っているところです。
 それから次の段落のところで,社会人の再教育を実施する必要があるというのがあるのです。でも,もともとポリシー(政策)にしてもマネジメントにしても社会人を対象に教育するところからスタートしてきた分野です。ただ,日本の場合は学部教育が中心であるということで,インターンシップなどで実践のほうをむしろつけ加えるという形になってきたという面があるかと思います。ただ,最近でも日本でも,ビジネススクール,ロースクールをはじめ,社会人が行く大学院も増えてきているところだと思いますので,そういったことも踏まえたうえでの記述にしたほうが適切なのではないかなとも思っているところです。
 どう直したらいいというところまでは,今,案がないので,のちほどご検討いただければと思います。それからもう1つ,履修証明の制度等も活用し,というふうにあるのですが,社会人の方々が大学などで学ぼうといったときに,証明書があれば行けるかというと,実際はそうでもないと思います。もっと重要なのは夜間開講とか,土・日開講とか,あるいは長期履修制度といった履修の柔軟化とか,あるいは職場が非常に忙しい中でそこを離れて行くための何らかの支援とか,そういったことのほうが実際に社会人の方々が大学などで学ぶ上では重要なのではないかと思います。履修証明の制度だけが書かれているのにちょっと違和感があったので,ご検討いただければというところです。

【宮田部会長】  同じ大学人としてまさしくそのとおりだと思います。ちょっとその辺は書いていただきたいと思います。ありがとうございました。
 いかがでしょうか。相撲でも東西があるように,こちらもちょうどあれしているのですが,長官,いかがでしょうか。

【近藤長官】  ありがとうございます。大変貴重な追加的なコメントを今日はいただきまして,この提言もよりいいものになるようです。
 幾つかいただいたコメント,特にかなり抜本的というか根本的な発想に関するものが幾つかあったと思います。できる限り反映させていきたいと思います。
 それから,この提言をどう使うかという点でございますけれども,中でまだ突っ込んだ議論をしたわけではありませんが,1年間の役所のサイクルからいうと,今は概算要求の直前でございますので,ここにあるご提言を次の予算要求の中に何らかの形ではめ込んでいく,あるいは我々の要求の武器にさせていただくということは当面考えております。それから,当然,ホームページに載せるとか,通常の発信手段を使うことになるかと思いますが,それに加えてさらに何か効果的な使い方があれば,またご示唆をいただければ,できる限り,せっかく皆さんのお知恵を集めたものでございますので,より広く国民の方々に,あるいは団体,組織に知っていただくということも必要だろうと思います。仮にそうだとなると,先ほどちょっと議論に出ておりましたように,そもそも文化芸術,宮川先生でしたか,そもそもどういう力があり,どういう意味があるのか,国民の生活の中により深く浸透することで,社会的な,経済的のも含めてどれだけの効果があるのかという,そもそもの議論みたいなものもつけ加えたほうがいいのかもしれないと思いつつ,そうするとまた少し時間と手間がかかるので,それはそれで別にするのかちょっとその辺は考えてみたいと思います。
 それから,宮田部会長から第3次基本方針のバージョン2だというご説明がございました。そういう位置づけになると思いますが,第3次基本方針の一つの大きな柱がアーツカウンシルの導入ということで,ここではスペシフィックにそういうことに触れておりませんけれども,読み込むとすれば,冒頭の第3次基本方針において6つの重点戦略があります。それはそれでやるのだがという,そこで読み込めばいいのかもしれませんが,前回ですか,前々回ですか,沖縄と東京と大阪でいよいよ県レベルでアーツカウンシルが導入されるということで,文化庁の国レベルのアーツカウンシルと並行してこれから進んでいきますので,ほかの県や地域でさらにそういう動きが早まるかもしれませんので,その辺の連携をしながら,お互いに学び合いながら,よりよい公的資金の配分と,助成する人たちと実際にパフォーマンスなり何なりの展示会なりをしている方々との間をうまくつないでいく,ですから,つくる側と助成する側と,あとは観客というか,見る側とが,3者がより緊密に連携をして文化の力を社会に根づかせていくというようなことをやっていく上で非常に重要な節目に来ていると思いますので,それについてもこれに触れるかどうかは別として,今後のこの部会での議論でも時折取り上げていただいて,そしてまた,国レベルの扱いにするかどうかについても,前にちょっと申し上げましたけれども,今の範囲をさらに超えていくことを前提としてさらなる深い議論をしていただければと思います。
 それから,一つ御紹介ですが,たまたま最近,ある芸術系の大学であったシンポジウムでファシリテーターという言葉を学びました。残念ながら,私は今まで知らなかったのですけれども,イギリス等で始まった議論で,アートマネジメントなどの言葉はありますけれども,ファシリテーターというのは音楽なり,芸術の力を使って一人一人のパーソナリティーというか,人間性というか,人間の潜在能力を引き出していく,そういう心理学の要素も入り,アートに根差した人間開発のプロみたいなものを今イギリス等で養いつつあるそうでございまして,これはまだ日本では定着した概念ではないのですけれども,イギリス,アングロサクソンは常に我々の先を行って,結果的に我々は後からついていくことになることが多いので,そういったコンセプトも機会があれば,この部会で,この今期に議論をしていただくことも考えたいとともいます。さっき宮川先生がおっしゃったように,アートの力がどうやってフルに人間開発という形に使われていくのか,それをどうやったらさらに促進できるのか,そういった仕組みなり教育なりといったものについてもぜひご議論いただくことで,文化庁の本来の目的は文化芸術の振興というよりは,その振興によって人間の心を豊かに,国の心を豊かにする,生きる力,国をつくっていく前向きな力を養っていくということだとすれば,そこを常に念頭に置いて,いろいろな政策をとっていかなければいけないわけで,まだまだ文化芸術のほんとうの力を信じておられない方々を説得する上でもそのファシリテーター的な役目についてもう少し議論を深めるとか,実際にそれを制度に入れていくとか,そういったことについて説明をするなどを今後進めていければと思っております。
 幾つかばらばらで申しわけありませんでしたが,ちょっと思いついたことを申し上げました。

【宮田部会長】  ありがとうございました。最後のはちょっとおもしろいですね。またぜひ議論したいですね。ありがとうございました。あと,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。大木部長,いかがですか。

【大木部長】  ご指名でございますのでちょっと一言。
 感想めいたことになりますが,これは国が大学行政を進める場合にも同じことが言えるのですけれども,国が文化政策を進める上で,ある特定の分野を振興するという色づけをやるべきなのか,やるべきではないのかという問題がございます。もちろん例外はありますけれども,我々が文化政策を行う場合には,例えば,最近の新しい芸術文化関係の事業を見てみますとわかるのですが,いわゆる劇場振興系の事業は劇場という無色透明の分野にはとりわけ切り口を入れていない形でやりますし,自治体の行う事業に半額補助をしている文化芸術創造発信イニシアチブ事業も,かなり広範な取組が見られます。これは本部会でのご議論の方向性にもよりますけれども,無色透明な事業においてここでお話の及んだアイデアのようなものを,例えばこういうやり方もありますよと提示することはありうると思います。むろん,これは自治体を何らかの枠にはめるとか,そういう意味ではありません。例えば,地域で文化振興都市群のようなものをつくりたいといったときに,その切り口として,単なる産業振興としての伝統工芸ではなくて,伝統工芸のデザイン性を高めるための新規の取り組みをその中で何かしてみましょうとか,その地方・郷土の食文化・生活文化を全国的に広める広報活動をしてみましょうとか,そういうことはある程度奨励されるべき一つの例であることは間違いないわけでございます。本来は無色透明の事業で,そういった事例を,工夫をしていただくためのヒントとして,我々から全国の自治体等にある程度提示をしていくということはありうると思って今ご意見を伺っていたところでございます。
 すみません。全然まとまっていなくて申しわけございませんが,そういうことでございます。

【宮田部会長】  ありがとうございます。改めて確認をいたしました。ありがとうございます。河村次長,何か一言お願いします。

【河村次長】  今回の提言,部会長からのご提案でまとめていくお手伝い,事務局として皆させていただいているわけですけれども,私ども,私自身の問題意識としてはやはり東日本大震災がありましたことで,本来は第3次基本方針,何らかの改定をしなければならないのではないかという気持ちも実はございましたが,これは閣議決定までした文書を,また閣議決定を変更するというのは正直申し上げて非常にたくさんのさまざまな事務的な折衝も多くなってしまって,実際の効果を発揮するまでにまた時間がかかってしまうということもございまして,むしろ,ここの部会,文化審議会からのご提言という形で実質的な改定的な意味も含んだことのメッセージを出していただくというのは非常に大きな意味があると思っております。
 特に東日本大震災がありましたことで,私たちにとっても大きな気づきになったと思っておりますのは,先生方からも多々ご意見をいただきましたし,また,メディアの人と話すいろいろな懇談の機会からも言われておりますことでは,文化芸術というものが文化芸術関係者の文化芸術関係者による文化芸術関係者のための文化芸術にとどまってしまうと,それは結局大きな支持というのはいつまでたっても広がらないし,ほんとうに意味があるものだろうかと。その芸術の何というのでしょうか,真正性というか,芸術の純粋性というものは私は常に尊重されるべきであり,芸術家の創造性とか自主性というものは完全に尊重された上でいろいろなサポートの事業はしなければいけないと常に自戒しておりますけれども,しかし,何か関係者の中でとどまっているものであってはいけないというのがやはり昨今のさまざまな活動,実際に皆様がしてくださっている活動の中から見えてきている部分ではないかと思います。そういうものを大きなメッセージとしてこの中で読み取れるかというのが,ちょっともう一度,私ども事務側として見直してみたいと思っております。
 それから,もう一つは,震災との関係で,この中で随分盛り込まれていることがございますけれども,被災地に対して支援をするということがずっと貫かれているので,それでいいのかということを実はメディアの方からも文化政策に対する質疑として言われたことがございまして,それはつまり,むしろ被災地から学ぶとか,被災地とともに何かをすることで日本全体が育つという部分もあるわけで,常に外からみんなが援助しますよというようなメッセージの出し方でないほうがいいのではないかという示唆もいただきましたので,そういうことも含めて全体の文章のトーンというものをよくよくまた,本日のご議論も踏まえて精査をさせていただければと思っております。ありがとうございました。

【宮田部会長】  ありがとうございました。あと,どなたかいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
 それでは,ご提言をいただいた先生方のお言葉,そして文化庁さんからも長官以下お2人のお話も含めていきながら,調整していきたいとかように思っております。最終的にはだれかが責任をとらなければいけないので,私が一任させていただきたいと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)

【宮田部会長】  一生懸命やりますので,どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。
 それでは,次に移らせていただきたいと思いますが,国民文化祭が9月1日から徳島県において行われます。この件に関してご説明いただけますでしょうか。

【舟橋課長】  お手元の資料6をごらんいただきたいと思います。
 国民文化祭につきましてはご案内のとおりですけれども,昭和61年から行っておりまして,国民の各種の文化活動について全国規模で発表あるいは共演・交流する場として開催をしてきているということでございまして,毎年,開催の都道府県・市町村と文化庁の共催という形で開催しております。今年度,今,部会長からお話がありましたように,第27回の文化祭は徳島で開催をするということでございます。徳島県は平成19年に一度開催しておりますので,今回国民文化祭で初めて2度目の開催になるということでございます。会期が,9月1日から12月14日まで,開催行事につきましては資料記載のとおりでございます。その他,関係の資料等をお配りしておりますので,お時間のあるときにごらんいただければと思っております。また,国民文化祭全体の実施状況や,今後の予定につきましては,資料の裏面に掲載しておりますけれども,27年度に鹿児島県で開催することまでが内定している状況になってございます。簡単ですけれども,以上でございます。

【宮田部会長】  どうぞ。

【大木部長】  先ほど私が申し上げました事柄と関連するのですけれども,国民文化祭という行事は無色透明でございます。そのため工夫があまりなされないと,県内の文化団体の総花的な発表会のような形になってしまいがちなのですけれども,徳島県さんは2回目ということもあるのでしょうか,広報資料も大変センスのよいものをつくっておられますし,何よりごらんいただきたいのは,コンセプトとしての阿波藍,藍染めです。これは伝統的な地場産業です。それから,阿波人形浄瑠璃は伝統的な舞台でございますし,阿波踊りもご承知のとおりでございます。こうしたことを前面に打ち立てて,洋画,日本画などとはちょっと毛色の違ったコンセプトで打ち出しをしていると。工夫をすれば,こういうことができるわけでございまして,こういうやり方があるのだということを周知することがとても大事なのだろうなと思っております。

【宮田部会長】  ありがとうございます。それは実は私が言おうかと思っていたぐらいです。この間,内田さんが持ってきてくれて,まず最初に,これはたしか大正10年代の写真だと思い,これを見た瞬間,過去を振り返られるし,同時に一本筋がぴしっとあるという文化祭だという感じがしました。内容が全体的に大変よろしいのではないかなという気がしました。こういうふうに,そういう一つの例を出すことによって,それを超えようというのが次々と出てくれたらありがたいという気がいたしております。最後のページに表紙の写真が全体で載っておりますが,こうトリミングするというところが,これがやっぱりなかなか素晴らしい。それによっていかにインパクトがあるか,こんなこともとてもいい勉強になるのかなという気がいたします。ありがとうございました。
 これについてご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますね。
 それでは,最後に事務局から昨日国会で可決された古典の日に関する法律について,また今後の文化政策部会の日程について,情報提供をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  机上に資料を置かせていただいておりますけれども,昨日,超党派の議員によりまして提出されました議員提出法でございますが,古典の日に関する法律が国会で可決しておりますので,情報を提供したいと思います。
 これは古典文学の代表作品であります源氏物語の存在が確認される最古の日付が1008年11月1日でございまして,その記録から1千年たつということを記念いたしまして,法律の第3条にございますけれども,11月1日を国民が古典に触れ,親しむきっかけとなる古典の日にしようといった趣旨の法律でございます。文化庁といたしましても,今後この趣旨に沿った取り組みを推進してまいりたいと思っておりますので,委員の皆様におかれましても,この法律の趣旨にのっとったさまざまな取り組みに関しましてご理解,ご協力を賜れればというふうに存じております。なお,この法律は9月5日に公布予定となっております。古典の日に関する法律については以上でございます。
 それと,次回の文化政策部会の日程でございますけれども,今後日程調整を改めてさせていただきまして,お知らせ申し上げたいと思います。
 以上でございます。

【宮田部会長】  ありがとうございました。先生方,いかがでしょうか。何か,あと,この辺のことはということがございましたら。何でも結構です。私的なことでも結構でございます。この際言っておきたいみたいな話がありましたらどうぞ。

【近藤長官】  古典の日に関する法律についてちょっと補足でございますけれども,第2条をごらんいただきますと,古典の定義がございますが,きっかけは源氏物語という古典文学だったわけですが,ここで扱っているのは文学のみならず,音楽,美術,演劇,伝統芸能,演芸云々と非常に幅広くなっております。そういう意味では,最近やや3.11以降,日本の伝統的な精神文化を見直そうとか,いろいろな角度からそういう議論がありますけれども,それをより国民の方々にアナウンスする効果のある,いいタイミングで出てきた法律ではないかと思っておりますので,文化庁がこれから進めていく政策の中で特に古典芸能,古典工芸から幅広く日本人の精神を豊かにするさまざまな施策を行っていく上での,これも一つのバックボーンになり得ると思いますので,部会においてもこれからのご提言の中でこれを踏まえて,文楽については関西のほうでいろいろ議論がございますけれども,それにとどまらず,いかにして古典を促進していくか,文化庁がどういう役割を果たすべきかについて,またご提言を今後賜れればと思います。
 以上です。

【宮田部会長】  ありがとうございました。ほかございませんでしょうか。よろしいですか。
 ちょっと,私,宣伝して宜しいでしょうか。本日夜21:00からBSプレミアムで出演いたします。お時間がありましたら御覧ください。
 それでは今日はこれにてよろしゅうございますか。先生方,ほんとうに暑い中,お忙しい中,ありがとうございました。また,今後ともよろしくご支援のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。

── 了 ──

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