文化審議会第12期文化政策部会(第1回)議事録

平成26年5月15日

【内田調整官】  皆様,おはようございます。定刻でございますので,そろそろ始めさせていただきたいと思います。
 私,文化庁政策課の内田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 開会に先立ちまして,まずは配付資料の確認をさせていただきます。資料1,文化審議会関係資料。資料2,文化政策部会の今後の進め方。資料3,文化芸術立国中期プラン。資料4,文化審議会への諮問文。資料5,関係省庁資料となっております。
 さらに,机上資料といたしまして,「文化芸術の振興に関する基本的な方針」の冊子,平成23年1月の文化審議会答申,関連データ集,予算関係の資料,これら資料を置かせていただいております。
 もし,過不足ありましたら,事務局へお知らせください。
 本日は人事案件もこの後ございますために,一般の傍聴者は途中からの入室となっております。
 また,本日は関係省庁の方々にも御出席いただきまして,関係省庁の文化関係の事業などを御紹介いただきまして,フリーディスカッションをさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは,ただいまより文化政策部会の第1回を開催させていただきます。
 本日は,御多忙のところお集まりいただき,まことにありがとうございます。本日は第1回の部会ですので,後ほど部会長を選出いただく必要がございますけれども,それまでの間,私の方で議事を進めてまいります。よろしくお願いいたします。
 まず委員の皆様を御紹介させていただきたいと思いますけれども,お時間の都合上,資料1の3ページ目に名簿がございまして,そちらの名簿をもちまして全体の御紹介は代えさせていただきます。
 今期からは新たな委員といたしまして,大林剛郎様,武内紀子様,増田宗昭様,黛まどか様,山下裕二様,吉本光宏様の合計6名の皆様に,新たに委員に御就任いただくことになりました。どうかよろしくお願いいたします。

※ 部会長に熊倉委員,部会長代理に片山委員が選ばれた。

(傍聴者入室)

【熊倉部会長】  大勢の方がいらしていただいて,御入室の途中ですけれども,今期文化政策部会の開会に当たりまして,部会長として一言簡単に御挨拶を申し上げたいと思います。
 前期,前々期の宮田学長の非常に洒脱でいながら,妙を得た采配ぶりに比べると甚だ心もとない限りでございますけれども,皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
 御存じのように,昨年の9月にオリンピックの東京招致が決定をしております。芸術に関わる一人としても,御存じのようにロンドンオリンピック以来,オリンピックの文化プログラムというものが非常に重要視されるようになっておりまして,2020年,東京でもスポーツ競技だけでなく,我が国の文化芸術のすばらしさを東京のみならず,全国から世界へと発信するまたとない絶好の機会と考えられます。
 また,後ほど事務局から説明が頂けると思いますけれども,今年度の文化政策部会は2020年も意識をしながら,だいたい5か年の文化振興の方針となります,第4次の文化芸術の振興に関する基本的な方針の策定のための審議を行う1年間ということで,結構頻繁な開催になろうかと思いますけれども,是非御かっ達な御議論を賜りたいと思っております。
 3月28日に開催されました文化審議会の総会でも,下村大臣からそのための諮問がなされたところでございます。昨年度の総会でも何度か出ておりますように,この2020年を見据えて,しかしながらこの2020年が最終ゴールとなるような取り組みのみならず,2020年をスタートとしてどのような新しい文化振興のビジョンを描けるかが問題だという意見が,この文化審議会の中でも多々多くの委員から出されております。ですので,2020以降の新しい大きなビジョンを,皆様のお知恵をおかりしながら1年間考えていきたいと思いますので,是非ともよろしくお願いいたします。
 続きまして,是非部会長代理をお引き受けいただきました片山委員からも一言いただければと思います。

【片山部会長代理】  前回の第11期に続きまして部会長代理を務めさせていただくことになりました,静岡文化芸術大学の片山泰輔と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 部会長からも今お話がありましたとおり,今年度は第4次の基本方針を策定するという大きな役割を担っています。東京にどうしても目が行きがちですが,今私自身が静岡県の浜松市にあります地方の県立大学に勤務しているという立場もございますので,地方圏の文化振興という視点もできるだけ盛り込みながら議論を進めていければなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 それでは,本日は今期最初の審議会ですので,本審議会の概要と運営上の規則について確認をしていきたいと思います。
 事務局より御説明をお願いいたします。

【内田調整官】  それでは,審議会の概要,運営規則などにつきまして,簡略に御説明したいと思います。
 お手元の資料1をごらんいただければと思います。1ページ目に文化審議会の構成図がございます。様々な部会,分科会から構成されております。文化審議会の総会の下に置かれる幾つかの部会,分科会があり,そのうちの1つがこの文化政策部会でございます。この資料を1枚おめくりいただきますと,2ページ目に文化政策部会の設置の趣旨を説明したペーパーがございまして,文化振興に関する政策形成の重要事項が所掌となっております。具体的に今期どのような審議事項を取り扱うかにつきましては,後ほどまた別の議題のところで御説明させていただきたいと思います。
 また,この同じ資料の4ページ目以降には,文化審議会の関係法令の資料がございます。例えば,4ページ目には,文化審議会の設置根拠となっております文部科学省設置法第30条がございまして,第1号以降に様々な規定がございますけれども,文化審議会は大臣,長官の諮問に応じまして文化振興,国際文化交流振興など様々な重要事項の調査審議を行うことといったことが規定されております。
 また,同じページには文化審議会令というのがございまして,その次の5ページ目の第6号1項に,部会を設けることについての根拠規定というのが示されております。
 6ページ目には,文化審議会の運営規則がございまして,運営上のルールなどが細めにわたりまして規定されておりまして,最後の8ページ目には会議の公開についてのルールがございます。人事案件以外については原則公開とするといったことなどが規定されているところでございます。
 お時間あるときにごらんいただければというふうに思っております。
 以上でございます。

【熊倉部会長】  ただいまの内容につきまして,何か委員の皆様から御質問等ございますでしょうか。
 審議会の概要と運用上の規則に関して,よろしいでしょうか。
 では,引き続きまして,今期の審議事項やスケジュールについて確認をしておきたいと思います。事務局よりお願いいたします。

【平林課長】  それでは,資料2から4を用いまして,簡単でございますが御説明させていただきたいと思います。
 まず,本日机上の資料で冊子をお配りしておりますけれども,これは先ほど部会長からもお話ございましたが,文化芸術振興基本法に基づきまして,政府全体の文化政策の方針として文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次基本方針)というものでございます。ちなみにこの表紙の書体は,本日は欠席ですけれども,宮田委員に書いていただいているものでございます。
 部会長の話にございましたように,この3次方針をこの政策部会で1年間御審議いただいて,改訂をして,第4次の方針案を策定していただこうというふうに思ってございます。資料4で後ほど御説明したいと思いますが,3月の末に文部科学大臣より,文化審議会総会に対しましてこの第4次の方針の策定に向けての諮問がございました。この部会では,まさしくこの4次方針の策定の内容を作成するというものがミッションということになります。
 それでは,初めに資料の2をごらんいただければと思います。
 1ページ目をごらんいただけばと思います。「文化政策部会の今後の進め方(イメージ)」と題しております。一番上にございますように,本日5月15日第1回という形でキックオフしたいというふうに思っておりまして,その後第2回から第4回でございますが,その間に委員の皆様方におかれましては,3回にわたりまして御意見を御発表いただければと考えてございます。
 それから,夏頃までに来年度の予算要求を見据えまして,中間まとめ的に早急に対応すべき事項の整理というものをまとめていきたいと思っておりまして,7月に文化審議会の総会を開く予定にしておりまして,そこに御報告したいというふうに思ってございます。
 それから,その後8月以降でございますが,第5回から第7回におきまして,芸術団体あるいは地方公共団体からのヒアリングなど行いながら,徐々に論点整理というものを行っていきまして,その後年末までには第4次の方針につながる答申案を取りまとめていただきたいというふうに考えてございます。
 それから,2ページ目をごらんいただければというふうに思います。当面の対応ということになりますけれども,「各委員の意見の発表の趣旨等について」といったような表題を掲げてございます。冒頭の部分の丸書きに書いてございますが,御意見を委員の先生方から発表していただくということでございまして,東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年,それからそれ以降を見据えた文化振興方策というものとして,どんなことが考えられるかといったようなこと,それからまた,当面早急に対応すべき文化振興方策としてはどういったような事項があるかといったようなことにつきまして,委員の皆様方から御意見を伺いたいというふうに思ってございます。頂いた御意見に従いまして4次の基本方針の策定であるとか,あるいは平成27年度以降の概算要求に生かしていきたいというふうに考えてございます。
 資料2の3ページ,4ページ目の資料が,皆様には非常に御苦労をおかけしますが,意見シートのフォーマットでございます。次期基本方針の策定に向けて資料を取りまとめる関係上,このフォーマットに必要な事項を御記入の上,御提出を頂きたいというふうに考えてございます。もちろんこの意見シートとは別に,委員の皆様方が配付されたいというような資料がございます場合には,別途御提出いただいてももちろん差し支えございませんので,よろしくお願いします。
 それから,最後に5ページ目でございます。文化政策部会の各委員の意見発表スケジュール案というものを作成させていただきました。こちらは事前に皆様方に御送付の上,可能な限り調整をさせていただいたものでございます。さりながら,もし更に変更の御希望がございましたら,後ほど事務局までお知らせいただければと思います。このような日程で皆様方の御意見の発表をお願いしたいというふうに考えてございます。
 なお,どうしても時間が限られるということがございますので,それぞれの会での御意見発表の時間については,5分程度ということを考えてございます。他方で,この部会におきまして是非深い議論をしていきたいというふうに考えてございますので,各回において御発表いただく方の資料につきましては,可能な限り1週間,遅くても二,三日前に是非資料を頂戴いただければというふうに思っておりまして,それをあらかじめ委員の皆様方に,メールで事前に送付させていただきたいと考えてございます。2回目が近づいておりますので大変恐縮でございますけれども,よろしくお願いしたいと思います。資料の2の御説明は以上でございます。
 続きまして,資料の3をごらんいただければと思います。
 概要と本文を付けさせていただいておりますが,文化芸術立国中期プランというものでございまして,こちらにつきましては3月28日に公表されたものでございます。このプランは,2020年までの間を文化振興の計画的強化期間というふうに位置付けるものでございまして,プランにおきましては下の方にございますように,「人をつくる」と,それから「地域に元気にする」と,そして「世界の文化交流のハブとなる」といったような3つの柱を掲げているところでございます。また,更に横断的にそれを施設・組織であるとか,制度の整備というものも併せて講じるというようなものでございます。
 本文の方をちょっとごらんいただければと思いますが,3ページ目をごらんいただければというふうに思います。
 下の方に2020年ということで,「2020年に目指す姿」というものを簡単に記載してございますが,日本が世界に愛される文化の国を目指し,また,平和や環境をテーマとして人々が交流する姿というものを描いているところでございます。
 続いて4ページ目に,2020年末段階で目指すべき成果という形で指標というものも併せて記載しているところでございます。文化芸術に支えられた「成熟社会の新モデル」というものを世界へ提示するということで,日本国内で実現する内容の例を,数値目標,各種の調査等の指標を用いてそれを示させていただいております。
 5ページ目以降に具体的な,2020年に日本が世界の文化芸術のハブとなるための必要な基盤整備,施策についての記載を行っているところでございます。概要で申し上げた「人をつくる」,「地域を元気にする」,「世界の文化交流のハブとなる」といった視点で各論的に施策を並べてございます。後ほどごらんいただければと思います。
 続きまして,資料4をごらんいただければと思います。諮問文についてでございます。
 この諮問でございますが,先ほども御説明いたしました現行の第3次の文化芸術の振興に関する基本的な方針の改訂をお願いするものでございます。こちらも去る3月28日に,下村文科大臣より文化審議会総会に対し行われたものでございます。何度も申し上げますが,この文化政策部会でこの4次方針の実際的な中身の検討をお願いするというものでございます。
 3次方針,先ほどの資料の下にあります,「平成23年2月8日閣議決定」と書かれてございますが,その翌月の3月に御存じのとおり東日本大震災が発生したわけでございます。この大震災におきまして,文化と人間であるとか,社会との関わりについて考え直す契機にもなったというようなことがございます。さらに,昨年9月には2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催が決定されたということがございます。これらの動向などを踏まえて,やはり審議を進める必要があろうかと思ってございます。
 この諮問文の柱となる箇所を中心的に御審議お願いしたいというようなポイントがございまして,4ページ目をごらんいただければと思います。(1)から(5)について事項を掲げさせてございます。4ページ目の上の方に(1)といたしまして,2020年を見据えた文化振興方策の基本的視点についてというような点の御審議をお願いしてございます。古来の伝統文化あるいはポップカルチャーなど,それぞれの発展あるいは活用を図るための方策といったようなこと,伝統文化と現代文化を組み合わせた発信みたいなこと,省庁横断的な,あるいは領域横断的な文化芸術振興といったような視点というものがございます。そういったような御審議をお願いしたいというようなこと。
 それから4ページ目の下に(2)がございます。創造力等の豊かな子供や若者,文化芸術を創造し支える人材の育成というような事項がございます。「人をつくる」というような観点でございまして,学校等での文化芸術体験の推進であるとか専門人材や高度な芸術家の育成などに関する施策全般等につきまして,その振興策についてお願いするというものでございます。
 それから次の5ページ目でございます(3)で,文化芸術の地域振興等への活用等についての御審議もお願いしてございます。日本各地の文化力による地域振興のための施策全般につきまして,その振興策について御議論をお願いするというもの。
 同じく5ページ目の下には(4)といたしまして,文化発信と国際交流の推進とございます。メディア芸術であるとか現代アート等の発信強化の方策といったこと,有形・無形の文化財や文化財保存技術,生活文化などにつきましての振興策といったようなことが大きなテーマかとございます。
 それから6ページ目でございます(5)といたしまして,文化振興のための体制の整備といったようなことも掲げてございます。国立文化施設の機能強化であるとか,日本の強みを生かす拠点づくりの推進などにつきまして,その振興策といったようなことがテーマかと思います。
 更に最後のパラグラフにございますが,最近の課題といたしまして,例えば文化関係資料のアーカイブの構築であるとか,劇場,音楽堂等の文化芸術拠点の強化充実,あるいは生活文化の振興,文化芸術創造都市への支援といったようなことも大きなテーマかと思います。
 説明は以上でございます。是非とも幅広い忌たんのない御意見を賜ればというふうに思います。
 以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 続きまして,本日は先ほども御案内がありましたように,関係省庁の皆様にいらしていただいておりまして,関係省庁が進める文化関連施策について,本年度の予算を中心にそれぞれ5分ずつぐらいお話を頂きたいと考えております。
 なお,経済産業省さんはほかの職務の関係で11時には御退席予定ですので,もし11時以降に経産省に対する御質問などが出た場合は,事務局から後日確認を頂いて,日を改めまして皆様に回答を共有いたすことにしたいと思います。
 それでは,よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  そうしましたら,経産省さんからお願いいたします。経産省,総務省,外務省,観光庁の順番でよろしいですか。

【経済産業省須賀総括補佐】
 経済産業省メディア・コンテンツ課で総括補佐をしております須賀と申します。委員の皆様には何度かこちらでお目にかかりましてお世話になっているかと思うんですけれども,今年は26年度ということで,もう既に始まっている事業について今どういう進捗か,それからどういう成果が出始めているかということを御説明したいなと思ってまいりました。
 お手元の資料ですけれども,順番が入れ違ってしまって皆様には申し訳ありません。21ページからが我々の資料になっていまして,もともと我々はやっている政策の数でいいますと二,三十ありまして,大きいものから小さいものまで予算事業とそうでないものを含めてばらばらとやっているんですけれども,今日はその中でも2つ大きな柱と思って今年やっていることについて資料をまとめてまいりましたので,御説明させてください。
 22ページの下の方ですが,何名かの方には何度か御説明している話になってしまいますが,経産省から見たときのクールジャパン,特に経済的な側面に関しては3段階の戦略と考えて推進をしております。
 1が資料の下の方になるんですけれども,まずは日本の情報を海外へ積極的に発信して,日本のことを知っていただき,それが日本のブームにつながるという段階について,国ができることについてお手伝いをしていくというフェーズです。第1段階で日本の魅力をまずは知っていただく,情報を海外へ流していくということをお手伝いします。
 それから第2段階で,第1段階というのは実は結構お金がかかるわりに,もうかることの少ない段階でありまして,本当に果実を刈り取れるのは第2段階だと思っているんですけれども,日本の情報に触れた現地のファンが,日本のあの番組で見たあの服を着てみたいとか,あの番組で見たフードコートに行ってみたいとかそういうふうに思ってくれて,実際現地のモールですとか拠点に足を運んで,日本の関連の商品を購買していただくという段階が第2段階だと思っています。
 ここは基本的にビジネスベースで企業の方々でも十分に単独でやられている方々もいらっしゃるんですけれども,あともう一つ後押しがあれば海外で大きく事業展開ができるのにというポテンシャルを持ってらっしゃる方々が,海外へ進出しやすいように応援をさせていただくというのが第2段階だと思っています。
 それから第3段階については,これは観光庁さんがもう既に,ずっと昔からやられている政策に我々としては便乗というか,協力をさせていただくということになるんですけれども,最終的に結局一番経済効果が大きいのは,そういうファンが一度は本場に行って,本物を味わってみたい,見てみたいといって日本へ来て国内で消費をしてくださるというところでございますので,海外に対して情報を流し,物を売ってファン層を育てた上で,最後にやはりその方々が日本にちゃんと来てくださると,インバウンドにつながるような支援をしていきたいなというのが我々の思いでございます。
 次のページに,23ページですけれども,それぞれの段階を日本の魅力を担うと言われているコンテンツ,衣・食・住,それから観光のそれぞれの我々が持っている強みですね,それをどういうふうな形で海外に実際展開し,実現していくのかということを少し細かめに書いた資料になっておりまして,言っていることは同じなんですけれども,例えばコンテンツであれば,例えば日本のアーティストさんがたくさん出られている音楽番組を海外で配信し,そのアーティストさんたちの人気が出たところで,現地に実際に行っていただいてライブをしていただくとか,そこでライブの収入というのは,中国でもライブの単価というのは日本よりもよほど高いものが取れたりしまして,そこがしっかりと収益事業になっていくように我々としては応援をして,ただ最後に,やはりその現地のファンの人たちは1年に1回,あるいは数年に1回自分の国に来てくれるのを待つだけでは飽き足らず,日本のライブを見に来てしまうというようなところまで消費をつなげたいなというふうに思っておりますし,それと同じことが衣・食・住の分野,衣ですとファッションですし,食でいえば外食産業から,あるいはレトルト食品とかお酒とか,あるいは調理器具とか,日本の強みとして海外の人が魅力に思ってくださるものがたくさんありますので,そういったものを同じような戦略で海外展開していきたいですし,それから住の分野では,家電,温水洗浄便座に始まりましてインテリアですとか,それから文房具とか,ああいったものも含めて,あるいは伝統工芸品まで幅広く,日本に魅力を持っていただける多様な入り口を海外に提供していきたいというふうに思っていますし,観光というのも,第3段階の縦の話だけではなくて,実は観光資源そのものもテレビ番組に乗せて海外へ知らせていく,地域の魅力も海外へ知らせていって,最後はインバウンドにつなげるというような戦略になり得るものだと思っております。
 これをなるべく各省もしっかり連携をしながら,それから我々の施策もばらばらといろいろなことをやるのではなくて,こういう戦略のどこに,どういうふうに役に立つのかということをしっかり自分たちで考えながら講じていきたいなというふうに思ってやってきております。
 24ページに目次的なものを書きましたが,大きく分けて2つの話を差し上げたいんですが,どちらも我々がお話しするのは今回日本ブームの創出と,それから現地で稼ぐというフェーズに主に注目したものになりますけれども,1つ目が,海外でどんどん日本のコンテンツを流すチャンネルが立ち上がりつつあって,それに対する政府の支援も少し進んできているという話をさせていただきます。
 それから2つ目が,それと表裏一体の話であるんですけれども,最終的にコンテンツ産業が持続的に海外へコンテンツを供給していくためには,海賊版で市場がずっと飽和されてしまって,自分たちの作ったものがただでしか売れないというような環境では,彼らが先に体力がなくなってしまいますので,海賊版対策も国は表裏一体のものとしてしっかり応援していかなきゃいけないという問題意識で,今年はそちらに力を入れておりますので,その御説明もちょっと差し上げたいと思っております。
 では,次のページから1本目の柱ですけれども,ちょっと重なる部分もあるんですが,日本ブームを海外で創出するためにコンテンツの海外展開というのを加速したいというのが我々の思いなんですけれども,それをブレークダウンしますと,幾つか政府の出番があるなというふうに認識をしています。
 これが真ん中あたりに書いている部分なんですけれども,まず日本でほとんどの日本のコンテンツ企業さんというのは,国内に向けてテレビ番組を作られたり,アニメを作られたり,あるいは本,漫画を出版されたりするわけですけれども,それを海外へ出そうというときに,やはり日本語でございますので,海外に向けて翻訳をしたり,字幕を付けたりということは最低限必要ですし,更に言いますと,現地の文化に合わせて喫煙シーンを削除するとか,あるいはその国の宗教上不適切なシーンを削除するとか,あるいは尺を調整するとか,フォーマットを変えるとか,音楽を差し替えるとか,非常に細かい作業がたくさん海外へ出すときに発生するんですが,そこが面倒くさいがために皆さんいいコンテンツで,海外にニーズがあることも分かっているのに輸出に手が回らないということが非常に多いです。
 そのために我々としては翻訳とローカライズ,それから権利処理,そういったものに係る細々としたコストを半額国が肩代わりしますから是非輸出を本格化させてくださいというふうに,コンテンツホルダーの方々に協力を要請しているところです。これは予算事業でJ-LOPという補助金で始めております。
 それから,先ほどちょっと申し上げましたが海賊版対策というのも表裏一体でやっていくと。輸出したらちゃんともうかるように海外の市場の整備をお手伝いすると。それから輸出するときに,輸出するコンテンツを用意するだけでは足りなくて,それを実際海外で流してくださるメディアを確保するということが非常に重要になるわけですけれども,そのために必要なプレーヤーが,もちろん海外のメディアがやる気になって,直接うちで流したいというふうに言ってくれることが非常に意味があって,例えばこの間ニュースになったところでいいますと,北米にドラえもんがディズニーチャンネルに流れることが決まったというのは,あれは直接コンテンツホルダーであるドラえもんの権利を持っている方々と,それからディズニーチャンネルとが交渉して妥結に至ったという事例ですけれども,そういうものに対しても交渉の支援あるいはマッチングの支援ということをしていきたいと思っていますし,それから海外のメディアで流れることが決まった後にプロモーション支援と言いまして,番組というのは知ってもらわないと視聴率も当然上がらないわけで,国内ではコンテンツホルダーさんは非常にお金を投下して,リソースを割いて番宣ということを必ず新しい番組が新クールで始まる前にやられるんですが,どうしても海外ですと番組を輸出して終わりというふうになってしまっているところを,しっかりと海外で見てねというPRの活動も併せてしていただくということで,これもJ-LOPの新しい2つ目の柱として支援をしております。
 これがコンテンツホルダーさんが全部を自分でやられるときのプロセスなのですが,実は我々も1つ重視をしているのが,その間にやはりジャパン・チャンネルといって,日本のコンテンツを少しひいき目に見て,しっかりと自分たちで見聞きをして,海外にチャンネルを自分で立ち上げて,コンテンツの流通を促進してくださるプレーヤーというのがたくさん増えることに意味があるなというふうに思っていまして,NHK WORLDさんはもちろん昔からあるんですけれども,もっとエンタメのコンテンツを扱うチャンネルが海外に増えると有り難いということで,ジャパン・チャンネル自体の創設の支援というのも視野に入れております。
 次のページ,27ページに,我々がたくさんお話を伺っている海外のチャンネルを立ち上げる動きの中の主なものといいますか,幾つか抜粋をして,地図に載る限りで書かせていただいているのですけれども,ごらんいただくと上の方はNHK WORLDから始まって,アニマックスなんか歴史があるチャンネルですね,アニメのチャンネルがあるんですけれども,それから左上のところにはフランスの「No Life」というテレビ局に,たった30分の番組なのですけれども,視聴率ナンバーワンを獲得している番組の帯を,地方のテレビ局がこれはずっと投資をして作ってきたというような枠でやるような海外の日本専門の情報番組枠ですけれども,そういったものも育っておりますし,右上でいきますと「DAISUKI」という,これはネットでアニメを配信するようなサイトが立ち上がっておりますし,それから下の方にいきますと,例えばカンボジアで「JAPAN Channel」を立ち上げると言っている青年,30代の方ですが,そういう方がいらしたり,もう地上波の1つを買収しているんです。中身をどうしようかと御相談いただいたり,あるいは大型の最近の案件でいいますと,右下の「WAKUWAKU JAPAN」,これは総務省さんからも御説明後であると思いますけれども,スカパーさんがインドネシアでまずは開局をして,それからこの先も広げていくといって,日本のコンテンツを扱う有料チャンネルを立ち上げる動きなんかも応援したいなと思っております。
 応援の仕方なのですが,施策として大きく2つ御用意していて,先ほどから申し上げているJ-LOPという155億円の補助金を総務省さんと共同でやっていまして,これはローカライズの支援とプロモーションの支援ということで,チャンネルに流す弾込めですね,チャンネルだけを立ち上げてもそこに継続的に番組が流れていかないと,チャンネルの経営が立ち行かなくなるということで,過去に民間企業さんがたくさんチャンネルを立ち上げる動きというのをやられたんですが,コンテンツ業界がその当時はやはりついていけなくて,チャンネルの経営自体が苦しくなってしまうというようなことも多かったので,コンテンツの供給側が,弾の供給の方が途切れないようにJ-LOPの支援というのは引き続き強化していきたいなと思っております。これはもともと1年の予算だったのですが,基金化していまして,27年の12月ということで来年いっぱい使える予算になっております。
 幾つか成功事例も出てきていまして,ちょうど昨日「NEWS ZERO」で御報道いただいた,タイで「東京ガールズコレクション」というファンションショーを大きく展開した事例なんかは相当現地で手応えがあって,日本のファッションにタイの女の子たちはみんな憧れていると,かわいいファッション,そういうことが現地で引き続きイベントに出るだけじゃなくて,ショップを作ることを決めましたなんていう報告を事業者さんから頂いておりまして,それもJ-LOPの支援の成果かなというふうに思っています。
 それから30ページですけれども,2つ目の政策として,去年11月にクールジャパン機構というファンドを立ち上げております。これは官民のファンドなのですけれども,国からどかんと500億,300億といった予算を毎年付けていって,それから民間企業からも出資を募りまして,一緒にファンドを立ち上げて,ちょうど次のページですけれども,先月24日に第1号案件を3件発表いたしました。
 これはもともとクールジャパンファンドというのは,官民ファンド全てそうですが,日本にあるベンチャーキャピタルがもともと手を出せるような案件というのはあまり興味がなくて,プラットフォーム型で投資が非常に長いものになって,すぐに収益化は難しいんだけれども,でも確実に最終的には事業化できるし,更に言うと,それがほかの事業者のインフラとなって皆さんの役に立てるというような案件について,そこを重点的に応援していきたいなということでファンドを作ったのですけれども,1号案件の3つのうち,1つ目がこのスカパーさんがつくられる「WAKUWAKU JAPAN」というこのチャンネル事業に出資を決めております。
 それからあとの2つが,外食ベンチャーの人たちが東南アジアにフードコートを作っていくというような案件。それから3つ目は,中国にやはり政府間の問題でいろいろ難しいところを,民間ベースで中国にしっかりとジャパンモールを,日本の物を扱う商業施設を作っていくという案件,この3つを先日,事業支援の基本合意ということで発表しております。
 2つ目の次は柱ですけれども,32ページ以降海賊版対策ということでいいますと,文化庁さんと一緒にCODAというコンテンツ海外流通促進機構というものを立ち上げていまして,そのCODAが非常にここのところ育ってきていまして,もともとは中国と一部韓国の違法のサイトに対して,このコンテンツ違法だから落としてくださいという削除要請というのを出すと,ほぼ100%応じていただけると。CODAは要するに一部オフィシャルな組織なので,ちゃんと対応しないとまずいというふうに相手が思っていただける,そういう団体にやっと育ってきたところなのですけれども,彼らの取り組みを少し後押ししようということで,25年度の補正で3億円を付けまして,特に少し取り組みが遅れていました漫画とアニメについて,業界のトップの方々皆さんお集まりいただいて,この夏から大規模にキラーコンテンツに当たる200作品を一気にCODAを中心に削除するという動きをしようとしています。大規模に削除しますと,我々のクールジャパン的な懸念でいいますと,そうは言っても海賊版をごらんになっている方も含めて日本のファン,潜在的なファンですので,その方々が日本のコンテンツの供給を絶たれると,じゃ,ハリウッドの物を見るからいいやとか,韓流のコンテンツ見るからいいやというふうになってしまうと,元も子もないので,そこにできた空白地帯でしっかりと,いや,実はこっちを見てほしいんだということで,正規版のサイトにしっかり誘導できるように,日本のコンテンツホルダーの漫画・アニメの正規版が一元的にリーチできるようなリーチサイトというものも同時に立ち上げて,それの案内をしていくという取り組みを今,しております。
 どこが正規版サイトなのかをコンテンツホルダーの方が把握してない場合も結構あったりして非常に苦労しているのですけれども,この夏から少し動きが見えてくるかなというふうに思っています。それの詳しい説明が34ページになっていまして,削除と正規版サイトへの誘導と,それからこっちを見てねという普及啓発の広報の活動というのを,3本柱で業界を挙げてやっていくという協議会を経産省で設置しまして,音頭を取っているということでございます。
 最終ページの35ページは御参考までに,予算を取るときに何を言っているかよくわからない資料になっているんですけれども,こういう資料を使いましたということで。それから,その後はほかにいろいろばらばら取り組んでいるものの中で,もしかして御関心のある方があればと思って付けたものなので,後々御参照いただければなというふうに思っています。
 以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。

【内田調整官】  それでは総務省さん,お願いいたします。

【総務省山中課長補佐】  総務省のコンテンツ振興課で課長補佐をしております山中と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは,簡単ではございますが,総務省の取り組みを御説明したいと思います。資料の2ページをごらんいただければと思います。
 先ほど経産省さんの方から御説明あったとおり,今政府ではクールジャパン戦略という大きな戦略の中で取り組みを進めているところでございますが,総務省の方で特に担当しておりますものは,先ほどお話のあった第1フェーズ,コンテンツの海外展開というところでございます。特に総務省としましては放送業界を所管しておりますので,特に放送コンテンツの海外展開について力を入れているということでございます。
 そこで,放送コンテンツの海外展開のポイントというところなんですけれども,今までも当然コンテンツ,海外展開を進めてきたのですけれども,いろいろこれまでの取り組みで分かってきたことが,特に文化的親和性が高いアジアとかを見ますと,コンテンツの単価が非常に安いという状況がございます。したがいまして,ただコンテンツをうまく売れたとしても,それだけでは全然ビジネスモデルとして回っていかないという現状がございました。
 したがいまして,そういう状況を踏まえて,今,我々として特に重きを置いているのは,そこの図の右,オレンジ色の部分をごらんいただければと思いますけれども,特に周辺産業と連携した形でコンテンツを海外展開していくべきだというふうに考えております。
 要は,まずコンテンツを出して,先ほどあったとおり日本ブームを創出するのですけれども,それを通じて周辺産業への波及,後でちょっと具体的に説明しますが,波及ですとか,あるいはまさに後ほど観光庁さんが御説明されるビジット・ジャパン戦略という観光につなげていく部分ですとか,あるいは同じ話かもしれませんが,地域の活性化,さらにはこれは外務省さんとも絡むと思いますけれども,日本文化・日本語の普及とか,そういったものをコンテンツを通じて進めていくんですけれども,それが海外でそういうようなブームが起きることで,更にそれが放送コンテンツのニーズの方にまた逆につながっていくと,こういった好循環構造を目指して,特に放送コンテンツの海外展開に取り組んでいくべきだろうというふうに考えております。
 そういうような問題意識のもとに,総務省としましては次のページ,3ページをごらんください。25年度の補正予算ではございます。残念ながら,私どもの課で26年度の当初予算が取れませんでしたので25年度の補正予算なのですけれども,放送コンテンツ海外展開強化促進モデル事業ということで,予算を21億円確保しております。これの中身につきましては,簡単にはここに書いてあるとおりですけれども,今申し上げたとおり,ただ番組を出すだけではなくて,例えば異業種を含む周辺産業との連携等による新たなビジネスモデルの構築ですとか,地域活性化といったことを目的とした放送コンテンツを制作して,更に次のポイントが「継続的に」とありますけれども,ただ単発で放送枠を確保できて流したとしても,まさにそれだと見られなかったり,見てもらっても1回だけだとなかなか効果が薄いということで,できれば継続的に,一番いいのは例えば半年間,2クール,平日は毎日とか,そういうのができればベストですけれども,そういった形で継続的に発信できる,そういったモデル事業をできるように支援していこうということでございます。
 ひょっとしてイメージがなかなかおわきにならないかもしれないので,特にうまくいった事例ということで,次の4ページをごらんいただければと思います。
 これはインドネシアの事例ですけれども,インドネシアで今『ガルーダ戦士「ビーマ」』というものが非常に人気が出ております。これはよく我々は「インドネシア版仮面ライダー」というふうな呼び方をしていますけれども,見ていただければそんなようなキャラクターになっていると思います。
 これは背景としましては,インドネシアでも経済発展を背景に,日本と同じように現在テレビ業界では,放送業界ではやはり視聴率競争に陥っているという話があるそうです。したがいまして,ややもすると低俗な番組が広がっている傾向があると。そういうような問題意識を,ここに書いてあるRCTIというインドネシアの地上波放送局の社長さんが問題意識を持っておりまして,もともと90年代にインドネシアで仮面ライダーそのものが非常に人気を博していたという事情があります。そういうのを見て育ったこの社長の方が思い立って,ちょうどいろいろコネクションがあったということで,石森プロさんとか伊藤忠さんと協力してこの番組を作ったと。実際この視聴率は,私も実際に拝見しましたけれども,非常に多分日本のお子さんが見ても全く問題なく見られるような質の内容になっていますし,その下にあるとおり実際バイクですとか,あるいはおもちゃとかの販売も非常に好調だというふうに伺っています。要はこういうような,例えば1つの事例ですけれども,こういった周辺産業と連携した形でコンテンツを海外展開していくのが非常にいい事例だというふうに考えております。
 次に5ページをごらんください。ちょっと毛色の違う話ですけれども,団体としましては昨年8月に実は一般社団法人のBEAJと書いていますけれども,機構が立ち上がっております。こちらの構成につきましては2つ目のポツをごらんいただければと思いますけれども,現在は在京のキー局とあと衛星放送会社と,あるいは権利者団体さんと商社さんとか,代理店といった方々に入っていただいてやっていますけれども,今いろいろローカル局さんとか,あるいはケーブルテレビ業界の方とかもいろいろお声掛けをしている状況です。要は,従来であれば,ややもするとキー局,放送局と我々いろいろやっていたんですけれども,それだけではコンテンツというのは海外展開がうまくいかないので,権利者団体さんとか,実際に先ほどお話のあったスポンサーとかを巻き込むという意味で代理店さんとか,そういったオールジャパンの体制で取り組めるような組織としてこの組織が立ち上がったと。この組織は当面の戦略としましては,3つ目のポツをごらんいただきたいんですけれども,特に文化的親和性の高いアジアの,特にASEANの6か国を中心に今いろいろ戦略を立てているところでございます。
 あと,この機構につきましては先ほど経産省さんから説明のあったクールジャパン機構さんとも今年の3月に連携の覚書を結んでいまして,まだこれに関しては具体的な案件はございませんが,例えばまずBEAJの方でビジネスモデルの立ち上がりみたいなものを,うまく我々の予算を含めてやっていただいて,うまく事業化できそうであればクールジャパン機構さんの方に出資なりしていただいて,事業を増していくというようなことも含めていろいろ案件が出てくればなというふうに期待しております。
 次に6ページをごらんください。これは先ほど経産省さんの方から御説明あったので説明は省略しますけれども,総務省としても24年度補正予算でもいろいろ支援をしています。先ほど①,②は御説明があったので,簡単に最後に③の御説明をしたいと思います。
 総務省は24年度の補正予算の中で,国際共同制作支援というカテゴリーで施策を実施しました。これは文字どおりですけれども,日本の放送局と海外の放送局,あるいは番組制作会社とかが一緒に番組を作って,海外で流して,日本のブーム創出に貢献するという事業です。24年度は72件いろいろ採択しましたが,次のページをごらんください。
 イメージとして分かりやすいように2件ほど具体例を挙げさせていただきました。1つは地域活性化につながるような事例ですけれども,タイの公共放送と静岡のローカル局の朝日テレビの方が一緒に番組を作った事例です。要は,ただ日本のキャスターとかが富士山を紹介するような番組を海外で流すというようでは,なかなかやはりうけないと。そこで,非常にこれ,向こうでは有名なキャスターの方らしいんですけれども,チャイラット・トムヤさんという方にこちらに来ていただいて富士山に登っていただくと。それによって向こうの視聴を多く獲得しようという趣旨でございました。
 1つ小ばなしをすると,取材の過程で,静岡朝日の方は三保の松原はそこまで案内しなくていいかなと思っていたらしいんですけれども,実際のタイ側は非常に三保の松原に興味を示したそうでして,急きょ予定を変更して,そちらの方をかなり重点的に取材したというような話があったというふうに聞きました。やはりそこは,これは何を言いたいかというと,現地の放送局と一緒に制作することで向こうのニーズをしっかり反映できるといった点があります。そうしたことで向こうの視聴者層を獲得しやすいという話になると思います。
 最後に,これはちょっとエンタメ系の番組ですけれども,ソニー・ミュージックエンターテインメントさんとインドネシアの制作会社のキュリオ・アジアとの共同制作。これはもともと日本に留学したことのあるインドネシア人が3人いるんですけれども,彼らが立ち上げた制作会社になります。そういう意味で現地のニーズも分かりつつ,日本をよく知っている方が関わった事例というふうになります。これも非常に視聴率が取れたというふうに聞いておりまして,右下の写真にありますけれども,一番左端が日本のタレントさんです。右端の男性がインドネシア人の俳優さんで,彼らがちょっと,実は男性の方が女性の方に恋い焦がれるというようなストーリー設定の中で秋葉原とか,あるいは3Dプリンターの製作現場とか,そういったところをいろいろ回るような形で日本を紹介していくというような番組で,これも実際私,拝見しましたけれども,非常に分かりやすくて面白かったです。こういうようなものも向こうで人気を博していますので,こういったような事例を24年度補正では審査していただきましたので,こういったカテゴリーも含めつつ,先ほどのモデル事業の中で今後とも支援して,取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
 簡単ではございますが,以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 それでは最後にお願いします。

【内田調整官】  それでは,外務省さん,お願いします。

【外務省福嶌企画官】  外務省広報文化外交戦略課の福嶌と申します。よろしくお願いいたします。
 まず,国際的な状況について少しお話しした上で,外務省の施策及び予算の状況について御説明させていただきたいと思います。資料の9ページをごらんいただければと思います。
 近年ですけれども,外国への働きかけとしましては,外国の国民世論に働きかける,いわゆるパブリック・ディプロマシーが重要となってきております。
 それで,国際社会における状況としまして,10ページ目にアメリカにおける世論調査,イギリスにおける世論調査の最近の結果を載せておりますけれども,例えばこのアメリカにおける世論調査,左下の4番のところですけれども,アジアにおける米国の最も重要なパートナーはどこの国かという質問に対しまして,これまで過去においてはずっと日本という答えが続いていたんですけれども,最近は中国が1位になるという例が見受けられます。
 次のページにまいりまして,ASEAN7か国における対日世論調査結果というのが左側にございますけれども,これは本年3月に行った調査ですけれども,この7か国対象の調査ではかなりいい結果が出ておりまして,例えばこの1番の対日信頼度,最も信頼できる国として日本を選んだ割合は33%で1位でした。そして,この3番のところのASEANの重要なパートナーとございますけれども,現在と将来に分けて重要なパートナーはどこかという質問に対して日本を選んだ割合も1位です。これは複数回答ですので,現在65%,将来60%となっておりますけれども,日本が1位に選ばれております。
 次のページにまいりまして,各国におけるパブリック・ディプロマシー強化の状況というふうに挙げておりますけれども,左側に各国の文化交流機関,語学教育実施機関の状況ということで,日本の国際交流基金の拠点数等の情報,それからイギリス,ドイツ,中国,韓国のそれぞれの文化交流機関,語学教育実施機関の情報を載せております。右側には外国メディアの支局数ということで,東京と北京におけるメディアの支局数を挙げておりますけれども,ごらんになれるように,中国,韓国などの新興国も急速にパブリック・ディプロマシーの取り組みを強化しているということで,日本の広報文化外交にもさらなる取り組みが必要となっております。
 それを受けましての取り組みの状況について御説明をさせていただきたいと思います。ちょっと飛びますけれども,14ページをごらんください。
 ここに外務報道官・広報文化組織の活動とありますけれども,これは外務省において広報文化を担当する部のことでございます。この組織の活動の2本柱を挙げておりますけれども,左側には戦略的な広報としまして例えば安全保障,歴史認識,領土保全等の問題に関して,我が国の政府の立場や主張を発信し,特に国際社会からの理解を得るということでやっておりまして,それとともに右側にも重要な施策としまして,我が国のソフトパワーの強化ということで,国際社会において我が国の文化の質を高めるとともに,それを効果的に活用しまして,そのソフトパワーを強化すると。そして我が国のプレゼンスを維持向上させるという取り組みを課題としてやっております。
 具体的にこのソフトパワーの強化についての施策でございますけれども,これは16ページの下の方に挙げております,この「ソフトパワーの強化(例)」というところでございますけれども,例えば在外公館の文化事業なども文化芸術交流,それからJETプログラムですとか国費留学生等の知的・人的交流,それから各種招へい,そして日本語教育などが挙げられます。
 次のページにまいりまして,平成16年から平成26年度までの予算の状況を挙げております。この色分けをしておりますうち青の一番下の部分が国際交流基金の予算,そして水色の部分は国連大学等の国際機関への拠出金,オレンジ色の部分がユネスコへの分担金で,この黄緑の部分が外務報道官広報文化組織の予算となっております。ごらんいただけますように,ずっと全体的には減少傾向にございます。ただ,この黄緑の「報文組織」と書かれた部分でございますけれども,今年度の予算については昨年度と比べまして,29億円が33億円となっておりますけれども,1.8%増となっております。
 そして次のページにお願いしたいんですけれども,18ページのところには,広報文化外交の主な担い手としまして,外務省と国際交流基金ということで挙げておりますが,この外務省は本省と在外公館とございまして,在外公館ではここに書いてございます活動のほか,各省さんの事業,先ほどJ-LOPの話等ございましたけれども,そういう事業についてもこの在外のネットワークを利用して,連携して取り組みをさせていただいております。
 次のこのピンク色の国際交流基金のところでございますけれども,2003年に独立行政法人に移行いたしまして,国内にも事務所がございますけれども,海外の21か国に22の海外拠点を設置しております。主要な事業は,この下のところに挙げておりますこの3つでして,海外での日本語普及,文化芸術交流,日本研究・知的交流となっております。
 19ページには,最近の新たな施策としましてアジア文化交流強化事業を挙げております。これは平成25年度の補正予算で200億円の手当てをいたしまして行うものです。きっかけとしましては,安倍総理が昨年1月の対ASEAN外交5原則を発表された際に,アジアの多様な文化,伝統を共に守り育てていくということを唱えられ,その総理のイニシアチブを受けてアジア文化交流懇談会というのを設置いたしまして,昨年9月に提言が出ました。その提言に基づきまして,このアジア文化交流強化事業ということで,ここに挙げております,1つは芸術文化の双方向交流強化事業をやると。もう一つは,アジア諸国における日本語学習支援事業を行うということで取り組みを開始することとなりました。
 この日本語学習支援事業につきましては,右側の方に「日本語パートナーズ派遣事業」ということで記載しておりますけれども,日本から学生ですとかシニア層を公募いたしまして,それを中心とした人材をASEAN各国の高等学校などに,2020年までに延べ3,000人以上派遣する予定でございます。
 一番下のところに「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア」とございますが,この上のアジア文化交流強化事業に国際交流基金における運営費交付金事業を加えまして,2020年までの期間に300億円以上の事業を実施する予定でございます。
 最後のページ,20ページをごらんいただきたいと思います。これは日本ブランド発信事業ということで,この名前では昨年度立ち上げた事業でございます。この事業につきましては,ここに写真入りで,エジプトにおけるショート・フィルム・フェスティバルにおける紹介例と,それから右側に日本酒紹介事業ということで,先ほど地方のお話も出ましたけれども,茨城県の蔵元,それから佐賀県の蔵元の方をスロバキアとトルコに派遣いたしました事業を掲げておりますけれども,このほかにもファッションですとか,アニメ,プロダクトデザインなどに関しまして,発信力のある日本人を海外の様々な都市に派遣しまして,それぞれの特性を生かしたセミナーやワークショップ,日本酒の場合は試飲会というものも含めて実施することによりまして,日本の魅力を日本ブランドとして発信するというものでございます。
 将来的にはビジネス展開の可能性も視野に入れて行うものですけれども,まずはその背景にある日本文化ですとか生活様式,価値観について外国の人々の理解を促進するということで,こういう事業を行っております。昨年度は1,800万円の予算で開始いたしましたが,本年度は倍の3,600万ということで規模を拡大して実施をしようとしているところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。

【内田調整官】  最後に観光庁さん,よろしくお願いします。

【観光庁飯嶋参事官】  観光庁でビジット・ジャパン戦略外国人観光客誘致を担当しております参事官の飯嶋と申します。私からは資料40ページから御説明をさせていただきます。
 まず訪日外国人旅行者の状況でございますけれども,我が国では2003年に観光立国を宣言いたしまして,ビジット・ジャパンというキャンペーンを開始しまして,予算を本格的に投入しております。これまでの間リーマンショックですとか,東日本大震災で落ち込んだ年がありましたが順調に推移してきておりまして,ようやく10周年目に当たります昨年2013年に,おかげさまで1,036万人の訪日外国人ということで1,000万人を突破したわけでございます。今年につきましても,既に発表されております3月までの訪日数では287.5万人でございまして,対前年比で27.5%増ということで,引き続き順調な勢いでございます。
 次のページ,41ページでございますけれども,これが訪日外国人旅行者の国・地域別割合でございます。諸外国と同様,我が国でも隣国・周辺国からが大部分でございまして,円グラフ真ん中ございますように,アジアから76.7%,4分の3以上がいらっしゃっていただいております。このVJ事業,ビジット・ジャパン事業は独立行政法人日本政府観光局,JNTOという組織がございまして,これが海外に14事務所を持っておりますが,ここと観光庁で連携してやっております。
 具体的には2つの考え方,2つの流れがございまして,1つは外国人に日本に来たいと思ってもらうということで,現地の国民に対しまして広告宣伝事業,BtoCを行うということでございます。これは具体的には外国人メディアを日本に招請して,外国人目線で記事を書いてもらうとか,海外で屋外広告等をしてイメージ広告をする,あるいは海外での国際観光イベントに出展して日本の観光のPRをするというものでございます。
 もう一つが,実際日本に行きたいと思っても訪日ツアーが存在しなければ来てもらえませんので,外国の旅行会社やエアラインに働きかけて訪日ツアーを造成してもらうと。そしてたくさん販売してもらうというBtoB事業でございます。これは具体的には,現地旅行会社を同じく日本に招請をしまして,採算が合うツアーがあるかといったような訪日ツアー造成を支援したり,あるいは日本と外国の観光関係者を呼んで商談会を行ったり,あるいは販売広告を支援したりと,そういったことをしているわけでございます。
 そして,42ページでございますが,このビジット・ジャパン戦略は政府内では観光立国推進閣僚会議,全閣僚がメンバーになっておりますが,総理主催のこちらで方針を決めております。昨年の6月にこの閣僚会議で観光立国実現に向けたアクション・プログラムというのを初めて作っていただきましたけれども,まずこれにつきまして昨年1,000万人を実現したものでございますので,今年の26年1月に第3回の閣僚会議を開きまして,本年6月を目途にこのアクション・プログラムを政府一体となって改定して,実施していくということが総理から指示をされて,今その作業をしているところでございます。
 そして,次の43ページが現行のアクション・プログラムの主要項目でございまして,日本ブランドを作り上げて発信する,あるいはビザ要件の緩和等訪日旅行を促進する,あるいは受入れ環境を整備する,あるいはMICE等のビジネス客も取り込むと,そういった内容でございます。
 最後の44ページ,45ページが今年度予算でございまして,このビジット・ジャパンの予算は44と45ページ合わせて61億円でございますが,44ページに書いてございますように,現在は東アジアの国・地域からいらっしゃる方が大変多ございますけれども,これに加えまして経済成長著しい東南アジア諸国へのプロモーションも強化するですとか,あるいはまだ余り手が付けられていない潜在市場にもプロモーションを強化すると,そういった内容が44ページでございます。45ページにつきましては,既存の市場等でもエアラインやクルーズ会社等がこの日本への路線を引いたら,それを好機として訪日プロモーションを実施するといったような内容になっております。
 観光庁からは以上でございます。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 クールジャパン政策がどんどん実質的に動き出しているという感じがひしひしと伝わってまいりましたが,時間がやや迫っておりますけれども,残り45分ございますが,まず,せっかく皆さんいらしていただいておりますので,関係省庁の皆様に対しての御質問・御意見などを委員の皆様方から頂戴しようと思います。
 その次に,平林課長からお話しいただきました,文化庁の今年度の施策に関する説明に対しての御質問・御意見などを頂き,最後にフリーディスカッションの時間を少し設けられればと思っておりますが,まずはこの今,お話しいただきました関係省庁に関しての御質問・御意見など,どなたかいかがでしょうか。
 加藤委員お願いします。

【加藤委員】  大変興味深い取り組みをしておられるということで勉強になりましたが,外務省の方にお伺いしたいんですけれども,先ほどの御説明の中で,海外に向けた文化機関といいますか,日本で言うと国際交流基金というもののデータも挙げられていて,これは明らかにブリティッシュ・カウンシルとかゲーテ・インスティトゥート,あるいは中国,韓国と比べても相当見劣りがするんじゃないのかなというふうに思って拝見をしたんですけれども,その中で新たに文化のWAプロジェクトによってアジアセンターをお作りになって取り組まれるという,この方向性は非常に結構だと思うんですけれども,今後どこまで強化されるのか。つまり諸外国と比べて見劣りのする部分をどの方向で,どれぐらいのレベルで強化しようとしておられるのか,あるいはせっかく文化のWAを始めたので,300億程度の事業でいいのか,施設の,つまり交流基金の全体の規模,海外における拠点の強化,そういうことも含めてどういう見通しを持っておられるのか,お伺いできればと思います。

【外務省福嶌企画官】  基金に関する御質問でございますけれども,確かに予算をできれば拡大して,どんどん拠点を作るということができれば非常に理想的だとは思います。ただ,これまでのこの予算のグラフでも示させていただきましたように,なかなか予算というのは非常に厳しい状況にございまして,ただいろいろ工夫の余地というのはあるのではないかと思いますので,例えばこのパートナーズを送るというのも,海外に拠点を作らずとも,実際には日本語の教師を送って日本語を教えるという活動をすることができる,これは1つの工夫の例ではないかと思いますので,できるだけ予算を増やしたいというのはございますけれども,それの中でもいろいろな施策というのは今後も検討し,できるものを実施していきたいと考えております。

【熊倉部会長】  湯浅委員,続いてお願いします。

【湯浅委員】  湯浅と申します。
 御説明いただいた中で,クールジャパン戦略に基づいて各省庁の皆様が具体的な戦略を立てて,連携をしながらクールジャパン戦略を推進するということは非常によく分かって勉強になりましたが,お聞きをしたいなと思います。特にもしかしたら経産省さんの分野かもしれませんが。
 今日今日御説明していただいた各省庁さんの取り組みはとても手厚い環境整備,日本のコンテンツ,クリエーティブなものが海外に出ていってビジネスをしていく,また,はそういったものを海外の方は日本に来て消費をしていただくという,成長のための環境整備がとても手厚く,いろいろな政策が練っていられるんだと思いましたが,そこで1つキーになるのが,クリエーティブな人材,クリエーティブな質の高いコンテンツをいかに創出していくかということだと思いますけれども,そういった人材育成とかそういったものに対する今,具体的な政策があるのかどうか。
 あともう一つ関連しまして,今回文化庁の文化政策部会なのですが,文化芸術のセクター,分野がそういった人材の育成に対して貢献できることが大変にあると思うんですが,文化庁文化芸術分野との連携について期待されることなどあれば,お伺いできればと思います。

【経済産業省須賀総括補佐】  ありがとうございます。
 まさに今,湯浅委員の御指摘あったとおりで,人材の育成というのは1つ,今の説明からはちょっと抜けていたなというか,我々資料から落としてしまった面があるんですけれども,実はこの分野の人材育成というのは,文化庁さんと経産省は少なくとも役割分担をしようということでやっていまして,主にクリエーションの部分,クリエーターですとか創造的な活動をされる,まさに付加価値を作られる方,ゼロから作られる方というのは文化庁さんが人材育成を主導されるということで,経産省は我々補完的に,できてきた物を実際海外でしっかりビジネスにしていくとか,あるいは外国の企業と負けないようなディールができる人材を育てていくとか,そういうビジネス人材ですね,頂いたせっかくのクリエーションをグローバルに価値を最大化するために売り込むような人たちの育成というところに実は事業をやっておりまして,プロデューサー人材育成という事業なんですけれども,資料,すみません,載ってないのですけれども,アメリカのトップのフィルムスクールでプロデューサー育成コースって非常に狭き門があるんですけれども,そういったところに我々ユニ・ジャパンという組織がずっと長い間関係を作ってきていまして,これはと思う若者,例えばもともとコンサルティングをやっていたような人とか,証券会社にいたような若者とか,それでコンテンツが好きで好きでというような人たちを,英語は当然しゃべれるのはマストなんですけれども,選抜して,業界を挙げて留学している間も,それから帰ってきた後も面倒を見ますよという保証を付けて,学校に売り込んで,学校側もユニ・ジャパンからの推薦をもらった学生を優先的に受け入れたいというふうに最近言ってくれるようになりまして,そういった関係を作りながら人材をこつこつと育てていると年間5人とかなのですけれども,育てていまして,続々とそういう人たちが今帰国を始めていますので,これから面白いことになるんじゃないかなと思っております。
 そういう意味では,文化庁さんのやられている,もともとクリエーションが豊かだというところが日本の強みの,我々のクールジャパン政策のよって立つところでして,例えば中国とか韓国と話をしていると,あるいは欧州の小さい国なんかもそうなのですが,そもそも日本に質問されるのが,どうやってこのクリエーティブな人たちを生んでいるんですかというところによく質問が集中するんですけれども,経産省としてはそれは所与のものというか,もともと日本にあったアセットというふうに勝手に思って,それを海外でどうやってうまく売り込んでいくかというようなことだけをやらせていただいているので,そういう意味では,日本はひとつげたを履かせていただいているといいますか,もともと文化芸術の分野でのいろいろな事業も含めて,育てていただいた土壌があっての今の戦略だということで,次のフェーズをやっているという意識で理解をしております。

【熊倉部会長】  すみません,じゃ,大林さんから吉本さん,増田委員という順番でよろしいでしょうか。

【大林委員】  大林です。2点あるんですけれども,1つは,クールジャパンについてちょっとお伺いをしたいんですけれども,一般的にクールジャパン戦略が非常に日本の文化戦略の政府の大きな柱であるかのように語られることもあって,そのクールジャパンが文化を振興している,あるいは売り出しているというふうにとるかとらないかというのは,広義の文化をどこまで広げるかということによると思うんですけれども,一般的にちょっと,私自身は個人的にこのクールジャパン戦略が,日本の政府がとる文化戦略の一つであるということにはちょっと若干違和感がありまして,というのは,やはりクールジャパン自体は大変すばらしいことですし,どんどん推進していただいたらいいと思うんですけれども,どうしてもやはり産業寄りに,経産省がやっているからというわけではないんでしょうが,産業寄りに見られるということと,それからアプローチしている海外の先も,私が聞いている範囲では余りそういう向こうの,例えば美術館とか,そういうところよりもむしろ産業界に対してのアプローチが非常に多いということで,その辺が海外で余り,海外のいわゆる文化人の間で認知されていないと。
 しかしながら,経産省さんとしてはこれを,私はどんどん推進してもらいたいと思いますが,いわゆる文化芸術との関わりというか,どういう位置付けと考えておられるのかというのが1点と。
 もう一つ,逆に観光庁さんに,先ほどちょっといろいろお話を伺った中で,文化芸術をどういう形で観光推進,インバウンドの観光と結び付けていくかということについて,ややちょっと,どういう政策をお持ちでいらっしゃるかお伺いしたいなと思ってお伺いしました。

【経済産業省須賀総括補佐】  大変いい質問をありがとうございます。この場で議論させていただくのは非常にふさわしい御質問だと思います。我々は実はクールジャパン戦略を始めたときに,特にアニメ・漫画というサブカルの部分が非常に光をいろいろな意味で当たった分野であったこともありまして,本物じゃないとか,あるいは価値が低いとか,そんなものを発信して恥ずかしいとかというような御意見は始終頂きますし,実際にそういうものがふさわしくない場でもクールジャパン,クールジャパンと叫び続けてしまった時代というのが過去にありまして,例えばダボス会議に行って,漫画のコスプレのPRをしたって,そんなものはいきなりは響かないわけでして,そういう場の選定とそこにふさわしい文化の選定ということを意識が,最近やっと我々も自覚していますけれども,相手によって発信するものを変えるという非常に基本的なことができてなかった面はあるなと思っていまして,ただ,一方ハイエンドのカルチャーとそれからポップカルチャー,大衆文化と言われるものですけれども,それは非常にグラデーション構造になっていると思っていまして,最終的には我々はかつてのフランスのシラク大統領のように,日本の本当の価値といいますか,文化の非常に洗練された部分を御理解いただける層というのが世界に増えるというのは最終目的だと思っているんですけれども,ただ一方で,若者とかあるいはほかのいろいろなポップカルチャーにまみれて育っている人たちからしますと,取っつきやすいもの,入り口として非常に入りやすいものというものから少しずつファンを広げていって,その人たちが最終的には,そうやっているうちにだんだん折り紙に興味を持ち,着物に興味を持ち,能に興味を持ちというようなことで少しずつファンとしての洗練度,個人の中で増していっていただくというのが一つルートとしてあり得るんじゃないかなというふうに思っていまして,例えばフランスでジャパン・エキスポという20万以上集めるイベントがありますが,あれも行ってみますと,サブカルだけのイベントかと思っていたらそうではなくて,中の方には,もちろん中央の部分には漫画とかアニメをやっているんですけれども,外へ行けば行くほどいわゆる茶室を作っちゃうような,本当に本物の日本までを知りたい人たちがある種満足できるように少しずつ,それはもちろんにせもの感があるものもあるんですけれども広がっていっているような気がしまして,そういう少しずつファンが育っていくということにお付き合いするという意味で,我々はポップカルチャーを大事にしたいと思っていますし,でも大衆文化というのは低俗かもしれませんが,ファンを増やす能力は,伝播力は非常に高いと思っていますので,そこをまずはうまく使いながら,ただ一方ハイエンドのカルチャーに最後は導きたいということで,本物感というものを大事にしながらやっていきたいなというふうに思っております。

【大林委員】  はい,大変納得です。

【観光庁飯嶋参事官】  続きまして観光庁でございますが,御質問ありがとうございました。先ほど時間が押しておりましたので,ちょっと言い忘れてしまった点なんでございますけれども。
 私どもビジット・ジャパン戦略では,この文化財ですとか芸術文化,大変親和性の高いものでございますので,実は昨年11月に文化庁さんと観光庁で包括的な連携協定を結んでおります。こういうのに基づきまして,例えば昨年12月には関西国際空港の国際線ロビーで,外国人の方々に向けて文楽を公演をしたりとか,そういった具体的な取り組みも始まっております。
 私ども昨年の1,000万人達成を機に,今後は2,000万人の高みを目指すことになっております。こういったときには,やはり質の向上がこれから重要になってございます。そのことによりましてリピーターを増やす等がございます。通常外国人観光客,先ほどの説明でも申し上げましたようにアジアの方々が多ございまして,訪日動機としてはショッピングとかグルメとか温泉とか,自然,そういったものが多ございますけれども,この欧米の方などは日本の歴史・伝統・文化,こういったものもかなり上位に来ております。
 ですから,今後はこういった文化庁さんとの連携,もちろんここにいらっしゃいます各省庁さんとの連携は常に進めておりますけれども,文化庁さんとの連携を更に強化しまして,質の高い訪日客を増やしていくのが我々の,今後2,000万人の高みを目指すための戦略であることをちょっと申し添えたいと思います。
 以上です。

【大林委員】  ありがとうございます。

【熊倉部会長】  続きまして,吉本委員お願いします。

【吉本委員】  ありがとうございます。
 湯浅委員と大林委員の質問にも関連するのですけれども,その前に,今日今日は経産省さんとかほかの省庁さんからいろいろ御説明いただいて,私この部会,2年ぐらい前には委員だったのですけれども,随分何か雰囲気が違って,物すごくアグレッシブで,すごいいいなという印象をまず持ちました。それは感想なのですけれども。
 その上で質問なのですが,クールジャパンということで海外に各省庁協力して,こうやって積極的にアピールしていくというのはどんどんやってほしいというふうに思います。そのときに,先ほど経産省さんの方からの御回答にあったこのコンテンツ,あるいはタレントというのはもともと日本にあったアセットだという。そこの育成は文化庁さんと役割分担しているんだということだったと思います。基本的な構造はそうかもしれないんですけれども,もともとあったアセットなのか,あるいはアセットと言われている人たち,あるいはアセットを生み出そうとしているタレント,才能を持った人たちというのは,もともといたと言えるほど潤沢にそこに対する政策というのが整っているとは思えないなというのが私の印象なのです。
 そこで,やはりサブカルチャーになると市場の中で成立できますからビジネスとして成り立って,特に今日今日の経産省さんの資料にもうけるとかということがバーンと書いてあって,非常にたくましいと思いますし,どんどんやってほしいのですけれども,文化庁さんが扱っているのはどちらかというとノンプロフィットな非営利のセクターの芸術文化で,そこでサブカルチャーで市場経済の成り立つものとの間には,やはり大きな基盤の違いといいますか,構造の違いというものがあると思うんです。
 ですので,このクールジャパンを海外にアピールして,日本でもちゃんと来てもらって,日本でも経済的にちゃんともうけていこうといって,それで実際に経済的なものが,もうけたものを次に投資をするという,非営利のセクターに投資をするというような,そういう循環構造を生み出さないと,役割分担をずっとしていて,文化庁さんは助成金でとにかく重要なパートに粛々と政策を展開するわけですけれども,そこの予算というのは御存じのようになかなか増えていないし,海外の文化予算と比較しても日本の文化予算というのは非常に少ないのです。だから経産省さんなり,あるいは産業の中で循環してきたお金なり,そういうものをちゃんと非営利のセクターに投入して,そこが循環していくような構造というのを省庁間の協力とかでできないものかなというふうに思いながら,今の御説明を聞いていたのですけれども,その辺何かお考えなり,アイデアがあればお願いしたいと思います。

【経済産業省須賀総括補佐】  はい,すみません。そうですね,確かに所与のものというのはあぐらをかいていて,そこは実は非常にもろい基盤であって,例えばアニメーターさんの就労関係を1つとっても非常に厳しいものだという話をよく聞くのですけれども,我々の信念としては,そもそも今までもうからなかったものも含めて,なるべく外で稼げるものについては,げたを履かせて外へ行っていただきたいと。それで稼いだものは当然現場に還流をする。同じセクターだけではなくて,できればそのほかのセクターにも波及するようなことがあればいいと思っているんですけれども。
 一方で,J-LOPの支援を例えば補助していますと,最近歌舞伎ですとか,能ですとか,そういう伝統芸能の方々で非常に若い方々が,これは国内ではもうからない産業というふうに勝手に自己規定をしているけれども,そうじゃない。もうからない産業とまでは言い過ぎなんですけれども,そこまでアグレッシブにもうける産業じゃないというふうに自己規定をしていて,それが伝統芸能の1つの自負といいますか,格でもあるんだというような自己規定をある種廃して,海外ではそれをポップカルチャーと並んで,魅力ある上に稼げる産業であるというところを見せたいというような意欲的な御提案も実は多数頂いていまして,我々としてはそれが日本の文化のベースを薄めてしまうのはよくないと思うんですけれども,できる限りそういうものも含めて応援をさせていただいて,もともとJ-LOPを作ったときは歌舞伎から応募が来るなんてことを当然想定していなくて,もっとがつがつした人たちだけから来ると思っていたんですけれども,今非常にジャンルも広がってきていますので,そういう意欲のある方は是非応援したいし,補助金を我々が付けているということの意味は,初めから100%採算がとれると思ってないから補助金を付けているわけでして,もともとあった予算を半額補助することによって大きくげたを履いていただいて,海外でもうけなくてもいいけれども投資をしてみるということに政府としても応援したいということなので,そこの分野の取り組みというのは強化をしていきたいなというふうに思っていますし,ただ御指摘のあった文化の,まさにクリエーターさんを育てるという助成金でずっとやっている分野と,我々が今新しくやろうとしている分野がもう少ししっかり連携といいますか,シームレスにやれるようなやり方がないのかというのは,一度もちゃんと真面目に実は議論させていただいたことはないなというふうに,役割分担というふうに初めから言ってしまっていたので,そこは一回真面目に議論はしてみた方がいいかなというふうに思いました。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 引き続きまして,増田委員からお願いします。

【増田委員】  僕が最初に質問しようと思っていたのは大林さんとすごくかぶっていて,お答えを先にもらっちゃったので,違う質問をしたいと思うんですけれども。
 僕の考えているのは文明というか,今世の中どんどん,どんどん効率化していきますよね,ITとかベータベースとか。そういうように効率化していく社会の中で,やはり人ってすごく違うものを求めている,それが文化じゃないかなと思っているんですが,僕の質問はちょっとフランスのワインについての質問です。昔,僕が知るところではフランスのワインはめちゃくちゃまずかった。それはあるフランスのワイン大臣という人が任命されて,フランスはワイン立国になるのだみたいなことを騒いで,結果として小さい整理もなったし,ライフスタイルを提案することにもなったし,フランスのブランディングにもなったというふうに記憶しているんですけれども,そういうふうなある種国の売り物ということについての質問です。
 いっときはメード・イン・ジャパンで,テレビとか,あるいはオーディオ製品なんかが世界で支持されて,メード・イン・ジャパンってかっこいいねということがあったと思うんですけれども,今やそれはほかの国に取ってかわられてしまっていると僕は思いますし,例えばアップルさんとかサムソンさんみたいにやられちゃっていると思うのですが,これから,これは省庁関係なく質問なんですが,何か国として本当に俺たちの売り物はこれだと,それは先ほどおっしゃった非営利とか,あるいは営利とか関係なく,日本としてはこういうものが売り物になるのではないか,あるいはそういうものを長期的に育てていこうというふうな御計画があるやないや。あるとしたらどういうものを育てようとされているのかということについてお聞きしたいなと思いました。

【観光庁飯嶋参事官】  観光庁からちょっと,まずお答えさせていただきたいと思いますが,観光庁ではこちらの審議会と同じように,国土交通省の交通政策審議会観光分科会というのがありまして,ここで2,000万人の高みを目指すためのインバウンドの方向性,戦略などについてちょっと,委員の先生方に議論していただいております。
 そういった中でやはり日本ブランドの作り上げ,これが大変重要だという御指摘はたくさん頂いておりまして,他国強豪国と差別化するための戦略を持ってインバウンド施策に進むべきだと,こういう同じような御指摘を頂いております。
 今のところ私ども事務方では,やはり高品質なサービス,おもてなしの国とか,そういった本物,安心・安全・便利とか,そういった日常の生活も含めて,そういった差別化できるような要素はたくさんございます。
 ただ,これ,やはり日本のブランドを作り上げて発信するというのがビジット・ジャパン戦略でも大変重要だということは分かりつつ,今,ちょっと議論をしているということだけちょっと紹介をさせていただいて終わります。すみません,言葉に詰まりました。

【経済産業省須賀総括補佐】  多分,今日今日は農水省さんがいらしてないから,あと国税庁も来てないのですが,国税庁さんは国酒プロジェクトをやられていたりとか,あと農水省はやはり日本食を世界遺産と非常にすばらしいことだと思いますし,結局食が一番浸透しやすいというのは今,我々も何となく理論的なバックグラウンドは全くないんですけれども,経験上はやはり日本の食を売っていくしかないというのはありまして,ただ一方,ほかの国と違って,例えば韓流コンテンツと日本のコンテンツの比較でよく言われるんですが,余りに単線に絞るということが日本のよさを消すという面も必ずあると思っていまして,そういう意味で我々はこれに賭けるんだというふうに,政府挙げて一本で行ってしまうというのはちょっと危険かなというふうにも我々は思っていまして,そういう意味では食をひとつ盛り立てながら各省で売れるものは全部売っていくということで,観光庁さんは例えば阿波踊りから何から知見がたくさんあって,こういうものを売っていくとどこにはどういうふうに響くとかというのもあると思うんですけれども,そういうのは少し幅広めに張っておくというような二重の戦略がいいんじゃないかなというふうには思っております。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 じゃ,佐々木委員,それから河島委員。

【佐々木委員】  佐々木です。私は1つの質問と1つのコメントなんですけれども。
 まず17ページ,外務省さんの説明資料の中で国際交流基金の予算は減っているのだけれども,ユネスコの分担金が目に見えて減っていますね。この理由というのはなぜかなと思って,テクニカルな問題なのか,あるいは出すべきところに出せなくなっているのかです。
 御承知のようにアメリカが分担金を払わなくなって,ユネスコの幾つかの共同案が止まったわけです。私が関わっているクリエーティブ・シティーの世界のネットワークも止まったんです。そうしたら中国政府が代わりに特別にお金を払ったわけです。それで動き出したわけです。
 そうすると,全体にユネスコがシュリンクしている中で,中国というのは非常に文化戦略を大きく持っていますから,出せるところは出していくというふうに来ているわけです。つまり明解な文化戦略があるのです。それに対して,例えばユネスコのようなところで我が国がどういうスタンスでいくかというのは,こういう分担金のところに反映するのかなと思って,もし分かっていることがあれば教えていただきたい。
 それから,今経産省さんが帰られたので,もう一つのコメントの方は,大林委員が言われたこととの関係でいくと,クールジャパンという言葉は実は第1次安倍内閣かな,その頃から政策的にはあるのですね。その間にかなり変わってきていてといいますか,幅が広がってきていて,私は実は経産省の役職の方々と一緒にクリエーティブ産業課というのを立ち上げるための努力をしたのです。そのときにクリエーティブ産業の概念を広げてクールジャパンの中に入れたので,今日今日お話があるように食とか,ファッションとか広げたわけです。クールジャパンというのは,最初はどうしてもコンテンツの漫画・アニメだけをやっていたのです。そこから変化してきているということが今日,お話が最初にあればもっと分かったのではないかということで,これはコメントの方です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。

【外務省福嶌企画官】  すみません,ユネスコの分担金に関してでございますけれども,申し訳ないのですけれども,ちょっと今情報を持ち合わせておりませんので,確認の上回答させていただきたいと存じます。

【河島委員】  先ほど吉本委員から2期前はこういう感じではなかったというお話,興味深く伺いまして,前期にも一度こういった関係省庁の御報告いただいて,個人的には研究上の興味と大変合致するところがあって,いい勉強になって有り難く思っているのですが,私むしろ文化庁の方々に伺いたいのですけれども,ここにこういった各省庁のそれなりの「アグレッシブな」と先ほど表現がありましたが,そういった政策展開というものがある中で,文化庁としてはこういうものを私たちに紹介していただく機会を設け,その意図が知りたいというところと,あとどこにオポチュニティーといいますか,文化庁としてもここをうまく利用したいと,逆にここに乗っかったら文化庁,あるいは狭い意味での芸術文化政策として利用できて,もっと大きいことができるのではないかと,文化庁の限られた予算を超えたところで何かできるところというのを今日今日,あるいはこれまでの機会も通じて見いだされたことがあるのかなという,そのあたりをどなたかに伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】  どういたしましょう,どなたからかビジョンをお答えいただけますか。

【河村次長】  すみません,長官共々,途中で抜けてしまっておりましたので,ひょっとすると議論の経過と結ばないことを申し上げてしまうかもしれませんけれども,お許しいただきたいと存じます。
 皆様にこれからの議論を頂きます基本方針というのは,本来は政府として決める,国として行う政策という性格を持っているものですので,文化関連の施策を持っている省庁の政策や方向性も,是非盛り込んだものにしていきたいというのが,現在の私たちの思っている基本的な発想でございます。
 具体的に制度とか予算とか,事業でもっと連携していく芽をもう見つけているのかというお尋ねかと思いますけれども,例えば,外務省さんの方で今回ASEANとの交流ということで,補正で構築をされましたASEANとの交流の基金については,私ども文化庁の国際関係の窓口のところとも連携を,私たちからもお願いをし,連携をしていきましょうというような話合いはしております。例えば,アニメ人材についての今後のASEANとの交流については,外務省国際交流基金の事業と文化庁の政策の組合せが色々と考えられます。これは一例でございますけれども,更に広げていこうということがございます。
 それから,政府の中のクールジャパン会議の中でも話されておりますけれども,海外・国内で日本文化を紹介していくような,あるいは,もっと積極的に外国人の方にも参加していただくような行事が展開されるときには,一つの省庁だけが持っているツールだけではなくて,いろいろな省が相乗りでやっていこうという考え方になってきておりますので,そういうこともまた情報を共有していくことで,より積極的に進められていくのじゃないかと思います。例えば海外で,ジャパンデーとかいろいろなことをやるときに,そこは外務省のものだけではなく,もちろん経産省も入ってくるし,私どもが持っている国内の様々な資源をそこへ持っていくということをやっていけるのではないかということだと思っております。
 それから,その1つ前に,日本として何を売っていくのかという増田委員からのお尋ねがございました。これは非常に広く申し上げてしまいますと,大臣プランとして発表しました中期プランの最初の方にも出てくるのですけれども,日本国内,例えばそれぞれの郷土,郷土というのは故郷という意味の,日本のそれぞれの地域で持っている伝統的な文化とか,郷土芸能とか,文化遺産とかいったものがあります。それぞれの都市で今育てていっている芸術文化,もっと広い食の祭典までも含めたフェスティバルとか行事といったものも行っているところが多くございますけれども,それが残念ながら,日本国内ですら,お互いに知られていなかったりとか,海外への発信ということについても,これから掘り起こしていける部分が随分あるというのが,私たち文化庁関係者自身の実感でもあります。そういうものを一つ一つの点ではなくて,もう少しつなげた関係の文化遺産がネットワーク化したものにすることが考えられます。例えば,桜の木の「日本五大桜」というものがあるようですが,例えば,観光庁とか外務省,あるいは経産省やいろいろなところの持っている広報戦略を通じてもっと出していくことで,日本が潜在的に持っている文化の力というのが全国津々浦々にあるものをもっと出していけると考えます。それが私たちのまず第一歩の対外発信戦略だと考えております。
 ただ,更にもっと分野とか領域とか,もう少しプライオリティー付けみたいなことをしてやっていくべきかどうかということについては,是非この場でも御議論を頂戴したいと考えます。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 じゃ,太下委員お願いします。

【太下委員】  後ほどの自由討議の時間にコメントしようと思っていたのですけれども,多分その時間がないと思うので,ここでコメントさせていただきたいと思います。
 2点お話ししたいと思います。1つが今,議論になっているクールジャパンという点。2つ目が,オリンピックと関連した文化政策という点についてお話ししたいと思います。
 まず1点目のクールジャパンですけれども,実はこれは皆さん御案内のとおり,イギリスのクール・ブリタニアという政策がもとになっています。これについて調べたことがあるのです。実は余り知られてないことなのですけれども,このクール・ブリタニア,1997年に当時40代の非常に若いトニー・ブレアという首相がトップに立って提唱したコンセプトですけれども,すぐに使われなくなってしまいました。2001年の暮れにはもう使われなくなったのです。
 これはなぜかというと,簡単に申しますと2つ理由があります。1つはイギリスの国内事情です。御案内のとおりイギリスではどんどん分権化が進んでいます。イギリスは,ユナイテッド・キングダムという国名が表しているとおり,そしてサッカーのワールドカップの出場国にイギリスというチームがないことが象徴的であるとおり,イギリスという一つの国は実は実態としてはないのです。サッカーのワールドカップにはなぜか4か国のチームとして出場しますよね。また,スコットランドには独自の議会もつくられています。そういう国内の分権化の動きがある中で,イギリスらしさというものを単一の形で表明することがとても困難だという国内の認識があったわけです。
 もう一つは国際的な事情です。2001年9月11日に起こった事件です。この不幸な事件は国際的な文化の多様性に対する,主に西欧側の無理解が引き起こしたことだというふうに見ることができます。その結果,イギリス政府はそういう国際情勢の中でクール・ブリタニアという形でマッチョなイギリスらしさを訴えることの格好悪さと危険性に気づいたわけです。それで2001年の暮れからもう,この言葉は撤収したわけです。
 こういう経験を学んだ後,今,日本はクールジャパンということを言っているわけです。ですから,当然マッチョで単一な日本らしさということの提唱にはならないはずだと私は理解しています。日本の多様な文化というものを極めてソフトに,それこそ格好よく提示していくこと,これが絶対必要な条件になるのではないかというふうに思っています。これが1点目です。
 2点目はロンドンオリンピックと文化政策の関係です。ここにいらっしゃる皆さんは御案内のとおり,オリンピックというのはスポーツの祭典という側面だけではなくて文化の要素が非常に大きいということになります。それが1点目ですけれども,2目としては,実は直近のロンドン・オリンピックの際には開催地であるロンドンだけではなくて,イギリス全国で文化プログラムが展開されました。数だけでいうと,ロンドン以外のものがはるかに多いわけです。
 そして3点目として,この文化プログラムは実はオリンピックの開催年だけではなくて,それに向けて4年間,足掛け5年の間実施されることになります。日本でいうと2016年の夏から文化プログラムが始まることになります。こういった点は実はまだ余り知られてないかと思いますので,これは是非もっとPRしていくべきだと思います。
 ちょうど今日観光庁さんもいらっしゃっていますので,文化と観光の関係についても述べておきたいと思います。このロンドンオリンピックの際には,文化プログラムと連携する形でロンドン・プラスという観光政策が展開されました。これは文化庁さんと観光庁さん共催で実施された今年2月の,ロンドンオリンピック文化プログラムのキーパーソンを招へいしたセミナーでも紹介されていました。もちろん同様のことを2020年の東京オリンピックでもやるべきだと私は思いますが,ただし,実は東京の場合は発想を逆転させるべきではないかと考えています。
 逆転というのはどういうことかというのをちょっと御説明します。2020年の実際のオリンピックをやっている期間中のことを想像してみていただきたいのですけれども,恐らく成田も羽田も国際線について増便はされるでしょうけれども,ほぼ満席だと思います。都心部のホテルもほぼ満室だと思います。そういった意味でいいますと,先ほど観光庁さんがおっしゃった2,000万人という観光客の目標達成に向けて,オリンピック及びその開催都市の東京は当然一定の貢献はしますけれども,そこには限界があるわけです。
 一方で日本という国を考えた場合,国内移動の公共交通の整備の充実度は極めて高く,恐らく世界一でしょう。特に新幹線をお考えいただくと分かりやすいですけれども,速くて安価で安定して,そして極めてフリークエンシー,密度が高いのですね。そして,各地方に国際空港が整備されています。こういったことを考えると,実際のオリンピック期間中は東京にこれ以上人を呼ぶのではなくて,もう既にこれ以上来られないぐらい来ているわけですから,むしろ地方都市の国際空港に直接入ってもらって,そして地方都市にステイしてもらって,そして東京オリンピックで見たい種目があったら,そのときだけ新幹線などの公共交通で東京に通ってもらうという,そういう形が望ましいのではないかと思っています。
 つまり,ロンドン・プラスじゃなくて,逆転させてプラス東京という,そういう戦略が私はこの2020年に向けては必要ではないかと考えています。その場合,海外から日本に来られる方は,東京という明確な目標がなくなってしまうので,言ってみればどこの都市から入国してもいいわけですけれども,「その都市へ行くのだ」という目標を持ってもらうために,様々な文化プログラムがここで貢献できるのではないかと思っています。この文化プログラムは,新たに作るものもあるでしょうし,文化庁さんがお持ちの既存の事業,例えば東アジア文化都市でありますとか,また,は佐々木先生主導でやっておられます創造都市のネットワーク事業などを活用して実施する者もあるでしょう。例えば創造都市で考えますと,早ければ今年年内中にユネスコ創造都市の食文化部門の都市が,2都市同時に国内で誕生することになります。鶴岡市と新潟市ですね。こういったプラスの要素を組み合わせていって,オリンピックをにらんだ新しい文化施策を作っていくべきではないかと思っております。
 何でこういうお話をさせていただくのかと言いますと,前回のこの答申と基本方針を拝見させていただくと,非常によくできているのですけれども,この基本方針が行政的な文章になるのは致し方ないことかなとは思うのですけれども,この分科会,審議会から発信する答申の方はもっともっとアグレッシブで未来志向であってもいいのかなと,こういうふうに思っています。それをまた文化庁さんの方で行政的な形の文章に変えられるのは,それはそれで結構かと思うのですけれども,審議会からの答申自体はもっと違うものになってもいいのではないかと,そういう意識を持っていたので,あえて逆転の発想もあるのではないかというお話をさせていただきました。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。

【仲道委員】  この場をおかりして,まずは外務省の方に,私たち音楽家が国際交流で海外で演奏したりするときに非常に手厚くお世話くださることにまず感謝申し上げたいと思います。日本の文化関係者が海外へ出たときの対応ということについては,とてもすばらしく思います。
 ただ,文化担当の方がいらしたり,造詣の深い方がいらっしゃるんですけれども,今後より日本の文化を発信していくという意味におきまして,特に地味で,先ほどハイエンドとおっしゃっていましたけれども,そういった文化芸術に関しては周知するというところの強化ということが,それはその現地での文化のスペシャリストの方が必ずしも宣伝のスペシャリストではないということで,現地でいかにそういったことを発信していくかということについての人材育成といいますか,強化といいますか,日本の国内でもいろいろなホールで催物をしたときに,それをいかに周りと,地域とつなげていくかといったような人の育成であるとか強化が必要であると今話されておりますけれども,それは海外においても同じことで,現地でいかに発信できるかといったことの強化というようなこと,そこの人材育成といったこと,それが文化という非常にスペシャルなジャンルであるということを質問といいますか,是非お願い申し上げたい。それは外務省の方だけではなくて,きっと省庁それぞれのジャンルで,現地でいかにということがおありになると思いますので,それだけちょっと申し上げたく思いました。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 引き続き,黛委員お願いします。

【黛委員】  今回からお世話になります黛です。よろしくお願いいたします。
 今の仲道委員の御発言にも関係するんですけれども,私も文化庁の文化交流市のときに,1年間ヨーロッパの国際交流基金で大変お世話になりました。本当にそれぞれの基金の方が一生懸命やってくださって,この場をかりまして感謝申し上げます。
 先ほども少し御意見が出たのですけれども,文化交流幾機関,それから語学の教育機関の状況というのをほかの国と比較してみますと,数だけで見ますと本当に危機感を覚えるんです。ただ,強化ということの中に機関の拡充,数を増やすということだけではなくて,やはり今仲道さんがおっしゃったような中身の見直しというのも非常に必要じゃないのかなと思うんです。
 というのも,私は大変お世話になりましたけれども,国際交流基金の各国の国際交流基金に対する不満といいますか,有効に機能していないという不満の声も多々耳にいたします。それは税金の無駄遣いにつながることです。是非数を増やすということと,一方で中身の見直しということを改めてしていただきたいなと,これはお願いですけれども,お願いいたします。
 それから,先ほど経産省の方からポップカルチャーについての位置付けのお話がありましたけれども,ポップカルチャーから最終的にはもっと高みを目指した,どちらが高いと言っているのか分かりませんけれども,そういったものへの導きというお話が出ましたけれども,それはもう観光庁も全て関わってくることだと思うのですが,実際そういう導いていくシステムのようなものは,もう既に考えていらっしゃるのでしょうか。

【熊倉部会長】  いかがでしょうか。

【観光庁飯嶋参事官】  どちらの質が高いとか,そういった議論もあるかと思いますが,それぞれの国によって日本に求めているものが違ったりしますので,そういった欧米の方には伝統文化ですとか,あるいはアジアの国にはショッピングだとかそういったPRをしていまして,そういったことでAからBに移行するというのではなくて,それを同時に,その国の状況に応じて発信するというような形をとっております。

【黛委員】  文化ってやはりとても難しいと思うのですけれども,私は文化というのはピラミッドだと思っていて,一番底辺に生活があると思うのです。一般の人々の生活があって,その暮らしの知恵の集積が文化だと思うのです。その上に,集積の一番上に芸術というものが来ると思うんですけれども,ポップカルチャーですとかサブカルチャーというのは生活の中から派生していくものだと思うのです。その中からは芸術に残っていくものもある。やはり日本の文化の神髄を,芸術の神髄を知ってもらうためには,サブカルチャーからそこまで来ていただきたいなと。せっかくですから,入り口に来た人には来ていただきたいなという思いが非常に強くありまして,是非その何か仕組みのようなものも考えていただければと思います。

【熊倉部会長】  どういたしましょうか。よろしいですか。少し,まだお手は挙がっているんですが,もう終了の予定の時間ですが,お忙しい委員の皆様方をお引き止めするのは大変心苦しいのですが,10分ほど超過で大丈夫ですかね。

【内田調整官】  結構です。もし,予定がある委員の方おられたら,退席いただくような形でお願いします。

【熊倉部会長】  はい。では武内委員,すみません,手短にお願いできればと思います。

【武内委員】  すみません,大事な時間を頂きまして。
 今回産業界,またMICE業界からということでメンバーにいれていただいたので,その点からお話しできればと思っております。
 御存じのように,MICEというと大体観光庁様,それから経産省様,外務省様との関係が多く,また文科省様は大学とのつながりで主催者という絡みが多くあります。今回文化庁様から呼んでいただいたということもありまして,改めてお話を伺い,いろいろな資料も事前に頂戴していてちょっと発見をしました。
 実は,文化という意味では,学術会議ですともちろんそういったテーマを話し合いますので学術=文化として絡むんですが,それとは別に,このMICEという場面を何とかメディアとして活用いただけないかなと。今どちらかというと誘致や,経済波及効果の話が多くて,もちろん日本に持ってくることを一生懸命やる方向にはあるのですけれども,実はIMF・世銀総会,これは政府系の会議なので特殊な事例なのですが,会議と併せてジャパン・セールスの場,約50年前に開催されたときには当時の田中角栄大蔵大臣が100の見本市にまさるとおっしゃったそうで,それぐらい日本セールスの絶好の機会ととらえられていました。 クールジャパンに関連するものなどを発信する場にもしようということで,会議としては非常にまれにそういうことに重点的に取り組みました。一般的な学術会議その他いろいろな総会,年次総会等民間でやっておりますと,文化をいろいろ発信する場面というのは実はパーティーのアトラクションであるとか,ツアーであるとか,そういったところに限定されるということがあります。そうした場面では,主催者に非常にワインの造詣が深い先生がいらっしゃったら,そこにすごく力を入れられて発信できたり,予算があれば文化的アトラクションにいろいろな工夫ができたりとかするのですけれども,大体は,予算がとれるかということが第一条件になることが多いのです。
 会議では,実は集まる方々がみんなオピニオンリーダー的な人の場合が多いので,発信力は非常にあるという場面だと思っております。
 そういった場面で発信するべき文化に関する御相談を,実は省庁様にほとんどしたことがなかったなと改めて思い,逆にそれを活用していただく,若しくは文化的なことにとる予算が非常に厳しいところにメディアとしての文化発信力の活用を期待してお力を頂けると,そういったことができるのではないかなと思います。
 あわせて,これが東京などの大都市だけではなくて,地方都市でもそういったコンベンション,イベントというのはやはりありまして,国内学会も国際化の傾向にある時代ということもあり,中小都市でも市民を巻き込んで外国人向けプログラムをいろいろ熱心に考え始めておられるところですので,MICEを改めてメディアとして御認識いただき,そういった文化プログラムのところでも御相談できると有り難いなと思いました。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 申し訳ありません。御発言の機会を差し上げられない委員の方も今日は出てしまいまして,私の進行のまずさで大変申し訳なく思っております。非常に御活発な意見交換ができたと思います。関係省庁の皆様方も最後までお付き合いいただいて,大変有り難いと思いました。
 先ほど経産省さんの方から実弾を作っていくんだというお話がありましたが,実弾を作るためのアセットとしての火薬は既にあるものだと,文化庁さん以外はお思いになるというのは,これは無理もないことなのですけれども,火薬が無くなれば実弾は作れませんので,是非夢物語だとは思いますが,財務に対する予算の駆け引きの中でも,火薬ないと駄目だからというような認識を各省庁で持っていただいて,文化予算が国全体で増えていけばなというふうに思っております。
 昨年度も政策部会の冒頭に各関係省庁からのプレゼンテーションというのを頂いて,宮田前部会長も目覚めの感があるというふうにおっしゃって,まさにそのとおりでした。昨年はまだこれまでのやり方がいまいちだったという反省というところだったように記憶してございますが,今日のお話を伺いますと,まさに日本の日本らしさといいますか,様々な方面できめ細かく,きちんとビジネスを展開していく素地がこの文化の周りでは環境がどんどん進んでいるという印象を本日受けました。
 それを受けて,もちろん役所間のことですから,線引き,役割分担は必要かと思いますが,サブカルなのかハイアートなのか,文化とは何かというような,あるいは古いものなのか新しいものなのかというような分断の構図を引きずるのではなくて,ましてや関係省庁が分かりやすい売れやすいサブカルを売っていこうというのであればというので,決してこの政策部会が守りに入らないで,新しいものと古いものを文化観,文化論としてどういうふうに捉え直していくのかというところが,実は我が国では決定的に不足をしているところだと思います。国際交流基金の日本研究でも,サブカル研究とかはどうしても後回しにされているのではないか,まだまだというような気がします。
 一方で,アニメフェアをやりながら,日本のサブカルチャーに実は物すごく深い歴史観や文化観が隠れているのだというような,ハイカルチャーの文化機関でそうしたことが補足されるということは,日本国内においてもまだまだ足りない。なので,新しい21世紀の文化観を私は日本が日本モデルとして提示をすることは可能だと思うのですけれども,そうしたことも含めて,新しい文化観というものを2020年に向けてどういうふうに作っていったらいいんだろうかということを,この審議会で1年間かけてじっくり話し合っていければいいなと思います。
 もちろんその中に細かい具体的な各委員からの方法論的な思い付きもウエルカムですけれども,あれやこれやと総花的にならずに一つの方向性を収束していければ,ようやっと,確かに第1次答申のところから従来の文化の概念を広げて,あらゆる政策に文化は関係するのであるということを振興基本法以来,この審議会では提案をしてまいりました。今,それが具体的になろうとしていて,2020年に向けて大きな契機を迎えている。その素地となるような考え方や理念をここでどういうふうに話し合っていけるのかなということで,役割は大変大きいと思っております。
 第2回に向けては,先ほどの意見シートを出していただきたいというスケジュールでございますので,今日のかっ達な御議論に是非刺激を受けられたらどんどんメモを書いて,文化庁の方に送っていただければと思います。
 では,また次回よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中,長引いてしまって申し訳ございませんでした。
 それでは,事務局から最後に連絡事項をお願いいたします。

【内田調整官】  ありがとうございました。
 今後の日程に関しましては,本日お配りしている資料2に大まかに記載してございますとおりです。また,ヒアリングの御準備もお願いすることになりますので,事務局から改めて御連絡を申し上げたいと思います。
 今年1年間,基本方針の策定に向けて非常にタイトなスケジュールで,回数も多く重ねながら進めていきたいと思っておりますので,かつてないぐらいアグレッシブな議論を頂ければというふうに期待しておりますので,どうかよろしくお願い申し上げます。
 以上です。

―― 了 ――

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