文化審議会第12期文化政策部会(第4回)議事録

平成26年7月3日

【内田調整官】  それでは,定刻ですので始めさせていただきたいと思いますけれども,あらかじめ配付資料の確認をさせていただきたいと思います。資料1が委員意見発表資料,資料2が各分科会等からの審議経過報告等,資料3が審議経過報告(素案),資料4が文化政策部会の今後の進め方,資料5が最近の政府の重要方針における主な記述となっております。
 これに加えまして,机上資料といたしまして,紙ファイルと第3次基本方針。さらに,本日は林委員からヨコハマトリエンナーレの資料,宮田委員から「八芳園」と記された映画関係のチラシを配付させていただいております。もし過不足ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 それでは,部会長,お願いいたします。

【熊倉部会長】  皆さん,こんにちは。ただいまより第4回の文化政策部会を開催させていただきたいと思います。皆様,御多忙のところ,本日もお集まりいただき,まことにありがとうございます。本日は,委員の皆様からの意見聴取,第3回となりますので,前半は,前回までに続いて各委員からの御意見の発表。それから,各分科会などからのこれまでの審議経過を御報告いただいて共有していきたいと思います。
 そして,後半は,これまでの議論を踏まえ,事務局から概算要求に向けて,これまでの審議経過報告案のたたき台を御作成いただいておりますので,それをごらんいただきまして,それに関して議論をしてまいりたいと思います。
 それでは,早速,委員からの発表を頂戴いたします。本日は,林委員,黛委員のお2人が御発表くださいます。また,第1回,第2回,第3回とスケジュール調整があいにくつかず,御出席がかなわなかった委員の皆様方につきましては,お2人の委員の御発表の後,事務局から資料の方で御意見の御紹介を頂くこととさせていただきたいと思っております。
 発表資料の方ですが,直前になってしまいましたが,事前に事務局から皆様にメールにて共有をさせていただいておりますが,お手元にも資料1としてまとめてございます。
 それでは,資料に沿って,できれば一応目標5分程度ですが,10分程度までは時間何とかなると思いますので,早速,お願いしようと思います。
 それでは,林委員,お願いいたします。

【林委員】  熊倉部会長,ありがとうございます。横浜市長の林文子でございます。
 文化庁様から「2020年及びそれ以降を見据えた文化振興方策」というテーマを頂戴いたしました。私からは,「成長戦略としての文化芸術」と題しまして,意見を述べさせていただきます。画面の方をごらんください。
 まず,2020年を契機とした文化芸術の振興方策の基本的視点についてお話をさせていただきます。文化芸術は「日本の成長戦略」であるということを,改めてこの場でお話をさせていただきたいと思います。
 横浜市におきましても,現在策定中の基本計画でございます,横浜市中期4か年計画(2014~2017年度)において「文化芸術創造都市」を成長戦略に位置付けております。また,海外の文化芸術活動が盛んな国,地域を訪れますと,やはり文化芸術を成長戦略と捉えていることが実感できます。先日参りましたウィーンでは州政府の文化科学大臣が,「文化芸術こそが都市の成長の源です」という内容のお話を熱心にされていまして,大変私も印象深く残っております。
 横浜は開港以来,大変幾多の苦難を乗り越えてまいりました。戦後も米軍の接収や人口急増などの課題に直面しましたが,先人たちがみなとみらい地区をはじめとした大きな開発を進めてまいりました。2000年頃からは横浜らしい歴史的建造物や港の倉庫などを生かした創造都市の取組を全国に先駆けて進めさせていただきました。どなたからもすばらしい景観だねというふうに言っていただけるようになりました。それでも私はまだ何かが足りないと感じておりました。美しい景色というのは一度見ればそれでいいのかなと。もっともっと何度もこのまちを訪れたいと思うには,魅力的なソフト事業を展開しなくてはいけないのではないかと考えました。
 当時,横浜市では経済観光局という部署が観光MICEを担当しておりました。これを魅力的なソフト,すなわち「文化芸術創造都市」との相乗効果によって多くの皆さんに訪れていただく,千客万来の都市を実現しようという思いから,2011年度に「文化観光局」として新たに組織をつくりました。行政の世界で「文化芸術」ということばを局の名前に付けるというのは,大変に抵抗がございました。しかし,ここを押し切りまして,文化観光局として作り上げたわけです。
 文化観光局での代表的な取組といたしましては,年ごとにダンスや音楽などのテーマを決めまして,市内各所で開催するフェスティバルがございます。これはトリエンナーレが行われない年も横浜らしい文化芸術の発信を継続的に行って,まちのにぎわいを作ろうという強い思いからでございました。文化芸術は成長政略として地域経済にインパクトを与えます。
 昨年実施いたしました「横浜音祭り2013」の実績は,総来場者数381万人で,新たに開催した行事に対する来場者だけでも81万人に達しました。横浜市は大変音楽が市民の方にとっても盛んでございまして,いろいろなところでコンサートをやっていたのですが,ここに「音祭り」という冠をかぶせまして全部つなげてやるという,そういった相乗効果もあって御来場の皆様が増えたということでございます。経済波及効果も新規事業だけでも37億円に上りました。
 次のグラフをごらんいただきたいと思います。左のグラフでございますが,市内のホテルの稼働率の推移です。文化観光局創設の2011年以降大幅に伸びていますけれども,「横浜音祭り」を開催した2013年にはホテルの稼働率の平均が85%まで上昇いたしました。このように文化芸術は経済的な効果をもたらす,まさに成長戦略であると実体験から申し上げることができると思います。
 民間事業様の御尽力もありまして,昨年,横浜においでになった観光集客実人数は,過去最高の3,134万人に上りました。これは東京ディズニーランドの年間入場者数とほぼ同じ規模でございます。
 また,こうした文化芸術によるにぎわいづくりに積極的に取り組む横浜市は,市民の皆様にも好意的に捉えていただいたと受けとめております。例えば,「横浜音祭り2013」来場者に対して,「横浜の魅力が高まりましたか?」とお尋ねしたところ,約70%の方が「高まった」とお答えいただきました。このように成長戦略と捉えている文化芸術に対しまして,近年,周辺国の力の入れようを強く感じております。
 今年,横浜市は中国の泉州市,韓国の光州広域市とともに初代の東アジア文化都市に選定されております。東アジア文化都市は日本が提案いたしまして,文化庁様の御尽力によりまして,3か国の文化大臣会合により正式に実施が決定されました。3都市それぞれのオープニング式典や両市との会談を通して,こういう時期だからこそ文化芸術交流を重視するという中国と韓国の思いと文化芸術に対する国を挙げた戦略的な取組が大変印象に残っております。
 さて,日本の文化芸術予算でございますが,御承知のとおり,決して十分ではないということは皆様も十分に御承知だと思います。左のグラフにお示しいたしましたが,実に国家予算に対する割合では,日本は韓国の8分の1,中国の2分の1にとどまっております。さらに,右のグラフでも,中国や韓国は近年非常に文化芸術予算を充実させていることがお分かりになると思います。特に中国の緑の線は急激に増加しております。日本の成長戦略であると考える文化芸術は,国内においてもっと地位が向上すべきだと強く感じております。文化芸術は時代や国境を越えた共感によって人と人を結び付けることができるだけでなく,高齢者や障害者の社会参加,子供たちの教育,地域の活性化など,我が国が抱える地域課題に対して様々なアプローチを示すことができると考えています。
 特に,子供たちにとって文化芸術は豊かな情操を養う上でも大変重要です。優れたアーティスト,確かな目で鑑賞する人,そして両者をつなぐ人といった文化芸術に関わる人たちが尊敬され,社会全体で育んでいく土壌づくり,すなわち文化芸術がリスペクトされる社会になることが重要であると思います。
 そこで,そのため方策として幾つか提案させていただきます。今回,文化庁がお尋ねになっている「この部会でテーマとしたい項目は?」という御質問ですが,「人をつくる」「地域を元気にする」「文化発信・国際交流」「体制整備」はいずれも重要であると思います。横浜市では向こう10年ほどの施策の方向性を定めた文化芸術創造都市施策の基本的な考え方を作成しておりますが,今回頂いた項目とほぼ趣旨が同じでございまして,同じ4つの柱を立ててまとめております。
 文化芸術がリスペクトされる社会づくりのための方策として,「人をつくる」という視点から御提案いたします。まず,教育のプログラムの着実な推進です。本市の教育プログラムは,本物の文化芸術に子供たちが触れる機会を提供するため,現在年間100校以上で実施しております。将来的には全校約500校で実施する意気込みで取り組んでいます。文部科学大臣の私案,文化芸術立国プランを踏まえ,着実な推進のために,来年度概算要求にもしっかりと計上していただきたいと思います。
 また,国際アートアワードの新設ですが,若手アーティストの支援の一つとして,例えば国が現代アートのアジアの担い手を顕彰する制度を創設するということはいかがでしょうか。イギリスのターナー賞のように受賞式はテレビなどで広く放映され,まさしく日本から世界に文化芸術を発信する一翼を担うと考えます。その際,例えばヨコハマトリエンナーレのようなフェスティバルと連動したアワードが開かれれば,発信力も大きくなると考えます。
 次に,「地域を元気にする」という視点でございます。まず,各自治体が裁量により利用できる包括的補助金の制度を,国において,是非とも新設していただきたいと考えています。国庫補助金は対象事業等が限定されているという声も聞いております。トップアーティストへの支援をはじめ,地域資源を生かしたNPOや市民の皆様等の活動に対して,自治体が主体的に助成できるような仕組みができればと考えます。地域の主体的な取組と国のマクロ的な視点による取組が両輪となって,成長戦略としての文化芸術の展開が可能になると考えます。そのためにも地域資源を生かした文化芸術活動に対する包括的補助金の制度が必要であると考えます。
 また,文化施設の改修は,今後どの自治体にとっても切実な問題となりますが,文化芸術の実践の場,まさに基盤と言える文化施設の機能が長く発揮されることが重要でありまして,国による一層の御支援が必要ではないかと思います。劇場法の趣旨に添って地域に応じた施設運営をしていく上でも,改修面では是非新たな補助金制度の新設を御検討いただきたいと思います。
 次に,「文化発信・国際交流」という視点でございます。横浜市は東アジア文化都市として,青少年やアーティストの交流など,3都市で様々な事業を行っていますが,初代選定都市として,今後の展開について貢献させていただこうと思っております。東アジア文化都市は,欧州文化首都をモデルにしているとも聞いておりますが,アジアの文化交流のハブに向けた戦略的な取組について,ビジョンを明確にしていただくということが大事だと思います。また,国際芸術フェスティバルの継続的な支援も御要望いたします。
 横浜トリエンナーレはナショナルプロジェクトとして,今回で5回目を迎えます。質の高さ,話題性,国内外への発信性の高さなどを懸命に追求しておりまして,国ととともに将来の日本を支える文化芸術への取組につなげていきたいと思っております。
 最後に,「体制整備」についてお話をさせていただきます。2020年のオリンピック・パラリンピックの「文化プログラム」について,先日,下村文部科学大臣と直接お話をさせていただいて御提案申し上げましたが,大臣からも力強く,かなり手前から準備をしてやろうじゃないかというふうに言っていただきまして,「どうでしょう,来年からでもやりましょう」という力強いお言葉を頂きました。
 先ほど御紹介した「横浜音祭り」をはじめとした大規模フェスティバルを実施して,その効果を実感しております。各自治体において,本当にそれぞれ得意わざがございますので,一緒になって私たちが手を組んで東京オリンピック・パラリンピックに向けて,文化芸術の祭典でもあるいうことを強くアピールしながら,御一緒にやっていきたいというふうに思っております。文化芸術がリスペクトされる社会づくりのためにも絶好の機会と捉えております。国と横浜市だけでなく,全国的な展開をしていかなくてはならないと思っていますので,この審議会は非常にそういう意味では強力なリーダーシップがとれるところと思いますので,是非,部会長様をはじめ,どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 そして,オリンピックの「文化プログラム」はゴールではないと思います。日本の成長戦略である文化芸術を強化・拡充するためのジャンプ台なのです。このことを,声を大にして皆様とともに訴えたいと思います。将来,日本の鍵を文化芸術が握っている。ここが一番日本が後れているところでございますから,ここにおられる皆様とともに,このことは共有できますので,東京オリンピック・パラリンピックをフックにして,東京だけのものではなく,是非御一緒にやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

【熊倉部会長】  林委員,どうもありがとうございました。
 それでは,引き続き黛委員,お願いいたします。

【黛委員】  それでは,各質問に沿って発表させていただきます。黛でございます。よろしくお願いいたします。
 質問1ですけれども,まず私は,文化とは政治や経済,あらゆるものの基礎にあると考えております。そこで,まず日本文化の神髄とは何かということをもう一度考えて,社会に対して明確に示し,そして理念を掲げていかなくてはいけないと思っております。
 日本人の「自然観」「宗教観」,それから伝統文化芸術に共通した「型」ですとか,「引き算」といった考え方は,欧米的な合理主義が行き詰まっている中で,世界が共有すべき普遍的な知恵だと私は考えています。かつてクローデル,ベルツ,あるいはマルローといった世界的な知識人が日本に実際に滞在して,そして生の日本人に接して,その文化と民度の高さを大変評価しています。また,東日本大震災においては被災者,これは東北人と言っていいのかもしれませんけれども,辛抱強さ,秩序正しさといった美徳が世界じゅうから称賛されました。
 その一方で,残念ながらモラルの低下による事故,それから犯罪が多発しております。過去に比べて日本人の美徳が失われていることは否めない事実だと思います。自戒を込めて個人個人が日本人としての礼節や規範,美徳といったものを再び取り戻すことが何より重要だと私は考えております。ひいては,それらの総体が国の規範,国の美徳,国の力になるからです。「日本を取り戻す」と言われていますけれども,日本を取り戻す前に,私は「日本人を取り戻す」ことが大切ではないかと思います。これが私の考える理念です。
 東京オリンピック・パラリンピックについては,今,林先生からも御発言がありましたけれども,私も日本文化を発信する絶好の機会であると捉えております。そこをターゲットに各分野の現場の意見を反映させて,文化プログラムを作成して実施することが重要かと思います。
 以下,細かいことを書きましたけれども,時間がございませんので,お読みいただければと思います。
 次に,質問2-1ですけれども,1,2,3,4,全て重要かと思います。質問2-2ですが,その中のまず1,「人をつくる」という部門ですけれども,今,日本ではいじめや鬱,自殺者が大変増えておりまして,多くの問題を抱えております。私は,それらの全ての背景に暮らしにおけるリアリティの欠如が一因としてあると考えています。つまり,私たちが自然の中で衣食住に関わることを,体を使ってしなくなったこと。とりわけ都会においては,お金に頼っている暮らしによって,人と人とのつながりが希薄になっていることに原因があるように思います。物のみならず,福祉でも教育でも治安でも,全てお金で解決するようになっている。そこに一因があるのではないかと思います。モラルの低下による社会問題が各所で多発しているということも,その一因は同根だと思います。
 今から数年前にドナルド・キーンさんと対談をする機会があったんですけれども,そのときにキーン先生がおっしゃっていたのが,70年間日本を見続けてきて,私は最近の日本人,特に若い人とおっしゃいましたけれども,に失望しかけていると。日本人は本来の美徳を失いかけているのではないかということをおっしゃいました。理由は3つありました。1つには日本語の乱れ。2つ目に暮らしの中に季節感がなくなって,自然に対する繊細さや感受性がなくなってきている。3つ目に新しい物への好奇心と物事を客観化してユーモアに変える力がなくなってきている,ということをおっしゃいました。これも今言った暮らしにおけるリアリティの欠如につながることだと思います。
 それから,もう一つ,今から3年前にEUの大統領のファンロンパイさんとお話をする機会がありました。ファンロンパイさんは大変俳句がお好きで句集も出されていらっしゃるんですけれども,大統領は,EUの学校訪問に行くと,必ずEUの子供たちに日本の俳句を作りなさいとおっしゃるんだそうです。なぜならば,俳句は花鳥諷詠,要するに自然,命を詠むものだからだとおっしゃるんですね。花とか鳥とか虫とか,そういう命,そういう他の命を詠むことによって他の命の存在に気がつく。人間だけじゃないんだ。そういう命の存在に気がつくことで,自分の命も大切にするようになるということをおっしゃいました。
 私は,日本における教育においても,やはり子供や若い人たちの生活の中に「生きる」とか,「命」ということのリアリティを取り戻すようなプログラムを入れることが重要だと思います。そのときに,是非,道徳とか,そういう観念的な頭を使った授業ではなくて,自然の中で体を使って体感させるような,そして繰り返し実行する中で体得するような,そういったプログラムであることが必要だと思います。特に,今,学校教育がデジタル化していますので,五感に訴える教育というのが不可欠だと思います。まずは体をつくることが重要かと思います。
 そういう中で,日本の「型」というのは非常に重要になってくるんですけれども,これは野村萬斎さんも同じようなことをおっしゃっているので,この部分については,私は申し上げませんけれども,日常生活,学校生活の折々に「型」を実践させていけば,おのずとそこに生きる力やモラルが身についていくと考えております。つまり,「心・技・体」ではなくて,「体・技・心」という考え方です。
 次に,「地域を元気にする」というところ,ちょっと断片的にはなるんですけれども,2つほど申し上げたいと思います。1つ目に,被災文化財の復旧についてなんですけれども,特に福島県のことなんですが,福島県は原発事故の影響で大変深刻な状況にあります。皆さん,よく御存じのように,民族芸能等は,今,260の民俗芸能が存続の危機にあります。私はたまたま御縁があって,毎月福島に行っているんですけれども,地元の方の声を聞きますと,とにかく家も財産も失った被災者にとって,今や祭りとか伝統芸能というのは「ふるさと」そのものであり,「生きる場」であるとおっしゃるんですね。
 被災者が福島県の場合は県内外に離散していますので,現在休止中にあるお祭りとか,伝統芸能を再興するには,この一,二年に懸かっていると聞いています。それ以降はかなり可能性が低くなっていくと聞いています。震災により危機にひんしている無形文化財への補助事業の拡充と改善を急いでいただきたいと思います。
 もちろん,文化庁も補助事業をやっていらっしゃると思うんですけれども,地元の方の声を聞きますと,例えば補助対象が道具であったり,衣装の修繕費,新調費というのが主なものらしいんですけれども,福島県の場合は,今言いましたように,広範囲に離散していますので,例えば練習1つするにも,1つのところに集まるのに移動費が掛かると。しかし,旅費等は補助の対象になっていないということで非常に使い勝手が悪いと言うんですね。是非,被災地の特殊性というものを考慮して,制度の見直しとか,補助事業の拡充など,保存活動に実際に関わっている人の声を反映して改善をしていただきたいと思います。
 それから,双葉町と大熊町の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設候補地に61の埋蔵文化財があると聞いておりますけれども,その保護についても,環境省は結論を先延ばしにしているようですけれども,是非文化庁として早急に対応していただきたいと思います。
 それから,2番目に捕鯨の問題についてなんですけれども,私は,「日本再発見塾」という塾を主宰しておりまして,この3月に和歌山県太地町で塾を開催してきました。このときに捕鯨の問題を,実際,地元の方にお話を聞いてきたんですけれども,これは太地町に限らないんですが,日本の捕鯨というのは,とれたものをみんなで分け合って,余さず食べて,そして使って,そしてクジラの供養をするという独特の文化があります。そういった歴史とか,クジラとの関わり方というのは日本人独特の自然崇拝の精神があり,それらは世界に誇れるものでこそあれ,非難されるものではないと思うんですね。その重要性を日本から世界へ明確に説明していく必要があると思います。是非,捕鯨を「文化」という切り口で文化庁から積極的に発信していっていただきたいと思います。
 3番の「文化発信・国際交流」についてはお読みいただきたいと思います。
 最後に,4番,「体制整備」ですけれども,やはり実際に現場で文化を支えていらっしゃる人たちの声を聞きますと,常に後継者不足ですとか,資金不足に困窮していらっしゃいます。策定された施策が自己目的化することなく,実際に現場に行き渡り,国民の理解が得られるお金の使い方がなされるよう,やはり現場の声をすくい上げた施策でなければならないと私は思います。
 それから,林委員からの御意見にもありましたけれども,日本の文化予算は少ないという批判がよくあります。実際に他国と比べて,本当に日本の文化予算は少ないと私も思います。しかし,一方で,政府のいわゆるクールジャパン戦略等,これは経産省だと思いますけれども,経済利益を生む事業については多額の予算がついております。私は,文化には経済利益を生むものとそうでないものがあると思いますけれども,公的な支援を必要とするものの振興にこそ国は積極的に関与すべきであり,利益が優先された文化ビジネスに追随すべきではないと思っております。経済利益を目的とした文化振興に偏らないよう,理念を明確に掲げて取り組むべきだと私は思っております。2-2と2-3は一緒にまとめさせていただきました。
 以上でございます。ありがとうございました。

【熊倉部会長】  黛委員,ありがとうございました。
 では,続きまして,今回まで御出席いただけなかった委員の皆様方,赤坂委員,紺野委員,野村委員,増田委員,4名の皆様方には残念ながら御発表を頂く機会をおとりすることができませんでしたので,資料提出に代えさせていただきました。
 事務局から簡単に御紹介をお願いいたします。

【平林政策課長】  それでは,初めに赤坂委員の御意見を御紹介いたします。同じく12ページをごらんいただければと思います。東日本大震災の後に浮かび上がった未来予想図といった切り口からの御意見でございます。50年後には我が国の人口が8,000万人の超高齢化社会が到達することを踏まえまして,日本社会はこれから「成長」から「成熟」へと大きな転換を進めていかざるを得ないということで,2020年に向けて,我々がいかなる成熟の姿や成熟に向けてのシナリオを提示することができるか。いかに転換そのものを国民共有の将来イメージの中に組み込むことができるか。そして,この成熟への転換にとって,芸術文化が担うべき役割は決定的なものとなるはずではないかといった御提案でございます。
 具体的に2つの御提案がございます。1つ目は,「湯の里の芸術祭から,温泉芸術村へ」ということで,2020年に向けての文化観光戦略にとって,温泉が特権的なテーマになるのではといった内容でございます。日本の温泉地は古来文人墨客たちをもてなし,創造活動を支えた文化芸術の揺りかごのような場所であったと。それを踏まえて,全国の幾つかの温泉地を舞台として,複数の湯の里の芸術祭を開催して,それを有機的につなぎながら,温泉そのものを文化観光にとっての豊かな資源として再発見すると。そして,各省が連携しながら,「温泉芸術村」といった構想に結び付けたいというような御意見でございます。
 2つ目の御提案ですが,「みちのくアート巡礼プロジェクト」というものでございます。東日本大震災からの復興におきまして,犠牲者への鎮魂・供養と,災害の記憶の継承といったものが不可欠な課題であると。そのために88か所の被災地を舞台として,小さな芸術祭を10年ほどの歳月をかけて開催し,それらをアートによる巡礼として演出しつなぎ,記憶の継承の場を様々な形で構築すること。そして,写真と舞台芸術をめぐる国立の施設の整備や,歴史上,東北への玄関口である上野エリアをみちのくアート巡礼の起点としたいというものでございます。
 続きまして,紺野委員の御意見を紹介いたします。14ページをごらんいただければと思います。2020年に向けた基本的な視点といたしまして,自国の文化を理解することが国際的な視点を持つ第一歩になると。その上で,国民全員が東京オリンピックの「おもてなし隊」の一員であることを意識できるように盛り上げていきたいとのことで,「上質な大衆性」というものが必要であるという御意見でございます。
 日本文化を「体験」をキーワードとして分かりやすく伝えるということで,敷居を低くして,多くの人々に興味を抱いてもらうための仕組みを作ると。例えば,実際のオリンピックにおきましても,外国からのお客様にどんどん体験していただくと。しかも,そういったところは会議室ではなく,寺や神社,民家,温泉,美術館,博物館,公園などで体験することで日本を身近に感じていただくことが大事であるというような御意見でございます。
 井上ひさしさんの有名な言葉,ここにございます「難しいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことを面白く」といった御紹介もございます。
 続いて,15ページ目でございますが,2020年に向けての文化プログラム・イベントを早めに具体化し,それに向けては準備委員会を立ち上げることが重要であるということから,例示といたしまして,「みんなで踊ろう!」と称して,郷土芸能の「よさこい」「ソーラン」「阿波踊り」,全国の盆踊りなどで浴衣などの和装文化を伝えるとともに,実際に浴衣を着て踊ってもらうといったこと。「平和を祈る日」などを設定して,手すき和紙や千代紙など,紙の文化も伝えつつ,選手村をはじめ全国で折り鶴を折ってもらうと。
 また,「環境を考える」などのテーマでは打ち水を行うと。「子供」などのテーマでは,昔の日本の子供たちの遊びを紹介しつつ,竹の文化も知ってもらうと。「食」につきましては,流しそうめん体験であるとか,巻きずし体験などをしてもらうと。等々上質な大衆性をテーマに一般の皆さんが主導する身近な日本文化プログラムを設けることが大切であるという御指摘でございます。
 そのために早急に対応すべき事項といたしまして,文化芸術振興施策のための総合プロデューサーの指揮の下に文化イベント案を作成し,イベントの目的,各リーダーの選定,予算などを明確にして,2020年以後も続く取組とすること。東京オリンピックの文化イベントのリーダーが日本文化を伝えるファシリテーターとなるような人材育成を行うということ。さらには,「日本ならでは」の魅力あるものを幅広く掘り起こすことが重要であるといった御意見を頂いておるところでございます。
 続きまして,野村委員の御意見を紹介いたします。16ページをごらんいただければと思います。文化芸術とは,生きているプレゼンターと受け手である人たちが生を分かち合い,なお豊かな生に向かうためのものであるのではないか。そして,文化振興方策は,近年の精神的重圧をはねのける心の夜明けを常に維持するための政策でありたいという御意見でございます。
 「日出ずる国のサンライズ・カルチャー政策」といったキャッチフレーズも頂いております。また,天地人による三層のコネクションによる説明も頂いております。「地」は地球であり,今までを踏まえた過去。「人」は現在の人間の層。「天」については,2つを包括する未来を指して,この3つを往還することのできる人間や物の考え方を文化発信の基盤とする。この三層は環境問題や未来を担う子供の教育に通じ,地を耕し空気を入れる。人を活性化する。それがすなわち酸素を送り込むことであると。外から吸収することができなければ,内なるものを発信することもできないといった御意見でございます。
 右の17ページをごらんいただければと思います。2020年に向けては,1つ目ですが,人をつくるための施策として,型から入りシステマティックに方法論を身につけて,その上で自ら本質を考える力を育てるということ。
 2つ目として,東京の一極集中を避けて,人材の地方への分散化。世界的レベルを維持した上で地方の活性化を図ると。
 3つ目でございますが,日本人のアイデンティティの発信。伝統芸能と最新技術の融合等を進めて,各ジャンル同士の人物の交流を図るということ。
 4つ目ですが,文化面でも東京がアジアのハブ空港的機能を果たせるよう体制整備をするべきであるということ。さらに,日本では繊細な和食のような小味な文化が良いとされているが,外国人を含め,このような日本文化を良い形で見られるような文化施設の運営の再興を図るべきであるということ。
 何を改善・推進するにせよ,フランス並みの国家予算を投じなければならないのではないかということ。
 それから,野村委員は狂言という古典芸能の世界にとどまらず,映画や現代劇にも触れて,更に在外研修制度での留学も行い,また,世田谷パブリックシアターの芸術監督であるといった環境にいることを感謝しながら,それをいかに社会に還元していくかを考えたいというような御主張でございます。
 特に,早急に対応すべき事項としては2つ頂戴いたしております。1つ目は,プロが子供に教える機会を設定するということで,アーティストが教育の現場に関与することによって,青少年には文化芸術に関する意識が高まり創造性が向上する。アーティストには社会貢献の意識を持たせて,活動を全国に広げることによって,地域の活性化や世界との交流に結び付けるということ。
 2つ目として,文化芸術に向き合える余裕を持った生活を送るための環境整備ということで,美術館を遅くまで開けると。交通機関も遅くまで運行するということ。就労時間の短縮を検討する等々によりまして,心にゆとりのある社会が実現し,その結果,それが外国人にも開かれた環境の構築にもつながるのではないかといった御意見でございます。
 最後に,増田委員の御意見を紹介いたします。18ページ目をごらんいただければと思います。3つの基本的視点を頂いております。1つ目は地域コミュニティが文化を生むというものでございます。高度にネットワーク化された今こそ,人と人のつながりが求められる時代であり,個として点在していた「ヒト」が集まり,ヒューマンスケールとして実感できるコミュニティと,物理的な「場」として機能するコミュニティ空間の創造が地域社会におけるクリエイティビティを高めるには不可欠である。そして,その場で生まれる「コト」のマネジメントも同時に行う必要があるというものでございます。
 2つ目でございますが,日本を訪れる外国人への日本文化のアピールといったものですが,こちらは2020年までに日本の玄関口である空港と駅を官民一体となって日本の文化・芸術を意識した空間デザイン・建築として,「おもてなし」文化というソフト面の演出も併せて行うというものでございます。
 そして,19ページ目ですが,3つ目として,無形の伝統的芸能や文化をアーカイブ化,データベース化するというものでございます。高齢化,人口減の社会を迎える中で,アーカイブ化,そしてデータベース化を進めて,その情報を世界に向けてオープン化し,広く次の担い手を求め,また検索,あるいはアクセスできる環境をつくる必要があるという視点でございます。
 また,文化プログラムを実施する際のコンセプト・キャッチフレーズといたしまして,「ヒューマンスケール」と「官民一体」という2つを頂いております。高度に情報化された社会の中で,人が幸せを感じる物差しとしての「ヒューマンスケール」,それから文化プログラムを実施する際の方法としての「官民一体」というものが重要であるという御意見でございます。
 2020年に向けては,「地域を元気にする」「文化発信・国際交流」「体制整備」を切り口に御意見を頂戴しております。まず,「地域を元気にする」につきましては,増田委員が御自身の会社で武雄市の図書館を作られたときに,地域の人にとって居心地の良い場を作ることで,そこに人が集まって,コミュニケーションを持って新たなクリエイティビティが醸成されるということを学んだということでございます。そのような空間づくりを官民一体となって目指して,その後,クラウド的にそれらの地域と地域をつなげていきたいとするものでございます。
 次に,「文化発信・国際交流」につきましては,外国人の玄関先である空港や駅などの公共施設を「おもてなし」の側面からも,また空間デザインの観点からも官民一体となってイノベーションするべきであるという御意見でございます。
 そして,「体制整備」につきましては,日本に点在する伝統文化や無形文化財について,アーカイブとしてデータベース化する。そして,オープンデータとして多くの人が文化に触れ合える,また,文化の担い手として手を挙げられるような環境を準備すべきであるといった御意見でございます。
 最後に,早急に対応すべき点といたしましては,「地域を元気にする」観点から,市町村の統廃合の中で,残すべき伝統文化や芸術のために,苦境にある地方自治体に対しまして,いち早く民間のノウハウを取り入れていただくよう官民が一体となって努力すると。そのためのコミュニティづくりや民間のソフト・パワーの活用など,できることは多くあるといった御意見を頂戴いたしました。
 4名の委員の御意見は以上でございます。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 では,続きまして,文化審議会の下に設置されている,分科会や各界の有識者から頂いた意見などがおありのようですので,そちらに関して御発表を頂きたいと思います。それらもこちらの文化政策部会の今後の取りまとめに反映させていきたいと思います。
 具体的には4件ありますようで,まず,第1に国語分科会について,これは国語分科会の伊東委員からお願いしたいと思います。そして,2番目に文化関係資料のアーカイブ検討会,これはたしか宮田委員も参加なさっているものだと思いますが,さらに,3つ目に現代美術の海外発信に関する検討会なども行われたそうです。さらに,4番目に文化芸術に関して文化庁がこれまで有識者に対して行ってきたヒアリング,これら後半の3つについては,舟橋芸術文化課長からまとめて御説明いただくことにしております。
 それでは,初めに,伊東主査から御説明をお願いいたします。

【伊東主査】  それでは,文化審議会国語分科会から,私,伊東が報告させていただきます。日本語教育小委員会は,平成19年7月25日に文化審議会国語分科会の下に設置され,国内における日本語教育の在り方について検討を行ってきているところでございます。
 さあ,皆さん,日本語教育,どのようなイメージでしょうか。ここでの日本語教育というのは,日本語を母語としない外国人,あるいは在住外国人というような捉え方をしていただければと思います。
 それでは,資料2をごらんください。資料2の1ページから徐々にお話をしていきたいと思います。まず,資料の最初の丸,「目標及び現状における課題」の丸ですけれども,日本語というのは,我が国における日本人,外国人の間のいわゆるコミュニケーションの道具としての共通言語であり,外国人が日本語能力を身につけることは,日本で不便なく,そして豊かな生活を送るためには必ず必要なもので,また,地域に住む住民の1人として,日本社会,地域社会の一員として,豊かな生活を送る上では非常に重要なものだというふうに理解しております。
 そして,日本に在留する外国人の状況ですけれども,2つ目の丸をごらんください。ここ20年間で約100万人から200万人に倍増しております。国内の日本語学習者数もそれに伴って,約6万人から14万人と増加しているという状況がございます。
 そんな中,3つ目の丸,東京で開催される2020年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて,更に来日,そして在住する外国人数の増加が見込まれているところでございます。具体的には,政府全体の外国人受入れの動きと連動して,外国人技能実習の修了者の時限的受入れですとか,外国人の高度人材をはじめとする外国人人材の戦略的受入れなどが検討されているところでございます。これは皆さん御存じのように,日本社会がますます少齢化が加速し,人口減少,労働力をどう確保するかということも大きく背景にあるということを認識しなきゃいけないかなと思っております。
 そして,このような状況を踏まえ,4つ目の丸なんですけれども,文化芸術立国中期プランの中で,2020年段階で目指すべき成果の1つとして,在留外国人における日本語学習者の割合を現在の約1.5倍の10%とすることを掲げておりまして,日本語学習の環境を,より一層充実させることが必要であると考えております。
 課題としては,下から2つ目の丸ですけれども,地域の日本語教育は地方公共団体や国際交流協会,NPO法人,任意団体による取組が多く,日本語教室という名の下に外国人がまずは日本語を勉強したいということで集まってまいりますが,その日本語教室というのが,日本語を学ぶ場所のみならず,生活に困ったり,あるいは日本文化を知るという意味で外国人が様々な相談や情報を入手したりする拠点となっているという現状がございます。
 私自身は海外へ行くということで外国語を知るということもありますけれども,私は,この日本語教室というのが,日本国内の国際交流の最前線ではないかというふうに今捉えております。それは,地域住民が最も身近なところで外国人と交流する。そして,文化を発信するということで,ボランティア活動を通して,自分自身の文化発信と国際性の養成という点でいうと,非常に貴重な機能を果たしているのではないかというふうに思います。
 しかしながら,地域の日本語教育の現状を見ますと,日本語教室が全くない地域があったり,そして日本語を学びたくても,そのような場所がない。要するに日本語教室を開設している市町村が半数以下であったりする都道府県がまだまだあるという現状がございます。日本語を学びたい外国人がいる。しかしながら,日本語教室が必要であるにもかかわらず,必ずしも十分に整備されていないという課題が最近際立ってきているかというふうに思っております。
 そして,1ページ目の一番下の丸をごらんください。日本語教育に関する資源,それは場所であったり,教授する教員やボランティアであったり,そして,どのような形で教えていくかという専門的な知見であったり,また文化的なことも含めて,いろんな資源がございますけれども,そういった資源を有している大学ですとか,日本語学校等の機能を更に活用する,既存の資源を更に活用するということで,より系統的,そして総合的な日本語教育が,日本語交流が推進されるというふうに私たちは考えておりまして,課題はいろいろありますけれども,その課題を克服するための方略として,2ページをごらんください。次のページですが,一番上,「課題を克服するための方策」として,2020年に向けて増加が見込まれます日本で生活する外国人に対する日本語の学習環境の整備として,外国人がいつでもどこでも誰でも日本語を学習できるよう,日本語教育を推進することが必要であるというふうに考えております。
 今,私は,どう日本語を学ぶ環境を確保するかということを申し上げましたけれども,それと同時に,日本で生活している我々日本人もやはり国際交流の最前線にいるボランティア活動を通して,文化発信・国際交流をいわゆる足元,草の根的に実現できる場としては非常に機能している場というふうに考えますので,イベントを企画するうんぬんということもあるでしょうけれども,日々のボランティア活動や地域の日本語教室ではそのような小さなことが繰り返し行われているということも御理解いただきたいなと思います。
 そして,早急に対応すべき課題についてちょっとお話ししたいと思いますが,このような状況を踏まえて,日本語学習環境の地域による取組の偏りを解消するために,複数の自治体や,いわゆる自治体と大学等の連携,協働等による取組を更に推進して,地域の日本語教育の広域推進拠点の形成を図る必要があると考えております。
 そしてさらに,日本に在留する外国人の日本語学習への取組を推進するために,日本に在住する外国人が日本の魅力,そして日本に住んでみて初めて日本人の考え方が分かった。そして,このような魅力のある背景にある文化的な,あるいは思想的なことというものに魅力を感じて,更なる日本語学習の意欲や継続につながっていく。そして,その重要性を発信するための取組を実施していきたいというふうに考えております。
 最後に,着実に推進すべき事項として3つ挙げております。最後の段階ですけれども,これは既に文化庁で実施している事項を掲載しております。1,日本語教育に関する調査及び調査研究の実施。日本語教育に携わる人材の養成と活用。日本語教育に関係する府省及び関連団体の連携を促進する取組の実施ということでございます。
 3ページ以降は関連資料を参考に示しておりますので,ここでは御説明いたしませんけれども,3ページ目は過去20年の在留外国人数及び国内の日本語学習者数を示しております。これを見ますと,3.11以降減っているということが見て取れるということがございますが,最近,持ち直しているということが感じられます。
 そして,3ページから4ページにかけては,政府全体の外国人材受入れの動きとして,6月24日に閣議決定された骨太方針等の抜粋。技術実習制度の見直しの方向性に関する検討結果,これは報告になりますけれども,その抜粋。そして,4ページの下は文化芸術立国中期プランの抜粋となっております。そして,最後,5ページには日本語教室が開設されている地方公共団体の数についての資料を示しておりますので,後ほどごらんいただければと思います。
 説明は以上でございます。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。伊東先生,お忙しい中,文化政策部会にわざわざお越しいただき,本当にありがとうございました。
 では,残りの3件については,事務局からお願いします。

【舟橋芸術文化課長】  今の資料の8ページをお願いいたしたいと思います。私ども芸術文化課におきまして,第4次の基本方針策定の検討事項の中で,文化関係資料のアーカイブに関する事項,それから現代美術の海外発信に関する事項につきまして,平成27年度の概算要求に向けて早急な検討が必要ということもございまして,特に有識者の先生方による会議を設けまして,御検討を頂いております。
 まず,8ページでございますが,文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議の検討の状況でございますが,これまで2回検討を行っていただいております。その状況を8ページにまとめております。まず,基本的な認識といたしまして,文化関係資料のアーカイブは,国民の文化芸術の鑑賞,参加及び新たな創造活動のための重要な環境となるものであるとともに,我が国の文化芸術を世界に発信するためにも大きな意義を有する基本的な基盤であるという認識でございます。
 その下に3点御指摘を頂いておりまして,まず1点目といたしましては,個別分野ごとのアーカイブの整備に関する指摘でございます。この点につきましては,世界的にも評価が高く,世界の文化の発展に貢献することが期待されるメディア芸術やデザインの分野などをはじめ,分野ごとの文化関係資料のアーカイブの整備を推進するとともに,その成果を他の分野にも波及させていくことが必要であるという御指摘を頂いております。その際には,各分野のアーカイブの拠点を設けることについても検討することが適当であるという御指摘を頂いておりまして,これは共同利用機関のようなイメージで,整備されたアーカイブを関係の機関,個人の利用に供し,また必要なサポート等を行う,そういう拠点として整備するということについても御指摘を頂いております。
 2番目が,個別分野のアーカイブを横断的に利活用していくためのシステムの整備についての御指摘でございまして,文化関係資料の価値を高め,新たな文化情報を生み出す基盤とするために,それらの分野を横断的な利活用を推進するためのシステムの整備の取組が必要であると。その際には国内外の専門家,一般の利用者の視点に立って取組を進めることが重要であるという御指摘を頂いております。
 3番目は人材育成,また普及啓発に関する御指摘でございまして,文化関係資料のアーカイブに整備に関わる人材の育成,またアーカイブの意義や利活用の在り方に関する普及啓発等について,各分野の拠点を含め,関係機関,関係者の連携の下に具体的な方策を推進することが必要である。大きく分けて,この3点について御指摘を頂いております。
 このアーカイブの検討会につきましては,7月末にもう1回会議を開きまして,概算要求に向けて取り組むべき事項等について中間的なまとめを頂くことにしております。また,その後も引き続き検討をしていくということでございますので,その状況につきましては,逐次,政策部会に御報告をさせていただきたいと考えております。
 9ページはこの会議の設置要綱。10ページが有識者の先生方の名簿でございます。国立情報学研究所の高野先生に座長をお務めいただいております。
 次に,11ページが現代美術の発信に関します検討会の検討状況でございます。こちらはこれまでに3回会議を開いていただいておりまして,現在のまとめを取りまとめ中の段階でございます。この現代美術の海外発信についての意義につきましては,一番上のパラグラフに書いているとおりでございます。国際社会における日本文化への理解を深める。また,日本人の独創的な創造力についての世界での認知を高めることにもつながるというような基本認識でございます。
 具体的には,2つの点に分けて取り組むべき事項の御指摘を頂いております。上の方は国内での現代美術に関する理解等の増進に関する取組でございます。我が国の現代美術につきましては,国際的に注目が高まっているものの,それを支えていく国内の体制が十分ではないということで,国内における展覧会・アートプロジェクトにおける発表機会の充実,また,作品購入を促進するための環境の整備。また,現代美術に関する教育普及の充実等,国内における現代美術を振興するための取組を推進していくべきであるという御指摘でございます。
 2番目は,海外に発信していくための施策についてということでございます。日本の現代美術を海外に発信していくために,海外における国際展・アートフェアでの効果的な発信への支援。また,日本発の現代美術の海外での開催,関連文献の翻訳の推進,また現代美術を発信するための人材の育成ですとか,海外との人的ネットワークの構築等についての取組が必要であるという御指摘を頂いております。また,将来的には,戦略的な支援等を行う組織等の設立についても見据えることが課題であると,こういう御指摘を頂いております。
 こちらの会議につきましては,概算要求前の御審議は終了しておりますが,また,今後,必要に応じて,更に中長期的な視点も含めて御検討いただくということを考えておりますので,これにつきましても逐次御報告をさせていただきたいと考えております。
 12ページが設置要綱でございまして,13ページが委員の名簿でございます。森美術館館長の南條先生に座長をお務めいただいております。
 次に,14ページでございます。芸術文化課の担当事項につきましては,先ほど御紹介した2つ委員会を設けておりますが,その他につきましては,この政策部会,文化審議会の下にも該当する分科会等がございませんので,より多くの方の御意見を頂戴するということで関係の有識者の方々,あるいは芸術団体や劇場等で実際に活動に携わっていらっしゃる方々からアンケートということで御意見を伺っております。その概要を事務局でまとめたものが14ページ以降でございます。
 文化芸術立国中期プランの項目に沿って御意見をまとめております。まず,人材育成(人をつくる)という観点についての御意見でございますが,1として,子供の文化芸術体験について御意見を頂いております。例えば,実施方法につきまして,2つ目の御意見ですけれども,義務教育期間中に毎年1回以上鑑賞ができるような環境を整えるべきであるという御意見を頂いております。
 また,6番目になりますけれども,子供の文化芸術体験を鑑賞機会に確実につなげられるように,例えば地域の劇場と連携して,学校で体験したプログラムと連動するような内容を組み合わせるなどの充実を図ることが考えられるという御意見を頂いております。
 15ページでございますが,芸術教育について御意見を頂いておりますが,例えば5番目になりますけれども,学校と芸術家をつなぐ役割を持つ芸術教育家(コーディネーター)が必要であるという御意見を頂いております。
 2番目は専門人材,それから新進芸術家の育成についての御意見でございます。専門人材につきましては,15ページの下から2つ目の御意見,例えば公立劇場の運営に当たりまして,優れた文化芸術を創造する専門人材とともに,文化行政,財政運営(ファンドレイジング)などに精通した職員(マネジメント人材)の育成・配置が重要であるという御意見を頂いております。
 16ページでございますけれども,新進芸術家の育成につきましては,最初のポツでございますが,優秀な新進演奏家に多くのステージを踏む機会を与えるべきであるという御意見。また,下から3番目になりますが,若手の芸術家に対して短期(10日単位)の海外留学,海外研修の機会を増やすべきであるというようなことで,国内外の研修機会の充実について御意見を頂いております。
 人材育成の3番目といたしまして,文化芸術団体への支援,また支援体制の整備について御意見を頂いております。こちらの意見の上の2つは,芸術団体への助成の在り方についての御意見でございまして,事業ごとの助成から芸術団体に対する助成を進めるべきであるという御意見。また,芸術団体の自主性を生かす助成制度へ拡充させるべきだという御意見を頂いております。
 また,下の2つは支援体制について御意見でございますが,日本芸術文化振興会基金部と文化庁について,役割分担を明確化していくことが必要であるという御意見。また,日本版アーツカウンシルの在り方についての検討の加速が必要であるという御意見を頂いております。
 17ページの4でございますが,人材育成に関連して,芸術系大学等について専門性を文化芸術の発展に活用すべきだという御意見を頂いております。
 2番目の項目として,地域振興についての御意見を頂いております。1は地域の芸術文化を生かしたまちづくりの推進ということで,例えば2つ目でございますけれども,首都圏以外の地域における国際的な芸術祭への積極的な支援が必要という御意見ですとか,4番目でございますが,地方都市の規模・特徴を大別し,タイプ別の地域文化芸術活性化モデルケースを作って,その成果を広く共有すると,そういうような御意見を頂いております。
 2は劇場,音楽堂の機能強化に関する御意見でございます。2つ目のところでございますが,劇場が地域の公共施設や学校等と有機的につながりまして,地域の文化芸術活性化のハブとしての機能を果たしていくことが必要であるという御意見を頂いております。
 18ページでございますが,この項目の最後になりますが,指定管理者制度との関連で,劇場,音楽堂の雇用環境として,期間限定雇用が多くなっていて,人材育成が実効性のあるものとなっていないという御指摘を頂いております。
 また,次に劇場,音楽堂の個別の取組に対する支援についていろいろ御意見を頂いておりますが,フランチャイズでございますとか,外国人のアーティスト・イン・レジデンスなどについて御指摘を頂いておりまして,最後の御意見といたしましては,施設・設備の老朽化に対する大規模改修への支援ということについて御意見を頂いております。
 19ページでございますが,オリンピックの開催等もにらみまして,外国人観光客受入れについての御意見を頂いておりますが,3番目の御意見ですけれども,劇場における情報の多言語化を推進して,ホテルなどとも連携を図って,外国人向けのインフォメーションデスクの設置が必要である。あるいは外国人向けのチケット販売窓口を設置するというようなことについても御意見を頂いております。
 それから,生活文化の推進についても御意見を頂いておりまして,基本的な考え方としては,伝統文化,生活文化について,親から子へ,子から孫へと引き継がれるようなシステムが重要であるというような御意見。また,学校等における文化体験といたしまして,学校教育,公民館活動などにおいて文化芸術に触れる機会を設けるということが大事であるという御意見を頂いております。
 20ページでございますけれども,生活文化についてのイベントの開催,あるいは国際発信ということでアジア地域などに対する発信の重要性について御意見を頂いております。そのほか,復興支援の関係での芸術文化の役割,また,観光振興の観点からの取組等についても御指摘を頂いております。
 3番目が文化発信・国際交流の観点からの御意見でございまして,まず,1としてメディア芸術の分野についての御意見を幾つか頂いております。21ページの一番上ですが,これは漫画の輸出という観点からの御意見でございまして,どこが行き着く先であるかということをよく共通認識をして,現場についての教育ですとか,それぞれの国の事情に合わせた輸出を行うべきであるという御意見。また,広報データを常に用意して発信すべきだという御意見を頂いております。
 また,人材育成につきましても,映画ですとか,アニメーションなどについて,様々な人材の育成,また国内外の交流が重要であるという御意見を頂いております。また,映画祭,メディア芸術祭等の発信についても御意見を頂いておるところでございます。
 21ページの最後は,映画フィルムの保存ということで,国立近代美術館フィルムセンターの独立についての御意見を頂戴しております。
 22ページでございますが,2といたしまして,文化交流・芸術フェスティバル等の振興方策についてでございます。まず,考え方といたしまして,一番上のポツでございますが,多様,多彩な国際文化,価値観に触れる機会を促進し,相互理解を深めるために国際交流を推進することが必要であると。
 3つ目になりますけれども,2020年に向けての国際化を可及的速やかに進めるために,地域からの国際事業の発信力を高める必要がある,こういう御意見を頂いております。
 また,各フェスティバル等への具体的な支援の在り方についての御意見でございますが,23ページの一番上でございますが,舞台芸術の国際フェスティバルの開催を支援すべきであると。また,3つ目になりますが,国内で開催される国際的な芸術祭に関する情報をリアルタイムで海外に情報発信すべきである,こういう御意見を頂いております。
 最後に,4番といたしまして,その他でございますが,文化芸術振興に関する基本的な考え方ということでございまして,まず,国や地方自治体が明確な文化政策を持つことの重要性を明記してほしい,こういう御意見を頂いております。
 24ページでございますが,一番上でございますけれども,「文化は社会の基盤である」という認識を広めることが文化庁の最も重要な広報活動であるという御意見を頂いております。また,6番目になりますけれども,文化芸術が現在の日本の社会状況に必要な「公共財」であり,それへの資金提供は新しい価値による社会改革への戦略的投資であることを明確に記述すべきだと,こういう御意見を頂いております。
 下から2番目でございますけれども,「文化芸術立国」を確立するために関係省庁との連携が重要な課題であると,こういう御意見も頂いてございます。そのほか,25ページの方で普及事業への支援の充実,また,アーカイブについての御指摘も頂いております。また,障害者の芸術活動につきまして,障害者の芸術活動の充実についての支援方策を検討してほしい,こういう御意見を頂いております。また,国語の振興についても御意見を頂いてございます。
 あと,その他といたしましては,生活文化やメディア芸術に関する表彰の推進でございますとか,現代美術に特化した賞を設定してはどうかと,こういう御意見を頂いたところでございます。
 以上でございます。よろしくお願いします。

【熊倉部会長】  舟橋課長,ありがとうございました。
 今,御紹介にもありましたように,アーカイブの検討会は,次回最終回ですか,今月末の7月31日にもう1回予定されているようです。前回,前々回,特に初回の委員の皆様方からの御意見の中にも,宮田委員のイルカの構想から,太下委員,吉本委員などからもアーカイブ,あるいは芸術リソースセンターの重要性という御指摘を頂きました。是非アーカイブ検討会ですか,こちらの方に,委員の皆様方の御都合が合えば何ですが,政策部会からオブザーバーとして,もしよろしければ御出席を頂きまして,それぞれの御意見などを述べていただき,この検討会と政策部会との連携を深めて,より実現に向けての一歩に,シナジー効果を高められればというふうに考えておりますので,急なお話で恐縮ですけれども,御検討いただければと考えております。
 皆さん,今日は1時間以上御発言なく,すみません,お待たせをいたしました。ここまでのところで,ちょっと時間が押してしまいまして,20分ぐらいになってしまうかと思いますが,一度討論の時間を設けたいと思います。その後で,この資料3,概算要求に向けての素案についても御意見を頂きたいと思いますので,35分から40分ぐらいまでしかちょっと時間がとれませんが,どなたからでも結構ですが,いかがでございますでしょうか。加藤委員。

【加藤委員】  財源の問題で,前回太下委員から,そのほかも何人かから,国がもちろん予算を増やすということは不可欠の条件だけれども,民間企業,特にメセナ協議会などが少し旗振り役をやってはどうかというような御指摘がありましたので,その点について,現状どうなっているかということを含めて,補足で御報告をさせていただきたいと思います。
 実は,お隣にいらっしゃる大林会長の大林組は,大変現代アートの支援に熱心でいらっしゃるわけです。会長自身も大変高い見識を持っておられるわけですけれども,私どもが何度お邪魔しても,ついにメセナ協議会に入会していただけないという現状がございます。このことがメセナ協議会の経営を預かる立場からいうと大変有り難くないんですが,しかしながら,このことが非常に貴重なんだということを今日は申し上げたいと思います。
 メセナ協議会も各企業の自主性というんですか,自立性,そうした独自の活動を尊重してきたわけです。そのことがあったから――あったからだけではありませんが,各企業がそれぞれの独自の観点から文化芸術に対する支援に取り組んでこられた。その間に,企業だけではやれませんので,様々なアートの機関,特にNPO等と連携をすることによって,非常に斬新なソフトを数多く開発してこられたんだと思うんです。
 したがって,今後,2020年をにらんで財源をどういうふうにやっていくかというときに,もちろん行政サイド,国やら東京都やら,あるいは民間である我々企業やらが連携していかなくてはならないことは言うまでもないことですが,その際に企業の自主性ということは是非尊重されるべきだろうと思いますし,そのことがないと企業はやる気を出さないので,自主性を尊重することによって文化の多様性も保障されるし,また,財源もある程度確保できるのではないかというふうに思うので,今日の御報告の中に「官民一体」というような表現があったんですが,使っておられる方の意図はよく分かりますが,一体ではなくて,違いをむしろ容認し合って,連携をとっていくことは必要なことですが,一体にならない方がいいのではないかということを申し上げたいということです。
 その上で,現在どういうことを企業メセナ協議会が会員企業やら,また一般に広く呼びかけをしようとしているかという点を,2点だけ御紹介しておきたいと思います。
 1つは,2021芸術文化による社会創造ファンドというファンドを作りました。このことによって,メセナ協議会がもちろんお金を集めるんですが,このファンドは,目標は幾らかというのを聞かれているんですけど,我々は目標を設定していません。つまり,このファンドにお金が集まらなくてもいいと思っているんです,結果的に。むしろそうではなくて,各企業が機運を盛り上げていただいて,それぞれ独自に出資を増やしていただく。それぞれの活動をしていただくことが望ましいと。現在,我々が把握している数字で,企業及び企業財団の文化に対する支援の総額が約800億円なんですが,これを2016年に我々としては1,000億円の規模にしたい。受皿も要るでしょうから,我々のところにファンドもあるから,それを御活用になってもいいが,御活用にならなくてもいいと,そういうものでございます。
 もう1つは,これは熊倉部会長が昔,共同メセナということをすごく提唱されて,独自性を尊重しつつも,1者だけでやれることは知れているだろうと。だから複数者が協力し合ってプロジェクトに取り組んでいくべきではないかということを言われて,現にそういう事例が幾つかあったんですけれども,今現在,何者の間で,企業の方々にお願いして研究会を発足していただいて,共同で2020年の文化に取り組むということをやってこうという動きが始まっていますということを御報告しておきます。以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。

【大林委員】  ちょっと弁解をしておかないとあれなんですが,今,我々が本社を置いています品川の本社でも非常に大掛かりな,こちらから指名したアーティストによるコミッションワークで,オフィスの中での世界的なアーティストと一緒にコラボレーションしてやった,現代美術のプロジェクトとしては最大規模のものをやったりしているんですけど,私自身がすごい好きでやっているだけに,実は,会社の支出としてはどうしても気を使わざるを得なくて,余り美術とか文化に偏ると,あいつは道楽でやっているみたいな話になってしまうので,上場企業で株主さんがおられます。社員もいます。ですから,そういう意味でバランスのとれたメセナ活動というのをどうしても心掛けざるを得ないというのが1つあります。
 さはさりとて,いろいろな場面があるので,例えば私どもも財団,小さな財団ですけど,財団があります。これは都市に特化した,都市の研究に特化した,名前を,今は大林財団にしているんですが,その前まで大林都市研究振興財団という名前,より広くいろいろな活動ができるように都市の名前を取ったんですが,依然として都市の在り方を考えるという,そういう財団でして。でも,例えば,私はこの前も申し上げたように,ヨコハマトリエンナーレというのは本当に日本ですばらしいトリエンナーレですから,これは是非,いろいろな今まちおこし的なビエンナーレ,トリエンナーレがありますけれども,やはり日本を代表するヨコハマトリエンナーレをどうやって世界一流のビエンナーレ,トリエンナーレに肩を並べるような,そういうものにしていくかということに国も民間も注力すべきだと考えていますので,この財団を使って,わずかですけれども,少し解釈を曲げて出したいところです。それはやろうと思ったらいろいろできると思うんですね。ですから,みんなで知恵をひねることによって,実は財団なんかも無数にありますので,実にくだらないことにお金を出したりする場合もありますので,みんなでそういう工夫をしながらやると,実は民間のお金というのは随分使えますよねということと。
 それから,今,すばらしいことを1つおっしゃったのは,複数でという話があって,いろいろなコンサートなんかで,私はよく言うんですけど,何千万円出すようなビッグスポンサーがいる。それは有り難い話なんですが,この冠ビッグスポンサー,景気が悪くなるとすぐやめちゃうんですね。そうすると,次,探すのはすごい大変なので,ですから,私は実は大阪とうちの会社は関わりが深いものですから,大阪でも,昔,三枝さんがヴィルトゥオーゾというのを始めて,それは大きなスポンサーは要らないから,小さいところを,その代わり俺が20社か30社,ずうっと紹介するからということで,それでそういうスキームをつくって,ですから,ずうっと今でもこれは続いているということで,そうすると,多少景気が悪くなっても,みんな50万円だからいいか,100万円だからいいやということで出すんですね。要は継続性がすごく大事なので,どうやったら継続できるかというスキームをつくることがすごい大事だなと思っています。
 せっかくなので,もう1つだけ言わせていただきますと,これは質問なんですけど,文科省さん,あるいは文化庁さんのこういう審議会,あるいは予算取りの話になってくると,全てが織り込まれてくるんですけども,本当にこれでもかというぐらいいろんな項目が出てくるんですが,やはりめり張りがすごく大事になってくると思うんですね。そのための恐らく政策だと思うんですけど,どういうふうにこれを絞り込んでいかれるのか。その辺について,どなたか後でお教えいただければなと思います。

【熊倉部会長】  1つ私から,今,加藤委員から主体性と連携というのを,バランスをとっていくことがすごく大事で,国民を挙げての2020年になるべきという,今日御意見シートもありまして,私としても是非,どこかで知らない間で大きなフェスティバルと称して何か行われている。で知らない間に終わっちゃったという。特に東北の人たちが「ああ,こんなことにお金使って」というふうにならないといいなと。人々が参加型,運営に参加するような形で,単なる自己表現ではなくて,おもてなしの心を発揮してくれるといいなと思うんですが,加藤さん,たしか企業メセナ協議会の助成認定制度を利用した個人の方,個人寄附も増えているやに記憶しておりますが,そういう資金的な援助に,企業がそういう個々の主体性を発揮するのに,何かインセンティブとして国ができることはありますかということと,あるいは個人に対しても,もちろんファンドに賛同していただいてもいいんですが,何かインセンティブがありますかということと,それから,現代美術の発信に関して,大林委員はじめ皆様にも是非付け加えることがあれば,この場で言っていただければと思うんですが,私も品川の本社へ伺ったことがあるんですけれども,日本の若手アーティストが余り最近海外で注目されない。残念ながら,ヨコトリもどちらかというと,私の目には輸入超過のように見えますが,どうしたら日本の現代美術,もうちょっと海外へ出ていけるようになるのか。2つ大きな,全く違うことですけれども,皆様方から何か御意見ないでしょうか。
 じゃ,加藤さん,大林さん。

【加藤委員】  今のインセンティブの話,1つだけ最近ちょっと危惧していることがあるので申し上げておきたいんですけれども,税制の優遇が公益法人の改革で公益法人に与えられて,それからNPOも認定NPOの制度がややハードルが下がった結果,認定NPOになるアート関係のNPOも若干は増えてきているわけです。
 それで,今,税制の見直しの中で,税調のいろいろな議論の中で,公益法人,NPO法人を含めて,抜本的に税の優遇措置についてゼロベースで見直したいというような御意見が出ているということに非常に危惧をしています。というのは,せっかく2020年に向けて,我々ファンドを,ともかく誰が集めるのではなくて,様々なところで集まっていくというか,様々なところで個人も含めて企業がお金を出しやすくなる,出していかなくちゃいけない。そのときに税の優遇は非常なインセンティブになっておりまして,効果は非常に上がっています。そういう観点から言うと,この効果に水を差すような動きはいかがなものかなと。なので,これは是非,文化庁,文科省というか,国でも頑張ってもらわないとならないなと思っている点です。その点をちょっと最近の動きでコメントしたいと思いました。

【大林委員】  なぜ日本人の現代美術家が今世界で,かつて村上とか奈良が出てきた頃に比べると,それほどないかというふうなのは,1つはマーケットの仕組みがあると思うんですね。とにかくいかにそういう世界の一番売れているアートフェア,ですから,世界でいうとバーゼル・アートフェア,それからアジアでいうと香港アートフェア,それからニューヨークのマイアミ,パーセルとか,あとフリーズとか幾つかありますけども,そういうところで名立たるギャラリーがどうやって売り込んでいくかというところの仕組みに入っていっていないというのがあると思う。
 それはなぜかというと,1つは美術館の在り方もあると思うんですね。世界に肩を並べるような,ニューヨークのMoMAであるとか,メトロポリタンであるとか,グッゲンハイム,ホイットニー,ロンドンのテート,そういうところと肩を並べるような現代美術を扱う美術館というのが,イメージ的にいうと森美術館ぐらいしかないと。ですから,海外のコレクター,キュレーター,そういう人たちの目に触れる機会が少ないというのが1つあると思います。
 それからもう一つは,実際に数が減ってきて,物すごくみんなあの頃はバイタリティーがあったんですね。今は非常に満たされてきていますから,そういう意味で一生懸命海外へ行って頑張っている人たちもいますけども,国内で頑張っている人たちもいるんですけども,いま一つそういう意味で世界の注目を浴びるようなユニークな力を出せる人が少ない。
 一方で,御存じのとおり,具体が今すごく注目されているんですね。60年代ぐらいの具体のアーティストというのが物すごく注目されていて,ここだけの話と言ってもオープンな場ですけど,この前,当社も1つ白髪の作品をオークションに出したら,簿価の20万倍,何かすごい信じられないような値段で売れる。それぐらいヒートしているんですね。ですから,あの時代の作品を見ると,物すごく力がある,バイタリティーがあると。ですから,いいものは必ず世界で評価されるだろうということが1つで,それに向けたそういうバイタリティーがちょっと足りない。それは教育とか何かじゃないと思うんですね。社会的な問題だと思うんです。だけど,一方でメカニズムというか,そういうマーケットにうまく乗っていないというところもあるのかなという。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。宮田委員,手を挙げていらっしゃいますでしょうか。

【宮田委員】  今,お2人の先生方のお話と少しかぶっていて,少しずれているかな,よろしゅうございますか。
 昨日,ベトナムから帰ってまいりました。そこでホーチミンとハノイへ行ってまいりました。何しに行ったかというと,それぞれの芸術大学に訪問をし,それから文化スポーツ観光省の大臣ともお会いしてきました。それは新しい事業をしたいという気持ちで行ってまいりました。彼らはお腹がすいたから魚が欲しいと。是非魚をくれと,日本から。つまり,アニメや漫画やクールジャパンが欲しいと。東京芸大から欲しいと言っているんですが,私はそのときにこういうふうに答えました。魚はあげることはいつでもできる。しかし,魚を釣る方法を教えたい。そうすれば,あなたたちは自家発電をし,そして,自分たちの好きな魚をとり,腹を満たすことができるだろうと。そういう教育輸出,つまり,芸術教育輸出事業ということを推進したいという話をしました。
 それと同時に,当然ですが,ベトナムなどは千何百社,もう行っています。その中で一番トップであるトヨタさんをはじめとして,4社の社長さんたちとお会いし,このお話をしました。冠事業としてやらないかと。大賛成でございました。同時に,大臣はちょうど美術系の大学を出られた方だったものですから,私が学生時代にどうしてこの話を持ってこなかったのかという一つの冗談がありましたけれども,そのような感じができております。
 つまり,何を言いたいかというと,留学生が来ないとか,留学生が行かないじゃなくて,若手の教員や学生を連れていって,向こうで実際の大学の教育をする。教育を輸出することによって,学生も,向こうの教員たちも,それから親御さんたち,保護者の皆さんも,ああ面白い,なぜこんなものができたのかということを根っこから知ることができ,そして,それが結果的には日本に多くの留学生が来る。同時に向こうの在留法人のメーカーの商品なども,やや韓国には高さの問題では,値段の問題では負けておりますが,絶対日本の製品が買うことがすばらしい人生観,文化,制度が上がるというふうなことができるというふうな話をしたんですね。
 だから,このような環境みたいなものも,この政策部会では,ただどうやったらいいだろうかという方法論,後付けの方法論,現在の話ではなくて,未来の話をするということも必要なのではないかと思います。そのためには,法律的な部分において,加藤先生のお話,それから大林先生の現代の村上とか,奈良君とかというのは,彼らの生き方ができた頃というのはよく私も存じているわけですが,どうしてできないのかというのは,教育部分の耕す,いわゆるカルチャーですね。耕しの部分が足りないから今できていないわけで,そこをしっかりと,文部科学省だけではなくて,文化庁からも発信するという,両面の両輪で行くのが一番よろしいのかと思っています。
 以上です。ありがとうございました。

【熊倉部会長】  多くの委員から手が挙がりました。林委員から。

【林委員】  恐れ入ります。例えば,私たち基礎自治体がトリエンナーレ,ナショナルプロジェクトとして国の御支援を頂きながらやるんですが,就任直後の2011年にやったときに,私は,実は経済界から出資しておりましたので,トリエンナーレのチケットの発売数をチェックいたしました。非常に驚いたんですね。実際に発券はすごくされているけれども,半分ぐらいしか実は回収されていないという。つまり,招待券がほとんど。半々ぐらい出ている。それに非常に驚いて,その次にやったときは,もうともかく売るんだということで,いろんな状況でいろんなところとタイアップしながら,特に横浜美術館を主体にやってもらっていたので,毎週美術館に行って,今週何枚売れましたなんてやっていたんです。つまり,どちらかというと,自治体というのは,事業をやって,予算がありますと,その予算内で消化するという感覚だから,もうけるわけじゃないんだという発想が基本的にあるのかなと。
 それで,何を申し上げたいかというと,例えば今回のトリエンナーレも66人のアーティストのうち20人が日本人です。ですから,熊倉さんおっしゃったように,3分の1ぐらいしかいない。それは今の宮田様のお話にもつながっているんですが,ごらんになる人たちの意識の問題もあって,ともかく私は現代アートというとすごく敷居が高くて,何かつまんなくて難しいんじゃないか,こういう先入観が,大変失礼ですが,市民の方にもあったと思います。
 ただ,いろいろな形で宣伝もやりましたし,結果的には小さいお子さんから大人までが,家族で来るようになって,こんな面白いんだということが分かってきた。だから,まさにいろんな分野の人たちが,学生さんもそうだし,子供たちの教育もそうです。アーティストを派遣するのもそうですけども,そういう方たちが一緒になって子供たちに体験してもらうということ。美術館でもそういうのをやっておりますけど,トータルしてみんなで協力してやっていって,日本人の見る力とか,身近に芸術を感じるものを育てていくことが大事で,そこが日本はちょっとないのかなというのを思いました。
 ですから,ちょっと今年もトリエンナーレは正しいものというか,身近に見てもらうようなものを企画するのを,自治体とか新聞社でいろんな御協力いただいた努力。それから,やっぱりトリエンナーレで実買の来場者数が増えると,実は企業の方のスポンサー度がすごく高まるんです。だから今回は前よりもスポンサーに入る方が自発的に多くなってきたという。双方の努力が大変必要かなと思いました。すみません,長くなりまして。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。ほかに。吉本委員。

【吉本委員】  今のお話の流れと違うことでもよろしいですか。分科会からの報告があったことで,国語分科会の日本教育の。日本に住まわれている外国人の方々に対する日本語教育のお話があったんですが,質問というか,ちょっと情報提供をさせていただきたいんですけど,ここには出ていないんですが,外国に住んでいらっしゃる外国の方に対する日本語教育というのを実は国際交流基金はすごく推進していて,今,ホームページで,ネットで学べるエリンと日本語を学ぶというサイトがあるんですけども,エリンという女の子が出てくるんですね。キャラクターはホニゴンというキャラクターが出てくるんです。ホニゴンというのは日本語を入れ替えているんですけど。それで中国語,韓国語,ポルトガル語,インドネシア語,それで学べるサイトをつくって,ここ何年かすごく強化をしてきたら,物すごいそれで勉強する人が増えているそうです。それと併せて,日本語のある種の検定というんですか,そういうものを設けて,それも学ぶ人がすごく増えているそうなんですね。
 ですから,例えば日本語の教室がない,特に,この資料を見ますと,小さな自治体に日本語の教室がない。日本語の教室にわざわざ行くのはハードルがあるけれども,ネットで学べるということがあれば,恐らく日本の人気の漫画とか,そういうものがいっぱい出てくると思うので,それが入り口になるんじゃないかなというのが1つです。
 もう一つは,これも御存じかと思いますけども,アジアセンターというものを作りまして,日本語教育をできる人材をアジア諸国にこの7年間かですごい人数を派遣しようという動きがあるんですね。これも日本語の専門の先生だけじゃなくて,市民の方でも教えられる人というようなことがありますから,例えば地方都市でそういうことをやりたいという人がいると,オフィシャルな日本語教室にならなくても,少なくとも私塾のようなものを開設できるんじゃないかと思うんですね。ですので,こちらの国語分科会でそうしたことの話が出ているかどうか分かりませんが,外国人に日本語を教えるというときに,国内の外国人に教えるということと,海外の外国人に教えるという施策をうまくリンクさせるともっと波及効果が,成果が出るんじゃないかなということで情報提供させていただきました。

【伊東主査】  今のことに関連して申し上げますと,最近,私もトルコに行ってきたんですけれども,海外の学習者は日本のアニメに非常に興味を持っていて,教室で学ぶ場合と,教室に行かない場合はどうするかというと,やはりインターネットからアニメを見て学ぶ。最初はサブタイトルがつくので,母国語で勉強しているんですけれども,そのうち,もっと日本語で学びたいというような形で日本語学習に結びついてくるということがありますので,やはりアニメとか,芸術的なもの,文化に興味を持ち始めて日本語学習という,そういうプロセスもあるので,我々もっともっと発信していくべきかなというふうに思います。そういう意味で国際交流基金やその他教育機関もインターネットでの教材提供というのは最近かなり力を入れるようになったということも併せて御報告しておきたいと思います。ありがとうございました。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。三好委員。

【三好委員】  余り時間がないところで申し訳ございません。先ほど宮田学長から教育という問題が出て,それで海外でのお話ということだったんですけれども,ありましたが,国内での教育の問題で,特に行政レベルのことでちょっと申し上げたいことがあります。私も前々回意見発表をさせていただいて,前回ほかの方の御意見を聞いていて,何となく自分の中でもやもやっとして言い足りないなという気持ちがあったものですから,ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 それで,そのもやもやっとしているのが2つあって,1つは,クーベルタンの話の中にオリンピックはスポーツと教育と文化の祭典だという話がありました。この中でいうと,スポーツと教育というのは,割とスポーツが教育の中に入っていく。授業,あるいはクラブ活動の中でスポーツと教育というのは非常に密接な関係が既に作られている。一方では,文化と教育の関係というのは,どうしても弱いというのが正直な感想であります。というのが1つと。
 それからもう一つ,2つ目としては,前回人材の話が出ていて,人材の育成という話だったんですが,部会長をはじめ,いや,人材はいるんだけれども,活用ができないんだと。むしろ人材の活用を考えるべきではないかというお話があったかと思います。その2つの話を踏まえての提案として,システムを作って予算を組む。ちょうど今回の意見の御発表の中でも,具体的に概算要求に向けての施策ということでございましたので,そこで教育と文化をどうつなげるか。それから,人材を活用するという観点でどうするかというのでちょっと考えてみたんですが,1つ,その中で思い出したのが,社会教育主事というのが今ありますよね。都道府県に数百人発令されているというふうに聞いていますけども,教育公務員特例法の対象にもなっているということのようですが,もともと社会教育というのは,かつては芸術文化,あるいは文化財なども社会教育というカテゴリーの中で捉えられていたことがあるようなんですが,今は文化財については教育委員会にもそういう専門家の方がいる。芸術文化については,社会教育のカテゴリーとしては,今,余り捉えられていなくて,かつ,教育委員会の中にも専門家がいないというのが現状ではないかと思います。
 そこで,是非社会教育主事のような,そういう立場の人間を各都道府県,あるいは主な市レベルですかね,そういうところの教育委員会に,いわゆる芸術文化の専門家としておいていただくというのはどうだろうかと。例えば,それを法律にするとか,資格がどうのこうのと言い出すと,これは非常に時間のかかる話になっちゃうし,多分,各省協議でいろいろ議論が出てしまうので,そういう法律とか資格とかということではなくて,まさに既に芸術文化の分野で見識のある人をそういう教育委員会の場で専門家として活用していく。今,教員定数は多分,これから先そんなに増えるよりも,むしろ減る傾向だと思いますので,教員定数が空いた枠を使ってそういう教育委員会に配置する。そのための予算措置をしていただくということができないだろうかというので,是非そういう御提案をさせていただきたいというのが追加の意見でございます。以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。すみません,ここまでの,今もう既に概算要求に向けての御意見を頂いたんですが,今はその時間ではまだなくて,概算要求に向けては,これからたたき台のたたき台をちょっと見ていただいて,いや,もっとこういうふうなのを入れてというのを今日頂かないと,次回それを入れ込んだものを24日までに見ていただいて,24日の文化審議会総会で発表申し上げて,8月の概算要求になりますので,そちらの方に時間をとっていきたいと思います。
 現代美術のことに関しては,私も大林委員がおっしゃったように,教育の仕組みもあるかもしれませんが,社会的な機運がアーティストの気持ちに大きく影響を与えているかなという気がちょっといたします。ヨコハマトリエンナーレ,是非たくさんチケットが売れて,市民に愛されないと自治体としては困ると思うんですが,内需に向けての視点が強くなると,どうしても,例えば非常に社会批評性が,今日世界の現代美術の市場ではかなり社会批評性,あるいはアクティビスティックな活動でないと評価されない部分もあると思うのですが,そういう動きが日本には余り許容される範囲が多くないのかなと。その部分,もしかしたら,ヨコハマトリエンナーレを日本の現代美術のナショナル・ショーウインドーとしていくのであれば,横浜市さんだけにお任せしているのでいいのかというような点が1つ挙げられるかもしれません。
 もう1点は,国際交流基金の御指摘もありましたが,前回の事業仕分で国際交流基金は海外,文化庁が国内をやるという恐ろしい仕分で,大分やる気をなくして,残念ながら余り文化庁と国際交流基金と連携がございませんので,非常にぎくしゃくした形になってきましたが,今,交流基金は,例えば今日の伊東主査のお話に絡めて言えば,国内の多文化共生というようなことに関しても従来型の日本の伝統文化を学ぶとか,あるいは語学教育とかということだけじゃなくて,もうちょっとアートや文化を絡めてのNPOなどに注目をしていくなどというような動きもあるようですので,もしかしたらこの分野でも純粋な日本語教育だけでなくてという発想も今後あり得るのかなというふうに思いました。
 それでは,次に進みたいと思います。では,資料3の「審議経過報告(素案)」というものに関して,事務局から御説明。

【平林政策課長】  それでは,資料3をごらんいだたければと思います。これまでの合計3回,委員の先生方からの御意見を踏まえまして,審議経過報告の素案に関する資料をまとめたものでございます。今回,特に早急に対応すべき施策ということで,来年度の概算要求に結びつくものを中心に資料をまとめたところでございます。
 1ページ目の1でございます。「文化政策の方向性について」でございます。かいつまんで主な記述を御紹介いたします。1つ目の丸には2020年には我が国の文化力が大いに生かされ,活用され,発信されることで,世界の人々を魅了し,世界じゅうから日本へ人々が集まってくるような姿を目指すべきであるということ。
 2つ目の丸でございますが,先進国で,かつ,2回目の開催となる東京大会は,「成熟社会」における人々の文化的生き方を世界に示すことが大きなコンセプトの一つとなるのではないかというようなこと。
 それから,4つ目の丸ですけれども,文化行政が福祉行政,教育行政,産業行政,観光行政など,関係府省が所掌する領域の施策とも連携・協働を強化することで,領域横断的な文化振興を効果的に図っていくことが重要ではないかといった意見を頂いているところでございます。
 続いて,1枚めくっていただきまして,2といたしまして,「当面,講ずべき施策について」ということで整理してございます。まず,2020年東京大会での文化プログラムに向けてとして,施策例といたしまして,文化プログラム実施のための環境整備。将来,文化プログラムに発展する可能性を秘めた芸術団体,伝統芸能団体や,地方自治体による先進的取組への支援。文化芸術活動に関する情報の海外発信とか,日本語学習への支援。国立のアイヌ文化博物館,これは仮称ですが,の整備ということ。
 それから,続いて文化芸術立国実現に向けてという柱においては,(1)の「人をつくる」から(4)まで整理させていただいております。(1)の部分ですが,見出しとして,「子供の想像力・創造力の育成」といたしまして,芸術家によるワークショップ活動,更に文化芸術鑑賞・体験ができる環境の整備というような御意見を頂いております。
 次の丸ですが,地域を支える人材,高度専門人材,後継者等の育成のために,インターンによる実践的な教育,グローバル化に対応できる高度専門人材や傑出した芸術家の育成といった御意見をまとめてございます。
 次に,3ページに(2)で「地域を元気にする」というものでございますが,社会課題に対応する文化活動への支援といたしまして,少子・高齢化等のもろもろの社会課題に対応するというようなこと。それから,次には文化芸術創造都市への支援ということ。それから,3つ目の丸はMICE誘致に伴う文化資源PRであるとか,それから,4つ目の丸ですが,文化財の活用等による魅力あふれる地域の創出・発信方策といたしまして,地域に点在する文化財をパッケージ化する日本遺産や歴史文化基本構想といったような御意見。
 それから,次のページ,4ページ目でございますが,NPOにつきまして,文化財を拠点に地域活性化や観光振興,福祉活動や子育て支援等を行うNPOの支援を拡大というようなこと。それから,食文化やお茶等の伝統的な生活文化への支援ということ。次の丸ですが,各地域の文化芸術を生かしたまちづくりというような御意見がございました。
 (3)でございます。世界の文化交流のハブとなるというところにつきましては,様々な国際的芸術イベントの開催というもの。2つ目の丸ですが,海外への発信力強化のため,日本の芸術団体等の海外の芸術フェスティバル等への参加の支援の充実や,ポップカルチャー分野の我が国の芸術家等の海外での公演等の支援というようなこと。
 それから,次のページでございますが,「国際交流・協力の推進」という見出しにおきましては,東アジア文化都市及び周辺都市での国際文化交流事業の集中開催というような御意見を賜っております。
 最後に,(4)ですが,施設・組織,制度の整備でございますが,1つ目の丸として,文化関係資料のアーカイブの構築のために,特にデザイン分野など個別分野におけるアーカイブの着手,推進ということ。それから,2つ目の丸として,国立文化施設の機能強化のための国立施設相互の連携強化ということ。3つ目の丸は,デジタル・ネットワーク社会に対応した著作権制度等の整備といった事項を取りまとめさせていただきました。
 本日も引き続き貴重な御意見を,どうかよろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】  皆さん,これいかがですかね。相馬委員。

【相馬委員】  すみません,先ほどからの議論から取りまとめへの応答までまとめてお話しさせていただきたいと思うんですけれども,まず,私のみならず,ほとんど全ての委員から,2020に向けて震災復興,東北での芸術文化活動を,このオリンピックを契機に何らかの形でやっていくべきではないかという意見がかなり多く出たかと思いますが,今のものにはそれが恐らくほとんど記載されていない印象を持ちました。
 もちろん,1ページ目の真ん中よりちょっと下あたりに,「被災地では,郷土芸能が地域コミュニティー再興に大きく寄与している」というような現状のレポートはなされていますけれども,それを受けて,今後,2020,あるいはそれ以降に向けて,東北で国のイニシアチブによってどういう文化プログラムを行っていくのかというところをもう少し踏み込んで書いていただけると有り難いかなと思います。特に,今日黛委員と赤坂委員から非常に具体的で,私は個人的にとても感銘を受けましたけれども,芸術文化の本質を捉えて,それをどう被災地で展開するかというすばらしい御提案もありましたので,そうしたものも,もちろん個別に具体的に盛り込む段階ではないのかもしれませんけれども,もう一歩踏み込んで震災復興と芸術文化ということに触れていただきたいなというふうに思いました。
 それから,ちょっと先ほどから手を挙げていたので,前の議論のことで1点だけちょっと付け加えさせていただきますと,先ほど来,日本の現代アート,特に若手がかつてほど活躍していないのではないかというお話がありましたけれども,1つの原因としては,恐らく現代美術というのがマーケットを中心に回っている中で,今,マーケットで売り買いできるタイプの作品でない作品を多くの若手のアーティストが作り始めているという現状があるかと思います。ですので,例えば村上隆さんや奈良さんのようなアーティストは,日本のクールジャパン戦略とある種,それを戦略的に利用する形でキッチュな日本ですとか,かわいい日本というのを出していったと思いますけれども,今はクールジャパンの方がかなり美術よりも大きな形で展開されていますので,これからの日本の現代アートを世界に売っていくには,クールジャパンといかに差別化していくかという視点も逆に重要なのではないかというふうに思いました。
 実は,先日ちょっと台湾に行っていまして,台新銀行という台湾の大手の銀行がやっているアートアワードの審査員をやらせていただいたんですけれども,これ非常に歴史があるアワードで,台湾で最も重要なコンテンポラリー・アーツのショーと伺いましたけれども,非常に面白いチャレンジをなさっていて,というのは,これまでは現代美術と現代演劇,パフォーミング・アーツを別々に大賞をあげていたんですが,今年からそれを合体させて,審査員もファイナリストもパフォーミング・アーツからもビジュアル・アーツからも両方合わさって出てきて,最後の大賞者は1人なんですね。
 これはどういうことかというと,今日の現代的な表現が美術と演劇,ダンスというふうに分けられるものではなくて,同時代性というのが非常に横断的な形で表現されていると。これは先日,国際交流基金が発表した来年のヴェネチア・ビエンナーレに向けて,日本の5つのアイデア,キュレーターによるプレゼンテーションが発表されましたけれども,それもふたを開けてみたら,パフォーミング・アーツの方で名が知れているアーティストがたくさん入っていたということが起こっているんですね。そういうこともありますので,今,領域横断ということは専門的なフィールドでは当たり前のように言われていますが,いまだに文化庁の施策では現代アート,現代演劇というように分かれているので,今すぐどうこうという具体的なことは申し上げられませんが,日本の強みである現代アートというように記述してしまうと,何か逆に狭い感じがしてしまいますので,既に,例えばパフォーミング・アーツではチェルフィッチュですとか,ポツドールですとか,世界で大活躍していて引く手あまたの劇団もたくさんある中で,そうした日本のアートという,現代アートと言ってしまうと狭くなる。それをもうちょっと日本の同時代の表現を海外でいかに強く発信していくかというような視点も取り入れていくといいのではないかと思いました。以上です。

【黛委員】  付け加えさせていただいてもよろしいでしょうか。すみません,ちょっと先ほど言えなかったんですけれども,「人をつくる」というところで,文化芸術鑑賞・体験のところがありますけれども,先ほど義務教育期間中に毎年1回以上はそういう体験をさせるというお話があったと思うんですけれども,これも大変重要なことだと思うんですが,ただ,実際,今やって,例えば国立劇場の鑑賞教室ってあると思うんですけれども,ああいうものが学校単位で,団体で申し込む場合ってありますよね。ああいうときって学校単位になりますので,ほかにお客さんがいない。そうすると,大向こうさんもいない。いわゆる本当のお芝居の楽しさというのが伝わらない。そうすると,先生たちもよく分からないので,もちろん事前学習会のようなものも最近あるらしいですけれども,静かにしなさいという話になる。本来,お芝居は静かに見るものじゃないのに,大向こうもいない。そうすると,やっている方の役者さんもせっかく見えをしているのに何の声も掛からない。生徒たちも黙って静かに何時間も見なくちゃいけない。お互いに役者も生徒も迷惑なプログラムだったよねという時間になっていることが,非常に不幸な出会いだったということが多いという話を実際に役者さんから聞きました。
 これ,年に1回というふうにとってもぜいたくなことだと思うんですけれども,逆に義務化することで消化試合のようになっていって,それが目的化してしまうという可能性があると思うんです。ですから,何かその辺も教員たちの教育というんでしょうかね,そういう工夫が必要だと思います。
 あと,最後に,皆さんがとっても大きな話をされているときにとても小さな話で恐縮なんですが,これだけ今,日本文化を発信しましょうという話をしている中で,どうしてこのお水がエビアンなのかなというのを最初からずっと思っていました。今日お隣に平田さんが沖縄からいらっしゃっていまして,平田さんは沖縄のお水を飲んでいらっしゃるんですね。これがやっぱり自分の土地,風土に対する誇りだと思うんです。着ていらっしゃるものも見て。私もこんなものを聞いているので何も言えないんですけれども,ただ,文化庁の会議にはエビアンではなくて,日本のお水が重要じゃないかなと。とっても小さな話で恐縮なんですが,ただ,何か日本の文化に対するコンプレックスというんでしょうか,何かそういうものが随所で感じることがあるんですけれども,これもその1つの表れなのか。別に単にエビアンがおいしいということなのかよく分からないんですけれども,日本のお水にしていただければなと思います。

【宮田委員】  私は東京の会議では必ず東京水を出せと言っております。

【熊倉部会長】  吉本委員,どうぞ。

【吉本委員】  ありがとうございます。この資料,今日拝見しただけなので,余り深くは読み込めていないんですけれども,気がついたことを何点か申し上げたいと思うんですけども,まず,2ページ目の「当面,講ずべき施策」の2020年東京大会での文化プログラムに向けて。これ,素朴な印象で申し訳ないんですが,何か地味というか,遠慮していらっしゃるんじゃないかという印象がすごくあるんですけど,もちろんここに書かれていることは重要なことだと思いますから,是非,推進していただけたらと思うんですけど,これまでの各委員からの意見の中でも,もっとシンボリックなものとかあったと思いますので,そういうものをせめて書けないかなと。
 ちょっと御紹介させていただきますと,東京都は東京芸術文化評議会というのを立ち上げて,太下委員も入っておられますけども,この間,30日の日に舛添知事も御出席されて,委員からもいろんなアイデアが出ているんですね。もちろん東京都でやるものもありますけれども,全国展開を視野に入れたようなものもありますので,何かもうちょっと2020年の東京ですごいことをやろうとみんな盛り上げようとしているところに,これじゃちょっと何か元気が出ないなというのが,印象になってしまいますけれども,もうちょっと何かできないかなということが1つです。
 それから,ちょうどその下にあります「人をつくる」ところ,これも大変重要で,先ほど黛委員がおっしゃった義務教育年1回の中でおっしゃっていたことに関係するんですけれども,先生が芸術を楽しむ,先生がアーティストに触れるみたいなことがないと,「ちゃんと静かにしてなさい」になっちゃうと思うんですね。ですから,子供たちが体験することを進めつつ,並行して先生方が芸術をちゃんと,例えば劇場に演劇を見に行った先生が日本の小学校の先生で何%いるのかという,データないと思うんですけど,その辺から変えていかないと,このことは本当に数字目標だけ歩いちゃうと,すごく表面的なことに終わってしまうんじゃないかなということを感じました。
 それから,その下の人材の育成のところなんですけれども,これは熊倉部会長もかねてから発言されているんですが,結局,仕事の場をつくるということ以外にというか,それが一番実践的だと思うんですね。今日林市長がおいでになっていますけれども,横浜市は創造都市政策の中で創造界わいというのをつくって,BankARTとか,急な坂とか,それをNPOに託して,そうすると,そのNPOのディレクターというのが日本をリードするアート界の人材として結局なっているんですね。そうした施設は,更にそこから若いアーティストを発掘して世に出そうというふうにしていますから,二重にそういうところから人材が育成されてきているということがあります。
 ですから,大学で教える,インターンで迎える。これも確かに人材育成にはつながると思うんですけれども,現場をどうやって作って,そこに人をどうやって割り当てていって,こういうことをしたいという若者は今いっぱいいるんですけども,結局仕事の場所がないということがすごく大きなネックになっているんですね。それをどう作るかというような政策をここには是非書き込んでいっていただきたいなと思いました。
 以上,2点です。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。太下委員,お待たせしました。

【太下委員】  皆さん,厳しい御意見をおっしゃっていますけど,きっとこれはかなり意図されて書いたのではないかと私は推測しています。むしろ,官僚のお立場では書けないことを委員からどんどん言ってほしいのだ,という意図で,みなさんの積極的な意見を引き出すために,あえて細心に設計された文章ではないかと理解いたしました。
 これを拝見して,3点お話をしたいと思います。1つ目は,分野という視点を考えないといけないと思いました。先ほど大林委員から「めり張り大事だ」というお話もあったのですけれども,そこはいずれめり張りを付けていくとして,こういうふうに総花的に書いていただいたおかげで,また,ほかの分科会の御報告も今日頂いたおかげで,逆に「あれっ,抜けているんじゃないか」と思われる部分が出てきました。
 例えば,アーカイブについてお話します。アーカイブについては文化政策の中でも非常に重視していただいていますので,これは是非その方向で行っていただきたいんですが,例えば,アーカイブの分野の中で,ビジュアル分野については以前から美術館,博物館等で一定の措置がとられているわけです。けれども,例えば演劇,音楽といったパフォーミング・アーツのアーカイブをどうするのかという問題は,私が見た限りでは実は一切書かれていません。例えば戯曲であるとか,記録映像,更に言えば,演出という,上演の型そのものをどうやって継承していくのか,という問題は是非この機会に考えていくべきかと思うんですね。それが1点目です。分野への視点ということ。
 2つ目が地域への視点ということ,これが非常に大事ではないかと思っています。そう申し上げると,地域ということですね,さんざん書いていますよと言われてしまいそうですね。「地域を元気にする」と提案しています,おっしゃるかもしれないんですけれども,ポイントはそのことを実際どういうふうに実現していくのかというところなのです。というのは,御案内のとおり,2012年のロンドンオリンピックへ向けての文化プログラム,これは非常に充実したものが行われたわけですけれども,これが実現できたのは,イギリスにアーツカウンシル・オブ・イングランドという強力な組織体制があったからですね。もちろん予算もですけれども。
 一方で,文化庁さん中心に2020年に向けて,恐らくかなり文化予算,補助金等が充実していくというふうに思っております。下村文科大臣は文化庁予算を倍にするとおっしゃっていますけれども,そこまでいかずとも実質的に,要は文化庁さんが所管されている施設とか,文化財等の部分が固定的な費用を除いて考える,文化に対する補助金の部分が倍になるという事態は意外に早く到来するのではないのかと私は考えています。ただし,補助金を仮に2倍にしたときしたときに,現行の文化庁さんの体制又は芸文基金さんの体制でそれがさばき切れるのかという,結構現実的な問題があると思うのですね。恐らくそれはかなり難しいと私は思っています。特に東京一極集中という一元的な体制でそれをやっていくのは難しいと思います。
 そう考えたときに,どういうことが次の段階で考えられるかというと,地域なり,地方都市なりにアーツカウンシル的な組織が育っていき,それらの組織と文化庁さんが連携して様々な文化施策を展開していくという方向性が日本の場合は,現実的ではないかと思っています。そうしたときには,そういう地域版アーツカウンシルをこれからどう育てていくのかということが現実的な施策として絶対必要なのです。こういう視点が今のペーパーにはないですよね。一応地域ということがたくさん言葉としては書かれていますけど,それは文言だけで終わってはいけないことだと思うのです。そういったところまで踏み込んだ現実的な文化施策が今,求められているのです。特に文化庁さんの場合,もともと事業官庁ではないですから,補助金なり助成金を通じて文化の振興を図っていくということを考えると,是非そういう地域版アーツカウンシルを育てていくということが必須ではないかなと思います。これが地域への視点ということ。2番目です。
 3番目,最後ですけど,社会への視点と言うのでしょうか,国民への視点と言ったらいいのでしょうか,そうした視点が必要だと考えています。どういうことかと言いますと,私は,先般成立いたしました劇場法を検討する委員会の委員を仰せつかって,計11回も延々と議論をするという経験をさせていただいたわけです。けれども,その間の一番大きな反省点が実は委員としてありまして,何かと申し上げますと,その間,大手のメディア,テレビであるとか新聞社で劇場法のことがほとんど報道されなかったということなのです。ほとんど全く報道されなかったのですね。これは一体どういうことなのでしょうか。もちろん私を含めた文化関係者の責任ということもあるのだと思うのですけれども,やっぱり社会なり国民から文化芸術というものにもっと関心を持ってもらうということが是非必要ではないかと思っています。
 そうした場合,政策の議論という段階から是非関心を持ってもらう必要があると思っています。例えば,これはあくまでも審議経過の素案ということなので結構なのですけれども,いずれこの部会なりのまとめというものが社会に出ていくときには,その書きぶりなり,又はもうちょっとビジュアル的なことも含めて,もっと社会なり国民に発信するというスタンスが是非必要ではないかと思っております。社会なり国民への視点ということですね。これが3点目です。
 申し上げたいのは以上3点ですけど,せっかく日本語の部会の伊東さんが今日来られているので,1点だけ補足したいと思います。前回の部会で提案させていただいたことが,国際交流基金さんが展開されているウェブでの日本語教育については是非充実したらいいと考えています。それに日本の誇るサブカルチャーである漫画やアニメのキャラを当てはめていくと良いと考えています。更にその前提として,今度オリンピックがあるわけですから,オリンピックで実施される26の競技すべてに,日本の漫画やアニメのキャラを当てはめていけばいいという提案を申し上げました。それが文化庁さんの施策になるのかどうかは別の話ですけど,そういう体制をとっていけば,恐らく企業のスポンサーシップもかなり付くと思います。1つの競技当たりで,多分10億とかいうお金は簡単に集まると思うのですね
 そして,そういうお金を原資として,例えばサッカーあれば,翼君を主人公にしたストーリーの日本語教材を作れば,今まで日本語に関心がなかった人にも,日本語の魅力が更に広がると思うのですね。そして,10億規模のスポンサーシップが付けば,日本語教材を使ってもまだまだ大分余るはずなので,残ったお金を是非文化とか芸術の振興のための基金にすればいいのではないかと私は思っております。そういう従来の施策に当てはまらないような部分も,是非今回はチャレンジとして文言に盛り込んでいただきたいと思います。恐らく官僚のお立場では書きづらかったと思いますので,あえてこの場で委員として意見を改めて申し上げさせていただきました。以上です。

【熊倉部会長】  佐々木先生,お願いします。

【佐々木委員】  今日は大林さんの話がとても面白くて,私は,実は10年以上前に大林財団の研究費を頂きまして,創造都市の国際比較研究をさせていただきました。確かに都市と文化という点で,大林さんがかなり先見的にやられたというのは,私ども非常に有り難く受けとめております。
 その上で,今日林市長が横浜の事例を出されて,特に,今年非常に難しい国際情勢の中で,東アジア文化都市事業を大変御苦労なさってここまで引っ張っていただいたので,このことが予想以上の流れができて,中国は3年に1回じゃなくて毎年やりたいと言い出し,韓国は是非,毎年もやるが,ネットワークの中心的な恒常的事務局を持ちたいと言ってきている。したがって,急にバタバタと毎年やるという方向に今なってきているんですね,東アジア文化都市事業。そういうこともあるので,そうすると,この5ページにあります施策例の中で,東アジア文化都市,毎年開催するということについて,これは財政的な手当てがかなり優先的に出てくるのかなというふうに思います。
 それから,今日林市長が言われた成長戦略としての創造都市の側面と併せて,横浜で非常にうまくいったのは黄金町バザールという,衰退地域にアートを持ち込んで再生していったという事例があるんですね。太下さんも吉本さんも紹介されていますが,ロンドンオリンピックというのは,実はロンドンの衰退地域ですよね。イースト・ロンドンでやったという意味がとても大きいわけです。そこで若手のデザイナーが衰退地域を再生したと。こういう要素というのをアートが持っているというのは,成長戦略であると同時に,社会包摂の要素,両方あるわけですね。これをバランス良く今回もやっていく必要があって。
 その点からいきますと,最近話題になっているのは日本創成会議が発表した消滅自治体というやつかな。つまり,2020を超えて2050ぐらいになっちゃうと,全国で相当の数の消滅自治体が出てくるわけだし,若い女性がいなくなっちゃうと。これは早く,つまり,東京オリンピックを待たないで,衰退していく日本の各地の,特に小さい農村,ここをどういうふうに芸術文化で再生できるかという,ここに対する施策がもうちょっと充実してもいいなと。その意味では,3ページにありますが,創造都市への支援という形で書いていただいているんですが,今,創造都市ネットワーク日本のメンバーの中で,33ぐらいあるんですけれども,10ぐらいは小さい農村なんですね。創造農村という運動をやっています。それから,今日の赤坂さんの発表の中にもありましたが,「温泉芸術村」ですね。こういう面白いプログラムを幾つかここの中に充実させていって,成長戦略と同時に社会包摂で,衰退地域,あるいは衰退した地区ですね。これをどうするかということも併せてバランス良く書けないかなと。
 最後,一言なんですけど,太下さんが今日言われた中で,アーツカウンシル・ブリテンがアーツカウンシル・オブ・イングランド,スコットランド,ウェールズというふうに分権化されていくわけですね。それがある意味ではイギリス全土にまんべんなく政策展開できるわけです。そうすると,各都市レベルでアーツカウンシルを作る。もちろんこれは力があるところはできますけれども,アーツカウンシルは文化庁で全国一本化するというだけじゃなくて,例えばアーツカウンシル関西とかというような広がりですね。これはたまたま関西広域連合というのがあるわけで,そこにアートサポートとか,いろんなものが出てきているんですが,進め方としては,東京オリンピック文化プログラムの関西広域エリアを議論しながら,アーツカウンシル関西という方向性に持っていくというような融合的な形でムーブメントができると,例えばそれは東北の場合は復興という形が入ってきますから,東北の広域的なアーツカウンシルをつくるという形で具体化されますが,そうすると,もうちょっとダイナミックに文化芸術で日本が再生していくというイメージですね。これが出てくるんじゃないか。沖縄ももちろんそうですけどね。以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。

【平田委員】  前回発表させてもらいましたので,非常に今日比較的話を聞く側に回って,とても勉強になりました。特に,野村萬斎さんと黛委員のおっしゃった「型」の実践を行うことでというところの話が非常に面白くて,僕は前回,文化芸術のための人づくりではなくて,人づくりのために文化芸術があるというふうなコンセプトでやるべきであるというふうに言ったわけですが,それが「心・技・体」じゃなくて,「体・技・心」のカリキュラムというところが,目からうろこが落ちるような感じでございます。形から入っていく。特に10代の子供たちであれば,なおさらそういう型から入っていくというのはすごく大事かなというふうに思っていたので,その部分がすごく良かったなと思っています。
 1点,今日資料の3番を見ながら少し思ったのが,ワンキャッチコピーと言うんでしょうか,コンセプトとかキャッチフレーズを意見提出シートに結構みんないろいろ書いてきていると思うんですけれども,そういったものがこの素案の中にはなかなか反映されていないのではないかと。もちろん,そのまま使うということではなくて,是非出されてきたものをコラージュというか,切り張りしながら,新しいコンセプトというのを自分たちなりに作っていくということがとても大事なんじゃないかなと思っています。そうでないと,誰かが言いましたけれども,総花的な,どうしても負に見えてしまう。
 本来は文言の中にいっぱいいろんな施策や新しい取組が入っているようには思うんですけれども,それがエッジが効いた形で見えてこないというのは,各委員から出されてきたキャッチコピー的なことであったりとか,コンセプト,そういったワンキャッチコピーを是非取り入れて,柱としてそれを置きながら展開すると,もうちょっと何がしたいのかというのがよく分かるのかなという感じがしました。ですから,是非そういったところを,あくまでも素案でもありますし,1つはそういう文化行政の中での立て付けといいますか,そういう役割というか,ルールがあるかもしれませんけれども,せっかく委員の先生方から様々いろんな文言が出てきていますので,それをもっと散りばめた方がいいのではないかというふうに思いました。以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。本当に私も打合せで3日前にこれを見てがく然としちゃったんです。既定路線以外の何ものでもないように見えたので,私の本日のシナリオでは,本日の御議論も踏まえて,反映した内容を7月24日に開催される審議会総会において私から報告させていただく予定なんですが,内容をもっと具体的に記すべきです。とはいえ,もしかしたらこういう書き方をしないと財務省には通じないのかもしれないとか,事情はあると思いますが,内田さんと相談をさせていただいて,まさに今,平田委員もおっしゃいました。もっと大胆なアイデアがこれまでの3回たくさん出たので,それをまとめた形で何点か,アーツカウンシルに関して,人材育成に関して,あるいは地域再生に関して出たと思うので,何点かピックアップした表紙を付けて,皆様方の頂いたフォーマットもそのままどさっとコピーして,多少紙の無駄ではございますが,出させていただこうかなと。どこに通じるのか分からないけど。というふうに考えておりまして,そっちの方なら報告,頑張ってしたいかなというような気がいたします。
 最後に,皆様の中でお知恵があれば教えていただきたいんですが,とりあえず来年度の予算要求に向けて,幾つか,アーカイブ,アーツカウンシル,人の育成,それから,もちろん今日も出ました,もっと突出した才能の育成,もろもろありますが,とりあえず来年度の概算要求で特にこれを要求した方がいいという御意見はあられますでしょうか。
 加藤委員,手短にお願いします。

【加藤委員】  読んで,私もこれ何じゃいと思って,どうしてこういうことになったのというふうに思ったんですけど,世界の人々を魅了し,世界じゅうから日本へ人々が集まってくるような姿を目指すべきと言った割には,こんなことで何も実現するわけないじゃないか,この目標が,ということです。
 何が足りないかというと,目標を掲げていない。例えば創造都市の国内拠点の整備,これは是非必要だと思うのでやっていただきたい,来年度から。そのときに,来年に実現するかどうかではないけれども,創造都市はヨーロッパの文化首都をモデルにしたことははっきりしていますし,佐々木先生が何度も何度もいろいろおっしゃっておられる。来年から毎年やるということになった。しかし,そこで,今,予算組みで提示されていることって何かというと,開会式及び招へい費用の若干を負担する。そんなことで世界のモデルになんかなるわけないじゃないですか。世界の人がそんなものを見に来るわけないじゃないですか。
 だから,少なくとも国際レベルにたえ得る創造都市の国内拠点を整備すると言ってくれないと。ただし,来年度はそこまで急にはいかない。それは分かります。その整備に向けて,ともかく3年計画で例えばやるとか,初年度としてこうした予算を付けるとかいうふうに言わないと,ゴールが何も明らかにされないで,今のようなことを幾らやっていても意味がないんじゃないですか。だから,この創造都市もやってほしいし,私が申し上げて,具体的に数字まで挙げて申し上げているものは一切無視されているんだけど,国際的な芸術祭を10都市で10件,来年からスタートしてほしいという話をしているので,それぞれに3億付けてほしい。それから,国立の文化施設の充実の1つの例として,アイヌの話はここに書いていただいて,これは非常にすばらしい。だけど,同時に国立劇場おきなわについて,常設の本当に国際レベルの劇場とするなら,30億ぐらいは要るでしょう。だから,それをとりあえず来年度要求しますというぐらいのことを言ってくれないと,永遠に,2020年になっても世界の人々を魅了もできなければ,世界じゅうから日本へ人々が集まってくれるようになるわけないでしょう。ほかのことではなりますよ。だけど,文化でなるわけないじゃないですか。だから,何か言っていることの意気込みが,何であれだけ我々情熱を傾けて語ったのか。それが何でこんなことになっちゃうわけという。これは部会長が抜本的に書き直されることをお勧めしたいと思います。

【熊倉部会長】  応援ありがとうございます。はい。本日いらっしゃいませんが,片山部会長代理と一度,文化庁さんと次のたたき台をもって詰めさせていただきたいと考えております。
 すみません,ちょっと時間がなくなってしまいましたので,本日のディスカッションはここまでと思いますが,まず1つは,せっかく皆様から頂いた生の声を,そのまま審議会で共有していきたいので,皆様から頂いた意見書を提出いたします。ついては,残念ながら,こんな大著にするわけにはいかないので,太下さんはじめ,フォーマットを超えて書かれた先生方のはフォーマットに落とし込んだ方がいいと思います。事務局から御連絡を差し上げますので,是非御協力をお願いします。何度もいろいろ宿題が多くて恐縮ですが,お願いいたします。

【大林委員】  ちょっと1つだけ提案なんですけど。

【熊倉部会長】  はい,どうぞ。

【大林委員】  いつもこうやってみんなで交代にしゃべって,それで交代にコメントを言ってと,大体審議会ってそういうスタイルなんでしょうけども,それもいいんですが,やっぱりおっしゃるとおり,もうちょっとあちらの側に座っておられる方とコミュニケーションをしたいなという思いもあるので,暑気払いを兼ねて,夕方1時間でも,1時間半でも,余り予算がないでしょうから,缶ビール片手に何かちょっとやれるような,自由に交流できるような,そういう場があるといいなというふうに思うんですけどね。

【林委員】  すみません,1分ください。よろしいですか。

【林委員】  多分,自治体の仕事をしているのは私だけでしょうか。市長としては,ここのメンバーの中で。

【熊倉部会長】  はい。

【林委員】  申し上げますけども,このまとめ方はある程度理解できるのです。予算の編成は様々なことを考えなければならず,頭を悩まされます。議会に対しても,市民に対しても,現実を踏まえてしっかり説明しなくてはならないのです。ここの審議会では理想的な事柄を全部書いていると思うんです。それで結局,私たち基礎自治体,横浜市は370万人ですが,トリエンナーレにしても,それ以外の文化事業をやることも,多くのハードルがあり,それを一つ一つ乗り越えながらやっているんですね。
 国が力強く言ってくれたら,我々は支えられる。女性の活躍推進,横浜市は前からやっていましたけど,安倍総理が言ってくれた途端に,周囲ががらっと変わったんです。是非お願いしたいんです。だから絶対に何とか,安倍総理だってこういうことを成長戦略に入れていらっしゃるから,思いっきり力強く皆さん言っていただいて,多分まとめに入っていらっしゃる方たちも同様のことが頭にあると思うんですね。そういうことを考慮に入れつつ,だけど,応援団になってもらいたいと思います。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。とりあえず来年度こういうことをやった方がいいというような急ぎの御提案があれば,もちろん24日の総会に関して,文化政策部会の皆様方でお時間のあられる方は出ていただけますので,その場で急ぎのこういうことをやるべきという,来年度に向けての何か予算が必要な施策の御提案などを頂けると幸いです。
 議論はここまでにさせていただこうと思いますが,最後に2つ,委員から事業の御紹介がございます。
 まず,林委員から,ヨコハマトリエンナーレの資料を頂いていますので,御紹介を。

【林委員】  恐れ入ります。いろいろ話題が出ましたトリエンナーレの内覧会のオープニングレセプション等の御案内でございます。今回5回目でございます。7月31日に開催します内覧会オープニングレセプションの御招待状と鑑賞,観覧の御招待券をお配りさせていただきました。是非ごらんいただきたいと思います。
 今回,アーティスティック・ディレクターは美術家の森村泰昌さんをお迎えしております。「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」という非常に魅力的なテーマです。国内外70のアーティストがお集まりでございます。これは東アジア文化都市のコア事業として,ちょうど日にちが重なっておりましたから,8月から11月にわたって,横浜美術館と新港ピアを主会場としてやらせていただきます。今,部会長がおっしゃったように,更にもっともっと努力をして,国際的にいいアーティストを御紹介できると思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それから東アジア文化都市の事業ですね。おかげさまで日中韓,とても仲良くて,国の外交レベルとは全然違う世界で,カウンター都市,佐々木先生も御紹介いただきましたけど,どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

【熊倉部会長】  では,最後に,宮田委員からも御報告を。

【宮田委員】  お時間頂戴して,ありがとうございます。ここに「八芳園」という不思議なパンフレットがございます。実は東京藝術大学,林市長のお力も大変ございまして,横浜市に映像研究科が,今年で10年目になります。ちょうど私が学長になり出したときからでございますが,何とカンヌ国際映画賞,3,450点,世界じゅうから来ました。その中の9作品にノミネートされました。カンヌから電話が来ました。監督は4人の学生でございます。教授は監修しかしておりません。卒業してからもずっと彼らは作り続けました。それが11分でございますが,残念ながら受賞は逃しましたが,これは大変なことであると私は思っております。
 上映会を開きます。「なぜ我々はカンヌに行けたのか」。ここに写真が載っておりますが,彼らは皆,貸衣装のタキシードでレッドカーペットを歩かせてもらいました。本学での上映会は7月23日でございますが,これは是非おいでいただいて,映画とはこんなに違うんだということを是非是非皆さん見ていただいて,大学教育というか,教育とはいかにこのぐらいに変化することができるかということを感じてもらいたいと思っております。多分,満タンになっちゃう。早い者勝ちでございますので,その辺,是非どうぞ。
 それから,ちょっとさっき言い忘れたんですが,ミャンマー,シンガポールなど,アジア各国の大学も回ろうかと思っておりますので,ベトナムだけではなくて。大きな意味でいろんなことを展開させていくことが文化の今度は外攻め,内攻めと外攻めと両方感じてやっていければいいのかなというふうに思います。お時間頂戴しまして,ありがとうございました。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 では,事務局にお返しいたします。

【内田調整官】  本日は大変貴重な御意見をたくさん,ありがとうございました。キャッチコピーとか,コンセプトとか様々な,前向きなアイデアとか,そういったものを少しでも多く本文の方に入れられるように,もう1回作成をし直しまして,また部会長と御相談させていただいた上で,皆様に共有させていただきたいと思いますので,またもう一度事務局から御連絡をさせていただきたいと思っております。
 先ほど部会長からお話しございましたけれども,24日の15時から総会がございまして,そこで御報告させていただきたいと思っております。以前,大分前に日程調整させていただいたときに,この時間帯,都合がよろしい方と,特に都内近辺,遠い方は大変だと思いますので,都内近辺にお住まいの方で都合のよろしいような方に御案内をさせていただいておりまして,数名,部会長と一緒に参加させていただくこととしております。
 二,三事務連絡的なことがございますけれども,先ほどお話しございましたアーカイブの検討会との連携に関しまして提案がございましたけれども,今後,部会の委員のどなたかに次回出席いただいて,橋渡し的なことをお願いさせていただければと思いますので,そちらに関しましても,また後日調整をさせていただきたいと思っております。
 また,今日の素案の後ろにフォーマットを付けることに関しましても,ポンチ絵とか,別の様式で頂いた委員の皆様もおられますので,そのあたりも御相談させていただきたいと思います。なるべく前向きな考え方が前面に出るような形で,ちょっと今回の案を反省させていただきまして,作り直しまして,御相談させていただきますので,よろしくお願いいたしたいと思います。
 最後にすみません,1つ事務連絡なんですが,先ほどエビアンの話がありましたけど,すみません,年間で契約しておりまして,直接の契約している業者さんとの間でそういう形になっているので,すぐには難しいんですけれども,頂いた御意見を踏まえまして,また改めて考えさせていただきたいと思います。
 あと最後に,平田委員から「世界エイサー大会」というものに関しましてチラシを頂いておりますので,帰り出口で事務局からお配りさせていただきたいと思いますので,どうかよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

ページの先頭に移動