文化審議会第12期文化政策部会(第5回)議事録

平成26年8月6日

【内田調整官】  それでは,定刻ですので,始めさせていただきたいと思います。
 本日は平田委員が台風の関係で急きょ欠席という御連絡を頂いておりますのと,あと数名の委員から多少遅れて到着されるという連絡を頂いておりますけれども,定刻ですので,開始させていただきたいと思います。
 まず配付資料の確認でございますけれども,お手元,クリップを外していただきまして,資料1が関係団体の御発表資料でございます。本日はコミックマーケット準備会さん,JNTOさんの資料を配付させていただいております。資料2が審議経過報告,資料3が第62回文化審議会総会での意見概要,資料4が文化関係資料アーカイブに関する有資格者会議の中間取りまとめ,資料5が第4次基本方針策定に向けた検討のスケジュール,資料6がヒアリング団体一覧(案)というような配付資料となっております。
 このほか,机上資料といたしまして,右側に紙ファイルを置かせていただいております。また8月8日でございますけれども,文化庁主催で創造都市政策セミナーというものが開催されますので,そのチラシを配付させていただいております。本日,御出席いただいております佐々木委員もモデレーターとして御参加の予定でございます。
 配付させていただいた資料,以上でございますけれども,過不足ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 それでは部会長,よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】  それでは,第5回の文化政策部会を開会させていただきます。
 本日は大変お暑い中,お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はこれまでよりちょっと時間が短くなってございますが,日本演奏連盟,コミックマーケット準備会事務局,国際観光振興機構の3つの団体の皆様方にお越しいただいておりまして,今の御紹介の順番にそれぞれ10分ずつと短い時間で大変恐縮ですけれども,お話を伺わせていただければと考えております。
 それでは,最初に日本演奏連盟様,よろしくお願いいたします。

【金山日本演奏連盟専務理事】  ただいま御紹介いただきました日本演奏連盟の金山と申します。よろしくお願いいたします。
 このような会にお招きいただいて発言させていただけることを大変名誉に思っています。10分で日本のいろんな文化の問題点を話せというのも誠に大変な話なんですけども,長過ぎたらストップを掛けていただければ大変うれしく思います。
 日本演奏連盟というのは,来年50周年を迎えます。これにはきっかけがございまして,私はもともとオーケストラの出身でございまして,東京交響楽団というオーケストラに入団したのは昭和38年,前東京オリンピックの1年前に入りました。一バイオリニストとして入団したんですけども,1年もたたないうちに東京交響楽団は財政的に非常に困難な状況になりまして,解散しました。そのときの楽団長,橋本鑒三郎という方は,昭和21年時からずっと楽団長ということで辣腕を振るっていたのですが,ただ非常に男意気のある人だっただけに,その解散の責任を取って荒川放水路で入水自殺されてしまわれました。
 ところがその時代というのは文化庁もございません。音楽家はそれぞれ頑張っていたんですが,どこにも相談するところがないというところで,非常に社会的にも問題になったんですが,当時のピアニストの井口基成さんとか安川加壽子さんらが中心になりまして,やっぱりどこか音楽家が肩を寄せ合って困ったときは相談するところが必要じゃないかということで,実は日本演奏連盟というのはできたんです。それが今から49年前,来年で50周年を迎えるというきっかけでございました。
 それまでは全く国からの助成というのもないものですから,非常に困っていたんですけども,でも非常に音楽文化は盛んでした。オーケストラもNHK交響楽団,それから東京フィルハーモニー交響楽団,それから日本フィルハーモニー交響楽団,東京交響楽団,それからオペラは藤原歌劇団,それから二期会もございまして,非常に盛んだったんですが,所詮民間団体としての活躍で,やっぱり限度があるわけです。
 ところがその後,文化庁が昭和43年ですか,設立されまして,少しずつ助成金も増えてきました。やっぱりそういう国の支えがないと,最終的には文化団体というものはやっていけないわけでございます。だからそこでどうやって日本の芸術文化を盛り立てていくかということが非常に大事なのでございます。日本演奏連盟の大きな柱は,人材育成ということです。これは人材育成というのは興行団体なり,あるいは演奏団体ではなかなかそういう人材育成ということはやりにくいと思うんですね。できないことだと思います。そこで演奏連盟というのは今現在,会員が3,500名弱でしょうか,プロの音楽家がおりますけども,彼らを中心に,日本の音楽文化をどうやって盛り立てていくかと。
 ですから演奏団体ではない,興行団体でない日本演奏連盟というところが結局その統括団体という立場で,基盤整備といいますか,これをしっかりしていかなきゃいけないということで,文化庁にも長い間,お願いしております。
 ところが平成23年だったと思いますが,そのときにその人材育成の事業を文化庁が委託事業としてやってくださることになりまして,非常に有り難いことで,人材も豊富に輩出することができまた。ところがどういう訳か今年度,平成26年度になって2割カット。金額にして総合的に合わせますと約1,200万円もダウンしちゃったんです。これはやっぱりいかがなものかということですね。人材育成というものは恒久的に長く続けないと,なかなか人材というのは育たない,そういうことを果たして国の方はどこまで分かっているのか。
 とにかく文化庁予算というのは今1,000億ちょっとですけども,これが十数年にわたって基本的には全然増えていないという,これはやっぱり大きな問題です。お金さえあれば文化は育つとは言いません。でも余りにもお金がなさ過ぎる。せっかく昨年,文部科学大臣が,このテーマにも書いてありましたけれども,文化芸術立国中期プランですか,これで2020年の東京オリンピックまでに17.7%増額にしようということでしたが,査定で減額となった。先日のある新聞にもある解説者が,全く文化庁というのは掛け声だけでは駄目なんだと,やっぱり財務省が最終的に,これは政府からの本当の力があって,初めて実現するものだということで言われていたものですから,私はそのとおりだと思うんです。
 それをやっぱり皆様方のいろんな立場の何らかの文化に関わる方々が後押ししていただかないといけないと思う。私,この活動を始めて,大体,何十年前から同じような議論をしてきているつまり,何十年前と現在は全然変わっていない。しかし日本の芸術文化というのは非常に盛んになって,オーケストラのレベルも非常に上がって,ソリストなんかも非常に国際的に活躍している音楽家もいっぱいおります。これはやっぱりいかに民間人が芸術文化に対して愛情を持って,真剣に取り組んできたかという1つの表れではないかと切に思っているわけなんです。
 そこで皆様方のお力でもって,どうか演奏連盟が統括団体としての基盤整備ということがいかに大切なものかということを肝に銘じていただいて,これからも御支援いただきたいと思います。
 2分前になりましたけれども,これで私の大ざっぱな説明を終わります。以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 それでは,コミックマーケット準備会事務局様,よろしくお願いいたします。

【安田コミックマーケット準備会共同代表】  このたびはお招きいただきまして,ありがとうございます。私,コミックマーケット準備会の共同代表をしております安田と申します。 コミックマーケットというイベントなんですが,こちらは1975年にスタートいたしまして,この夏,8月の15,16,17日に開催のこの夏の回で86回目を迎えます。
 どういうものかというと,漫画とかアニメ,ゲーム,そのほかいろいろなものの同人誌と言われているものの展示即売会のイベントです。大体この3日間,延べ五十数万人来場するイベントについて,これからちょっとお話をさせていただきたく思っております。詳細につきましては,里見の方からお話をさせていただきますので,よろしくお願いいたします。

【里見コミックマーケット準備会スタッフ】  コミックマーケット準備会,里見と申します。ここからは私の方から資料がございますので,それに沿いまして御説明の方をさせていただきます。
 同人誌とはという最初に話が始まるわけなんでございますけれども,個人が自分の作品,表現を,本を中心としたメディア,最近はソフトとかいろんなものがございますので,メディアという形で頒布しているというものでございます。基本的に個人が制作して,自分で資金を出して発行すると。商業流通には基本的には載りません。限定的な配布形態で配布される。即売会の会場ですとか一部の専門店中心になります。日本では非常に特異な発達を遂げまして,世界でも類のない規模で今,我々は活動していると考えております。
 我々はその同人誌の展示・頒布のイベントを開いております。我々のような大きいものから,小さいものまで年間約一千数百回,日本全国で毎回,日曜日,祝日あたりに開かれると御理解いただければと思います。
 その中で,我々のやっているコミックマーケットなんでございますけれども,東京ビッグサイトの全ての施設を使わせていただいております。夏,冬,年2回3日間,大体参加の出展されるサークルが約3万5,000,それからその本を買われる方が延べ50万人以上,コスプレーヤーの方が大体,これも延べ2万人です。毎回,大体7万冊から8万冊の新作が作られておりまして,大体1,100万冊ぐらい,この3日間で搬入されて,900万冊ぐらいが売れるという規模で活動が行われていると。これはコミックマーケットのみでございますので,日本全国,さっきの千数百回と合わせると,もっと大きい形で動いていると御理解ください。
 次のページに行かせていただきますけれども,現在,第一線で活躍されている漫画家さんとか小説家さん,たくさんいらっしゃるわけですけれども,この中の多くの方は同人誌の制作の経験があります。
 日本のアニメ,漫画,ゲームの文化というのはもともと非常に幅広い裾野を有していると言われておりますけれども,コミックマーケットを中心とする同人誌文化がそれを更に押し広げて,新たなクリエーターを作る,育てる土壌として機能していると考えております。
 非常に大きな割合を占めるのは,既存の作品を中心に,ユーザーがそれを更に様々な作品をそこから生み出していくというパロディーとか二次創作と言われるようなものがあるんですけれども,そういうのが非常に盛んでございます。そういうのが盛んになることによって,ユーザー間のコミュニケーションを非常に豊かにしていく,そしてオリジナルの作品を更に盛り上げていく,そういう取っ掛かりが非常に分かりやすく,入り込みやすいものですから,そういう作品作りをきっかけに,ユーザーはどんどんクリエーターになっていくみたいな形で循環が起きております。
 インターネットの世界においては,UGMとかCGMという言葉で言われるようなモデルでございますけれども,リアルな同人誌文化の中では,コミックマーケットを中心にこういう形で20年以上前からずっと続いてきた文化だとお考えください。
 コミックマーケットへの注目に関しては,国内のみにかかわらず,毎回,多数の海外からの御来場者を頂いております。アジア圏が多いものですから,しかも特に入り口でチェックをしているわけでもないので実数はちょっと分かりかねますけれども,かなり多数の海外の参加者を頂いております。最近は,同人誌を買う側だけでなくて,実際に作る側として海外の参加者,特に台湾ですとか韓国ですとか,そういうところからも多数の方が参加して本を作って売りに来られるという状況がございます。
 また,国内に目を転じますと,いわゆる漫画,アニメ,ゲームの作品の舞台になった聖地という言い方をしますけれども,こういうところで同人誌即売会を開いて,地域振興にお手伝いしたりとか,そういうことも行っておりますし,我々コミックマーケットも2010年に,まちおこしをテーマに水戸でイベントを行って,水戸の旧市街に3万人ほどの方を集めて,水戸の市役所の方々,若手の方々と一緒に連携してイベントをさせていただいたりもしております。
 ざっとこの御紹介の上で,こうした状況を踏まえて,2020年に向かって文化振興という形で漫画,アニメ等のファンの立場から我々の視点で,お話を次に進めていきたいと思います。現状,非常にインターネットが普及している中で,日本で人気が出た作品というのは即座にもう海外に伝わって,海外でも人気が出るというのが現状でございます。好きな作品を共有すること,あるいはその作品の成り立ちや作家に興味を持つというのは,別にこれは世界中どこでも同じ話でございまして,そういうファンの自らの作品への愛情を発表する同人誌というものがその連携の一助になっていると言えるのではないかと思っております。
 出版社さんやアニメ会社さんやテレビ局さんといった作品を提供する存在というのは非常に重要なわけでございますけれども,コミックマーケットを中心とする同人誌文化というのは,その作品の楽しみ方を共有する場として機能しているとお考えいただければと思います。
 そのコミックマーケットでございますけれども,約3,000人を超えるボランティアで運営しております。また,先ほど申し上げたとおり,同人誌ですので,個人が自分の作品を持ち寄るということで,非常に草の根ベースな活動で同人誌文化というのは作られております。そこに50万人の人が集まる。大変恐縮なんですけれども,ビッグサイトに1日十七,八万人の人間が集まるものですから,入場するのに何時間も掛かったりするわけなんでございますけれども,それでも海外から一度はコミケに来てみたいということで,たくさんの方が来ているという形になっております。
 言い換えますと,こういう草の根のファンをどうやって更に広がりを増やしていって,更にそれを盛り上げて支えていくかというのが肝要なのではないかと考える次第でございます。もちろん非常に立派な文化を伝えていくということも大事だとは思うんでございますけれども,やっぱり楽しい文化を共有していく,日本の漫画・アニメファンを増やしていくことで,日本そのもののファンを増やしていく,そういうことが大事なのではないかと考える次第でございます。
 そういうような考えに基づいて,我々はどうしていくのかという話で,2020年に向けてなんでございますけれども,ちょうど2015年の3月,来年の3月でございますけれども,コミケットスペシャルというイベントを「OTAKUサミット2015」という名前で開催することが決まっております。日本国内のみならず,海外でも大変,日本のいろんな漫画・アニメに関するイベントがたくさん開かれておりますけれども,そちらにお声掛けをさせていただきまして,ファン同士が連帯して継続的に交流していくことでオタク文化を盛り上げていくための国際的なネットワークを作っていきましょうということで,それを基に日本のファンを更につなげていきたいと考えて,準備をしているところでございます。先ほど言った萌え起こしとか聖地巡礼みたいな形の国内の関係者の方々にも御参加を呼び掛けている最中でございます。
 我々は今度,コミックマーケット,ちょうど来週末なんでございますけれども,開催させていただきますが,年2回,予定どおりに進むと,ちょうど2020年が100回という切りのいい数字の回になります。この時点で,今までやってきたことや,あるいはこのOTAKUサミットでやって作るネットワークとかを生かして,さらなる挑戦をしていきたいと考えている次第でございます。
 こうした漫画・アニメの草の根の活動をより活発に進めていくためには何が問題で,それをクリアするとどういういいことがあるんですかみたいな話を最後にさせていただきたいと思います。3つの観点からまとめさせていただきました。
 1つは,ファンアートにおける著作権の問題でございます。作家は最初から作家になるわけではなくて,自分の好きな作家とか作品を模倣することが始まりでございます。諸外国と日本との大きな違いは,この習作,つまりは同人誌でございますけれども,これをファンに,読者に頒布して,評価を受けて切磋琢磨する機会がそこからもうあるというのが非常に重要な違いだと思っております。
 他方,いわゆる二次創作というものに関しては著作権法上のグレーな問題があるということはいろんな御指摘を頂いているとおりでございます。とは言え,権利者様と利用者との間で慣行や秩序が成立し,黙認の下にこういうパロディーや二次創作が行われていて,ある種の合意に基づいて,エコシステムとして機能しているというのが実態ということであると思いますし,これは文化審議会の著作権分科会法制問題小委員会パロディワーキングチームというのが2012年度に立ち上がって,2013年度に報告書が出ておりますけれども,こちらの方でもそういう御指摘を頂いているというところでございます。
 ですが,いろいろと昨今,TPPということで,著作権侵害を非親告罪化するみたいなことになりますと,こういう同人誌文化を持たない国の基準が適用されると,いろいろとこの生態系に大きな支障が出るんじゃないかと我々,大変憂慮している次第でもございます。
 こういう形で,ファンアートを盛んにしていく,受容するだけでなくて,自ら発信して拡散していくようなコアなファンを育てて増やしていくということは非常に重要なのではないかと考えています。それを更に海外に広げていくことによって更なる活性化を図り,クールジャパンということで日本のファンをどんどん増やしていくということができるんじゃないかと思っております。
 次に,漫画,アニメ,コスプレ等における自由で多様な表現を広げていくことが大事なんじゃないかと思っております。漫画・アニメの表現についてはいろんな御意見があるということは我々,重々承知しておりますけれども,特に海外からの御批判もあるところは存じておりますけれども,最も大きい市場を持つ我が国の漫画・アニメを海外に合わせてしまうということになると,大きな機会の損失にもなりかねませんし,何でも描けるからこそ育ってきた才能というのを枠に閉じ込めるというようなことになりかねはしないかと危惧しております。オリンピックに向けて文化活動を盛り上げる流れを作るということであるならば,表現に関する規制を増やすのではなく,自由な創作を行える環境作りをしていくことが大事なのではないかと考えております。
 そしてコスプレなんですけれども,逆にコスプレは海外の方が実は緩いぐらいでございまして,コスプレのまま町なかを結構普通に歩いていたり,海外のイベントだとしております。日本ですと,やっぱりなかなか町なかでコスプレのまま歩くと違和感があるというのが現実でございますけれども,意識的な問題がかなり強いので,意識改革も含めてコスプレ文化に対する寛容さみたいなのを醸成していく必要があるんじゃないかと。オリンピックでやって来て,せっかく日本大好きだよ,日本のコスプレの格好しているよという外国人の方が,何か,あれっとなっちゃうようなことにはならないような感じが大事なんじゃないかなと思っております。
 作品にしろコスプレにしろ,自由な表現が維持されることで,日本でしか見ることのできないコンテンツを増やしていく,活性化していくことが大事だと思っておりますし,こういうことが訪日のモチベーションを高めることにもつながっていくのではないかと考える次第でございます。
 最後に,物理的制約からの解放と書かせていただきましたけれども,オリンピックに向けてというお話,頂いているわけなんですが,東京オリンピックの準備期間,開催期間中は,我々が使っている東京ビッグサイトはオリンピックの対応で一部又は全部が使えないという状況になることが予定されております。オリンピック開催期間中に今までと同じ規模のコミケットを開けない可能性が現状ございます。
 また,展示場の不足というのは,コンベンション専用の施設の不足というのは今,常日頃から御指摘があるところでございまして,オリンピックに合わせて様々な文化イベントをするにしても,そもそも会場がどうなるんですかみたいなお話があるのが現実でございます。
 一方で,こういう大きい会場だけじゃなくて,小会場の方も,古い施設,最近,老朽化ですとかあるいは耐震問題等で結構取壊しが多くて,小さな即売会を安価に開くことがなかなか難しい状況になりつつあって,更に裾野の部分が綻びてしまうおそれもあるのではないかと危惧しております。
 こういう場所というのは非常に大事でございまして,同じものの好きな仲間がこうしたリアルの場所に集まって生まれるコミュニケーションがすごく大事だよということは,我々,コミックマーケットに50万人の人が集まり,あるいはちょっと趣旨は違いますけれども,ネットの世界がリアルに出てくるニコニコ超会議さんみたいな形で,あちらも十数万人集まるみたいなことを見れば明らかだと考えている次第でございます。
 こうした環境整備をすることで,日本の発信源を確保していくことが大事なのではないかと。オリンピックとコミケット100を同時期に開催することで,更なる盛り上げができるんじゃないかと,少々,最後に手前みそながら申し上げさせていただく次第でございます。
 最後になります。ちょっとお時間も押して恐縮なんでございますけれども,2013年4月に,内閣官房のクールジャパン推進会議のポップカルチャー分科会というところで御提言が出されておりまして,そこで3つのキーワード,「みんなで」「つながって」「育てる」というお言葉が,日本のポップカルチャーが世界に飛び出す発信力を強化するためには必要なんじゃないかというふうに,この3つの言葉でくくられて御提言が出ております。今日,短い時間でございますけど,私が述べてきたことというのはまさしくこの言葉につながるのではないかと考える次第でございます。
 漫画,アニメ,ゲームの発展をファンの立場から応援する我々としても,今までこのような観点でずっと活動してきましたし,これからもそのように続けていきたいと考える次第でございます。
 ちょっと時間をオーバーして申し訳ございません。ありがとうございました。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 それでは,続きまして国際観光振興機構様,よろしくお願いいたします。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  本日はお招きいただきまして,まことにありがとうございます。私,日本政府観光局海外マーケティング部の冨岡と申します。短い時間ですが,私どもの組織の概要,これからの活動と取組についてちょっと御説明申し上げたいと思います。座らせていただきます。
 お手元にお配りしております資料に基づいて御説明させていただきます。
 まず1ページ目,開いていただきますと,日本政府観光局JNTOの概要というページを御覧いただきたいと思います。皆様の中には,JNTOという組織を御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが,私ども国土交通省観光庁所管の独立行政法人として,1964年に法人化された法人でございまして,日本の観光を海外に宣伝していくという政府観光局の役目を担った独立行政法人でございます。今年で50周年を迎えまして,一部の方には日本の観光の宣伝は何もできていないじゃないかと言う方もいらっしゃるんですが,地道に50年間,日本の宣伝をしてきた機関でございます。
 予算の規模なんですけれども,右の上の方に書いてございますが,18.4億円という非常に小さな予算で,人員も100名程度ということで活動をしておりますが,JNTOの強みとしましては,海外に14事務所を持ちまして,ここから多様な情報発信をさせていただいているという組織でございます。
 次のページを御覧いただきますと,JNTOの活動の概要をざっと細かく書いてございます。市場分析,マーケティングですとか,海外にございます旅行業界の方々に日本のツアーの企画ですとか販売の支援・促進をしていたり,それから海外の現地メディアに対して,日本の取材の協力ですとか情報の提供もしております。また国内の昨今,訪日外国人の数が非常に増えているというのは皆さんも御存じのことかと思いますけれども,インバウンド関係者の方々にいろんな支援をしたりしております。
 あともう一つ,大きな柱としまして,MICEと呼ばれるミーティング,それからインセンティブツアー,コンベンション,エグジビションの略なんですけれども,こちらのような国際会議ですとか企業ミーティングですとか,それから報奨旅行と呼ばれるようなものの誘致活動も行っております。
 それに加えまして,観光庁さんが今年度まで実施しておりますビジット・ジャパン事業と呼ばれる訪日促進の事業に関して,我々が海外で行われているものについて管理・監督するということで仕事をしております。
 次のページを御参照いただきますと,JNTOの戦略となっておりますが,2020年までに訪日外国人客数2,000万人を目指しまして,こういった3本の柱で活動をしております。
 まず大きな柱としましては,日本のブランドの売り込みと。これも昨今,いろいろ議論があるところで,日本のブランドとは何なんだとか,クールジャパンという切り口からどうなんだとか,いろんなことを言われておりまして,これについて深く検討して,いろんな形の日本をまず情報発信していくということをやっております。
 先ほど申し上げましたMICEというところに関しましても,国際会議の誘致ですとかインセンティブ,団体の旅行の誘致等もやっております。
 あと今後,大事になっていきますのが訪日旅行の受入れ環境の整備。こちらについては皆様が机上資料としてファイリングされているものの中にもいろんな提言が盛り込まれているのを先ほど拝見いたしましたけれども,今後たくさん日本に外国の方がお越しいただくことになると,いろいろ整備をしていかなきゃいけないということを我々としても取り組んでまいっております。
 次のページに参りまして,現在の世界の観光,それから日本の観光について若干,資料を付けさせていただいております。参考程度にしていただければと思います。
 世界の観光の動向としましては,既に10億人を超えております。またその成長著しいのは,アジア周辺からのお客様が非常に多く出ているという資料でございます。
 次のページ,5ページ見ていただきますと,その中で国際比較をした場合,日本がどういった位置付けになっているのかというのが示されてございます。フランスを筆頭に,アメリカ,スペイン,中国と続きまして,日本はずっと下の方に行きまして,現在27位となっております。これは2012年の33位から昨年1,000万人を超えまして,順位を少し上げております。
 次のページ,御覧いただきますと,その中の訪日外国人旅行者数の推移というものがございまして,2003年に政府を挙げて倍増計画ということでビジット・ジャパン・キャンペーンを開始いたしました。そこから順調に伸びていったんですけれども,リーマン・ショックですとか東日本大震災ですとか,こういったことを乗り越えまして,2013年にやっと1,036万人ということで1,000万人に到達いたしました。今年に至りましては,6月までの統計で既に626万人を超えておりまして,現状では1,200万人ぐらい行くのではないかと見込んでおります。
 次のページなんですけれども,大体どこから皆さん日本に来ていただいているのかということを示した表でございます。ざっと国名が並んでおりますけれども,上位を占めておりますのはやはりアジア周辺諸国でございます。大体,全体の中の4分の3がアジアからのお客様,その中でも昨年,ビザの撤廃をいたしましたマレーシアですとかタイですとか,こちらのお客様の方は著しく増えているということでございます。
 次に,文化事業に関わる連携の例として3つほど挙げさせていただきました。今年の10月に予定されておりますセルバンティーノ国際芸術祭への出展に関わりまして,JNTOと観光庁の方では在外公館の連携事業として整理させていただいておりますが,Japan Foundation国際交流基金さんとかとも協力しまして,こういったイベントに訪日旅行のPRをするといったこともやってございます。
 それから次のページ,これがMICEの一例,ICOMという国際博物館会議,世界的にやっておる国際会議なんですけれども,こういった会議にも積極的に観光庁,それからJNTOが誘致に関与して,ただいま立候補中ということで,来年には開催地が決まるといったことも行っております。
 それから,今日のテーマでございますオリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興に関してですけれども,こちらは文化プログラムというものがあるということを聞いておりまして,既に,参考にしたいのはロンドンオリンピックのところに学ぶことが多くありまして,近々,英国の政府観光庁と覚書を結んで,いろいろと教えてもらいながら訪日旅行の促進,それから日本文化の理解を深めてもらうことを考えております。
 次の4番からの項目に関しましては,国の施策をずっと挙げさせていただいておりますが,平成25年からアクション・プログラムという,いわば観光庁,JNTOが常に意識しているTO DOリストと考えておりますけれども,いろんなこれから改善していかなきゃいけない,取り組まなきゃいけないことを一つ一つリストアップしております。
 今年の1月に観光立国推進閣僚会議という会議が開催されまして,そこでいろんな提言がなされました。それに基づきまして,次のページの推進対策3番ですけれども,6月17日にアクション・プログラムが更に改定されまして,この中にも幾つか文化事業に関わることが記されております。これも既にお手元のファイルの資料にもたくさん入っておりましたのを確認しておりますので,皆さんも御存じのことかと思います。
 その中で強調しておりますのは,省庁間の連携強化,それから在外公館,民間,全ての力を結集して,オールジャパンの体制で観光立国を目指すということを目指しております。
 次のページなんですけれども,こちらは観光庁の方でやっている統計資料から持ってきたものですけれども,訪日外国人の消費動向から拾ってまいりました。その中で外国人の方が来て興味を持っていることの中に,やはり日本の歴史・伝統文化体験ですとか,生活文化体験,美術館・博物館へ行きたいとか,こういったことを言われております。その中で,やはり不便なところは改善していきたいということで,アクション・プログラムに盛り込ませていただいております。こういったところに関しましては,やはり美術館・博物館に行かれてもなかなか多言語化ができていないとかという御指摘も頂いている部分がありますので,この辺は皆様方と協力しながら改善できればいいかなと考えております。
 次のページですけれども,現状,日本への観光振興ということに関しまして,なかなか事業をやっても効果が測りづらいということがありまして,漠然と目標を定めるのではなく,科学的に,また合理的な分析を行った上で目標設定をしていく必要性から,本年度,マーケティング戦略本部という会議を観光庁の方で立ち上げまして,その中で有識者の方,それからJNTOの知見を総合して目標を掲げていくという方針になっております。
 観光庁,それからJNTOの中の取組で幾つか例を挙げさせていただいておりますけれども,次のページに参りまして,ビザの要件緩和,これは先ほど申し上げましたタイ,マレーシアは既に免除になっておりまして,非常に多くのお客様が来ていただける環境が整ってまいっております。
 次のページに参りますと,今年の10月から始まりますけれども,外国人の買物において,全品目を消費税の免税にするということを決定しまして,この準備に今,非常に大わらわしているところなんですけれども,JNTOはこの有益な情報をタイムリーに世界に向けて発信するという役目を担っております。
 次のページ,最後になるんですけれども,こちらは私どもの理事長もしょっちゅう講演で発言しておりますけれども,海外の方が日本を旅行するために必要な環境整備の中では,やはりWi-Fiといいますか,無料公衆無線LANの環境を敷いたりとか,また海外のクレジットカードで自由にATMが使えるといった環境がまだまだ整っていないということがございまして,こういったことにも取組を進めているところでございます。
 今回,大変多くの資料をお持ちしたんですけれども,少しでも皆様にJNTOの活動の内容を御理解いただけたらと思いまして,御説明に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。

【熊倉部会長】  3つの団体の御報告,ありがとうございました。
 それでは,ただいまの3団体の御発表を受け,15分程度ですけれども,意見交換の時間を設けられればと思います。委員の皆様方,どなたからでも結構ですが,御質問や御意見あられませんでしょうか。
 仲道委員,私の方を見てくださった。

【仲道委員】  すみません,私も一演奏家として,金山さんの御発言にちょっと補足させていただければと。せん越ですけれども。
 日本のクラシック音楽は明治時代に流入してきまして,それからここまでの間に世界のトップシーンに躍り出るほどの日本が誇って良い文化となっております。最近では若い人たちが,今までの普通の公演形態だけではなくて,時代へのフィットということで,様々な新しい場,新しい形,新しいつながりを求めて模索をしております。
 今日は大まかに10分ということで,大まかなお話を頂戴したんですけれども,文化庁もすごくきめ細やかにいろんな施策について御対応くださっておりますので,私からの,せん越なんですけれども,改めてまた書式で,今どんなことが起きていて,そして2020年に向かって音楽家が何ができて,それでどのような対応を必要としているかというようなことを御提出いただくのもいかがかしらと思いましたんですが。

【熊倉部会長】  ということですが,金山専務理事,いかがでしょうか。

【金山日本演奏連盟専務理事】  さっきも申しましたけど,文化庁さんもいろいろ努力なさっているというのはすごく分かるんですけど,本当に基本的に,要するに金を出せる財務省がどう考えるかということなんです。これはやっぱりたかだか文部科学大臣があれだけの17.何パーセントの増額を言ったことが,簡単に政府が理解していないじゃないかとか,あれは勢いだけで文化なんていうのは予算なんか通るもんじゃないんだとか,そういうことで,文化庁さんというのも,非常にそういった意味では私はおとなしいと思うんですよ。長官を前に失礼ですけども,もっともっと声を大にして,我々,芸術家の仲間がバックに控えているわけですから,芸術文化はどうあるべきかということをもっと声を出していただきたい。
 日本は経済大国から2番目,3番目になって,やがてはインド,ベトナムあたりに抜かれるんじゃないかと言われています。もはや経済で世界を牛耳るということは不可能になっているわけですね。じゃあ,どうやって日本というものを世界にアピールするんだと,これは芸術文化だと思うんです,最終的には。芸術文化によって日本はこういう国を目指すんだということを,やっぱり世界から尊敬されるような国にならなきゃいけないと思うんですが,いかがでしょう,仲道さん。

【仲道委員】  もちろんそのとおりで,はい,それを一生懸命,皆さんで討議してくださっていますので,是非このクラシックの皆さんもといいますか,頑張っていますので,どうぞよろしく応援してくださいませ。お願いいたします。

【金山日本演奏連盟専務理事】  よく感じるのは,この我々,音楽団体というのは,どうも自分も含めて発言力が弱い。演劇の人たちというのは,やっぱりすごいんですよね。彼らは声を鍛えていますから,声も通りやすいし,非常に説得力があるんですよ。だからやっぱりもっと音楽家もしっかりせにゃいかんですね。演奏するだけが力じゃないです。

【熊倉部会長】  ほかに御質問いかがでしょうか。大林委員,お願いします。

【大林委員】  質問というよりも意見なんですけども,今日のお話と,それから全体の流れの中でのちょっと意見を言わせていただきたいんですけども,やっぱり文化というと,非常に守備範囲が広いんですけども,そういう中で,やはり広く薄くボトムを上げていくという部分と,それから本当にすばらしいものを世界にアピールしていくという部分と,やっぱり分けて考えないと駄目なんじゃないかなと思うんですね。
 特に海外にやっぱりアピールするものは,非常に本当にトップのものをいかに更に研ぎ澄まして,それを外に訴えていくかと。逆にいわゆるビジネスとして,あるいはマーケットとしてそれを戦略的にやっていく,クールジャパンなんかもそうなんですが,そういうものはある程度,ボトムアップをしていくというようなことで,必ずしも全体のボトムが上がるとトップの人たちの数が増えるかというとそういうものでもないような気がするんですね。オリンピックのアスリートがそうだと思うんですけども,どうやって金メダルをたくさん作るかというと,学校でとにかく体操の何かあれを広めたらいいという話ではなくて,やはり本当に優秀なアスリートをある程度,英才教育していくということも必要かと思うんですけど。
 そういう意味で,この文化政策についてもそういう2つの視点をきちっとやっぱり分けていく必要があるのかというのが1つと,それから今度は2020年のオリンピックなんですけども,2020年を見据えた施策の話が今日もいろいろ出ていましたですけども,2020年自体は,やはり皆さん,海外から来られる方はオリンピックを見に来るのであって,決してそのときに文化を見るということは実際にはなかなかないということをニック・セロータテート館長も言っておられたという。正に本当にそうだと。私もロンドンに行っていたときに,実は道がそれどころじゃなくて,結局,いつもだったらロンドンへ行くといろいろな美術館めぐりしますけど,全くそんなところへ行きませんでした。オリンピックだけでした。
 ただもちろんオリンピック憲章で文化のことをうたっている。ですから逆にオリンピックを目指して日本はそのときにどういう文化立国であるかと,どういう形で日本がそのソフトパワーを戦略にしているかと,かなり委員の方,あるいは団体の方がそういう観点でも言っていただいているんですけど,やっぱりそこにもっと特化すべきじゃないかと。
 もう一つは,2020年以降,日本はどういう文化の国になっているかということのビジョンを,いろいろと予算取りとかそういうことも分かるんですが,しかしやはりそこへ結び付いていかないと,なかなか本当に文化を誇る国になれないんじゃないかなという気がするんですけど。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。はい,太下委員。

【太下委員】  お三方のプレゼンテーション,ありがとうございました。2点コメントがあります。1つはJNTOさんがプレゼンテーションしていただいた中で,オリンピック・パラリンピックの文化プログラムの実施と,これで観光振興していこうということを書かれていて,東京をゲートウエーとして地方へ,東京プラス1,プラス2という,そういう記述がございます。これは恐らくロンドンオリンピックのときのロンドン・プラスという観光政策を踏まえてこういう表現になっているのだと思います。けれども,実は私は東京の場合,逆転の発想をした方がいいのではないかと思っています。
 それはどういうことかというと,イギリスと日本の国土構造の違いを考えてみると,日本には新幹線があるわけですね。それで,ピーク時には5分ピッチぐらいで新幹線が発車している。多分,このことは海外の方はなかなか信じられないと思いますけど,しかも極めて安全で,かなり安価で,時間も正確という特徴があります。一方で,なぜか各地域に国際空港が日本はあります。一方で東京の実際の2020年の7・8月の状況を考えると,恐らく羽田も成田も相当な増便はされていると思いますが,ほぼ満席で,多分,都内のシティーホテルも満室稼働だと思います。
 ということは,2020年の夏には,東京にゲートとして入ってもらうのではなくて,地方の国際空港にダイレクトに入ってもらって,地方都市にステイしてもらって,見たいオリンピックの試合があれば,新幹線で通って見て帰ってもらえば良いのではないかと思うのですね。だから東京プラスではなくて,プラス東京と私は提唱しています。例えば名古屋プラス東京であるとか,新潟プラス東京のような逆転の発想の戦略の方が,私は日本の現実には合っているのではないかと思います。
 そうした場合に,例えばヨーロッパの人がオリンピックのとき日本に行こうかなと思ったとき,目標が東京でなくなるわけですね。逆に言うとどこの都市でもよくなるわけです。そうしたときに,その街に引き付ける要素として,オリンピックの文化プログラムが大きな要素になってくるのではないかと考えています。ですので,是非,文化政策と観光政策が一体となって,プラス東京という戦略で海外から人を呼び込むということを考えていただければというのが1点目です。
 もう一点目は,コミックマーケット準備会さんの方から貴重な御提言を頂きました。3つとも全部,重要だと思いますけど,特に9ページ目で御提言いただいているファンアートの部分,著作権の問題が非常に重要かと思っております。今回はコミックマーケットということで,漫画の同人誌の観点から御提言を頂いているわけですけれども,そもそも考えてみるとこういう同人文化といいますか,広く多くの人が,ほかの人が作ったコンテンツを基に自分の新たな創作をするという,こういう文化的な作法というものは,日本文化の根底をなしているものだと思います。例えば,俳句や短歌の本歌取りであるとか,又はそもそも俳句の季語もそうですね。季語というものは,誰かがある季節感を織り込んだ句を作ったときに,それをいいと思って,他の多くの人がパクって使うから社会に季語として定着するわけです。ですから,実は日本の文化の非常に根底的な部分にこういう二次創作の文化があるのだと思います。
 その最前線がある意味,現在のコミックマーケットになっているんだと私は理解しています。ですので,こういう日本の本当のオリジナルの,そして世界に誇るべき文化を守るために,それらへの配慮も是非,今後の文化政策の中でやっていただければと思っています。
 以上です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 ほかにどなたか御質問,コメントなどございませんでしょうか。はい,宮田委員,お願いします。

【宮田委員】  ありがとうございます。3者の方からの御発表,大変興味深く見ました。
 それで,JNTOさんにちょっと御質問させてください。今,私も東京,特に上野に関して興味深くいろいろ施策をしているわけでございますが,その中に,あんな小さなあんな公園の中に,Wi-Fiは全く通じないんですね。コードのことがあったり,LANがうまくつながらない,いろんなことがあります。これも非常に重要な問題だと思うんですが,最後のページにかすかに書いてあるだけなんですが,観光局さんというのはどのぐらいのパワーを持ってここら辺が具現化できるのか,ちょっとその辺の見通しなどを教えていただけると,私も8日にちょっとまたその辺のことを言わなきゃいけないものですから,ちょっと教えてください。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  これは本当に難しい問題と言いますか,民間事業者さんの御協力が非常に大きいものでございまして,観光庁のアクション・プログラムの中にも記載されておりますし,JNTOの中でも受入れ体制の整備ということでうたってはおりますけれども,現実に我々が敷くという,国で敷くということもなかなか難しいと思っておりますので,これはやはり提言という部分で,我々としましては,海外のお客様の声をやはり聞き取って,JNTOで見ております地方の観光案内所等を含めますと300以上,いろんなところから情報ソースを入れられる環境を持っていますので,その辺の声をやっぱり我々が代弁していって,提言していくということしか今のところ,実行に移せるものがあるかと言われますと,なかなか難しいというのがお答えになるかなという気がしますが。

【宮田委員】  ありがとうございます。それと同時に,3のICOMの件がございますね。これなんかはむしろ京都でやるということで考えているわけですよね。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  はい。

【宮田委員】  そうすると,太下先生のお話なんかとも非常に整合性が取れるような気がするので,この辺のバックアップもひとつよろしくお願いします。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  はい。非常にいいお話を伺いましたので,持ち帰って。

【大林委員】  海外の公衆Wi-Fiというのはどうやってファイナンスしているんですか。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  海外も民間事業者さんではありますが……。

【大林委員】  フリーのWi-Fiは。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  フリーのWi-Fiももちろん民間事業者さん,それから空港の部分もありましたですね,幾つか。かなり多様な部分はありますけれども,ちょっと詳しくは調べてみないと分かりません。

【片山部会長代理】  私の知っている範囲で御説明しますと,例えばニューヨークなどをはじめとしたアメリカの都市ですと,観光客などがさっと使えるフリーのWi-Fiには,広告が入っていて,最初に30秒間だけ広告の動画を見ると,その後60分間は無料で使えるとかいった仕組みになっています。空港などのパブリックスペースもそうですね。広告を入れることで無料でビジターに提供するということが行われているのだと思います。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 ほかにどなたか御質問,御意見などありませんか。

【大林委員】  さっきのオリンピックのとき地方から入ってくるという話,前もちょっと伺ったんですけども,やっぱりでもオリンピックに来ている人が何か2時間以上掛けて試合を見に行くというのはあり得ないと思うんですよね。だからあるとすれば1時間圏内。そうすると,やっぱり名古屋も非常に難しくなってくると思うんですよね。やっぱり1時間圏内で行って,また日帰りで名古屋に戻るとか,あるいは仙台からという,そういう今度はインフラができないと,やっぱりちょっと地方から入ってというのは,それで地方をベースに動き回るというのは,私は非常に難しいと思うので,やっぱり東京オリンピックは東京中心になるのかなという気はするんですけど。すみません。

【熊倉部会長】  ほかにありませんか。
 私から1つ,すみません,コミックマーケット準備会さんに,これは当日,何か入場無料,まずコミックマーケット準備会さんはどのような団体でいらっしゃって,あれだけの規模のイベントの運営,すごく大変だと思うんですけれども,専従スタッフとかおられるのかとか,あとそもそもコミックマーケットの大体の会員さんの予算規模ですとか,誰がお金払っているのかとか,教えていただけますか。基本的なシステムがよく分かっていなくてすみません。

【里見コミックマーケット準備会スタッフ】  はい,すみません。入場は基本的に無料でございます。ただカタログをなるべく買ってくださいというお願いをしていて,こちらに今日一応お持ちしているんですけど,こんな厚く1,400ページぐらいあるんですけれども,これを買っていただくことで,それの収益がございます。
 あとは出展者が1回8,000円をお支払いいただいていて,それの費用が基本的には収入の一番ベースと,あと企業さんにも御出展いただいているので,その企業さんの御出展の費用,あと広告もろもろというふうにお考えいただければと思います。
 専従のスタッフは,大体,今7名,8名,8名おりまして,それがやっている,一応会社は存在しているんですけれども,当然,ビッグサイトの契約とか,警察,消防との御対応とかというのは一応,法人格がないとできないのでやっているんですけど,もともとは1975年に始まったときは個人で,それこそ大学生がサークルの乗りから始めたようなところでございますので,大本の部分はいまだにボランティア組織がベースで,それのサポートとして法人があるというふうになっております。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 ほかに委員の皆様方,よろしいですか。そろそろ時間が来てしまいましたが。
 それでは,御発表の皆様方,ありがとうございました。次回,次々回とこの政策部会で引き続き,基本,まず文化関連の団体の方々のヒアリングを続けてまいりたいと計画をしております。
 本日,御発表いただいた団体の皆様は,ここで御退席いただいても引き続きそのまま現在の席で傍聴いただいても結構でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,次の議題に移ります。先日,7月24日に文化審議会総会があり,資料2の審議経過報告を私,報告してまいりました。そちらの資料が資料3にまとめてありますので,御紹介したいと思います。でもこちらでいらっしゃる委員も多くの方々が御参加いただいたので,補足していただければと思います。
 また,7月31日に前回のこちらの部会でも御紹介いたしましたように,文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議の3回目,最終回が開催されまして,そちらの方に太下委員とともに私も参加してまいりました。その模様が資料4にございますので,順次,御報告をさせていただければと思います。
 資料2が今回の審議会総会の方でお配りいただきました資料です。ちょっと私の手紙を付けさせていただきまして,概要資料があり,その後に続きまして,皆様方に何度も手を入れていただきありがとうございました,経過報告の資料と,それからお約束どおり皆様方に御提出いただきました意見発表シートを合わせて提出させていただきました。
 大臣も10分ほどですけれども,いらっしゃいましたので,またなかなか文書の中に書けなかった何人かの委員の方々からあった,文化庁だけではもう足りない規模なので,文科省にということですとか,あともちろん宮田会長からも,予算増額,頑張っていらっしゃいますよねという強い念押しがされたことを御報告いたします。
 そこで出されました意見概要に関しては,資料3の方にまとめていただいているところでございます。アーカイブに関しては文化政策部会以外の委員会からも,呼称に関する,「アーカイブ」でいいのか,「アーカイブス」じゃないのかとか,あるいはもちろんアーカイブのセンターを作るとなると著作権の問題が非常に多く課題として見えてくるという著作権の分科会からの御意見などもありましたが,共有をすることができたのではないかと考えます。
 また政策部会の多くの委員の皆様も御出席いただいておりまして,アーツカウンシルに関しても複数の方々からプッシュの後押しを頂戴することができました。宮田会長,当日の何か御感想などあられますかね。

【宮田委員】  すみません,ちょっと油断しておりました。
 大変活発な御意見を頂戴いたしました。今,部会長からのお話にもあったように,この中の1枚では書き切れないほどの中身の濃いものがあったんですが,あとはこれを重点的にどこにどういうタイミングでどうするかということを考えないといけないのかなというのが私の感想になります。
 先生方のお話,全て絶対的に必要な,しかし今かというあたりの部分というのが非常に微妙なところだというのが感想でございます。
 以上でございます。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。また後ほど自由討議の時間がございますので,そちらで皆様方,当日,総会の方に出席された皆様,御出席にならなかった皆様方などからも御意見も頂戴できればと思います。
 続きまして,7月31日の文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議の方でございます。資料4が当日そちらの会議で配られておりました中間取りまとめの案でございます。この資料4の3枚目の裏に,これは文化庁の方で審議を踏まえての図式化というようなものがなされているようです。
 大変活発な議論がなされておりまして,特に審議会総会の方でも懸念がありました単なるデータベースを作っても全く意味がないので,それをどういうふうに活用していけるような部分をダイナミックに考えるかということで,様々な意見が出ておりました。くしくもと言っては何ですが,当然ではありますけれども,というわけで,そのデータ化だけでなく,データ化の作業も含めてですけれども,そこをどういうふうに,集まったデータをプロデュースしていけるような人材がとにかく必要と。多くの委員から,やはり人材という言葉が様々な意味で繰り返し出されたことに非常に興味深く思いました。
 こちらの部会では,当面はデジタルでのアーカイブを考えていらっしゃるように私の方からは見受けられましたが,御出席いただいていました太下委員,いかがでしたでしょうか。何か御感想などをお願いします。

【太下委員】  先ほど熊倉部会長からも御報告がありましたけど,この政策部会の審議の中での方向性,そこの大きなトピックスとして,アーカイブということと人材育成という2点があったわけです。今,熊倉部会長からもお話ありましたとおり,このアーカイブに関する有識者会議は,タイトルのとおりアーカイブがテーマですので,その点でも正にぴったりと符合することになりますし,更にこのアーカイブを作ってそれを活用していく専門人材ということが非常に大事だという点でも,こちらの文化政策部会の議論とも非常にマッチすると感じた会議でした。
 文化政策部会の議論と意見交換するということで私も出させていただいたのですけれども,非常に有意義な意見交換だったと思いました。文化庁さんでは,この文化政策部会以外にいろんな個々のテーマで会議体を持たれていると思うのですけれども,そういった会議に出させていただいて,その議論をまたこの場に持ち帰って,大きな政策体系を作っていくということを今後,より体系的にやっていってもいいのかなと思いました。
 感想は以上です。

【熊倉部会長】  ちょっとこの中間取りまとめから最終取りまとめがどうなるのか興味深いところですが,どこも同じですけれども,実際の議論はここのペーパーで書いてあるよりももうちょっと熱い感じがしたのが印象的でございました。
 皆さん,人をもっと置きたいといっても,どうせお金ないからなどとおっしゃっていたので,私からも,そんなこと言わないで,必要だと声を上げていかないと,この機会を逸せずに一緒に頑張っていきましょうとエールの交換をしてまいりました。非常に短い時間でしたけれども,ほかでどういう議論がなされているのかということで,意欲的な試みで良かったなと思います。
 自由討論に入る前に,というわけでここからしばらくは文化団体側の御意見をお聞きしながら,第4次方針の取りまとめに向かってどういうふうな方向性に絞り込みをしていくのか,何を強調していくのかということを,少しずつ議論を前に進めていきたいと思います。
 続きましては,今後の進め方の御提案なんですけれども,2020年に向けてしっかりとした答申を書いていくためにも,この答申の執筆の準備をするワーキンググループをやはりこの中で設置できないかと考えて,文化庁さんの方とは今,御相談中なんですけれども,よろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございます。では,特に御異論はないということで,ではワーキンググループの設置ということで進めさせていただければと思います。どなたにメンバー,お願いするかは,私と事務局,それと部会長代理にも御相談しながら進めていきたいと思います。
 それでは,こちらのワーキンググループの設置について,今,御了解を賜ったということで,それも踏まえまして,今後の答申までの流れを事務局より御説明をお願いいたします。

【内田調整官】  ありがとうございます。ただいまワーキンググループの設置について御了解いただきました。ありがとうございます。
 それで,本日の資料の資料5と資料6に関しまして御説明させていただければと思っております。
 今後のスケジュールでございますけれども,資料5の真ん中の方に点線がございますけれども,この点線から下が今後の予定として考えさせていただいているものです。第6回,7回,8回と引き続き関係団体の皆様方からヒアリングをさせていただきまして,その後,答申起草に向けたワーキンググループを合計4回ぐらい,その間には文化政策部会や総会でも報告をさせていただきながら進めさせていただけないかなと思っております。
 また,国民の皆様からの意見募集というようなこともさせていただきながら,4月上旬ぐらいの答申を目指していただければと思っておりまして,こういった粗々のイメージでございますけれども,部会長や部会長代理と御相談させていただきながら,今後,進めさせていただきたいと思っております。
 それで資料6でお配りしておりますのがヒアリング団体一覧ということでございまして,今日3つの団体様からお話を頂きましたけれども,こちらに記載がある各団体の皆様からヒアリングを頂戴したいなと思っておりまして,もちろんほかにもこういった団体からもお話をお伺いした方がよろしいんじゃないかというようなところがございましたら,御提案いただければと思っておりますし,またそのあたりも部会長,部会長代理とも御相談させていただきながら進めさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。このヒアリング団体一覧は,今回を含めて,次回,次々回,文化芸術団体ですか,それともその後のNPOもここに入っちゃっているんでしょうか。

【内田調整官】  これはまだ途中段階のものでございまして,まだちょっとどちらの自治体さんからお伺いするかというところまでまだ検討できておりませんので,そういった点ですとか,あとNPO法人は2つ入れさせていただいておりますけれども,それ以外にももし推薦がございましたらと思いまして,今後,御相談させていただきたいと思っております。

【熊倉部会長】  委員の皆様方,あとNPOへの支援ということも大きなトピックスになっていますけれども,この一覧に載っているNPOのことは余りイメージしていないんじゃないかなと私見ながら思いますので,是非話を聞いて,2020以降のひな形となるまだ見ぬ活動をしていらっしゃるようなNPO,あるいはその経営の問題などが再三,多くの意見シートの,あるいは議論の中に出てまいりましたので,是非ここのこの人の話をここでお招きして聞くべき,地方公共団体も同様でございます,というような御推薦をどしどし賜れればと思いますので,担当課の方にメールなどで御連絡いただければと。あるいは文化庁の方から,ありませんかとお伺いするやもしれませんので,よろしくお願いいたします。

【内田調整官】  部会長,すみません,ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。この第3次方針の策定の時点,今から5年ぐらい前でございますけど,そのときにもかなりヒアリングさせていただいておるんですけれども,私ども長年,お付き合いがあったといいますか,長年ずっと一緒にいろんな仕事をさせていただきました文化芸術団体さんもほかにたくさんおりまして,ただ時間の関係もございまして,例えば書面で頂くとかそういったことも検討しておりまして,時間の制約もありますので,そういった中でどういった方々,日程調整なども併せてさせていただきながら,どの団体からお話をお伺いするかということをまた御相談させていただきたいと思っております。
 また,第3次方針策定のときと違った視点といたしまして,今日観光関係のJNTO様とかコミックマーケット様とかいらっしゃっていただいておりますけれども,今までどちらかというと経産省さんとか観光庁さんとつながりがあったような団体の方などにも幅広く,より広い視点からいろんな御意見を賜りたいと思っておりまして,そういった観点からも,様々な団体,御推薦を頂ければと考えているところでございます。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 それから,資料5の今後のスケジュールのところに記載いただいておりますけれども,河島委員から御提案がありました前の第3次基本方針がどうだったんだろうかと,どのぐらい実現したのかというようなことを検証する議論の場も是非,持った方がいいということですので,少し先になりますけれども,秋口に我々の第4次基本方針を作る前に,そうした機会も設けていただくようにお願いいたしました。
 それでは,残り40分ほどになってしまいましたけれども,自由討議とさせていただきます。今後のどこに重点を置いていくべきか,どういう考え方をすべきか,あるいは個別の御意見,御提案などでも結構ですけれども,いかがでしょうか。
 加藤委員。

【加藤委員】  アーカイブの部分が非常に議論が出ていて,そのところと関係して,このアーカイブに関する有識者の会議の内容を拝見すると,メンバーに例えば京都の精華大学の国際マンガ研究センターのセンター長の方が入っておられて,こういうのが非常にいいなと思うんです。
 つまり今ここで我々ずっと議論している事柄の方向性が,どうも国が全部やるべきだというような方向で重点的に議論されているような感じがあって,実はアーカイブについても全て国で国立の何々センターを造って,そこでアーカイブしていくという考え方よりも,そのことも必要な部分は是非おやりになればいいと思うんですけど,せっかく民間の篤志家がこれまでいろいろと,いろんなジャンルでいろんなアーカイブをしておられるわけですよね。まだコレクションの段階にとどまっているかもしれないけれども,特にコレクションを含めて,民間の篤志家のコレクションがなければ,そもそも国の今までの文化施設のコレクションが成立しないぐらい,篤志家の部分が重要だと思うんです。
 それを全部,国が集めてくるというのではなくて,民間に存在したそのままの状態で,せっかくおやりいただいている部分を国でバックアップしていく,もっと本気でバックアップしていくということを考えていくべきなんじゃないのかなと思います。
 1つだけ例を挙げますと,例えば映画の映像の資料に関していうと,神戸の映画資料館というのがありまして,ここは本当に全くの民間,手弁当で自分たちだけで苦労して,1万本を超える映像資料を持っておられる。更に1万点以上の関連資料もお持ちだと。そういうものを持って調査研究をしておられて,正にアーカイブ作りをやっておられるわけですけれども,まだその半ばにも達していないと。全体の調査研究が。
 つまりそういう状況で,それはなぜできないかというと,金もなければ人手もいないと。全くの篤志家がやっているわけで,そうした民間でNPOを作ってやっておられるような例をもう少し丁寧に発掘して,そういうところをどうやったらバックアップできるかという観点も非常に重要なんじゃないのかなと思います。
 そうした観点を是非入れて,国に全部集めるという考え方ではなく,分担をしていただく,それをバックアップするという考え方が今後,是非,視野に入れていただきたいなと思います。

【熊倉部会長】  資料4の2というところを見ると,もちろん民間にいろいろある様々なコレクションのまずデジタル化を国が少し支援をして,3ページの裏のところ,日本版ヨーロピアーナと書いてあるんですけど,下手するとただのポータルサイトを作って終わりになる。こっちの資料だけ見ているとね。というようなものなので,国に何かいろいろ集めてきて,一大資料センターを造るなどという話では全然なかったんですよ。
 委員の皆様方はむしろそうした様々な民間も含めたもろもろのコレクションやアーカイブへの入り口を作るだけでは利活用されないので,そこからその編集をして,事を起こしていくことが実はすごく重要で,それがなければただのポータルサイトを作って終わりというのでは絶対駄目という強い危機感が委員会全体からは感じられたと。ここには余りそれが書いていないということでございます。
 ほかにいかがでしょうか。相馬委員,ありがとうございます。

【相馬委員】  先ほどの3団体のヒアリング,大変興味深く拝聴しました。ありがとうございます。
 それで,そもそものところで少し考えたことがありましたので,少しお話しさせていただきますと,コミケさんも,あと観光局さんも,マーケットですよね,コミケというぐらいですから,マーケットがあって,その市場の原理で動いているもの,観光もそうだと思います,と,一方で演奏連盟さんのように必ずしもマーケットの原理で動いているわけではないものとその2つが今日同時に議題に上がっているのかなと思います。
 それで,マーケットの原理で動いているものに関しては経産省さん等も様々な施策を取られていますけれども,やはりそのマーケットが基本的には自立的に存在していて,それがより活性化される,あるいはより豊かになったり円滑に運営されるための施策というものがこういった場でも議論されていくのがいいのであろうと。
 一方で,文化庁さんの特に使命としては,マーケットの原理で必ずしも動かないものをいかにすくい上げていくかということが試されていると私も理解しておりまして,つまりマーケットの原理だけでは多様性が担保できないであるとか,あるいは今,目の前のマーケットでは評価が低いものでも,10年後,20年後に価値を持つかもしれないものにいかに先行投資していくか。それは人材ということも同じだと思いますけれども,そういった視点で考えていく必要があるのかなと。
 金山さんが非常に語気を強めていらっしゃったのも,そうしたマーケットの原理によらない部分でいかに文化庁が説得力を持って外部に説明していくのかということだと思います。
 それで,今後のヒアリング団体等に関しましても,やはりそうした説得力を持っていくために,我々施策を作っていく側の解像度をどれだけ上げていけるかということが重要なのかなと思っていまして,うちは日本をベースに活動している芸術団体で,今,リストを拝見すると,非常に中間支援団体が多いわけですけれども,もちろんこういった業界を束ねていらっしゃるところの意見というのも非常に重要かと思う一方,もし可能であれば,例えばですけれども,海外から見たときに日本はどう見えるのかというような視点で意見を頂けるような機会があると,それはそれでまた参考になるのかなと。
 つまり観光にしてもコミケ的なものにしても,我々日本が日本の視点でこれはすばらしいとか,こうしたいということを言い続けると同時に,外の視点ですよね,例えばフェスティバルにしても様々なそういうイベントにしても,それが日本の国力として外からどう見えているのかというのは,じゃあ,誰に聞くのかというのは非常に難しい選択なんですけれども,たまたま日本にいらしているそういうアートのプロフェッショナルでもいいかもしれませんが,ちょっとそういうほかの機会ともうまくドッキングさせて,海外の方をお招きすることも是非,物理的に可能であれば御検討いただきたいなと思いました。
 以上です。

【熊倉部会長】  宮田委員,どうぞ。

【宮田委員】  先ほど加藤先生のお話を非常に興味深く聞かせていただきました。それぞれの拠点でそれぞれの色の違いをきちっと出し合う,それでその上に,部会長がポータルサイトをやってもそれを立てておしまいじゃ駄目だよねという話,したよね。だからあとはそれの上に,コンシェルジュ構想を載せることによって,人が何が,Aが欲しい,Bが欲しいというふうなことになったときに,そのコンシェルジュに行けば,すぐそれはどこへ行けばいいんだというふうな,それぞれの専門性を持てたことができると思うんです。
 これはマンパワーをそれほど必要とせず,それぞれの機関が自分のところはこれだけのすばらしさがあるんだということを,文化庁の中にそういうコンシェルジュ窓口を作ることによって,それは全部デジタル化で仕事ができるんじゃないかということをちょっと感じました。
 似たようなことを今,我が社がやっているのはIRCAなんですが,International Research Center for the Artsという,これはあくまでもポータルサイトの中でも,アーカイブに関していろんなことの聞きに来た情報を,つぶさに質問に答えられるような環境作りというふうなことをやろうと思っているわけです。そうすることによってそれぞれの,加藤先生,先ほどおっしゃったように,個別分野ごとのアーカイブというものが成立するのかなと。これは日本版としてはちょっと面白いやり方かなという気がしております。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。馬渕委員,お願いします。

【馬渕委員】  先ほど資料4で文化関係のアーカイブの御説明がありましたけれども,その中で1つお伺いしたいのは,3ページのところの3の3つ目のポツのところで,これは前からいろんな形で出ていることだと思うんですが,国立デザインミュージアム(仮称)というものを,やはりデザイン分野の中核施設としてイメージしていらっしゃるというので,私はこれは非常に重要なことだと思うんですが,このときの「デザイン」という言葉が含むものというのがどこまで入るのかというのを前から非常に気になっておりまして。
 というのは,日本は今いろいろな意味のデザインの先進国として非常に海外にいろんなものを発信していると思うんですが,やはりそのベースとなるのは,日本の中にずっとある伝統工芸といったようなものの技術もそうですし,デザインもそうですし,あるいはライフスタイルもそうですし,そういうものが蓄積があって,その後,海外から日本が欧米と接触するようになったときに,いろいろなものが入ってきて新しいデザインが生まれたと思うので,そういう意味で,この「デザイン」という言葉の含む範囲というのをもう少し伝統的な工芸的なもの,そういったものまで含むと,やはり現在,いろいろ伝統工芸の中でも消滅しかかっているものがあるという話,以前にも多分この会議で出ていたと思うんですが,そういう技術だとか,あるいは材質だとか様々なものもそこに含まれ,そしてそれが何が日本の伝統的なものとして残り,あるいは何が海外のものとアマルガムを経て新しいものが生まれたかということが非常によく分かると思うんですね。
 ですから,ちょっとここで今,皆さんの一般的に使っている「デザイン」というイメージが非常にモダンというか,20世紀以降のもののようなイメージがあるんですが,やはりそこにもう少し伝統的なもの,日本の伝統的・工芸的なものというのを含んで,それをこういうミュージアムの中に集めていくということをちょっと御提案したいと思って,発言いたしました。
 以上です。

【熊倉部会長】  河島委員,どうぞ。

【河島委員】  いろいろと今日大変面白いお話を伺って,それぞれに対するちょっとずつのコメントみたいなもので申し訳ないんですけれども,最初の演奏連盟さんにお願いしたいなと思ったことがあったんですが,声が小さいことが問題なんじゃなくて,多分ロジックが余り何かしっかりしていないことなんじゃないかと思っていまして,演劇業界の人たちというのはもともと地位が低かったにもかかわらず,非常にこの20年間で公立文化施設の設立の動きと合わせて,とても重要な業界だというふうに変わったのは,演劇という文化の公共性ということを語るロジックを持っていたんだと思うんですね。
 今日お話を伺っていますと,ちょっと厳しい,失礼な言い方になるかもしれませんが,確かにクラシック音楽をやっている方々,一生懸命やっているし,技術もすばらしいし,音楽はすばらしい文化ですと,でもそれだけだと,この場でようやく,うんうんというぐらいで,この場を一歩外に出ると通用しないロジックだと思うんですね。
 ですから,音楽が社会に対して何ができるのかとか,あるいは仲道さんみたいに個人的にそういう論理をすごく持っていらっしゃるなと私,思っているんですけれども,音楽が人間をどういうふうに育てていけるのかとか,そういう部分での話をもっと豊かにしていかないと,なかなか社会的には通用しにくい部分があるんじゃないかなと思いました。
 それからコミケさんなんですけれども,コミケ自体は展示会の場だとすると,これをコミュニケーションの場としてもっと育てていきたいというお話があって,そこがやはり面白いなと思いますので,パリのジャパンエキスポみたいなコスプレのコンクールであるとか,あと何かいろんな交流するイベントというのがたくさん仕掛けられていると思いますので,こちらのコミケットスペシャル,OTAKUサミットというのがそういう場なのかなと思うんですけれども,こちらの方がむしろ私たちは関心と,今日の結論的な部分とはすごく共鳴するように思いました。
 それから,JNTOなんですけれども,日本にインバウンドの人数のこと,こんなにたくさんの人が来るようになって2,000万人も突破も夢じゃないという人数のところは本当にすばらしい努力だと思うんですけれども,来た人たちに次のサポートが余りないなという感じがありまして,誘致することで終わってほしくない。来た人たちをより支援するというその部分を,実は学会招致のときなんかにも,よく声を掛けていただいているんですけれども,とにかく引っ張ってきてくれと言われるんですけど,その後の方がこっちは大変なんですと,多分アートに関わっている人たちはみんなそう思っていると思うんですね。これがJNTOさんの役割かどうかはよく分からないんですけれども,引っ張ってきて,そこから先が大変で,そこから先の費用がないのに,どうしたらいいんだろうと,それはできないなと,恐らく相馬さんなんかもそういうふうに思われることおありかと思うので,そこのところを考えてもらわないと,観光客も同じかなと。単に来てくれ,来てくれと。来るかもしれないけれども,そこから先というところを充実させていくのが本当の観光立国日本,文化立国としての日本につながるんじゃないかなと思いました。
 それからあと,済みません,ヒアリング関係としてはそういうコメントなんですが,あと今回,全体の話で,時々はあったと思いますし,全体にも関係しているとは思うんですけど,日本の一番いいところというのは,私は地方ごとの文化の豊かさじゃないかと思うんですね。こんなに,狭い国なのか広い国なのか,小さい国なのか大きい国なのか,一言では言えませんけれども,かなり地域により,食文化一つ取っても違うし,毎年,お正月になったらそのお雑煮がどんなに違うかって日本人同士でびっくりし合うぐらい違うという,そういう文化がある国って本当にすばらしいと思うんですね。
 その都市なり地方により,最も何かその最高レベルのものというのが,武家文化であったり,あるいは公家(くげ)の系統であったり,あるいは民衆からの文化であったり,それから表している時代が金沢のような江戸を代表するところであったり,それからそれ以前の室町をすごく体現している町だとか,本当に重層的な文化があるということがかなりの魅力だと思うので,2020年に向けては,先ほど太下さんと大林さんの間でちょっと地方をどう生かすかというところで意見,分かれましたけれども,オリンピックに来てもらうためとかいうことを抜きにしても,やはり日本の地方文化というものの多様性と豊かさというのを我々が再認識して,そして伝えていくということが欲しいなと思いました。

【熊倉部会長】  ありがとうございました。

【三好委員】  ヒアリングに来ていただいた団体の皆さん,ありがとうございました。非常に興味深く聞かせていただきました。
 それで,その中で1つ,JNTOさんの資料で,14ページに訪日外国人の消費動向というの,これを非常に興味深く見たんですけれども,右側のグラフで見ると,上の7つですか,これは今回したことと次回したいことがほぼ一致している。つまりここは何回でもリピートの可能性があると見ていいかと思うんです。
 興味があるのはその下,ちょうど赤枠で囲っていただいている日本の歴史・伝統,生活文化,美術館・博物館,それからずっと下に来ると舞台鑑賞。特に舞台鑑賞の場合には今回したことと次回したいことの差がすごく大きく出ているんですね。
 それでちょっと質問とお願いなんですけれども,これが,ですから次回したいことというのが本当に次回につながればいいんですけれども,そこが単に可能性としてあるだけではやっぱりないと思っていて,何かそこに今回できなかった,あるいは次回したいんだけど何か障害があるということがもしあるとするならば,それは次回の訪日のときの要素につながらないという可能性があるんですね。
 ですから質問したかったのは,ですからそもそもこの消費動向そのもの,多分,原本を見れば書いてあるのかもしれませんが,どういうふうに調査をされていて,それで今のように例えば,なぜ,じゃあ,今回できなかったのか,次回するとした場合にどういうことが必要なのか,それは単に情報の提供だけで済む話なのか,もっと根本的なこと,あるいは単に今回,時間がなかっただけなのか,何かそういう追加情報のようなことがもう少しあると,正にこの部分がもう少し将来に向けた基礎的な資料になっていくと思うので,その辺,もし今,お話しいただける内容があればお話しいただきたいし,もし今後そういう調査をされるのであれば,もう少し掘り下げていただけると有り難いなということでございます。
 以上です。

【熊倉部会長】  いかがでしょうか。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  ここに書いてあるのは恐らく初めての訪日も,それからリピートしている方も混ざっているので,なかなかはっきり申し上げられないのと,あと私もこの周辺の調査の部分,読んだんですけど,そこまで詳しいところのフォローができていないと認識しております。もうちょっと詳しく調べてみます。

【三好委員】  もし可能でしたら,せっかく海外事務所もお持ちなので,そういうところでいろいろ話を聞いていただけると,もう少し参考になるかと思いますので,是非可能であればお願いしたいと思っています。

【冨岡日本政府観光局海外マーケティング部次長】  分かりました。

【熊倉部会長】  はい,吉本委員,すみません,続いて。

【吉本委員】  帰られてしまったんですけど,大林委員がおっしゃっていたオリンピックを見に来た人は文化は見ないよという,それでロンドンの調査があると思っていろいろ調べたらちょっと出てきたので,御紹介しますと,これは何か8つのイベントだけしか調べていないので,全体の傾向はないんですけれども,ほとんど国内の人が見ているんですね。
 それで,例えばシュトックハウゼンのオペラの初演だと思うんですけれども,これは海外の人が11.5%,それからピカデリー・サーカス・サーカスというピカデリーサーカスがやった大規模な屋外イベントが15%が外国人ということなので,もちろん海外から来た方に日本の文化をしっかり見てもらうというのはすごく重要だと思うんですけれども,僕はむしろ全国でいろんなものを展開するときは,ふだん文化に触れない人たちがオリンピックを機に日本の文化のすばらしさに気付き,あるいは新しい日本文化を作っていくという,そこのことの重要性というのも併せてこのオリンピックの文化プログラムのときには考えていった方がいいんじゃないかなと思います。
 正確なデータは覚えていないんですけれども,このロンドン五輪の文化プログラムに参加した人たちのリサーチをした結果の1つに,今後も文化的なものを見たいと思いますかというのに答えた人たちがたしか5分の1いたんですよね。ということは,イギリスの国民にすると1,000万人だという数字を彼らは出していたんですけど,それぐらいオリンピックの文化プログラムを機に,より文化に親しむ,より文化に関心を持つ人が増えるというところがまさしくレガシーになると思うので,もちろん海外から来た人にとにかく見ていただく,それも当然あると思うんですけども,それだけではないということを明確にした方が良いかなと思いました。
 それともう一つは,最後のこの答申のまとめに関してなんですけれども,審議経過報告,部会長はじめ本当にお疲れさまでした。前回のまとめから何か格段に充実していて,すばらしいなと思ったんですけれども,その中でちょっと幾つか確認をしたいんですが,3ページのところに今申し上げました文化プログラムのことが書いてあるんですけども,上から4行目ぐらいのところに「文化プログラムを推進するための機運を醸成する」と書いてあって,つまりオリンピックの文化プログラムは最終的には組織委員会が主催者としてなってやっていくことになると思うんですが,そのことに対して文化庁の立ち位置ですよね,文化庁が何か主催するものがあるのか,あるいはこの下の方には全国で取り組める支援と書いてありますので,例えば都道府県がオリンピックの文化プログラムとしてこういうことをやりたいということに対して,あるいは芸術団体とか文化施設でもいいと思うんですけど,そこに対して文化庁が財政的な支援をするというスタンスで今,考えられているのかどうか。まだ6年先のことですし,組織委員会の方も文化プログラムの検討は始まっていないので,まだ決まっていないことが多いと思うんですけれども,その辺がどうなのかなということが,疑問が1点です。
 それからあと文化芸術立国の実現に向けてということで,「人をつくる」以下,大きな3項目と,最後に組織と出ているんですけども,これを一体誰がやるのかということが余り書いていなくて,まさかこれ全部,文化庁がやるわけではないと思いますので,例えば地方公共団体が造った劇場とか音楽堂とか美術館とか博物館とか芸術団体とかNPOとか,いろんなこれを担う,やるべき人たち,プレーヤーがいると思うんですね。ですから最後のまとめに際しては,そのあたりのことも書き込んでいってはどうかなと思います。
 以上2点です。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。ちょっとお待ちください。武内さんが先に手を挙げていらっしゃいました。

【武内委員】  コンベンション,MICEに関わっているところで,今,事務局の方が来られていますので,少しお話しします。ちょうど今,博物館会議,ICOMを誘致中というお話がありました。大型,若しくは,ある程度の規模の国際会議は誘致することになると,やはり,科学技術系の会議が圧倒的に多くなります。文化自体を中心のテーマとするコンベンションは資金難など,いろいろな背景もあって,大型の誘致はなかなかしにくいということがあります。こういったすばらしい皆さんがたくさん集まっておられるということもありますし,誘致資金的についても,この文化施策に関連し,この機会に検討いただけないかと思っております。
 それから,MICEの中で,文化がテーマのMICEではないにしても,いろいろな場面,例えば,会議の中でのホスピタリティープログラムであるとか,関連のアフターコンベンションであるとか,そのようなときに文化の紹介などに触れていただく機会があります。国内外の方とたくさんつながる場面で,例えば,世界遺産の動きというのは非常に誘致のときにも魅力的ですし,発信力もあり,文化と関連したテーマとして非常に大きいのです。私は,実はコンベンションをやっておりまして,観光政策や科学技術の問題などというのは,よく回りで話が出るのですけれど,案外,「文化」には触れる機会が少なくて,この文化庁様の会議に出させていただいて,いろいろなことを教えていただいている状況です。発信できる機会,コンベンションのツアーであったり,その中の文化行事の場面であったりというところにそういった文化を発信したいと思っている人たちがアクセスできる「つなぎ」があると,非常に有り難い。
 それは,我々PCOと言われます国際会議を企画運営する者であったり,あと今,各地のコンベンション・ビューローさんに割と相談することが多いのですが,そこがまたそういう文化団体と密にやりとりされているかといいますと,いろいろな団体の形があって実際のところはよく分かりませんが,案外つながらず,せっかくあるのに,そういったものとアクセスできないということが起こっていると思います。
 ポスターなども作るのですが,毎回デザインにいろいろ苦労しています。そういったデザインに関しても,世界に発信していくものになりますので,何かそういう活動をしている団体の方とアクセスすることができれば,より発信力の高いものができるのではないかと思います。
 あと地方のお話がでておりますけれども,今,集中的に大都市に大型の案件を誘致しようという動きがある一方で,やはり地方,地方でそういったいろいろな誘致活動を行おうと自治体さんが頑張っておられたりという面もありますし,地方に施設をという声も上がっています。
 そういった意味で,先ほどありました地方にはいろいろな文化や観光のスポットや芸能などがあるのですけれども,またなかなかこれが,コンベンションとつながってこない。これもやはりネットワークの問題等があるかも知れません。何しろ大きな問題としては,「お金がない」という話がいつもあるというところがあります。
 今,この審議会,どこにどうお金を付けていくかというお話で,いろいろなところにいろいろなニーズがある中で,そういう発信の元になる場面があるわけなので,その場面とうまく発信したい人をつないで,かつ若干の補助でもあれば,より発信源として大きな効果をもたらすんじゃないかと考えています。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。湯浅委員からお願いします。

【湯浅委員】  前回の審議会の報告で,これまで中間をまとめた中でもいろいろなポイントがあった中で,省庁横断的に今,取り組んでいくべきだということが非常に大きく,今までの部会の中でも出ていたことで,そこに向けてのコンセンサスも非常に今できてきていると思いますし,過去の部会の中でも,ほかの省庁の方々に来ていただいて御意見を伺うというのも非常に参考になったかと思います。
 本日も,特にJNTOさんの観光政策の中での文化の位置と,2020年に向けての共同で取り組める文化部門と観光部門というものが非常にオーバーラップが多いということが非常に明らかだと思うんですが,この後の政策部会の作業として,それではその連携をするに当たっても,文化芸術に投資をする,文化庁さんの担当分野としては,こと固有にこういったところを目指すという,連携する中でもほかとオーバーラップしない,ここに公的な予算を投入するからこそここを伸ばしていって,2020年にここに持っていくんですというようなロジックを作れるといいんじゃないかと思いました。併せて,連携するからこそできることというのはここにありますというような整理ができないかなと思いました。
 ちょっと今日の御発表の資料の中で,特に観光立国実現に向けたアクション・プログラムというのがJNTOさんの資料の14ページに,具体的に例えば美術館・博物館の展示会を国際化言語に対応していくというのは非常に重要なことだと思いますし,政策部会の中でもそういった国際化に対応する施策というのが出ていて,この審議会で配られた資料の中でも,Wi-Fiの環境整備というものが書かれているので,じゃあ,ここは2つの省庁が連携してやるのか,どういうふうな役割分担なのかということは明らかにしていった方が,効率的な予算の使い道とより大きなインパクトを出せるのかなと思いました。
 もう一つ,ヒアリングについてなんですが,今,お名前が挙がっている団体と,それ以外のこれから名前が挙がっていく団体の方々に,今日も含めて,御意見を伺うというのは非常に有効なことだと思うんですが,プロセスとして,どういうようなお願いの仕方を今されているのかちょっと確認をしたいんですけれども,自由に御意見を10分間でまとめていただくような御依頼なのかどうなのか。
 非常に時間も限られている中で,貴重な機会だと思いますので,例えば今,各委員の方からも,これまで2020年に向けたビジョンの御提案と,それに向けて何が足りないのか,あとは例えば人材育成についてどういう人材が,ニーズがあるのかというようなことのお話も出てきたと思うんですが,もし幾つか共通のヘッドラインを持ったヒアリングの在り方があると,すごくその後の素案を作るときにいいのかなと思いました。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。ちょっとまとめて。増田委員。

【増田委員】  カルチュア・コンビニエンス・クラブの増田といいます。提言を2つしたいと思います。
 僕は社名がカルチュア・コンビニエンス・クラブということで,文化と言っているんですけど,提言の1つ目は,この文化とか芸術というのを定義されていたら別ですけれども,余り定義されていないように思うんです。文化・芸術と言いますけれども,例えば旅行とかアート,音楽,デザイン,工芸,スポーツ,いろんなことが話題に出てくるんだけれども,文化とはかくかくしかじか,芸術とはかくかくしかじかみたいな規定とかキーワードとか何かないと,例えばそこにおける市場がどのぐらいの大きさといったときに,計算のしようがないと思うんですよ。
 あるいは文化人といったときのその文化人というのはどこの人なのかも分からないし,音楽の人なのか,音楽に関わっている人は音楽,文化の中に芸術があって,芸術の中に音楽があるんだとしたら,音楽に関わっている人が何人なのかというのが統計のしようがないと思うし,そういうことで文化をもっとパワーアップしようといってもちょっとぼけるような気がするので,整理されたものがあれば教えてほしいし,なければ是非整理してほしいなと思います。これが1点目です。
 それから2つ目,僕は余りこういう文化的なこと,苦手なんですけれども,物の本で,文化というのはスポンサーによって成り立つ。大体,歴史的には4つか5つぐらいスポンサーがいて,例えば音楽家だったら最初は貴族が貴族の義務として育成する。いわゆるパトロンですね。それから興行とかCDが出てくると,今度は一般ユーザーが自分の満足に対して対価を払って,その対価がアーティストに行くという。それから3番目に,すばらしくアーティストが育つと,そのイメージを企業が買って,企業がスポンサーになる。あるいは国家として,今日お話ししているように国家戦略として国家がスポンサーをするというふうに,文化とスポンサーの関係というのはいろいろあると思うんですね。
 それを最初にお話ししたいろんな文化について,誰が担い手なのか,音楽なんかの場合は,ほとんどの場合は民間がやっていると思うんですけれども,一般の消費者なり企業がスポンサーして,そういう人たちによって成長していくということだと思うんですけれども,そういうような視点でそれぞれの文化,あるいは芸術というのがどういう構造になっていて,どういうふうに,どこのボタンを押せばそれがすごくパワーアップするのかなんていうのが見えたらいいなと思いました。
 ちなみに今,音楽業界ですごく問題になっているのは,やっぱりコンテンツの無償化です。専門の方がたくさんいらっしゃると思いますけれども,去年恐らくCDの売上げって,13%ぐらい下がって3,000億円ぐらいになったんですね。その分を配信が補?しているかというと,実はそうではなくて,配信の収入というのは23%も前年を割れていて,アーティストにはなかなかお金が戻らない。ですから配信もパッケージもすごく減収していて,その穴埋めというのがライブで,これが36%ぐらい増えているんですが,そのライブで盛り返しているとはいえ,一般の人たちはみんなユーチューブなり何なりで無償でコンテンツを見るという癖になっているので,そういう中で音楽産業というのは衰退しないのかな,大丈夫かなという危惧を持っているんですが,そういうことも含め,何か整理の仕方として,誰が担い手で,あるいは文化・芸術といえばどういうキーがあってみたいな整理をしていただくと,すごく議論がもっと積み上がっていくのかなと思いました。
 以上です。

【熊倉部会長】  赤坂委員,お待たせしました。

【赤坂委員】  文化関係資料のアーカイブという資料を読んでいて,出てこないのでちょっと発言させていただきたいんですけども,僕は絵はがきってすごく関心がありまして,多分,文化財なのか美術品なのかとかいうと漏れてしまって,すき間の小さな大衆文化財なんですね。
 ところがこの絵はがきというのがとても実は面白い。文化と観光の接点だと思うんですけども,そもそも著作権がないんですね。ですからそれをきちんとアーカイブして,使えるような形で公開すると,自由に皆が使える共有の文化財になっていく。実は僕が前に勤めていた大学の小さな研究所で,2万数千枚の東北を中心とした絵はがきを集めました。それを,タグを付けたんですね。中に出てくる例えば船とか,あるいは温泉だったら肘折温泉とか,タグを付けて検索機能を付けて公開しました。そうしたら物すごく使われます。
 例えば「船」というふうに検索すると,1,800ぐらい出てきちゃうんですね。それを比べるだけで研究の資料として物すごく面白いとか,あるいはどこどこの温泉で古い自分たちの写真がないので,じゃあ,そこを押してくださいというと,数十枚の写真,絵はがきが出てきて,それで早速,観光の材料に使えるみたいなことがあって,絵はがきの持っている大衆文化財みたいなものとしての可能性みたいなのも随分見てきたので,是非このアーカイブの中に1つのテーマとして付け加えてほしいなと思いながら,実はそのためには,アーカイブということは一体,何なのかという研究が未開の段階なんですね。
 だからせっかくいろんな面白い資料があっても,それを例えば観光の現場につなげていくためには何をどのように整備していって,公開していくのかといったことがほとんど全く議論も研究もされていないというのが現実だと思います。ですからアーカイブというこの進める中で,資料としての意味をどのように再発見していくのか,活用していくのかということをきちんと議論や研究する場も組織していかないと,生かされないだろうなと感じました。
 絵はがきってすごくすき間の文化財が面白くて,今,始めれば,多分100万枚とかそういう資料が自由に使えるものになる。是非そういうことをやってほしいなと思いました。

【熊倉部会長】  では,今日まだ御発言のない佐々木委員,お願いします。

【佐々木委員】  アーカイブということに関して言うと,かつて通産省の時代にデジタルアーカイブという事業をやっていたことがあって,それが例えば京都とか金沢のような,先ほど出ましたけど,伝統工芸の意匠に関わるようなものをアーカイブしていきます。二条城のふすま絵などをアーカイブ化して,それをマーケットに乗せようとする,通産省ですけどね,当時。
 ところがこれはなかなかうまくいかなくて,例えば京都の伝統工芸などは,最終的な著作権を持っている人が確認できなかったんですね。ですからマーケットにうまく乗らないと。本来ならやっぱりデジタルアーカイブというのは文化庁なりこちらの方がやったものをきちっと整理しながらマーケットに乗せていくという,そういった意味では本筋に戻ってきたというふうな印象を受けております。
 それから,ちょっと時間がないので,最後の,お手元にあるこのチラシ,これの宣伝だけさせてもらいます。
 それで,先ほど来,地方からオリンピック文化プログラムをどう地域の再生につなげるかというテーマが出ていましたけれども,この提言の中でも,地域を元気にするというところと,世界への発信のハブとなるという話がありますが,創造都市政策セミナーというものと,裏側を見ていただきますと,創造のワークショップというのがあって,今年は期せずして札幌市と,それからその近くにありますが東川町,この2か所で連続的に行われます。
 札幌市は昨年秋にユネスコの創造都市ネットワークにメディア・アーツで登録が認定されて,そしてその勢いで,坂本龍一さんをゲストディレクターに招いて,第1回の国際芸術祭を開催するということで大変,盛り上がっています。坂本さんは,ただし,がんが発見されて,ちょっと来られませんがね。
 それから一方,東川町の方は,写真の町というのを20年ぐらいやっていまして,写真甲子園ということで全国の高校生が一斉に出しているんですけど,そういうもののたしか20周年記念かな,ということで,この両方で開催いたしまして,青柳長官にももちろん来ていただきますし,北川フラムさんとか何人か駆け付けていただいております。
 こういうものを毎年積み上げながら,私はやはりこの担い手をどう作っていくか,それから文化政策研究院というのが日本にはないので,これは加藤委員も前から言っておられますが,やはり文化政策創造都市研究院,研究センターというものに結び付けていければいいなと。それが大体2020の東京オリンピック前に実現するというふうにしたいなということですね。
 よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】  時間を過ぎてしまったので,仲道委員,一言だけにしていただけますか。

【仲道委員】  オリンピックを見据えてのこれからの文化施策について,一言なんですけれども,イギリスから多くの学ぶべき点もあるんですが,イギリスの反省からも学ぶべきかと思うんですね。
 というのは,その当時,イギリスにいたいわゆる文化人と言われる人たちでも,何がどこで行われているか把握できなかったという話を聞いたことがあります。今,一生懸命ここで話し合われていることが,どのように実行・実現していくのか,そしてそれがオリンピック委員会の考えていることとどのように,全く違う筋道になっていくのか,同じになっていくのか,文化庁としてどのようなことなのかということを,どのように周知していくのかを含め,責任を持って最後まできちんと遂行するというようなことが必要になるのではと思って,一言。
 あともう少しいいですか。ごめんなさい。せっかく観光の方がいらっしゃるので,アーティストビザなんですけれども,これからいろんなアーティストの交流が活発になっていく中で,何度も来日するようなアーティストのビザの発行の手続の緩和といいますか,何らかの措置があったら,より融通が利くのではないかなと思いまして,一言付け加えさせていただきます。

【熊倉部会長】  ありがとうございます。
 時間になりました。今日は少し話が各論に終始したような気もしまして,すみません,仕切りが悪くて。後半に向けての仕切り直しということで,またちょっと次回以降についてどういうふうに議論を進めていくのか,ちょっと事務局と相談したいなと思っております。
 幾つかの,今の最後の仲道委員のお話も含めて,東京で行われる文化プログラム,JOCがなさるものとは別に,文化庁は何をすべきなのか,先ほど吉本委員もおっしゃいましたけど,東京以外がこの機に,オリンピックの開催中は,来てくれたら良いけど,それは我々の仕事じゃないと思うんですけれども,そのオリンピック後に向けて何かつながっていくような施策やプラン作り,人作りみたいなものをどう応援していくべきか,あるいは応援していったらいいんじゃないかと我々が提言しないと,文化庁さんはなかなか動きづらいと思いますので,またちょっと次回以降,そうした再来年から始まります文化プログラムの期間に向けて,それを利用しながら,東京以外でどんなことをしていったらいいのか,そしてその結果,2020年以降,やはりもう一度,どんなレガシーを残していくべきなのかというところに少し立ち返りながらお話をしていきたいなと思っております。
 それでは最後に,事務局から次回以降の会議日程の御説明をお願いします。

【内田調整官】  9月から11月まで日程が決まっておりまして,次回,第6回が9月1日月曜日10時から,第7回が10月27日月曜日の15時から,第8回が11月10日月曜日の15時からということで御案内させていただいているとおりでございます。また場所等は追って御連絡申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。

【熊倉部会長】  では,これで本日は閉会いたします。皆様,どうもありがとうございました。ヒアリングの皆様も長時間お付き合いいただきまして,ありがとうございました。

―― 了 ――

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