文化審議会第14期文化政策部会(第2回)議事録

平成28年7月27日

【三木企画調整官】定刻になりましたので,ただいまから第2回文化政策部会を始めさせていただきます。開会に先立ちまして,配布資料の確認をさせていただきます。
 既に事務的には御案内させていただいておりますけれども,文化審議会でもペーパーレス化を進めさせていただきたいと思っております。本日の配布資料としましては,お手元に紙では吉本委員御提供の資料を配布させていただいておりますけれども,それ以外の会議の資料はiPadの端末に入ってございます。ペーパーレス化につきましては来年度からペーパーレス会議システムが文科省全体に導入されることになっておりまして,それに向けまして,今年度準備期間ということで,iPadを使って,我々,席に座っている方々の資料をペーパーレス化させていただいております。
 操作方法を簡単に御説明させていただきますと,iPadを開けていただいて,今このような画面が出ておりましたら,moreNOTE5.1,5.0というのがあると思いますので,そこをタップしていただきますと,このように資料の一覧がずらっと出てきますので,それぞれ見ていただくところをタップしていただきますと,それぞれのファイルが開くということになっております。そして,画面を横にスクロールいただきますと,どんどんページが前後していくということでございます。初めての方もいらっしゃると思いますので,簡単な説明は以上なんですけれども,机上にはこのように簡単な説明の仕方もございますので。あと途中で迷い子になったり,分からなくなったりした場合があれば,我々とか,事務局に意思表示していただければ,あそこに職員がおりますので,操作を,変なところを押してしまったとかというのをお手伝いさせていただきたいと思います。
 現時点で資料がインストールされているかどうか御確認いただいて,もし入ってないようであれば,教えていただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
 次に,前回から今回までの間に文化庁の事務局におきまして人事異動がございましたので,名前を御紹介させていただきたいと思います。
 まず藤江文化財部長でございます。

【藤江文化財部長】藤江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【三木企画調整官】それから,大西文化財部記念物課長でございます。

【大西記念物課長】大西でございます。よろしくお願いいたします。

【三木企画調整官】続きまして,村瀬文化プログラム推進企画官でございます。

【村瀬文化プログラム推進企画官】村瀬でございます。よろしくお願いします。

【三木企画調整官】根来長官官房付でございます。

【根来長官官房付】根来でございます。よろしくお願いいたします。

【三木企画調整官】それから併せまして,本日,説明者ということで,内閣官房とオリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会から来ていただいておりますので,その方も2名,それぞれ御紹介させていただきたいと思います。
 まず内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局の清水参事官でございます。

【清水参事官】清水と申します。よろしくお願いいたします。

【三木企画調整官】続きまして,公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会小幡企画財務局企画部長でございます。

【小幡企画部長】小幡と申します。よろしくお願いいたします。

【三木企画調整官】それでは,事務局から部会長に引き継がせていただきたいと思います。部会長,よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】皆さん,おはようございます。お忙しいところをお集まりいただきまして,ありがとうございます。ただいまより,今期第2回目の文化政策部会を開催いたします。
 本日は,次第にございますように,文化プログラムについて,文化庁及びオリパラ組織委員会,そして,内閣官房の大会推進本部事務局から御説明をいただきました後に皆さんに御議論をいただきます。その後,最近の文化政策につきましてもろもろございますので,事務局より御報告をさせていただきます。
 それでは,早速,本日の議題1にございます文化プログラムについてです。最初に文化庁,続いて大会組織委員会,そして内閣官房という順番で御説明いただいた後に御議論いただく予定ですので,よろしくお願いいたします。

【村瀬文化プログラム推進企画官】それでは,まず初めに文化庁の方から説明させていただきたいと思いますが,着席したままで失礼いたします。文化プログラム担当の村瀬と申します。
 お手元,資料1-1というものでございますけれども,そちらを開いていただければと存じます。本日,今後の文化プログラムの実施に向けまして,組織委員会,それから内閣官房,オリパラ事務局,そして,文化庁の関係3機関から,先ほど部会長先生からお話しございましたけれども,最近の状況を整理して御紹介しながら,今後の取組の方向性について先生方から御示唆を賜りたいというふうに考えているところでございます。
 まず初めに私の方から全体のたてつけを中心に御紹介したいと存じます。資料1-1,皆様方,御用意できましたでしょうか。よろしいでしょうか。右下のところからページが展開していく操作になっているかと存じますけれども,御案内のとおり,1枚めくるといいますか,1枚スライドを繰っていただきますと,文化プログラムの実施につきまして開催国の義務とされているところでございまして,また,1枚スライドを繰っていただきますと,各種の方針が出てございますけれども,先生方に御尽力賜りました先の文化芸術の振興に関する基本方針がございます。冒頭のところ,書いてございますけれども,文化プログラムにつきましては,文プロ等の機会を活用しまして,全国の自治体あるいは芸術家等との連携の下,その地域の文化を体験してもらうための取組を全国各地で実施することとされております。また,更にごらんのようないろいろな場面で,この文プロの推進について規定がされているところでございます。
 こうした方針を踏まえまして,現在,冒頭御紹介しました関係機関では文化プログラムの認証等について,次の3ページになります。次のスライドになりますけれども,御覧のとおり,三つの構成で考えているところでございます。3ページと4ページとスライドが二つありますけれども,一括して御説明したいと存じます。若干スライドを前後していただきながらになりますけれども,まず第1は,東京2020公認文化オリンピアードと呼ばれるものでございまして,組織委員会や国,開催都市,それから公式スポンサーが実施します文化芸術性の高い事業が対象となるもので,組織委員会が認証するものがございます。
 第2がその下でございますけれども,東京2020応援文化オリンピアードと呼ばれるものでございまして,大会の関連事業としまして,非営利団体が実施するもので,1と同様に組織委員会が認証するものとなってございます。
 それから三つ目でございますけれども,Beyond2020プログラムでございまして,これは公式スポンサー以外の企業等が実施する事業も対象となるものでございまして,現在,内閣官房のオリパラ事務局において制度設計が行われているものでございます。
 1枚めくっていただきますと,5枚目のところ,ちょうど一昨日,組織委員会におきまして,アクション&レガシープラン等が作成されたところでございます。それぞれの詳細につきましてはこの後の関係機関における御説明に譲りたいと思います。
 続いて,次のスライドになりますけれども,14分の6と出ているところの表示でございます。文化庁における取組でございますが,ただいま申し上げましたとおり,御覧の枠に沿いまして,文化庁におきましても,他の機関と同様に,組織委員会,内閣官房オリパラ事務局の作成したスキームにのっとった形で申請していくという形になります。
 具体的には,次のスライドになりますけれども,こちら文化庁が取り組む文プロの三つの枠組みと書いてございます。それぞれ3段の形になってございますけれども,例えば,一番上のピンク色のところでございますが,文化庁主催事業といたしましては,御覧のとおり,本年10月にスポーツ・文化・ワールド・フォーラムをキックオフといたしまして実施するとともに,御覧の芸術祭,あるいは国民文化祭等のプログラムを展開していくことを考えてございます。さらに,中段でございますけれども,地方公共団体や民間において取り組むプロジェクトにつきましても,例えば,瀬戸内国際芸術祭など,様々な文化芸術,これらが全国各地で行われることになってございますので,こうした機会を活用して文プロとして発信していければと考えているところでございます。
 それからまた,将来に目を転じた場合に,右側になりますけれども,これからの取組といたしましては,御覧の文化芸術の基盤作り,あるいは産業振興等に生かすという意味での新たな拠点作り,さらには国内外に向けての文化の発信といった柱で進めていければと考えております。詳細につきましては,次のスライド14分の8のところでございますけれども,御覧のような取組を実施いたしまして,左から順に基盤作りのところにつきましては人材育成,体制強化の側面,それから真ん中の産業に生かすという趣旨におきましては,産官学の連携というものを生かした形での取組といったようなもの,さらには文化の発信といったような取組を,今後文化庁として進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 次ページ以下につきましては,全国各地で行われている文化芸術活動の例となるものでございまして,このほかは参考資料でございますので,説明は割愛させていただきます。

 私からは以上でございます。

【熊倉部会長】では,続きまして,小幡さんの方からお願いします。

【小幡企画部長】ありがとうございます。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で企画部長をしています,小幡と申します。本日は,先ほど村瀬室長の方から話がありましたが,月曜日に理事会がございまして,そこでアクション&レガシープランというものをまとめさせていただきました。それに関連して,東京2020参画プログラムというものを今後展開していきたいと思っておりますので,その内容について説明をさせていただきたいと思います。
 資料は,02資料1-2というものでございます。ページと16分の2とか,そこら辺が1ページずつずれていますが,まず,下の16分の3を御覧いただければと思います。「東京2020参画プログラムとは」というものでございますが,ここにございますように,オリンピック・パラリンピックは参加することに意義があるということでございます。我々,ここにビジョンと書かせていただいていますけれども,これは一昨年の10月10日,1964年のオリンピック開会式の50周年のときに発表させていただいているんですが,まだなかなか広がってない点はありますけれども,ここにありますように,スポーツには世界と未来を変える力がある。全ての人が自己ベストを目指す。一人一人が互いを認め合う。そして,未来につなげようという,この三つの基本的なコンセプトを我々の大会ビジョンとしているところでございまして,これを出発点にいろいろなプラン,またプログラムを作成しているところでございます。
 アクション&レガシープランについては,先ほど少し話がありましたとおりですが,これまで組織委員会だけではなくて,内閣府官房さんや文化庁,また東京都,いろいろな関係する団体の方々と一緒に検討してきたものでございます。また,組織委員会の中に有識者の委員会というものも作っておりまして,文化・教育委員会でございますが,委員長は,この間まで宮田現文化庁長官でございます。今,宮田長官の後,青柳先生に委員長になっていただいておりますけれども,そういう意味で文化庁とも一体となって,検討させていただいています。そこに5本柱で検討してきたところですが,その大きな中心となる柱として文化と教育を考えております。名前のとおり,一人でも多くの方が参画,アクションしていただき,それを大会に向けて展開して,その後,成果を未来に継承していくというのがこのアクション&レガシープランになっております。
 アクション&レガシープランを,どうやったら全国に展開できるのかということを実施するプログラムというのが,東京2020参画プログラムというものでございます。具体的に,分かりやすく言うと,今後エンブレムやエンブレムに関連したようなマークを開発・作成して,それを皆さんに付けていただくことで,一体となって取り組んでいけるような仕組みを作っていくことを考えております。
 次のページを御覧いただければと思います。ここにございますように,東京2020参画プログラムでございますが,大きく二つに分かれております。一つが東京2020公認プログラム,もう一つが東京2020応援プログラムとなっております。主体によって分けられていると考えていただいたら分かりやすいと思いますが,公認プログラムの方はエンブレムが使える主体でございます。東京都,開催都市をはじめ各省庁や我々のスポンサー,あとJOC,JPC,会場関連自治体などがエンブレムを使える主体でございますが,そこが行う文化イベント事業については,公認プログラムとして展開いただきたいと思っております。そこには,公認マークというものを今後作っていきたいと考えております。これまでホクホクマークというような言い方をしてきたものでございますが,エンブレムとセットになったようなマークになるかと考えております。
 もう一方で,応援プログラムということでございます。これは非営利団体が中心になると思いますが,エンブレムそのものが使えない主体ではありますけれども,我々と一緒になってプログラムを展開いただく団体に対して,このプログラムの中でいろいろ展開いただければと思っています。マークは応援マークということで,ノンコマーシャルマークという言い方をこれまでしてきていますが,ロンドンの例,皆さん,よく御承知だと思いますので,こちらの方はインスパイアマークというふうに考えていただくと分かりやすいかと思います。この下にある8つの分野でこのプログラムを展開していくと考えております。これまでロンドンでもリオでもいろいろ,リオはあんまり展開が進んでないと聞いていますけれども,ロンドンやリオで行われたものより分野も広げた形でやっていこうということで,我々としては非常にチャレンジな形でのプログラムと考えております。IOCとも今いろいろ協議しながらやっているところでございますが,IOCの方も,このプログラム,これまで以上の考え方,また,展開ということで評価してもらっているところでございます。
 次のページをごらんいただきたいと思います。これで認証という形を受けると何ができるかということで,先ほど申し上げましたように,マークが使えたり,プログラム名が使用できるということです。
 二つ目でございます。オリンピック・パラリンピック文言の使用ということで,こんな言葉も使っちゃいけないのかなと思われる方もいらっしゃるところですが,一応,オリンピック・パラリンピックという文言もエンブレムなどと同じように知的財産として保護される対象という整理になっているものでございますので,認証を受けた場合には,例えば公認プログラムの場合はタイトルでも使用ができるようになるとか,応援プログラムではタイトルでは使用できませんが,説明文等々の中で使っていただけるようになる等,ルールの中でできるだけオリンピック・パラリンピックということを使って取り組んでいただけるような形にしていきたいと思っております。
 もう一つの留意事項で,どうしてもルールとして加えざるを得ない部分でございますが,スポンサーを除き,商用・宣伝目的の製品利用を認められないとか,非スポンサーについては少し制限があるというようなことが留意事項として書いております。
 次のページでございますが,このプログラムに関わっていただくことのメリットということで,我々と一緒に東京2020大会に向けて取り組んでいただくという,我々エンゲージメントになるということや,あとは地域,また全国,そして未来につながるような取組として,最終的にはそれぞれの活動がレガシーとして大会以降も残っていくようなものになっていただければ有り難く思っております。
 次のページを御覧いただきたいと思います。この間月曜日に,理事会でも御承認いただきましたので,10月以降,このアクションというのは本格的にスタートさせていきたいと思っております。リオの大会が終わった後から,アクションをスタートさせていきたいと思っていますが,10月以降のアクションが対象になるんですけれども,8月から申請も受け付けていきたいと思っております。
 まず公認プログラムの方は,これまでもいろいろ関係機関とお話しさせていただきながらやっておりますので,10月以降,スタートさせることで問題ないかと思っているんですが,応援プログラムの方はまだまだアクション&レガシープランでやっているプログラム自体の周知も足りないところでございますし,また,申請を受け付けるとなれば,それなりの体制も整えなければいけないということもございますので,まずはここに書かせていただいているような,これまでも一緒になってプランを考えていただいたりしてきているような団体の方々から,スタートさせることを考えているところでございます。
 文化関連については,日本芸術文化振興会,国際交流基金,東京都の関連で東京都歴史文化財団,あと日本芸能実演家団体協議会,こういった団体については,この秋,10月からスタートさせていただきたいと思っております。基本的に10月のは組織委員会が直接申請を受け付ける団体ということになりますので,今後,申請の受け付けを組織委員会が直接受け付けるだけではなくて,各自治体の方にお願いするとか,いろいろな形で仕組みを考えながら全国に広がるやり方を考えていきたいと思っております。
 次のページでございます。対象となるアクションでございますが,基礎要件は公益性とか,非営利性等でございます。先ほど申し上げましたマーケティングルールの遵守もお願いしたいと思っていますが,大会ビジョン,また目指すべきレガシー,コンセプトとも合致していることと書かせていただいております。
 次のページでございます。申請方法,細かい話でございますが,組織委員会が直接申請を受け付けるやり方,また,窓口団体,都道府県などを経由して申請いただくやり方を考えております。
 東京都につきましては,いろいろ話をさせていただいておりまして,市区町村の申請は東京都を通して組織委員会に申請いただくような形で考えているところでございます。また,応援プログラムについては,先ほど申し上げましたように,当面組織委員会が直接申請を受け付ける団体を考えていますが,今後,いろいろ市町村,また,地域の非営利団体などにも対象を広げていく段階では,何らかの形で各自治体の方の協力をいただきたいと思っております。
 次のページに申請方法がございます。こういった申請書なども必要でございます。当面,電子媒体で,メールで提出となっていますけれども,今後はウェブ上での申請とか,より多くの申請をいただくときの体制も,システムも構築していく必要があるかと考えております。
 以上全体の話でございますが,続きまして,文化オリンピアードの概要でございます。16分の12に目標と名称が書かれておりますが,文化オリンピアードということで,オリンピアードというのは,そもそも4年の暦ということでございますので,東京2020文化オリンピアードとして,リオ大会が終わった後,4年間掛けて展開していきたいと思っています。
 最後の大会中,大会前につきましては,ロンドンでも同様の取組があったようでございますが,フェスティバルという形で集大成として盛り上げていきたいと思っております。
 12ページでございますが,これがコンセプトでございます。大会ビジョンやレガシーコンセプトを書かせていただいております。これはアクション&レガシープランの中でこれまで検討してきたものでございます。日本文化の再認識と継承・発展,次世代育成と新たな文化芸術の創造,日本文化の世界への発信と国際交流,全国展開によるあらゆる人の参加・交流と地域の活性化ということで,基本的にはこの四つのレガシーを残すことを実現するために取り組んでいきたいと思っております。
 次のページの方に少し具体的なことが書かれております。全員が自己ベストとか,多様性と調和,未来への継承,非常に抽象的でございますが,それぞれ新しいことに取り組んでもらいたいとか,いろいろな人と関わって取り組んでもらいたい。また,2020だけではなくて,それ以降のことも考えてやってもらいたいというようなものになります。あと,それぞれの文化オリンピアードの四つのレガシーに基づく考え方についても,対象となる事業については考えていただきたいと思っております。
 次のページで,事業体系。これも先ほどの説明の繰り返しになりますが,文化オリンピアードについても,ここにありますように,公認プログラムとして東京2020公認文化オリンピアード事業,また,応援プログラムとして東京2020応援文化オリンピアード事業という形で展開を考えております。一番右にあるマークはリオ大会におけるマークでございまして,こういったように公認マークについてはエンブレムが付与されたようなセットになったようなマークになるのかと思っています。公認マークの方ですね。応援マークの方はエンブレムが使えませんので,それを除いた形で考えています。リオはどういうマークなのか,よく分からないところもありますので,せっかく作るのであれば,皆さんが使いたい,かっこいいマークに是非していきたいと思っているところでございます。できるだけ早くと考えておりますが,ここにありますように,10月からスタートさせる予定ですので,それまでにはマークも作っていくことを考えております。
 最後15ページを御覧いただければと思いますが,今まで申し上げましたように,この秋から東京2020文化オリンピアードを始めていくということになりますが,体制の問題とか,まだまだ周知が足りない面もございますので,10月以降は重立ったところから始めて,キックオフ期間とさせていただいておりますが,来年度から徐々に拡大して,4年間掛けて盛り上げて,最終的には全国でいろいろな取組が展開できるようにして,東京2020フェスティバルを迎え,大会を迎え,そして,レガシーとして残していくというような形で進めていきたいと思っております。
 こういった形で全国に取組を展開するには,内閣官房さんとか,文化庁のお力がなくしてできませんので,また引き続き,いろいろ事務レベルでもしっかり協議しながら検討させていただきたいと思っていますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【熊倉部会長】続きまして,清水参事官,お願いいたします。

【清水参事官】内閣官房オリパラ事務局で参事官をしております清水と申します。よろしくお願いいたします。資料1-3,内閣官房説明資料を用いまして,御説明をさせていただきます。
 先ほど,文化庁からの御説明の中に全体像等入ってございます。若干重複の部分があろうかと思いますけれども,内閣官房オリパラ事務局として政府全体ないしは東京都,組織委員会と連携しながら,どのように今政府での文化プログラムを進めているのかということを御説明させていただければと思います。
 6の1という資料がございます。「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた文化を通じた機運情勢策に関する関係府省庁等連絡・連携会議の開催について」ということで,昨年11月でありますけれども,会議体を設けまして,議長にオリパラの事務局長,内閣官房,副議長に文化庁長官,それから知的財産推進事務局長。今,内閣府に組織は移行してございますが,政府の中でクール・ジャパンを担当する部局,この部局から副議長,構成員に各省,下の方になりまして,東京都の関連部局,それから,構成員の一番下でございますが,組織委員会の副事務総長に御参加いただいて,関係機関が集まり,オブザーバーに関係団体の方々をお招きする形で,政府一体となって,関係機関一体となって文化プログラムを進めていくという体制を整えたところでございます。
 資料を進めていただきまして,6の3の資料でございますけれども,これが先ほど文化庁の資料の中にもございましたけれども,beyond2020プログラムというものでございまして,先ほどの政府の連絡・連携の会議の場におきまして,3月2日に方針を固めたものでございます。文化プログラムの意義というのは,改めて申し上げるまでもございませんが,こうした文化プログラムを先ほどの会議体に参加している全てのメンバーにおきまして,beyond2020プログラムという形で進めていこうということになってございます。主導しておりますのは,先ほどの議長,副議長を出している組織プラス東京都の生活文化局ということでございますが,組織委員会の名前がクレジットの中にはございませんけれども,組織委員会とも調整を進めさせていただいた上で,ただ,組織委員会は先ほどの参画プログラム,認証のプログラム等を公式プログラムとして展開されるということでございますので,それを補完する,一体となって併せて進めていくというもので,beyond2020プログラムというものを立ち上げたというものでございます。
 これも事業認証をさせていただこうというものでございまして,趣旨といたしましては2020年に限定されない,政府が進める,ないしは関係機関が進める文化の振興策ということでは2020年というのは大きなきっかけではございますけれども,2020年に向けて盛り上げを図っていくということだけではなく,2020年をきっかけとしてその先を見据えて文化の振興策を図っていきたい,そういうプログラムにしていきたいということで進めていくことが決まっているものでございます。
 従いまして,オリンピック・パラリンピックに向けてということですと,先ほどマーケティング上の様々な制約のことを組織委員会の方からも御説明されておりましたけれども,非営利の事業に限定されるとか,ノンスポンサー企業の参画に対しては様々な制約があるということが組織委員会のプログラムにはございますけれども,我々は2020年に向けて,2020年,その先に向けて,文化の振興を図っていくプログラムとして補完的なプログラムを作りたいということでございますので,我々の事業の認証に当たりましては非営利事業への限定でありますとか,ノンスポンサーが入ってくると,事業認証はできない,そうした制約というものを課すことなく,営利事業であっても,趣旨に合うものは事業のマークの付与,事業認証というものをさせていただこうと思ってございますし,また,オリンピック・パラリンピックのノンスポンサー企業でありましても,こうした認証の対象にするということで考えているものでございます。
 今,我々もマークを作って統一感を持ってプログラムを展開していきたいと思ってございまして,マーク策定のプロセスを進めてございまして,間もなく公募のプロセスを開始したいと思っております。マークができますのは11月半ばぐらいを念頭に作業を進めてございます。11月半ばぐらいからbeyond2020の認証というものにつきましても進めていきたいと思ってございます。
 ページを1枚進めていただきまして,次のページでございますけれども,5番のところでbeyond2020プログラムの運用ということで具体的にどのような文化事業について認証させていただくのか。基本的には,組織委員会が先ほど進めておられる事業というものと重なり合う部分も非常に多いわけでございますけれども,我々の方は,政府の方でオリンピック・パラリンピックに向けて,どのような日本,どのような事業というものを展開していきたいのかということを閣議決定で,オリンピック・パラリンピック推進のための基本方針ということで決定してございます。その中には,文化を通じて新しい日本を創造していこうということで,オリンピック・パラリンピックという機会に例えば外国人,外国への文化の発信でありますとか,あと共生社会,パラリンピックは共生社会の実現という大きな目的がございますので,障害者の方々が文化に触れ,参加し,作り手として,また鑑賞者として参加される。こうした日本というものを目指していこうということでございますので,我々,そうした目指していくべき像に貢献が期待される文化事業というものに認証させていただこうと思っております。具体的な認証の基準につきましては,11月半ばぐらいにマークができて,プログラムをスタートさせていくに当たりまして,これから詰めていき,また,公表もさせていただこうと思ってございます。beyond2020プログラムも,組織委員会の認証プログラムと補完的に進めていくということで,今考えているところでございます。
 2ページほど進めていただきまして,6の6でございます。我々,政府,それから東京都,その他自治体を含めまして,文化プログラムとして一体となって文化を振興させていこう,盛り上げていこうと思っておりますが,今年,内閣官房として,オリンピック・パラリンピックに向けて基本方針を策定いたしましたので,基本方針の実現に向けて予算を3億円ほど頂きまして,機運醸成に向けた事業をどうやって進めていけばいいかということで,たてつけは内閣官房は事業実施ができないものですから,調査事業ということになってございますけれども。具体的に,機運醸成に向けた何らかのアクションを含む文化事業を試行プロジェクトと名付けまして,試しにやっていただいて,その結果を見て,機運醸成にどの程度の効果があったのかということを調査するという枠組みの調査事業というものを進めようと思っておりまして,上限1件1,000万円掛ける30件程度を公募で募集して,支援させていただこうと思って,今プロセスを進めてございます。2.のところでございますけれども,一次締切り,二次締切り,実施時期が早いものにつきまして,先行的に締め切りまして,先日,案件の採択をさせていただきました。応募数が71件ありまして,採択をさせていただいたのが8件でございます。こちらにざっと出てございますけれども,大相撲の国際文化交流イベント「大相撲beyond2020場所」と名付けられていますけれども,10月4日に予定されていますけれども,両国国技館で外国人の方,それから障害者の方をお招きして,具体的により分かりやすく,魅力を発信し,また,外国人の方に発信し,また,障害者の方はアクセスの面などより楽しんでいただけるような取組として,特別な場所を開催するというイベントが行われるというものが採択をされてございます。
 また,「水の輪」~水を大切にする気持ちで世界をひとつにという新作能,これは水の都大阪ということで,大阪で能が開催される。
 超人スポーツゲームズは,器具を使いまして,人間の身体能力を若干向上させた形で,新しいスポーツを創造し,また,その大会を行うというようなもの。
 全国一斉花火。これは被災地を中心に,3月11日の東日本大震災の月命日に当たる8月11日19時に,全国13か所,約14か所において,一斉に花火を打ち上げて,機運の醸成ないしは鎮魂,未来に向かってみんなが一つになって進めていく。こうしたイベントなどが選ばれております。
 二次締切りが7月11日にございまして,現在,二次分の選考をしてございますが,応募件数が300件以上ございまして,8月中旬までに20件程度の採択の予定ということで,非常に高い競争倍率になってございます。応募があった主な分野,ざっと列記をさせていただいております。非常に幅広い分野で,オリパラに向けた文化事業,こうしたものに参画をしたいというニーズが日本中にあるということが分かりまして,我々,このプロセスというものを通じて,機運醸成を具体的に図っていきたいということを考えてございます。
 以上で内閣官房からの御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【熊倉部会長】ありがとうございました。予定の時間を10分ほどオーバーしておりまして,質疑応答の時間がやや短く,40分ほどになろうかと思いますが,ただいまの御説明に関して御質問,御意見などを頂戴したいと存じますけれども,吉本委員と信田委員から,きょう資料を頂いておりますので,吉本委員,信田委員の順番で御説明とコメントをお願いできますでしょうか。

【吉本委員】ありがとうございます。今日,私の方から資料を二つ御用意させていただきました。12番目の『地域創造』に発表した資料と13番の研究所のレポートです。時間がないので,かいつまんでポイントだけ,今日の議論に関連するところを御紹介したいと思います。
 『地域創造』の方は,去年の秋にロンドン大会の全国展開の仕組みを調べるために,スコットランドとウェスト・ミッドランズというところを調査したレポートでございます。全国展開がどういうふうに行われたかということを中心にまとめております。例えば,今日の議論で参考になるところで言いますと,雑誌のページで言うと58ページに表があります。ここに全国展開されたプログラムの主なリストがアップされておりまして,2008年ロンドンの場合は,8つのメジャープロジェクトというので全国展開が始まっている。その翌年には,レガシートラストUKのプロジェクトが始まっているというようなことで,徐々に全国展開されてきたという状況があります。それから,大変小さくて恐縮なんですが,その下に全国展開の実施体制というのがありまして,これも本当に複雑なんですけれども,全国展開のポイントは網掛けしているところでございます。イギリス全土を,ロンドンを含め12の地域に分けまして,それぞれの地域にクリエイティブプログラマーというリーダーを中心に四,五名の人たちがいまして,その人たちが組織委員会と連携しながら全国展開を行ったということでございます。
 そのほか,65ページの下から幾つかポイントをまとめているんですが,いろいろ取材しますとロンドン大会の場合は一つのブランド,つまりロンドン2012というブランドの下でインスパイアプログラム,それとカルチュラルオンリピアード,さらにはフェスティバルと,三つのものを一つのブランドの下で行ったというのが大きな成功のポイントだった関係者から伺っております。地域によっては別のブランドを立ち上げたところもあるそうですが,やはりオリンピックのブランドにはかなわないということであまり成功しなかったということでした。
 その次のポイントは,次のページです。委員の先生方は雑誌を御覧いただければと思います。ペーパーレスに反対するわけじゃないんですけど,この資料,データで公開されていないので,委員の先生方には雑誌をお持ちしました。
 二つ目は,多様なパートナーシップということです。組織委員会がリーダーシップを発揮したと言っても,全国で行われるということで,全国の文化施設や芸術機関が参加する形になっておりますし,ウェスト・ミッドランズで取材したところでは,例えば温泉クラブとか,児童館とか,教会とか,地域の小さな団体がみんな主催者になって盛り上げていったということがございました。
 それから3番目のポイントが全国展開と地域独自のプログラムということで,最初に御覧いただいた表にあるように,全国で一律のテーマで展開されたものがある一方で,地域地域で独自の地域特性を踏まえたものが行われていたと。それを許容する仕組みがあったということです。
 次のポイントは,「ハイクオリティと草の根」と書いておりますが,組織委員会さんの御説明でもとても質の高いものをやるということと,市民参加型のものが構想されおり,ロンドンでも同じような仕組みで全国展開されておりました。そして,最後のポイントですが,いろいろな方に聞くと,オリンピック・パラリンピックじゃないとできないような野心的なプログラムに挑戦したと。オリンピックだからできたんだということがたくさんあったということで,取材した中で,一番印象に残ったのは,雑誌のページで言いますと,64ページに囲みですごく詳しく書いたんですけれども,スコットランドのわずか3,000人の町でグスターヴォ・ドゥダメルという世界的な指揮者とオーケストラを招いて,地元の子供たちのオーケストラと共演したというものでした。それが地域の人たちに大変な勇気と希望をもたらしたというようなお話で,こういうものも行われたということでした。
 そして,もう一つの方の資料は,先日,研究所のレポートで発表したものです。これは先ほどの資料の順番で言うと,13です。先ほどの話の中でもロゴの話がいろいろ出てきまして,ロンドンではロゴがどのように展開されたのかということをブランドガイドラインという,非常に細かな規定のある資料がございまして,それを整理したものです。
 最初に,3ページを御覧いただきたいんですが,ロンドン大会では,3種類の文化オリンピアードのマークがございました。一番左側にありますのが,カルチュラルオリンピアードの組織委員会の今日の例で言いますと,公認プログラムとして使われたものでして,御覧のように,オリンピックの五輪のマークとパラリンピックのマークがございます。真ん中のがインスパイアマークと呼ばれるもので,これは今日の組織委員会さんの御説明ですと,応援プログラムに相当するものです。これも2012というエンブレムと同じシルエットがありますので,それでオリンピックのものと分かるのですが,五輪のマーク,パラリンピックのマークはございません。そして最後3番目が,フェスティバルのマークで,これは2010年以降に作られたものですが,こちらにも五輪のマーク,パラリンピックのマークはありません。インスパイアマークは基本的に非営利なんですが,フェスティバルのマークについては,オリンピックの公式スポンサー以外の民間企業が,従来から支援していた文化施設のプログラムも,オーケーになるための仕組みとして作られているということで,これは非常に複雑なんですけれども,詳しくはレポートを見ていただければと思います。
 そして,その次の4ページですね。ロンドン大会のインスパイアプログラムは,全部で6分野で展開されました。それに対して,東京大会では8分野ということで,更に拡充して,いろいろなことが行われるということで,非常に心強いなと思いました。
 あとはエンブレムの使い方について,ブランドガイドラインというもので細かく規定していることをかいつまんで説明しています。例えば11ページを御覧いただくと,印刷物でどう展開されているかということなんですが,これはロンドンのフェスティバルのプログラムで全部で七,八十ページあったと思います。このプログラムの中にはどこにも五輪のマークは出てきません。下の方にあります,赤いフェスティバルのマークというのはあちこちにあしらわれていますが,実は表紙には絵があり,これはレイチェル・ホワイトリードさんという方に頼んだオリンピックポスターの一つ,12人のアーティストに頼んだポスターの一つなんですけれども,明らかに五輪がモチーフになっており,五輪マークではないけども,五輪大会と分かるという,この辺りが非常にクリエイティブな発想で乗り切っていると感心したパートです。
 13ページを御覧いただくと,上にワールド・シェイクスピア・フェスティバルのプログラムがございます。小さくて恐縮なんですが,それを主催したシェイクスピアシアターというのが,これはiPadなので拡大していただくと分かると思うんですけれども,従来からオリンピックの公式スポンサー以外のところから支援を得ています。ユニリーバや,トラベレックスなどから支援を得ていますが,オリンピックの公式なプログラムになった。ただし,オリンピックの公式スポンサー以外のロゴというのは,フェスティバルのマークの近くにあってはいけないということになっており,左側の表紙を見ますとフェスティバルのマークがあって,その下に緑色の小さいマークは,英国石油で公式スポンサーなんですけれども,公式スポンサーの場合は,フェスティバルのマークと一緒に掲載できるというふうになっています。本当にいろいろ細かいですので,もし御関心があればお読みいただければと思います。
 最後に,17ページを御覧いただきたいと思います。これがロンドン大会と日本の今の状況を一覧にしたものですが,東京大会のカルチュラルオリンピアードのエンブレムは今ありませんので,仮でロンドンのものを入れてあります。今日の御説明ですと,左上の二つのマークです。今後作成される予定で認証の仕組みは整ってきているということで,フェスティバルは2020年開催ですので,恐らく,今後検討をされると思います。そのほかに,内閣官房さんがbeyond2020のロゴをこれから作られる。そして,東京都は&TOKYOというブランドを立ててCULTURE&TOKYOということで,今いろいろなプログラムを展開していて,この中で公式になるものは,組織委員会の認証されるものになっていく。ほかにも,企業メセナ協議会さんは2020年に向けて,創造列島ということで文化を応援しようという動きがあります。しかし,ロンドン大会の場合は下のものはなかったわけです。ロンドン2012という,この一つのブランドで全国展開するということで大きな成功を上げた。日本も組織委員会さんはそれを,リーダーシップを発揮して,これからぐんぐんと推進されると思いますが,そこにはオリンピックブランドとか,大会スポンサーの大きなハードルがある。例えば日本全国で行われているお祭りなんて,地元の企業がいっぱい支援していますから,公式プログラムになり得ないと思います。公式プログラムになり得ないものは東京オリンピックと言ってはいけないが,東京オリンピックの機会に,全国で文化事業がたくさん展開される仕組みができれば,恐らくロンドン大会を超えて,史上最高の文化プログラムを実現できると思います。
 もう一つだけ御紹介したいのは,ロンドン大会開催の4年前に相当する2008年頃はスコットランドやウェスト・ミッドランズなどの地方都市ではオリンピックについて本当にシニカルな空気が漂っていたということです。あれはどうせロンドンのことでしょう,私たちには関係ない,と。文化プログラムに対して関心がある人は,そんなにいなかったということです。なので,クリエイティブプログラマーの方々が地元の文化団体などに2012年は文化にとっても大きなチャンスだからと一生懸命説得して,やっと実現できたということですね。でも,今日本の4年前を考えると,シニカルどころか先ほどのbeyond2020って何百件でしたか。

【清水参事官】300。

【吉本委員】既にそんなにやりたいという方々がいるということですので,ロンドンを上回るムーブメントに日本は突入しているんだと言ってもいいのではないかとおもいます。いろいろと混乱していることもあると思いますが,それをポジティブに考えて,これからやっていけたらいいと思いました。
 以上です。

【熊倉部会長】ありがとうございました。
 では,続いて信田委員,お願いします。資料の14番ですね。

【信田委員】ありがとうございます。一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構で国際ディレクターをしております信田と申します。ファッション・ウィーク推進機構というのは日本のファッション産業全体をカバーしている業界団体であります。
 本日,5分ということでお時間を頂いております。5分なんですけれども,本題に入る前に2点だけお話ししたいことがございまして,実は先週,ODA事業を試行するに当たって,ベトナム出張にHIDAの職員と経産省の職員と一緒に行っていたんですけれども,御存じのようにベトナムというのは,ASEANの中でもいまだに2桁成長している非常に大事な,将来楽しみな国ですが,そこでは何と韓国が国策でテレビドラマとKポップの音楽を無償で長年流している間に,韓流ブームが起こっており,国民は皆さん,韓国を一番リスペクトして,かっこいい国だと思っている。なので,音楽からファッションから何から,例えば会社で慰安旅行に行きたい先というのは,韓国が一番に挙がるというぐらいのブームになっており,改めて非常にショックだったということと,ファッションなんかは韓国と日本というと,日本が圧倒的に実力があるにも関わらず,先入観で韓国のファッションが先行しているということで,改めて文化事業がいかに大事か。文化事業をやったことによってリスペクトを集めることが,国策にいかに大事かということを痛感しました。ここで文化事業というと,経産省だけでやるというのは本当に無理がありまして,経産省でやると,文化事業をやると同時にチャリンチャリンと課金されないといけないというようなスペックがありますので,そういうことではなくて,じっくりと本当にリスペクトされる文化を作って,それを示すということが非常に大事です。
 ちなみに,韓国のテレビドラマとは,非常に壮大な超長編の大作を持っていって,それが受けているらしいんですね。内容的にも,ポップな薄い日本のテレビドラマではなく,文化的にも非常にリスペクトされるものを作って持っていくということが非常に大事なんだと思いました。なので,是非文化庁の存在意義というのを再確認しましたので,頑張ってほしいところです。
 続いて二つ目は,フランスと日本の160周年記念で,2018年に安倍さんがフランスと手を組んで決めたということですが,ジャポニスム2018という大きなイベントがパリで開催される。これは2020年の少し手前ということで,非常に大事なタイミングだと思います。外務省さんが中心になって企画を進めていらっしゃるということですが,たまたまペーパーを先週拝見しましたら,文化事業なんですけれども,パリって御存じのように,文化事業の先進国で,ヒエラルキー的にも名実ともにトップで,文化事業の中にもちろんアートや,ファッションもあり,ファッションの記述のところに東京ガールズコレクションのイベントを実施するということを書いていました。たしか外務省が主役で,文化庁様は横から側面サポートされているという役割だと伺っていますが,この期に及んで,東京ガールズコレクションで発表されているブランドは,日本のブランドなのに,素材は全て中国製,韓国製で,一切日本の産地とはひも付いてないところでプレーしていらっしゃる方たちでした。一方,日本の素材というのはエルメスからクリスチャン・ディオールから,皆さん使っていただいているぐらいの実力があるのに,どうして東京ガールズコレクションを切り取ってファッションとしてしまうのか。非常にショッキングだったので,何とか今から軌道修正していただいて,ファッションでもフランスというのは,名実ともにヒエラルキー的にトップなので,そこで日本の実力を見せなければどうするんだということで,本当に正気の沙汰かと思いましたので,何とかそこはお願いしたいと思います。
 すみません。本題に入ります。資料ですね。例えば,ファッション業界から提案するべき文化事業というのは,今こういうことをやったら世界からリスペクトを集めることができますよというところで,三つ提案を,簡単にさせていただいています。ジャストアイデアでございますが。
 一つ目は,ファッションの役割は,その時代の感覚を表現するということでございまして,ファッションというものを黒子に使っていただくと,いけているふうに仕上がるというところがみそです。そういう役割を使ってパラリンピックをいかに格好よく表現していくかというところを是非やりたいなと思います。ファッションフォトグラファーの大御所から若手からそろえて,しかも,先ほど吉本委員からも発表がありました,ロンドンで文化事業をずっと担ってきたロンドン市の文化部長で,ジャスティン・サイモンさんという方がいらっしゃるんですけれども,その方ともタッグを組んで,向こうからもオファーをいただいているんですけれども,ロンドンのファッションフォトグラファー,東京のファッションフォトグラファーがコラボして,パラリンピックを非常に格好よいモード誌に仕立てるみたいな,そういうメディアを作って,ロンドンと東京で同時に発表するみたいなことができると,非常にいいと思っています。パラリンピックみたいなエッジさとファッションのエッジさが非常に相性がいいので,是非東京のパラリンピックもいかにかっこいいかということを表現できるところで,ファッションを使っていただければと思っております。
 二つ目が,端的に日本のファッションと言っても,素材も今世界一だと言えるんですけれども,もう一つの世界一だと言えるポイントがストリートファッションです。ストリートファッションというのは,ここ10年ぐらいで起こっているんですが,ちょうど10年という切り口です。東京ストリートファッション,ストリートスナップ10年史みたいな写真展が東京でできると世界中から注目されるのだと思っております。実はストリートファッションというのは,なぜ世界一だと言われるかといいますと,毎月,モード誌というのが世界中で出ていますが,今モード誌の誌面の中で最も人気が高いのはストリートスナップの写真です。例えば,2ページのストリートスナップの紙面を作るに当たって,フォトグラファーの人たちが東京の原宿でその仕事をしようとすると,2時間で全部ネタがとれます。それが例えばミラノだと3日間掛かる,パリだと3日間掛かるというぐらい,いかに東京のストリートファッションのレベルが高いかということなんですけれども,それを東京で,あえて自分たちで世界一でしょうということを示すと,世界中のファッション業界の人たちからリスペクトを集めるのではないかと思っています。
 三つ目は,真逆で,今デジタル化が非常に進んでいますので,簡単にテクノロジーを駆使したらインスタントに素人が一見プロみたいな写真が撮れたり,映像が撮れたり,音楽ができたりする時代になってきているんですね。そういうところからの反動で,ファッション業界でここ3年ぐらい注目されているのが,誰もまねができない伝統技法とか職人のわざ,昔と違うのは泥臭いくらいの伝統技法,実直な時間を積み重ねてやっと作り上げる職人わざというのが,今非常にかっこいいとされております。そういうところで,日本の地方でやったら是非いいと思いますが,藍染めを題材にしたワークショップや,アート展をやると,世界中から非常に注目されるというのが間違いなく思われます。実は藍染めというのは,インドも含めて世界中に散らばってありますが,世界中の藍染めを集めて,日本の地方でやると,明らかに日本の藍染めがいかにすばらしいか,ルーツがしっかりしているかというのが際立って見せられるというところであります。
 昔だと,職人芸と言いましても,エルメスのかばんが象徴するように,1頭の牛からほんの一部しかとれない革を使って,それで高級でしょう,すごいでしょうというのがヒエラルキー的に上でしたが,今そういうのがかっこいいということよりは,本当に実直に,日本人が得意なところですね。こつこつと時間を積み重ねてやっとできましたというのがかっこいいというふうなトレンドになっているので,それを是非フィーチャーする,強調するというのは得策だと思いました。
 最後に,今までのオリンピックを重ねて世界中でやっていますが,勝手にファッション業界ではユニフォームのランキングみたいなのを毎回出しますが,今まで日本人選手が着るユニフォームが上位になったことは1回もありません。今回のリオ・オリンピックのも論評外で片付かれております。せめて,スポンサーの皆様がいらっしゃるので,お金を持っている企業が,名前を前に出さないといけないのは分かるんですけれども,工夫して,そこと裏でエッジな,いけてるデザイナーと組ませて,アウトプットでかっこいいものができたら誰も文句を言わない,格好よかったら皆さんそこは評価されますので,間違いなくかっこいいユニフォームが東京のときにはお披露目(ひろめ)できるように,是非工夫してやっていただければと。汗は一緒にかきますので,是非よろしくお願いします。
 以上です。

【熊倉部会長】ありがとうございました。ほかの委員の皆様方,いかがでしょうか。本日の三者のプレゼンテーションをいただきまして。取りあえずようやっとたてつけができただけで,今の話を聞いてて,ロゴがたくさんできそうで。今のところ話を聞いてて,何もわくわくしない気がしないでもないんですけれども,どうわくわくさせていくかというようなところも含めて,あるいはちょっと御質問などもあろうかと思いますが,どなたかいかがでしょうか。大林委員,お願いします。

【大林委員】今のオリンピックのユニフォームの話なんですけど,本当に我々が見ていてもそうだなというふうに思うんですけど,でも,一方で,日本の若手の今の世代のファッションデザイナーの人が海外で物すごく活躍しているわけですね。なぜオリンピックのユニフォームになると,急にあんなふうになってしまうのか,分析しておられるかを少しお伺いしたいと思います。

【熊倉部会長】信田委員,お願いします。

【信田委員】いろいろな方がいろいろなプロセスで決めていらっしゃるというのは承知しておりまして,事務局の方たちも汗をかいていらっしゃるのは承知していますが,ファッションのコアなキュレーターの人たちというか,プレゼンターの人と,汗をかいていらっしゃる東京都の事務局の方たちの距離が余りにも遠い。一緒に汗をかいてアイデアを出していけば,簡単にできること。すごくシンプルにできることではあるのに,できないというのは非常に残念だ。難しいことでは全くないし,間違いなくできることですが。そこに注意がいかないというだけだと思います。

【大林委員】間違いなくできることがなかなか日本ではできないと。こういうことですか。

【信田委員】そうですね。

【熊倉部会長】ほかにいかがでしょうか。

【柴田委員】よろしいでしょうか。

【熊倉部会長】どうぞ。

【柴田委員】2点あります。今日プレゼンテーションをありがとうございました。概要が分かりまして,大変ほっとしております。私,地域でいろいろな方とお話しする機会が多いので,そのときにいつもお話が出ますのが,情報流通と情報公開と情報共有の徹底ということです。実務的な意見で申し訳ありませんが,いかに自治体の関係者,それから地域の現場の方々に正確な情報を伝えていくかという,非常に重要だと思います。県レベルの文化プログラム担当官という方が配置されている自治体があり,その方は非常に焦っておられます。リオも始まる,10月キックオフになるというところで,情報の提供が余りないということで,どのように動いていったらいいのかというような御質問や御意見を頂くことがあります。是非ここら辺の情報提供,相談窓口の徹底を明確化をしていただけると地域は非常に助かると思いますので,その体制の構築をお願いしたいと思います。
 それともう一点,吉本委員に御質問させていただきたいのですが,イギリスで実施されたときに,ロンドン大会,ボランティアがかなり多く参加されたということを伺っておりまして,応募者が24万人あって,ゲームズメーカーという方々が7万人活躍したと。これはスポーツのボランティアが主だと思いますが,文化関係のボランティアについて,どのような組織が組まれていたのか。盛り上げていくためにどのような推進体制であったのか。文化ボランティアがいらっしゃったとしたら,その方の選考方法とか,機運の盛り上げとか,そこら辺の情報がありましたら教えていただきたい。

【吉本委員】今柴田さんは大会全体のボランティアの話をなさったんだと思いますが,そこは僕は詳しく調べてないので,情報を持っていません。文化オリンピアードのためのボランティアというのを組織委員会が率先して集めたという話を私は余り知らないんですけど,どうですかね。

【小幡企画部長】私から少しお答えさせていただきます。大会ボランティアというのは,大会運営に関わるボランティアがロンドンのときに8万人いたということですので,組織委員会が主催してやるようなイベントにはそういう形でボランティアの方が関わっていたと思うんですけれども,全国津々浦々でやられるようなのはそれぞれ主催者が違うと思いますから,そこはまた別の形で,恐らくイギリスですと多くのボランティアの方が活躍されたと思うんですが,それぞれがやられていたんだと思うんですが,全体的なボランティアの関わりというのは調査不足でございますので,そこら辺も少し検討させていただきたいと思います。

【吉本委員】私が一つだけ知っているのは,雑誌の『地域創造』の62ページに小さい写真があって,これはウェスト・ミッドランズで行われたコミュニティゲームズというタイトルの文化プログラムです。これはインスパイアプログラムに認定されたものですが,例えば地域の運動会で,そこにダンスのイベントも一緒にくっつけて文化とスポーツを一緒に行うような地域イベントです。これはウェスト・ミッドランズだけですごい数行われる結果になって,2012年が終わった後もコミュニティゲームズという組織が残って,今も全国展開されてレガシーになっている。この場合は地域ごとでやっていますので,運営のマニュアルが作られて,ここにツールキットと書いてありますけれども,1件当たり23人のボランティアが運営を支えたというのがあります。恐らくほかにも特にインスパイアプログラムに関しては,ボランティアベースでいろいろな方々が協力してやるという形で,それぞれの事業で工夫なさってやっていたんじゃないかと思います。

【熊倉部会長】今回は全国でロゴマークを付していくに際して,それぞれのボランティア参加者数みたいなのも報告してもらい,足し上げたり,1億人を超えたりするかもしれないので,有意義な数字になるかもしれませんね。
 ほかにいかがでございましょうか。

【武内委員】ありがとうございました。ロンドンの例は吉本委員で,ほかの各組織は御検討になっていたら,教えていただきたいのですが,各イベント自体が発信しますから,その段階で広報といいますか,各イベントとそれに伴って出てくるオリパラ自体の広報が発信されていくと思いますが,逆にカルチュラルオリンピアードということ自体での広報といいますか,こういう活動をやっているということをより盛り上げも含めて一般に知らせていくということ自体は何か御計画としては組み込まれている,若しくはロンドンのときはどうだったということがおありでしょうか。

【小幡企画部長】特別に今組織委員会のホームページなどを見ていただくと,先ほど申し上げましたようなアクション&レガシープランや,参画プログラムなどの広報をさせていますが,来年4月から更に本格的に展開をしていきたいと思っていますので,その段階で,組織委員会の方で特別なウェブサイトを,カルチュラルオリンピアード,文化オリンピアードの関係のサイトを立ち上げまして,そこで各地域で行われているいろいろな良い取組などを紹介したいと思っております。

【熊倉部会長】よろしゅうございますか。松田委員,どうぞ。

【松田委員】説明をいろいろとありがとうございました。ロンドン大会の,文化プログラムがこれまでにない規模でうまくいったということがよく分かり,今回東京でオリパラを行うに当たって,それを超えるようなことを目指しているというのは,本当にすばらしいことと感じました。個人的には,ロンドンの事例を参考にすべきと思いつつも,ただまねするだけでは面白くありませんので,何を新たに加えるかがとても重要になってくるような気がしております。その意味では,beyond2020に相当するものはロンドンの文化プログラムにありませんでしたので,それは今回,東京の文化プログラムにおいて,重要になってくるような気がして,大変期待しております。
 質問があるのですが,公認プログラム,応援プログラム,beyond2020のプログラムの三つ合わせたものを,文化プログラムと考えればよろしいのでしょうか。
 また,文化プログラムを束ねるようなポータル,例えばウェブサイトですとか,情報集約のシステムというのは今後できるのでしょうか。なぜそのようなことを聞くかと申しますと,公認プログラムと応援プログラムに関しては既に情報が出ていますし,beyond2020の方もこれからどこかで情報が出るのだと思いますが,更に大きな枠としての文化プログラムに関しての情報が全て集まるような場所ができるのかということが気になったからです。そこを教えていただければと思います。

【熊倉部会長】どうぞ。

【村瀬文化プログラム推進企画官】文化庁が把握している限りで申し上げたいと存じますけれども,我々といたしましては,今松田先生がおっしゃいましたように,文化プログラムというのは組織委員会,それから内閣官房が作っている三つの中で,文化プログラムをしっかり展開していこうと考えてございますので,お見込みのとおりでございます。
 それから,文化情報の発信についてでございますが,私どもそのように課題として受け止めてございまして,全国各地で様々な文化芸術活動といったものが今後展開して,またそれを促していくということでございますので,ある意味文化情報ポータルサイトのようなものの構築に向けて,しっかりと調査研究してまいりたいと思っておりまして,最終的にはそういったものを一元的に把握し,更に外国も含め,国内外に発信するような,そういうようなものを目指して,今後研究していきたいと思ってございます。

【熊倉部会長】南條委員,どうぞ。

【南條委員】今までその情報がいっぱいあったのでよく分からないんですが,基本的には申請があったものを認定していくことが基本というふうに見受けられるんですが,こういう文化プログラムをやっていくときにはきちんとしたコンセプトがあり,戦略にのっとった自主企画が幾つかはあるべきではないかと私は思うんですけれども,今の日本というものをどのように,今の日本の文化を世界に見せていくのか,問い掛けていくのかという視点に立って,大所高所に立って,しかも戦略的に考える企画というのは待っていてもなかなか上がってこないのではないかと思います。部分的には満たすと思います。しかし,もし文化プログラムを国がきちんとやるんだということであれば,みんなの印象に残るような自主企画を作るべきではないかと思いますが,その辺の計画というのはあるんでしょうか。

【熊倉部会長】いかがでしょうか。村瀬さん,お願いします。

【村瀬文化プログラム推進企画官】文化庁でもこれから,先生まさに御指摘いただきました点,大変大事だと思ってございまして,そういったものをしっかりと詰めていかなくてはいけないと思っているところです。本日,私の方から御説明さしあげた資料の中に非常にふわっとした表現で大変申し訳ありませんが,2020に向けまして,例えば文化庁には文化関係の独立行政法人,博物館,美術館,芸文振等あるわけでございます。こういったものをうまく活用いたしまして,以前,東京オリンピックのときには,日本の古美術展といったようなものを当時は東京博物館で行ったと聞いてございます。鳥獣戯画とか,源氏物語絵巻とか,そういった最高水準のものを出したと聞いてございます。従いまして,2020におきましては,そういったものを踏まえて,分野横断的なそういったものの展開をできないだろうかということも,今後念頭に置きながら検討していくといったようなもの。さらには地域地域の取組が大事かと思いますので,地域における伝統的な光景ですとか,例えば上野杜構想といったものもございますので,そういったものを文化庁としても自治体あるいは民間の団体と連携しながら,そういったものを打ち出していくといいますか,光ったものにしていくといったものを検討していきたいと考えているところでございます。また今後,お知恵を賜りたいと思ってございます。
 以上でございます。

【熊倉部会長】よろしいでしょうか。たくさん手が挙がりました。亀井委員,紺野委員の順でお願いします。

【亀井委員】今のと関連して,主催者の企画事業ということで言えば,文化庁でもっている国民文化祭をもう少し充実させて,2020に向けて,幾つかの候補地があるでしょうから,そこをもう少し勢いづけるということも大事かと思いました。
 それと,もう一つ必要なのは,いろいろな事業をやることはいいんですけれども,一過性で終わってしまうことを防ぐために,企画する側とそれに踊らされる側と見る側,その三者をうまく育成するような仕掛けというのが必要かなと思いました。ロンドンでも幾つか成功例があると思うんですね。そういうのをもう少し主催者側,あるいは演じる側等々にインスパイアするというか,ということをやっていただければなというふうに思いました。
 以上です。

【紺野委員】紺野です。吉本委員の御報告,興味深く拝読いたしました。それから,先ほど南條委員がおっしゃった自主企画ということですが,私は皆さんが様々なロゴマークを御用意なさったり,全国各地でいろいろなイベントが企画されている。それはとても大切なことだと思いますが,私は非常に分かりやすい一つのキャッチフレーズが文化庁なり,自主企画において,重要だと思います。例えば,文化庁の文化プログラムのキャッチフレーズは「輪になって踊ろう」ですよ。「輪になって踊ろう」というテーマの下に,各地方は考えてください。例えば,熊本に山鹿灯籠祭という頭に灯籠を乗せる,非常に幻想的な踊りがありますが,日本全国各地に様々な踊りがあって,そういったものがみんなオリンピックの文化プログラムで,輪になって踊る。「輪になって踊る」という一つのテーマの下に世界中が一つになる。そういうキャッチフレーズがあれば非常に分かりやすいし,多様に広がっていくような気がするんですね。ですから,オリンピックの,ロンドンに負けない草の根の文化プログラムのテーマとして,分かりやすい,それで幅広い人が参加しやすいようなものを早急に打ち出していく必要があるのではないかと思いました。

【熊倉部会長】山出委員,お願いします。

【山出委員】BEPPU PROJECT,山出です。先ほど亀井委員の方から国民文化祭の話が出て,ちょうどうちが平成30年に大分県国民文化祭を開催するということで,大きく文化庁さんから国民文化祭を少し前進させるというか,変化させましょうという話を受けて,うちも変わっていこうとしています。僕は実際に国民文化祭の大分県の全部の総合プロデュースを今していますが,なかなか簡単ではない。全基礎自治体で18市町で,そこでリーディングプロジェクトを作りましょうということで,大分県が掲げた三つのコンセプトを体現していくようなこと,さらにはそれを行っていくためにゾーンを組んで,広域連携を図らせていって,その地域ごとのテーマを作っていくみたいなことをやっていく。知事の音頭があるので,こういうことはできていくし,三つの方向性ということをワンワードではないんですが,コンセプトを指し示して,カルチャー,文化ツーリズム,カルチャーツーリズムみたいな考え方で全体をまとめていくとしていったときに,少しずつ具体化されようとしています。
 何が言いたいかというと,先ほどの南條さんの話もそうですが,自主企画というか,つまり,リーディング事業だとは思うんです。国としてのリーディング事業を行っていくのとともに,全国の特に地方都市からすると,なかなか底上げが図れないということがあって,それをマークを付けますからどうぞといっても,多分今やっていることに少し掛け替えたりマークを付けたりしながらみたいなことがたくさん起こると思いますし,そういうボトムアップは必要なんだけども,エリアごとのリーディングになっていくような,引き上げていくようなものも同時に必要だと今物すごく身をもって実感しています。それがあることによって,一つ目標というか,底上げを図っていくための目標が具体化されるということがあるので,横並びでボトムアップしていくものとブロックごとの推進を図らせていくもの。それと国として引っ張り上げていく,垂直軸を高めていく。そういう構造がすごく必要だという気がしています。
 以上です。

【熊倉部会長】すみません。山出さん,底上げって何の底上げですか。

【山出委員】この件に関して,どういう事業をしようかという相談を受けるときに一番多いのは,成果が上がっているモデルイベントを参考にしていくことも多いが,結局こういうことを積み重ねていくと,その地域独自の文化とか,地域独自に頑張っている人たちの顔がどんどん見えなくなっていって,僕はレガシーというのは人だと思っているので,その地域ごとで企業家として成長していくみたいなことは難しいかもしれないけれども,beyond2020をその後引き上げていくというか,引っ張っていくリーダーが育つ。そのためには,いかにこの国が多様で豊かであるかということを,皆がそれぞれのエリアごとで発言して活動できていくか。そこはすごく大切にしていただけると良いと思っています。

【熊倉部会長】ありがとうございます。ほかにいかがですか。赤坂委員,どうぞ。

【赤坂委員】とても不幸な事件が起きてしまいましたよね。僕は障害者に対するあのような攻撃というのは,我々の今の時代の空気を突出させた形で表現してしまっているような感触がある。そうでなければいいと思いますが。この場でも障害を持った方たち,あるいは社会的な弱者に対して,どういう配慮なり表現ができるかということを随分議論しました。それで,提言書の中にも盛り込んだ。文化庁の今回のあれを見ても,ニッポン一億総活躍プランの中に,わずかに障害者の文化芸術活動を推進することというものが盛り込まれている僕の友人も実はパラリンピックのアスリートの写真集を出している男がいて,かっこいいんですよね。美しいんですよ。だから,そこを強調していく。それが同時に,特別な能力を持った障害を持ったアスリートたちを格好(かっこ)いいと持ち上げるだけではなくて,障害者とか,社会的な弱者に対するイメージを我々の社会の中で大きく変えていくきっかけにするような,何か仕掛けをするべきなんじゃないかと感じていました。恐らく,このままであれば埋もれてしまうと思うんですけれども,障害とか,社会的な弱者というのが,沈んでいったり,隠れていくのではなくて,もっと表にどんどん出して現実とか,しんどさとか,格好よさとかも両方をむき出しにしていけるような,とてもいいチャンスではあると思う。恐らく,こういう場がなければ,こういう機会がなければできないことがたくさんやれるはずなので,できればこれをきちんとお題目のように入れてありますじゃなくて,きっちり4年間掛けてプロジェクトチームを作ったり,そういうのでやって,東京オリンピック2020は,そういう障害者に対する空気みたいなのを大きく変えたイベントとして,記憶されるぐらいのことをやるべきではないかと思いました。それがどういうふうに可能なのか僕には分からないですが,できる。それを日本文化の力として表現できるような,そういうことをやれたらいいなというふうに思っていました。

【熊倉部会長】ありがとうございます。そろそろ予定の時間を過ぎているんですが,加藤委員,お願いします。手短にお願いします。もう一つ議題がありますので。

【加藤委員】赤坂さんの後だとすごく発言がしにくいんですけど。さっき吉本さんがいろいろなパターンがあるよという中に,企業メセナ協議会の創造列島というのも御紹介いただいたので,せっかくなので,何を考えて,どういうことを今目指そうとしているかということを簡単に御報告しておきたい。企業はオフィシャル・スポンサーになっている企業とスポンサーにならない企業があって,ここがまず非常に課題です。このうちスポンサーになる企業の課題は何かというと,文化のことをスポンサー企業が余り熱心にやってくれない可能性がある。それをどうやって文化の側にも目を向けてもらおうかということが,一つの課題ということ。もっと大きな課題は,当然スポンサーにならない企業の方が圧倒的に多いわけですから。特に地域社会に行くと,地場企業が非常にすばらしい文化活動をやっておられるし,応援もしておられるし,コミュニティの再生,そこに障害者の課題も含めて,いろいろなことをやっておられるが,それが余り表に出てこないのはどうだろうかということで,創造列島では,スポンサーであろうがなかろうが,ともかく我々が独自にメセナ活動を飛躍させるための一つの枠組み,キャンペーンや,戦略という枠組みを作って,これはオリンピックかどうかということは余り関係ないというか,それは直接には我々側からは主張しないけれども,御覧になる方が御覧になると,何となく関係しているんだねという結果は是非見せたいとは思っています。
 そこで,特に課題として取り組みたいのが,コミュニティを元気付けるというか,クリエイティブにしていこうということが一つですが,もう一つは,世界的な文化の多様性社会というものを,オリンピック・パラリンピックで多様性社会を実現するのに我々企業も少しでも貢献するべきではないかと思っている点が2点目。
 3点目は,従来,文化は経済側からしばしばお荷物扱いされていまして,金食い虫と言われてきて,悔しいから仕方なく,いや,経済波及効果もあるんですという主張をずっとしてきたわけです。でも,そんな波及効果もありますではなくて,むしろ今の社会で,さっきファッションのことで御説明がありましたけれども,文化をやらなきゃ経済なんて成り立たないのではないか,もっと言うと文化が経済を支えている社会,構造があるんだということをこの際明らかにしていきたいという,創造経済の考え方があります。そういうものを何とか確立するのに,みんなで力を合わせようというプロジェクトなんだということで,是非,企業メセナの存在をお忘れなく御支援をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。いろいろ御意見を頂きましたが,もうちょっと各推進団体それぞれが主体的に,この文化プログラムの中でどんなリーディングメッセージを発していけるのか。今日のお話だとやや他力本願で,認定をもらうところが,山出委員がおっしゃったような,何らかの底上げにつながるのかどうか。ただ,ロゴマークをばらまくだけで,みんなでオリンピックと言いさえすればいいのか。それで一体何のレガシーにつながるというのかというところ,文化政策部会でも引き続き議論していかなければいけないと感じました。皆さん,プレゼンテーション,御意見,ありがとうございました。
 続きまして,議題の二つ目,その他でございますけれども,最近の文化政策の動向について。ちょっと時間が押しておりますので,結構案件が,5件ありますが,すみませんが,1件2分ぐらいに圧縮して,事務局の方からお願いしたいと思います。最近の政府の重要方針における文化関係の主な記述,平成28年度日本遺産の認定結果,世界遺産,文化庁京都移転,熊本地震における文化財の被害状況ということを文化庁の方から御報告を頂きまして,最後に時間がある限り皆様から御意見,御質問を頂戴しようと思います。では,よろしくお願いします。

【佐藤政策課長】政策課長の佐藤でございます。まずは資料04番,資料2-1,最近の政府の重要方針における文化関係の記述について,これを御紹介させていただきます。主要なのを三つ御紹介させていただきますが,これからの概算要求をさせていただくに当たって,根拠となる大切な方針でございますので,今日御紹介させていただきます。
 まず1点目が,ニッポン一億総活躍プランでございます。これは昨年秋から官邸で一億総活躍国民会議が開かれて今年6月に取りまとめられたものであります。いわゆる新三本の矢と言われるもので,希望を生み出す強い経済,夢をつむぐ子育て支援,安心につながる社会保障,これの実現を掲げたものでありまして,その中で新たな有望成長産業,成長市場の創出というところが資料の2ページにございますが,新たな有望成長市場の創出ということで,文化についても,文化の成長産業化という形で掲げてあります。
 その中で,文化行政について新たな政策ニーズに対応して必要な機能を強化と。これは後でも御紹介しますが,文化庁の移転の前提として,文化庁が新たな政策ニーズに対応して機能強化を図るということが大前提となっておりますので,その文言がここでも引用されております。それから,国家戦略としての文化GDPの拡大といったことがございます。
 次の3ページをごらんいただきますと,これは経済財政運営と改革の基本方針,いわゆる骨太の方針と言われるものであります。経済財政諮問会議で,毎年この時期に閣議決定されて,来年度の予算とか,制度設計に向けた非常に大切な大方針となるものでございます。ここでも新たな政策ニーズへの対応に必要な機能強化を通じということで,マル2のところにそういった記載があります。また,芸術文化資源を一層活用した地域や経済の活性化,そして文化プログラム,文化財の保存活用,継承,推進するといったことが出ております。
 大変お恥ずかしい話でありますが,骨太の方針にここまで文化に関する記述がなされたことは過去に余りございませんで,というのは,官邸の関心事項として観光とか,GDPとか,オリパラとか,そうした強い関心事項がございまして,そこにうまく文化についても乗せることができたということでありますので,私どもとしてもここに方針がきちっと載っかりましたので,しっかりと概算要求していきたいというふうに考えております。
 骨太の方針というのは言わばエッセンスでありまして,5ページを御覧いただきますと,日本再興戦略ということでアベノミクスの成長戦略でございますけれども,ここに少し詳しめにいろいろなことが書かれてございます。
 6ページのところには,4.観光立国の実現として,文化財の観光資源としての活用推進がございます。それから,その下の5-2のところでは,文化芸術資源を活用した経済の活性化。いわゆるGDPにおいて,文化分野のGDPということで,文化GDPという一つの柱も位置付けをすることができました。そしてまた,文化財や文化資源をこれからは稼ぐプロフィットセンターへ転換していくといったことであるとか,それから,地域活性化やブランド力向上に資する芸術文化の魅力創造,発信ということが,7ページにございます。ここで,先ほど赤坂委員からもお話のありました,障害者の文化芸術活動への参加といったこともここに盛り込ませていただいております。
 今後,文化GDPの拡大に向けまして,本年度中にはロードマップも策定したいと思っておりますし,政策を具体化して,必要なものは概算要求をしっかり進めていきたいということでございます。
 以上でございます。

【大西記念物課長】記念物課長でございます。資料2-2,平成28年度「日本遺産」の認定結果について,御覧いただきたいと思います。日本遺産につきましては,昨年度から始めておりますけれども,10分の2を御覧いただきますと,日本遺産魅力発信推進事業ということで,地域に点在する様々な遺産を面として活用するということで,ストーリーを作っていただいて,そのストーリーを文化庁が認定をするというものでございます。
 10分の3が審査基準と審査委員会の先生方でございます。
 10分の4から日本遺産の今年度の認定一覧でございまして,宮城県,福島県といった東日本大震災の被災された県についても,今年度認定がなされております。
 10分の5,10分の6,10分の7,10分の8,最後でございますが,17番,18番,19番につきましては,県を超えた連携ということで,シリアル型の事例になってございます。
 10分の9が,昨年度認定された一覧でございまして,今年度と昨年度を合わせまして,37件の認定箇所ができているという状態になってございます。
 10分の10,最後を御覧いただきますが,日本遺産プロデューサー派遣事業ということで,今年度新たにこの事業を行いたいと思っております。日本遺産全体の知名度の向上も必要でございますし,認定された地域の個別の課題,ニーズにも的確に応えていくということで,プロデューサーを文化庁が委託した事務局の方から派遣させていただいて,それぞれの地域の課題,どういうところを伸ばしていくかということを把握しまして,その分野に応じた専門家も派遣して,助言を行っていただくというような仕組みを考えてございます。このことを通じまして,それぞれの地域の力を上げるということと,これからのこの事業についての課題についても,文化庁として把握していきたいと考えているところでございます。
 続きまして,資料2-3でございますけれども,世界遺産についてでございます。世界遺産につきまして,大きく2点の御報告でございまして,1点目が世界遺産の一覧表に記載が決定したことについての御報告,本日御欠席の馬渕委員が館長を務められております,国立西洋美術館の建物を含むコルビュジエの建築作品が世界遺産一覧表に記載されたということでございます。このことにつきましては,世界遺産委員会の審査において,コルビュジエの一つ前の審議のところで,審議が途中の段階でクーデターの未遂が発生しまして,この件が審査されるのか非常に危惧されたんですけれども,無事に17日に審査をされて,記載された,決定されたということでございます。
 13分の2を御覧いただきますと,記載が適当とのことについては全ての委員国が支持しております。また,国立西洋美術館の建物についても評価されております。レバノンより評価基準の1「人間の創造的才能を表す傑作」の適用が主張され,評価基準の1についても追加されております。具体的には,13分の3からでございますけれども,評価基準1と2と6ということで,人類の創造的才能を表す傑作であること,それから,近代建築運動の誕生と発展に関しての人類の価値の交流を示していること。それから,近代建築運動の思想とこれらの資産が直接的に関連していることということでございます。
 今回の世界遺産委員会では,27件審議がなされまして,そのうち世界遺産になりましたのは21件でございます。その他の6件につきましては延期されたりしてございます。また,世界遺産の総数については,これで1,052件ということになっております。
 13分の5が文部科学大臣の談話でございます。
 13分の6から今回の資産の概要,13分の8が国立西洋美術館の概要でございます。
 13分の10が総理のメッセージでございます。
 13分の11から世界遺産の2点目の報告でございますが,先般7月25日に世界文化遺産・無形文化遺産部会が開かれまして,今年度の世界文化遺産の推薦の候補として長崎の教会群とキリスト教関連遺産を決定いたしたところでございます。
 13分の12を御覧いただきたいと思いますけれども,この資産は,長崎地方の潜伏キリシタンが禁教期に密かに信仰を続ける中で育んだ,宗教に関する独特の文化的伝統を物語る顕著な物証であるということで評価されてございます。長崎につきましては,本年2月に一遍,推薦を取り消しましたけれども,その後,イコモスから専門的な助言を受ける中で,こういった形でまとめられたということでございます。
 13分の13が具体的な長崎県,熊本県における構成資産でございます。
 来年2月までに正式な推薦書を提出いたしまして,再来年の世界遺産委員会で審議をする予定でございます。
 私から,以上でございます。

【熊倉部会長】では,次の報告をお願いします。

【根来長官官房付】文化庁機能強化検討室の根来と申します。お手元の資料07資料2-4「文化庁京都移転について」という資料の御説明をさせていただきます。
 まず文化庁の京都移転につきましてこれまでの経緯でございますが,平成27年3月,昨年3月に内閣官房,まち・ひと・しごと創生本部の事務局より全国の道府県に対しまして,政府機関の移転に関します提案を募集いたしまして,その結果,昨年8月,京都府から文化庁を京都にという提案が出されたところでございます。それを踏まえまして,まち・ひと・しごとの有識者会議で御議論いただいた結果,平成28年3月22日,本年3月でございますが,まち・ひと・しごと創生本部におきまして政府関係機関移転基本方針というものが出されまして,文化庁が数年のうちに京都に全面的に移転するという決定がされた次第でございます。
 それで,具体的な政府関係機関移転基本方針の中での文化庁に関して決定された内容でございますが,外交関係や国会対応の業務,政策の企画・立案業務などは,霞が関の関係省庁等や東京にあります大使館等との調整も大変重要でございますので,そういったことにつきましても,現在と同等以上の機能が発揮できるということを前提とした上で,地方創生や文化財の活用など,文化庁に期待される新たな政策ニーズへの対応を含め,文化庁の機能強化を図りつつ,全面的に移転する,そういった決定がなされました。
 それで,今後抜本的な組織の見直しですとか,東京での事務体制の構築,移転時期や移転費用,移転後の経常的経費をどうするか,そういったことについて対応を検討するために,文化庁移転協議会というものを関係省庁と京都との間で立ち上げて,その中での検討を踏まえながら,数年のうちに京都に移転する,そういった決定がなされたところでございます。
 それで,現在の検討状況でございますが,本年4月に文化庁移転協議会というものを立ち上げまして,構成員はまち・ひと・しごと事務局,それから,文化庁,京都府,京都市,それからオブザーバーとして,内閣人事局,財務省からなるものなんですけれども,これは第1回目の移転協議会を4月26日に開催いたしまして,そこで以下の論点について検討を進めているところでございます。
 先ほども,先生方から文化庁に対するいろいろな課題ですとか御指摘ございましたけれども,そういった新たな政策ニーズに対応していくために,文化庁はどのように機能強化していくかということですとか,移転後も,国の機関として機能を維持向上するために,東京にどのような事務体制の組織を構築することが必要か,移転時期,移転場所,移転費用,移転後の経常的経費等につきましても,そもそも京都側から応分の負担をするという御提案があって移転が決まったということもございますので,そういった応分の負担もどのように今後御対応いただけるのか。また,実際に東京と京都に事務組織が分かれますので,ICT等も活用しながら意思疎通を含めてやっていく必要がありますので,そういったことも実証実験もやりながら,課題を分析しつつ,検討していく,そういった状況になっております。
 次のページでございますが,4のところで,実証実験の実施といたしまして,今月7月11日から24日まで,2週間にわたりまして,実証実験を行ったところでございます。文化庁の長官を含め,30人程度が京都の方に来まして,入れ代わり常時10人程度が京都にいるような形で,最新のテレビ会議システムで京都と東京の文化庁を結びまして,実証実験を行いました。
 今後の予定でございますが,移転方針の中でも組織体制の概要を8月末をめどに取りまとめるということになっておりますので,また改めて移転協議会を開催して,概要を取りまとめますとともに,これも方針の中で示されておりますが,12月までに移転の具体的内容の決定をすることになっておりますので,こちらも京都側と引き続き検討を進めながら決定していきたいと思っております。
 まずは来年度から,京都における先行的な取組を開始したいと思っておりまして,その具体的な内容等につきましても,京都側と今調整をしているところでございます。
 以上でございます。

【熊倉部会長】最後の報告,済みませんが,手短にお願いできますか。

【大谷伝統文化課長】それでは,熊本地震に関係する文化財の被害状況について御報告します。資料は2-5の方を御覧ください。4枚物になっておりますけれども,熊本地震における被害状況,国の指定等文化財で167件,このうち熊本県が117件ということになっておりまして,その中では,全壊しました阿蘇神社の楼門でありますとか,あと,テレビでも報道されておりますけれども,熊本城の長塀をはじめとするところが半壊というような状況でございます。文化庁では災害直後から対策本部を作りまして,文化財調査官をすぐに派遣するなど,熊本市,熊本県との連携を深めて,今修復に向かって作業を進めているところでございます。
 3ページ目を御覧いただきますと,特に注目される熊本城の被災状況を次の4ページ,写真がございますが,併せて御覧いただければと思いますが,おおまかに申しまして,青色のところが国指定の重要文化財,建造物のものでございます。それから,赤い部分が特別史跡となっているものでございまして,これは石垣が中心のものでございます。緑色のところ,これは復元施設という位置付けのもので,文化財としての指定は受けておりませんけれども,天守閣を中心として,これは国土交通省の資金を使いつつ,都市公園として整備を進めてきたものでございます。いずれの部分につきましても半倒壊のようなものがございまして,今後,長期間にわたって修復のプロセスを踏んでいく予定でございます。
 簡単ですが,以上でございます。

【熊倉部会長】御協力ありがとうございました。ということで,重要な案件が幾つもございましたが,皆様から御質問,御意見など。三好委員,佐々木委員の順番でお願いします。

【三好委員】御説明ありがとうございます。せっかく御説明いただいたので,世界遺産,日本遺産についても御質問したいところなんですが,時間の関係もあるので,質問は京都移転の方に限らせていただきたいと思います。
 京都移転に関係して,文化庁の機能強化という言葉が入ったのは,これは非常にいいことだというふうに思います。ただ,問題は具体的に機能強化をどうしていくのかということが,一番重要なポイントかと思っております。それで,今日も前段で文化プログラムのお話があって,いろいろな委員の皆さんからも御意見が出ていたように,文化プログラムの全体像をきちっと捉えて,今後どう展開していけばいいかということのビジョンを示していただくのも,本来は文化庁さんのお仕事ではないか。文化庁が主催して何をやるとか,文化庁がどこに補助するとか,そういうのを超えて,文化プログラムの全体像をきちっと文化庁が把握して,全国展開をどうしていくのかというようなことを考えていただく,そういうことの企画を出していただくのも文化庁さんの大きな機能の一つだと思っております。したがって,今回機能強化という言葉が出ているわけですけれども,それをより具体化していくのをどうしていくのかということが非常に重要だと思います。したがって,そこは当然,本来であれば,文化審議会なり,政策部会が関わるべきだと思うんですが,先ほどの御説明の予定を見ると,既に8月には組織体制の概要が取りまとめられるので,機能強化の内容,それから組織改編の在り方というものが議論されているかと思うので,できれば8月に取りまとめされようとしている概要がある程度今お話しいただけるのであれば,それをお聞かせいただきたい。
 以上です。

【熊倉部会長】佐々木委員もどうぞ。併せてお答えいただいて。

【佐々木委員】前回の政策部会で3月のときに,私は京都移転賛成であって,これは河合隼雄元長官の時代から10年ぐらいの懸案の課題であったわけですね。それで,ある意味で日本社会が本格的な成熟社会に入って,文化多様性とか,あるいは東京も含めた全国で様々な文化芸術活動が展開する。そういったきっかけになるように,文化庁移転を取り上げるということが大事であって,となれば,当然質量ともに強化する。ですから,現在1,000億円,ほとんど変わってない。文化予算。倍増する。早い段階で。2020は2,000億を超えるというぐらいの目標を持って当たらなければいけないし,そして,マンパワーも更に増やしていくというようなことが盛り込まれた形で,少なくとも次年度予算の中にはそういったことが入ってくる。それで4年後を迎えるというスケジュール,工程表ですね。これを是非期待していますし,先ほどから出ていますように,加藤委員が言われました創造列島,これは文化多様性ということを担保しなければいけないので,一極集中型では実現できません。そういった意味では少なくとも2極,文化の二つの極ができるということが第1段階だろうし,更にその次にもっと多極化していくということがあって,そういう意味で地方文化創生本部的なものが京都移転に議論されてくるだろうし,それから文化GDPなり創造経済が本格化するという中で,文化政策研究を更に強めなくてはいけないといます。そういったもろもろのことが新しく付け加わってくるというイメージで京都移転に向かうということになろうかと思います。
 そして,赤坂委員が言われましたように,本当に悲しい事件が起きたわけですけど,障害者アートも含め,アスリートも含め,もっと障害者がリスペクトされるような形の取組,これは実は,関西は先駆的に様々な運動に取り組んでいますから,そういうものももっと表に出てくる。そういった発信ですね。こういったことが多分期待されてくるので,機能強化を2020を超えて,更に進むという,そういった形で是非この夏は概算要求で頑張って,冬に向かって取り組んでほしいと思います。
 以上です。

【熊倉部会長】では,吉本さん,どうぞ。

【吉本委員】文化庁の京都移転というのも,オリンピックの文化プログラムと同じで大きなスローガンとか,それで何を実現するんだということを分かりやすくアピールしていく必要があると思います。こういう見方をすると適切じゃないかもしれませんけれども,文化庁だけが,消費者庁も今検討されていますが,京都移転ということは,文化庁は東京にいなくていいと政府が判断したということですね。非常にうがった見方をすると,今の政府の文化軽視というふうにとることもできると思うんですね。だけど,そうじゃなくて,東京が首都になってからもうすぐ150年ですが,文化庁は京都に戻って,2000年の歴史の中で,日本の文化のことをもう一回京都から考え直して日本の文化戦略を立ち上げていきますとか,そういう大きなスローガンを京都移転に伴って掲げていただきたい。具体的な事務をどうするかとか,そういうこともすごく重要だと思いますが,文化庁が京都に移転する意義というものを強くアピールするようなことを同時に進めていただきたい。
 それで従来から議論されている,文化庁ではなくて文化省に格上げするようなことも,2020年に向けて京都に移転して文化省に格上げになり,佐々木委員のおっしゃるように,予算もちゃんと増えるという,それくらいの大きなビジョンをがんと打ち出していただきたいなと思います。

【熊倉部会長】よろしいですか。

【片山部会長代理】今日は文化プログラムの各部分が,全体像とまで言えないかもしれませんけど,出そろってきて,ようやくこれが動き出すというところにかと思いますが,文化審議会の政策部会としては,文化プログラムをやる主体ではありませんので,政策部会としては,第4次基本方針の実現に向けて文化プログラムを生かしていくという立ち位置を,きちっと確認しておく必要があると思います。そこで,文化芸術立国の姿というのを4項目掲げたわけですけど,冒頭には文化権の保障というのを掲げて,それを行政だけじゃなくて,民間でもやるということを掲げています。そして,文化プログラムによる全国津々浦々での活動と発信があって,最後に非常に重要なところとして,レガシーにつながるところですけれども,文化芸術で働く人たちが希望を持って働けるような,雇用と産業を作っていくという話になっていたかと思います。文化プログラム,たくさんのイベントが進められると,とにかくイベントをやるのに一生懸命になってしまって,せっかくそこで人材を育てても,その後2020年以降使い捨てになってしまうという危険があります。そこで育った人たちが2020年以降もきちんと仕事として活動を続けられるような組織的財政的基盤を併せて作っていくことをこの4年間やらないといけないということで,文化プログラムの推進はそれはそれで大事ですが,こちらの審議会としては持続するための基盤作りの方を並行して考えていく必要があると思いました。

【熊倉部会長】いろいろ御意見を頂きましたが,すみません,時間を過ぎておりますが,もう5分ほどだけお時間を頂戴できればと思いますが,次の御予定のあられる委員の皆様方はどうぞ御退席いただいて結構です。
 機能強化に関して何か決まっているのかという御質問に対して。佐藤課長,ありがとうございます。

【佐藤政策課長】文化庁の移転に関しましては,地方創生という観点,文化の多極化という観点も大事でございますし,文化行政が移転によって滞りがあっても決してならないという二つの大きな命題があるわけでありますし,また,これまでこの部会でも,各団体からも様々なお声を頂いております。文化団体の多くは東京に在住している。音楽も演劇も東京から発信されるし,作家も東京,メディアも東京。そうした中で,どのように機能強化を図り,文化庁が移転を実現していくのか。大変大きな課題でございます。文化プログラムについても東京オリパラという,東京だけではなくて,文化プログラム,日本全国に対してのものであります。
 今回移転に際しまして文化庁を機能強化するという,これはまたとない大きなチャンスを得たわけでございまして,現在,予算について,それから人員の確保について,今部内で概算要求等に向けまして検討している段階でございまして,詳細はまだお話しできる段階にないことをお許しいただきたいんですけれども,しっかりと概算要求という形で表していきたいと思っておりますので,また,引き続き御支援をいただければと思います。

【熊倉部会長】ありがとうございます。京都移転に関していろいろ問題は会議の仕方ではなくて,国民に発するメッセージとして,吉本委員のような御意見もありました。私も3月のときにも申し上げたと思います。赤坂委員の前で口幅ったいんですけれども,東北は見捨てられたというような機運があります。もしかしたら21世紀は既に大きな文化的なアセットが存在している西日本よりも,京都的な文化ではないものを長く育んでいて,周縁に位置付けられてきた,東北的なものが大きな起爆剤になるかと感じられる側面もあるのに,ちょっと残念です。また,オリパラによって東北の復興が非常に遅れているという,事実かどうかは分かりませんが,メディアなどの報道もある中で,せめて文化プログラムで復興への大きな足掛かり,底上げにつながることになればというふうに考えてきていると思いますが,そうしたところに対してのイニシアチブですとか,是非,東北分室みたいなのを作っていただくといいかななんて思いました。
 活発な御議論を皆様ありがとうございました。今日は久しぶりの開催で,御存じのように1回飛びましたので,たくさん御報告をいただくばかりで,せっかくお集まりいただいた委員の皆様方に今日は一言ずつぐらいしかお話しいただけなくて,大変申し訳ございませんでした。引き続き,本日の文化プログラムに関してはまた議題にしていただいて,更なる御意見を頂戴する場が設けられたらと考えております。
 それでは,最後に今後の予定について事務局からよろしくお願いします。

【三木企画調整官】部会長,委員の皆様方,ありがとうございました。時間が過ぎていますので,早口になって申し訳ございません。今後の予定は09資料3,政策部会今後の予定は9月中に開催予定ということで,また調整させていただきたいと思います。中身は,関係省庁の概算要求の状況ということにしておりますけれども,この観点と申しますのは,前回に文化芸術資源を活用した経済活性化文化GDPの拡大についてということで,北川フラムさんとか,衛紀生先生とか,お話しいただいたと思うんですけれども,文化庁だけではなくて,関係省庁の文化関係の予算,概算要求について御議論いただいて,関係省庁との連携も非常に重要な観点だと思っていますので,文化庁を含めた関係省庁の概算要求の状況を基に先生方から御意見,御議論,御指導をいただきたいと思っております。
 以上でございます。

【熊倉部会長】申し訳ありません。本日は10分予定の時間を超過しての開催となってしまいましたが,皆様,貴重なお時間をありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきます。次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。

── 了 ──

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