文化審議会第15期文化政策部会(第1回)議事録

平成29年5月26日

【髙田企画調整官】それでは,時間になりましたので,ただいまより,文化政策部会,今年度第1回を開催いたします。

本日は,御多忙のところ,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。本日は第1回の会議ということですので,後ほど部会長を選出いただくまでの間は,私,事務局の髙田の方で議事を進めてまいりますので,よろしくお願いいたします。

まず初めに,委員の御紹介でございますが,本日の資料1の方を御覧ください。資料1の,一番初めに文化審議会の組織図というものがございますが,4ページのところに文化審議会第15期文化政策部会委員という名簿がございます。今期の文化政策部会委員はここに記載がございますが,本日は,会議の後半に一人一人の委員から自己紹介や御意見を伺う予定ですので,ここでの紹介は控えさせていただきます。なお,今期からは,計24名,文化政策部会の委員がいらっしゃいますが,このうち,秋元委員,石田委員,川村委員,篠田委員,田辺委員,鳥井委員,中村委員,名越委員,本郷委員の9名の皆様が,新しく御就任いただいた委員でございます。新委員の皆様,そして,今期も引き続き委員を御快諾いただいた委員の皆様,今後1年間,どうぞよろしくお願いいたします。

次に,今回は第1回の会議ということでございますので,文化庁の事務方の紹介をさせていただきます。

まず,文化庁次長,中岡次長でございます。

【中岡次長】中岡でございます。引き続き,よろしくお願いします。

【髙田企画調整官】永山審議官でございます。

【永山長官官房審議官】永山です。どうぞよろしくお願いします。

【髙田企画調整官】藤原戦略官でございます。

【藤原文部科学戦略官】藤原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【髙田企画調整官】山崎文化財部長でございます。

【山崎文化財部長】山崎です。どうぞよろしくお願いします。

【髙田企画調整官】熊本文化戦略官でございます。

【熊本文化戦略官】熊本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【髙田企画調整官】水田著作権課長でございます。

【水田著作権課長】水田でございます。どうぞよろしくお願いします。

【髙田企画調整官】北山国際課長でございます。

【北山国際課長】北山でございます。よろしくお願いいたします。

【髙田企画調整官】木村芸術文化課長でございます。

【木村芸術文化課長】木村でございます。どうぞよろしくお願いします。

【髙田企画調整官】西田国語課長でございます。

【西田国語課長】よろしくお願いします。

【髙田企画調整官】大谷伝統文化課長でございます。

【大谷伝統文化課長】(会釈)

【髙田企画調整官】豊城参事官でございます。

【豊城参事官】豊城でございます。よろしくお願いします。

【髙田企画調整官】以上でございます。

(傍聴者退出)

※ 部会長に熊倉委員,部会長代理に湯浅委員が選ばれた。

(傍聴者入室)

【熊倉部会長】大丈夫ですか。皆様,お入りになりましたでしょうか。

それでは,改めまして,もう一度。文化政策部会長に就任させていただくことになりました,熊倉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

昨年,この部会では「文化芸術立国の実現を加速する文化政策」という名の答申を行うために精力的に議論を行いまして,緊急提言ということで,文化庁の京都移転に伴う機能強化ですとか,2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とする文化プログラムの実施など,文化政策を取り巻く環境に大きな変化があることを踏まえて,提言を行ってきました。文化芸術は,第4次基本方針以前から再三繰り返し政策の中心として述べられておりますように,文化そのものの価値に加えて,観光をはじめ,まちづくり,産業など,幅広い分野との連携を進めつつある状況にございます。2020年以降につながる社会的・経済的なレガシーをいかに創出できるか,また,あらゆる分野に文化芸術の恩恵が行き渡る,本当の意味での文化芸術立国の実現につなげていくにはどうしたらいいのか,というようなことを引き続き議論をしてまいりたいと思います。こうした,なるべく広い視点にも留意しつつ,この部会の議事運営を進めてまいりたいと思いますので,委員の皆様におかれましては,何とぞお力添えのほど,よろしくお願いいたします。今後1年間,どうかよろしくお願いいたします。

続きまして,宮田長官から一言御挨拶を頂ければと思います。

【宮田長官】皆さん,おはようございます。

今回,15名の先生方と,新たに9名の先生方においでいただきまして,この1年間,忌憚(きたん)のない,日本が芸術立国ということに向かっていく大きな法案を作っていくためには,先生方のお力が是非とも重要なところであるというふうに思っております。文化芸術振興基本法の改正ということでございますが,今国会で議論されるというふうに思っておりますので……。

【中岡次長】今日,衆議院で審議されます。

【宮田長官】今日だそうでございますので,是非,先生方の御意見が反映されて,すばらしいものになっていくという。そして,その後,2020に向けて文化プログラムが充実した環境になっていければ有り難いというふうに思っておりますので,是非,よろしくお願いします。熊倉部会長,今日は皆さんからお話を頂きますね。

【熊倉部会長】はい。

【宮田長官】誰これじゃなくて,全員から。

【熊倉部会長】はい,全員から。

【宮田長官】御期待申しております。よろしく,どうぞお願い申し上げます。ありがとうございました。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

それでは,本日は今期最初の審議会ですので,本審議会の概要と運営上の規則について,確認しておきたいと思います。

これらの点について,事務局よりお願いいたします。

【髙田企画調整官】それでは,タブレットの資料1の方にお戻りいただきたいと思います。資料1の1ページは,文化審議会全体の組織図がございますが,文化政策部会については,この中で文化の振興に関する基本的な政策の形成に係る重要事項に関する調査審議を行うところということになっております。そのほか,国語だとか,著作権だとか,様々な部会や分科会がございますが,そういったものを束ねる総会ということで文化審議会総会がございまして,そこは各部会や分科会の委員の何名かの方が代表して参集していただいている会ということでございます。2ページが文化審議会総会の委員のメンバーで,この中の何名か方は文化政策部会の方も兼任して入っていただいております。

3ページは,文化政策部会の設置についてということでございまして,先ほど申し上げましたように,文化政策,基本的な政策のことについて議論をする会ということでございます。

4ページは,先ほど申し上げました,今回の委員の一覧でございます。

5ページ以降,細かい審議会の運営規則だとか書いてございますが,本審議会につきましては基本的に全て公開で行うということになっておりまして,先ほど申し上げましたように,人事の案件ですとか,そういった個人的な問題だとか特別な問題を扱うこと以外につきましては,全て公開で行う。議事録についても公開するということになっておりますので,よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【熊倉部会長】ただいまの内容につきまして,委員の皆様方から御質問などがございましたら,お願いいたします。

大丈夫でしょうか。

それでは,今期の議論を始めるに当たって,事務局から,最近の文化政策の動向について,御説明を頂きたいと思います。説明を頂いた後,先ほど長官からもお話がありましたように,本日は初回ということで,全ての委員から自己紹介を兼ねて文化政策に対する御意見を頂戴いたしまして,その後,時間の許す限り,意見交換というふうにさせていただきたいと思います。

それでは,事務局より,御説明の方をお願いいたします。

【髙田企画調整官】それでは,タブレットの,まずは資料2の方を御覧ください。資料2に,文化芸術振興基本法と基本方針という資料がございます。先ほど宮田長官の挨拶でもあったように,実は今,文化芸術振興基本法の改定の動きがございまして,改正の内容につきましては,先ほど部会長から,昨年,文化政策部会で行われました答申の紹介がございましたけれども,そこで議論されたような,文化庁の機能強化でありますとか,そのほか,単に文化芸術そのものの振興だけではなくて,観光や,まちづくりや,産業だとか,そういったことも視野に入れたような,有機的な施策の連携でございますとか,また,この下に書いております,この法律に基づきまして「文化芸術の振興に関する基本的な方針」というものがこれまで策定されてきたわけですけれども,今回は,よりそういった文化政策が計画的に行われるよう,この基本的な方針というものを基本計画というような形で新たに構成し直してはどうかというような内容について議論されるということを伺っております。本日,国会の議論の方が間に合えば,国会の資料の方を是非提出しようと思っていたところではあったのですけれども,本日,この後に議論されるということですので,また改めて,その改正内容などにつきましては御報告申し上げたいと思っております。

続きまして,資料3の方を御覧ください。資料3は,文化プログラムに関する主な取組ということでございます。1ページ目に目次のようなものがございまして,文化プログラムについて,今年度,文化庁が行う取組,周知・発信,あるいは具体的なプロジェクトの展開というものがございますが,ちょっとその前に,8ページのところで,そもそも文化プログラムとはというようなことが書いてございますので,9ページのところから御説明いたします。

まず,文化プログラムということにつきましては,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関連してということでございまして,実は,「オリンピック憲章」の中に――「オリンピック憲章」というのは,オリンピック・ムーブメントを推進していこうということで,その内容については,オリンピック・ムーブメントを推進することによって,人の成長でありますとか,社会をよくしていくというようなことがそもそもの目的でございますが,その中でスポーツを教育や文化と融合させて推進していくというようなことが書かれてございまして,文化プログラムというものをオリンピックではやっていかなければならないというようなことを書いております。そういったことで,我が国としても,今後,文化プログラムを推進していくということで,現在,大きく言って二つ仕組みがございまして,組織委員会の方で,文化プログラムに関する取組を行った場合に一番下のロゴマークを付けて,そういったイベントを推進していくということと,もう一つは,beyond2020プログラムということで,これは政府の方で作ったロゴマークでございますが,オリンピックというものは公式スポンサー以外の企業についてはなかなか参加しにくい仕組みになってございますが,そういった公式スポンサー以外の企業が行ういろんなイベントにつきましても,これを付けることによって文化プログラムということで推進していこうということで,このマークを付けて推進していく取組というのが,文化プログラムということでございます。

次のページ,10ページに認証要件というものがございますが,組織委員会が示しました,大会ビジョンでございますとか,コンセプト,例えば,日本文化の再認識と継承・発展ですとか,国際交流ですとか,そういったような内容に即すようなイベントです。また,beyond2020プログラムにつきましては,日本文化の魅力を発信する取組にプラスして,障害者にとってのバリアを取り除く取組又は外国人にとっての言語の壁を取り除く取組ということで,オリンピック・パラリンピックを契機として,文化を通じて日本全体をよくしていく,盛り上げていこうというような文化イベントについて認証していこうというものでございます。

これについては昨年10月から試行的に始まっておりまして,11ページ,12ページ,13ページには,文化庁が組織委員会やbeyondのマークを作ったオリ・パラ事務局に申請して行った事業などが例示として挙げられております。

14ページに,文化芸術立国実現に向けた文化プログラムの推進ということで,文化庁が文化プログラムに向けてどういった支援をしていくかということが書いてございまして,文化プログラムの取組ということで,まずは文化庁が主催するプロジェクトをオリンピック・パラリンピックに関連付けてやっていくだとか,文化庁が地方公共団体や芸術団体に支援するプロジェクトなどについて,こういった文化プログラムをやっていく。あるいは,地域のお祭りだとか,全国津々浦々で実施されるいろんなイベントの情報を集約していくような,そういった体制整備的なことをやっていこうというようなことをここに書いております。

文化プログラムのスケジュールでございますが,一番下のスケジュール表に,昨年,リオ大会が終わった後にキックオフイベントとしてスポーツ・文化・ワールド・フォーラムなどのようなイベントをやってきましたけれども,2017年4月から本格的に,周知だとか,あるいはいろんなイベントを日本の全国津々浦々でやっていこうというような取組を進めようということでございます。また,来年2018年は明治150年でありますとか,2019年はラグビーワールドカップなどの取組がございますし,そういったものと関連付けたり,特に2020年の東京大会の直前にはいろんなイベントを開催していこうというようなことを考えておりまして,また,こういったことを通じて文化芸術立国の実現を目指していこうということを考えております。

15ページに,参考で,ロンドン大会でどのような文化プログラムを行ったかというようなことが書かれております。後半のところに文化プログラムによる効果というものを書いておりますが,いろんな活動をすることによって,当然,文化レベルが向上していきますし,いろんな方が参画していくことによって社会全体がいろいろ盛り上がっていきますし,また,観光産業への貢献などで,例えば,国だとか都市のブランドランキングが向上したりだとか,自国文化の誇り,自尊感情の醸成,そういったようなことに貢献したり,あるいは障害者だとか障害者アートへの理解が深まったとかというようなことが,ロンドン大会での成果として挙げられているものでございます。

ちょっと資料は戻りまして,1ページのところに,今年度,文化庁がやっていく取組ということで,2ページから,まず,文化情報プラットフォームの構築というものがございます。文化プログラムは,具体的に一つ一つのイベントってどういうものかということについて,誰かが集約しないと全部が網羅できないということですので,文化庁の方でそのためのデータベースを構築いたしまして,これについては,いろんな方から入力を頂いて,それを文化情報ポータルサイトを通じて多言語でも発信していこうというような取組をしておりますし,また,このシステムを通じて先ほど紹介いたしましたbeyond2020プログラムなどの申請と連動させまして,ここで申請をしたら,その内容がそのまま文化情報プラットフォームに入るというような取組を,正に今日から進めていこうということをしております。

次のページに,ノウハウ集を作るということが書いてございますが,今後,各都道府県の学校だとか,そういったところでも気軽に文化プログラムに取り組んでいただこうということで,そういったノウハウ集などを作成して配布していこうというような取組も考えております。

次のページに,文化プログラムシンポジウム等を通じた周知ということで,全国各地で文化プログラムの機運を醸成するためのシンポジウム。そのシンポジウムでは,地域の文化を紹介するような取組だとか,そういったことをやっていって,この文化プログラムを通じて地域文化が発展していくような,そういったようなことも意図したシンポジウムをやっていきたいと。その際には,積極的な広報なども行ってまいりたいと思っております。

5ページは,そのほか具体的なプロジェクトということで,例えば,この文化プログラムを,日本遺産などをはじめとした,そういったユニークベニューのようなところでやっていって,伝統芸能の公演とかともタイアップしながら,それぞれのイベントとしての相乗効果を高めていこうというようなことを考えております。また,これに併せて,このプロジェクトについては例えば,共同通信社さんなどと連携いたしまして,中高生にイベントを取材してもらって,それを発信してもらうみたいな取組も進めて,いろんな若い人の参加なども促進していこうというようなことを考えております。

次のページとその次のページは人材育成のことを二つ入れておりますけれども,こういったいろんな文化プログラムというイベントを進めていくためには,そういったプロジェクトを企画・実施できる人材育成が重要だということで,これは,主に芸術系大学を中心とした,若い学生だとか,卒業したばかりの人たちをそういったプロジェクトができる人に育てていこうというような取組を進めているというものでございます。これは,昨年度から実施しておりまして,今年度も引き続き行おうというものでございます。

その次は,同じような取組でございますが,プロジェクトリーダー育成事業ということで,これは,学生ではなくて,むしろ社会人を対象にして,どちらかというと中堅レベルの,そういったプロジェクトリーダーを育てていこうというような取組でございます。こういった取組を通じて,全国でいろんな文化のいろんなイベントが行われるような,そういった仕掛けを今,文化庁の方で進めているところでございます。

続きまして,配布した資料について少し御紹介いたしますが,「文化プログラム発信!」という,これは先ほどの文化情報プラットフォームを宣伝するための資料でございます。これを1枚めくっていただきますと,お祭りというような形で,よく見ると日本地図みたいな形になっているのですけれども,そういったものも作成しております。実は,文化情報プラットフォームで文化プログラムをいろいろ取り込もうということなのですけれども,これまで文化庁では,もちろん文献を残すというような観点でいろんな地域の祭りだとか花火なんていうのも調べたりしていたことはあったのですけれども,イベント情報としてまとめるだとか,そういったような意味できちんと把握していませんで,そういった地域のいろんな文化情報について,これまで文化イベントについて支援していなかったようなところがあるので,支援していないということは,余り情報を持ってなかったというところがあるわけなのですけれども,今回の文化プログラムを契機に,こういった地域の祭りだとか花火イベントなども文化情報プラットフォームにどんどん登録・申請していただいて,将来的には日本中の文化のいろんなイベントがここに網羅されるような,そういったデータベースがレガシーとして残ればいいというような思いで,こういった,これまで余り文化庁が見てこなかった祭りなんていうものを象徴的に取り上げたチラシを作成しているものでございます。

それともう一つ,文化庁地域文化創生本部のチラシでございますが,これは,昨年,文化庁が京都に移転するというような方針が決まりまして,今年度から先行移転という形で10名ほどの文化庁の職員が京都に行きまして,ここで掲げられているような,調査研究ですとか,暮らしの文化ですとか,広域文化観光・まちづくりだとか,そういった内容の事業を行っております。ここに書かれている中身というのは,昨年の文化審議会の答申ですとか,今度の文化芸術振興基本法の改正の,どんどん文化庁の行政範囲の射程を広げようといったような趣旨に書かれているようなこともちょっと意識しながら,こういったことを進めているということでございます。

最後に,文化庁のタイアップ映画「花戦さ」のチラシでございますが,これも,今,新しい取組といたしまして,文化に関係する映画などがありましたら積極的に文化庁もタイアップというか企画に乗っていって,あわせて,例えば生活文化でございますとか,そういったようなことを,学校現場だとか,その他いろんな方に幅広く知っていただこうということで,こういった取組をしているところでございます。

以上が,最近の文化政策の動向でございます。ありがとうございました。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

それでは,これまでの事務局の御説明,タブレットの中の資料,それから,冒頭で言及いたしました,昨年取りまとめました答申,緊急提言の概要や本文もお手元に資料としてございますので,こうしたものも御参考としていただきながら,お一人ずつ,自己紹介を兼ねて,今日は16人いらっしゃいますので,取りあえず3分以内ぐらいを目指していただければよろしいかなというふうに思います。御協力をお願いいたします。

基本的にアイウエオ順で赤坂先生からと思いますが,お時間の御都合で名越委員が10時40分ぐらいに御退出ということで,トップバッターでお願いできればと思います。

【名越委員】皆さん,こんにちは。新しく委員になりました,NHKの解説委員をしております,名越と申します。よろしくお願いいたします。

今日,実は,今年の夏の世界文化遺産登録を目指している福岡の宗像に参りまして,沖ノ島,明日現地大祭があるものですから,その取材のためにこれから出なければなりませんので,中座させていただきます。大変申し訳ありません。

私はふだん,NHKで文化・暮らしの解説を担当しておりまして,一昨日は,俳句の無形文化遺産登録を目指す活動について,俳句の意義について解説をしました。先週は“神宿る島”の世界遺産,暮らし分野で,その前の週には熊の被害についてやったりして,いろいろやっているのですけれども,今回,委員になったということで,マスコミの視点から日本の文化政策について思うところを話すというのが恐らく期待されているのだろうと思いますので,この1年間,皆様方からアドバイスも頂きながら,勉強もさせていただきながら,私なりの視点で申し上げたいと思っています。

私は,時間がないので一つだけ言わせていただくと,日本の様々な経済指標ありますけれども,経済指標だけではなくて,日本の豊かさって,文化度の高さだと思っています。なので,やはり文化が元気にならないと日本は元気にならないので,そういう視点でいろいろ発言させていただきたいなと思っていますので,今回の,例えば東京オリンピックの文化プログラムは,私,昨年度もニュースで解説をさせていただきましたが,その辺の視点から言うと,若干,動きが遅いのかなあと。ごめんなさい。ピリッとした話で申し訳ないのですけど,プロジェクトリーダーの育成というのはもう1年前倒しでもよかったのではないかなって実は思っていまして,ロンドン・オリンピックなんかはもうちょっと早めに動いている印象がありました。プロジェクトリーダーがいるからこそ,ロンドンは,いろんなところで,全土1,000か所以上で文化的なイベントが行われましたけれども,ああいう動きがあったので,そういう,過ぎてしまったことはしょうがないのですけれども,今後は急ピッチでプロジェクトリーダーを育てていかなきゃいけないかな。何で私はこれにこだわっているかというと,どうしても日本の文化政策って,官主導で,官がこうやりなさいよっていうことに対して民間が箱物を利用して動くということが多いのですが,そうじゃなくて,国民の力で動かしていくということが大切なんじゃないかなと思っているのです。なので,プロジェクトリーダーさえ育てていれば,実は文化って勝手に育っていくのではないかなという気がするので,その仕掛けだけもうちょっと早めにやればいいのではないかなあということを思っています。

ごめんなさい。ちょっと偉そうなことを言って,申し訳ありません。時間がないものですから,先にお話しさせていただきました。ありがとうございます。

【熊倉部会長】ありがとうございました。ピリッとした意見,大歓迎でございます。

それでは,順番が回ってくるのが分かってドキドキしないようにアイウエオ順で今日は粛々(しゅくしゅく)と回っていきたいと思いますが,赤坂委員,お願いいたします。

【赤坂委員】赤坂です。よろしくお願いいたします。

僕は,福島県博の館長もやっているということで,東日本大震災が起こったときにいろんなことを考えたのですけれども,文化の力,芸術の力を信じてみたいなっていうふうに,本当に心から思いました。それがどういう意味を持つのか,問い掛けながらの日々だったのですけれども,例えば,京都に文化庁が移転するのをこの文化審議会でも余り議論にならないので,僕は不思議な気がするのですけれども,僕は,いいのではないかなって,逆説的かもしれないのですけど,思っていますね。つまり,地域というふうに,僕なんかはそれを背負って,立つというか,いろんなことをやっていますので,東京一極集中の文化や芸術の政策というのは,東京しか見てない,東京と自分の関係しかテーマに繰り込めないということの限界をどうしても感じてしまうのですね。きっとこの中でも京都に文化庁が移転することに賛成の方は余りいないのかもしれないのですけれども,僕は,それを積極的にプラスに転じた方がいいというふうに,勝手に思っています。京都は,かつての都ですけれども,今は地方なのですね。京都は,京都の人たちが,あるいは京都に拠点を移す文化庁が,京都の背後に広がっている日本中の地域社会というものをきちんと視野に繰り込む,そういう声とか,その地域の力みたいなものを取り込むことを本気で始めると,日本の文化とか芸術の風景というのは変わるのではないか。例えば,海外から来る人たちは,東京から日本に入ってくる。そうではなくて,京都から日本に入ってきたらどうなのだろう。僕は,そういう,楕円(だえん)の思考って勝手に言っていますけれども,一つの中心から同心円に広がっていく文化や芸術の風景よりも,東京と京都という楕円の二つの焦点を持って,楕円の広がりの中で日本文化が語られるようになるということの方が健全な形になり得るのではないか。現実はそんなふうになりゃしないよって,皆さん思われているかもしれないのですけれども,僕は,そこに何か賭けてみたい,自分の気持ちとしては賭けてみたいという,そんな気がしております。文化の力,芸術の力,信じたいですね。それしかないのではないかと思っています。

3分ぐらい,たちましたね。(笑)

【熊倉部会長】ありがとうございました。昨年度の文化政策部会では,文化庁の京都移転,全面的移転に関して,かなり強い危機感も示され,どのような機能強化をすべきか,そして二つの拠点ができることに関してのあるべき姿というものがお手元の緊急提言の中にまとまってございますので,これを実現していけるかどうかが今後の文化庁のパワーに大きく関わってくるのではないかなあと思いつつ見守っていき,また,皆様からも御意見を頂戴していきたいと思います。

では,続きまして,石田委員,お願いいたします。

【石田委員】おはようございます。石田麻子と申します。今年度からのニューフェイスです。よろしくお願いいたします。

私は,昭和音楽大学オペラ研究所に所属しておりまして,研究所では,国内で行われたオペラ公演を記録する『日本のオペラ年鑑』を20年以上にわたって編さん・発行してきております。これは文化庁からの委託事業として実施していまして,今年,22冊目を作っています。記録をするということを通じまして,政策提言にもつながればいいなあという思いでやっております。我々の作業は,オペラというジャンルで串刺しをして,日本国内の芸術文化環境の状況を把握するというものです。つまり,ホールという箱ですとか,団体,自治体,国,そういった組織という枠組みというよりも,公演を一つの単位とし,公演を主催する組織は,全て一として把握するようにしています。対等なのですね。その対等な各組織が何をやっているのかということを,1,000回を超える公演を総量として把握し,その傾向を毎年まとめていくという地道な作業をしています。ただこの作業を通じて,日本の文化政策の動きが確実に感じとれています。なぜなら,オペラという総合芸術には,お金も掛かります。人も必要です。場所も,いろんなことが必要です。

単に人といっても,アーティストもいれば,制作のスタッフもいます。財務担当者も必要です。そういった多くの人が関わる総合的な舞台が文化政策も作用して作られた結果,今,日本でどうなっているのかということがわかるのです。皆さんとの共通の財産としてこの年鑑を使っていただけると思っています。私は,ふだん,国内外のオペラ公演をかなり観て歩いています。そこから得られる実感として,更に『日本のオペラ年鑑』に記録された年間の公演数を見てみましたら,最近は東京近郊に半数に迫るオペラ公演が集中していることがわかります。観客数もそうです。さっき赤坂先生がおっしゃったような楕円というのは,オペラの世界には存在しません。点です。その点の状況がいい悪いということではなくて,今はこうだという事実を皆様とどう考えていくのか,ここはそういう場でもあろうかと。皆様とそういう話もできるといいなあと,思っています。

それから,「日本のオペラ」に関してお話しいたしましたが,実は,日本の状況を把握している中で,世界との関係も見えてきています。日本でのオペラというのは,1つのジャンルですけれども,そこから見て,世界と日本,世界と今の日本の芸術文化の動きは,実際にパラレルな状況になっているのか。非常に疑問です。取り残された状況にならないように,私たちがいろいろ発言することによって変える必要もありますし,変えていくこともできるのではないかと思います。東京が世界の中で地方になっていないか。それが私の今の懸念です。これは私のいる世界での話ですけれども,もしかするとこれっていろんなことに当てはめられるのではないかなというのが,最近の私の思いです。

ピリッとしたことも歓迎だと言われたので申し上げました。一つのジャンル,つまり音楽の世界にずっといた人間ですけれども,そこでの知識を活かして,いろいろ広げていければいいかなと思っております。いろいろ学ばせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

では,続きまして,亀井委員,お願いします。

【亀井委員】東京文化財研究所におります,亀井でございます。私は,長いこと文化財の保護の仕事をやってきましたので,そういう視点でこの部会の中でも発言させていただこうかと思っております。

近年,世界遺産でありますとか,日本遺産でありますとか,様々な遺産に対する国民的な興味・関心が高まっていることは大変歓迎すべきことであります。問題は,それを一過性にせずに,その地域に根付いた文化振興の糧になるような継続的な形の展開が図られる方向を何か考えた方がいいのかなという気がいたします。といいますのは,これまで幾つか世界遺産になっていますけれども,なるまでは知事部局で一生懸命やって,なったら教育委員会にぽんと渡すというところもあるようで,管理等の尻拭いをさせられているのが教育委員会の方で,大変だなというふうに感じておりますが,そうではなくて,やはり地域と一体となって遺産の保護をやるためには,各部局と連携というのが非常に必要であり,また行政だけではなくて,そこに住んでいる方々,あるいは,所有者,関連する方々が一体となって保存・活用が図れるような仕組み,それを作っていくことが必要なのかなという気がいたします。NPOであったり,あるいは法人格を持つ必要はあるでしょうけれども,それを公的に裏付けるような枠組みができれば安心してそこに任せられるのではないかと思います。

一方で,観光との連携で経済効果を上げろという,大きな命題があります。昨今,文化財の観光利用という要求が非常に強いというような話がありますが,文化財は,一過性のものではなくて,一度失ったら永久にもとに戻れないというものでございます。したがって,消費財として考えるのではなく,地域における生産財,いつの時代でも新しいものを生み続ける生産財として考えるということが必要であろうかと思います。そのためには,やっぱり保存が中心になるべきなのですね。保存環境を整えた上で,その範囲の中で有効な活用を図る,そういう認識のもとで仕掛けを作るということが大事でありまして,そのためには,先ほど名越先生が,人材が必要,リーダーが必要だと言われましたが,そういうリーダーが地域におれば,放っておいても大丈夫ではないかと思います。私,町並み保存とか,幾つかやってきましたけれども,保存に成功しているところは,名もない方々が,自分たちの町はどういうものであるか,一から勉強して,それを生かすためのいろんな方向,コミュニティーを再生するとか,様々な観点から取り組んでこられました。それが,第一世代から第二世代に伝わって,熱心に活動している姿を見て,第二世代,第三世代が育ってくるという,そういう自然的な動きといいますか,そういう成功例が幾つかあります。全国津々浦々にある文化財の保護に向けて,そういう人を介した保護の在り方についての考えをもう少し勉強させていただきたいというふうに思っております。

以上でございます。

【熊倉部会長】ありがとうございます。文化財の活用に関しては,日本遺産という新しい制度を文化庁が打ち出したりとか,もうかなり長いこと,点としての文化財ではなくて,面としての伝統的建造物群,町並みを活用した施策ですとか,数多く功を奏しているように思いますが,正に保存と活用の難しいバランスということが大きな課題なのかあということで,これまでも話し合ってまいりました。

では,続きまして,河島委員,お願いいたします。

【河島委員】同志社大学の河島と申します。専門は,文化経済,文化政策論,コンテンツ産業論といったようなことでございまして,その関係から,この部会と,あと文化庁では著作権分科会の方にも出席しておりまして,どちらについても,お役に立っているのかどうか,全く自信はないのですけれども,今期もやらせていただくということで,よろしくお願いいたします。

文化政策部会につきましては,今正に,大きい節目というか,大事な時期を迎えているということは昨年度からひしひしと感じています。京都への文化庁移転と,2020年に向けてと,あと,文化経済戦略チームが内閣府レベルで作られるなど,正に今までにない大きなチャンスがめぐってきています。昔の言い方とは違って,文化と経済だとか,産業であるとか,観光といったものとの連携というような言い方も随分するようになったと思います。特に京都にいるとひしひしと感じるのですが,今や京都の関係者の間では「文化庁も移転してくることだし」というのが枕言葉のように,何を言いたいのか分からないのですが,そういう機運は少なくとも京都では盛り上がっておりまして,是非,文化庁を迎える都市としての,地方都市の行政としても文化行政を恥ずかしくない形にしていこうということで,地元でもそれなりに心を砕いているところでございます。

それから,先ほど事務局の皆様の御厚意でチラシを急きょ配らせていただいたのですが,私,この4月から東京大学の政策ビジョン研究センターの客員教授というのになりまして,そのキックオフイベントとして,「日本の文化政策の新たな姿を探る」というシンポジウムを来月6月19日に開くこととなっております。文化政策ということでありながら,登壇していただく方々に少し変わったメンバーを入れたつもりでして,青木保先生のような元文化庁長官の方にもしっかりと王道を行くという感じで入っていただいております。そのほかに,デービッド・アトキンソンさんは,皆さん御存じかと思いますが,日本の観光と文化立国に関してかなり厳しい御指摘を頂いていて,とても面白いと思いましたので,彼に基調講演をお願いしています。それから,チームラボの猪子さんは,ちまたでは大変話題の,是非,本人にも当日聞こうと思っているのですけれども,自分自身,アートと思ってやっているのか,そういうことは関係なくアートとテクノロジーとサイエンスを融合してやっていることが,私たちから見ると,アートの普及とか教育,子供たちがアートに触れていくきっかけを作っている面白い方だと思うので,そういう動きも拾っていく形で文化政策の新たな姿を見ていきたいなと思っているところです。ファッションの方にも入っていただいていまして,生駒さんという方は日本の各地の工芸をラグジュアリーブランドとコラボさせたりといったようなことで,この方も,文化政策と思っているかどうか,全く分からないのですけれども,私と一緒に企画している東京大学の小林真理先生からすると,新しい文化政策の姿を切り開いていっている第一線の人たちだよねということで,議論をしていこうと思っております。今日お配りしているのですが,今日ぐらいで定員に達しておりまして,そろそろ締め切るので,もしもお時間があって御興味ある方がいらっしゃったら至急登録をしていただきたく,もしサイトを見たときに既にいっぱいですというようなことがありましたら,一言お声掛けいただければ,大丈夫なようにいたします。おかげさまで好評いただいておりますので,御紹介させていただきました。

文化政策の中身のことで,私の個人的な心情としては,シンガポール,マレーシア,東南アジアの国々,若しくは中国,中東のドバイ,アフリカのエチオピアに行く機会が最近何度かありまして,よその国のことを悪く言うのは失礼かとも思うのですけれども,文化的アイデンティティが確立していない,あるいは文化的伝統が断絶しているということですごく苦しい思いをしているのが,よく分かるのですね。日本みたいに,文化遺産から,民族的な芸能だとか,お祭りだとか,あるいは,アートだとか,ファッション,デザイン,ポップカルチャー,ありとあらゆるものが,これほど豊かに文化活動が行われて創造されてい,多くの人が楽しんでいる国というのもそんなにないのではないかなと思いまして,これをきっちりと守ったり,促進していかないことは,もはや罪ではないかと思うようになっております。そういう意味で,この文化政策部会でも,より積極的な文化政策の発展に向けて,何かお手伝いできることがあれば,うれしく思います。

それから,すみません,最後に1点だけ,文化庁の方へのお願いで,昨年度の最後にも,申し上げようかな,どうしようかなと思っていたことがあったのですけれど,例えば,日本遺産のシンポジウムというのが,最近あったと思うのですけれども,この部会の人にいま一つ情報が入ってきてなかったように思うのです。あるいは,スポーツ・文化・ワールド・フォーラムも,私,京都関係で御案内いただいたのですけれども,案外知らなかったなあという感じがありまして,そのあたり,情報源,所管が違うのかもしれないのですけれども,どうなっているのかなあと思いまして,ここの部会の人たち,自分が行けなくても誰かに紹介したりということで,影響力ある人も多いと思いますので,お知らせ,メールで結構ですので,頂けるような仕組みを考えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】是非,お願いします。主催のシンポジウムなどは,この部会のときに配布資料としては配られるのですけれども,近付いてきたときにメールなどで御案内を頂ければ,それを,例えば,大学の先生,多くいらっしゃいますが,学生たちに転送したり,そういうメーリングリストに投げ掛けたりとかもできますので,是非,よろしくお願いいたします。

それでは,続きまして,川村委員,お願いいたします。

【川村委員】宮田長官,文化庁の皆さん以外は,初めてだと思います。初めまして,映画プロデューサー,小説家の川村と申します。ふだん映画を作っておりまして,去年は「君の名は。」「怒り」「何者」,あと自分の小説『世界から猫が消えたなら』が映画化され,のべ4本の映画を作りました。映画が僕の実家なのですが,映画というのはいい場所で,文芸もあって,アートもあって,ファッションもあって,音楽もあって,芸能もあるという,すごく楽しい実家に僕は生まれまして,たまに一人旅をしているような感覚です。去年でいうと,『四月になれば彼女は』という小説を文藝春秋から出したり,リオのハンドオーバーセレモニーを演出されたMIKIKOさん,真鍋大度さんと一緒にルイ・ヴィトンの展覧会でショーをやったり,映画を実家としていろいろな場所へ一人旅をしています。幸いなことに映画は,旬のアーティストが集まってくる場所なので,時代の流れとか,世界でどういうものが受け入れられているのかということに関して敏感な場所にいるのだろうと思っています。

どうお役に立てるのかなあと考えているのですけど,資料を読むと総論的なことが多いので,個人的には一つでも何か,1年間でこれをやったというか,具体的にこういうことが変わったということが提言できたらと思っています。

先ほど伝統みたいな話もありましたが,「君の名は。」はポップカルチャーとして捉えられていると思うのですが,海外ではちょっと違った評価になっていたりもします。アジアだとアニメーションのムーブメントの中にあり,ハリウッドからリメイクのオファーもすごく多いのですが,ハリウッドの監督とか脚本家が褒めるのは,アニメーションであるということよりも,そのストーリーの部分なのです。『とりかへばや物語』や,『古今和歌集』の「夢と知りせば」という詩など日本の古典をモチーフにしているのですが,それがすごくいいよねと言われるのです。日本の文化を海外に送り出す,ということで言うと,ストーリー,アイデア,世界観というものは,制作費が大きくかかるものではないですし,比較的届けやすく,広く受け入れられる可能性が高いと思っています。新海誠さんは,もともとひとりで映画を作ってきた監督で,コアファンが数万人いるインディーズのクリエイターでした。でもその濃さが受け入れられて,今は日本だけでも1,900万人ぐらいの観客がいて,全世界で受け入れられている。でもきっと,建築やアートやファッションの世界でも,そういうことが起こり得る。ある種閉じているのに,世界に通じるものづくりをしているのが,日本らしいクリエイターの在り方のひとつなのかなあと思っています。それをきちんとキュレーションして,肩入れすることができるか。その応援体制をどうするかということが非常に重要かなと思っています。その注力の仕方というか。古典芸能にしても,現代アートにしても,エンタテインメントにしても,それは一緒だと思いますので,そのあたりの具体的な話が一つでも二つでも創出できればなと思っております。

1年間,よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

では,紺野委員,お願いいたします。

【紺野委員】皆さん,こんにちは。紺野美沙子と申します。俳優をしております。といいましても,何百万人の方が観るような映画の世界とは最近ちょっと縁が遠くなっておりまして,1回,100人,200人,多くても1,000人ぐらいの方を対象とした,演劇公演や朗読の活動をしております。そのほかに,約20年前から,国連開発計画(UNDP)の親善大使として,開発途上国を訪問しております。そういった海外での活動や,朗読や演劇公演を通じて,日本全国,地方に伺うことが何よりの楽しみです。一番大きな楽しみは,地方に伺ったときに,地域の芸術文化の担い手の方や地域の皆さんと一緒に交流をする,主に飲みニケーションなのですけれども,そういった一時が何よりの楽しみです。

7年前から,朗読座といいまして,私の朗読と音楽の生演奏,そして映像を組み合わせた活動をしております。特徴としては,決まったプログラムを持って回るのではなくて,訪問する地域に見合った作品を朗読したりですとか,あとは,群読といいまして,観客の皆さん全員と一つの詩なり文章なりを朗読する,観客参加のプログラムなども最近は力を入れています。

国内外を訪問する機会の中で,日本の自然風景の美しさとか,食の豊富さとか,何よりも地域独自の芸術文化の力を強く感じる機会がございますので,そういった経験を生かして,特に若い人たちに,日本の良さを今の仕事を通じて伝えていけたらなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

それでは,篠田委員,お願いいたします。

【篠田委員】新潟市長の篠田です。今年から文化審議会委員に入れていただいたということで,よろしくお願いします。

先ほど名越委員から,行政が早く方向を決めたり,方向を示したりしてほしいというようなお話があったのですけど,地域では人はどんどん育っている。むしろ,今,行政の長の私が言うのも何ですけれども,そういう芽を摘んだり,方向をねじ曲げたり,スポイルしたりという,それを行政が結構やっていたので,私はそういうことがないように気を付けたいというふうに思っています。

東京を見ても余り勉強するものがなかったので,我々,フランスのナント市と今は姉妹都市ですけれども,ナント市の取組は非常に面白いというふうに思っています。そこから学んだことの一つは,フランスの食,あるいはナントの食,農業,これがいかにすばらしいかということを,教育ファームという形で,農業体験と食育,これを全ての子供たちに繰り返し,繰り返し,言葉は悪いですけど,すり込んでいると。これ,日本は何でやらないのかなと。今,新潟は,全ての小学生に農業体験と食育ということで,フランスでは標準装備の,教育ファームというのをちょっとやってみているという状況です。

その次に,文化創造の力もすごいので,象徴が「ラ・フォル・ジュルネ」ですけれども,新潟も「ラ・フォル・ジュルネ」を,7年前からやるようになったと。そうしたら,新潟の若者たちがそれを見て,和の伝統文化を45分ぐらいのコマでどんどん見せると面白いのではないかというので,「アート・ミックス・ジャパン」というのを始めました。昨年は国から支援を頂いてメキシコに25人ほどのアーティストを派遣したら,日墨協会の協力もあって食もやっていただいたせいもあるのですけど,2日間で4万数千人が日本の伝統文化を楽しんでくれたと。

そして,もう一つ,金森穣のNoismですけれども,ちょうどナント市と付き合っている頃,金森穣と知り合って,日本には専属のダンスプロチームがいないと。劇場専属のダンスプロチームを新潟で運営してくれと言われて,新潟市の芸術文化振興財団が管理する「りゅーとぴあ」という劇場の専属ダンスカンパニー,プロと,給料をもらえない研修生がそれぞれ10人ほど,そのチームが,先日,ルーマニアに行ったら,大変な人気と。ヨーロッパやアメリカなどでは,かなり高い評価を得ている。

こういうものが地域にいっぱいあるのですけれども,ともすると狭いお国自慢に陥っている地域もあるのではないかと。これを我々は,我々の場合はナントですけれども,フランス,ヨーロッパの物差しを当てて,日本がどうなっているのか,新潟がやろうとしている方向はどうなのかというようなことを確認しながら,やってきています。そうしたら,今,いろんな人たちが新潟に来てくれるようになって,Noismもそうかもしれませんけれども,新潟が農業戦略特区に選ばれたということもあって,昨年から新潟市にはレストランバスというものが走っていると。これは,2階建てのバスを改造して,1階が調理場,2階が対面式の25人のレストランで,4皿ぐらい料理が出て,農業体験をやったり,ワイナリーを楽しんだり,日本酒の蔵を楽しんだりというような形で,今,日本に2台しかありません。1台目は,昨年,新潟に来て,2台目も新潟でデビューしてくれたと。

そんなことをやっていたら,皆さん,観ていらっしゃらないと思いますが,先週水曜日に,「おじゃMAP!!」という,香取慎吾さんとか,叶美香さんとかが出演する1時間番組でレストランバスをずっとやってくれて,大変な反響だと。東京にかなわないのは,マスコミの発信力,これだけは残念ながらかなわないのですけれども,コンテンツなどは,私は地方が暮らしを豊かにしている文化は数多くあると思っているので,そんなこともこの場でほかの地域の話も含めて御紹介し,また,是非,地域の面白いものをしっかりとネットワークするシステムを文化庁さんにお願いできれば大変有り難いなというふうに思っています。

【熊倉部会長】第4次基本方針から食文化も文化政策の範疇(はんちゅう)にたしか入れたと記憶しておりますし,今,お話がありました「りゅーとぴあ」は,全国に立派な箱はたくさんございますけれども,数少ないレジデント・カンパニーを擁していらっしゃる,本物の芸術創造拠点でいらっしゃいますし,地域版アーツカウンシルの先駆的な事例としても非常に,今,この政策部会も注目をさせていただいているところです。

その地域版アーツカウンシルに先駆けて,国のナショナル版のアーツカウンシルで御尽力を頂いております,柴田委員,お願いいたします。

【柴田委員】失礼いたします。柴田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

文化政策部会の委員になりましてから,3年目を迎えておりますが,これまでいろいろ部会で勉強させていただきました。また,私は地域で活動していることが多いものですから,自治体や劇場などで地域の方々と向き合って,アートマネジメント,地域の文化振興の仕事をしている関係から,文化政策部会で話し合われたことをなるべくオンタイムで地域の方々にお伝えし,また,その情報によっていろいろな意見を地域の方がお持ちですから,そういう御意見をこの部会に反映させていただくという,地域と東京のつなぎ役をして努めてまいりました。力不足で,まだ十分にそのお役目を果たせていないのですけれども,これからもこのようなスタンスで委員を務めたいと思います。

このような状況から3点ほど申し上げます。まず,基本法の改正でございます。非常に注目しておりまして,今日はいろいろなお話がお伺いできると思っていたのですけれども,次回,詳しく基本法の改正についてお伺いしたいと思います。と申しますのは,この基本法があって,地域の文化振興条例,それから文化総合計画等々がありますので,この改正によって地域の方に多大な影響が出てくると思います。条例改正の必要性も出てくるかと思いますので,この情報につきましては,各地の自治体の方に是非オンタイムで知らせていただければ有り難いと思っております。

2点目,地域からの文化プログラムをどうしていくかということです。東京だけ盛り上がることではなく,地域から盛り上げていくということですが,今現在,地域はまだ文化プログラムについて冷めているという感が否めません。本日,文化プログラムの全国展開に向けた取組ということで,文化情報プラットフォームの構築・発信等々,いろいろな周知・発信の情報を頂きましたので,これから地域も文化プログラムに対して懸命な努力をしていくかと思うのです。文化プログラムを地域から捉えますと,遠いものがありますが,是非,全国で盛り上げていきたい。文化に関係する無関心層でありますとか,文化に抵抗を示している方々に興味を持っていただくムーブメントの一つのチャンスになります。是非,地域から盛り上げていきたいと思っております。それには,beyond2020の認定の事務手続というのが非常に細かく煩雑であるとお伺いしておりますので,この事務手続をなるべく効率化していただきたいと思っております。例えば,今の文化庁の助成プログラムとリンクさせるとか,それで事務の手間を省くとか,差し支えない範囲で進めていただきたいです。自治体の職員も劇場の職員もいろいろな事業を抱えておりますので,その中でこの事務を一つ一つやっていくということは大変な労力でございます。ですから,それを少しでも効率的に運んでいただけるような機会を作っていただければと思います。

3点目,特に2020東京五輪が終了した後,この文化政策の流れがどうなっていくのかということは,非常に地域でも注目されているところであります。今,人材育成を各地域で一生懸命取り組んでおりますけれども,これを是非,雇用につなげていきたいという思いでございます。このような観点から3年目も地域からの意見をいろいろこの中で反映させていきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。今日からでしたっけ。ポータルでネットからもbeyond2020の申請ができるようになったそうですけれども,ただ,文化に熱心な高齢者の方々とかはネットからの申請とかは難しいのではないかしらとかいう懸念もございますし,そもそも知らないとか,2020にbeyondを付けて何かいいことがあるのかとか,もろもろ,まだまだ課題は多うございますので,是非,委員の皆様から,今後,闊達(かったつ)な御議論を頂戴できればと思います。ありがとうございました。

では,しばらくニューフェイスが続きますが,田辺委員,お願いします。

【田辺委員】千葉市美術館の田辺と申します。よろしくお願いいたします。

私どもの美術館は,大きく言いますと江戸時代の美術と現代美術という,二本の柱で事業を行っております。私は浮世絵などの専門をしているのですけれども,来館者の年齢層の割合で,少し危惧しているところがあります。古美術に関わるところは半数以上が60歳以上の御高齢の方である一方で,現代美術の方は若い人も多いわけですけれども,いずれにしろ1年のパーセンテージで言いますと,特に高校生は,1%にも満たない,1という数字さえ出しにくい状況にあります。私の美術館では教育普及もやっておりまして,小中学生は学校との連携ということで,大人が連れていくという行動によって美術館に来るということがありますので,若干,高校生よりは多いのですけれども,このまま進んでいくことには不安があります。東京に微妙に近い千葉という立ち位置も難しく感じられます。特に日本の美術,伝統的な美術や文化とかについて,高齢の方が中心になっているような実感がありまして,若年層の将来にわたるサポーターを育てていくことが大事だと思うところです。

オリンピック・パラリンピックに向けて千葉市などでも,美術館に関しては多言語化と夜間開館ということを言われますし,インバウンドという言葉もよく聞きます。また文化芸術振興について若い人に向けたスローガンみたいなのもよく聞くわけですが,実際に,小中学校との連携の中で,先生と話したり,子供と話したり,あるいは美術に関する教科書を見たりという中では,学校教育の中での美術,もっと広くは,文化,伝統芸能みたいなところの教育が少し薄く感じられます。先ほどプロジェクトリーダーということもありましたけれども,一方では,若年層が最初に美術とか芸能に関わる,例えば教科書についても,ちょっと前は若冲であったり,今回はジャポニズムであったり,流行に沿って教科書を採択されるというところを狙っているようには思えます。流行の部分だけではなくて,美術であれば,日本美術の流れというような骨格を知らないで子供たちが将来にわたって文化・芸術のサポーターになれるのだろうかと,少し危惧を持っています。多言語化ということも,強く施策として,千葉のようなところにもおりてきます。美術館であれば,作品の解説とか,そういうところで多言語化への取組ということはできると思うのですが,その根底におもてなしということがあるのであれば,日本の文化をちゃんと語れるということも大事になってくるのではないかと思っております。

日本文化を語ることのできる日本人を育てるということでは,今,学校ということは余り出なかったので申し上げましたけれども,学校は子供たちが最初に文化芸術に出会う場所だと思います。先生方も最近は非常に忙しくて文化芸術に関わる時間なども減ったりしている状況ではあるのですけれども,自分の国と文化のことを語れる人たちを育てる必要性を感じます。あとは,全体的にインターネットなどが普及してきたときに,若い人たちはバーチャルなもので満足してしまうという部分が非常に大きくなってきているように思います。美術館に来て本物を見るとか,劇場に行くとか,テレビでも昔のように新聞の番組欄を一生懸命見るのではなくて,何か検索して見るような便利な状況ではありますけれども,本物を見るということへの真剣さみたいなのも同時に育っていくといいのかなあと思っております。

狭い範囲のお話で,この1年,お役に立てるかどうか,自分でも不安なのですけれども,どうぞよろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

では,続きまして,鳥井委員,お願いいたします。

【鳥井委員】サントリーの鳥井でございます。1週間の半分は東京,半分は大阪という生活をしています。サントリーは,サントリーホールというクラシックのホールや,サントリー美術館を持っています。また,サントリー文化財団がサントリー学芸賞や地域文化賞を出しているということで,非常に文化的な企業というふうに見られているのではないか思います。実際,サントリーで作っている商品,ウイスキー,ビール,ワイン,お茶,コーヒー飲料,天然水というものは,どちらかというと文化的な商品だと私は思っていて,会社全体が文化と結び付いていると考えています。

この審議会といいますか,テーマと外れるかもしれませんけど,例えば,機械とか,エレクトロニクスとか,ITとか,自動車とか,そういう産業全般も実は文化的な面を随分持っているのではないでしょうか。例えば,五感を使って商品を見るとか,デザインを考えるとか,人との関係がどうなっているのかとか,社会に対してどう考えるとか,人々の潜在的ニーズを掘り起こすとか,非常に文化的な部分があると思うのですが,昨今の産業界のことを見ていますと,全て数字で判断することが極めて多くなっている気がします。最近よく新聞に出てきますけど,ROEとか,ROAとか,格付機関がその会社をどう判断するとか,ストレステストとか,数字中心的な発想が非常に多くて,文化的ではない風潮が強い。これが産業界全体を非常に衰退させている原因ではないかなと。先ほど文化に抵抗している人々がいるということが出ましたけれども,少し日本の意識を変えていくということが必要ではないか。この審議会のテーマとは違うかもしれませんけど,私の問題意識はそんなふうに思っています。

以上です。

【熊倉部会長】ありがとうございました。確かに,日本の企業メセナの屋台骨を支えてこられたサントリーさんの御参加,大変心強く思います。

それでは,お待たせいたしました。中村委員,お願いいたします。

【中村委員】今回初めて委員に選出されました,歌舞伎俳優,中村時蔵でございます。私が委員に選ばれたのは,多分,演じる側の意見をお聞きしたいのではないかと思いますので,私以外,歌舞伎以外の伝統芸能,お能や狂言,文楽などにも友人はおりますので,その人たちとも意見を交換して,なるべく有意義な意見を申し上げたいと思っております。

歌舞伎役者は結構働いている方でございまして,年間8か月から9か月,舞台に立っております。一月は25日間でございますので,古典芸能の中ではかなり働いている方だと思います。そのおかげかどうか分かりませんけれども,歌舞伎界は幸か不幸か独立採算がとれているのですね。ですから,余り危機感がないというのも,一つ問題点でございます。ほかの古典芸能,人材育成,興行収入,公演場所など,いろいろ問題点があると思います。個人的には,私たちも,これから先,観客が減ったらとかいうことは考えておりますし,親会社が松竹株式会社でございますので,松竹株式会社はどうしたらいいだろうかとか,あと,歌舞伎の公演をする国立劇場ともよく相談をしております。

以前,2011年でございましたけれども,国立劇場の公演のときに,駐日大使館の職員,大使,大使夫人,公使だのを招待して,歌舞伎を観ていただいたことがあったのですね。それは,その国から重要な人が来たときにまた劇場の方に足を運んでもらおうという思惑があったのですが,その後,懇親会もやりまして,大変好評でございました。また是非やってくださいという意見があったのですが,実はその二日後に東日本大震災がありまして公演が中止になってしまって,大使たちを呼ぶというのもそれ以外行われておりませんので,こういうことも企画としてやったらどうかなあと思っております。

歌舞伎は古典だけやっているわけではございませんで,歌舞伎は,古典芸能であると同時に,商業演劇としても成り立っておりますので,なるべくお客さんに喜んでもらうようなことを考えて,やっております。その一環として,まだこれは発表にはなってないのですけれども,インドの古典劇を歌舞伎にするという取組を今年の10月にいたします。インドの古典劇は余り御存じじゃないと思うのですけれども,「マハーバーラタ」という古典劇がありまして,これは,有名は有名なのですけれども,日本の『古事記』ような,結構長編なのですね。だから,どこのところをやるかというふうなことを,今,脚本を作っている段階でございます。そういうふうに発信して,多分,インドの方が観たらば,こういう場面なのだなと分かるようなものになるのではないかと思っております。

どのような提言ができるか分かりませんけれども,なるべく有意義な提言をして,2020年のオリンピックを文化の面から支えていけたらなと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございます。「マハーバーラタ」は,ピーター・ブルックの名作が記憶に。もう新しくもないですけれども,それに勝るとも劣らぬ,日本版,歌舞伎版ということで,大変楽しみにしております。

では,本郷委員,お願いいたします。

【本郷委員】本郷と言います。私がこの会議に出席することになったのは,勤めております東京藝術大学の取組も含めて,障害のある人の芸術活動の支援という取組に十数年関わってきたからだと思っております。特別支援学校,社会福祉事業所等も含めて関わってきましたが,社会福祉事業所等については厚生労働省関係の動きがあって,それとは別に文化庁が文化振興に関わる取組を行っています。しかし,今見えているのは,その二つの動きがなかなか連携をとりにくいのだなということです。これからどうやっていくかというのは,本会の文化の施策の検討にも幾つかは入っていましたけれども,関係があるのだろうと思いました。多分,私が参加することになった理由なのかなと思って聞いております。

私は基本的に,研究者ではありません。実践者ですから,実際に地方も回りますし,そういうところの障害のある人を支えている方々の声を聞いて,それをこの部会に上げられたらいいのではないかと思っております。ただ,難しいのは,日本での,障害のある人の芸術活動は多様で,ひとくくりにはできないということです。そういうものを方向性としてどの様に文化庁が発信して,共通認識がとれるようなものが作れるかというのは大変難しいことと思っております。美術の場合ですが,難しさの例えになるかは分かりませんが,文化庁は障害者アートという言葉を使います。しかし,支援に携わる方々の中には,障害者アートって何ですか,障害者アートってあるのですか,それって差別じゃないですかっていう発言も耳にします。芸術だからこそ,障害がある・ないは関係ないのではないですかという意見もあります。それぞれ考え方がありますから,何が正しいかということではないと思うのですが,こうした難しさを理解した上で障害のある人の芸術活動やオリンピック・パラリンピックに関する施策を考えていく必要があるように感じています。

今日大変いい資料を頂きまして,「これから文化行政を大胆に転換し」と書いてある文章ですが,「観光,産業,教育,福祉,まちづくりなどの様々な観点で」と書いてありますが,正に,障害のある人の芸術活動を考えるということは,教育も含むし,いろんな連携,関係をつないでいかなければならないのではと思っているところです。そういうところを文化庁が先頭を切ってつないでいっていただけることに期待して,参加させていただくということができればと思っています

【熊倉部会長】ありがとうございます。本郷先生は美術教育の権威でもいらっしゃいますので,先ほど美術館の現場の方から問題提起もございましたし,また,何より2020パラリンピックもございますので,御専門の分野からの御意見を是非ともよろしくお願いいたします。

では,松田委員,お願いいたします。

【松田委員】東京大学の文化資源学研究室というところに勤めております,松田陽と申します。私は,文化財も含めた文化遺産の使い方・使われ方を研究しております。使い方・使われ方というのは,いわゆる活用よりも広い概念であります。歴史教育や,地域の文化教育のような教育的な使い方も入りますし,社会的な使い方,例えば特に積極的に活用しないけれども,まちのシンボルとしての建物や場所として存在している,あるいは,まちのシンボルとしてのお祭りとして機能している,そういったものも使い方・使われ方には含まれます。あと,当然,経済的な使い方,まちづくりや産業振興,観光振興のために文化遺産を活用することも,使い方・使われ方に入ります。政治的な利用というのもあります。私は今,ユネスコの「世界の記憶」事業にも少し関わっているのですが,驚くほどに政治案件だなと思うような事例があります。しかし,それもやはり文化遺産の使い方・使われ方でありますので,なぜそのようなことが起きるのかを冷静に理解しようと努めております。

文化政策ということに関して言いますと,今申し上げました文化遺産の使い方・使われ方の中で,とりわけ経済的に活用していこうというのが,現在の潮流だと思います。日本の地域でいろいろな文化遺産の経済的活用の取組がみられますが,その中で,うまくいっている事例,うまくいっていない事例を数多く見て,それぞれの共通項のようなものが浮き上がってこないかと,そんなことを考えながら,研究をしております。

そのことにも関わるのですが,今,日本遺産という制度に強い関心を抱いています。日本の観光促進の一つの目玉として,2020年までに日本遺産を100件認定し,インバウンドの観光客を増やそうという趣旨だと思うのですが,少し気になっておりますのは,2020年の後にこれはどうなるのだろうということです。100件認定したのはいいのですけど,例えば2030年や2050年に,「日本遺産」という壮大な名前を付けたストーリーがどうなっているのか,気になります。経産省が近代化産業遺産の認定を平成19年度と20年度にやっていまして,それぞれ33件ずつ認定されて話題になりましたが,それから既に10年ほどが経過し,今では余り注目されていない印象を受けています。「日本遺産」のような大きな名前を付けて認定し,観光振興したはいいが,そのとき限りで終わって長期的には機能しない,日本遺産がそうならないためにはどのような方策が必要なのか,考えていきたいと思っています。

最後に,文化情報プラットフォームに関しまして質問があります。いろいろな登録申請が上がってくると思うのですが,どういう条件を満たしたら登録を認めるのか,登録要件のようなものがあればお伺いしたいです。と申しますのは,仮に特定の政治思想や宗教観を広めることを目的とした文化事業の登録申請がでてきたときに,どういった判断がなされるのかというのを,もし今の時点で何か方針が決まっていればお伺いしたいのですが,質問してよろしいでしょうか。

【熊倉部会長】もちろんです。事務局の方から,お願いいたします。

【髙田企画調整官】要件につきましては,日本文化の魅力を発信するようなことプラス障害者対応又は外国語対応しているということですが,おっしゃられた,いわゆる欠格要件というのですか,そういうことにつきましては基本的に,恐らく文化庁だけに限らず政府全体の,例えば後援名義とかをするときに典型的な例なのですけれども,例えば,政治的だとか,宗教的だとか,あるいは商業的だとか,そういったものを目的としたものについては,ちょっと御遠慮いただくと。今回のbeyond2020につきましては,商業的な要件はやや緩和していまして,商業的なものが主目的であってはいけないのですけれども,例えば,何か商品を作って,それに少し文化的な要素を加えて,商業的ではあるけれども,これは文化の発信にかなり貢献しているというようなものであれば認めるだとか,あるいは,これまで文化庁が余り後援名義を出していなかったような花火だとか,要するに,文化庁の場合は,要件として,例えば全国的なものでなければならないみたいものが必ずあったのですけれども,beyondの申請については別に,県レベルでも,市レベルでも,何でもいいわけですので,そういった意味でできるだけ緩やかにしつつ,ただ,今おっしゃられたような,政治的だとか宗教的だとかが主目的となっているようなものについてはお断りするというような内容になっております。詳しい内容につきましては,ホームページの方でもそういったものを載せております。

【熊倉部会長】取りあえず,よろしいでしょうか。

【松田委員】大丈夫です。ありがとうございます。

【熊倉部会長】では,三好委員,お願いいたします。

【三好委員】アーツカウンシル東京の機構長をしております,三好です。アーツカウンシル・イングランドは70年の歴史を持っており,これはイングランドで国ですし,日本でも,国のアーツカウンシルが,試行から本格実施に移行されておられます。東京都が同じようにアーツカウンシルを作りたいというので,かなり長い議論を経て2012年に発足させました。そのときに機構長に就かせていただいたわけです。翌,2013年になりまして2020東京大会が決まりましたので,2020年に向けてどうするか,東京都としてやるべき部分のかなりを私どもが関与するという,そういう仕組みになりました。そのために,2015年に組織も変えました。昨年の9月19日から東京2020文化オリンピアードというのが始まりましたので,我々,一生懸命走りたいのだけれども,走るトラックがよく見えないなあ,霧の中を走っているような,そんな気分であります。

今日は文化プログラムについても御紹介いただいていますので,そのことに関して幾つか意見を申し上げます。一つは,文化プログラムというものを,ここにいる皆さん方は御存じだと思うのですが,文化プログラムという話をしても,ぴんと来ない人の方がかなり多い。アーティストの皆さんの中にもそういう方がかなりいますし,いろんな意思決定をされるところの皆さん方も,文化プログラムって何か事業をやるのでしょうぐらいの認識しかないという,反応が返ってくるわけです。

そこで,一つは文化プログラムというものをきちんと情報発信した方が良い。今日御紹介いただいた,文化情報プラットフォームができるというのは有り難いことであります。この文化情報プラットフォームについて申し上げると,これから必要なことが幾つかあって,情報を最初に登録するというのは比較的可能ですけれども,内容を更新していく,あるいは新たな情報を加えていくというのが,プラットフォームをやっていく上で非常に難しいというのが,今までいろいろなプラットフォームを見てきた経験での感想なのですね。したがって,せっかく文化情報プラットフォームというのを立ち上げて,今日から運用されるということであれば,今後,更新が継続される,新たな情報が付け加わっていくことをシステム的にやるのが一番重要です。例えば,それぞれ各機関,登録してくださいね,お願いします,で終わらせておいては,継続していかないので,継続できるようなシステム,これは私も幾つか提案はありますので,また追って言いますけれども,システムをきちっと作っておくことが必要だということが,まず一つであります。

次に,文化情報プラットフォームで,文化プログラムを紹介するのは重要なのですが,そもそもなぜ文化プログラムなのかも,情報として加えていただきたいと思います。それが二つ目の話でして,文化プログラムをなぜやるかという話は,多くの人が分かっていないという状況ではないかというふうに思っています。我々も,予算要求とか,いろんなことをするのですが,そこがまだ伝わってないなという気がします。

さらには,今日の資料で,2012年のロンドン大会の文化プログラムの効果というのが書かれております。例えば,文化プログラムによって,何を目的にしているのか,何を目標にしているのかというのをはっきりと伝えていただく,皆さんが分かるようにしていただくことが,重要かなと思います。この中でも,幅広い層が参加したとか,地域での取組というのも非常に重要だなあというふうに思っています。文化財という話もありますが,文化財は正に地域の誇りですから,それを保存・修復しながら,公開・活用していく。正に地域の宝として,みんなで育てていくのだ,守っていくのだという,それが結果として観光にもつながっていくということであって,観光ありきではないなというところもきちっと踏まえていただきたいし,多文化共生という言葉も最近では使われ始めています。文化プログラムということの目的・効果・目標というものを明らかにしていただくということは必要であると思います。昨年の提言の中でも「文化権」という言葉を使ったので,教育であれば,あえて言わなくても,みんな必要性が分かるのですけれども,文化に関しては,「文化権」という言葉を使うかどうかは別にしても,そこに込められた内容というものをより広く皆さんに知らせていくというのが文化プログラムだろうと思っています。文化力が経済力を生むのだというぐらいの,発信,事業の発信だけではなくて,文化プログラムそのものの発信を,もっとしていただければというふうに思っております。それは私どもの課題でもあるので,一緒に考えていきたいということです。

以上でございます。

【熊倉部会長】ありがとうございました。日本遺産もそうですし,各地域で正にそのプロデューサーを見いだし,beyond2020で誰もが参加できる文化事業で,そういう機運がそのまま2020の後に残って地域を支えていくようになるのが最大のレガシーではないかというふうに,これまで政策部会では議論をしてきました。その意味で,今期,引き続き,地域版アーツカウンシルということは日本各地で様々な形で試みが始まっておりますが,非常に注目をして,皆さん方からも御意見を頂戴していきたいところです。

というわけで,大変お待たせいたしました。大分で独り文化政策を担っていらっしゃる,これからの地域版アーツカウンシルの鏡とも期待されている御活躍を様々なさっていらっしゃる,山出さん,お願いいたします。

【山出委員】BEPPUPROJECTの山出です。よろしくお願いします。昨年からこちらに僕も参加させていただいて,大変勉強をさせていただいております。今はNPOの代表ですけど,もともとアーティストでして,文化庁さんの在外研修でヨーロッパに行っておりまして,いろいろ思うことあって日本に帰ってきてNPOを始めて,今,12年になります。今,12年の記録を作っていて,先日,実現したプロジェクト数を数えたら1,000を超えたということで,様々に展開しています。これまでは,別府で混浴温泉世界という芸術祭をやっていたりとか,また,赤坂先生にも大変お世話になりましたが,国東半島芸術祭というものをやっていたりしてきました。別府では芸術祭という在り方を次のフェーズに移したくて,予算を変えずに,個展に切り替えて毎年秋に開催していきます。あと,大分県内に400校くらい小・中学校がありますので,毎年10分の1くらいの学校にアーティストを派遣して授業を行ったり,そういったことがきっかけでいろんなアーティストに来ていただけるので,彼らが住んでいくアパートの整備を行っています。今,一つ,アーティストアパートを運営しているのですが,第2棟目を造っていこうという動きが始まりました。おかげさまでこの5年間で,この間,新聞で発表していただきましたけれども,120人を超えるアーティストの方が別府へ移住してくれました。これはまだまだ別府市の0.1%なのですが,何とか1%を目指して頑張っています。

そのほかに,来年,障害者芸術・文化祭が大分県でありますので,こちらのディレクターをさせていただいている関係で,様々に,障害,社会包摂ということについて,勉強をさせていただいています。別府という場所で,観光地としての情報発信をしていったり,さらには,いろんな生産者の方々と出会って,産品の開発,ブランディングをしていたり,昨年からクリエイティブ産業の創出として新たな市場の開拓,さらには企業様の課題解決を図っていくための事業をプロデューサーとして進めてさせていただいています。つまり,文化庁から始まり,文科省,総務省,厚労省,観光庁,農水省,経産省に関する様々な事業をうちのNPOで進めさせていただいています。

そうすると,ちょっと分かったことがあって,さっき篠田市長から,行政がしなくても,どんどん民間でやらないと駄目なのだという話で,僕もそれを信じてこういうことをやっていますが,例えば,県庁さんや市役所さんと話をすると,同じ県の中の文化事業に僕らが関係していることは,それぞれ全く知らない。そこに非常に大きな無駄があるなあと感じます。我々のようなある種のクリエイティブエンジンのようなチームが全体の横串となって活動していく,これがこれから重要だなあと思うことと,地域を越えて,広域的な文化圏と言っていいのか,地域の商圏ということよりも,もう少し広い概念だと思いますけれども,連携を図っていく必要があると考えています。

来年,こちらも文化庁さんの主催ですが,国民文化祭おおいたを開催します。その次は新潟県になりますけれども,もう少し文化庁さんにバックアップをしていただきながら大きく育てていきたいのですが,これのプロデューサーをさせていただいています。今回のテーマは文化なのですけれども,もともと文化という語源は日本語になかったもので,ラテン語のcolereですね。これは「耕す」という言葉なので,「耕す」という言葉から生まれたのが,人の心を耕す文化であり,土を耕す農業であるということから,今回,大分県を分水嶺(れい)で分けて,文化圏,さらには商圏,人が生きていくエリアということを見付けていきました。つまり,農業を中心として,そこでどうやって文化が生まれてくるかということに着目していますので,国民文化祭,これまでと全く違う考え方で,どちらかというと,食とか農業,そこから生まれてきた神事,そして文化ということに向かっていこうとしています。そういうことも考えているので,先日,パルマ市に行ってきまして,ハム工場さんといろいろ意見交換して,市役所からも情報提供いただきながら,県内の農産物なども,文化的,クリエイティブな視点でもっともっと進めていけないかということをやっています。

そういうようなことをやっているNPOですけれども,今年度も引き続き勉強をさせていただきながら,それをまた地方・地域に持ち帰って,ますます発展させていきたいと思っております。どうぞ,今年度もよろしくお願いします。

以上です。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

では,最後に湯浅部会長代理。申し合わせたわけじゃないのですけど,今日はファッションが似ていましたね。(笑)

【湯浅部会長代理】ありがとうございます。ブリティッシュ・カウンシルの湯浅と申します。アイウエオ順の関係であちら側に座って部会長と長官の顔をいつも見ているわけでして,ここは居心地がまだ悪く,熊倉部会長の代理というのはとても務まるものではないと思いますけれども,様々な分野で御活躍されています皆様と御一緒にこの議論に参加させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

ブリティッシュ・カウンシルは英国の公的な国際文化交流機関でして,世界100か国以上に拠点を持っております。個人的に95年からブリティッシュ・カウンシルの仕事をさせていただきまして,気がついたら20年を超えておりまして,ちょうど,英国で申し上げますと,90年後半にクリエイティブ産業という言葉を使ってトニー・ブレア政権のときにクリエイティブ産業の振興が行われ,そして,2000年代に入りテクノロジーも発達していく中でリーマン・ショックが起き,経済的に国としても厳しい中で,文化に対する助成の在り方ですとか,文化で働くアーティストや芸術機関の方々のいろいろな取組について,仕事を通して意見交換をする機会がとても多くありました。そして,今,2020のオリンピックに向かう日本の中でロンドン五輪が非常に参照されておりますけれども,気が付けば,そこから5年たっております。オリンピックに向かう前の段階での準備の在り方ですとか,また,オリンピック中,オリンピック後の高まり,盛り上がりと,そして現在の在り方の中で,様々な,地方も含めて,国もそうですし,文化機関もそうですし,取組は新しいものがとても生まれていると思います。先ほどの資料の中でも,幾つか成果の中でパートナーシップという言葉も出ておりましたが,特に現在の社会の中で,日本と英国,その他の社会・世界の中で,共通の課題というのもどんどん変わってきていると思います。例えば,高齢社会もそうですし,また,テクノロジーがもたらすいろんなチャンスもありますし,特に英国は日本と共通するところがあると思いますが,地方と中央との格差というものも非常に大きくあります。そうした中で文化芸術の人たちが,オリンピックで生まれた新しいパートナーシップというのは非常に大きな資産だったというのはおっしゃっていまして,特に文化以外の,観光関係ですとか,教育関係,あと企業の方々,それまで連携のなかった人たちとの連携って非常に大きな資産で,それがまた積み重なって,今,新しい動きがあります。そこで大事なのは,先ほど三好委員もおっしゃっていた,何を目指していくのかというところで,他分野の方々との協働の中で目指す目標を一緒に持っていくというのが非常に大事でして,その中で殊アートが何をしていくのかというところで,今も英国の芸術団体は,どういうふうなアートの効果というものを,リサーチャーと連携して,教育的な効果や社会包摂における効果などの検証を出しております。まだいろんなトライをしているところですので,日本のモデルを探していくというのがこの部会のお仕事だと思いますが,貢献できればと思います。

もう一つだけ申し上げたいのは,文部科学省の政策評価に関する有識者会議というものにここ数年入らせていただいております。これは政策評価に関する委員会でして,文科省の全ての政策領域,つまり,教育,科学振興,スポーツに並んで文化もあるのですけれども,そこで,事業分野ではなくて,広義の政策の中での,主にアウトカム設定,各部局の方が出してくる成果指標の設定の枠組みですとか,それの実際のデータについて検証していくという委員会に参加をさせていただいて,とても勉強させていただいております。そこの中で,並べてみますと,スポーツですとか,科学とか,とても数値目標が出しやすい分野というのはどうしてもあるわけですね。その中で,並べてみる中で,各分野,御専門の先生がいらっしゃって,私は,文化庁さんから出てくるデータを,皆様が多分とても苦労なさっているだろうなというのが読み込める資料がいつも出てきていまして,これから基本法が改正され,基本計画を作っていく中で,施策を体系化し,明確な成果指標をそれにひも付けていくというのが,今,文科省の政策評価の中でも議論がありますので,それが求められていくのだと思います。文化庁の分野では数字的にどういう指標を立てるのかというのは難しいところだと思いますけれども,先ほど三好委員の方からも,文化プログラムをして何を目指すのかという,そこに指標があるべきだと思いますし,それが政策とリンクするべきだと思いますので,そういった議論を是非この部会の中でもしていって,そして,それが文科省の政策評価の中でも反映されればと思いますので,お願いいたします。

【熊倉部会長】ありがとうございました。

すみません,ちょっと予定の時間を過ぎてしまいました。冒頭に自己紹介を申し上げなかったので,今日,私は,意見は申し上げませんが,東京藝術大学で,本学が文部科学省のスーパーグローバル校に名乗りを上げるに当たって宮田前学長が作ってくださいました,アートプロデュース専攻という新しい大学院で,アートプロデュース,文化政策,アートマネジメントなどを教えております。本郷先生もそうですが,私ども実技の者たちの方が数の多い大学ですので,学生たちと主に,越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭のような巨大な規模ではございませんが,校地がございます,取手,千住,上野界隈で,学生たち,卒業生などと,アートプロジェクトと呼ばれる市民参加型の文化事業を,実践もしておりますし,研究もしております。

今日は,本当に様々なニューフェイスの方々の御意見も少しずつ頂戴できて,大変有り難かったです。また,次回以降,これまでの文化政策部会の仕事は基本方針の取りまとめということで,やや抽象的,総花的な感がありましたが,前期も委員でいらっしゃった皆様方,御記憶でしょうか,今後は方針ではなくて基本計画を国も作っていくというふうに,前回の緊急提言で述べました。もしかしたら,早速,とっとと基本計画を作ってと言われるかもしれませんので,そうすると,かなり具体策や,正に計画ですので目標や指標などもはっきりとさせていかなければいけないかと思います。というわけで,1年間,皆様,どうぞよろしくお願いいたします。

最後に,事務局から連絡事項を頂いて,おしまいにしようと思います。

【髙田企画調整官】事務局から1点,資料4に書いてございますが,次回の文化政策部会,6月26日,月曜日の10時から12時に行う予定でございます。場所は,未定でございますので,追って会議室等の連絡はいたします。議題につきましては,第4次基本方針の進捗状況についてと書いておりますが,もし基本法が国会で通った暁には,主に基本法だとか基本計画の内容が中心になるかと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】それでは,今年度第1回の文化政策部会,これにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

――了――

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