第165回(平成25年2月21日)宗教法人審議会議事録

  • ○ 日時 平成25年2月21日(木)
  • ○ 場所 文化庁特別会議室
  • ○ 議題
    1. 開会
    2. 議題
      1. (1)最近の宗務行政について
      2. (2)その他
    3. 閉会
  • ○ 出席者
    【委員】
    新井委員 石井委員 石倉委員 井田委員 小串委員 巫部委員 佐藤(禎)委員
    杉谷委員 杉本委員 関?委員 原田委員 保積委員 村鳥委員 矢吹委員
    山岸委員 渡辺委員
    【文化庁】
    近藤文化庁長官 河村文化庁次長 大木文化部長 長谷川宗務課長 井上宗教法人室長
    その他関係者

1.開会

○井田会長
 定刻でございますので,ただいまから第165回宗教法人審議会を開会いたします。
 初めに,開会に当たりまして,文化庁の近藤長官のほうから一言御挨拶をお願いいたします。
○近藤長官
 本日は,大変お寒い中,雪がちらつきそうな寒い中を,そしてまた御多忙の中を御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。
 第165回の宗教法人審議会の会合でございます。今期最後の会合となるかどうか,まだ最終的には分かりませんけれども,今期先生方におかれましては,公私御多用の中を御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。
 宗教法人審議会というのは,文化庁の仕事の中でも非常に,特別の役割を持った会合でございますし,また,政策があってはいけないというようなことを言われているぐらい非常に繊細な事柄でございます。そういう非常に難しい仕事を進めていく上で,先生方の様々な角度からの御意見御提言,大変これまでも参考にさせていただきました。
 本日は,最近の宗務行政の状況について御報告を申し上げることになっていると承知しております。その報告につきまして,そしてまた今後の進むべき方向といいましょうか,行うべきことについて,御提言,御助言等がございますれば,よろしくお願いを致します。
 開会に当たりまして,簡単ではございますが,御挨拶とさせていただきます。
○井田会長
 ありがとうございました。
 次に委員の任命の件について御紹介いたしたいと思います。平成23年11月24日に開催されました前回の審議会以降,平成24年4月1日付で3名の先生方が委員に任命されていらっしゃいますので,御紹介させていただきます。
 (委員の紹介)
○井田会長
 それでは,審議に入ります前に,事務局から本日の配布資料につきまして御確認をお願いいたしたいと思います。
 (配布資料の確認)
○井田会長
 よろしいでしょうか。
 それでは,続きまして,定足数の確認をいたします。宗教法人審議会規則第6条によりまして,総委員の5分の3以上の出席がなければ,議事を開き議決することができないこととされております。本日は20名の総委員中16名の御出席で,定足数を充足していることを確認いたしたいと思います。
 また,本日の審議内容の公開に関する取扱いについても御確認いたしたいことがございます。当審議会における申し合わせによりまして,会議自体は非公開でありますけれども,後日,審議の内容につきましては議事録を作成して公開することとなります。議事録また議事要旨については各委員の自由な討論を確保するため意見は匿名となっております。
 以上,念のために申し添えます。
 それでは,議題に移りたいと思います。今回はお諮りする議題というものはございませんで,報告事項が5点ほどございます。事務局のほうからよろしくお願いいたします。

2.議題


議題(1)最近の宗務行政について

○宗務課長
 宗務課長の長谷川でございます。私のほうから資料に基づきましてここ1年ほどの状況につきまして御報告をさせていただきたいと存じます。
 まず,資料2を御覧ください。ここでは,かつて当審議会において御審議いただき,答申の上で裁決をした案件のその後について挙げさせていただいております。1つ目は宗教法人「宝榮山妙法寺」の規則変更不認証決定に関する案件でございます。経過のところのアンダーラインにございますように。約3年前,平成22年の1月25日に所轄庁の東京都が行いました規則変更認証申請に対する不認証の決定につきまして御審議を頂き,これについては,適法であるという答申を頂いた上で棄却の裁決を致しました。その後,先方は訴訟提起をして,この処分について争ってこられたわけですけれども,最高裁判所までまいりまして,昨年の9月に上告棄却・不受理ということで,この審議会で御判断いただいたとおりの結果になったということでございます。
 おめくりいただきまして,2番,宗教法人「天将神社」の規則変更認証決定でございます。これにつきましては,もともと兵庫県のほうで対応を致しまして,規則変更を認証したということでございますが,これに対して,その対象となる法人を包括しております神之導教から取り消しを求める審査請求があったわけでございます。これにつきましては,平成23年4月21日の当審議会で認証処分は適法であるとの答申をいただき,それに基づく裁決を致しました。その後,出訴に至ることなく,出訴期間を満了いたしましたので,この裁決につきましても答申でいただいたとおりの内容で決着しているという状況でございます。
 最後,3つ目でございます。「在日大韓基督教神戸東部教会」の規則変更認証決定でございます。これも兵庫県知事の所轄になります。規則変更の申請につきましては知事が認証をしたわけですけれども,包括法人の在日大韓基督教会総会が取消を求める審査請求を致しました。これにつきましては,御審議いただいた上で棄却という答申を頂きましたので,その旨裁決をしたわけでございますが,これにつきましても,2番目と同様,出訴期間をもう既に去年の6月の時点で満了いたしましたので,やはり審議会で御答申いただいたとおりの結論になっているということでございます。
 以上,御報告申し上げます。
 次に資料3,不活動宗教法人の現状等についてということで,3枚ほど資料を用意させていただいております。法人の現状も含めて少し申し上げますと,現在,と言っても細かい移動がございますので,最新で正確な数字と把握しておりますのは,平成22年12月31日,2年ほど前の数字でございますが,お手元の資料のとおり18万余りの法人が全国にございます。うち,文部科学大臣所轄が1,000余り,残りが都道府県知事の所轄という内訳でございます。
 そのうち,不活動宗教法人数につきましては,これは一昨年末の数字がございまして,3,899法人という状況でございます。この数字についてですけれども,次のページをめくっていただいて,一番下を御覧いただきますと,8年ほどの間を空けて比較しておりますものを見ていただくと,それぞれ減っております。なかなか難しい中ではございますが,所轄庁各県の担当者の方々,それからそれぞれの宗教法人の方々,包括法人の方々を中心に個別法人の方々も含めて主体的にお取り組みいただいた結果,こういうふうに減っていると受けとめておりまして,直近の3年を見ていただきますと,見開きの右上の数字のとおり,徐々に減っているという傾向が続いております。
 ちなみに,調査年とは,その年に調査をさせていただいたということで,実際の数字自体は前年度の実績でございます。ですから,それぞれの調査年の数につきましては,前年のものというふうに見て,調査年から1を引いていただければ幸いでございます。
 実際にどのような取組を現在進めているか,あるいはお進めいただいているかというものを幾つか例示として挙げさせていただきましたのが,次,開いていただいた見開きでございます。私ども文化庁と致しましては,包括宗教法人に御協力をお願いすると同時に所轄庁である都道府県との連絡もできるだけ密にいたしまして,実態の把握や,あるいは意識の向上に取り組ませていただいております。個別の包括宗教法人でもいろいろな形で工夫を頂いており,せっかくのこの審議会の場でございますので,このような形で紹介をさせていただきたいと思った次第です。
 細かくはそれぞれ見ていただければ幸いでございますが,実態把握,法人自身からの支援,手引の作成,様々な形でやっていただいております。この不活動宗教法人対策につきましては,何とかしなければいけないということは常に課題である一方で,各包括法人にしましても,被包括法人あるいは単立法人に致しましてもそれぞれ一つ一つ事情が異なりますので,できるだけそれぞれの法人の主体性を生かした中で取り組んでいただけるように心がけていきたいと考えてやっております。
 以上でございます。
 続きまして,資料4,宗教法人の書類提出状況でございます。これは,平成7年の宗教法人法改正に伴って設けられた規定に基づく取組でございます。お手元の資料は各年ごとに上から下にかけて新しくなるという形で比較のことも考えて縦に並べております。2ページございますが,1ページ目は私ども文部科学大臣所轄分の提出状況,2ページ目が都道府県知事所轄の状況ということでございます。文部科学大臣所轄につきましては,おおむね9割,最近では95%ぐらいの状況でございます。一方,都道府県知事所轄につきましては,9割を超えたり,ちょっと切ったりということで,大体9割というふうに見ていただければよろしいかと存じます。
 これに対する取組でございますが,法律上は提出しなかったら,過料ということで,裁判所を通じて請求できるわけでございますけれども,それも活用しつつ,一方ではやはりこれも宗教法人の主体的な取組を尊重して,できるだけ自分から出してもらうことが大事でございますので,電話や,事務連絡を通じて提出を促していったり,あるいは宗教法人の方々の実務研修会というのもございますので,そういうときも含めて折りに触れ意識の向上を図っていく,つまり,法人の活動そのものの信頼を得る,あるいは高めていく上でもこういう法に基づく対応はきちっとやっておいていただくのが大事だということを常々申し上げてきております。また,継続的に取り組んでまいります。
 資料5,指定寄附金でございます。これは昔からあるものではなくて,東日本大震災に伴いまして,多くの宗教法人の施設が流される,あるいは倒壊する等々大きな被害を受けている一方で,なかなかそれを復旧・復興するための資金を確保するのが難しいということがございますので,もう間もなく2年になりますが,指定寄附金ということでそれぞれの宗教法人が財務大臣の指定を得る形で広く一般の方から寄附を募るということができるような仕組み,制度自体はもともとございますので,それを宗教法人の施設復興にも活用できるようにしたものです。実際この制度を活用しますと,寄附した方々の税金が一定の要件の下で緩和されるというようなことでございます。
 実績と致しましては,2ページ目にございますように,今のところ7件出てきております。ごらんいただきますと,たまたまでございますが,全て関東圏でございます。どうして東北の被災3県を中心に申請がないのかなと恐らく思われると思いますので,少し触れさせていただきますと,例えば,海の近くでありますと,津波で流されて,そこに今後また人が住むということになるのか,あるいはかさ上げ,あるいは内陸のほうに移転するのか等々も含めて将来の地域計画がなかなか立たないという状況の下,それが立たないと,自分たちの施設をどうするかというのも考えにくいという現状もございます。
 したがいまして,この指定寄附金の制度は,原則として平成25年12月31日までに主務官庁の確認を受けなければならないことになっておりますが,延長する方向で,もう今のうちから少しずつ実績を積み重ねつつ,厳しい現状についても担当である財務省に理解いただけるようにして,できるだけ長丁場にするという心づもりで取り組んでまいることにしております。
 最後になります。資料6をお願いいたします。宗教法人の有する情報開示請求に係る異議申立てということでございまして,情報開示請求そのものは,例えば宗教法人の規則の写しを欲しいというようなことも含めて恒常的にあるわけでございますけれども,今回御紹介申し上げるのは,20ほどの宗教法人の財産目録等々,いわゆる財務諸表について出してほしいという請求があったということについてでございます。
 これは,法律に基づいて提出いただくことになっているものではございますが,有無も含めて,一般にお知らせしますと,無かったら無いでこの団体どうなっているんだということで,次の話になりますし,あったら今度は中身の話になりますし,いずれに致しましても,こういった資料は各宗教法人が宗教活動を進めていく上で大事な資料でございますので,私どもと致しましては,従前から不開示ということでやっております。これは有無も含めて開示しないということでございます。
 もともとは平成21年に請求がありましたので,もう4年越しの話になるわけでございますが,昨年5月にこのことについて審査をする内閣府の情報公開・個人情報保護審査会というところから答申をいただいて,当方の決定は適当でないという趣旨でございましたので,再度検討いたしまして,やはりきちっとあるなしも含めてお答えできませんということで,不開示決定を7月にしております。
 ただ,請求された方はやはり異議申立てということで申し立ててこられましたので,再度私どものほうでこの審議会に諮問をして現在先方のほうで検討していただいているという状況でございます。
 以上5点,最近の状況について御報告申しました。ありがとうございました。
○井田会長
 ありがとうございました。今,宗務課長のほうから5点にわたってまとめて御報告いただきました。これにつきまして,御質問あるいは何か御意見あれば是非御遠慮なくお出しいただきたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
 今お話があった開示請求に対して存否応答拒否をしたという大変ありがたいことだと思うんですが,実は私,平成7年のころにもこの審議会の委員をしておりまして,久方ぶりに戻ってきたんです。そのときはてんやわんや大変なことで,いわゆる財務諸表の提出とそれから所轄を変更する,宗教法人改正について大変な議論になった記憶がありまして,マスコミも大きく報道しまして,オウムとの関連ですね。ですから,私のところまで警察が巡回して大丈夫かと,オウムと宗教法人審議会,全く関係ないんですけれども,マスコミは書くものですから,そんな状況でした。そのときにこれは開示をしないという,そういう付帯決議はできませんでしたけれども,それがほとんどおおむね委員の了解のもとに改正に応じるというようなことで,そういう答申案が一致で出されたわけなんです。
 ですから,古い話になりますが,今度情報開示条例ができて内閣府がいろいろ決定して,文化庁対宗教法人の構図が,今度は文化庁と宗教法人が組んで内閣府に,情報開示を何とかしないようにというような状況になって大変文化庁さんも頑張っていただいたんでありがたく思っておりますが,是非基本的な情報開示によって信教の自由が侵されないように一つまたこの委員会としても,特に委員長さんまたお続けいただけると思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
○井田会長
 ありがとうございます。今の点あるいはその他の点,何かございますか。事務局から,何かございますか。よろしいですか。お願いします。
○事務局
 今,○○先生から御指摘いただきましたけれども,平成7年のときに本当に大きな動きがあり,根本的なところで御議論いただいたということでございます。私どもこの審査会に御諮問をしたりする際にもその当時の資料をやはり基本となる資料と考えておりますので,委員会,審議会,そして国会での議論というのを踏まえた上で,必要な部分を引用しつつ,言うべきことを言っていくという姿勢で臨んでいっておりますので,今後とも御協力のほどよろしくお願いいたします。
○井田会長
 その他の点,何かございますか。
 その東日本大震災に係る指定寄附金の交付された宗教法人の一覧表というのがあって,先ほど東北は何もありませんねという話があったんですけれども,これはやっぱり東日本大震災に係る寄附金じゃないですか。でも,この寄附金そのものは例えば,3番のところでしたら,この宗教法人芳林寺というんでしょうか,ここに誰かが寄附するということなんですね。それをこの震災に係る指定寄附金として受け取るということですよね。
 しかし,復興対策金の濫用というのがありましたけれども,埼玉というのは,何となく震災にかかるかなあという,別に宗教法人に寄附があるのは構わないことだと思うんですけれども,何かこの震災に係る指定寄附金として受け取ると宗教法人としては普通の寄附金ではないよいことがあるか,あるいは払ったほうがいいことは先ほどの税制のことであるのかもしれませんが,やっぱり何となく,とりわけ埼玉というのはちょっと違和感を感じて,震災で壊れた施設を建て直すとか,流れてしまったお墓を修理すると,やっぱり普通の人はそういうイメージをするじゃないですか。何となく復興対策金と同じようなイメージを受けてしまうんですが,その辺のところはどうなんでしょうか。
○事務局
 その点につきましては,確かに東北のほうがイメージしやすいということで,私もその関係をちょっと触れさせていただきましたが,そもそも特に地域の限定はございません。ですから,東日本大震災で被害を受けたということを,ここではさいたま市のお寺であれば埼玉県のほうでお認めいただければ,それは大丈夫ということで,ですから,ポイントは東日本大震災の影響かというところでございます。
 そうすると,ここに記載された全部の宗教法人はやっぱりこの大震災により,何か亀裂が入ったとか,きちんと認定を受けてもらっているというわけなんですね。
○事務局
 おっしゃるとおりです。
 そうですか。それをお聞きすれば納得いたします。
○事務局
 ありがとうございます。
 参考までによろしいでしょうか。
○井田会長
 お願いします。
 私も寺院の関係の共済の審査に係る業務についておりましたので,埼玉県も実際に東日本大震災によるり災証明書がきちっと添付されておりますので,間違いないようになっていると思います。東京都でもそういう申請をしてこられたお寺さんがあります。神奈川県でもあります。ですから,かなり広範囲にわたって,申請がなされておりますので,東日本大震災による被災ということはり災証明書のところで間違いなくチェックできますので,それは問題ないと思います。
 分かりました。
 指定寄附金の適用期間については,阪神・淡路大震災のときには,2年ごとに延長され,都合8年でしたね。
○事務局
 はい,8年でございます。
 今度の被災規模とか,息の長い支援が求められているということから言うと,最低でもその規模,年限までは続けていただきたい。さらに10年とか12年とかなかなか移転計画が立ってないところが多いものですから,地元がまだ申請できない状態ですよね。これから何年かたって,ようやく移転計画とか復興計画が出てくると思いますので,それまでなかなか地元の方は申請しにくいと思うんです。ですから,できるだけ息の長い指定寄附金の適用を是非お願いしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
○事務局
 一般の寄附金が廃止か存続かという年限が切られたときに当然のことながら政府として審査をするわけでございますけれども,それに比べて一般のものに比較いたしますと全体的に非常に理解は得られやすいような印象を持っております。それとともに,実害のある部分が必ずしも元の状態に戻っていないということで,やはり存続の必要性ありという声はきちっと地元なりそれから宗教界として上げていただくという姿勢を継続していただくことが大事だろうと思いますので,やはり必要だということを是非応援方よろしくお願いいたしたいと思っております。
 必要性がなかったら当然要らないんだろうと思われてしまいますので,これから曹洞宗では宗派を挙げてやっていこうということも聞いておりますし,各宗派におかれましても,その必要性なりあるいは計画を必ず出すという方向でいくと思いますので,是非よろしくお願いしたいと思います。
 こういう寄附金があるということは広く広報されて,寄附金があるということを知らないということはないですよね。
 全日本仏教会のほうで今,ホームページ等でも出させていただいているんですが,それだけではなくて各宗派の機関紙,宗報とかでも,また全仏だよりで掲載していただきたいということでお願いしておりますので,全国の寺院に周知はされつつあるという状況かと思います。
 特に小さな寺院の方だと知らない方も多いのではないでしょうか。
 いろいろなところで周知の努力はしていくつもりです。
○井田会長
 周知,宗務課のほうとしてはどうですか。
○事務局
 周知につきましては,今,○○委員がおっしゃられたとおりでございまして,全日本仏教会もそうですし,神社本庁もそうですし,それ以外の法人でもそれぞれいろいろなお持ちのルートを使ってしていただいております。
 ただ,なかなか一つ一つの法人まで届いているかというとなかなか確認のしようが難しいところもございますので,息の長いということと考え合わせますと,私ども行政の担当者も含めまして継続的に地道に丁寧に周知を図っていくとともに,使い勝手,要するにどういうふうにやったらいいのか,興味はあるんだけれども,分からないというところにもお問い合わせあればお答えできるようにしていく,これを続けていくことにしております。
○井田会長
 時間たっぷりございますので,今の点,またほかの点につきまして何か御質問,どうぞ。
 このことも大変大事なんですけれども,もう一つは,憲法89条に私学,宗教関係には,国の支出はできないということなんですが,教育面については,私学振興とかいろいろなことで,それにもいろいろ議論がありますけれども,出している。ところが宗教法人が被災した,それで地域の宗教に関係ない部分については,個人ないし貢献度によって交付金が,ある程度助成金が出されて復興というような,また代替地の便宜とかいろいろな問題がありますけれども,宗教法人に関しては,政教分離の問題から非常に難しい。
 ところが,阪神大震災また,中越地震等においては,第三セクターを設けて,それを経由してある程度公共性が理解される分には支援があったようなことが報道されていますけれども,やはりそういう部分で今度東日本大震災では全く試みもないまま進んできたという裏に何があったのかとか,そういうことに今回は何か除外条件があったのか,また,新たに何かそういうことに対して宗教に対する支援の可能性ですね,例えば地域社会を構成しているのは神社なり寺院なりやっぱり長年地域とともにある宗教法人,それが宗教法人だけ欠落して,村が高台に移ると,宗教法人は全くそれは勝手にやりなさいというような状況で将来的にまた村が再生するかとかそういう議論が盛んに行われているわけです。
 直ちに結論は出ないかもしれませんけれども,また,この場がふさわしいかどうか知りませんけれども,やはり非常に政教分離はある場合によっては厳密に解釈をして,血も涙もないというわけじゃないんですけれども,原理主義で,ある面では多少柔軟に解釈をされて,特に国宝文化財の修理については国民の財産だというようなことで所有は宗教法人ですけれども,それなりの支援がある。
 それに関しては,国民の大方の理解があるんでしょうけれども,既に中越地震などでも多少行われたことに対して,もう少し注意深くどこかで支援をして,そういう直接地方公共団体にはお金は出せないでしょうけれども,地域復興という名目の財団なり,そういうものを経由して大方の理解を得られるものであれば,やはり支援をしていく可能性を探るべきだろうと思っているわけなんです。どうもなかなかそれが今回は聞こえてこないということなんです。それについて何か情報とか,いかがでしょう。
○事務局
 今伺ったお話につきましてどこまでのことが可能なのか,国の関与という観点から,どこまでのことができるのか,あるいはできないのかということを少し今頂いたお話につきまして事務的な整理が必要だろうというふうに思っておりますので,引き取らせていただきまして,少し研究を開始させていただきたいと思っております。
 ちょっとその関係で,8月17日付で,復興庁の統括官の名前で,パブリックコメントに関する回答に対する補足説明を頂いておりまして,その中には宗教法人といえども,復興の対象外になるものではないということを明確にいただいておりますので,そのあたりはその方向で進んでいっていただけるんだろうと私どもは受けとめておりますので,その方向でよろしくお願いしたいと思います。
 中越地震のときは実際にそういう法人をつくって支出しているものですから,そういう資料も集めていただいて御検討いただければ。
○井田会長
 はい,ありがとうございます。
 そのほか今,宗務課長の先ほどの御報告に何か御質問ございますか。あるいは補足,あるいは御意見ございますか。もしなければ,先ほどの御報告以外につきまして,その他の事項何でも結構ですのでもし御意見何かございましたらお願いします。
 よろしいですか。
 では,特に御質問御意見等ございませんようでしたら,一応議事はこれにて終了したいと思います。

3.閉会

○井田会長
 それでは,最後に近藤長官のほうから一言御挨拶を。
○近藤長官
 繰り返しになりますが,本日は,御多忙の中,お寒い中をお運びいただきましてありがとうございました。これで,今後審査請求の御意見を伺うべき新しい事態が生じない限りは今期第30期のこの審議会は最後になると思います。残りの40日程度の間,何もなければこれが最後ということでございます。この機会に改めましてこれまでの委員の先生方の御貢献に感謝を申し上げます。
 今期限りでこの審議会委員を勇退される先生方もいらっしゃいます。井田会長もそのお一人だと伺っておりますが,また,今後ともまた来期も引き続き委員をお願いする先生方もたくさんいらっしゃいます。それぞれの立場,いずれであれ,今後とも是非この宗教法人政策といいましょうか,私どもの業務に関しまして,引き続き御支援とアドバイス,御提言を賜ればと思います。
 本当に本日はありがとうございました。
○井田会長
 事務局のほうから今後のスケジュール等についてお願いいたします。
○事務局
 それでは,今後のことにつきまして,今しがた長官のほうからもありましたとおり,この審議会の期が30期で,3月31日までとなってございますけれども,本日が最後になる可能性が高いと考えてございます。
 現在省内におきまして,来期の体制につきまして検討の詰めを行っているところでございます。それで,来期のことが明らかになった段階でまた先生方に御連絡を差し上げて,今後のことを御相談してまいりたいと考えてございます。
 委員の任期の話が今もございましたけれども,就任要件の関係でこの度井田会長,そして杉谷先生,そして途中退席されましたが,佐藤先生,この3人の先生方におかれましては今期で御勇退をされるということになります。最後に井田会長,杉谷委員からお言葉をいただければと存じます。
 (井田会長,杉谷委員挨拶)
○井田会長
 それでは,今日はこれにて閉会と致します。ありがとうございました。

―― 了 ――

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