第10期文化審議会第3回総会(第52回)議事録

午後4時30分 開会

○滝波企画調整官
 開会に先立ちまして,本日の会議の配付資料の確認からさせていただきたいと存じます。
各委員のお机の上には,本日の配付資料を御用意しております。
まず議事次第がございまして,その下に,資料1−1「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次)について(答申)(案)」,白い冊子にまとめた,印刷した刷り物になってございます。それから,資料1−2としまして「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次)について(答申)(案)の平成23年度予算案等への反映状況」,資料2−1としまして「著作権分科会における審議状況と今後の課題」,資料2−2としまして「文化審議会著作権分科会報告書の概要」,資料2−3としまして「文化審議会著作権分科会報告書」,ちょっと分厚いものになっております。それから,資料3−1としまして「国語分科会における審議状況と今後の課題」,資料3−2としまして「「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案 活用のためのガイドブック」について(報告の概要)」,資料3−3としまして「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案 活用のためのガイドブック」の本体でございます。それから,資料4−1としまして「文化財分科会における審議状況と今後の課題」,資料4−2としまして「指定等の答申をした文化財の概要」ここまでが本体の資料でございます。
そのほかに,参考資料1としまして「委員名簿」,参考資料2としまして「文化芸術関連データ集」を御用意してございます。
その他,机上参考資料としまして「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第2次)」を冊子にしたもの,「文化政策部会審議経過報告」昨年6月7日の審議計画の刷り物にしたもの,それから「平成23年度文化庁予算(案)の概要」,それから「歴史文化基本構想シンポジウ開催の御案内」の資料でございます。
以上,事務局の方で準備をしておりますけれども,万一資料の過不足等ございましたらお申しつけいただければと思います。特にないようでしたら,会長,この後の審議の方をよろしくお願いします。

○西原会長
 では,ただいまより文化審議会第52回総会を開催いたします。
本日は御多忙のところ御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
本日の総会では,議事の円滑な進行の妨げとならない範囲内で冒頭からカメラ等による撮影を許可する扱いといたしますので,どうぞ御了承くださいませ。
本日は林文部科学大臣政務官に御出席いただいておりますので,一言ごあいさつを頂きたいと存じます。

○林政務官
 皆様,こんにちは。御紹介を頂きました,文部科学大臣政務官を務めさせていただいております林久美子でございます。
本日は御多忙の中,こうして委員の先生方に御出席を頂きまして,まことにありがとうございます。文化審議会総会の開会に当たりまして,一言ごあいさつを申し上げさせていただきたいと思います。
委員の皆様には,平素から文化芸術の振興に格別の御指導やごべんたつを賜っておりますことに,まず冒頭,心から感謝を申し上げたいと思います。
本日は今期最後の総会として,著作権や国語,文化財の各分科会の審議状況の御報告に加えまして,文化政策部会で精力的に御審議いただいてきた第3次文化芸術振興基本方針の答申案について審議をお願いすることになりますが,是非忌たんのない意見交換をお願いできればと思います。
さて,昨年2月に川端前大臣からの諮問を受けまして以来,文化政策部会において精力的に御審議を頂いて,いよいよ本日の答申案の審議を迎えております。折しも本日から衆議院の予算委員会が始まりまして,新年度予算案についての国会論戦も始まりました。入り口からやや混乱してのスタートでございますけれども,いよいよこの大事な予算案を審議する委員会が始まったということでございます。
文部科学省や文化庁ではこの基本方針の内容を実現できるように,厳しい財政状況のもとではありますけれども,初年度となる平成23年度の政府予算案におきまして,皆様御存じのとおり,文化庁の予算としては過去最高額となります総額1,031億円,対前年度で11億円増えたという予算を確保させていただいております。このことは,文化審議会における審議などを通じまして,国家戦略としての文化芸術振興の重要性や必要性が委員の先生方のお力でしっかりと認められた結果であると考えておりまして,これまでの皆様方の御尽力に改めて感謝を申し上げたいと思います。
また,著作権の分科会においても,著作権等の制限に関する一般規定を初めとする各論点について,各小委員会などを通じて精力的に御審議を頂いてまいりました。これまでの各委員の皆様方の御尽力に,こちらについても感謝を申し上げたいと思います。
これまでの文化審議会における審議を十分に踏まえまして,政府として,今国会への関連法案の提出を視野に入れてしっかりと準備を進めてまいりたいと,関係団体その調整も含めて進めてまいりたいと思っています。
なお,美術品の政府補償法案については,おかげさまで昨年の臨時国会では,衆議院においては全会一致で可決をいたしました。現在は参議院に送られてきておりまして,継続扱いということになっております。こうした法案が政争の具にされることがないように,しっかりと今国会で成立を図ってまいりたいというふうに思っておりますので,また是非御支援を頂きたいとお願いを申し上げます。
今後とも著作権,国語,文化財を含めまして,文化芸術各分野の振興にしっかりと力を尽くしてまいりたいと思っておりますので,委員の先生方の一層の御指導と御支援をお願い申し上げまして,私からのごあいさつとさせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○西原会長
 林政務官,どうもありがとうございました。
なお,本日は,後ほど髙木文部科学大臣と笹木文部科学副大臣にも御出席いただくことになっております。
本日の議事次第をごらんいただきますと,議題1として「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次)について(答申)(案)」と書いてございます。そして議題2が「各分科会における審議の状況について」となっておりますけれども,大臣に御出席いただける時間帯が17時15分ないしもう少し遅くとなっているようでございますので,議題の順序を逆にしまして,先に議題2から進めたいと思います。御了承くださいませ。
まず,著作権分科会の審議状況等について,野村分科会長から御報告をお願いいたします。

○野村委員
 野村でございます。著作権分科会の審議状況につきまして,御報告いたします。
第10期の著作権分科会におきましては,平成22年2月に基本問題小委員会,法制問題小委員会,国際小委員会の3つの小委員会を設置して,第9期の検討課題につきまして引き続き検討を進めてまいりました。今月25日に各小委員会の検討結果につきまして分科会報告書として取りまとめられましたので,その内容につきまして御報告いたします。
まず,基本問題小委員会における検討について御説明いたしますが,資料2−2の1ページをごらんください。
基本問題小委員会におきましては,著作権制度の今日的な意義といった点について根本的な検討を行うことが必要であるとの認識のもと,まず,デジタル・ネットワーク社会に対する認識,評価について検討し,その上で,デジタル・ネットワーク技術の進展が著作権制度との関係性において社会にもたらす変容をまとめております。
具体的には,[1]から[5]に掲げられているとおりでございますので,後ほどごらんいただければと思います。
次に,2ページをごらんください。
2ページでは,「著作権制度の果たす役割」と「今後の検討が必要な著作権関連施策に係る課題」について記述しております。
ポイントだけを申し上げますと,コンテンツの創造,保護,活用の基盤となる著作権制度の役割は,今後も重要であるとされている一方で,同時に,利用者の利便性を図るべく必要な制度の見直しを図っていくことが必要であるとされております。
また,具体的な検討課題といたしましては,大きく「デジタル・ネットワーク社会に対応した著作権システムの構築」「著作権に係る教育及び普及・啓発」など3つに分けて整理しております。それぞれの具体的な内容につきましては,恐縮でございますが,これも後ほど資料をごらんいただければと思います。
次に,法制問題小委員会における検討につきまして御報告いたします。
法制問題小委員会におきましては,一昨年の5月以来,「権利制限の一般規定」や「技術的保護手段の見直し」を中心に検討を進めてまいりました。
まず,「権利制限の一般規定」につきまして御報告いたします。
4ページをごらんください。
導入の必要性につきましては,個別規定による対応の限界,利用者に対する委縮効果の軽減等の点から,必要性は認められるとしております。また,権利制限の一般規定の対象とすべき利用行為につきましては,5ページにありますように,A,B,Cの3つを掲げております。
具体的には,Aは写真や映像の撮影に伴ういわゆる写り込みのように,ほかの行為に付随的に生ずる利用であります。Bは,著作物の適法な利用を達成しようとする過程において合理的に必要と認められる利用。Cは,技術の開発や検証のために著作物を素材として利用する利用のように,著作物の表現の知覚を通じてその表現を享受することを目的としない利用としております。
なお,条文化する場合の課題といたしましては,7ページにありますように,スリーステップテストに係る判断基準や明確性の原則に十分留意すること等が認められております。
次に,「技術的保護手段の見直し」につきまして御報告いたします。
資料9ページでは,まず,ファイル共有ソフト等により違法利用が常態化する中で,保護技術が必要不可欠となっている一方,現行の整理では一部のコピーコントロールの技術のみが対象となっていること,こうした中,ネットワーク上の違法流通によりコンテンツ業界に多大な被害が生じており,知財計画2010等においてアクセスコントロール等の回避規制が求められていることなどを記述してございます。
次に,10ページでは,技術的保護手段の見直し等について検討した結果,CSS等の暗号型技術は社会的にどのように機能しているのかという観点から見れば,コピーコントロールを機能させるために用いられていると評価できること,また,ゲーム機器・ゲームソフト用の保護技術につきましても,アップロードの際に生じる違法な複製等を抑止する意図で用いられていると評価できることから,これらの技術を新たに技術的保護手段の対象とすることが適当とする旨,記述してございます。
このことを踏まえて,11ページでは,保護技術の実態や新しい評価を踏まえた関係規定の見直しが必要であること,また,回避機器規制及び回避行為規制ともに現行法と同様の規制をとることが適当であること等について記述しております。
技術的保護手段につきましては,以上でございます。
これも恐縮ですが,詳細は後ほど資料をごらんいただければと思います。
最後に,国際小委員会における検討につきまして御報告いたします。
12ページ,13ページをごらんください。
国際小委員会におきましては,昨年6月以来,コンテンツの海外展開が活発化する中で,コンテンツのデジタル化に伴い,インターネットを介した迅速かつ大規模な侵害が発生している現状を踏まえ,国際的な対応が必要との観点から,インターネットによる国境を越えた海賊行為への対応を中心に検討を行いました。その際,コンテンツ業界からのヒアリングや,いわゆるスリーストライク制度の各国における導入状況に関する意見交換を行い,その結果,二国間協議の対象先の拡大や,効果的な権利行使のための体制強化,さらには諸外国の動きを今後とも注視していくことが必要であるとの結論に至りました。
また,WIPO等における議論や二国間協議等の状況につきましても意見交換を行い,その結果,二国間協議の強化・拡大や多国間ネットワークのさらなる強化が必要であるとの結論に至りました。
以上,著作権分科会の審議状況について御説明を申し上げます。

○西原会長
 ありがとうございました。
続きまして,国語分科会について林分科会長と,一部,私から報告させていただきます。
よろしくお願いします。

○林委員
 それでは,国語分科会の御報告を申し上げます。
ただいま国語分科会は,漢字小委員会と日本語教育小委員会とに分かれまして,前者は常用漢字の見直し,後者は生活者としての外国人に対する日本語教育について審議をいたしております。常用漢字につきましては,私から簡単に御説明申し上げます。日本語教育に関しましては,日本語教育小委員会の主査を兼ねていらっしゃいます西原会長から御報告がある予定でございます。
漢字小委員会でございますが,おおむね6年前に文部科学大臣から「情報化時代に対応する漢字政策の在り方について」という諮問を受けまして,国語分科会及びその下の漢字小委員会において鋭意見直しの審議を行ってまいりました。およそ5年の歳月と,すべての会議を合わせますと約110回の会議を経まして,昨年5月19日に改定常用漢字表の答申案をまとめました。これが昨年11月30日に内閣告示されましたので,その後,今年に入りまして1月25日の国語分科会におきましては,答申後の様々な動きについて報告を受けるとともに,今後の周知の在り方などについて議論をいたしたところでございます。
一応漢字表は答申をいたしまして告示されましたけれども,その趣旨が国民に十分理解され,その成果があらわれるには,やはり今後,これを周知あるいは広く理解してもらうという努力が必要でございますし,その結果といいますか,影響もしっかり見守っていくことが必要でございますので,これにつきましては今後,そういうことが課題になるだろうと思っております。
一方,資料3−1の今後の課題でありますが,国語の改善及びその普及に関しましては,常用漢字表の見直しが一たん終わりましたので,この後,この分科会としてはそれに次ぐ新たな調査審議事項について検討し,必要なテーマについてしっかりとした議論をいたしまして,今後の洗練が更に進むようにと考えております。

○西原会長
 続きまして,同じく資料3−1の中ほどをごらんいただきますと,日本語教育小委員会について審議状況が書いてございます。
日本語教育小委員会におきましては,前期に引き続き「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラムの内容について検討を深め,昨年5月19日の国語分科会におきまして「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」について了承していただきました。
また,平成22年7月以降,標準的なカリキュラム案の活用及び指導方法について検討を行いまして,今年1月25日に国語分科会がありましたので,その折に「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案 活用のためのガイドブック」を取りまとめて,御了承いただいたところでございます。
資料3−2をごらんいただきますと,そのガイドブックの章立て,内容の概要が書いてございます。第1から第7まで,このような内容で書かれておりますので,後ほどこれを御参照いただければと存じます。
続きまして,資料3−3がその本体でございまして,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案 活用のためのガイドブック」でございます。これは5月に示しましたカリキュラム案が,カリキュラム案としてはそれでよろしいのですけれども,各地域においてこれを実際に生活していらっしゃる外国人のための日本語のカリキュラムデザインとして使うためには少し工夫が必要だろうということから,このガイドブックを取りまとめました。
お開きいただきますと目次が書いてございますけれども,「はじめに」のところでは,標準的なカリキュラム案というものについて説明しております。
それから2,3ページは言語習得又は言語教育の,このカリキュラム案における考え方について説明しております。
7ページをお開きいただきますと,地域の日本語教育プログラムを作成する手順の概要を,「このような手順で」ということを示しております。そして,実際にその具体的な手順につきましては8ページから14ページまで,手順を追って説明しながら進んでおります。
15ページからは,より具体的なイメージがわくように,日系人就労者,国際結婚で来日なさった方々,それから技術実習生をAさん,Bさん,Cさんというふうに取り上げまして,具体的にその方々についてはどのような日本語教育プログラムが編成できるか例示しております。
それが続きますが,37ページ以降では,教室内外でどういう活動を行うと日本で生活する上で必要な日本語を習得することができるようになるか,その活動方法を示しております。
最後に,53ページ以降でございますが,日本で生活基盤を形成するために必要な項目がこれから学習しようとする人にわかるように,また,自分には今,何が生活上の行為として必要なのか学習する際に自身で選択することができるように,標準的なカリキュラム案で扱う生活上の行為の事例を,中国語,英語,韓国・朝鮮語,スペイン語,ポルトガル語で同じことを繰り返してございますが,示してあります。
以上が活用のためのガイドブックの内容でございます。前回の文化審議会総会以降に日本語教育小委員会で行った議事内容の概要になります。
今後でございますが,このガイドブック及び先般まとめましたカリキュラム案を踏まえまして,教材例の作成,それから生活者としての外国人が学習をした後の,達成された日本語能力の評価をどうするか,それから,日本語指導者,このタイプの学習に関する日本語の指導者の指導力の評価についても検討することを予定しております。
以上が国語分科会,漢字小委員会,日本語教育小委員会の審議経過でございます。
続きまして,文化財分科会の御報告を頂きたいと存じます。
佐々木分科会長,よろしくお願いいたします。

○佐々木委員
 それでは,今期,第10期の文化審議会文化財分科会における審議状況等について御報告申し上げます。
資料4−1をごらんください。
まず,分科会の開催状況でございますが,今期は昨年2月19日に第101回の分科会を開催いたしまして,本年1月21日の第111回分科会まで11回開催いたしました。
文化財分科会では,文化財保護法第153条の規定によりまして,文部科学大臣又は文化庁長官から諮問された案件について調査審議を行っております。今期は国宝・重要文化財の指定,重要文化的景観の選定等について170件,登録有形文化財の登録等について536件,重要文化財や史跡等の現状変更の許可等について2,360件の答申を行いました。
それでは,答申を行った文化財につきまして,幾つか御紹介いたしたいと思います。
まず,重要無形文化財の指定とその保持者の認定についてでございます。
7月の第106回文化財分科会において,瀬戸黒を重要無形文化財に指定し,その保持者として加藤孝造氏を認定したのを初め,今期は計9件の指定,認定の答申をしております。
詳細は,資料4−2の1ページでございます。
瀬戸黒,これは志野や織部などとともに桃山時代に美濃で焼かれた茶陶の制作技法でありまして,深みのある漆黒の釉(うわぐすり)調に特徴があります。また,瀬戸黒の制作においてその技法を高度に体得し,独自の穏やかな作風を確立した加藤孝造氏は,日本陶磁協会賞金賞,伝統文化ポーラ賞優秀賞を受け,高い評価を得ております。
建造物関係の国宝・重要文化財としましては,今期18件,指定の答申をいたしました。
10月の第108回文化財分科会においては,静岡県静岡市にあります久能山東照宮本殿,石の間,拝殿を国宝に指定いたしました。
資料4−2の2ページをごらんください。
久能山東照宮本殿及び石の間,拝殿は,徳川家康をまつる霊びょうとして元和3年─1617年に建てられたものでありまして,当時の建築技法を駆使し,全体が厳かな意匠でまとめられております。江戸時代に全国各地で設けられた東照宮のうち最初に建てられたものとして,我が国の建築史上,深い意義を有しております。静岡県内の建造物では初めての国宝指定となります。
史跡名勝天然記念物では,今期72件の指定等の答申をしております。
資料4−2の3ページをごらんいただきたいと思います。
11月の第109回文化財分科会では,北海道函館市の垣の島遺跡を史跡として答申しました。本件は,北海道南部の太平洋に面する海岸段丘上に立地する,縄文時代としては北海道で最大規模の集落遺跡として重要なものとなっております。
重要有形民俗文化財は,今期は1月の第111回文化財分科会において1件の指定の答申をしております。
資料4−2の4ページをごらんください。
会津のからむし生産用具及び製品は,福島県大沼郡昭和村で,本州では唯一生産が行われてきたからむしの生産用具,及びその製品を収集したものでありまして,この地域におけるからむしの栽培から繊維採取までの作業過程や生産技術を知る上で重要な資料となっております。
次に,世界文化遺産特別委員会の調査についてでございます。
今期も世界文化遺産特別委員会を設置して調査審議を行いました。
まず「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」及び「百舌鳥(もず)・古市古墳群」を我が国の暫定一覧表へ追加記載することについて審議を行い,昨年11月に暫定一覧表をユネスコ世界遺産センターへ提出いたしました。
なお,平成21年の第33回世界遺産委員会において「情報照会」との評価を受けました国立西洋美術館につきましては,世界遺産委員会から付された課題を踏まえて「ル・コルビュジエの建築作品−近代建築運動への顕著な貢献−」として追加情報を提出いたしました。
次に,無形文化遺産保護条約に関する特別委員会の調査についてでございます。
今期も無形文化遺産保護条約に関する特別委員会を設置いたしまして,調査審議を行いました。
今期は,人類の無形文化遺産の代表的な一覧表に係る2012年サイクル提案候補として,木造彫刻修理を提出したほか,我が国がユネスコに第2回提案で提案いたしました案件13件のうち未調査となっております11件につきまして,審査の順位を付し,ユネスコ事務局に通報することといたしました。
なお,昨年11月にケニアのナイロビで開催されました無形文化遺産保護条約の政府間委員会において,我が国がユネスコに第2回提案で提案いたしました案件13件のうち,組踊り及び結城紬(ゆうきつむぎ)の人類無形文化遺産の代表的な一覧表への記載が決定されました。我が国の代表的一覧表への記載案件は18件となり,締約国全体では213件となっております。
以上,今期─第10期の文化財分科会の審議状況と今後の課題について御報告を終わりたいと思います。

○西原会長
 ありがとうございました。
ただいまの各分科会からの御報告につきまして,何かご質問,御意見等がございましたら承りたいと存じます。いかがでございましょうか。どちらの分科会でも結構でございます。
又は,御報告に補足等がございますでしょうか。
佐々木分科会長に,この世界文化遺産特別委員会というものに提案する際に,日本からも代表者がその委員会の委員としているのでございましょうか。

○佐々木委員
 さようでございます。
事務局の方から詳しくお話ししていただけますでしょうか。

○関文化財部長 世界遺産につきましてはユネスコのもとで審査をされておりまして,この文化遺産につきましては,ICOMOSという専門機関がございまして,そちらの方で審査されることになっております。

○西原会長
 日本人委員も,そこに代表としていらっしゃるのでしょうか。

○関文化財部長 実はその辺は詳細がわかりません。つまり,覆面ということになっておりますので,実際の審査を最終的にだれがやっているのかはよくわかっておりません。

○西原会長
 わかりました。そういうことにもかかわらず御努力をお続けになる,そういうことですね。

○関文化財部長 もちろん,実際に提出した国の委員はそれに関与できないことになっておりますので,日本が提出した案件について日本の関係者がその審査に携わるということは,制度的にないわけでございます。

○西原会長
 わかりました。どうもありがとうございます。初歩的な質問で失礼いたしました。
その他,何かございますでしょうか。
では,また後ほど自由討論の時間がございますので,そのときに御意見を賜れればと存じます。
ただいま笹木副大臣が到着されましたので,早速でございますけれども,ごあいさつを頂きたいと存じます。

○笹木副大臣
 どうも御苦労さまでございます。文部科学副大臣の笹木竜三でございます。
皆様には文化芸術の振興ということで平素から御指導,御支援を頂きまして,心からお礼を申し上げたいと思います。
今日の文化審議会総会では,既に著作権,国語,文化財の各分科会の審議状況について御報告いただいていると聞いています。私も文科省関係の公務で,別件で今まで別の所にいた,それで遅れたんですが,本来はゆっくり御報告も聞かないといけない,聞けなかった,本当に申し訳ないと思っております。
今,予算委員会が,説明が先週金曜日で実質的な審議が今日から始まったわけですが,政府案としては,この文化庁の予算も過去最高,科学技術関係もそうです,スポーツもそうです。文化庁関係も過去最高の予算─案ですが─を確保することができました。あわせて,まだ余りメディアの方に取り上げられていないんですが,寄附税制ということで,プランド・ギビング,要は寄附をしたいと思う方と受ける団体,公益の社団でも財団でも結構ですし私立の学校ももちろん入りますが,そこにプランド・ギビング─信託会社が入って,そして寄附をしやすくする,そして利子は非課税になって生活費は毎月本人に渡って,仮になくなった場合でも,その残りのものが寄附先に行くという枠組み,こういうことで,今後,特に文化関係の財団も社団もたくさんあります。恐らくこういう対象は文部科学省関係のものが一番多いと思うんですが,そういうことも是非今後,皆様に御活用いただいて,あるいはお知り合いの方にしっかりと募ってくださいねという声も大きくしていっていただけると有り難いと思います。
年末からタイガーマスクとかああいうことが話題になっていますが,ようやく,これは20年来実現しなかったことを新しい政権で,私も税調でやかましく言って実現したものです。もちろん寄附が増える分,それで予算が減るなどということは絶対やってはいけないと思いますし,今回,予算案として最高になったといっても,ほかの文化立国,文化大国に比べてまだまだ貧弱な現状であるということは我々政務三役も自覚しております。是非税の面でもこういったことでも,あるいは予算の面でも,これから更に頑張りたいと思っていますので,これは私からもお願いですが,すばらしい文化はたくさんあるし,深さにおいて決してほかの文化大国にも負けないと思うんですが,これはやはり我々政治の責任が大きいと思いますが,外国も含めて外に発信する,国民,更に文化関係の方以外にももっと実感していただくとか,強く認識をしていただく,そういうことをもっともっとやっていかないといけないな,我々政務の責任でもあるなと感じております。
そういうことで,是非引き続きいろいろなお知恵も頂きたいと思っていますので,よろしくお願いします。
国会論戦を通じて,本当に国家戦略としての文化芸術の振興,これをやっていきたいと思っていますので,よろしくお願いします。
今後も著作権,国語,文化財を含めて,文化芸術各分野の振興ということで皆様の御指導と御支援を頂きたいと思っています。どうかよろしくお願いいたします。

○西原会長
 ありがとうございました。
それでは,議題1に入りたいと存じます。
文化政策部会で取りまとめてくださいました答申案について,宮田会長代理・文化政策部会長から御説明をお願いいたします。

○宮田会長代理
 それでは,御説明させていただきます。
昨年2月,第50回文化審議会総会において川端前文部科学大臣から,文化芸術の振興のための基本的施策の在り方について諮問いただきました。この諮問を受けまして,私ども文化政策部会においては第3次となる基本方針の策定について審議いたしました。
お手元の資料1−1,90ページをごらんいただきたいと思います。
2月から3月にかけて諮問事項にそって概括的に審議を行った後に,部会の下に5つの分野別のワーキンググループを設けました。各3回にわたって大変熱心に集中討議をしていただきました。これらの成果を踏まえまして審議を継続し,6月の前回総会では文化政策部会審議経過報告書として中間的に報告させてもらいました。それがこの「凛」という字を書かせていただいた報告書でございます。
その後,審議経過報告について約1か月半にわたって広く国民からヒアリングを頂きました。735件の御意見を頂きました。パブコメでございます。
9月下旬の第11回から13回にかけて,答申案の柱立てにそって論点別に審議を重ねました。第14回以降,まとめの審議を行い,先々週の第17回部会でおおむねの答申案を取りまとめました。この間,1回の懇談会を含め約18回の部会審議,計15回に及ぶワーキンググループ,合わせて何と延べ70時間を超える,私の大学で私がやっている以上に仕事をやらせてもらいましたが,これまでにない濃密な審議を行えたものと私は自負しております。先生方に改めてここで感謝申し上げます。
このほか,審議経過には掲載していませんが,12月のまとめの審議過程では著作権,国語,文化財の各分科会からも御意見を頂いたことでございます。
さて,答申案の概要でございますが,お手元の資料1−1,66ページにある概要資料に沿って御説明します。本文1ページから23ページとあわせて御参照いただきたいと思います。
全体構成としては,大きく第1,文化芸術振興の基本理念,第2,文化芸術振興に関する重点施策,第3,文化芸術振興に関する基本的施策の3つに構成させてもらって,主として第1の2,文化芸術振興に当たっての基本的視点,第2の1,六つの重点戦略において第3次基本方針の特色を持たせております。
まず第1,文化芸術振興の基本理念でございますが,文化芸術振興の意義として,文化芸術は人々が心豊かな生活を実現する上で不可欠な心のよりどころ,国民生活の社会的財産であること,創造的な経済活動の源泉,ソフトパワーであることに言及した上で,文化芸術振興を国の施策の根幹にとらえ,今こそ新たな文化芸術立国を目指すこととして打ち出しております。
次に,基本的な視点として,[1]成熟社会における成長の源泉,[2]文化芸術振興の波及力,[3]社会を挙げて文化芸術振興という3点を挙げております。
[1]成熟社会における成長の源泉では,文化芸術への公的支援に対するとらえ方を転換し,社会的必要性に基づく戦略的投資ととらえ直すこと,その上で,成熟社会における成長分野としての潜在力を喚起するといった観点から,公的施策としての位置づけを明確化するという方向性を強く打ち出しております。また,第2次基本方針を世襲し,長期的かつ継続的な視点の必要性にも言及しております。
[2]文化芸術振興の波及力でございますが,教育,福祉,まちづくり,観光,産業等への波及効果を視野に入れた文化芸術施策の必要性に言及するとともに,日本の強みを生かした戦略的な施策の展開が求められるとしております。これは当然,省庁を超えていきたいというふうに思っております。
第2,文化芸術振興に関する重点施策。
第2の重点施策については,第1で述べた基本理念の下,国家戦略として新たな文化芸術立国を実現するために,以下,御説明する6つの重点戦略を強力に進めました。
この重点戦略の構成はおおむね審議経過報告を世襲しておりますが,主なポイントとしては,戦略1として,文化芸術団体への新たな支援の仕組みを導入。諸外国のアーツカウンシルに相当する新たな仕組み,芸術,音楽等の法的基盤の整備,先ほど政務官からもございましたが美術品政府補償制度の導入。
戦略2,文化芸術を創造し,支える人材の充実。何はともあれ若手を初めとした芸術家を育成していきましょう,そして同時に子供や若者たちを対象とした文化芸術の施策を充実させる。ということは,芸術鑑賞だとかコミュニケーション教育とか,芸術教育を充実させたいということでございます。
戦略4として,文化芸術の次世代への確実な継承。文化財保護のすそ野を拡大,アーカイブの構築。
戦略5としましては,文化芸術の地域振興,観光・産業振興等への活用として,有形・無形の文化芸術資源の活用,新たな創造拠点の形成,支援,地域文化の振興,「くらしの文化」の振興等でございます。
戦略6,文化発信・国際文化交流の充実。これは海外公演や出展,国際共同制作並びに各種フェスティバルへの支援。また,東アジア芸術創造都市や大学間交流など,東アジアにおける国際文化交流の推進でございます。アジアからの発信,特に「東アジアからの発信」という言葉が随分多く先生方からございました。
以上,照会しなかったものも含めて6つの重点戦略として,24の事項を極めて具体的に提言しております。
続きまして,第2の2,重点戦略を推進するに当たって留意すべき事項としましては,重点戦略相互の施策を横断的に実施することでございます。関係府省庁間の連携・協働と関係機関等との強力によって施策を総合的に実施すること,大変重要なことだと思っております。
施策の着実かつ継続的な実施を図るために,重点戦略に係るPDCAサイクルを確立する必要があり,来期以降の文化審議会において進ちょく状況をしっかりと点検していきたいと思っております。
最後に,第3,文化芸術振興に関する基本的施策では,基本法第8条以下の各条に従って,計109項目の施策を列挙しております。
答申の別添でございますが,以上,ポイントを申し上げました。
なお,第3次基本方針としては,対象期間を平成23年度から平成27年度と明記しております。その間,先ほど申し上げたとおり,特に重点戦略にかかわるPDCAサイクルを機能させるための戦略目標,評価の進め方,指標,並びに工程表,およその見通しをそれぞれ本文の別添として作成してございます。
更に,第3次基本方針の初年度となる来年度予算と重点戦略との対応関係を資料1−2で整理しているので,あわせて御参照いただきたいと思います。
なお,来年度予算案には6つの重点戦略の内容を数多く盛り込んでいただける,まだ来ておりませんが,髙木大臣のリーダーシップに感謝を申し上げておきます。
実は,私ども文化政策部会では答申案を取りまとめるに当たりまして,文化省,あくまでも仮称でございますが─を創設すべきとの意見が強くあったところ,第3次基本方針では,文化芸術振興を国の政策の根幹に据え,今こそ新たな文化芸術立国を目指すべきことを強く打ち出している点,先ほど申し上げたとおりでございますが,まさにそのためにこそ文化省の設立を願う次第であります。
文化省に関する記述を盛り込むに当たる条件は,残念ながら,現時点ではいまだすべて整っているとは言い難いという判断をさせていただきました。ですから本文には記述を盛り込んではいませんけれども,文化政策部会各委員からの熱い思いをとどめておくためにも,この場で申し上げたいと思っております。
この間はここでちょっとパフォーマンスをやりました。そのときのものが,この「凛」という字でございますが,ちょうどその前に国語分科会があったときに「凛」という字はいけませんということだったんですが,にもかかわらず「凛」を書かせてもらったという,ここがまたいいところではないかと思いまして,今日は,もう2回同じことをやるのはやめまして,私は「成(セイ・ナル)」という字を書かせてもらいました。
これは,平成19年2月の閣議決定のこの表紙がございました。この前はブルーのものがございました。これはどこかの安宿のふすまではないんだから,こんなもので文化庁が物を出してはいけません。そういうことで,言った手前,手前がやらなければいけないというのが東京芸大の常でございますので,私「成」という字を書かせていただきました。
これは,実はまさかりです。何となくまさかりの感じに見えますでしょう。これは殷(いん)と周の時代に書かれた文字でございます。そして,まさかりとはどういう意味かといいますと,真正面に向かって大きく打ち込む。やりことをきちっとやりたい,やるんだということを言う話でございます。よって私は,今回のノートにはこの「成」という字を書かせていただきたいと思います。
そして,先ほども申しましたが,いっぱい書きました。いっぱいやって,うちの教員や学生に評価してもらったところ,これにしたいと思いますが,この閣議決定の表紙でいかがでしょうか。
よろしゅうございますか。ありがとうございます。 そして,これの裏書には「文化芸術は成るべくして,国家行政は成すべくして」という文章を書かせてもらいました。よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。

○西原会長
 御報告ありがとうございました。
本日頂きました御意見は,まとめてお聞きいただくわけでございますけれども,この答申案自体につきまして文化審議会として了承したいと存じますけれども,これはよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

○西原会長
 ありがとうございます。
では,これが了承されたということでございますので,ただいまいらしてくださいました髙木大臣にこの答申案をお渡ししたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
では,これをお渡しいたしますので,どうぞよろしくお願いいたします。

(西原会長から髙木文部科学大臣へ答申を渡す)

○髙木文部科学大臣
 ありがとうございます。お世話でございました。

○西原会長
 では,今,お受け取りくださいました髙木大臣に,どうぞごあいさつをよろしくお願いいたします。

○髙木文部科学大臣
 ただいま西原会長から,第3次となります文化芸術振興に関する基本的な方針についての答申を頂きました。委員の皆様方には昨年2月の諮問以来,文化政策部会において1年近くにわたり,合計70時間を超えるほどの精力的な御審議を賜り,このような立派な答申をおまとめいただいたことに対し,心から感謝を申し上げます。
ただいま答申を頂いた第3次基本方針では,文化芸術振興を国の政策の根幹に据え,今こそ新たな文化芸術立国を目指すべきであるとの大変重要な基本理念をお示しいただきました。その上で,基本的視点として,まず1つには成熟社会における成長の源泉,2つには文化芸術振興の波及力,3つ目には社会を挙げての文化芸術振興の3点を挙げていただきました。また,今後5年間を通じて取り組むべき重点施策,1つには文化芸術活動に対する効果的な支援,2つには文化芸術を創造し,支える人材の充実を初めとする6つの重点戦略として,極めて具体的かつ明快にお示しを頂きました。
これらの基本理念や視点については,文化芸術を取り巻く現下の社会情勢を的確にとらえたものでありまして,また,6つの重点戦略は今後の文化芸術振興の指針を示す,まさに羅針盤の役割を果たすもの受けとめております。
今後,政府といたしましては,本答申を速やかに第3次文化芸術振興基本方針として閣議決定することにしております。私としては,今回の基本方針とともに過去最高額となる文化庁の新年度予算案,並びに前国会から継続審査となっている美術品政府補償法案及び今国会への提出を視野に入れている著作権法改正案とあわせて,今後の文化芸術施策を強力に推進していく所存でございます。
以上,委員の皆様方にはこれまでの御審議に改めて感謝を申し上げますとともに,今後とも一層の御指導,御支援をお願い申し上げ,甚だ簡単でございますが,答申に当たって私からのお礼のごあいさつといたします。
本当にありがとうございました。

○西原会長
 どうもありがとうございました。
大臣には,この文化審議会に続きまして中央教育審議会の方にも答申が待っているということでございまして,御移動いただくことになります。短い時間でございますけれども,お言葉を賜りまして,ありがとうございました。
副大臣も御一緒に退室なさいます。
それでは,残りの時間は自由討議とさせていただきます。
先ほども自由討議の時間があると申しまして,御意見をお待ちいただいておりましたが,最初の分科会の御報告,それから文化政策部会からの答申を含めまして,御意見等ございましたらどうぞ忌たんのない御意見をよろしくお願いいたします。今日が今期の最後になりますので,今期を振り返って総合的な御感想,御意見等でも,どうぞ御発言くださるようお願いいたします。

○宮田会長代理
 すみません,ちょっと一言。
先ほど70時間を超えると申しましたが,その委員の先生方は,本当によくやってくださいました。それは,柱をワーキンググループで立てたという一つのシステムをつくったおかげで,大変先生方の個性を頂くことができましたので,これは是非ともまたもう一つプラスで,来年度からまたいろいろな会議がございますでしょうけれども,御参考に,この中身ではなくて,このシステムを是非御参考になさったらいかがでしょうかということを申し添えると同時に,それを超える─目の前にいるとドッコイショしているみたいだけれども,本当によくやってくれた事務方に私は感謝をしたいと思っております。

○西原会長
 ありがとうございました。
私も文化財等の審議会,委員会の結果をお送りいただいて,発表いたしますということを伺うのですけれども,もう非常に綿密な調査,それから検討に基づいた形で結果を出していただくことが本当によくわかりまして,これも事務局のお支えがあってこそのことと思いますけれども,本当にいいお働きをしていらっしゃると感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
では,最後になりましたけれども,近藤長官よりごあいさつをいただければと存じます。

○近藤文化庁長官
 第10期の文化審議会第3回総会閉会に当たりまして,一言お礼のごあいさつを申し上げます。
本日は,西原会長より第3次基本方針の答申を髙木大臣にお手渡しいただきまして,ありがとうございます。そしてまた,それに先立って宮田文化政策部会長及び野村著作権分科会会長,林国語分科会会長,佐々木文化財分科会会長から御報告を頂きました。この4つの分野はいずれも,グローバル化が進む中で日本が日本らしさを明確に自ら認識しながら,国民のアイデンティティ,自信といったものを回復し,そして世界をリードしていく新しい時代に合った国の在り方,生活の在り方といったものを日本が示せる能力は十分にある,テントウは十分にあると思っております。それをいかに効率的に,効果的に発揮していくか,そういう時代の要請の中で,この4つの分野はいずれもそれにおいて重要な分野であり,先生方の,あるいはそれぞれの分科会の専門の御見識,国際的な感覚,そういったものを踏まえてすばらしい御議論を頂き,それを非常に中身の濃い報告として,そして答申としておまとめいただきまして,心より感謝を申し上げております。
これからは,この頂いた報告あるいは答申,これを単なるペーパーとすることなく,一つ一つ吟味をし,それぞれ実行に移していく,そして目指すべきより強い,より明るい,より元気のある日本にするために,我々としても全力を尽くす所存でございます。
私ども非力でございますので,今後とも引き続き先生方のお力添え,御指導,ごべんたつをお願いしたいと思います。
先般,奈良で日中韓文化大臣フォーラムというのがございまして,髙木大臣にもおいでいただきました。私も日中,日韓のそれぞれの前の会談を行いましたが,改めて,今,マスコミでは中国の台頭,韓国の元気ぶりといったことがニュースになりますが,この文化財保護法ですね,戦後わずか4年で文化財保護法という法律をつくった,それは法隆寺金色堂壁画の焼損という大きな,ショックな事件がきっかけとはいえ,戦後のまだ灰じんに帰している中でそういう法律をつくったこと,そして,そのもとでこれまで文化財の保護のみならず活用,そして文化芸術の振興,そして日本人のアイデンティティである美しい国語,正しい国語の維持,そして今,世界の流れとなっております著作権の保護,そういった分野について日本が大変すばらしい知見を持ち,それを実行しつつあるということを非常に誇らしく思いました。
中国の文化部長,それから韓国の文化体育観光長官,いずれも文化大臣ですが,彼らもこの日本の文化における先進性については脱帽しているという感じのことを言っておられました。そういうことで,大変私自身,誇らしく思いますと同時に,この文化財保護法が目指している文化芸術に根差した強い日本をつくっていくために最善を尽くしたいと思っております。
繰り返しになりますが,今後とも引き続き御指導,御鞭撻,お力添えを頂きたいと思います。
最後に,宮田部会長,そして西原会長から,これまでの作業に対します事務方の御努力に対しまして暖かいお言葉を頂きました。いろいろ不行き届きもあったと思いますが,事務局を代表してお礼を申し上げて,私のごあいさつとさせていただきます。
ありがとうございました。

○西原会長
 今期の文化審議会は,本日が最後でございます。委員の皆様におかれましては1年にわたる各部会,分科会の御審議に御尽力いただきまして,まことにありがとうございました。
これで終わりといたします。

午後5時38分 閉会

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