第12期文化審議会第2回総会(第58回)議事録

平成25年2月20日

【内田調整官】  それでは,開会させていただきたく存じますけれども,開会に先立ちまして,まずは配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
机上の資料ですけれども,まず配付資料1−1,文化政策部会における審議状況に関する資料でございます。資料1−2ですけれども,最近の情勢と今後の文化政策という報告でございます。
資料2でございますけれども,美術品補償制度部会における審議状況に関する資料でございます。
資料3でございますけれども,世界文化遺産・無形文化遺産部会における審議状況についての資料でございます。
資料4−1でございますけれども,著作権分科会における審議状況についての資料でございます。資料4−2でございますけれども,24年度著作権分科会における審議の過程等についての資料でございます。
資料5−1ですけれども,国語分科会における審議状況の資料でございます。資料5−2でございますけれども,国語分科会で今後取り組むべき課題についての報告でございます。資料5−3でございますけれども,「生活者としての外国人」に対する日本語教育における指導力評価についての資料でございます。資料5−4でございますけれども,日本語教育の推進に向けた基本的な考え方と論点の整理についての報告でございます。
資料6−1でございますけれども,文化財分科会における審議状況についての資料でございます。資料6−2ですけれども,指定等の答申をした文化財の概要でございます。
このほか,委員の名簿と文化芸術関係データ集という資料を机上に置かせていただいております。資料の過不足等がございましたら,事務局にお知らせいただければと思います。
それでは,宮田会長,よろしくお願いいたします。

【宮田会長】  ありがとうございました。資料そのほかはよろしゅうございますね。
本日は大変御多忙の中御出席いただきまして,ありがとうございました。ただいまより58回目の文化審議会を開かせていただきたいと思います。
本日は下村文科大臣,丹羽政務官にも御出席を賜っております。大変ありがとうございました。大変御多忙ではございますが,是非ともこの審議会に下村大臣から御挨拶を賜りたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

【下村大臣】  昨年末に政権交代がございまして,文部科学大臣を拝命いたしました下村博文でございます。どうぞよろしくお願いいたします。文化審議会総会の開会に当たりまして,一言御挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
文化審議会は平成13年の発足以来,委員の皆様方の御尽力によりまして,我が国の文化行政に関し,多くの重要な御提言を頂きました。今期の第12期文化審議会では,昨年3月からこれまでの1年間,各部会,分科会等において,宮田会長はじめ委員の皆様方に大変熱心な御審議を頂きましたことを厚くお礼を申し上げたいと存じます。
文化審議会が所掌する我が国の文化は,正に世界に誇る国力であると考えます。今後の我が国の在りようについて50年後,100年後を見据えつつ,目指すべき道筋を考えますと,当然ですが,我が国が目指すべき方向は世界で一番の軍事大国ということでもなく,また世界で一番の経済大国は残念ながら難しいことであると思います。やはり我が国のこれからの強みとして目指すべき方向は,教育はもとよりでございますけども,世界に誇る我が国の文化の力,正に教育,そして同時に文化芸術立国として国際社会の中で世界に貢献し得る,世界でトップを目指しこれから人類に貢献すべき,そういうステージに我が国は3・11以降を経て,今来ているのではないかと思います。
こうした文化の持つ力の重要性に鑑み,しっかりとした国としてのバックアップのために,平成25年度の文化庁予算においては過去最高の総額と言うと,すごい期待をされるかもしれませんが,1,033億円。しかし,これは対前年度比1億4,000万円増でございまして,近藤文化庁長官とも話をさせていただいておりますが,本当に我が国が文化芸術立国を目指すためには,対前年度比1億円や2億円の積み重ね,実はこれでずっとこの10年,20年間来たわけでございますが,これからステージを変えるということになれば,今までの1.5倍とか,2倍とか,5倍とか,そういうことがこれから数年間のうちで獲得できるようなことをしていかなければ,本当の意味での文化芸術立国とはならないと思います。
そのためには,皆様方のお力を頂きながら,安倍内閣は経済再生と,そして教育再生,この教育再生の中には文化芸術も入っておりますが,内閣の最重要課題でございます。経済再生は,既に国民の皆様方の期待感の中で株価も上がり,また円安の方向になりつつあり,今国会でも補正予算についての審議が行われているところでございますが,残念ながら今回の補正予算や25年度の予算には,教育あるいは文化芸術における予算の反映は時間的に間に合いませんでしたが,是非これから文化審議会の皆様方の御協力,御審議を頂きながら,来年度の予算等に着実に反映することによって,文化芸術立国に向けてしっかりとした対応ができるように,我々も先頭に立って頑張ってまいりたいと思います。
今日は参議院で予算委員会が開かれている最中でございますので,残念ながら冒頭だけの挨拶にさせていただきますが,丹羽政務官が最後まで出席させていただきたいと思います。しっかり頑張ることをお誓い申し上げ,またこれからも委員の皆様方に御尽力を頂いて,御指導いただけますことをお願い申し上げまして,私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手)

【宮田会長】  ありがとうございました。ただいま大臣より大変力強いお言葉を頂戴いたしました。予算について,2倍から5倍という力強いお言葉を頂きました。よろしくお願いします。
それでは,議事に入らせていただきたいと思います。各分科会等から審議状況につきまして報告を頂きました。本日が最後の審議会であります。どうぞ皆様,有意義なお時間を頂戴したいと思っております。
まず,各部会,分科会の審議状況等についてそれぞれ10分程度で御報告を頂き,その後一括して意見交換を持ちたいと,かように思っております。報告の順番でございますが,文化政策部会,美術品補償制度部会,著作権分科会,国語分科会,文化財分科会の順で行いたいと思いますので,よろしくお願い申し上げます。
まずは,私が部会長を務めております文化政策部会の説明をさせていただきたいと思います。資料1−1に基づきまして御報告させていただきたいと思います。
文化政策部会は,平成23年2月に閣議決定された第3次基本方針に記載してございますが,施策を着実に進行管理するというミッションを負っておりまして,これらの施策の実施状況の検証を行ってまいりましたところでございます。検証で,またその中にはいろんな意見がございましたが,政治経済の閉塞感の中で文化の力が大切であると,これは大臣もおっしゃっていただきました。観光,ブランド,ツーリズムの連携とか,あるいは大学の芸術関係に新規の予算が入っているとか,これでいろいろと発見できるのではないかというようなことでございます。
また,第3次基本方針にも定めてありますけれども,文化政策の評価手法の確立に向けた取組,そして現在芸術団体への助成において試行を進めてきている独立行政法人日本芸術文化振興会から取組の報告を頂いたり,文化庁の委託調査である文化政策の評価手法による調査研究などについても審議を行ったりいたしました。
今期の政策部会は合計6回にわたりまして御審議を頂戴いたしました。第3次基本方針の実行の2年目に当たる年でございますので,この間に文化政策に関係する動きがありました。まずは,大変なことでございましたが,東日本大震災の発生,更に「劇場,音楽堂等の活性化に関する法律」――いわゆる劇場法でございますが――などがございました。こうした動向を踏まえて,大震災から創造的復興の在り方に関して,集中的に2回にわたりまして有識者,芸術団体,大学関係者,民間,行政関係者など,復興の第一線で活躍する13名の方からヒアリングを行いました。
これらの方からのヒアリングを踏まえまして,文化政策部会でも集中的に審議を行って,昨年9月28日でございますが,部会として「最近の情勢と今後の文化政策」という提言をまとめさせていただきました。この提言は本日の資料1−2としてお配りしております。そして,その10ページを御覧いただきたいと思います。
まず(1)でございますが,被災地への支援に関する事項。地域に根差した芸術団体等を育成する。それから現場のニーズをうまく吸い上げ,そのニーズを満たすための芸術家の派遣。うまくマッチングすることで一番の重要なことが生まれるのではないか。あるいはコーディネーター的な役割を担う人材を育成し,登用していきましょうと。そして小中学校へ芸術家等を派遣や,被災地の自治体が企画する舞台芸術の鑑賞等への支援を強化していくこと等が御提言されました。
更に,12,13ページにかけて御覧いただきますと,(2)日本全体における文化芸術の役割と振興策に関する事項といたしまして,文化財レスキューの事業,人的ネットワークの活用の必要性,文化財を優先的に救済する,それから平時にリストアップしておけば優先順位がおのずと決まるではないかというふうなこと,そして大学等において専門人材を養成する必要性がしっかりと出てきたと,文化芸術の振興に際して生じる諸課題へ大学の組織力をも参画していく必要性があるのではないかということを提言しております。
今後の課題でございますが,引き続き文化政策部会では第3次基本方針の重点戦略に基づく様々な施策や,最近の情勢,そして今後の政策を着実に進めていこうと思っております。また,文化芸術創造都市の取組を一層推進するとともに,文化芸術の海外発信の在り方,そしてとるべき施策の在り方についても検討していこうと考えております。
今日,最後に第6回の部会をこちらで開かせてもらいましたが,関係省庁の課長さんたちなどもお呼びして,文化政策を省庁の縦割りではなく,横断的な機会を設けさせてもらいました。こういうことも今後ますます増やしていきながら,文化芸術立国と下村大臣のおっしゃっていただいた言葉,よりより深く結んでいかれることを期待して,私の文化政策部会の報告とさせていただきます。ありがとうございました。
さて,それでは次に移らせてもらいます。美術品補償制度部会さん,お願い申し上げます。

【鈴木委員】  青柳部会長が御欠席でございますので,私が代わりまして御報告申し上げます。美術品補償制度部会は,展覧会における海外から借り受けた美術品等の損害の補償に関する,国家補償でございますけれども,法律の施行に伴い必要とされ,政府による美術品補償制度の運用に必要な審議を行うために設置されたものであります。
平成23年6月の美術品補償制度の創設から2年目に当たります本年度は,資料2のとおり計5件の展覧会について審議を行いまして,いずれも補償契約を締結することが適当である旨を答申したところでございます。この5件とも実際に補償契約を締結しておりまして,本年度は美術品の評価額の合計で約1,244億円が美術品補償制度の対象となっております。また,昨年度の第1期美術品補償制度部会による答申に基づきまして補償契約を締結した展覧会のうち,生誕100年ジャクソン・ポロック展,北京故宮博物院200選展,「カミーユ・ピサロと印象派 永遠の近代」展,「セザンヌ―パリとプロヴァンス」展につきましては,それぞれの開催期間を終了いたしまして,無事美術品の返却を完了しております。
今後についてでございますけれども,引き続き補償契約の締結に関する審議を行うことはもちろんでございますけれども,美術品補償制度は創設間もない制度でございます。これまでの審議を通じて,改善すべき点等も徐々に明らかになってきておりますので,そのような点を一つ一つ解決しながら,美術品補償制度の適切かつ円滑な運営に努めてまいりたいと思っております。特に,補償契約約款におきまして,免責事由が多いことが,一部の諸外国の美術館が美術品補償制度を受け入れていない要因の1つとして指摘されておりましたが,今般,補償契約約款の改定が行われましたので,改定された補償契約約款が諸外国に受け入れられ,我が国において質の高い展覧会が数多く開催されるようになることを期待しております。また一方で,万が一にも美術品事故が発生しないように,安全の確保に万全を期してまいりたいと思っております。
以上でございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。
それでは,続きまして世界文化遺産・無形文化遺産部会の状況を御説明ください。

【西村委員】  部会長の西村です。よろしくお願いします。世界文化遺産・無形文化遺産部会は新しくできた部会ですが,その下に2つの特別委員会を設置しております。1つは世界文化遺産特別委員会,もう1つは無形文化遺産特別委員会です。それぞれユネスコの世界遺産条約,無形文化遺産条約に関連する調査審議を行っております。
まず,世界文化遺産特別委員会の調査審議についてですけれども,我が国における世界文化遺産に関し,「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産推薦書をユネスコに提出することを決めました。また同時に「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」のこれまでに登録できなかった5つほどの構成要素があるんですが,その部分を含めた拡張をすることを,我が国の一覧表ですが,世界遺産暫定一覧表へ記載すること等について調査審議を行いまして,決定しております。
一方,無形文化遺産特別委員会におきましては,人類の無形文化遺産の代表的な一覧表,いわゆる代表一覧表と言っておりますが,これの2013年サイクルの審査案件について調査審議を行いました。このうち,2013年サイクルの審査案件につきましては,特別委員会での調査審議を経て,部会において「和食;日本人の伝統的な食文化」を我が国の最優先審査案件として提案することを決定しております。なお,平成21年8月に提案されました「那智の田楽」につきましては,平成24年12月6日に代表一覧表への記載が決定しております。今後も引き続き,両条約の実施に関する事項に関して調査審議を行う予定にしております。
以上です。

【宮田会長】  ありがとうございました。
続きまして,著作権分科会の審議状況を御説明ください。

【土肥委員】  報告申し上げます。資料4−1と4−2に基づいて説明させていただきたいと思います。
まず,資料4−1を御覧ください。第12期の著作権分科会におきましては,その前,第11期の分科会における検討課題について引き続き検討するため,平成24年3月に法制問題小委員会,国際小委員会の2つの小委員会を設置し,検討を進めてまいりました。去る2月18日に各小委員会から審議の経過の報告を受けましたので,その内容について御報告をいたします。
資料4−2を御覧ください。まず,今期の法制問題小委員会における審議経過について御報告いたします。今期の法制問題小委員会では,「間接侵害」等に関わる課題について,平成23年度に司法救済ワーキングチームにおいて取りまとめられた「『間接侵害』等に関する考え方の整理」を踏まえ,検討を深めてまいりました。またこれに加え,著作物のパロディとしての利用に係る課題について,パロディワーキングチームを設置し,検討を進めてきたところでございます。これらについて簡単に御報告をいたします。
まず,1ページの下の方からございますけれども,「間接侵害」に係る課題については,司法救済ワーキングチームにおいて取りまとめられた「考え方の整理」を受けまして,関係団体からヒアリングを実施し,改めて立法措置の必要性等について検討を進めてまいりました。2ページを御覧いただければと思います。法制問題小委員会では「間接侵害」に係る立法の必要性について,ヒアリングを実施した関係団体のみならず,委員からも賛否双方の意見が示され,またもう少し時間をかけて議論すべきである,このような意見も示されたところでございます。こうした意見に鑑み,今後の裁判例の蓄積や社会状況の変化を踏まえ,関係者の立法措置の必要性に係る意見等を見極めつつ,時宜に応じ,引き続き望ましい制度設計の在り方等について検討を行う必要があるとしたところでございます。
また,法制問題小委員会においては,いわゆるリーチサイトというものがございますけれども,これについても検討を行ってまいりました。リーチサイトの示す対象の実態を整理した上で検討することが必要であるとしたところでございます。法制問題小委員会における検討経過の詳細につきましては別紙2にまとめておりますので,後ほど御覧いただければと存じます。
それから2ページの真ん中あたりにございますけれども,著作物のパロディとしての利用に係る課題につきまして,検討の経過を御報告いたします。著作物のパロディとしての利用に係る課題については,平成23年の著作権分科会報告書や,「知的財産推進計画2012」において指摘がなされていたところでございましたので,今期の法制問題小委員会においてパロディワーキングチームを設置し,検討を進めてまいりました。
具体的には,平成23年度に文化庁が行った委託研究を参考としつつ,有識者よりヒアリングを行い,諸外国の法制度やパロディに係る議論状況等を整理いたしました。また,関係団体からヒアリングを行い,我が国におけるパロディの実態等の把握も行ってまいりました。これらのヒアリング結果を整理,分析しまして,我が国におけるパロディとしての著作物の利用について議論を行ってきたところでございます。
検討経過の詳細につきましては,別紙3にまとめておりますので,これも後ほど御覧いただければと存じます。今後は諸外国の法制度や,我が国におけるパロディの実態等について必要な分析,検討を行いまして,その結果を取りまとめることとしております。
3ページを御覧いただきたいと思います。国際小委員会における検討結果について御報告をいたします。今期の国際小委員会では(1)インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方,(2)著作権保護に向けた国際的な対応の在り方,(3)知財と開発問題,フォークロア問題への対応の在り方,(4)主要諸外国の著作権法及び制度に対する課題や論点の整理,これら4つの課題について検討を行いましたので簡単に御報告いたします。
まず,インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方につきましては,これまでの国際小委における議論を踏まえ,政府間協議の対象国の拡大,海外における著作権普及啓発について検討を行っており,政府間協議の対象国の拡大に向けた今後の取組については,海賊版に対する取締り等を目的とする権利執行の強化に加え,各国での著作権の集中管理の強化等の課題を踏まえ,重点とするアジアの国・地域との関係強化に努め,政府間協議の対象国拡大へ環境を整えるべきであるとされております。
4ページで,海外における著作権普及啓発についてでございますけれども,その実施に当たって普及啓発の対象国・地域の優先順位,効果的な手法,政府の果たすべき役割等の十分な検討が必要であるとされております。
次に,著作権保護に向けた国際的な対応の在り方及び知財と開発問題,フォークロア問題への対応の在り方について御報告をいたします。まずは,視聴覚実演に関する北京条約について,2012年6月に北京において条約採択のための外交会議が開催され,北京条約として採択されております。今後は我が国の視聴覚実演家の権利が国際的に保護されるよう,我が国の早期の条約締結が望まれるとしております。
WIPOの著作権等常設委員会等における議論につきましては,現在,放送機関の保護,視聴覚実演等のための権利制限及び例外等について議論がされているところですけれども,今後も議論の動向を注視しつつ,積極的に対応の在り方を検討していくことが必要であるとしたところでございます。
それから,WIPOにおけるフォークロアの議論につきましても,国際小委において報告がなされているところでございます。8ページ,9ページを御覧いただければと思いますが,主要諸外国の著作権法及び制度に対する課題や論点の整理について御報告をいたします。今期の国際小委員会では,韓国,米国,EU等の諸外国の著作権法制と,我が国の著作権法制との比較を中心に有識者からのヒアリングを行い,議論をしております。議論の中で指摘された論点について留意するとともに,権利保護と利用のバランス,国際的な潮流,国益の保護といった観点からも検討を深めていく必要があるとしたところでございます。
それから,最後に9ページでございますが,使用料部会でございます。これについては例年同様,著作権者不明等の場合における著作物等の利用に係る補償金の額と,当該年度の使用教科書等掲載補償金等について審議し,答申を行いました。
以上,著作権分科会の検討状況について御説明を申し上げたところでございます。なお,開催状況や委員名簿については10ページ以降を御参照いただければと存じます。
今後につきましては,引き続きの検討が必要とされた課題については,来期以降の分科会におきまして,順次検討を進めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。
それでは,国語分科会の審議状況をお願い申し上げます。

【杉戸委員】  国語分科会の会長を務めております杉戸から御報告いたします。国語分科会では今期,昨年の4月27日ですけれども分科会を開きまして,2つの小委員会を設けました。国語課題検討小委員会,それから日本語教育小委員会を設置して進めてまいりました。
資料5−1に,これまでの審議状況で国語関係と日本語教育関係をまとめてございますが,その2つを審議してまいりました。このうち,国語課題検討小委員会においては,資料5−2でございますが,国語分科会で今後取り組むべき課題について検討しました。もう1つの日本語教育小委員会においては,資料5−3でございますが,「生活者としての外国人」に対する日本語教育における指導力評価について検討いたしました。それぞれ報告書をまとめまして,一昨日ですが,2月18日に国語分科会を開き,全て了承を得たところでございます。
この資料5−1,5−2,5−3以外に,資料5−4にまとめた課題についても検討を進めました。これは日本語教育小委員会の下に課題整理に関するワーキンググループを設けまして,日本語教育をこの先更に推進するに当たって,基本的な考え方あるいは主な論点について検討,整理しました。それで,資料5−4のような「日本語教育の推進に向けた基本的な考え方と論点の整理について」という報告を,ワーキンググループから小委員会に向けての報告という位置づけで取りまとめました。これは,今後日本語教育小委員会で引き続き検討していくための材料をまとめたものでございます。本日,この文化審議会には御参考までに資料5−4として配付いたしましたので,直接の説明は割愛させていただきますが,どうぞ御覧いただければ幸いでございます。
戻りまして,まず国語関係の小委員会の方,資料5−2です。こちらについて国語分科会の副分科会長の岩澤委員から説明をお願いしたいと思います。

【岩澤委員】  それでは,お手元の資料5−2を参考にお聞きください。小委員会では前年の問題点整理小委員会の議論を踏まえまして,今後具体的に検討が必要な事項について議論を深めてまいりました。その結果,めくっていただいて目次にあります5つの項目について取りまとめを行いました。
まず,「公用文作成要領」の見直しについてです。公用文とは国の行政機関で作成される文章を幅広く言っております。昭和26年に当時の国語審議会の会長の建議を受けて,要領はつくられました。以来60年以上が経過しまして,タイプライタという表現や,用字用語についても実態と合わないものも見られます。国民へ,情報の伝え方として,より分かりやすい公用文を作成していくこと,それに資する要領に改定していくべきではないかというものです。一方で,長年実務が積み重ねられてきていることもありまして,見直しに当たっては関係する府省の御意見も十分に聞きながら,慎重に対応していく必要がございます。
次に,常用漢字表の手当についてです。平成22年に新しい常用漢字表になったのに伴い,新たに生じました異字同訓の使い分けや,同音の漢字による書換えについて見直していくほか,併せて手書き文字と印刷文字の字形に関する指針についても,学校教育における漢字指導に十分配慮しながら,検討していく必要があるとしております。また,実態調査などを通じて,今後常用漢字表の定期的な検証に取り組む必要性を述べております。
3項目,言葉遣いについてです。昭和47年,当時の国語審議会は「国語教育の振興について」という建議の中で,「国語が平明で,的確で,美しく,豊かであることを望む」と述べております。小委員会としては,この4つの要素のバランスがとれ,最大に生かされることが大切だという認識に立っております。特に,東日本大震災では緊急時の命を守る言葉遣いが課題となったり,またパソコンやメール等の利用が急速に増えたりするなど,社会環境あるいは言葉を巡る環境は大きく変化しております。この課題は個々人の言語生活と密接に関わるということから,意識調査なども行って対応をしていこうというものでございます。
4番目,コミュニケーションの在り方についてです。情報化,国際化が進む中で,対面コミュニケーションが苦手という人が増えてきているという指摘がございます。文化庁の調査でもそうした傾向が見られます。情報機器の使用が一層一般化していく中で,対面コミュニケーション能力をどう捉えて身につけさせていくか,大きな課題です。コミュニケーションや,コミュニケーション能力につきましては,分野や立場によって様々な考え方がございます。また,学校教育等との関わりも十分配慮しながら検討していく必要があるとしております。
最後に,その他として,文化庁が行っている国語に関する世論調査は大変社会的な関心が強くて,マスコミにも度々取り上げられます。ホームページでの解説等,より有効な活用法について検討を求めております。以上,時間の関係で省略した部分もございますので,資料を御覧いただければと思います。
以上です。

【杉戸委員】  ありがとうございました。
続いて,もう1つの日本語教育関係の御報告を私からいたします。資料5−3でございます。これまで国語分科会では22年度以降,「生活者としての外国人」に対する日本語教育,こういう大きな領域を対象としまして,幾つかのものを作って公表してまいりました。カリキュラム案,ガイドブック,あるいは教育に使う教材例集,それから外国人の日本語能力の評価というふうに,順次計画的に進めてまいりましたが,今回資料5−3として示しますものは,指導力評価についてのまとめであります。教える側,支援する側の能力の評価でございまして,5つ目に当たる成果物でございます。
各地域で外国人に日本語を教える実践者,ボランティアの先生方,あるいは教室の運営などに当たるコーディネーターと呼ばれる方など,いろいろな立場の方がいますが,そうした人に活用していただくことを想定しまして,自らの指導力を振り返るための指導力評価項目一覧,これは資料の20ページから29ページまで,細かく数えて113に分けて項目を並べました。更に,これらの評価項目を実際に活用する例を30ページから39ページあたりに,具体的に幾つかのケースを想定して示しております。
更に,自分が行った教育や支援に対する実践をどういうフォーマットで記録していくかというためのシート,あるいは自らを磨くための研修についても記録が取れるようなシートを,40ページ以降,具体的に使っていただけるように示しております。これは後日インターネットを通じて,それぞれの実践者の人たちの手元のパソコンで作っていただけるという工夫もしてまいる予定のものでございます。
こういった資料を活用しながら記録を残し,日々の実践について振り返っていただき,必要な指導力を基本的には自己評価的に振り返りながら,自らの指導力の向上に努めてもらうことを期待するといった趣旨のものを,今回お示ししたわけでございます。以上が資料5−3でございます。
最後にまとめになりますが,資料5−1にお戻りいただきまして,今後の主な課題でございます。国語関係では,今後取り組むべき課題は先ほど御報告したとおりでございますが,順次具体的なテーマを選んで,それに即して検討を行ってまいる予定です。それから,日本語教育関係については,先ほどの,今日は御説明を割愛させていただいた資料5−4の「日本語教育の推進に向けた基本的な考え方と論点の整理について」を踏まえながら,来期以降,小委員会で具体的な施策の方向性あるいは推進の方策などについて,検討を具体化してまいる予定にしております。
国語分科会からは以上でございます。

【宮田会長】 それでは次に参ります。文化財分科会の御審議状況をお願い申し上げます。

【鈴木委員】  それでは第12期の文化審議会文化財分科会における審議状況について御報告申し上げます。資料6−1を御覧いただきたいと思います。文化財分科会の開催状況でございますけれども,今期は昨年3月16日に第124回分科会を開催して以来,本年1月18日の第133回分科会まで,全10回開催いたしております。今期最後の第134回分科会は来週2月27日に開催予定となっております。
文化財分科会では,文化財保護法第153条の規定によりまして,文部科学大臣又は文化庁長官から諮問された案件について,調査審議を行っております。今期は国宝・重要文化財の指定,重要無形文化財の指定・認定,史跡等の指定等について174件,それから登録有形文化財の登録等について482件,重要文化財や史跡等の現状変更の許可等について1,885件の答申を行っております。
それでは,答申を行った文化財について,幾つか御紹介いたしたいと思います。美術工芸品関係の国宝・重要文化財につきましては,今期は国宝3件,重要文化財56件の,計59件の指定について答申をいたしました。
写真が付いておりますので,資料6−2を御覧いただきたいと思いますが,まず初めに平成24年4月の第125回文化財分科会におきまして,重要文化財でありました土偶,山形県西ノ前遺跡出土1個を国宝へ指定するよう答申いたしました。この土偶は逆三角形でへん平に作られた胴部に,太い角柱状の左右の脚部を接合し,女性像に仕上げられた縄文時代中期の立像土偶であります。縄文時代の土偶造形の1つの到達点を示す優品として代表的な資料であり,学術的価値が極めて高いものでございます。
次の建造物関係の国宝・重要文化財につきましては,国宝2件,重要文化財14件の,計16件の指定について答申いたしました。資料6−2の2ページを御覧いただきたいと思います。5月の第126回文化財分科会におきまして,重要文化財であった歓喜院聖天堂を国宝に指定するよう答申いたしました。歓喜院聖天堂は奥殿,中殿,拝殿よりなる権現づくりの建築で,現在の聖天堂は享保5年(1720)に歓喜院院主海算が再建を発願,民衆の寄進を募り,地元の大工である林兵庫正清によって建設されたものであります。特に奥殿は多彩な彫刻技法が駆使され,更に色漆塗りや金箔押などによる極彩色を施してきらびやかに飾っております。聖天堂は,江戸時代に発展した多様な建築装飾技法が惜しみなくそそがれた華麗な建物で,技術的な頂点の1つを成しており,我が国の文化史上,高い価値を有しているものでございます。
次の史跡名勝天然記念物につきましては,70件の指定について答申いたしました。資料6−2の3ページを御覧いただきたいと思います。6月に開催した127回文化財分科会におきまして,名護市嘉陽層の褶曲を天然記念物に指定するよう答申いたしました。沖縄県名護市天仁屋からバン崎にかけての海岸には,今から4,000万年ほど前の新生代古代三紀始新世という時期に付加された嘉陽層と呼ばれる地層が典型的に分布しております。嘉陽層は,当時の海溝付近の深海に堆積したタービダイトと呼ばれる砂岩と泥岩の互層からなる地層が,プレートの沈み込みに伴い次々と陸側につけ加わった付加体の地層を主体としているもので,嘉陽層の地層は,地質学の基本的な現象である褶曲構造が見事に発達するほか,砂岩層の堆積作用を示す様々な構造,嘉陽層が堆積した深海底の環境を示す生痕化石,さらにはプレートの沈み込みにより付加された地層が示す様々な現象が保存されており,極めて重要なものでございます。
次に重要有形民俗文化財につきましては,平成25年1月の第133回文化財分科会において,2件答申いたしました。資料6−2の4ページを御覧いただきたいと思います。阿仁またぎの狩猟用具は,秋田県北秋田市阿仁地域の打当,比立内,根子などの集落に居住したまたぎと呼ばれる人々が使用したやり,わな,衣装,山小屋での生活用具,行商用具などの狩猟用具をまとめたものであります。伝統的な狩猟技術を伝え,東日本各地に広く活動した日本を代表する狩猟民として知られている阿仁またぎの狩猟と薬の行商活動の実態を示しており,日本における狩猟習俗の比較の上でも重要なまとまりとなっているものでございます。以上,文化財分科会の今期の審議状況について報告申し上げます。
以上でございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。以上,2つの部会並びに3つの分科会から,審議状況や今後の課題についての御報告がございました。
これから,しばらく意見交換,自由討議とさせていただきたいと思います。そして,本日が今期最後の審議会でございますので,文化審議会を振り返りまして,全体の御意見等もいただけたらと,そして政策全般でも結構でございますので,忌たんのない意見交換を行うお時間を作りたいと思いますので,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【石上委員】  よろしいでしょうか。

【宮田会長】  どうぞ。

【石上委員】  石上でございます。政策部会の文化政策の御提言の資料1−2の13ページのところを拝見しまして,大変心を強く思った次第です。特に,地域の文化財の保存・活用を支える人材の確保等,それから危機管理体制の強化等,震災後の経験を踏まえて,今後更にそれらに対して事前に体制をとっていくという大変重要な提言であると思います。私も自分のフィールドである奄美に行って,地元の教育委員会の方,博物館の方たちと一緒に仕事をし,そういうことを発言しております。私が今課題だと思っておりますのは,震災復興だけでなく,あらゆるところが地域の広域に及ぶ被害や滅失というような危機の可能性がある状況の中で,あらゆる地域がそれに対する事前の体制をとらなければいけない,そのときに,一つの障害,と言っては大げさでありますけれども,となっているのが県市町村の教育委員会の文化財行政の広域連携が不足しているのではないかということです。
私は奄美のフィールドに自分の関心でもって参加させていただいております。そこでは,奄美群島の広域事務組合というものがあり,それと離島振興事業というものを県が主導していることがあって,比較的12市町村の横連携が取れてはいると思います。これは近世以来,又は古琉球時代以来の奄美諸島の地域としての自立性が,現代においても評価されていることによると思います。それ以外の日本全体のいろいろな地域,市町村が再編されて郡規模が一つの市になるというようなことで広域性が復活されている例もあると思いますが,文化財行政に関しては,市町村の自立性を前提にした地域の横断性と連携ということが政策としてきちっと提言され,またモデル事業としてそのようなものが進められる必要があるのではないかと考えております。

【宮田会長】  ありがとうございました。常に言われることですけれども,縦だけではなくて,横との関係は非常に重要なことだと思います。次の審議会の検討状況にしていければと,かように思っております。
ほかにございますでしょうか。いかがでしょうか。
都倉先生,いかがですか。

【都倉委員】   私も著作権分科会に所属しているんでございますけども,総会の委員の皆様にも是非御理解を賜りたいという意味も含めまして,この場でちょっと文化庁サイドの皆さんにお聞きしたいことがございます。
昨年11月に,私的録画,これは通称SARVHと東芝の訴訟というふうに言われておりますけども,最高裁の判断が出ました。上告を棄却するということで,権利者側が完敗いたしたわけでございます。そもそも今まで補償金制度は一応あるけども形骸化していたということが,この判決によりまして全く有名無実になったと,私どもも非常に危機を感じております。
補償金制度というものをちょっと思い出していただければ,そもそも補償金制度システムができる前は,家庭内,あるいは私的録音というのはごく零細なものであったと。ですから,全く無償でやってよろしいという時代がずっと続いてきたところ,デジタル技術というものがこの世の中に出てきまして,目覚ましい技術革新がありまして,皆さん御承知の,今はもうなくなってまいりましたけども,デジタルオーディオテープとか,CD−ROMが一番顕著な例でございましたが,やはりこのまま放置してはおけないということで,ある意味で,技術の発展と消費者の利便,そして著作権の保護,この3つをバランスさせるために,補償金制度を導入する必要があるという結論に至ったものと,僕は理解しているわけでございます。これはたしか平成4年だったと思っております。それから20年以上たった今,技術の発展,消費者の利便性は目覚ましい発展をしたわけでございますけれども,著作権保護がどこか置き忘れられたという感は否めません。
この判決によりまして,私たちは本当に無力さを感じているわけでございますが,たしか4年ぐらい前だったと思いますけれども,著作権分科会での報告書を見ますと,議論を休止するのではなく,新たな枠組みの検討が適当であるとはっきり書いてございます。いまだにその枠組みは示されていないように私たちは考えておりますが,ちょっと長くなりましたけれども,この最高裁の判断とこの枠組みについて,今どのようなお考えがあるのか,文化庁サイドの見解をお聞きしたい。長官ではなくて,次長でも,作花さんでも結構でございますが,ちょっと説明をしていただければと。
以上です。

【宮田会長】  ありがとうございました。その件に関して,文化庁さん側のお話を頂戴したいと思います。

【作花審議官】  失礼いたします。審議官の作花でございます。都倉会長から今御指摘がございました昨年11月のSARVH対東芝判決でございますけれども,司法府の判断に対して行政の立場の者がコメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。
問題は,私的領域におけるデジタル録音録画を政府としてはどう考えていくかということだと思います。平成4年にこの制度が作られて,20年間やってきたわけでございます。法律にもございますように,我が国の私的録音録画補償金制度は,法的な支払義務者は各消費者に位置づけた上で,録音録画機器の製造事業者及び輸入事業者にその協力義務を課している。つまり法の建前は,権利者とデジタル録音録画機器を製造する者の協力関係のもとにこの制度を動かすという前提で,立法されているものと思われます。それが不幸にも,今から三,四年前に訴訟に発展するという,正に制度が想定していない事態になってしまった。誠に残念な状況であったわけでございます。
従いまして,結局この制度をこれから再構築する上においても,相手方,録音録画機器の製造事業者等との信頼・協力関係をどう築くかということをまず考えていかなければいけない。例えば,単に最高裁で否定された現行の著作権法施行政令で指定している機器には該当していないから,じゃあ該当するように政令を変えさせれば良いという単純なものではなくて,やっぱり相手方の協力と理解を得なければ実効性を確保し得ないという問題だと思います。
現在の立場は,昨年の判決が出て以来,関係する権利者の方々,会長がいらっしゃる音楽著作権関係者のみならず,幅広い権利者の方々がそれぞれに今横断的な,これからどう対応していくかという検討をしていると聞いております。
私どもとしてはその状況を踏まえながら,この補償金制度をどのように生かしていくのか,一方の立場に立つだけでは実効性等を確保できませんので,メーカー側の意見とかも聞きながら,また権利者側の意見を聞きながら,著作者に対して適正な報酬が確保される状況,そして著作物が円滑に流通する状況,このネットワーク時代においてそういった状況を作る法制として何が正しいかということに取り組んでまいりたいと考えています。
それから,これは文化庁だけではなくて,内閣官房の知的財産戦略本部でも大きな課題の1つになっているところでございますので,そういった議論の動向も踏まえながら,私どもとしては検討してまいりたいと考えております。

【宮田会長】  ありがとうございました。ほかに委員の先生方で,何かございますでしょうか。
先ほどからの御報告でいろいろ感ずるわけでございますが,例えば国語分科会に関してはも,あらゆるメディアの伝え方が変わってきたときにどう対応していくかの問題,同じように今の著作権の話などにしても,時代の変革に合わせてこの会がどうきちっと対じしていけるかというふうなこと等々,常に問題が繰り返されていくのではないかと思いますが,良い形で解決ができればと,かように思っております。
ほかはいかがでございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
最後に,近藤長官にひとつ,まとめのお話等を頂いてと思っておりますが,いかがでしょうか。

【近藤長官】  この1年間,文化審議会の本委員の皆様,大変貴重な御提言,御意見を頂きまして,誠にありがとうございます。公私ともに大変お忙しい中を縫ってこの会合に御出席を頂きまして,また分科会にも属しておられて両方の会合に出ていただいた方も多いかと思います。
今,各分科会からの御報告を拝聴して,改めて文化庁の所掌範囲が随分広いんだなということを感じた次第でございます。もちろん,この審議会のカバーしない分野で宗教法人というのもございますけれども,この審議会だけでも相当な範囲であり,かつそれぞれただいま御指摘のあった著作権のように,非常に大きな世界の流れと,ビジネスモデルの変化と,権利義務関係の技術の変化・進展に伴う新しい権利関係の動きといったもの,大変難しい状況にあるものもございます。
文化財は比較的,文化財保護法の下で,確立した制度の中で作業してまいりましたけれども,大震災のようなことがあって,そしてまた新しく文化財を活用して日本の地域の,そして日本全体の活性化をしていこうという新しい政策課題もございます。これまでの枠組みや法律に安住していてはいけないと改めて感じている次第でございます。文化芸術分野はその意味では一番,新しいアイデアに向けてどんどん前に進み,先手先手を取っていかなければいけない分野でございます。
そうしたいろんな角度からの分科会でございますが,それぞれの性格に応じて,専門の先生方,大変御見識と御経験のある先生方の御意見を伺いながら,日本国全体,国民のためにどういう政策が良いのか,どういうふうに変えたらいいのか,あるいはそれをどういうふうに実行していったら良いのかについては,常に我々も反省をしていきますし,また先生方からのいろんな御意見を頂いて,前向きに将来を見て進んでいきたいと思っております。
今回で御退任いただく先生方と,また来期もお願いをする委員がおられますが,それぞれの立場がどういうふうに変わりましょうとも,日本の広い意味での文化政策のより適切な実行のために,引き続きお知恵とアドバイスを頂きたいと思います。この1年間のお礼とともに,これからの引き続きの御支援をお願い申し上げて,御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。
本日これをもちまして,1年間にわたりました各部会,分科会の御審議,御協力,御尽力を本当にありがとうございました。では,これにて散会したいと思います。御協力ありがとうございました。

── 了 ──

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