第15期文化審議会第1回総会(第64回)議事録

平成27年3月30日

【内田調整官】  それではお時間ですので,開会させていただきたく存じます。開会に先立ちまして,配付資料の確認をさせていただきたいと思います。まず表紙に議事次第がございまして,その後ろに資料1として,文化審議会関係資料がございます。資料2といたしまして,第63回,前回の総会での意見の概要でございます。資料3-1といたしまして,これまでの審議経緯,資料3-2といたしまして,答申案のポイント,資料3-3といたしまして,答申案の本体,資料4といたしまして,2020年に向けた文化イベント等の在り方検討会についての資料がございます。そのほか参考資料といたしまして,文化審議会関係法令という資料がございます。また,皆様の左側には机上資料といたしまして,紙ファイルにとじてある,関係資料集がございます。資料の過不足がございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 なお,本日は冒頭に人事案件がございますので,一般職員以外の傍聴者は,最初は外で待機いただいております。
 それでは,早速議事に入らせていただきたいと思います。ただいまから,文化審議会(第64回)を開催いたします。委員の皆様には,今期,文化審議会の委員をお引き受けくださいますとともに,本日は年度末のお忙しいところお集まりくださいまして,誠にありがとうございます。今回は第15期の第1回の総会でございますので,後ほど会長を御選出いただく必要がございます。それまでの間,私の方で議事を進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず,委員の皆様を御紹介させていただきます。お時間の関係上,お手元の資料1を1枚おめくりいただきますと名簿が掲載してございますので,その名簿をもちまして全体の御紹介に代えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 今期からは,総会の委員といたしまして,新たに林文子委員,佐藤信委員,大塚英明委員,亀井伸雄委員の4名の皆様に新たに委員に御就任いただくこととなりました。新しい委員の皆様,そして今期も引き続き委員の御快諾をくださいました皆様,ありがとうございました。1年間どうかよろしくお願いいたします。

(傍聴者退出)

※ 会長に宮田委員,会長代理に土肥委員が選ばれた。

(傍聴者入室)

【宮田会長】  始めさせていただきます。次回,第4次の基本方針について大臣に答申するということになっております。言ってみれば大きな意味での文化芸術行政におけるキックオフではないかと思っております。当然のことながら2020を意識し,それ以降の流れも含めた日本にしかできない,日本だからこそできるという大きな文化行政を行うための議論をしていきたいと思っております。そして,このチャンスを逃すと,もはや来ないのではないかという気がしております。そういう意味では,この文化芸術立国ということをしっかりと全ての先生方に視野に置いていただいて,この1年間を大切にしていきたいと思っております。先生方の御協力を是非とも,より新しい発見や発信を含めてお願いをしたいと思います。
 最初の審議会でございますので,本審議会の概要と運営上の規則について確認しておきたいと思います。また,併せて各分科会の委員の分属についても確認したいと思います。なお,本審議会委員は3月20日付けで発令されております。御承知おきください。また資料1には,その分属を記しておりますので,御確認を頂きたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
 これらにつきましては,事務局から御説明をお願い申し上げます。

【内田調整官】  それでは資料1と参考資料に基づきまして,説明をさせていただきます。審議会の概要と規則に関しまして,本日は最初の会議ですので手続的な説明が続きますけれども,なるべく簡略化して説明させていただきたいと思いますので,よろしくお願い申し上げます。
 資料1を御覧いただければと思います。1枚おめくりいただきますと,名簿の次に文化審議会概要というページがございます。1の設置の経緯といたしまして,文化審議会は,平成13年1月の中央省庁再編に伴いまして,既存の複数の審議会を整理・統合して設置されております。
 2の主な所掌事務といたしましては,大臣や長官の諮問に応じて,文化の振興,国際文化交流の振興に関する重要事項の調査審議,意見の陳述,国語の改善など様々な法律の権限に属する事項を所掌としております。
 3の構成といたしましては,30人以内の委員で構成し,任期が1年となっております。各分科会がそれぞれの,こちらの表に記載の所掌を担当しております。
 若干飛びますけれども,参考資料,横長の縦書きの資料を御覧いただければと思います。束の中で一番下に添付してある資料でございます。こちらを御覧いただきますと,関係の法令が掲載してあります。まず文部科学省設置法がございまして,その30条に,この文化審議会の設置根拠がございます。そして同じページの左側に,文化審議会令といたしまして,この審議会の組織,定員,各分科会の所掌などの規定がございます。
 同じ資料のページを2枚ほどおめくりいただきますと,文化審議会の運営の規則がございます。こちらには様々な分科会,部会の手続的なことなどを規定しております。
 最後には,会議の公開などについて文化審議会で定めましたものを添付してございます。会議の公開に関するルールといたしましては,会長の選任など人事案件以外の案件につきましては公開としておりまして,会議資料,議事録も含めて公開すると定めてございます。
 次に委員の分属の確認でございますけれども,先ほど宮田会長からも御説明がございましたとおりですが,本審議会の委員に関しましては,3月20日付けで発令がなされております。先ほどの資料1の3ページ目に委員の分属の記載がございますので,御確認を賜れればと思っております。こちらは分科会への分属でございまして,部会に関しましては,後ほどこの審議会で部会の設置そのものを決定いただいてからになりますので,各部会にに関しましては,後ほど議題とさせていただきたいと思います。
 説明は以上でございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。おおむね先生方におかれましては,今までのこの書類を御覧になっていただければと思っております。何か御質問等はございますでしょうか。ありがとうございました。
 次は各分科会のほか,今期も本審議会の下に3つの部会を設置しておりますね。これを予定しております。いかがでしょうか。

【内田調整官】  御説明させていただきます。文化審議会におきましては,今期はこの審議会の下に分科会のほか3つの部会を設置することを予定しております。資料ですと,資料1の4ページ目以降に案がございます。
 まず4ページ目でございますけれども,文化政策部会の設置についての案でございます。この部会は文化の振興に関する基本的な政策の形成に関する重要事項を調査審議する部会について設置しようとするものでありまして,5ページ目にはメンバーの案を掲載させていただいております。
 6ページ目には美術品補償制度部会の設置がございます。調査審議事項といたしまして,政府が主催者と補償契約を結ぶ際の審議を行っていただく部会ということで,7ページ目には,その委員の案を掲載させていただいております。
 8ページ目には世界文化遺産・無形文化遺産の設置についての資料がございます。この部会ですけれども,世界遺産条約,無形文化遺産保護条約の実施に関して講ずべき施策,世界遺産暫定一覧表に記載すべき資産の選定に関する事項,世界遺産一覧表に記載されることが適当と思われる資産の候補の選定に関するような事項,さらには無形文化遺産の目録の更新に関する事項,そういったことに関しまして御審議を賜れればという案でございます。9ページ目には,その部会のメンバーの案を掲載させていただいております。
 これらの部会の設置に関しまして,御審議を賜れればと思います。以上でございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。内田さんから4ページから9ページまでの御説明がございました。この件に関してはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは,次に進ませていただきます。資料1のとおり,文化政策部会,美術品補償制度部会,世界遺産・無形文化遺産部会の3つの部会の設立にして,この件について,これを決定したいと思っております。いかがでしょうか。
 それでは,御異議がないようですので,案のとおり決定をいたします。それぞれの部会について構成員を同じ資料1のとおり御指名をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 以上で今期審議会の発足に当たっての手続は終了いたしました。ありがとうございます。
 それでは今期の文化審議会での議論を始めるに当たりまして,事務局から最近の文化政策の動向その他について御説明を頂き,御説明の後に先生方から御意見をフリーディスカッションとして頂戴したいと思っております。よろしくお願いいたします。

【平林課長】  それでは事務局から,まず資料の説明をさせていただきたいと思います。資料は資料2から資料の4を使って御説明しようと思っております。
 最近の文化政策の動向として,4次方針の策定と,それからあと文化イベント等の在り方検討会という2つについてお話ししたいと思います。
 まず,資料の2を御覧いただければと思います。これは現在策定中でございます4次方針の答申案につきまして,前回の総会,3月16日に開催いたしましたが,そこでの御意見を頂いたわけですが,それをまとめたものでございます。大きく申し上げますと,1つには日本の文化芸術の魅力発信であるとか人材育成の重要性,さらには多様な関係者の連携の重要性といった観点から様々な御意見を頂戴いたしたところでございます。
 個別に若干説明いたしますと,特に日本の文化芸術の魅力発信といった観点におきましては,ここに幾つか,4点ほど丸印で書いてございますが,日本遺産の仕組みの創設,それを大きな契機とするべきであるといったようなことであるとか,発信のポータルサイトの仕様性といったようなこと,更に国内に住む外国人などを通じた発信といったような御意見を頂戴いたしたところでございます。
 それから人材育成の重要性といったような観点からは,地域で文化財を活用していくためのハード,ソフト両目の知見を有する専門人材の育成の必要性といったことについての御意見を頂戴いたしました。
 また,多様な関係者の連携の重要性という観点におきましては,文化関係者のみではなくて教育関係者,産業関係者,あるいは観光関係者等々,幅広い分野の関係者間のネットワーク構築の必要性であるとか,あるいは重ね技というような発言がございました。多様な得意分野を組み合わせる重ね技の視点の重要性といったことが御意見として頂戴したところでございます。
 こういった御意見に関連する,現在の4次方針の案でございますが,記述の箇所については次の2ページ目,3ページ目に抜粋として,資料としてお付けしておるところでございます。
 現在,こういった御意見を踏まえながら,来年度の個々の施策の立案であるとか実施に努めていきたいと思ってございます。
 現在,資料の3-2のポイント,それから資料の3-3,これは答申案そのものでございますが,この案で現在,国民からの意見募集というものを先週3月23日の月曜日から開始しているところでございます。4月3日金曜日までの間,その意見募集をする予定でございます。改めて,その意見募集の結果につきましては,この総会の場にお知らせしたいと思ってございます。新たな委員の方もいらっしゃいますが,その辺はまた,よく御覧いただければと思います。
 次に,資料の4を御覧いただければと思います。2020年に向けた文化イベント等の在り方検討会について御説明いたします。この検討会ですが,2020年の文化プログラムの実現に向けたアイデアを各界各層の方々に頂こうという会議でございます。設置要綱については2枚目に,参考資料と,それの構成委員,委員会のメンバーについてはその最後の4ページ目に記載しているところでございます。
 1枚目の下の方のスケジュールにございますように,昨年12月に第1回という形で会議を立ち上げまして,それ以降,3回にわたって現在開催しているところでございます。
 その趣旨ですが,日本の文化力で世界の人々を魅了し,文化芸術立国を実現していこうという目的の下,そのために全国で文化イベント等,効果的に発信していく方法であるとか,地域の文化を掘り起こし活用,更に発信することによって地域活性化を図る方法であるとか,また,既存の,例えば文化庁主催の事業などをブラッシュアップするような方法,更には2020年に向けた提案といったようなものを委員の方々から提案を頂こうということを目的とした検討会でございます。
 今申し上げましたように12月に第1回を開催いたしまして,4月まで,更に具体的なアイデアを頂こうと考えてございます。
 2ページ目を御覧いただきますと,これまでに委員から出された御意見を,箇条書で記載してございます。
 今後は,文化庁におきまして,検討会の委員の先生方の協力も得ながら,頂いた具体的なアイデアの実施に向けて検討を行っていきたいと考えてございます。本日は,先生方におかれましても2020年に向けた文化イベントに関連するアイデアを是非とも賜れればと思ってございます。
 簡単でございますが,説明は以上でございます。

【宮田会長】  ありがとうございました。ただいま平林政策課長から御説明を頂戴いたしました。
 これからは約1時間,お時間を頂きたいと思いますが,先生方から忌たんのない御意見やアイデア等を頂戴できたら幸いかと思っております。先ほど冒頭にも申しましたが,2020を見据えて,文化プログラムの実現に向かっていろいろと構築していきたいと思っておりますし,もちろん文化プログラム以外でも結構でございます。こんなこと,あんなことをいろいろと議論の俎上(そじょう)に乗せるということもとても大切なことかと思っております。この審議会が大きな意味でのキックオフになると考えておりますので,どうぞ御自由に御発言いただけたらと思っております。
 林先生,早速ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。 

【林委員】  ちょっと質問をさせていただいてよろしゅうございますか。

【宮田会長】  どうぞ。

【林委員】  2ページに御提案いただいた具体的なアイデアの例というのが出ていて,これを全部今,拝見するとすばらしいと思います。ちょっとテーマがずれちゃうかもしれないですが,今,私どもの市でも,文化芸術創造都市ということでいろいろな催しをやりますけれども,一番問題になってくるのは費用の問題ですね。予算なんですけれども,こういうアイデアを私どもは当然,御提案をしたり,答申されているんですが,こういったことに対して最終的に政策を立てられていくと思います。この辺の成果というかPDCAというか,どんなふうに回っているのかと。ここでの答申がどんな結果をもたらしているのかということと,これだけすばらしいいろいろな御提案があって,今ももう一度,更に御意見ありますかって言っていただくのですが,ほとんど予算の裏付けがないと難しいことばかりで,あとちょっと続けて申し上げますと,常勤の芸術家監督及び劇場専門集団を持つ創造発信型劇場への重点支援とありますが,今聞くところによりますと,東京都内でも劇場がかなり閉鎖されてきておりますね。それで1つの例として,バレエをやってらっしゃるバレエ団の方たちが危機的宣言をなさって,踊るところがないとか。そういうことのバランスがとれていないような気がするんです。今,宮田学長が,今しかチャンスがないということになると,何か根本的なところを大きく変えていく,例えば政治の力とかですね,そういうものが必要と思うのですが,どうも私が感じているここ何年間で劇的にそれじゃあ日本の文化芸術の在り方というか,これに携わっている方たちの待遇がよくなるとかということが見られないような,ちょっとネガティブな話ですけれども,不幸な感じがするんです。ちょっと私,分かっていないとしたら申し訳ないですが,そういった予算的なものということ,特に全然変化がないような気がするんです。そういう中で,こういう話をしているのですが,何か内心じくじたる感じがしないでもないんです。ちょっとその辺について,何か御説明いただいてもよろしいですか。そういうことが改善されているのかどうかですね。一番現場でやっている方が困っていることがたくさんあるわけですので,そこのところの解決・解明みたいな,調査とか,そこを本当に掘り下げないと,いろいろないいプランを出しても,実際は結局,実施できないとずるずると日がたってしまうんじゃないかなという心配があるんです。ちょっと基礎自治体の目から見たような言い方になりますが,今現状はこうなんですよというのをお聞かせいただいたらうれしいのですが。 

【宮田会長】  ありがとうございます。
 先日ですが,私事で恐縮ですが,新国立劇場の評議会に出ておりまして,そこでもやはり舞台それからバレエ,いわゆるそういう,演劇も含めて,そういうところでもっと全国的な大きな運動体になれたらいいじゃないでしょうかというような話をさせていただきました。あそこの場所だけでやるのではなくて,何かそういう連携がとれるとお話をいたしました。全国には二千幾つのそういう施設があるわけですが,それの生かし方みたいなことも,そもそも論を考えなくてはいけない。もちろんそれには当然裏付けになる資金という問題もあるでしょうが,ちょっとその辺のあたりでは,文化庁の皆さんから何か御意見,御提案等,またお答え等,作花さん,いかがでしょうか。 

【作花審議官】  林市長の御指摘ごもっともでございます。ここのペーパーに書いてある具体的なアイデア例というのは,これは有識者の方々からの御提案で,予算の裏付けとかということではなくて,とにかく1つのアイデアとしてお出ししていただいているものでございます。この中から何を具体的な施策に落としていくかというのは,これから詰めていかなければいけないという段階でございます。これがやはり2020年,あるいはその後のレガシーに向けて,日本にとって重要だというアピールができるのであれば,そこは当然,もちろん政治的な御判断もございましょうけれども,国及び地方の予算的な問題についてもつながっていくとは思います。ただ今の時点で,ここにあるこのアイデアに財政的な根拠があるかと言われると,それは恐らく根拠があっての御提案ではないと。だからまずはアイデアを打ち出して,それに対して社会的な支援を頂いて,そして政策実現のための人,金,物というところにつなげていくと,基本的にはそういう流れで動いていると理解をしております。 

【宮田会長】  とはいえ,日干しにするだけのアイデアを出すのでは,干物しかできませんのでね。その辺のところも考えながら。とはいえ,何もないアイデアよりもいろいろなものを出していって,具現化できるものというのとそうでないもの,熟成するものとそうでないものという関係を作っていかないといけないかもしれませんね。ありがとうございます。
 林先生,せっかくお話しいただいたので,先般の東アジア文化都市など,私,うちの大学も少しお手伝いさせていただいたんですが,大変感動的な場面だったような気がするんです。ああいうふうなことが全国の地方創生の中で,文化と取組を連携させていくととてもいいのかななんていう感じを,私はしておりました。ありがとうございました。あのときはうちの学生もいい体験をしたなという感じがしておりますけれどもね。
 いかがでしょうか。 

【林委員】  私が申し上げたいのは,こうしなければいけないというのも失礼ですが,長い時間の中で掛かっていると思うんですね,話が。だから今,これが東京オリンピック・パラリンピックに向けて,そしてその後も持続的なことにするという意味では,基本的なベースが本当に日本にはないというか。だから今これで,もちろん今の状況の中でできることを具現化していくというのはみんなの知恵で,実際もそういう地方創生もあって,文化芸術振興でまとまっていこうよという気はあるんですけれどもね。でも結局崩れてしまうんじゃないかという心配があって,そういうことを議論しているところはどこなんでしょうか。今,宮田学長がおっしゃったところ,劇場か何かをどうしようかって,そういう会があるのですか。この文化庁の中に。ちょっと分からなくて。

【宮田会長】  文化庁の中の話は文化庁の方からお話しした方がよろしいでしょう。
 佐伯部長,いかがですか。 

【佐伯部長】  今,宮田学長からお話がありました件については,新国立劇場だけがという形ではなくて,もう少しいろいろな公立劇場との連携をとって進めるべきではないかという御提案があったものと認識しています。幾つか我々もそういうスキームは設け始めておりまして,新国立劇場で作った公演を地方の劇場でやる,あるいは地方の公演を新国立劇場でもって紹介をするというような取組を実施しているところでございます。 

【林委員】  例えば日本の,私は海外の方に一番お見せしたいところというのは伝統的な日本の芸能だと思うんですね。能であるとか人形浄瑠璃であるとか,そういうものをとてもお見せしたいわけですけれども,ほとんど民間が守っていますよね。恐らく人形浄瑠璃も,市の補助金なんかは出ているようですけれども,かなり厳しい。ああいう専門的な芸術管理は難しいけれども,何かそういうところをもっとしっかりと支援できなければ,どんどん年取って人がいなくなってくるような危機感を持っているので,根っこを支えるものがいつまでもできないような気がしております。
 それから,ちょっと先ほど東アジア文化都市のお話が出ましたが,これは日中韓の文化大臣が,御存じだと思いますが,国レベルの外交ではいろいろ問題があるけれども,都市間で文化芸術を通せば,言葉の要らない世界でもあるから,それぞれの国が1つ代表的な都市を選んで交流しましょうということになりまして,大変準備期間が短かったんですが,本当に私はすばらしいものだったと思いました。それぞれの国が国宝級の芸術家を出してきたり,それからあとは学生さんとか子供たちの交流もしまして,言葉ができなかったけれども,最後は抱き合って泣いて別れるのを惜しんだというぐらいいいものでございました。これは引き継がれてまいりますので,今年度は,横浜がやっていたことは今度新潟ですね。その次は奈良と決まっているようですけれども,各都市がやっていこうということで,あと特に日本,中国,韓国で1回目をやりましたが,韓国,中国の方からお申出があって,このままで終わりたくないと。だからこの東アジア文化都市は移っていくけれども,もっと交流しましょうということで,今すごくいい交流になっております。やはり文化芸術というのは本当にすばらしい力があるものだということは実感しました。
 ちょっと話が長くなって申し訳ありません。 

【宮田会長】  ありがとうございました。平林課長,いかがでしょうか。例えば,今の林先生の御提案の中に,いろいろなものが出てくるけれども,その中で今年度に関してはこれを重点的にやっていこうといった議論は,文化庁の中ではお考えにはなっていないですか。 

【平林課長】  基本的に先生方の御意見を踏まえて考えた方がいいかなと思ってございます。例えば,今回も4次方針の答申は,あくまでも指針的なものですから,それを更に具体化していくとか,もっと目標も,どちらかというとまだまだ少し抽象的な目標をうたっていますが,それを具体的な目標を立てるであるとかいうことは今期,いろいろ議論としてあるかなとは思ってございます。 

【宮田会長】  なるほど。そうするとそれが,それぞれの分属に分かれているところでも議論していただくと。 

【平林課長】  さようでございます。 

【宮田会長】  そういうネタになると。今日はそういうネタを出すと考えてよろしいですね。決して干物を作るということではないということで考えてよろしいですね。林先生,そんな形で動かしてもらいます。ありがとうございました。
 ほかの先生方,いかがでしょうか。

【道垣内委員】  この種のことは1964年のオリンピックのときも,あるいはその後の大阪の万博のときも,いろいろと企画され実施されたと思うんですけれども,そういう中で,これは非常にうまくいったとか,大失敗だったという例もあるんじゃないかと思います。どう評価するかは難しいと思いますが,その評価の基準を何かそういう過去の事例から,あるいは外国の事例からでも結構ですが,できたら数値で示せれば一番いいように思います。そういう評価基準をどこかからか紡ぎ出してきて,それを今度のものにも当てはめると,ちゃんと検証がされるという形にしないと,何かよく分からないままになりそうな気がします。そういうことはそもそも可能なのか。過去の分析はどれほどされたのか,あるいは外国の分析はどれほどされたのか。ちょっと伺いたいと思います。 

【宮田会長】  この辺はいかがでしょうか。

【青柳長官】  よろしいでしょうか。

【宮田会長】  お願いいたします。

【青柳長官】  例えば1つは,湯浅さんが詳しいんですけれども,やっぱりロンドンオリンピックのとき,いろいろな文化プログラムが行われて,それを大学がずっとウォッチしていました。それで大学としてその文化プログラムのレポートを出しています。そのような,第三者機関の大学などでボランティアを構成してもらって,それをウォッチャーとしてやってもらうというのも,例えばロンドンなんかの例を考えると,今度の2020年でもあり得るのかなと感じがします。 

【宮田会長】  ありがとうございました。特にロンドンのスポーツのみならず文化プログラムに対しては,私どもは大変いい参考資料になると思っておりますし,何人かの先生が日本においでいただいたときに,なるほどと思い,そして,これは確実に日本でできるなと感じました。また,これは大変だなとかいろいろ感じることができます。今,長官から御指名がございましたけれども,湯浅先生,いかがでしょうか。

【湯浅委員】  特にロンドンについて,直近ということもありますし,英国政府全体としてもあらゆる成功と失敗もありましたので,全てを共有したいということで動いております。引き続き今年以降もいろいろな形での情報共有をしていきたいと思うんですが,特にそのロンドンの場合,先ほどレガシーという言葉もありましたけれども,レガシーオリンピックと言われているのは,やはり2012年以降何を残していくのかというところでの目標設定があったと思います。特にゲームするとき全体で政府として,あと自治体としても,何を残していくのか,どう変化を起こしていくのかということの目標があって,それに対して検証していったということが,今も長期的な結果として出てきているんだとおもいます。そこで恐らく先ほどの林委員の御質問とちょっと関わってくるかと思うんですけれども,やはり現状がどうであって,そこから,2020,日本の場合ですとそれ以降にどう変化をさせていきたいのかというところでのベースラインのリサーチというのが,これから特に今年必要じゃないかなと個人的にも思います。ここの中で雇用の拡大とかいろいろな目標がありますけれども,現状こうだからここを目指していくためにこういった政策のインプットをしていくというようなデザインと,だからこういった文化プログラム,ロンドンの場合は文化プログラム全体が参加を増やしていくとか,雇用を増やしていくとか,地域での文化のプログラムを増やすとか,かなりいろいろな目標にリンクをしていましたので,そういったデザインかなと思います。
 ちょっとこの,先ほどの2020に向けたイベントの在り方の件で,いろいろなアイデアを皆様,委員の方が出されたということを大変興味深く拝見しているんですが,この決定をして,この先具体的なアイデアを実践していくというふうにこちら書いてありますけれども,その選定の基準というのはどういうふうになっているのかなというのが少し伺えればなと思います。恐らくそれぞれ皆様出された中で,目標としている効果はこういう変化を起こすんだということが皆さんアイデアの中にあると思うんですが,そこも含めて検証ができるといいのかなと思いました。

【宮田会長】  ありがとうございます。
 よろしゅうございますか。
 どうぞ,お願いいたします。

【有松次長】  今,御指摘を頂きました資料4の具体的なアイデアでございますけれども,冒頭少し御説明申し上げましたように,これまでに3回,何ていうかとんでもないアイデアをくださいといった感じで,今,非常にアクティブに活動しておられる方々に,面白いアイデア,あるいは御自身が今非常に熱心にされていることから提案されるアイデアということを,積極的に頂いた段階でございます。この一番下には,これを,あと1回,4回までお伺いをした上で,もちろんここに参加いただいているこの検討会の皆様からの御意見も頂きながら,今後の具体的なやり方,あるいは仕組みについて,これから少し文化庁でもませていただいて,また御意見を伺いながら進めていきたいと思っております。予算の裏付けがない部分もございますけれども,全て国費でやるということは余り考えておりません。様々な民間の方々や,いろいろなアイデアを頂いたこの個々の委員の先生方とも相談をさせていただきながら,どれをどういうふうに実現していけるのかといったようなことも含めて,これから御相談をしていこうということを今のところは考えております。 

【宮田会長】  ありがとうございました。この資料4の2ページの最後の今後の展開で第4回の検討会を4月22日に開催すると書いてございます。この検討会で,やはり年度年度で変わるんではなくて,今,有松次長さんからのお話がございましたように,やっぱり継続して積み上げていくための基盤作りだとお考えいただいてください。その辺のところからで。まず金ありきというふうにいきますと非常にアイデアがしぼんでしまいますので,まずは,夢を膨らませるところと同時に,今後どういうふうに持っていくかということを考えていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 熊倉先生,どうぞ。 

【熊倉委員】  やはり,でも私は,今何人かの委員の方が懸念を表されたと思うんですけれども,非常に強い懸念を感じます。東京都の方でも御活躍中の文化人の方々を集めて文化プログラムの具体的なアイデアを出してもらうということで,1回出してもらったんですけれども,逆にアーティストの委員の方々から,でもその後の政策的なビジョンがないと,何だか行き当たりばったりになって,ただ面白そうなことを出してもねというふうに逆に突き返されて,慌てて昨秋から今年の2月に提出されました次に向けての文化振興ビジョンというのを作りました。
 何だかすごく取り越し苦労かもしれませんが,昨年1年,文化政策部会の方をやらせていただいて,この第4次基本方針の答申案をまとめてきました。一方で,この資料を読ませていただいて,実現したら楽しそうなものが多くあるとも思いました。ただ,こういう打ち上げ花火的なものを,誰のお金で何を犠牲にして実現するのか。政策とは関係なく楽しいことをするだけでいいのかと,少しもやもやと寂しい感じがいたします。

【宮田会長】  どうですか。

【有松次長】  少し,この2つの関係が御懸念を招いてしまったのかと思いますけれども,去年1年間かけ文化政策部会を中心に非常に熱心に御議論いただいて,今,あと国民の意見を聞くところまでおまとめいただいたこの4次基本方針の答申案は,今後2020年まで,国がどういう形で文化振興をしていくかという政策そのものの閣議決定になるものでございます。ですから,この基本方針が,これからの文化振興そのものの方向性を示していただいているものなのです。それとは別に,文化イベントのアイデアをいろいろお出しいただくものとして,こちらの検討会というのは開いておりましたので,そのものとしていろいろな面白いアイデアを出していただいたところまでが,こちらの結果でございます。よって,ここにアイデアそのものと,様々な文化振興全体の施策そのものは,別の目的で御検討いただいたものなので,この4次方針が全てこちらのアイデアでいろいろ,アイデアを頂いているいわゆる文化イベントという催物にずっとつながっていくといったようなものではもちろんないものです。一緒に御説明をした結果,少し混乱をしたかもしれませんが,当然,全体の国費としての財源の振り向き方は,全体の中で検討するもので,この文化イベントそのものもいろいろな財源を考えながらできることは実現するといったようなものですので,4次基本方針がこちらの方に非常に引っ張られるということはないのではないかと思っております。

【宮田会長】  整理させてください。大変御尽力を頂いて,熊倉先生の陣頭指揮の下の第4次方針が出ました。それはこれもう閣議決定,今,次長からのお話がありましたけれども,この資料4とこれを並行に持っていかないでいただきたいんです。これも一緒に出しているものですから,どうしてもこっちの方が頭の中に入ってきて,これ,できないよな,これ,できるよな,これ,立派過ぎるよな,そういう発言がずっと出てきています。これそのものは,これからの検討事項の中の1つでございますので,その中に,検討するものの中にはいっぱい飛び出してきた,急に,裏付けのないアイデアでも構わないと私は思っております。それが当然,それぞれの3つの大きな柱がございますが,その中でいろいろな考え方が出てきてくださって結構だと思いますいので,これとこれを一緒にしない中でいいアイデアをどんどん出していただきたいと思います。
 林先生,どうぞ。

【林委員】  ちょっとおわび申し上げたいのですが,私の冒頭の質問が少し混乱させてしまったと思うのですが,この方針については,本当にすばらしくて,今,私が皆様のお話を聞いて感じるのは,本当に思い切った意見を出していただいたということでございます。
 私が実は横浜市でDance Dance Dance@Yokohama2012という芸術アクション事業というのを興したんですが,最初反対を受けて興しました。こんなことをやって何になるんだという感じだったんですね。それから今度,東アジア文化都市のときも,ちょっとクエスチョンマークで思われていた部分がございましたけれども,自分自身が職員の方とか相手の海外の方とやってみて,このやることの意味がすごく大きくて,1つ1つ実行していくことでどんなに皆さんが理解するかというのを実感したんです。ですから今回こういう方向性の中で,すごくもんでやられたことだからすばらしいことで,こういったいろいろなアイデアも,もう1回いろいろな意味で,いろいろな角度から検証して,ともかく実行していくということ,それが地方の皆さんと全部ネットワークで,みんなでやっていけば間違いなく,先ほど宮田会長がおっしゃった,今しかないというか,これを契機に日本が文化芸術に対してすごく目を開くんじゃないかなと思っています。
 ちょっと冒頭,少し私がああいうことを申し上げたので。ですからお金を出してくださいという気持ちはありませんので,正に官民全部で一緒になってこういう,お金を掛けないでもできるだろうし,お金を掛けるところは協賛いただくと,いろいろな方法があると思いますので,失礼いたしました。 

【宮田会長】  いえいえ,とんでもございません。議論というのはこういうふうにいろいろ行ったり,そしてまた来たりすることで構築されることと思っております。林先生,ありがとうございました。
 多分,イギリス,ロンドンのときも,ロンドンが始まる4年,5年前には同じようなこういういろいろな議論の構築があって,ぶつかり合いがあって当然だと思いますが,その後にあれだけのものができ,そして現在までまた非常にいい関係で動いているので,もっと勉強していきたいと思います。多分,中にはもう全く国のお金を使わずにボランティアだけでやった事業と,全部でたしか500幾つあったんですね。 

【湯浅委員】  一応レポートは17万件以上とありました。 

【宮田会長】  失礼しました。僕の記憶で面白いなというのが500ぐらいあったなという感じだったもんですから,17万,そういうことでございます。ありがとうございます。そんなことを考えると,ここに出してある分というのはたかだか10個かそこいらですので,どんどん出していただきたいと思います。
 大渕先生,どうですか。 

【大渕委員】  私はいつもここへ出てくると,文化ではあるんですが著作権で,皆様から,煩わしいとか思われているけれども,文化のために大切ですよと。クリエーターを保護するために。私も最近見ますと,なかなか著作権法はよくできていて,ちゃんと使えば,もう確実に皆さんの文化を助ける役割なんですが,いつも著作権の話ばっかりしているのも芸がないんで,今日はちょっと毛色を変えますと,私,ここへ来て,文化っていう中に,これは地味だから積極的に入れてくださいというつもりもないんですけれども,学問も文化の一部なんじゃないかと。和食とかそういうのは出てきても,学問も文化のはずなのに,ほとんど出ても来ないのは,やや寂しいなというところはちょっとお忘れなくというのが1点と,それから今度2020年のオリンピックというのは,私は既に生まれていましたけれども,東京オリンピックや大阪万博を機に日本も非常に経済的にも文化的にも大きく前進したんで,またあれと同じことが今度起きるんじゃないかという非常に期待感を持って言っているんですが,感じましたのは,オリンピックというのは非常に大きなイベントで,スポーツのイベントであることは間違いないんですが,スポーツを軸として世界中の人が集まるので,文化を構築していく非常にいい場だと思います。オリンピックはスポーツの場ではありますけれども,それ以外にどう広げていくかというところが非常に大きな2020年になると思います。スポーツはもちろん振興されますが,それに,周辺の文化的なものとかを含めてどこまで広げられるのかというのが非常に大きいので,今度この2020年のオリンピックというのはどういうコンセプトで,スポーツを軸とした文化全般とか,何かそういう大きな形で,そこのコンセプトを定めないと,何かいろいろ細かいことをやっても,やっぱり軸になるところ。ちょっとさっき聞いていて思っていたのは,せっかくそういうスポーツのオリンピックがあるんだったら,同じ時期に,全く思い付きなんですけれども,文化のオリンピック,芸術のオリンピックって,言うと怒られるかもしれませんが,そういうものを組み合わせるとか,いろいろ何か,せっかくあるんだったら。これからコンセプトを作っていくという話だと思いますので,それ自体をどう組んでいくのかというあたりを考えていくと,またいろいろ展開があり得るんじゃないかと思いました。 

【宮田会長】  なるほど。学問が文化だっていうのが感動しましたね。本当にそう思いました。ありがとうございます。
 なるべく多くの先生方から御意見を頂戴したいと思いますので,あと30分かっきりで終わりますので,早い者勝ちでひとつよろしくお願いします。
 紺野先生,いかがですか。 

【紺野委員】  昨日まで福岡県福岡市にあります博多座の舞台に立っておりました。3月の演目は「めんたいぴりり」,初めてお聞きになる方も多いと思いますが,めんたいこ発祥の物語です。31ステージありまして,今回大変お客様が入りました。A席は1,000席ぐらいで,1万2,000円なんですけれども,それがほぼ満席になりました。これは昨今,商業演劇,非常に苦戦が続いていると聞いておりますが,大変な数字だと思います。なぜ地方の劇場にそれほど人が入ったのかということなんですが,大変多くの方を巻き込んだ舞台なんですね。この資料2の一番下に,多様な人材の多様な得意分野を組み合わせる重ね技の視点が重要であると書かれていますが,正にその今回のお芝居というのはその重ね技の視点が非常に生かされた成功例ではないかと思います。私は単に出演しただけですので,全く何も,出演部分しか協力していないんですが,そもそもこの作品は,福岡のテレビ局のテレビドラマで始まったものが舞台化されたものです。テレビ局の協力はもちろん,舞台の最後に博多伝統のお祭りである「博多祇園山笠」というのが出てくるんですが,その山笠のメンバー,大体50人から60人の方たちが実際に「山」と呼ばれる山車(だし)を使ってガ―ッと舞台を練り歩くというシーンがあるんです。地方色豊かな作品によって,お客様の関心が高まり,めんたいこ発祥の物語ですからめんたいこも売れて,商店街が活気付いて,そして地元の山笠を支える人々にも深く浸透して,なおかつテーマが,戦後からの復興であったりとか,人生を自分らしく生きるとか,生きがいの大切さとか,人と人のつながりの大切さ,万人に通じるテーマであったということもあると思うんですが,結局何を申し上げたいかといいますと,劇場だけがもうかるとか,そういうことではなくて,出演者も劇場も地域も,そしてその地域の文化の担い手も,みんながウィンウィンウィンウィンの関係になるような本物の作品作りの大切さというのを強く感じました。それとともに,もしその地域のおいしいものがあったら,わざわざそこに買いにいく,食べにいく,という魅力づくりがとても大切だと思うんですが,わざわざそこに行って買いたい,そこに行かなければ見ることができない,買うことができない,体験することができない,そういったものを生み出す。一過性ではなく,長くずっとこれからも受け継がれるような文化を作り出すということがとても大切ではないかなと思いました。すみません,何か。いつも取り留めがなくて。 

【宮田会長】  1先例として大変具体的なお話,そして1演劇が,小屋が立ち上がったということだけではなくて,周辺をも含めた重ね技というお話,大変興味深いものを実践例としてありがとうございました。
 ほかに先生方,いかがですか。
 馬渕先生,どうぞお願いいたします。 

【馬渕委員】  先ほど宮田学長とちょっとここで,お隣同士でお話ししていたんですが,本日は上野公園の桜が満開でして,ものすごい人が出てきて,もう駅まで歩くのが大変なぐらい盛り上がっております。たかだか1週間しか咲かない花に,日本人がこれだけ,日本人だけじゃない話をこれからしますが,とにかく日本中が,いつ花が咲くかというのをもう1週間前,2週間前からずっとそういう話をし,みんなそれを楽しみにするというのは,これはお花見というのは本当に世界に誇るべき文化だと思いますし,それからつい数年ぐらいまで日本人の楽しみだと思っていたのが,どんどん外国人が増えて,今日の上野の山は本当に外国人だらけではないかと思うぐらい,アジア系の方から欧米系の方からたくさん来ております。やっぱり日本の文化として長い間育まれてきたお花見という,あるいは桜に対する思いというものが,これだけ,同じように共有されているかどうかはちょっと分からないんですけれども,たくさんの人を引き付ける力を持つというのがやっぱり文化の1つの重要な側面ではないかなと思い,やはりそういったものがあちこちに恐らくあると思うんですね。ある特定の場所の特定のイベントというものではなく,例えば秋祭りというのは同じ時期にあちこちで行われているわけですし,それから,もうちょっと死滅しかけといいますが,宮田学長が復活させようとしている蛍とか,何かそういう,日本人が文化として誇れるものをもう1回いろいろ掘り返してみて,それをアピールすると同時に,それに関して何か新しいものを作っていくということを,あるいは外国人と一緒に作れるようなものですね。ですから,食文化というのはそういう意味では非常に普遍的なものだと思いますが,何かそういう,今まで日本人の中だけで愛され,引き継がれてきたものをもっと外国人の方を取り込んでしまうようなものが何か見付けられないかなとちょっとさっきから考えておりまして,そんな何の御提案もないんですけれども,具体的には。そういう形で日本の文化をアピールする。それに美術館として何ができるのか,今さっきから考えているんですけれどもなかなか,美術館というのはどうしても物を保存してお見せするという,ある意味で非常にコンサバティブな場所だと思うので,その中から何か一緒に作れるものがあるかどうか,ちょっとこれから考えますけれども,そういう視点を持ちましたので,何かいいアイデアがありましたら頂きたいなと思っております。以上でございます。 

【岩澤委員】  よろしいでしょうか。 

【宮田会長】  はい,どうぞ。 

【岩澤委員】  今のに関連して,私もおととい浅草に行きましたところ,浅草の駅前は東南アジアの方が7割ぐらい。日本語の方が少ないぐらいでしたですね。本当にアジアから多くの方々が来ていると。前回の東京オリンピックと大きく違うところは,多分アジアからすごく多くの方がいらっしゃると思うんですね。競技をもちろん見に来る。前回の東京オリンピックのときはそういうことはほとんどなかったと思うんですね。ですからそういう意味で,全くオリンピックの,このアジアにおける位置付けというのが,もちろんそのときの世界情勢がどうなっているのかというのはありますけれども,前回とは全く違うんじゃないかなと。ですから是非アジアの方々が多く日本を訪れるという視点をどこかに入れてほしいなということがありますね。あと今お話が出た既存のお祭りとか既存の日本のいいものというのが非常に多くあるわけですよね。新しいイベントを考えるというのもいいんですけれども,2頭立てで,しっかり新しいイベントもやらなきゃいけない,だけれども既存のいろいろな日本の中にあるいいものを是非最大限に活用する視点で計画作りをしてほしいなということです。
 前回のこの会議で私は海外発信の話をしましたけれども,熊野古道に行きますと,日本人も多いんですが,フランスの方がすごく歩いていらっしゃるんですね。和歌山県というのはフランス人の方が訪れる率が非常に日本の中でも高いんですね。やっぱり熊野古道という固有のものに対して価値というものが非常にあるわけで,是非そういうものを活用したいなと思うんですね。海外発信の件でいっても,和歌山県のこの熊野古道のホームページを見ますと,7か国語で翻訳されているんですね。英語,中国語,韓国,ハングルですね,フランス語,スペイン語,ほかにインドネシアなどを含めて7か国できちんと熊野古道の紹介がされているんですね。三重県のホームページも,英語,中国語,韓国,フランス,スペイン,ポルトガルという形で,今地方公共団体が非常にそういう発信に力を入れていらっしゃるわけで,むしろ国の方が遅れていると思うんですね。是非こういう現場が頑張っているというところを計画作りの中に大きく生かしていってほしいなというのが1つ。
 それと先ほど来お金の話が出ていますので,やっぱりお金をどうやって作るかということを真剣に計画を考えていただきたい。例えばふるさと納税がありますけれども,私も地方の出身者ですから毎年ふるさと納税します。しかし,文化団体に寄附したことはありません。ですから,どうやって,いや,文化団体に寄附しても,寄附金控除を受けられますよね,今。ありますよね,仕組みが。あるんだけれども,ほとんど知られていない。ですから寄附をするというような文化も,ここでやっぱりこの機会に日本人の中に育てていくということも是非。お金をどうやって作るかということを,民間団体の力も借りてっておっしゃっているのもいいんだけれども,それもしていただくとして,もっといろいろな方法が考えられるんじゃないかなということを意見として申し上げたいと思います。 

【宮田会長】  ありがとうございます。新しいもの,そして既存のもの,それから文化に対する寄附のこと,大変ありがとうございました。
 それから馬渕先生,ありがとうございました。先週ですかね,職場へ通う途中に多く聞かれるのは,いつ咲くんだという外国人の私に対する質問なんですね。それを,この頃大分うまくしゃべれるようになりましたけれども,そのぐらい彼らは期待をしているにもかかわらず咲いていないという。先週一気に今週咲いたんで,朝などはほとんど日本語は聞こえませんでしたね。
 同時に,実は皇居に蛍がいるんですよ。ヘイケボタルが。何でそんな話をするかというと,要するに新しいもの,既存のものも含めて,また発掘していく,また復元していくということ。物だけではなくて生き物の中にも作ることによって文化は発生するのかなということをちょっと申し上げたかったわけでございます。
 ほかに,先生方,いかがでしょうか。亀井先生,お願いいたします。

【亀井委員】  既存のものを使うという観点からすると,私は文化財のことを長くやってきましたので,伝統文化の持つ底力,それは強いものがあると感じています。各地でいろいろな行事があり,それはイベントとして行われることもありますが,例えば町並みなんかを考えてみますと,そこに住民がいて,町並みの説明をするいわゆる町並みガイドがいるわけですね。そういう人の力を借りて,一過性にならずにいけるような,町の魅力を様々に演出できるようなちょっとした支援をしていただくといいと思うんですね。先々週,大阪城に立ち寄ったんですけれども,ボランティアガイドの方が,今,秀吉時代の古い石垣を復元するんだという話や,徳川政権になって全部埋められちゃったとか,その辺の話を多くの観光客にしているわけですね。そうするとただ単に天守閣に上って絶景かな,絶景かなではなくて,どうしてここに城ができたか。もとはここに石山本願寺があって。場所は分からないにしても,上町台地という非常に要衝の地にそういう拠点ができて,それを秀吉が城にしたと。その後,徳川がそこにまた関西の拠点を作ったというような歴史を踏まえながら説明している。それは土地の歴史的な理解に非常に役に立ったと改めて感じたわけです。そういうことを積極的に支援するようなちょっとした仕掛けをしてあげるといいんではないかなと。
 先ほど語学何か国語という御意見がありましたけれども,なかなかポルトガル語とか,韓国語をしゃべれるという,そういう人はなかなかいないと思うんですが,ちょっとしたパンフレットを作る経費をどこかで見てあげるとかすれば結構既存の底力と連動していけるんではないかなと思いました。
 特に私,団塊の世代ですけれども,何か社会のために役に立ちたいなという感じの認識を持っているんですが,ただ,日常的に何ができるかとなると何もないんですね。資格も余り持っていない。ただ経験だけがあるという。その経験をうまく生かすような仕掛けをうまく醸成すれば,お金を余り掛けずにできるんではないかと。また老人たちにとっても生きがいを感じさせるようなことにもなるし,生きがいを感じで元気で頑張れば,病院の経費もそれほど掛かりませんし,健康で文化的な社会というのを実現できるんじゃないかな。そういう意味で文化財が持っている底力,それに携わっている方々をうまく活用するというのが1つあっていいのかなという気がいたしました。 

【宮田会長】  ありがとうございます。文化財を使って人間を生かしていくという捉え方ですね。
 この前ちょっと尾道に行きましたら,そこに大変プライドを持った方が,無料でいろいろな方に御案内をしている方がおりました。しかも,尾道だけではなくてほかの都市の,その時代に合わせてあの都市はこんななったとかって,そんな話も頂くことができました。
 この間の審議会の最後に,顕彰制度のお話をさせていただいたと思うんですが,もちろん長官表彰も大事なんですが,ちょっとした町並みその他いろいろなところでやっている文化庁のそういう人たちを顕彰してあげるということで,人間力というものができてきて,それが重なったときには物すごく大きなパワーになるのかなという気がしています。何も造幣局が作ったものじゃなくて結構じゃないかと思うんですね。勲章局,もちろんその仕事も私はやっているものですから,余り文句は言えないんですけれども,できれば文化庁がそういうことをしていくということなどもお考えいただけたら人間力が出るのかなと思いました。
 亀井先生,ありがとうございます。 

【亀井委員】  文化庁長官表彰というのは非常に地域に力を与えますね。受賞された方に,皆さん大変ですね,賞状1枚でしょ,旅費でないでしょって,聞いたことがありますが,いや,そんなの関係ないんだ。非常に名誉であると。自分がやってきたことが認められたということで,非常に喜んでおられました。長官表彰は大変権威がありますので,いろいろな機会に積極的に表彰,顕彰するということをやってもいいのかなと思います。

【宮田会長】  ありがとうございます。
 佐藤委員,どうぞ。 

【佐藤委員】  私もどちらかというと文化財の方をやってきた人間ですが,今の亀井さんのお話にもあるわけですが文化財。それから先ほどお話があったような伝統文化の方にもちょっと配慮をして発信していくといいんじゃないのかなと思っております。もちろん漫画とかアニメとかカラオケとかも日本の文化として今世界では受け入れられていると思いますけれども,そういうものとプラスして,今海外の大勢の方が先ほどの花見の話のように日本に来られていて,日本に来て,大体報道を見ていると,アジアの方でも日本が好きになって帰られる方が結構おられる。そういう,何が好きになるかというと,必ずしも秋葉原の電気街だけではなくて,もちろんそれもあると思いますけれども,一般的な日本人との接触だとか,普通の日本の生活の在り方みたいなものに,町が汚れていないだとか,そういうようなことに,礼儀正しいだとか,そういうようなことで好きになるという人も多いと思うんですね。ある意味では,そういう海外の方が日本文化に何を見るかというときに,私たちがとても日本文化のいいところと思っていないようなところでもいいものと見てくださる場合があると思いますので,私たち自身が今回の2020年を目指して日本文化を再発見する。海外の方にももちろん見付けてもらって,私たちは多分,日本人は再発見だと思いますけれども,それを楽しみながら両方交流していければ,予算のことは大変な話があると思うんですが,楽しみながらやっていくのがいいのではないかなと私は思います。
 その際に,今,亀井さんもおっしゃったんですけれども,若い人はもちろんなんですが,高齢者の方のパワーというのを私は絶対見逃せないのではないのかな。団塊の世代の方もそうでありますけれども,そういった力を老壮青合わせて活用するということもちょっと視野に入れていただければと思いました。ちょっと感想を申し上げました。

【宮田会長】  ありがとうございました。
 土肥先生,いかがでしょうか。 

【土肥会長代理】  前回の総会で,この第4次の文化芸術振興に関する基本的な方針を説明いただいて,非常に詳細に計画が出来上がっているな,方針が出来上がっているなという感想を持ったんですけれども,実はその中で1つだけ分からないところがあったんですね。それは何かといいますと,寄附活動を行う国民の割合を倍増したいという点が出て,これに関しては,実は先ほどの岩澤さんのお話で,ここかと思って気が付いたんですけれども,実は私,この文化審議会の末席に座らせていただいて四,五年になるんですが,最初の頃,常に申し上げていたのは,文化庁の予算が1,000億ぐらいで,これはほとんど変わっていないんですけれども,この1,000億ぐらいの予算を最初の頃はどうにかして広げてくれということをお願いしていたわけですが,どうもそれには限度があるということで,いわゆる民間資金をいかにして活用するか。アメリカなんかの場合を見ますと,非常に個人による寄附が多いんですね。それによってその国の文化芸術というものの振興を図っているということがございます。日本の場合,前に言った点は,タイガーマスクのような形の寄附ということを何度か申し上げたと思うんですけれども,今,岩澤さんがおっしゃったふるさと納税ですよね。あれは実はタイガーマスクとは違うんですけれども,しかし非常にうまくいっている制度であります。今回この第4次答申案で,その具体的な方策を検討するという中身についてはまだ出ていないんですけれども,しかしそういうものをやっていただけると。つまりそういうものをやっていただけるということは持続的な文化芸術の振興,つまりある年度において非常に予算が付いて,そこは盛り上がったんだけれども,次の年度以降につながっていかないというのは,これはやはりよくないことでありますので,いかにして持続的な文化振興の継続を図っていくか。そのためには公的な資金と民間の資金,それも個人レベルのもの,それから企業レベルのもののベストミックスをいかにして図っていって目的を達成するかということが大事なんじゃないかなと思います。そこで,この第4次答申案で言うこの指標,成果目標,成果指標ですね。これを倍増するということについては大変期待をさせていただいておりますので,是非とも,熊倉委員にもよろしくお願い申し上げます。 

【宮田会長】  大変だ。頑張りましょう。
 あと時間が少なくなったんですが,あとお三方,御意見を頂戴していないんですが。
 やすみ先生,お願いいたします。

【やすみ委員】  やっぱり現実的な部分と夢をいっぱい見るというところのバランスがなかなか難しいんだなというようにお話を伺っておりますけれども,それから先ほど馬渕先生が上野公園の桜の込み具合のお話をされたときに,私は250年前に庶民が詠んだ川柳を思い出しておりました。それは上野の桜のお花見の風景を詠んだものなんですけれども,「花の山よろけるたびに人が散り」というんですね。「花の山よろけるたびに人が散り」。花の山というのは上野のお山の桜が満開の様子なんですけれども,お花見にはもちろんお酒が付きもので,千鳥足で歩いている人がいるわけですね。そうすると危ないので,その人の周りは人がぶつかりたくなくって散るということで,花は満開だけれども,その酔っぱらいの周りの人は散るというふうな,うまくその風景を切り取った17音があるんです。その様子を詠んだ250年前には,外国の花見のお客様はいらっしゃらなかったんだろうなと思います。ですが,今日の上野や,それから浅草の観光に来るところは,日本人よりも外国の方が多くて,きっとその1句を詠んだ江戸時代の人は驚くような状況なんじゃないかと思いをはせました。
 そんなわけで2020年に向けて,私たちもまだ見たことのない外国からのお客様がたくさんいらっしゃったり,オリンピックに向けて盛り上がっていく,この日本のまだ見たことのない風景を見ることになるんだなと思います。そんな中で,今回あと資料2の1ページの真ん中あたりに,歌,言葉,俳句など,日本語の魅力を通じた発信も重要であると入れていただいたことは,この短詩系に携わる人間にとってはとってもうれしく,励みになることです。やはり,なかなか外国の旅行者の方に日本語の魅力を短い時間で伝えたりとか,それから日本が皆さんしゃべることができるわけじゃないので,説明するのも難しいのかもしれないんですけれども,これもやはり重ね技で,何か日本のいろいろなものと,例えば音楽ですとか,お祭りとか,それから書とか,華道,茶道とか,そういうことと組み合わせて,その中に見える俳句や川柳の魅力でもいいですし,日本の言葉の魅力を少しでも伝えられたらいいのかなと思います。そういったところで心の交流が日本語の魅力を通してできればいいなと。私は言葉に携わる立場なので,夢を見たいなと思っていますし,何かそれでお役に立てたらなと思う感じです。 

【宮田会長】  ありがとうございます。「花の山よろけるたびに人が散り」,なかなか憎いですね。日本語がというのもあるんですが,実はこの間,東アジア文化都市のときに横浜の馬車道でアニソンの大合唱になりましたね,全部それぞれの国なんです。ところがメロディーは日本のアニメーションソングなんですね。その両方があるなという感じがして大変面白いと思いました。
 あと時間があと1分足らずになりましたけれども,あと二人の先生,どうしましょうか。一言ずつ。
 皆さんお忙しいですので,5時になりましたら,さっと席を立たれる方は立ってくださって結構でございます。 

【髙橋委員】  京都御所のすぐそばでマンション計画があって,こちらでも聞かれているかもしれませんが,結構大きな問題になったところで,今度は下鴨神社の世界遺産のバッファーゾーンの周辺でマンション計画が出てきております。御存じだろうと思います。両方とも共通するのは,文化財を維持する資金の問題,とりわけ下鴨神社の方は21年に1度の式年造替を今後どう継続していくかという,その資金の裏打ちだと,そういう説明を聞いております。それは,今までのような文化財保護のシステムだけで解決できるのかなという危惧がございます。
 それともう一つは,文化財と周辺環境の問題で,とりわけ,外国の方が来られて,いろいろ日本の面白いところを見て感動されるんだと思うんですけれども,一歩外へ出た途端に,外と中のギャップの大きさというのにも驚かれるんじゃないかという気がしております。この点については答申の中にも書かれているんですけれども,なかなか文化財と周辺環境一体として保存するということは簡単なことではなくて,その辺を,多分国として指針を示していただく方がいいのかもしれないなと今考えているところです。
 以上です。

【宮田会長】  ありがとうございました。
 それでは大塚先生。 

【大塚委員】  2人とも前に文化財関係の委員の方がお話されたので,若干ダブるかと思うんですけれども,新しいイベントというのは当然着目しなきゃいけないんですが,我が国では伝統的に年中行事であるとか,お祭りであるとか,あるいは風習等様々なよき伝統を持ったものがあります。今,後継者がなかなかできないということで,聞くところによると場合によっては地域の在住者でなく外部の人々の協力を得ているということがあるそうですが,そういった新しいものと,いわゆる再発見というか,地域を活性化するという,共存するようなそういうものと何か融合するような視点が望まれるんではないかと思います。以上です。

【宮田会長】  ありがとうございました。
 ちょうど時間になったんですが,やはり最後に青柳長官に締めていただければ幸いかと思います。 

【青柳長官】  1つはこの間,姫路城の修復の落成式に行ってきたんですが,総予算が23億で,それで15億を文化庁が出させていただいて,8億が地元だったんですけれども,県と市ですが,そのうち5億が市民の寄附によって5億集まったという。やっぱりうまい流れを作れば,この市民の方々の御協力というのがこれから得られていくんじゃないか。特に文化庁,本当に1,000億ぐらいしかないので,それで例えば建物の修復費は80億強しかありません。それなのにどんどん国宝も増えているし,重要文化財指定も増えています。ですからそのあたりを克服するのは,今申し上げたようなことしかないんじゃないかな。それからオリンピックに向けては,今メセナ協議会と,それから日本財団などが新しい仕組みのお金を企業に負担してもらっていこうというようなことも起こりつつあります。そういうようないろいろな新しい動きもあるので,それをできるだけエンカレッジしながら,あるいは共に励まし合いながらやっていくしかないのかなという。その辺がやっぱり大きく今,日本の流れは変わってきているのではないか。そこを注目していきたいと思います。
 それから17万のイベントと,ロンドンではそうなんですが,よく考えると日本の企業,例えば大きな新聞社,大体年間350から400の事業をやっています。これを積み上げていくと,既存の事業等々ですとかなりの数になるということですね。ですからそういうものの見直しをやりたいと。そして最後に文化庁のモットーですかね,「文化庁,口を開けば寄附願」ということでやっていきたいと思います。 

【宮田会長】  ありがとうございました。最後に,日本の歌はいいものですね。そういうことでございます。これから,本当に先生方すみません,5分超過してしまいました。おわび申し上げます。分科会,それぞれ部会で審議を進めていただきます。実り多い審議となるように,先生方の御協力をお願いしたいと思います。
 最後,事務局お願いいたします。

【内田調整官】  今後のスケジュールでございますけれども,次回は総会と文化政策部会の合同で開催を予定しておりまして,4月16日木曜日の10時から11時半ということで,事務的に連絡はさせていただいておりますけれども,また改めまして場所,議事次第も含めまして,後日連絡させていただきたいと思います。また,各分科会,部会に関しましては,それぞれ文化庁内の各課の担当から追って御連絡をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 

【宮田会長】  ありがとうございました。文化庁の方にも全員お話を頂戴したいと思ったんですが,ちょっと時間がなかったんで,今度油断しないで御指名させていただきたいと思います。
 皆様ありがとうございました。御協力感謝申し上げます。 

── 了 ──

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