(6)文化財等の保存及び活用

 文化財は,我が国の歴史の営みの中で,自然や風土,社会や生活を反映して伝承され発展してきたものであり,人々の情感と精神活動の豊かな軌跡を成すとともに,現代の我が国の文化を形成する基層となっている。今日の社会構造や国民の意識の変化等を踏まえ,新たな課題にも積極的に対応することが求められていることから,次の施策を講ずる。

  • 国民が文化財を理解し,親しむ機会の充実を図るため,文化財の特性や保存に配慮しつつ,文化財の魅力が国民に伝わるよう,文化財の公開・活用を積極的に推進する。
  • 「日本遺産(Japan Heritage)」認定の仕組みを新たに創設し,歴史的魅力に溢れた文化財群を地域主体で国内外に戦略的に発信するなど,地域の複数の文化財を総合的かつ一体として活用する取組を支援する。
  • 各市町村における歴史文化基本構想の策定の支援等により,その周辺環境も含めた地域の文化財の総合的な保存・活用を推進する。また,その取組の一環として,「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」(平成20年法律第40号)等を活用し,建造物・史跡等の文化財とその周辺環境を一体のものとして保存・活用を図る。
  • 文化財登録制度を活用し,近代をはじめとした文化財の登録を進め,文化財保護の裾野の拡大を図る。
  • 有形の文化財について,文化財を良好な状態に保つための日常的な維持管理,適時適切な修理の充実を図る。また,防災・防犯の対策を計画的かつ継続的に実施するための支援の充実を図るとともに,所有者の防災・防犯意識の向上を図る取組等を推進する。
  • 無形の文化財について,伝承者の確保・養成とともに,その保存に欠くことのできない用具等の製作・修理等に必要な伝統的技術の継承を図るための支援を充実する。
  • 古墳壁画の保存・活用方策を,関係機関等とも連携して推進する。高松塚古墳壁画については,引き続き修理を行いつつ適切な保存・活用に努めるとともに,修理後の保存管理・公開の具体的な方策について検討する。また,キトラ古墳壁画については,引き続き修理を行い,新たに整備される施設において,適切な保存・活用に努める。
  • 文化財の保存技術について,選定保存技術制度の活用等により,その保存・継承を図る。
  • 地方公共団体等と連携して,我が国の文化遺産のユネスコ世界文化遺産やユネスコ無形文化遺産への推薦・登録を積極的に推進していくとともに,登録後の文化遺産の適切な保存・活用・継承等に取り組む。
  • 独立行政法人国立文化財機構は,科学的・技術的な調査研究に基づく保存修復において,引き続き中心的な役割を果たすとともに,文化財の保存修復等に関する研究水準の向上及び人材の養成に努める。
  • 東日本大震災により被害を受けた国指定等文化財について早急に保存・修復等の措置を講じ,被災地の復興支援に努める。また,大規模災害に対応した文化財等の防災・救出に係る全国的な体制整備の促進に努める。
  • 我が国の近現代建築に関する資料(図面や模型等)のうち,学術的,歴史的,芸術的価値が高いものについて,その劣化,散逸,海外への流出等を防ぎ,次世代に継承するとともに,建築資料の展示・普及活動を通じて国民の理解を増進するため,国立近現代建築資料館の機能の充実を図る。
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