文化財建造物の防火と防災施設の日常管理について
(昭和61年1月24日 61委保建第4の4号)

 文化財の防火防犯については,すでに昭和41年8月8日付け文委建第3の57号によって通知したところでありますが,近年の相次ぐ放火による火災事故が発生していることにかんがみ,昭和61年1月24日付け庁保建第42号で文化財保護部長から貴教育長宛の通達に基づき,とりあえず下記の諸事項を励行するよう御指導いただき,事故の根絶を期するよう重ねてお願いします。

第一 建造物及び境内(周辺)の管理

  1. 建造物及びその周辺の清掃と整理整頓を日常十分に行い,訪れる人々に文化財愛護の周知徹底をはかること。
  2. 防火防犯上目のとどかない箇所をできるだけ少なくし,管理体制を整備して計画的に建造物及びその周辺の見回り・点検を実施し,監視の充実をはかること。
     なお通常の人員で十分な監視体制が確保できない場合は近隣住民の協力ならびに地元警察に巡回を依頼するなどを考慮すること。
  3. 監視の目のいきとどかないところには柵・ロープ等により立ち入りを制限するための措置をとるとともに立ち入り禁止等の制札を掲げること。特に夜間は門扉を閉め,施錠するよう心がけること。

第二 防火設備の点検

  1. 専門業者による機器の保守点検の際は文化財所有者・管理者は必ず立ち会い,自らも操作し,その機器の操作を熟知しておくこと。
  2. 文化財所有者又は管理者等は法的な定期点検以外に毎週又は毎月,日を定めて下記事項について点検・確認を行うこと。
    1. (1)消火設備
      1. 消火器・水バケツは所定の場所に設置され,又これら消火器具及び消火栓の周囲は十分な空間を確保しているか。
      2. 消火器具について
        消火栓のホース・ノズル・ハンドルが所定の場所に収納され,又消火栓や放水銃の箱の蓋の開閉が容易であるか。
      3. 遠隔操作について
        エンジンポンプ起動のための遠隔操作盤(起動(ぼたん))の設置場所を周知し,緊急時常に作動するような状態にあるか。
      4. 動力設備について
        動力ポンプ室の場所を周知し,その出入口・扉の解錠・開扉が容易であるか又動力ポンプのエンジンは押しボタン及び手動操作のいずれによっても直ちに作動するか。
      5. 貯水槽について
        • (ア)貯水槽の設置されている場所を周知し,その貯水槽の外壁又は周辺に水がにじみでていないか又貯水槽内に所定の量が入っているか。
      6. (イ) マンホールの挺子(てこ)及び錠の収納場所を周知し,その周囲に障害物が放置されていないか。
      7. 配管について
        配管の漏れ・破裂がないか又途中のバルブの開閉が容易か。
    2. (2)自動火災報知設備
      受信盤の設置場所を周知し,正常に作動していることを確認できるか又感知器に損傷はないか。
    3. (3)避雷設備
      突針及び導線が損傷していないか。
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