施策

 文化財は,我が国の長い歴史の中で生まれ,育まれ,今日の世代に守り伝えられてきた貴重な国民的財産です。これは,我が国の歴史,文化等の正しい理解のために欠くことのできないものであると同時に,将来の文化の向上発展の基礎をなすものです。  我が国の文化財保護の行政は,その制度が明治期に創設され,時代情勢を反映した数次の改正を経て今日までたゆみなく続けられてきました。そして,保護の対象が拡大するとともに,その方法にも種々の配慮が払われ,国と地方公共団体,所有者,国民が一体となって,文化財を保存して次世代に継承することはもとより,積極的に公開・活用を行うように努めています。

(1) 文化庁の施策と予算

 平成17年度文化庁予算の総額は101,605百万円で,国の一般会計82兆1,829億円の0.12%に当たっています。このうち,文化財保護の充実に関する予算は57,979百万円で,文化庁予算の57.10%を占めています。
 文化財保護に関する予算の主な内容は次のとおりです。


文化財の保存と活用のための施策

施策 概要
1.文化財の保存整備・活用
(1)重要文化的景観等の保存・活用 文化財保護法の一部改正により,重要文化的景観,民俗技術を新たな保護の対象とするとともに,登録文化財制度の範囲を美術工芸品,記念物,有形民俗文化財に拡大したことに伴い,これらの文化財の適切な保存・活用を行う。
(2)古墳壁画緊急保存活用等 緊急に保存対策が必要な国宝高松塚古墳壁画,特別史跡キトラ古墳の壁画について,恒久的な保存対策を行う。
(3)史跡等公有化助成 都市化の進展に伴う開発等から史跡等を守り,保存と整備・活用に資することを目的に,地方公共団体が緊急に実施する公有化事業に対し補助を行う。
(4)史跡等整備活用事業 永年の歳月によって損傷,老朽化が著しく進んでいる史跡等や天然記念物の生息環境及び歴史の道の整備・活用の充実を図る事業に対し補助を行う。
(5)埋蔵文化財発掘調査等 開発との調整に必要な埋蔵文化財包蔵地の分布調査,重要遺跡を保護するための内容確認調査,記録保存のための発掘調査,及び出土品の保存処理,公開活用のための事業に対して補助を行う。
(6)文化財の保存修理等 国宝・重要文化財(建造物,美術工芸品),伝統的建造物群,登録文化財を適切に保存するための計画的な保存修理に対して補助を行う。
(7)文化財の防災施設等 国宝・重要文化財(建造物・美術工芸品)等を火災・盗難の被害から防ぐための防災施設の充実,整備に対して補助を行う。
(8)無形文化財等の次世代への継承・発展 重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝),保持団体,文化財保存技術の保持者,保存団体が行う伝承,技術練磨等のための事業に対して補助を行う。また,無形文化財等の映像記録等を作成し,一層の伝統文化の普及を図る。
2.文化財の国際協力の推進
(1)文化財保護国際貢献事業 各国からの要請等に応じ,専門家等の現地調査研究や保存修復事業のための派遣,招へい及びその記録等作成を行う。また,国際会議の開催や,文化財分野における継続的な国際協力体制の整備に向けた検討等を行う。
(2)西アジア文化遺産保護緊急協力 アフガニスタン,イラクの文化財に対する緊急保護協力として,保存修復に関する技術協力・人材養成等を行う。

(2) 地方の施策と予算

 文化財は,各地域に所在するものであり,文化財保護行政は,国と地方公共団体とが一体となって総合的に推進することが不可欠です。そもそも文化財は,その所在する地方の文化と密接な関連を有するもので,その保存及び活用を図ることは,地方文化の向上,発展に極めて重要なことであることから,その区域内にある文化財の保護は,その地方公共団体の本来的任務でもあります。
 多くの地方公共団体は,その区域内に存する文化財で国指定以外のものの保護を図るため,文化財保護条例を定め,それに基づいて,その地方にとって価値のある文化財を指定し,保存と活用を図っています。地方公共団体独自で,所有者等が行う管理,修理,公開等の事業に対して援助している例もあります。また,美術館,博物館,歴史民俗資料館等の設置による文化財の公開・調査研究,埋蔵文化財の発掘調査の施行等のほか,社会教育や学校教育を通じた文化財に関する学習活動,文化財愛護活動,広く一般住民を対象とした普及啓発活動にも取り組んでいます。
 このほか,国指定文化財に関して,その指定に先立つ基礎的調査,無形の民俗文化財等の保護団体の育成指導等も行っています。また,管理団体として,国指定の文化財の保護を行っている例も数多くあります。


地方の文化財保護経費

単位(億円)
  都道府県 市町村 合計 
平成3 421 860 1,281
平成4 425 819 1,244
平成5 502 876 1,378
平成6 516 826 1,342
平成7 566 875 1,441
平成8 615 779 1,394
平成9 562 820 1,382
平成10 557 785 1,342
平成11 523 831 1,354
平成12 464 845 1,309
平成13 445 672 1,117

(3) 税制

 文化財の国有化及び公有化の促進,保存と活用の推進等のため,譲渡所得に対する税の減免,相続税の軽減等の措置を講じています。その概要は,以下のとおりです。


事項 税制優遇措置の具体的内容 適用年

譲渡所得の非課税等(所得税) 個人が重要文化財として指定された動産又は建物を平成19年12月31日までに国・地方公共団体,独立行政法人国立博物館,国立美術館,国立科学博物館に譲渡した場合,譲渡所得に所得税が課されない。 非課税 昭和47年4月〜平成19年12月
(地方公共団体については昭和50年〜)
個人が未指定有形文化財のうち重要文化財と同等の価値があると認められるもの及び重要有形民俗文化財を平成19年12月31日までに国,独立行政法人国立博物館,国立美術館,国立科学博物館に譲渡した場合,譲渡所得の2分の1が控除される。 2分の1課税
(昭和47年4月〜平成4年12月までは非課税)
平成5年1月〜平成19年12月
譲渡所得の特別控除等(所得税) 個人又は法人が重要文化財として建物とともに指定された土地及び史跡名勝天然記念物として指定された土地を国又は地方公共団体,独立行政法人国立博物館,国立科学博物館に譲渡した場合,2,000万円の特別控除又は損金算入が認められる。 2,000万円の特別控除(所得税) 2,000万円の損金算入(法人税) 昭和45年4月〜
相続税の軽減 重要文化財として指定されている建造物,登録有形文化財である建造物及び伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物の家屋及び構築物並びにその敷地(一体をなして価値を形成している土地を含む)の相続税(贈与税)について財産評価額を軽減している。 重要文化財
:財産評価額の70/100を控除登録有形文化財
:財産評価額の30/100を控除伝統的建造物
:財産評価額の30/100を控除
平成16年1月〜
地価税の非課税等 重要文化財,重要有形民俗文化財,史跡名勝天然記念物等若しくは地方公共団体が指定した文化財に係る一定の土地等又は伝統的建造物群保存地区の区域内の一定の土地等については地価税が課されない。 非課税 平成4年1月〜
非課税とされる文化財に準ずるもののうち保存及び活用を図るべき一定の文化財に係る土地等については,課税価額に算入する金額が減額される。 課税価額に算入する金額が土地等の価額の2分の1に軽減 平成4年1月〜
登録有形文化財に係る土地等については,課税価額に算入する金額が減額される。 課税価額に算入する金額が土地等の価額の2分の1に軽減 平成9年1月〜


固定資産税,特別土地保有税,都市計画税の非課税等 重要文化財,重要有形民俗文化財,史跡名勝天然記念物として指定され,又は重要美術品として認定された家屋若しくはその敷地については,固定資産税,特別土地保有税,都市計画税が課されない。 非課税 昭和25年4月〜
重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物(風俗営業に使用されるものを除く。)で文部科学大臣が告示するものについては,固定資産税及び都市計画税が課されない。 非課税 平成元年1月〜
登録有形文化財又は登録有形民俗文化財である家屋,登録記念物である家屋及びその敷地並びに重要文化的景観を形成している家屋で文部科学大臣が告示するもの及びその敷地に係る固定資産税及び都市計画税については,課税標準となるべき価格が減額される。 固定資産税の課税標準となるべき価格を2分の1に軽減 平成17年1月〜
重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物である家屋の敷地については,当該市町村の実情に応じ税額の2分の1以内が減額される。また,伝統的建造物以外の建築物等の敷地についても当該市町村の実情に応じ税額が適宜減額される。 市町村の実情に応じ税額の2分の1以内を適宜軽減 平成10年1月〜

※ 重要文化財等に係る地価税については非課税の取扱いがなされているが,平成10年より,地価税の課税は停止されている。

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