無形文化遺産の保護に関する条約の概要
経緯
- 2003年10月
- ユネスコ総会において採択
- 2006年4月
- 条約発効
我が国は2004年6月に条約締結
締約国
174か国(2017年6月時点)
条約の目的と概要
「無形文化遺産の保護に関する条約」(以下,「無形文化遺産保護条約」という。)は,グローバリゼーションの進展に伴い,世界各地で消滅の危機にある無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)の保護を目的とした条約。無形文化遺産の保護やその重要性に関する意識の向上等を確保するため,締約国の担うべき役割や国際的な協力や援助について規定されている。
条約により,最高機関として締約国会議(General Assembly)が,また,締約国の中から選挙によって選ばれる24か国から構成される政府間委員会(Intergovernmental Committee)が設置されている。政府間委員会のメンバーは地理的バランスを考慮しつつ選出され,任期は4年で2年ごとに半数が改選される。政府間委員会は,条約実施のための運用指示書の作成や,基金の使途に関する計画案の作成など,国際的保護を行うための重要な役割を担う。
無形文化遺産の国際的な保護を確保するため,条約に基づき,
・人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)
・緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)
が作成され,公表されている。
締約国会議は,政府間委員会で作成した運用指示書や基金の使途に関する計画案の承認等を行う。
人類の無形文化遺産の代表的な一覧表
(Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanity)
政府間委員会は,無形文化遺産の一層の認知及びその重要性についての意識の向上を確保するため,また,文化の多様性を尊重する対話を奨励するため,関係する締約国の提案に基づき,代表一覧表を作成している。
代表一覧表への提案は,決められた様式やスケジュールに従って関係する締約国が行う。事務局に提出された提案書は,政府間委員会の下に特別に設置された評価機関(Evaluation Body)が,記載(登録)基準に従って審議し,以下の3区分により勧告(recommendation)を行う。
- (1)「記載(inscribe)」:代表一覧表に記載(登録)するもの
- (2)「情報照会(refer)」:締約国に追加情報を求められるもの
- (3)「不記載(not to inscribe)」:記載(登録)にふさわしくないもの
この勧告を受け,代表一覧表への記載(登録)の可否は,政府間委員会での審議の後に決定される。
評価機関(Evaluation Body)
各地域から選出された専門家6名とNGO6団体で構成される。代表一覧表記載(登録)等について事前審査を行い,政府間委員会に勧告を行う。
政府間委員会(Intergovernmental Committee)
ユネスコ無形文化遺産保護条約の締約国から選出された24か国で構成。年1回開催され,評価機関の勧告を踏まえ,代表一覧表記載(登録)等について最終決定を行う。
<政府間委員会委員国(24か国)>※2016年12月現在
アフガニスタン,アルジェリア,アルメニア,オーストラリア,ブルガリア,コロンビア,コンゴ,コートジボワール,キューバ,キプロス,エチオピア,グアテマラ,ハンガリー,インド,レバノン,モーリシャス,モンゴル,パレスチナ,フィリピン,韓国,セントルシア,セネガル,トルコ,ザンビア
事務局(Secretariat)
ユネスコ無形文化遺産課(Intangible Cultural Heritage Section UNESCO)
代表一覧表への記載(登録)決定までの流れ
条約締約国から毎年3月末までにユネスコへ提案書を提出
↓
評価機関(Evaluation Body)による審査
※政府間委員会開催4週間前まで(おおよそ10月~11月頃)に評価機関での勧告内容が公表される。
↓
政府間委員会において審議及び決定
提案案件ごとに審議され,(1)記載(登録),(2)情報照会,(3)不記載のいずれかの決定がなされる。これらの決定に基づき,代表一覧表が更新される。
代表一覧表への記載(登録)基準<無形文化遺産保護条約運用指示書(抜粋)>
申請国は,申請書において,代表一覧表への記載申請案件が,次のすべての条件を満たしていることを証明するよう求められる。
- 1.申請案件が条約第2条に定義された「無形文化遺産」を構成すること。
(a)口承による伝統及び表現 (b)芸能 (c)社会的慣習,儀式及び祭礼行事 (d)自然及び万物に関する知識及び慣習 (e)伝統工芸技術
- 2.申請案件の記載が,無形文化遺産の認知,重要性に対する認識を確保し,対話を誘発し,よって世界的に文化の多様性を反映し且つ人類の創造性を証明することに貢献するものであること。
- 3.申請案件を保護し促進することができる保護措置が図られていること。
- 4.申請案件が,関係する社会,集団及び場合により個人の可能な限り幅広い参加及び彼らの自由な,事前の説明を受けた上での同意を伴って申請されたものであること。
- 5.条約第11条及び第12条に則り,申請案件が提案締約国の領域内にある無形文化遺産の目録に含まれていること。
代表一覧表に登録された我が国の無形文化遺産
平成29年6月現在
| 能楽 | 平成20年 |
| 人形浄瑠璃文楽 | 平成20年 |
| 歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎) | 平成20年 |
| 雅楽 | 平成21年 |
| 小千谷縮・越後上布 | 平成21年 |
| 甑島のトシドン | 平成21年 |
| 奥能登のあえのこと | 平成21年 |
| 早池峰神楽 | 平成21年 |
| 秋保の田植踊 | 平成21年 |
| チャッキラコ | 平成21年 |
| 大日堂舞楽 | 平成21年 |
| 題目立 | 平成21年 |
| アイヌ古式舞踊 | 平成21年 |
| 組踊 | 平成22年 |
| 結城紬 | 平成22年 |
| 壬生の花田植 | 平成23年 |
| 佐陀神能 | 平成23年 |
| 那智の田楽 | 平成24年 |
| 和食;日本人の伝統的な食文化 | 平成25年 |
| 和紙:日本の手漉和紙技術 (構成/石州半紙,本美濃紙,細川紙) |
平成26年 |
| 山・鉾・屋台行事 (構成/国指定重要無形民俗文化財である山・鉾・屋台行事33件)(76.4KB) |
平成28年 |
参考情報
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