国宝高松塚古墳壁画保存管理の経緯(昭和47年~平成18年9月)

[1]昭和47年(1972)~昭和56年(1981)

昭和47年   3月1日~   明日香村が事業主体となり、奈良県立橿原考古学研究所が担当して高松塚古墳の発掘調査が開始される。
3月21日 壁画発見。
3月26日 奈良県立橿原考古学研究所による壁画発見の報道発表及び文化庁への正式報告。
4月6日 壁画の保存に関する当面の措置について科学的な調査研究を行うことを目的として、歴史学・考古学・美術史学・保存科学・土木工学の専門家による、「高松塚古墳応急保存対策調査会」第1回を開催し、現地調査を実施。微生物調査の結果、黒斑点を作る菌数種(Altenaria sp., Cladosporium sp., Nigrospra sp.)緑斑点の菌(Tricoderma viride)が同定された。
4月17日 「高松塚古墳応急対策保存調査会」による第2回現地調査。
緊急処置として天井星宿等10カ所にアクリルエマルジョン(プライマルAC34にて剥落止め。微生物調査。
カビ対策としてパラホルムアルデヒドを布置。
6月17日 史跡指定(昭和48年4月23日、特別史跡指定)。微生物調査。
7月29日 「高松塚古墳応急保存対策調査会中間報告」を文化庁に提出。
8月21日 「高松塚古墳総合学術調査会」を設置。
9月25日 石槨上の覆土除去作業開始。石槨前方に空気を遮断する仮施設(前室)建設。
9月30日
~10月12日
総合学術調査実施(応急保存調査を併行)。
10月7日
~10月13日
フランスのラスコー洞窟壁画保存の研究者であるY.M.フロワドボー(フランス文化省歴史記念物主任調査官)、J.フォシオン(パスツール研究所地中微生物・生物化学部長)両氏が来日し、現地調査。
11月29日 第6回「高松塚古墳応急対策保存調査会」。「高松塚古墳応急保存対策調査会調査報告」を文化庁に提出。
12月18日 「高松塚古墳保存対策調査会」第1回開催。「保存施設部会」と「壁画修復部会」を設置。
昭和48年   1月~2月   壁画保存方針策定のため文化庁及び東京国立文化財研究所担当官をイタリア・フランスに派遣。
5月24日 「高松塚古墳保存対策調査会」第2回開催。保存施設は公開ではなく、保存・修理施設と確認。
8月 壁画模写開始。
10月10日 P.モーラ(イタリア中央修復研究所主任技術者)氏来日。
予備的実験を実施。接着剤として、パラロイドB72を使用することとする。
10月14日 「壁画修復部会」において壁画修復の基本方針を確認。壁画の歴史的・美術的な意義、保存環境の変化による影響変化への懸念、剥離作業の技術的な困難さ、等から。
昭和49年   3月   壁画模写完成。
修理技術研修のため東京芸術大学から担当者をイタリアに派遣。
4月17日 壁画4面を国宝指定。
8月 保存施設設置に伴う発掘調査実施後、保存施設工事着工。
昭和50年   3月~7月   修理技術研修のため東京国立文化財研究所の技官をイタリアに派遣。
微生物調査。石槨内でそれまで認められなかった糸状菌(Doratomyces sp., Fusarium sp.,Cladosporium sp., Mucor sp.)を採取。
4月23日 第5回「高松塚古墳保存対策調査会」にて、壁画修理計画を了承。
昭和51年   2月16日
~28日
  壁面の損傷・構造調査、剥落止めの試行。
(この間、修理実施に備えた打ち合わせ、検討等準備作業を進める)。
3月29日 保存施設竣工式。
7月23日
~31日
修理のための調査。
8月24日 壁画修復部会。壁画の損傷状態の調査結果を報告。修理仕様と修理計画について了承された。
9月2日
~10日
第1次修理作業開始。東西壁の盗掘口付近にて接着試行。
9月26日
~10月10日
保存修理(天井主体に剥落止め)。
11月5日
~16日
保存修理(天井主体)。
12月15日
~24日
保存修理。パラロイドB72のほか、接着剤としてプライマルAC55及びエマルジョン(AC55に微量のアンモニアとプライマルASEを溶かしたもの)を天井部分に試用。
この時期、ムカデ等の虫類侵入がしばしばあり。取合部にカビが発生している。
昭和52年   1月6日
~15日
  保存修理(主に天井)。布置したパラホルムアルデヒドは完全に気化。
2月5日
~15日
保存修理。P.モーラ(イタリア中央修復研究所主任技術者)氏を招聘、意見交換。接着剤は原則としてパラロイドB72とすることを確認。
5月 『高松塚古墳壁画修理報告書』(中間報告)作成。
10月25日
~28日
既修理箇所の点検。微生物調査。
昭和53年   9月19日
~30日
  第2次修理事業開始。この時は天井と東壁南側の剥落止め。
10月12日
~22日
保存修理(天井と西壁南側、東壁一部)。
11月7日
~18日
保存修理(前回同様)。
カビ処置(ホルマリン1:エタノール9の溶液をこの時以降使用)。
カビ 東壁   左端男子の緑色衣上(灰色)。盗掘口近い下方。
西壁と天井の南端。
12月5日
~16日
保存修理(主に東壁)。カビ処置。
カビ 東壁   男子群像左端像衣部9箇所。右から2番目像の衣に3箇所。南方下方。
青龍首剥落部。青龍後方の汚濁部分。女子群像部分(灰色)。
西壁   月像下部から右上部にかけて10箇所程度。
男子(左から2人目)緑衣裾部ほか広範囲。天井近くの漆喰木口部。
昭和54年   6月9日   点検。
10月30日
~11月10日
保存修理(主に東壁)。
微生物調査(東西壁においてDoratomyces sp.,外を同定)。目視ではカビは微量。
12月4日
~15日
保存修理(東壁主体)。
石槨内に極小の虫類多く確認。
カビ 東壁   南壁接点下部のみ。
昭和55年   1月11日
~23日
  保存修理(東壁と天井)。カビは天井の一部のみ。
2月13日
~23日
保存修理(天井と東壁)。
微生物調査(広い範囲でDoratomyces sp.,外を同定)。但し目視では大きなカビは認められず。
11月10日
~22日
保存修理(主に西壁)。
微生物調査。カビ処置。
カビ 微生物調査(広い範囲でDoratomyces sp., Streptomyces sp.外を同定)。
西壁   白虎の前方石の切れ目まで、天井近くまで。ネット状に伸びる糸状菌も。
12月10日
~29日
保存修理(主に天井と西壁)。
カビ処置。
カビ 東壁   汚濁部上方。
西壁   前回とほぼ同域、白虎の上下。
昭和56年   1月9日
~21日
  保存修理(東壁南側)。
カビが石槨内の広域に発生。取合部でも右上奥の積み石上方に白綿状カビを確認。カビ発生箇所に防黴剤TBZを試用。微生物調査。防黴試験。
カビ 東壁   左端像緑衣裾部(灰色綿状)、及び頭部後方。右端像の胸部(同)。
青龍の左目周辺(同)。青龍の全面に白い粒状。
西壁   白虎左胸から前肢付け根。左肢より下方の広い範囲。白虎と日像の間から南方天井まで。
男子群像部ほぼ全面(灰色綿状)。顔辺りから天井近くは白色粒状。
2月8日
~19日
保存修理。
彩色部以外の部分にカビ大量に発生。ホルマリン溶液、TBZ溶液ともに効果無く、改善が見られない。微生物調査。トリクレンにてカビ処置。
カビ 石槨内ほぼ全面に白い粒状菌。
6月29日
~7月3日
第3次修理事業開始。
白粒状のカビは認められず。灰色の綿状カビは収束せず。パラホルムアルデヒドの燻蒸殺菌を開始。微生物調査。

[2]昭和57年(1982)~平成12年(2000)

昭和57年   10月5日
~9日
  保存修理(北壁)。
カビ処置。
カビ 天井と西壁の南壁近くに菌糸状。
昭和58年   5月30日
~6月7日
  保存修理(西壁)。
カビ処置。
カビ 東壁   男子群像の右方に白色。
南壁   一部に黒いカビ。
昭和59年   10月23日
~11月3日
  点検、保存修理。
カビ処置。
カビ 北壁   玄武上方右に糸状菌
昭和60年   9月3日   点検。異常なし。
昭和61年   7月28日
~8月2日
  点検。異常なし。
12月17日
~25日
点検、保存修理。
カビ処置。
カビ 北壁   東側下方を中心に胞子の黒いカビ。
昭和62年   1月12日   点検。異常なし。
3月 『国宝高松塚古墳壁画-保存と修理-』(文化庁監修 第一法規出版)刊行
昭和63年   6月10日
~10月11日
  点検、保存修理(東壁、西壁、北壁)。
平成元年   12月21日   点検、保存修理(東壁)。カビ処置。
カビ 西壁   男子群像青衣上に白色(微量)。
平成2年   2月19日
~21日
  点検。異常なし。
平成3年   2月16日
~20日
  点検。異常なし。
平成4年   12月15日
~18日
  点検。異常なし。
平成6年   2月28日
~3月4日
  点検。
カビ処置。取合部天井からの崩落大。
カビ 北壁   玄武の下方に黒い粒子状。床の虫に青カビ
東壁   青龍前肢。
西壁   女子黄裳下。白虎顔の前に黒粒子。
平成7年   3月28日
~31日
  点検。異常なし。
平成8年   3月25日
~28日
  点検。異常なし。
平成9年   3月24日
~28日
  点検。
カビは盗掘口の上面のみ。
平成10年   3月23日
~27日
  点検。異常なし。
平成11年   3月23日
~26日
  点検。異常なし。
平成12年   3月21日
~23日
  点検。異常なし。但し、取合部天井の崩落は断続的に続いている。

[3]平成13年(2001)~平成17年(2005)

平成13年   2月13日
~3月23日
  取合部及び石槨躯体壁両脇崩落部分の強化工事を実施。
石槨(露出部分)の強化。版築壁の強化。崩落空洞部修復。側壁の擬土仕上げ。工期は不明確なため、確認中。
2月28日 工事検査。取合にわずかにカビ
3月26日
~29日
点検。
取合部施工部分を中心に夥しいカビの発生を確認。
エタノールによるカビの殺菌と除去。壁画の点検は延期。
微生物調査。Penicillium sp.、Aspergillus.sp.、Fusarium sp.のほかCladosporium sp.が検出された。Cladosporium sp.は近年確認されていないものである。
4月24日~ 取合部点検のみ。
カビ収束せず。
5月7日
~9日
取合部点検のみ。
7月9日
~17日
取合部。 カビ処置。防黴剤「コートサイド123」を試用。
9月10日
~14日
取合部点検。カビの発生はわずか。
9月20日
~21日
取合部の微生物調査。取合部のカビは確認されず。
9月26日
~29日
石槨内点検。
密閉していた石槨内にもカビ発生を確認。「コートサイド159」でカビを除去し、同剤を石槨内床面に噴霧。微生物調査。
カビ 南壁   盗掘口の内側下方、東西壁中央やや北寄り。
特に東壁の土砂による汚染部。
Penicillium sp.を主に、Aspergillus sp.のコロニー、バクテリアなどを検出)
12月18日
~20日
点検。
防黴剤の効果持続せず。取合部、石槨内にカビ大量発生。
エタノールによりカビ処置。
微生物調査(Fusarium sp.,Cylindrocarpon sp.,Gliomastix sp.を検出。)
カビ 東壁   青龍の頭部から前肢にかけてを中心に広範囲に。
青龍後方の汚濁部分(以上、灰白色の綿状)
女子群像左女子の腹部下部から下方。
青龍後方の汚濁部分(以上、灰白色の綿状)
西壁   女子群像の下方。白虎の下方。
男子群像の左下方(白色)。
平成14年   1月7日
~10日
  取合部と石槨内のほぼ同一地点に白いカビエタノールにより除去、消毒。パラホルムアルデヒドの気化率を測定。微生物調査(Penicillium sp.,Fusarium sp.)。
1月27日
~29日
点検。
石槨内にはカビ確認されず。微生物調査。石槨内床面清掃、消毒。西壁損傷事故(28日)。
2月25日
~27日
取合部のカビ減少。
3月27日
~29日
点検。異常なし。1月28日の西壁損傷事故箇所を補彩。
7月16日
~19日
点検。異常なし。
9月9日
~12日
点検。カビ処置。撮影。
カビ 西壁   男子群像下方に微量の青色カビ
10月27日
~11月1日
点検。
取合部と石槨内に複数種のカビの多量発生。
カビ 東壁   青龍の後方の汚濁部と女子群像下方に黒色の粘性の強いカビ
西壁   白虎の下方(黒色で点状)。
石槨内にムカデやワラジムシの死骸が10匹余あり、カビに覆われているもの多し。
10月28日
~31日
撮影。
11月7日 点検。石槨内でムカデ・ワラジムシ・クモ・アリ等20匹前後。
11月10日
~15日
点検。前回程度の虫の死骸を採取。壁面水分率調査。
11月28日
~29日
点検。
12月9日
~11日
点検。微生物調査。壁面水分分布を計測。
12月16日
~21日
点検。顔料分析。撮影。
2月26日
~27日
点検。
平成15年   1月6日
~8日
  点検。
1月30日
~31日
点検。
2月17日
~19日
点検。
3月18日 「国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策検討会」(以下、「検討会」)第1回検討会を開催。
3月24日 「国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策検討会作業部会」(以下、「作業部会」)メンバーによる現地調査(壁面調査・墳丘調査)。
3月25日 検討会委員による事前現地調査(壁面調査・墳丘調査)。
3月27日 第1回「作業部会」。
検討すべき事項の洗い出し、調査すべき項目・作業内容について検討。
4月11日 第2回「作業部会」。
今後採るべき調査・作業項目リストの作成。
4月21日 第2回「検討会」。
「作業部会」策定の緊急保存対策に係る調査方法、壁画保存修理等について検討。
墳丘に関わる調査・対策の必要性から、「作業部会」に地盤工学、竹等の植生の専門家の追加決定。
「作業部会」への要請事項
 
  カビ痕の除去についての技術開発。
基礎的な調査・測定の継続。
4月22日
~24日
点検。取合部・石槨内ともにカビは確認されず。虫の死骸多数。墳丘部の植生及び地形調査。
5月9日 第3回「作業部会」。
墳丘部と石槨内の影響関係を中心に意見交換。
5月18日 墳丘部の電気探査、墳丘部及びその周辺の測量を開始。
5月21日
~23日
点検。「作業部会」メンバー及び漆喰壁専門家による壁面調査。
壁面の状況を詳しく観察し今後採りうる処置方法について検討。
5月22日 第4回「作業部会」。
5月29日 墳丘部上の枯れたモチノキ3本の伐採。
6月19日 第3回「検討会」。「作業部会」報告を受け、報告書の策定。
6月26日 「国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策検討会」報告書『国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策について』を文化庁に提出。
7月15日
~17日
点検。
9月16日
~18日
墳丘部防水工事を開始。水位計を設置。電気探査。タケの伐採。
9月29日
~10月1日
点検。
9月~10月 墳丘上段の竹の伐採、墳丘上段に防水シートを設置。
10月26日
~10月30日
点検。北壁の水分分布調査。保存施設内各室の浮遊菌、及び塵埃調査。
11月18日
~21日
取合部防黴工事。
11月26日 点検。
12月1日
~3日
点検。
平成16年   1月7日
~8日
  点検。石槨内間隙部のステンレスウール充填作業。
1月26日 点検。
2月23日
~25日
点検。カビ処置(以後、発生したカビは初期段階で処置)。カビはカビ痕に微量発生。微生物調査。
カビ 東壁   青龍後方汚濁部分。
西壁   女子群像直下。白虎後方、男子群像足許
3月15日
~17日
点検。カビ処置。微生物調査。
カビ 東壁   青龍後方汚濁部分。
西壁   白虎前方、男子群像足許。
3月23日 第4回「国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策検討会」。緊急保存対策の報告。
4月5日
~7日
点検。カビ処置。微生物調査。
カビ 東壁   女子群像の北側(白色と緑色)。
西壁   白虎後方(緑色)。
4月26日
~28日
点検。カビ処置。微生物調査。
カビ 東壁   青龍後方汚濁部分、女子群像北方。
西壁   白虎前方、男子群像足許。
5月19日
~20日
点検。壁面水分率調査。微生物調査。
カビ 東壁   青龍後方汚濁部分、男子群像下方。日像と天井の間。
6月 『国宝高松塚古墳壁画』(文化庁監修 中央公論美術出版)刊行。
6月4日 第1回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」。
6月14日 第1回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」。
6月15日
~16日
点検。壁面損傷調査。カビ処置。
6月22日
~24日
点検。壁面損傷調査。
カビ 東壁   男子群像下南方。
7月14日
~16日
点検。カビ痕除去。石槨内にてムカデ外16匹捕獲。
カビ 西壁   白虎前肢付近(茸状)。
8月10日 第2回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」。
8月11日
~12日
点検。カビ処置。顕微鏡観察で漆喰層表面に多数のダニを確認。
カビ 東壁   男子群像下南方。
9月6日
~7日
点検。カビ処置。微生物調査。
カビ 東壁   西壁男子群像の絵の上および周辺40×50cmに白いカビ。
→ 報道発表(9月8日)
9月10日 点検。新たなカビの発生なし。
9月16日 第2回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」
9月21日
~22日
点検。カビ処置。
カビ 西壁   男子群像上剥落部(含緑カビ)。
東壁   青龍の北側。
9月中 墳丘下段の竹の伐採、墳丘上段の防水シート撤去、発掘調査(平成16年度)用仮設覆屋の建設・完成
10月5日
~7日
点検。カビ処置。
カビ 東壁   青龍下方余白部(緑カビ)。
北壁   下方床近傍。
10月18日
~19日
点検。カビ処置。
カビ 西壁   女子群像下方。
10月22日 第3回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」
10月26日
点検。カビ処置。微生物調査。
カビ 北壁   下方床近傍。
取合   西側土上。
11月1日~
5日
点検。カビ処置。東壁青龍南側ダニ多し。
カビ 天井   南側盗掘口近く。
監視カメラ試験。
11月18日
~19日
点検。カビ処置。ムカデ4匹。
カビ 天井   南側盗掘口近く。
取合   西側南方。
11月29日
~30日
点検。新たなカビの発生なし。ワラジムシ1匹。
11月30日 第4回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」
12月1日
~3日
監視カメラ試験(不具合あり)。空気漏洩試験。
12月21日
~22日
点検。カビ処置。取合クモ1匹。
カビ 天井   北側漆喰(黒シミ状)。
監視カメラ試験(不具合あり)。
平成17年   1月6日
~7日
  点検。カビ処置。ムカデ4匹。東壁青龍~女子群像間ダニ多し。
カビ 西壁   男子群像北側。
白虎下余白。
1月17日
~18日
点検。カビ処置。ワラジムシ2匹。
カビ 西壁   男子群像青衣下方。
2月8日
~9日
点検。カビ処置。ムカデ7匹、ワラジムシ12匹。
カビ 西壁   白虎足下余白。
床面   南側。
2月24日
~25日
点検。カビ処置。
カビ 天井   北側。
3月16日
~17日
点検。カビ処置。ムカデ4匹、ワラジムシ18匹。
カビ 東壁   青龍南側
西壁   女子群像下方。
床面   ワラジムシ死骸(10匹)に発生。
3月22日
~23日
第5回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」
3月30日
~31日
点検。カビ処置。ワラジムシ5匹。壁面にダニ多数。
カビ 天井   北側。
取合   庇付近。
4月11日
~12日
点検。カビ処置。ワラジムシ8匹。ハサミムシ1匹。壁面にダニ。
カビ 床とシリコンガーゼの間
 → 以降、シリコンガーゼの使用を中止
石室の構造調査。
4月19日 第6回「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」
5月1日
~2日
点検。カビ処置。ムカデ9匹。ワラジムシ2匹。青龍北側ダニ多数。
カビ 天井   南側。
5月11日 第3回国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会
  天井   南側。
5月12日
~13日
点検。カビ処置。ワラジムシ14匹。ムカデ8匹。ゲジ1匹。
カビ 床面   中央~南側。
石室の構造調査。
5月26日
~27日
点検。カビ処置。ヤスデ1匹。青龍脇茶色部ダニ数匹。
カビ 床面   中央部。
東壁   青龍脇茶色部。
石室石材の強度調査。
6月7日
~9日
点検。カビ処置。ワラジムシ1匹。
カビ 床面   中央。
前室等撮影(NHK)。
6月17日 点検。カビ処置。ムカデ1匹、クモ1匹、ワラジムシ1匹。
カビ 東壁   男子群像下方。
床面   中央。
石室構造調査。
6月27日
第7回 「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会作業部会」
第4回 「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」
  解体修理決定
6月30日
~7月1日
点検。カビ処置。ムカデ3匹。東女子群像下方、青龍脇茶色部分、西男子群像下方にダニ・茶色ネバネバ
カビ 床面   中央。
取合   閉塞石外面
7月12日
~13日
点検。カビ処置。ムカデ2匹。東壁女子群像付近にダニ数匹。
カビ 東壁   女子群像付近。
取合   閉塞石外面。
7月25日
~27日
点検。カビ処置。ムカデ11匹
カビ 東壁   青龍脇茶色部。
取合   閉塞石外面。
取合石室の横に温度計設置(冷却管関係)。
8月8日 発掘調査(平成16年度)用仮設覆屋の撤去開始。
8月8日
~9日
点検。カビ処置。ゲジ2匹、ムカデ1匹。東女子群像下方ダニ数匹。
カビ 西壁   白虎下方。男子群像青衣上。
取合   閉塞石外面。東側版築。
8月16日 集中豪雨による埋土流出(墳丘)。 →毀損届提出
8月23日
~24日
点検。カビ処置。ムカデ3匹。東女子群像下方、青龍脇茶色部ダニ数匹。
カビ 西壁   男子群像緑衣上。
取合   閉塞石外面。東側版築。
9月2日 冷却管始動
9月5日
~7日
点検。カビ処置。ムカデ5匹、ワラジムシ1匹。
カビ 西壁   白虎周辺(含黒いカビ)
東壁   青龍周辺(含黒いカビ) → 報道発表(9月9日)
取合   閉塞石外面。
9月12日
~13日
点検。カビ処置。ムカデ2匹、トビムシ1匹。
カビ 床面   中央。
天井   中央。
取合   閉塞石外面。
殺菌剤をエタノールから、イソプロパノールに変更。
ゲル状物質発見。
9月16日 点検。カビ処置。ムシ見当たらず。
微生物調査 → 分析結果を待ち報道発表(10月18日)
9月20日
~21日
点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。ゲル分布図作成。
カビ 天井   中央。北側。
取合   閉塞石外面。
9月22日 新仮設覆屋完成。
9月26日
~27日
点検。カビ・ゲル処置。ワラジムシ1匹。ゲル分布図作成。
カビ 天井   中央。北側
取合   閉塞石外面。版築西側。
10月3日
~4日
点検。カビ・ゲル処置。ムカデ3匹。ゲル分布図作成。
カビ 天井   中央。
取合   閉塞石外面。西側南面。
10月11日
~12日
点検。カビ・ゲル処置。ムカデ3匹。ゴミムシ1匹。
カビ 天井   東壁との目地部分。中央。
西壁   男子群像。
東壁   男子群像。
10月21日 点検。カビ・ゲル処置。ゾウリムシ1匹。
カビ 床面   中央。
天井   中央。北側。
西壁   男子群像緑衣。女子群像緑衣。
取合   天井石外面。閉塞石外面。
この頃以降、カビ・ゲルともかなりおさまってきた印象。
10月31日
~11月1日
点検。カビ・ゲル処置。ムカデ1匹。
カビ 取合   閉塞石外面。
11月1日 点検。カビ・ゲル処置。ワラジムシ1匹、ゲジ1匹。
カビ 天井   中央、北側。
11月上旬 冷却前室設置。
11月15日 点検。カビ・ゲル処置。ワラジムシ1匹、ゲジ2匹。
カビ 取合   閉塞石外面。
床面   中央。
西壁   女子群像北方。
東壁   男子群像下方。
天井   中央。
11月28日 点検。カビ・ゲル処置。ハサミムシ2匹。
カビ 床面   中央。
天井   中央。
取合   西側擬土。
12月14日 点検。カビ・ゲル処置。ムカデ5匹。ワラジムシ6匹。
カビ 天井   中央。
取合   西側擬土。
12月26日 点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
カビ 天井   中央。
取合   天井石南面。
12月27日
~28日
石室内3D測量。測量終了後、再び点検。
平成18年   1月16日   点検。カビ・ゲル処置。カビ・ムシ見当たらず。
2月2日
~3日
点検。カビ・ゲル処置。ムカデ1匹。
カビ 天井   中央、北側。
東壁   女子群像北方。
取合   閉塞石外面。西側擬土。
2月9日 「第5回国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」
2月20日
~22日
点検・微生物調査。カビ・ゲル処置。ワラジムシ2匹。
カビ 天井   中央~北側
取合   西側版築層
3月9日
~10日
点検・微生物調査。カビ・ゲル処置。クモ(取合)
カビ 天井   中央~北側
西壁   白虎周辺
取合   西側版築
3月22日
~23日
点検。写真撮影。ムシ見当たらず。
カビ 天井   中央~北側
東壁   青龍脇
3月31日 点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
カビ 東壁   盗掘孔付近
西壁   盗掘孔付近
天井   中央~北側
取合   西側版築
4月14日 点検(取合部まで)。カビ処置。石室未開封。
カビ 取合   西側版築
5月2日 点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
カビ 西壁   男子群像周辺、女子群像周辺 →報道発表 (*/*)
天井   中央~北側
取合   西側版築
5月17日 点検・微生物調査。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
カビ 西壁   女子群像周辺・白虎周辺
天井   中央~北側
取合   西側版築層
6月2日 点検・微生物調査・事故調査委員会委員視察。ムシ見当たらず。
カビ 西壁   女子群像周辺・白虎周辺
天井   中央~北側
取合   西側版築層
6月6日 点検(取合部まで)・取合部カビ除去、防カビ処置。
石室未開封。
6月21日 点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
カビ 西壁   女子群像周辺・白虎周辺
天井   中央
7月6日
~7日
点検・前室微生物調査。カビ・ゲル処置。
ヤスデ1匹、ワラジムシ3匹。
カビ 東壁   男子群像周辺
天井   中央
7月13日 点検・微生物調査。カビ・ゲル処置。
ヤスデ1匹、トビムシ2匹。
カビ 西壁   女子群像周辺・白虎周辺
天井   中央
7月26日
~27日
点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
取合部3D測量(石室解体準備)。
カビ 西壁   女子群像周辺・白虎周辺・男子群像周辺
天井   中央
8月4日 点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
取合部・石室構造等調査(石室解体準備)。
カビ 天井   中央
8月7日
~9日
点検・文化庁長官視察(9日)。カビ・ゲル処置。
ワラジムシ1匹。
取合部3D測量(石室解体準備)。
カビ 西壁   女子群像周辺
東壁   青龍周辺・男子群像周辺
天井   中央
8月28日
~9月5日
点検・高精度写真撮影(フォトマップ)・文科大臣視察(4日)。
カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
カビ 西壁   女子群像周辺
東壁   青龍周辺・女子群像周辺 → 報道発表(9月13日)
天井   中央
9月8日 点検。カビ・ゲル処置。ムシ見当たらず。
取合部・石室構造等調査(石室解体準備)。
カビ 東壁   女子群像周辺
9月13日
~14日
点検・石室の報道機関への公開。
カビ・ゲル処置。ヤスデ1匹。
カビ 東壁   女子群像周辺
   
本資料は、第5回国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会における資料2に、平成13年2月28日の取合部工事検査、平成14年1月28日の石室西壁の損傷事故、同3月28日の事故箇所の補彩の記録の箇所を追記(アンダーラインで表示)し、また平成18年2月以降の点検記録の概要を追記したものである。
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